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JP5019055B2 - ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから得られる硬化膜 - Google Patents

ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから得られる硬化膜 Download PDF

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JP5019055B2 JP2007555881A JP2007555881A JP5019055B2 JP 5019055 B2 JP5019055 B2 JP 5019055B2 JP 2007555881 A JP2007555881 A JP 2007555881A JP 2007555881 A JP2007555881 A JP 2007555881A JP 5019055 B2 JP5019055 B2 JP 5019055B2
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Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから得られる硬化膜に関する。より詳しくは、本発明は、ディスプレイ材料の用途において好適なポジ型感光性樹脂組成物及びその硬化膜、並びに該硬化膜を用いた各種材料に関する。
一般に、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL(electroluminescent)素子等のディスプレイ素子においては、パターン形成された電極保護膜、平坦化膜、絶縁膜等が設けられている。これらの膜を形成する材料としては、感光性樹脂組成物の中でも、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なくしかも十分な平坦性を有するという特徴を持つところの感光性樹脂組成物が、従来より幅広く使用されている。
そして、上述のこれらの膜には、耐熱性、耐溶剤性、長時間焼成耐性などのプロセス耐性に優れていること、下地との密着性が良好であること、使用目的に合わせた様々なプロセス条件でパターンを形成し得る広いプロセスマージンを有すること、加えて、高感度且つ高透明性であること並びに現像後の膜ムラが少ないこと等の諸特性が要求される。そこで、斯かる要求特性の点から、これまで従来、上記の感光性樹脂組成物としては、ナフトキノンジアジド化合物を含む樹脂が汎用されてきた。
ところで、斯かる感光性樹脂材料の要求特性の中、重要な特性の一つとして、感度が挙げられる。感度の向上は、ディスプレイ素子等の工業的な生産において、その生産時間の大幅な短縮を可能にするので、液晶ディスプレイの需要量が著しく増大している現在の状況にあっては、感度は、この種の感光性樹脂材料に要求される最も重要な特性の一つとなっている。
しかし、上述のナフトキノンジアジド化合物を含む従来の感光性樹脂材料は、感度の面において十分満足できるものではなかった。材料中のポリマーについてアルカリ現像液への溶解性を高めることにより、感度を向上させることも可能ではあるが、この方法には限界があり、また未露光部の溶解も起こって残膜率が低下し、それが大型ディスプレイ用の基板にとっては膜ムラの原因になるという欠点があった。
そこで、これまでにも、感光性樹脂材料の高感度化を目的として幾つかの特許出願がなされている。例えば、アルカリ可溶性樹脂と特定のポリヒドロキシ化合物及びその誘導体の少なくとも何れかとを含有する感放射線性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この提案材料は、感光剤の対称性の高さから、保存安定性などに問題があった。
また、アルカリ可溶性フェノール樹脂と感放射線性化合物を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、及び、特定のアルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかし、これらは、バインダーポリマーにノボラック樹脂を使用していることから、透明性、並びに長時間焼成時における安定性に問題があった。
以上のように、他の特性をも満足し、且つ所望水準の高感度を有する感光性樹脂組成物を開発することは、非常に困難なことであり、従来技術の単なる組み合わせでは、満足な感光性樹脂組成物を得ることが困難であった。
また一般に、ナフトキノンジアジド化合物を含む従来の感光性樹脂材料にあっては、露光現像の後ナフトキノンジアジド化合物による硬化膜の着色化及び透明性の低下を防止するべくフォトブリーチングが為されているが、このフォトブリーチング工程を経たとしても、得られた膜は、250℃程度の高温で焼成すると光透過率が低下して着色し、またこれより低い温度で、例えば230℃で長時間焼成しても光透過率の低下(着色)が見られ、更に、レジスト剥離液のアミン系溶液などの薬品処理によっても、光透過率が低下して透明性が悪化するという問題が発生し、ナフトキノンジアジド化合物を含む従来の感光性樹脂材料は、斯かる耐熱性及び耐薬品性の点で問題があった(例えば、特許文献4参照)。
一方、高感度、高解像度の感光性材料として従来、化学増幅型レジストが開発されている。半導体用レジストとして開発されてきた従来の化学増幅型レジストは、i線よりも短波長の光源(KrF、ArF)にも適応することができ、より微細なパターン形成が可能であるが、膜硬化に用いるような高温の下では、またレジスト剥離液の存在下では、保護基の結合部やエーテル結合の熱架橋部が容易に分解してしまい、耐熱性及び耐薬品性が著しく低く、永久膜として利用することは殆ど不可能であった(例えば、特許文献5参照)。また、熱硬化を可能とするために、エポキシ類やアミノプラスト類の架橋系を化学増幅型レジストに導入しようとしても、露光によりレジスト中の光酸発生剤(PAG)から発生した酸の影響により、露光部の架橋が進行し、未露光部との溶解コントラストが消失するなどの問題が新たに生じるため、斯かる架橋系の化学増幅型レジストへの導入は困難であった。
特開平4−211255号公報 特開平9−006000号公報 特開平8−044053号公報 特開平4−352101号公報 米国特許第5075199号明細書
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その解決しようとする課題は、十分高感度であり、しかも現像の際に未露光部の膜減りが観測されない程に事実上無く、その上、膜形成後に高温下で焼成しても高い透過率を維持し、且つ、レジスト剥離液(アミン系溶液)処理に曝されても膜厚の減少及び透過率の低下がいたって小さいところのポジ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明は、斯様なポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜であって、高温焼成或いはレジスト剥離液(アミン系溶液)処理によっても、透過率の低下が格段に小さく、高い透明性が維持される、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化膜、並びに、斯様な硬化膜を用いて作られる各種の素子・材料を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、第1観点として、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物である。
(A)成分:(B)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有するベースポリマーが、多官能ビニルエーテル化合物より誘導される二個以上の式(1)
Figure 0005019055
で表される熱架橋基を含む化学構造を介して互いに結合して形成された熱架橋体であり、かつ、その重量平均分子量が10,000乃至250,000である熱架橋体
(B)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物
(C)成分:光酸発生剤
(D)溶剤
第2観点として、前記膜硬化のための官能基は、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である、第1観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第3観点として、前記(A)成分の熱架橋体には、さらに熱架橋反応をなしうる官能基及びビニルエーテル基を含むことを特徴とする、第1観点又は第2観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第4観点として、前記熱架橋反応のための官能基は、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、第3観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第5観点として、前記(A)成分は、熱架橋反応をなしうる官能基を有し且つ数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂と、1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物を熱架橋反応させた熱架橋体であることを特徴とする、第1観点乃至第4観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第6観点として、前記(A)成分は、前記アルカリ可溶性樹脂100質量部に基づいて、1乃至80質量部の前記ビニルエーテル基を有する化合物を熱架橋反応させた熱架橋体であることを特徴とする、第5観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第7観点として、(A)成分の熱架橋体100質量部に基づき0.5乃至80質量部の(B)成分、及び、0.2乃至80質量部の(C)成分を含有する、第1観点乃至第6観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第8観点として、(E)成分として、アルカリ可溶性樹脂を更に含有する、第1観点乃至第7観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第9観点として、前記(E)成分のアルカリ可溶性樹脂は、前記(A)成分の熱架橋体を構成するアルカリ可溶性樹脂部分とは異なる他のアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする、第8観点に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第10観点として、(F)成分として、アミン化合物を更に(A)成分の熱架橋体100質量部に基づいて0.0005乃至5質量部含有する、第1観点乃至第9観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第11観点として、(G)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に0.2質量%以下含有する、第1観点乃至第10観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
第12観点として、第1観点乃至第11観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。
第13観点として、第12観点に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
第14観点として、第12観点に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜。
第15観点として、第12観点に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
第16観点として、第12観点に記載の硬化膜からなるマイクロレンズ。
本発明によると、ブロックイソシアネート基を有する化合物との間で膜の熱硬化をなしうる基及び前記式(1)で表される熱架橋基を含む組成のポジ型感光性樹脂組成物としたことにより、十分高感度でありしかも現像の際に未露光部の膜減りが観測されない程に事実上無く、その上、膜形成後に例えば250℃のような高温下で焼成しても(或いは例えば230℃で長時間焼成しても)高い透過率を維持し、且つ、レジスト剥離液(アミン系溶液)処理に曝されても膜厚の減少及び透過率の低下がいたって小さいという効果が得られる。
加えて、ポジ型感光性樹脂組成物の成分として、前記熱硬化をなしうる基及び前記式(1)で表される熱架橋基とを有する熱架橋体となして用いることにより、保存安定性に優れた組成物を得られるという効果が得られる。
また、本発明により、斯かるポジ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を得ることにより、高温(250℃)焼成或いはレジスト剥離液(アミン系溶液)処理によっても透過率の低下が格段に小さく高い透明性が維持される、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化膜となり、よって、従来これまで化学増幅型レジストが適用されていないところのTFT型液晶素子のアレイ平坦化膜などの液晶又は有機ELディスプレイにおける各種の膜材料の用途、並びにマイクロレンズなどの用途にも好適であるという効果が得られる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分の熱架橋体、(B)成分のブロックイソシアネート基を有する化合物、(C)成分の光酸発生剤及び(D)溶剤を含有し、且つ、それぞれ所望により、(E)成分のアルカリ可溶性樹脂、(F)成分のアミン化合物または(G)成分の界面活性剤を含有する組成物である。以下、各成分の詳細を説明する。
<A成分>
(A)成分は、(B)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有するベースポリマーが、多官能ビニルエーテル化合物より誘導される二個以上の式(1)
Figure 0005019055
で表される熱架橋基を含む化学構造を介して互いに結合して形成された熱架橋体であり、かつ、その重量平均分子量が10,000乃至250,000である熱架橋体である。
膜硬化のための官能基は、上記の(A)成分の熱架橋体において(露光部にあっては、熱架橋体が更に解離した脱架橋体において)、より高められた温度の下(B)成分の化合物との間でブロック部分が解離したイソシアネート基を介して架橋反応をなし、膜を硬化せしめうる基であり、その代表的な官能基は、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である。ここで、活性水素を有するアミノ基とは、反応により水素を放出しうる1級又は2級のアミノ基を意味する。従って、アミド基は、活性水素を持たないので、活性水素を有するアミノ基に該当しない。
(A)成分の熱架橋体は、斯かる構造を有する熱架橋体であればよく、熱架橋体を構成するベースポリマーのその他の骨格及び種類などについて特に限定されない。
然しながら、(A)成分の熱架橋体の重量平均分子量は、10,000乃至250,000の範囲内にあるものである。重量平均分子量が250,000を超えて過大なものであると、ポジ型感光性樹脂組成物のその後の調製プロセスに支障を来たす場合がある一方、重量平均分子量が10,000未満で過小なものであると、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性の効果が十分に得られない場合がある。
また(A)成分の熱架橋体には、さらに熱架橋反応をなしうる官能基及びビニルエーテル基を含んでもよい。
この熱架橋反応のための官能基は、高められた温度の下、ビニルエーテル基と反応して熱架橋体をなし、レジスト膜を形成しうる基であり、その代表的な官能基は、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の群から選ばれる少なくとも一種である。
また、(A)成分の熱架橋体は、ビニルエーテル基との間で熱架橋反応をなしうるための官能基並びに(B)成分のブロックイソシアネート基を有する化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を樹脂の構造中に有し且つ数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂と、1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物とを熱架橋反応させた熱架橋体であることが好ましい。
(A)成分の熱架橋体を形成する、前記アルカリ可溶性樹脂の主鎖の骨格及び側鎖の種類、また、前記ビニルエーテル基を有する化合物の種類及び構造などについて特に限定されない。
また、(A)成分の熱架橋体を形成する、前記アルカリ可溶性樹脂の数平均分子量は2,000乃至30,000の範囲内にあるものである。数平均分子量が30,000を越えて過大なものであると、現像残渣が発生しやすくなり、感度が著しく低下する一方、数平均分子量が2,000未満で過小なものであると、現像の際、未露光部の膜減りが相当量発生し、硬化不足になる場合がある。
以下、(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂並びにビニルエーテル基を有する化合物について述べる。
(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂等が挙げられる。特に、アクリル系樹脂は、透明性が高いので、より好ましい。
また、本発明においては、複数種のモノマーを重合して得られる共重合体(以下、特定共重合体と称す。)からなるアルカリ可溶性樹脂を(A)成分の熱架橋体を形成する一成分として用いることもできる。この場合、(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂は、複数種の特定共重合体のブレンド物であってもよい。
すなわち、上記の特定共重合体は、熱架橋反応のための官能基を有するモノマー、即ちカルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、膜硬化のための官能基を有するモノマー、即ちフェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーとを、必須の構成単位として形成された共重合体であって、その数平均分子量が2,000乃至30,000のものである。
上記の「カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマー」には、カルボキシル基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、ならびに、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の両方を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーは、カルボキシル基又はフェノール性ヒドロキシ基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
また上記の「フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマー」には、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有するモノマー、活性水素を有するアミノ基を有するモノマー、ならびに、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の両方を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーは、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基又は活性水素を有するアミノ基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
以下、上記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものでない。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。
フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン等が挙げられる。
さらに、活性水素を有するアミノ基を有するモノマーとしては、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノメチルメタクリレート等が挙げられる。
また、特定共重合体は、熱架橋反応のための官能基を有するモノマー及び膜硬化のための官能基を有するモノマー以外のモノマー(以下、その他モノマーと称す。)をも構成単位として形成された共重合体であってもよい。
その他モノマーは、具体的には、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基のうちの少なくとも一方を有するモノマー、並びに、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうちの少なくとも一方を有するモノマーと共重合することが可能なものであればよく、(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂の特性を損ねない限り、特に限定されるものでない。
その他モノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、及び、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
本発明に用いる特定共重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基およびフェノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群から適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、所望により上記モノマー以外のモノマーと、所望により重合開始剤等を溶剤中において、50乃至110℃の温度下で重合反応させることにより、得られる。その際、用いられる溶剤は、特定共重合体を構成するモノマー及び特定共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する(D)溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
このようにして得られる特定共重合体は、通常、この特定共重合体が溶剤に溶解した溶液の状態である。
また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
本発明においては、特定共重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば後述する(D)溶剤のような溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
(A)成分の熱架橋体を形成する、1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物とは、慣用のプリべーク温度で同じく(A)成分を形成するアルカリ可溶性樹脂の熱架橋反応のための官能基と熱架橋することができるようなビニルエーテル基を1分子中二個以上有する化合物であればよく、その種類及び構造について特に限定されるものでない。
前記化合物は、(A)成分を形成するアルカリ可溶性樹脂部分の熱架反応のための官能基との熱架橋の後、光酸発生剤の存在下での露光により生じた酸により、該アルカリ可溶性樹脂部分から分離(脱架橋)し、その後アルカリ現像液を用いた現像により該アルカリ可溶性樹脂部分ともに除去される。従って、この種の化合物としては、一般にビニルエーテル型化学増幅型レジストの成分に使用されるビニルエーテル系化合物などが適用されうる。斯かる化合物の使用の場合、該化合物の配合量を変えて熱架橋密度を調整することにより、形成される膜の形状を制御することができるという利点を有する。
そして、前記化合物としては、上記ビニルエーテル系化合物の中でも、特に式(2)及び式(3)で表される化合物が、露光部において残膜や残渣なく現像される点で、好ましい。
Figure 0005019055
(式中、nは2乃至10の正数、kは1乃至10の正数であり、R1はn価の有機基を表す。)
Figure 0005019055
(式中、mは2乃至10の整数を表す。)
式(2)のnは、1分子中のビニルエーテル基の数を表すが、nとしては、2乃至4の整数がより好ましい。そして、式(3)のmも一分子中のビニルエーテル基の数を表すが、mとしては、2乃至4の整数がより好ましい。
式(2)及び式(3)で表される化合物の具体例としては、ビス(4−(ビニロキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリス(4−ビニロキシ)ブチルトリメリレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチルイソフタレート、及びシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
また、前記ビニルエーテル基を有する化合物は、前記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1乃至80質量部、好ましくは5乃至40質量部の割合で使用され、(A)成分の熱架橋体を形成する。ビニルエーテル基を有する化合物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、未露光部における膜減りが顕著となりパターン様のレリーフ形状が不良になる。一方、ビニルエーテル基を有する化合物の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、膜の感度が大きく低下し、現像後にパターン間の残渣が生じるようになる。
本発明で用いる(A)成分の熱架橋体を得る方法は特に限定されないが、例えば、前記アルカリ可溶性樹脂と前記ビニルエーテル基を有する化合物を溶剤中において35乃至70℃の温度下に保ち、アルカリ可溶性樹脂の熱架橋反応のための官能基とビニルエーテル機を一部架橋反応させることにより得られる。その際、用いられる溶剤は該アルカリ可溶性樹脂及び該ビニルエーテル基を有する化合物を溶解するものであれば特に限定されず、具体例としては、後述する(D)溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
また、(A)成分の熱架橋体を得るには、前述の通り、該アルカリ可溶性樹脂として前記特定共重合体(該特定共重合体は、溶剤に溶解した溶液の状態であるか、或いは精製した粉体の状態である)を用いてもよい(なお、特定共重合体を用いて得られる(A)成分の熱架橋体を特定架橋体と以後称する)。
特定共重合体を溶液の状態で用いる場合(又は粉体を溶剤に溶解して用いる場合も含む)、これにビニルエーテル基を有する化合物を入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(D)溶剤を追加投入してもよい。このとき、特定共重合体の形成過程(又は粉体の溶解時)に用いられる(D)溶剤と、特定架橋体の調製時に濃度調整のために用いられる(D)溶剤とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
<B成分>
(B)成分は、1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物である。これは、(A)成分の熱架橋体を形成する前記ビニルエーテル基を有する化合物部分との間で熱架橋された或いは更にそれとの間で脱架橋された(A)成分の熱架橋体を形成する前記アルカリ可溶性樹脂部分からなる膜に対して、例えば慣用のポストべーク温度で熱硬化することができるようなブロックイソシアネート基を1分子中二個以上有する化合物であればよく、その種類及び構造について特に限定されるものでない。
この(B)成分の化合物は、イソシアネート基(−NCO)が適当な保護基によりブロックされたブロックイソシアネート基を1分子中二個以上有し、そして熱硬化の際の高温に曝されると、保護基(ブロック部分)が熱解離して外れ、生じたイソシアネート基を介して(A)成分中の熱硬化のための官能基(例えばフェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基)相互の間で架橋反応が進行するものであり、例えば、式(4)
Figure 0005019055
(式中、R2はブロック部の有機基を表す。)で表される基を1分子中二個以上(この基は同一のものでも、また各々異なっているものでもよい)有する化合物が挙げられる。
1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する(B)成分の化合物は、例えば1分子中二個以上のイソシアネート基を有する化合物に対して適当なブロック剤を作用せしめることにより、得ることができる。
1分子中二個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等、またはそれらの二量体、三量体、或いは、これらとジオール類、トリオール類、ジアミン類、トリアミン類との反応物が挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−、m−又はp−クレゾール等のフェノール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、などのピラゾール類、ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類が挙げられる。
(B)成分の化合物は、ポストべーク温度のようなより高温では、ブロック部分の熱解離が生じイソシアネート基を介して架橋反応が進行するものであるが、プリべーク温度のようなより低温では、イソシアネート基による架橋が進行しないものとするために、ブロック部分の熱解離の温度がプリべーク温度よりも相当に高いもの、例えば120℃乃至230℃であるものが(B)成分の化合物として特に好ましい。
斯かる(B)成分の化合物としては、例えば次の具体例が挙げられる。
Figure 0005019055
式中、イソシアネート化合物がイソホロンジイソシアネートから誘導されるものである(B)成分の化合物が、耐熱性、塗膜性の点からより好ましく、斯様な化合物としては、以下のものが挙げられる。
下記式中のRは有機基を表す。
Figure 0005019055
Figure 0005019055
Figure 0005019055
本発明において、(B)成分の化合物は一種単独で用いてもよく、また二種以上を組合わせて用いてもよい。
また、(B)成分の化合物は、(A)成分の熱架橋体100質量部に対して0.5乃至80質量部、好ましくは2乃至40質量部の割合で使用される。(B)成分の化合物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、熱硬化が不十分となって満足な硬化膜が得られず、一方、(B)成分の化合物の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、現像が不十分となり、現像残渣を生じるようになる。
<C成分>
(C)成分は、光酸発生剤(PAG)である。これは、露光に使用される光(g、h、i線等の紫外線、ArF、KrF、F2レーザー光や電子線など)の照射によって直接もしくは間接的に酸(スルホン酸類、カルボン酸類など)を発生する物質であり、斯様な性質を有するものであれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
(C)成分の光酸発生剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ニトロベンジル化合物、ベンゾイントシレート化合物、鉄アレーン錯体、ハロゲン含有トリアジン化合物、アセトフェノン誘導体化合物、及び、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物などが挙げられる。従来知られ又は従来から使用されている光酸発生剤は、いずれも、特に限定されることなく、本発明において適用することができる。なお、本発明において、(C)成分の光酸発生剤は、一種単独で用いてもよく、また二種以上を組合わせて用いてもよい。
斯かる光酸発生剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。尤も、これらの化合物は、極めて多数の適用可能な光酸発生剤の中の少数例であり、当然それらに限定されるものでない。
Figure 0005019055
ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p−エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、
Figure 0005019055
Figure 0005019055
Figure 0005019055
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Figure 0005019055
Figure 0005019055
Figure 0005019055
また、(C)成分の光酸発生剤は、(A)成分の熱架橋体100質量部に対して0.2乃至80質量部、好ましくは0.5乃至30質量部の割合で使用される。(C)成分の光酸発生剤の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、露光の際、熱架橋された(A)成分の熱架橋体を形成するビニルエーテル化合物部分の、同じく(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂部分からの解離が十分に進行せず、所望のパターン様のレリーフが得られ難くなり、一方、(C)成分の光酸発生剤の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性に劣るようになる。
<D溶剤>
本発明に用いる(D)溶剤は、(A)成分乃至(C)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述の(E)成分乃至(G)成分などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
斯様な(D)溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
これら(D)溶剤の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル等が、塗膜性が良好で安全性が高いという観点より好ましい。これら溶剤は、一般にフォトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
<E成分>
(E)成分はアルカリ可溶性樹脂であって、(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂部分とは異なる樹脂である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂部分とは異なる他のアルカリ可溶性樹脂を含有することができる。
斯様な(E)成分としては、例えば、(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂部分とは異なるアクリル系樹脂及びヒドロキシスチレン系樹脂、フェノールノボラック樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
<F成分>
(F)成分は、アミン化合物である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、その保存安定性を高めるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更にアミン化合物を含有することができる。
(F)成分のアミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリノルマルプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン及びジアザビシクロオクタン等の3級アミンや、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミンが挙げられ、また、更に、ベンジルアミン及びノルマルブチルアミン等の1級アミンや、ジエチルアミン及びジノルマルブチルアミン等の2級アミンも挙げられる。
(F)成分のアミン化合物は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
アミン化合物が使用される場合、その含有量は、(A)成分の熱架橋体100質量部に対して、例えば0.0005乃至5質量部であり、また場合により0.002乃至1質量部であり、また好ましくは、0.005乃至0.5質量部である。(F)成分のアミン化合物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性を十分に高めることができず、一方、(F)成分のアミン化合物の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、ポジ型感光性樹脂組成物の感度が低下する場合がある。
<G成分>
(G)成分は、界面活性剤である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、その塗布性を向上させるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に界面活性剤を含有することができる。
(G)成分の界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。この種の界面活性剤としては、例えば、住友スリーエム(株)製、大日本インキ化学工業(株)製或いは旭硝子(株)製等の市販品を用いることができる。これら市販品は、容易に入手することができるので、好都合である。その具体的な例としては、エフトップEF301、EF303、EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
(G)成分の界面活性剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
界面活性剤が使用される場合、その含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物100質量%中に通常0.2質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下である。(G)成分の界面活性剤の使用量が0.2質量%を超える量に設定されても、上記塗布性の改良効果は鈍くなり、経済的でなくなる。
<その他添加剤>
更に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、または多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
<ポジ型感光性樹脂組成物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分の熱架橋体、(B)成分のブロックイソシアネート基を有する化合物、(C)成分の光酸発生剤及び(D)溶剤を含有し、且つ、それぞれ所望により、(E)成分のアルカリ可溶性樹脂、(F)成分のアミン化合物、(G)成分の界面活性剤、及びその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。
中でも、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分は、熱架橋反応をなしうる官能基を有するアルカリ可溶性樹脂100質量部に基づき、1乃至80質量部のビニルエーテル基を有する化合物を熱架橋反応させた熱架橋体であり、並びに、該(A)成分の熱架橋体100質量部に基づいて、0.5乃至80質量部の(B)成分、及び、0.2乃至80質量部の(C)成分を含有し、これら成分が(D)溶剤に溶解されたポジ型感光性樹脂組成物。
[2]:上記[1]の組成物において、更に(E)成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
[3]:上記[1]又は[2]の組成物において、更に(F)成分を(A)成分の熱架橋体100質量部に基づいて0.0005乃至5質量部含有するポジ型感光性樹脂組成物。[4]:上記[1]、[2]又は[3]のポジ型感光性樹脂組成物中に、更に(G)成分を0.2質量%以下含有するポジ型感光性樹脂組成物。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば1乃至80質量%であり、また例えば5乃至60質量%であり、または10乃至50質量%である。ここで、固形分とは、ポジ型感光性樹脂組成物の全成分から(D)溶剤を除いたものをいう。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(D)溶剤に(A)成分(熱架橋体)、(B)成分(1分子中に二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物)、(C)成分(光酸発生剤)及び(G)成分(界面活性剤)を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じて(F)成分(アミン化合物)、(E)成分(アルカリ可溶性樹脂)及び/又はその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製にあたっては、(D)溶剤中における重合反応によって得られる特定共重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、この特定共重合体の溶液とビニルエーテル基を有する化合物を反応させたできた(A)成分(特定架橋体)の溶液に前記と同様に(B)成分、(C)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(D)溶剤を追加投入してもよい。このとき、特定共重合体の形成過程で用いられる(D)溶剤と、ポジ型感光性樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる(D)溶剤とは同一であってもよいし、異なってもよい。
而して、調製されたポジ型感光性樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
<塗膜及び硬化膜>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を半導体基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属例えばアルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などによって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、ポジ型感光性樹脂膜が形成される。
この加熱処理の条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至140℃、0.5乃至10分間である。
また、ポジ型感光性樹脂組成物から形成されるポジ型感光性樹脂膜の膜厚は、例えば0.1乃至50μmであり、また例えば0.3乃至30μmであり、更に例えば0.5乃至10μmである。
そして、形成されたポジ型感光性樹脂膜は、形成時の加熱処理により、(A)成分の熱架橋体中のビニルエーテル基と熱架橋反応をなしうる官能基がさらに熱架橋することにより、アルカリ現像液に難溶な膜となる。この場合、加熱処理の温度が上記の温度範囲の下限よりもより低い場合には、熱架橋が不十分なものとなり、未露光部において膜減りが生じることがある。また、加熱処理の温度が上記の温度範囲の上限を超えて高すぎる場合には、一旦形成された熱架橋部が再び切断され、未露光部において膜減りをひき起こすことがある。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から形成されるポジ型感光性樹脂膜は、所定のパターンを有するマスクを用いて紫外線、ArF、KrF、F2レーザー光等の光で露光されると、ポジ型感光性樹脂膜中に含まれる(C)成分の光酸発生剤(PAG)から発生する酸の作用によって、該膜のうち露光部はアルカリ性現像液に可溶なものとなる。
次いで、ポジ型感光性樹脂膜に対して露光後加熱(PEB)が行われる。この場合の加熱の条件としては、温度80℃乃至150℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。
その後、アルカリ性現像液を用いて現像が行われる。これにより、ポジ型感光性樹脂膜のうち、露光された部分が除去され、パターン様のレリーフが形成される。
使用されうるアルカリ性現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化第四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液が挙げられる。さらに、これらの現像液には、界面活性剤などを加えることもできる。
上記の中、水酸化テトラエチルアンモニウム0.1乃至2.38質量%水溶液は、フォトレジストの現像液として一般に使用されており、本発明の感光性樹脂組成物においても、このアルカリ性現像液を用いて、膨潤などの問題をひき起こすことなく良好に現像することができる。
また、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法など、いずれも用いることができる。その際の現像時間は、通常、15乃至180秒間である。
現像後、ポジ型感光性樹脂膜に対して流水による洗浄を例えば20乃至90秒間行い、続いて圧縮空気もしくは圧縮窒素を用いてまたはスピニングにより風乾することにより、基板上の水分が除去され、そしてパターン形成された膜が得られる。
続いて、斯かるパターン形成膜に対して、熱硬化のためにポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより、耐熱性、透明性、平坦化性、低吸水性、耐薬品性などに優れ、良好なレリーフパターンを有する膜が得られる。
ポストベークとしては、一般に、温度140℃乃至250℃の範囲の中から選択された加熱温度にて、ホットプレート上の場合には5乃至30分間、オーブン中の場合には30乃至90分間処理するという方法が採られる。
而して、斯かるポストべークにより、目的とする、良好なパターン形状を有する硬化膜を得ることができる。
以上のように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物により、十分高感度であり且つ現像の際に未露光部の膜減りが観測されない程に事実上無く、微細なパターンを有する塗膜を形成することができる。
また、この塗膜から得られる硬化膜は、耐熱性、耐溶剤性、透明性に優れたものである。
また、この種の硬化膜は、例えば、液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜として使用される場合、その後の工程において、金属蒸着の際、より高温(例えば250℃)の加熱下に曝され、場合により高温(例えば230℃)の長時間焼成が為され、またエッチング後のレジスト剥離の際、モノエタノールアミン(MEA)等のアミン系溶液であるレジスト剥離液との接触下に置かれる。従って、斯かる硬化膜には、高温焼成(もしくは長時間焼成)に対して、またレジスト剥離液(アミン系溶液)処理に対して高い耐性が要求される。
本発明により得られる硬化膜は、高温焼成(もしくは長時間焼成)によっても、またレジスト剥離液(アミン系溶液)処理によっても、透過率の低下が格段に小さく、高い透明性が維持され、また膜厚の低下もいたって小さく、耐熱性及び耐薬品性に優れた硬化膜となり、従って、TFT型液晶素子のアレイ平坦化膜だけでなく、液晶又は有機ELディスプレイにおける各種の膜、例えば層間絶縁膜、保護膜、絶縁膜、反射膜下側の凹凸膜などの用途に好適であり、更に、硬化膜の形状を選択することでマイクロレンズとしても好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
ST:スチレン
NHPMA:N−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド
PEMA:モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PAG1:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CGI1397(商品名)
PVE1:トリス(4−(ビニルオキシ)ブチル)トリメリテート
PVE2: 1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
NCO1:デグサAG製 VESTAGON(登録商標)B 1065(商品名)
R30:大日本インキ化学工業(株)製 メガファック R−30(商品名)
GT4:ダイセル化学工業(株)製 GT−401(商品名)
MPTS:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
P200:東洋合成工業(株)製 P−200(商品名)4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド2モルとの縮合反応によって合成される感光剤
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従い得られる特定共重合体及び特定架橋体の数平均分子量及び重量平均分子量は、日本分光(株)製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKF803LおよびKF804L)を用い、溶出溶媒テトラヒドロフランを流量1ml/分でカラム中に(カラム温度40℃)流して溶離させるという条件で測定した。なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表される。
[特定共重合体の合成]
<合成例1>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、MAA 15.5g、CHMI 35.3g、HEMA 25.5g、MMA 23.7gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 5gを使用し、これらを溶剤PGMEA 200g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn4,100、Mw7,600である特定共重合体の溶液P1(特定共重合体濃度:27.5質量%)を得た。
<合成例2乃至4>
合成例1で用いたモノマー成分及び溶剤に代えて、下記の表1中の合成例2乃至合成例4の各欄に記載のモノマー成分及び溶剤を使用し、合成例1と同様の手順及び条件に従い重合反応させることにより、特定共重合体の各溶液(P2乃至P4)を得た。
得られた各々の特定共重合体(P1乃至P4)のMn及びMwを測定した。
これらの結果を、表1に示す。
Figure 0005019055
[特定架橋体の合成]
<合成例5>
(A)成分である特定架橋体を構成する特定共重合体成分として、合成例1で調製した特定共重合体溶液P1 100g、多官能ビニルエーテル化合物としてPVE2(CHDVE)1.38gと溶剤としてPGMEA 18gを混合し、温度50℃で16時間反応させることにより、Mn4,900、Mw14,400である(A)成分(特定架橋体)の溶液C1(特定架橋体濃度:25.0質量%)を得た。
<合成例6乃至合成例9>
下記の表2中の合成例6乃至合成例9の各欄に記載の特定共重合体溶液、多官能ビニルエーテル化合物及び溶剤を用い、合成例5と同様の手順及び条件に従い反応させることにより、特定架橋体の各溶液(C2乃至C5)を得た。
以上の結果を、表2に示す。
Figure 0005019055
[ポジ型感光性樹脂組成物の調製]
<実施例1乃至5>
次の表3に示す組成に従い、(A)成分である特定架橋体の溶液に、(B)成分、(C)成分及び(D)溶剤、更に(G)成分を所定の割合で混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、各実施例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
<比較例1乃至4>
次の表3に示す組成に従い、(A)成分の溶液の代わりに特定共重合体(P1乃至P3)溶液を用い、これにビニルエーテル化合物、(B)成分、(C)成分及び(D)溶剤、更に(G)成分を所定の割合で混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、各比較例のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
Figure 0005019055
<比較例5>
(A)成分の溶液の代わりとして、合成例1で得られた特定共重合体溶液(P1)20gを用い、(C)成分として1,2−キノンジアジド化合物としてP200を1.1g、(B)成分の代わりにエポキシ系架橋性化合物としてGT4を1.1g、(G)成分の界面活性剤としてR30を0.0039g、密着助剤としてMPTSを0.25g、溶剤としてPGMEA10.6gを混合し、この混合物を室温で8時間撹拌して均一な溶液とすることにより、比較例5のポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
得られた実施例1乃至5並びに比較例1乃至5の各ポジ型感光性樹脂組成物について、それぞれ、感度、膜減り(未露光部における)、高温焼成後の光透過率(透明性)、MEA処理後の光透過率、MEA耐性及び寸法精度の各項目について、以下の手順に従い評価を行った。
尚、ポジ型感光性樹脂組成物から硬化膜を得る際、比較例5については、現像後、ポストべーク前の段階でフォトブリーチングが行われる一方、実施例1及び2並びに比較例1乃至4については、該フォトブリーチングをせずに、露光後、現像前の段階で露光後加熱(PEB)が行われることから、この点で、両者の評価手順は、以下のとおり異なるものとなっている。
[感度の評価]
<実施例1乃至5、比較例1乃至4>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を一定時間照射し、次いで温度110℃で120秒間ホットプレート上において露光後加熱(PEB)を行った。その後0.4質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと称す)水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
<比較例5>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を一定時間照射した。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm2)を感度とした。
[膜減りの評価]
ポジ型感光性組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、FILMETRICS社製 F20を用いて測定した。
[高温焼成後の光透過率(透明性)の評価]
<実施例1乃至5、比較例1乃至4>
ポジ型感光性組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SHIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。さらにこの塗膜を250℃で30分間加熱した後、400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS社製 F20を用いて測定した。
<比較例5>
ポジ型感光性組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.4μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を800mJ/cm2で照射し(フォトブリーチング)、次いで230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SHIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。さらにこの塗膜を250℃で30分間加熱した後、400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS社製 F20を用いて測定した。
[MEA処理後の光透過率及びMEA耐性の評価]
<実施例1乃至5、比較例1乃至4>
ポジ型感光性組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。ついで温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定および紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SHIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS社製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
<比較例5>
ポジ型感光性組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.4μmの塗膜を形成した。この塗膜を0.4質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬した後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を800mJ/cm2で照射し(フォトブリーチング)、次いで、230℃で30分加熱することによりポストベークを行い、膜厚1.9μmの硬化膜を形成した。この塗膜を60℃に加熱したモノエタノールアミンに20分浸漬させた後、純水で20秒間洗浄した。次いで、温度180℃で10分間ホットプレート上で乾燥させた後、膜厚測定および紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SHIMADSU UV−2550型番)を用いて400nmの波長の透過率を測定した。この評価における膜厚は、FILMETRICS社製 F20を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚とMEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものをMEA耐性○、減少したものを×とした。
[寸法精度]
<実施例1乃至5、比較例1乃至4>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して40mJ/cm2照射し、次いで温度110℃で120秒間ホットプレート上において露光後加熱(PEB)を行った。その後、0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面を、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称す。)を用いて観察しライン幅を測長した。パターン幅が8μmを維持しているものを○、パターン幅が広がるか又は縮小して8μmを維持していないものを×とした。
<比較例5>
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.5μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm2の紫外線を8μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して200mJ/cm2照射した。その後0.4質量%のTMAH水溶液に60秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。その後230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行った。形成されたパターンの断面をSEMを用いて観察しライン幅を測長した。パターン幅が8μmを維持しているものを○、パターン幅が広がるか又は縮小して8μmを維持していないものを×とした。
[保存安定性]
<実施例1乃至5、比較例1乃至5>
ポジ型感光性樹脂組成物を温度23℃で一カ月間保存した後、目視にて評価した。評価は、ゲル化していないものを〇、ゲル化したものを×とした。
[評価の結果]
以上の評価を行った結果を、次の表4に示す。
Figure 0005019055
表4に示す結果より判るように、実施例1乃至5については、いずれも、高感度であり、未露光部における膜減りが測定結果において事実上観測されず、250℃(又は230℃)で30分間という高温焼成の後も光透過率の低下が小さく、高い透明性が維持され、更に、MEA処理後にあっても透過率の低下が小さく、優れたMEA耐性及び寸法精度を有し、保存安定性にも優れるものであった。
反対に、比較例1乃至3については、230℃、30分間のポストべークにより、パターン形成膜はリフローし、所望形状及び寸法のパターンを得ることができなかった。また、パターン形成していない膜も、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると膜減りが生じた。MEA処理後の膜厚はMEA処理前の膜厚より約25%減少した。尚、表4中の「MEA処理後の透過率」は、MEA処理後の膜減りが生じた膜についての値である。
比較例4については、現像により、膜が溶解して消失した。
さらに、比較例5については、現像の際の未露光部における膜減りの量は0.2μmであった。230℃、30分間のポストべークの後、膜の透過率は92%であったが、更に250℃で30分間焼成すると、膜の透過率は85%に低下した。また、230℃、30分間のポストべークの後、MEA処理をすると、膜の透過率は92%から86%に低下した。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等の硬化膜を形成する材料として好適であり、特に、TFT型液晶素子の層間絶縁膜、カラーフィルターの保護膜、アレイ平坦化膜、反射型ディスプレイの反射膜下側の凹凸膜、有機EL素子の絶縁膜等を形成する材料としても好適であり、さらにマイクロレンズ材料などの各種電子材料としても好適である。

Claims (16)

  1. 下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
    (A)成分:(B)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有するベースポリマーが、多官能ビニルエーテル化合物より誘導される二個以上の式(1)
    Figure 0005019055
    で表される熱架橋基を含む化学構造を介して互いに結合して形成された熱架橋体であり、かつ、その重量平均分子量が10,000乃至250,000である熱架橋体
    (B)成分:1分子中二個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物
    (C)成分:光酸発生剤
    (D)溶剤
  2. 前記膜硬化のための官能基は、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基の群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分の熱架橋体には、さらに熱架橋反応をなしうる官能基及びビニルエーテル基を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 前記熱架橋反応のための官能基は、カルボキシル基及びフェノール性ヒドロキシ基の群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 前記(A)成分は、熱架橋反応をなしうる官能基を有し且つ数平均分子量が2,000乃至30,000であるアルカリ可溶性樹脂と、1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物を熱架橋反応させた熱架橋体であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)成分は、前記アルカリ可溶性樹脂100質量部に基づいて、1乃至80質量部の前記ビニルエーテル基を有する化合物を熱架橋反応させた熱架橋体であることを特徴とする、請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  7. (A)成分の熱架橋体100質量部に基づき、0.5乃至80質量部の(B)成分、及び、0.2乃至80質量部の(C)成分を含有する、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  8. (E)成分として、アルカリ可溶性樹脂を更に含有する、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  9. 前記(E)成分のアルカリ可溶性樹脂は、前記(A)成分の熱架橋体を形成するアルカリ可溶性樹脂以外の他のアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする、請求項8に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  10. (F)成分として、アミン化合物を更に(A)成分の熱架橋体100質量部に基づいて0.0005乃至5質量部含有する、請求項1乃至請求項9のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  11. (G)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性樹脂組成物中に0.2質量%以下含有する、請求項1乃至請求項10のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至請求項11のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜。
  13. 請求項12に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
  14. 請求項12に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平坦化膜。
  15. 請求項12に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
  16. 請求項12に記載の硬化膜からなるマイクロレンズ。
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