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JP5017756B2 - 高純度メタキシリレンジアミンの製造方法 - Google Patents

高純度メタキシリレンジアミンの製造方法 Download PDF

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JP5017756B2 JP2001215006A JP2001215006A JP5017756B2 JP 5017756 B2 JP5017756 B2 JP 5017756B2 JP 2001215006 A JP2001215006 A JP 2001215006A JP 2001215006 A JP2001215006 A JP 2001215006A JP 5017756 B2 JP5017756 B2 JP 5017756B2
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    • C07C209/48Preparation of compounds containing amino groups bound to a carbon skeleton by reduction of carboxylic acids or esters thereof in presence of ammonia or amines, or by reduction of nitriles, carboxylic acid amides, imines or imino-ethers by reduction of nitriles

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタキシレンから高純度メタキシリレンジアミンを製造する方法に関する。メタキシリレンジアミンはポリアミド樹脂、エポキシ硬化剤等の原料、およびイソシアネート中間原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
有機置換基を有する炭素環化合物または複素環化合物とアンモニアおよび酸素含有ガスとを触媒存在下反応させる方法はアンモ酸化と呼ばれ、一般に気相接触流動反応によりニトリル化合物が製造される。
アンモ酸化の反応生成ガスからニトリル化合物を分離する方法は種々開示されている。例えば、ケミカルエンジニアリング(Chemical Engineering)1971年11月号53〜55頁には、メタキシレンのアンモ酸化反応によりイソフタロニトリルを製造する際に反応生成ガスをスクラバーに導き水で冷却してイソフタロニトリルを晶析させる方法が記載されている。得られたイソフタロニトリルのスラリー水溶液は濾過器に導きイソフタロニトリル結晶を分離し、脱水、次いで乾燥工程を経て製品となる。
石油学会発行のプロセスハンドブック(1976年発行)に記載のMGC-Badger Isophthalonitril Processでは、反応生成ガス中のイソフタロニトリルを有機溶媒で捕集し、捕集液はまず溶媒回収塔で塔頂より溶媒を除いて塔底より粗製イソフタロニトリルを回収し、次いで精製塔に該粗製イソフタロニトリルを供給して塔頂より精製イソフタロニトリルが回収されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ケミカルエンジニアリングに記載の反応生成ガスをスクラバーに導き水で冷却する方法では、アンモ酸化反応の副生成物もイソフタロニトリルと共に晶析するため、高純度のイソフタロニトリルを得るためには別途精製工程が必要である。
また、プロセスハンドブックに記載の有機溶媒で捕集する方法では高純度のイソフタロニトリルを得ることが出来るものの、イソフタロニトリルのような昇華性のある高融点物質を減圧蒸留して塔頂より取り出す場合、高真空下では凝縮温度と融点が近接するため過冷却による固化の恐れがあること、凝縮部を高温で操作することからイソフタロニトリルの蒸気圧が高く、真空排気系にイソフタロニトリルが飛散し結晶析出による閉塞を生じること、これを防止するため凝縮部と真空排気部との間にスクラバーの設置等の対策が必要とされること、またイソフタロニトリルはアンモ酸化反応の高沸副生成物やアンモ酸化触媒、金属等の不純物共存下では熱に対して不安定で変質を起こしやすく、蒸留により高温に曝されるため、蒸留時のイソフタロニトリルの損失が大きいことなどの問題を有する。
このため、こうして得られたイソフタロニトリルを水素化してメタキシリレンジアミンを製造する際も効率的ではない。
本発明の目的は、アンモ酸化反応で得られたイソフタロニトリルを水素化してメタキシリレンジアミンを製造する際に、工業的に有利な方法で高純度のメタキシリレンジアミンを高収率で長期間にわたり安定して得られる方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、有機溶媒によりアンモ酸化反応ガスからイソフタロニトリルを捕集した後、第1蒸留工程で高沸不純物を分離し、第2蒸留工程で有機溶媒を分離して塔底よりイソフタロニトリルを取り出し、得られたイソフタロニトリルに特定の溶媒と液体アンモニアを加えて水素化することにより、高純度メタキシリレンジアミンが高収率で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
即ち本発明は、触媒存在下、メタキシレンとアンモニア及び酸素含有ガスを反応させ、生成したイソフタロニトリルを水素化してメタキシリレンジアミンを製造する方法であって、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする高純度メタキシリレンジアミンの製造方法である。
(1)反応生成ガスを有機溶媒に接触させ、イソフタロニトリルを当該有機溶媒に捕集する捕集工程
(2)捕集工程からのイソフタロニトリル捕集液を蒸留して、イソフタロニトリルと有機溶媒を塔頂より回収して、イソフタロニトリルより高沸点の不純物を塔底に分離する高沸分離工程
(3)高沸分離工程からのイソフタロニトリルと有機溶媒を蒸留して、有機溶媒を塔頂より回収し、塔底より高純度のイソフタロニトリルを液状で回収する精留工程
(4)精留工程からの高純度イソフタロニトリルを、芳香族炭化水素および飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒と液体アンモニアを加えた後、水素化する水素化工程
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、メタキシレンとアンモニア及び酸素含有ガスを反応させるアンモ酸化反応には、例えば特開平11-209332号に記載のV〜Cr〜B〜Mo系の酸化物を含有する触媒や特開平9-71561号に記載のFe〜Sb〜V系の酸化物を含有する触媒などの公知の触媒を使用できる。
【0007】
アンモ酸化に用いる酸素含有ガスとしては、通常、空気が好適に用いられ、これに酸素を富化しても良い。また、窒素、炭酸ガス等の希釈剤を併用することもできる。酸素の使用量は原料のメタキシレン1モルに対して3倍モル以上、好ましくは4〜100倍モルの範囲である。これより使用量が少ないとイソフタロニトリルの収率は低下し、一方これより多いと空時収率が小さくなる。
空気を用いてアンモ酸化を行う場合の反応器に供給される原料ガス中のメタキシレンの濃度は0.2〜10容量%、好ましくは0.5〜5容量%の範囲である。この濃度より高いとイソフタロニトリルの収率は低下し、一方、これより低いと空時収率が小さくなる。
【0008】
原料であるアンモニアには工業用グレードのものを用いることができる。アンモニア使用量はメタキシレンに対して2〜20倍モル、好ましくは6〜15倍モルである。使用量がこれより少ないとイソフタロニトリルの収率が低下し、これより多いと空時収率が低下する。
【0009】
アンモ酸化反応は反応熱が大きいので、反応器内の均一の温度分布を得るため気相流動床反応として実施されるのが好ましく、種々の形式の流動床反応器を用いることができる。アンモニアはメタキシレンと混合して供給することができ、また爆発範囲を避けつつアンモニアおよびメタキシレンに酸素含有ガスの一部を混合して供給することもできる。
【0010】
アンモ酸化の反応温度は300〜500℃、好ましくは330〜470℃の範囲である。これより反応温度が低いと転化率が低く、これより反応温度が高いと炭酸ガス、シアン化水素等の副生が増加しイソフタロニトリルの収率が低下する。反応圧力は常圧、加圧或いは減圧のいずれでも良いが、常圧付近から0.2Mpaの範囲が好ましい。反応ガスと触媒の接触時間は、メタキシレンに対するアンモニアおよび酸素含有ガスの仕込みモル比、反応温度等の条件に依存するが、通常は0.3〜30秒の範囲である。
【0011】
本発明において、先ず捕集工程で、アンモ酸化反応器出口の反応生成ガスがイソフタロニトリル捕集塔に導入される。該捕集塔で反応ガスは有機溶媒と接触し、イソフタロニトリルが有機溶媒に溶解し、未反応アンモニアや、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等のガスから分離される。
ここで用いる有機溶媒としては、アルキルベンゼン、複素環化合物、芳香族ニトリル化合物、複素環ニトリル化合物から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒が好ましく、イソフタロニトリルより沸点が低く、イソフタロニトリルの溶解度が高く、またイソフタロニトリルに対して不活性な有機溶媒がより好ましい。
有機溶媒の具体例として、メタキシレン、プソイドキュメン、メシチレン、エチルベンゼン、メチルピリジン、ベンゾニトリル、メタトルニトリル(3−メチルベンゾニトリル)、シアノピリジン等が挙げられ、これらの化合物は単独または混合物として使用できる。この中でもメタトルニトリルが本発明に最も適している。
【0012】
イソフタロニトリル捕集塔の操作はアンモ酸化生成ガスを捕集塔塔底の液相部に吹き込んで実施される。捕集塔の操作温度は、捕集塔塔底の液相部が組成液の沸点以下の条件で行われる。その圧力は、常圧、加圧または減圧の何れでも実施できるが、通常は常圧からアンモ酸化反応圧力の範囲で実施される。有機溶媒に吸収されなかったアンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等は捕集塔上部より排出される。有機溶媒に吸収されたイソフタロニトリルは捕集塔塔底部より抜き出され、高沸分離工程に送られる。
【0013】
高沸分離工程では有機溶媒に吸収されたイソフタロニトリルを高沸分離塔で蒸留し、塔底からイソフタロニトリルより高沸点の不純物を分離し、塔頂からイソフタロニトリルと有機溶媒を回収する。
回収されたイソフタロニトリルと有機溶媒は精留工程に送られ、精留塔で塔頂からイソフタロニトリルより低沸点の不純物と有機溶媒を分離し、塔底からイソフタロニトリルを液状で回収する。
高沸分離塔から精留塔への供給は、ガス状で行ってもまたは凝縮し液状として行ってもどちらでも良いが、蒸気のままガス状で供給することによりエネルギー使用量を少なくすることができ、有利となる。
イソフタロニトリルはアンモ酸化反応の高沸副生成物やアンモ酸化触媒、金属等の不純物共存下では熱に対して不安定でアミド化や重合等の変質を起こしやすく、蒸留時にイソフタロニトリルの一部が損失することになるが、その損失量は粗製イソフタロニトリルを高温度で取り扱う時間および温度に比例し多くなる。従ってイソフタロニトリルを高収率で得るには、高沸副生成物の分離を迅速にまたできるだけ低温で行うことが要求される。
本発明では、イソフタロニトリルと高沸不純物を先に高沸分離工程で分離することにより、イソフタロニトリルと高沸副生成物の加熱下の接触時間が短縮し、また蒸留を高真空下で実施することにより高沸分離塔内温度分布を低くし、イソフタロニトリルの変質量が抑制される。
【0014】
各蒸留塔の操作圧力は減圧で実施され、その圧力は、蒸留塔内でイソフタロニトリルが析出しないような条件に設定される。
一般に昇華性のある高融点物質の蒸留を行う場合、蒸留塔内の温度が物質の融点以上となるように操作することにより結晶析出による閉塞を防止できるが、蒸留塔内に昇華性のある高融点物質と同時にそれを溶解するのに十分な溶媒が存在する場合には、塔内温度を融点以下で操作しても結晶析出は生じない。蒸留塔内のイソフタロニトリル濃度分布は、供給液組成、留出・缶出の分離条件と気液平衡により定まり、温度分布は操作圧力により上下する。一方、溶媒に対するイソフタロニトリルの溶解度は温度により一義的に決まるため、操作圧力の設定が蒸留塔内のイソフタロニトリル析出の有無を左右する。例えば捕集有機溶媒としてメタトルニトリルを使用した場合のイソフタロニトリルの精留では、精留塔の圧力を4.2kPa以下とすると、蒸留塔内において温度がイソフタロニトリルの融点以下でかつイソフタロニトリル濃度がメタトルニトリルに対するイソフタロニトリル溶解度以上となる領域が発生し、該領域ではイソフタロニトリルが析出して塔を閉塞させる。一方、高沸分離塔から有機溶媒とイソフタロニトリルを精留塔に蒸気で供給する場合、精留塔の塔頂圧力が高いほど高沸分離塔の塔底温度が上がりイソフタロニトリルの変質量が増加する。従って、蒸留塔の操作圧力は蒸留塔内でイソフタロニトリルが析出しない範囲で高真空の条件が選ばれ、例えば捕集有機溶媒としてメタトルニトリルを使用した場合の精留塔の圧力としては5〜10kPaの範囲が望ましい。
本発明の方法では、蒸留塔内でイソフタロニトリルがそれを溶解するのに十分な量の溶媒と接触していること、凝縮部の主成分は溶媒で温度も低く、凝縮部でイソフタロニトリルの蒸気圧が無く、真空排気系にイソフタロニトリルが飛散しないことから、凝縮部と真空排気部の間のスクラバーが不要となる。
【0015】
また本発明の方法では、まずアンモ酸化ガスに含まれるイソフタロニトリルより高沸点の不純物が高沸分離塔で除かれ、精留塔に混入しないので、イソフタロニトリルが変質を促進する物質と共存下で高温に曝される時間が高沸分離塔回収部に限定されることになり、イソフタロニトリルの変質による損失が減少する。
【0016】
蒸留塔塔底から回収された高純度イソフタロニトリルは、溶媒およびアンモニアを加え、溶液状態で水素化反応に供される。
ここで使用する溶媒としては、芳香族炭化水素や飽和炭化水素が好適であり、具体的にはベンゼン、トルエン、メタキシレン、メシチレン、プソイドキュメン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも2種以上の混合物としても使用できる。メタキシレンを用いると取扱い化合物数が増えないので有利である。
【0017】
水素化工程におけるイソフタロニトリルの水素化反応によるメタキシリレンジアミンの製造はニッケルおよび/またはコバルトを主成分とする触媒により好適に実施される。イソフタロニトリルのアンモニア共存下における水素化反応は白金族系金属触媒を用いても実施できるが、ルテニウムなどを用いると溶媒として用いる芳香族炭化水素(メタキシレンやメシチレン、プソイドキュメン等)および生成したメタキシリレンジアミンの核水素化が進行するため好ましくない。
【0018】
水素化反応器に入る原料の組成は適時決められるが、基質であるイソフタロニトリルの濃度がなるべく低い方が、溶媒であるアンモニア濃度がなるべく高い方が、メタキシリレンジアミンの収率は高くなる。十分な収率と生産量を上げられるように有機溶媒を更に加えたり、アンモニアを加えることにより調整される。好ましい原料組成としては、イソフタロニトリル 1〜10wt%、有機溶媒 1〜50wt%、アンモニア 20〜97wt%の範囲から決められる。
反応は回分式でも連続式でも可能であり、槽型反応器にニッケルやコバルトのラネー金属粉体状触媒を入れ完全混合型でも可能であるが、工業的には管状反応器を用い、成形された触媒を固定床とし原料溶液と水素ガスを反応器上部から並列で供給する潅液タイプの連続反応器を用いる方法が簡便である。
【0019】
水素化触媒としては、ニッケルおよび/またはコバルトを担体に担持したものが好適である。担体としてはケイソウ土、酸化珪素、アルミナ、シリカ−アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭素などが用いられる。
ニッケル系触媒の場合、反応温度は60〜130℃であり、反応圧力は4〜15MPaである。
【0020】
水素化反応によりメタキシリレンジアミンを含む反応液が得られる。この反応液からアンモニア、溶媒、一部副生物を分離することにより高純度メタキシリレンジアミンを得ることができる。分離は蒸留操作により好適に実施できる。
【0021】
次に図により本発明の方法について具体的に説明する。図1は本発明の実施形態の一例を示すフロー図である。但し、本発明は本図に示す実施形態に限定されない。
図1において、アンモ酸化反応器Aからの反応生成ガスはイソフタロニトリル捕集塔Bに供給される。捕集塔上部には棚段または充填層からなる吸収部が設置されており、捕集塔上部から有機溶媒が供給される。有機溶媒と接触させることにより、反応生成ガス中のイソフタロニトリル(高沸点不純物を含む)は有機溶媒中に捕集される。有機溶媒に吸収されなかったアンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等は捕集塔上部より排出される。
イソフタロニトリルを含む有機溶媒液は高沸分離塔Cに送られ、塔頂よりイソフタロニトリルと有機溶媒が回収され、塔底からは高沸点不純物が排出される。回収されたイソフタロニトリルと有機溶媒は精留塔Dに送られ、塔頂より有機溶媒が、塔底よりイソフタロニトリルが回収される。更に、このイソフタロニトリルは溶媒およびアンモニアを加え、溶液状態で水素化反応器Eに送られ、水素化に供される。水素化反応生成物を蒸留により精製することで高純度キシリレンジアミンを得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
尚、以下の実施例において、組成分析はガスクロマトグラフを用いて行った。
【0023】
<アンモ酸化反応用触媒調整>
五酸化バナジウム V2O5 229g に水500mLを加え、80〜90℃に加熱し攪拌しながらシュウ酸477g を加え溶解する。またシュウ酸 963gに水400mL を加え50〜60℃に加熱し、無水クロム酸 CrO3 252g を水200mLに加えた溶液を良く攪拌しながら加え溶解する。得られたシュウ酸バナジウムの溶液にシュウ酸クロムの溶液を50〜60℃にて混合しバナジウム-クロム溶液を得る。この溶液にリンモリブデン酸 H3(PMo12O40)・20H2O 41.1gを水100mLに溶解して加え、更に、酢酸カリウム CH3COOK 4.0gを水 100mLに溶解して加える。次いで20重量%水性シリカゾル(Na2Oを0.02重量%含有) 2500g を加える。
このスラリー溶液にホウ酸H3BO3 78g を加え良く混合し液量が約3800g になるまで加熱、濃縮する。この触媒溶液を入口温度250℃、出口温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。130℃の乾燥機で12時間乾燥後、400℃で0.5時間焼成し、550℃で8時間空気流通下焼成した。この触媒の原子比は、 V:Cr:B:Mo:P:Na:K が 1:1:0.5:0.086:0.007:0.009:0.020 の割合で含有され、その触媒濃度は50重量%である。
【0024】
実施例1
図1に示したフローによりアンモ酸化、有機溶媒捕集、イソフタロニトリルの蒸留精製分離および水素化を行った。
アンモ酸化反応器Aに上記で調製した流動触媒6Lを充填し、空気、メタキシレン(MX)及びアンモニアを混合した後、温度350℃に予熱し該反応器に供給した。仕込条件として、MX供給量を350g/Hr、NH3/MXモル比を11、O2/MXモル比を5.4、SVを630Hr-1とした。反応条件は、反応温度を420℃、圧力を0.2MPa-Gとした。
反応器頂部からの反応生成ガスはイソフタロニトリル捕集塔Bに導入し、反応生成ガス中のイソフタロニトリルをメタトルニトリル溶媒中に捕集した。
イソフタロニトリル捕集塔はSUS304製で、上部にコンデンサーを有し、胴体部が内径100mmΦ、高さ800mmで、胴体部の下部450mmは2重管として蒸気加熱できる構造とし、底部にガス吹込み口を設けた。
該捕集塔にメタトルニトリル2kgを入れ175℃とし、上記アンモ酸化反応生成ガスの捕集を2時間行った。捕集終了時の捕集液の組成は、メタトルニトリル73.5wt%、イソフタロニトリル25wt%、シアノベンズアミド1wt%、その他成分0.5wt%であった。
上記捕集液を、高沸分離塔Cの中段に供給し、高沸分離塔Cの留出ガスは精留塔Dの中段に供給した。蒸留条件は、高沸分離塔Cは塔頂圧力8kPa、塔頂温度164℃、塔底温度204℃、精留塔Dは塔頂圧力6kPa、塔頂温度120℃、塔底温度183℃であった。精留塔塔底より回収した精製イソフタロニトリルの純度は99.93wt%、高沸分離液中のイソフタロニトリルも含めたイソフタロニトリル回収率は98mol%で、未回収のイソフタロニトリルに相当する量(2%)の高沸成分が増加し、高沸回収塔塔底液となった。
【0025】
精留塔塔底より回収した精製イソフタロニトリルにメタキシレンと液体アンモニアを加え水素化原料とした。この液の組成はイソフタロニトリル/メタキシレン/アンモニアが重量比で5/10/85とした。
内容量4Lの管状縦型水素化反応器EにNi含量50wt%であるNi/ケイソウ土触媒を5kg充填した。この反応器上部より前述の水素化原料を6kg/hrの速度で供給した。水素を反応器上部より並流で流し、反応圧12MPa、温度90℃で水素化反応を実施した。
水素化反応でのイソフタロニトリル基準のメタキシリレンジアミン収率は96.5mol%であった。
【0026】
水素化反応生成液からアンモニア、メタキシレンを蒸留で分離し、更に低沸点副生物、高沸点副生物を取り除く蒸留を実施し、純度99.99wt%のメタキシリレンジアミンを得た。
不純物はメチルベンジルアミン16ppm、不明軽沸成分12ppmであった。
【0027】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の方法によれば、アンモ酸化反応ガスよりイソフタロニトリルを捕集した溶液からイソフタロニトリルを蒸留精製し、蒸留塔底部より回収されるイソフタロニトリルを水素化することで高純度のメタキシリレンジアミンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
A:アンモ酸化反応器
B:イソフタロニトリル捕集塔
C:高沸分離塔
D:精留塔
E:水素化反応器

Claims (3)

  1. 触媒存在下、メタキシレンとアンモニア及び酸素含有ガスを反応させ、生成したイソフタロニトリルを水素化してメタキシリレンジアミンを製造する方法であって、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする高純度メタキシリレンジアミンの製造方法。
    (1)反応生成ガスをアルキルベンゼン、複素環化合物、芳香族ニトリル化合物および複素環ニトリル化合物から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒に接触させ、イソフタロニトリルを当該有機溶媒に捕集する捕集工程
    (2)捕集工程からのイソフタロニトリル捕集液を蒸留して、イソフタロニトリルと有機溶媒を塔頂より回収して、イソフタロニトリルより高沸点の不純物を塔底に分離する高沸分離工程
    (3)高沸分離工程からのイソフタロニトリルと有機溶媒を蒸留して、有機溶媒を塔頂より回収し、塔底より高純度のイソフタロニトリルを液状で回収する精留工程
    (4)精留工程からの高純度イソフタロニトリルを、芳香族炭化水素および飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒と液体アンモニアを加えた後、水素化する水素化工程
  2. 高沸分離工程からのイソフタロニトリルと有機溶媒を蒸気で精留工程の蒸留塔に供給する請求項1に記載の高純度メタキシリレンジアミンの製造方法。
  3. 水素化反応をニッケルおよび/またはコバルト触媒の存在下で行う請求項1に記載の高純度メタキシリレンジアミンの製造方法。
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