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JP5014624B2 - 撮影レンズ及び撮影レンズを用いた光学機器 - Google Patents

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本発明は、複数のレンズを光軸方向に重ね合わせて鏡筒内に収容した撮影レンズ及び撮影レンズを用いた光学機器、特に、複数のレンズを鏡筒内に積み重ねるようして収容する際、積み重ねたレンズを相互に位置合わせてして光軸を一致させて調芯することが可能な撮影レンズ及び撮影レンズを用いたカメラ、デジタルカメラ、移動体通信装置等の光学機器に関する。
従来から、プラスチックレンズとガラスレンズを含む複数のレンズを鏡筒内に固定した撮影レンズが知られている。このような複数のレンズを組み合わせた撮影レンズは、各レンズの光軸を相互に一致させ、その光軸が鏡筒の中心となるように組み付ける必要があり、これらが狂うと光学性能が著しく低下する。このため、例えば、特許文献1に開示される撮影レンズは、外径に差のある複数のレンズを鏡筒内に固定した撮影レンズが開示されている。この撮影レンズは、鏡筒の内面に2段の段差が形成され、大径の段差部には物体側を押え環により固定された第1レンズが組み込まれ、小径の段差部には物体側が第1レンズに当接された第2レンズと、第2、第3レンズの間に介装されて第2、第3レンズの間隔を規定する絞りを兼ねた間隔環と、物体側が間隔環に当接され像側が鏡筒の内方フランジに当接された第3レンズとが嵌め込まれている。
特開平7−5354号公報
しかし、このような撮影レンズは、鏡筒の内面に形成する径の異なる段差部にそれぞれ対応したレンズを圧入して鏡筒に対する各レンズを位置決が成されるものの、各レンズを相互に調芯して位置決めするものではなく、各レンズ間における光軸を高精度で一致させることが困難である。このため、例えば、携帯電話などの移動体通信装置に組み込まれるカメラの撮影レンズとしてレンズ同士の光軸を揃えるように相互に調芯して鏡筒内に組み込まれる撮影レンズが開発されている。これは、図3に示すように、鏡筒50に3枚のプラスチックレンズ51,52,53と1枚のガラスレンズ54が組み込まれ、ガラスレンズ54が乗る最上部の上段プラスチックレンズ51と2段目の中間プラスチックレンズ52の重ね合わせ面にそれぞれレンズ51,52の光軸を位置決めするための外向きのテーパ面55と内向きのテーパ面56がそれぞれ形成されている。また、上段プラスチックレンズ51と下段プラスチックレンズ53は、鏡筒50の中心と各レンズ51,53の光軸を一致させるため、各レンズ51,53の外周を鏡筒50の内周面に圧入している。そして、上段プラスチックレンズ51とガラスレンズ54との光軸を合わせるために、上段プラスチックレンズ51の上面中心に環状突部54aが形成され、その内側にガラスレンズ54を配置している。
ところで、プラスチックレンズ51,52,53は金型を用いた一体成形が可能であるから、成形加工も容易で寸法精度も高く成形することが可能であるが、ガラスレンズ54は一品づつ研削によって成形するため、その外径中心と光軸中心を合わせて製作することは可能であるが、外径寸法は大きくバラツクといった欠点を有している。
このため、環状突部54aとガラスレンズ54との間にはガラスレンズ54の成形誤差を吸収するためのクリアランスが形成され、上段プラスチックレンズ51に対してガラスレンズ54の光軸を調芯してから接着材によって一体的に接着固定している。しかし、ガラスレンズ54は、鏡筒50の構造上、鏡筒50内に組み込んだ状態において上段レンズ51に対して光軸を位置合わせすることができない。したがって、鏡筒50に各レンズ51,52,53を組み付けるに当たり、先ず、上段プラスチックレンズ51と2段目の中間プラスチックレンズ52とをそれぞれのテーパ面55,56によって面接触させ、光軸の位置合わせをすることができる。次に上段プラスチックレンズ51とガラスレンズ54との光軸の位置合わせを行う。この上段プラスチックレンズ51とガラスレンズ54との調芯に際し、ダミーの鏡筒に下段プラスチックレンズを組み付けた調芯用治具を用意し、その調芯用治具に一体化した上段及び中間プラスチックレンズ51,52を組み付ける。この時、使用される調芯用治具のダミー鏡筒は上面を開口しており、調芯用治具に組み付けた上段プラスチックレンズ51に対して最上部のガラスレンズ54の調芯作業が行えるようになっている。このようにして予め調芯した上段及び中間プラスチックレンズ51,52を調芯用治具に組み付けてから、上段プラスチックレンズ51の環状突部54aにガラスレンズ54を装着することによって、調芯用治具に組み付けた上段及び中間プラスチックレンズ51,52及びダミーの下段レンズに対してガラスレンズ54との光軸の位置合せを行い、調芯後、上段プラスチックレンズ51とガラスレンズ54を接着材によって一体的に固定することにより、上段及び中間プラスチックレンズ51,52とガラスレンズ54の光軸をそれぞれ位置合わせして調芯を行い、これを最終製品となる鏡筒50に装着する。そして、下段プラスチックレンズ53を鏡筒50に圧入して鏡筒50の中心と下段プラスチックレンズ53の光軸との位置合わせを行う。
したがって、図3に示す撮影レンズは、上段プラスチックレンズ51と中間プラスチックレンズ52は、それぞれのテーパ面55,56を突き合わせることによって簡単に光軸を合わせることができるが、上段プラスチックレンズ51に組み付けるガラスレンズ54は、調芯用治具に組み付けた状態でないと光軸の調芯が行えない。しかも、調芯用治具を用いて上段及び中間レンズ51,52及びガラスレンズ54を調芯することから、最終的に組み込まれる鏡筒50に対する各レンズ51,52及びガラスレンズ54の調芯は行われないから、最終的に組み込まれる鏡筒50の成形誤差などによって鏡筒50に対する各レンズ51,52及びガラスレンズ54の調芯精度に狂いが生じる虞れもある。さらに、何度も調芯作業を行うことから、作業工程も複雑であるとともに、レンズの調芯作業工程中にレンズにごみや汚れなどの付着する危険性もあり、レンズの精度管理の面でも不利である。
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたもので、複数のレンズが鏡筒内に位置決め固定される撮影レンズにおいて、複数のレンズを鏡筒内に固定する際、順次、鏡筒にレンズを組み込みながら複数のレンズ及び鏡筒の光軸合わせを高精度に確実に行うことができる撮影レンズ及びそれを用いた光学機器を提供することを目的とする。
請求項1記載の撮像レンズは、複数のレンズを光軸方向に重ね合わせて鏡筒内に収容する撮影レンズであって、前記鏡筒は、内周底部に載置用フランジ部を有して上面を開口した円筒状に形成されているとともに、前記各レンズは、最上段に配置されるガラスレンズと、その下部に重ね合わせる複数のプラスチックレンズから成り、上段プラスチックレンズの上面中央部に前記ガラスレンズがクリアランスを保って位置決めされる環状突部を形成し、かつ、前記各プラスチックレンズの重ね合わせ面には、これら各プラスチックレンズの光軸を位置合わせするテーパ面をそれぞれ形成し、前記鏡筒の上面開口部から載置用フランジ部に順次、プラスチックレンズを積み重ねて鏡筒内に収容し、その鏡筒内への各レンズの組み付け時において、下段側プラスチックレンズのテーパ面に上段側プラスチックレンズのテーパ面を面接触して各レンズの光軸を位置合わせし、各プラスチックレンズを相互に位置決めした状態で前記上段プラスチックレンズの環状突部の内側に前記ガラスレンズを配置し、その上段プラスチックレンズの光軸に対してガラスレンズの光軸を位置合わせした後、上段プラスチックレンズとガラスレンズとを接着剤で一体化した状態で、前記鏡筒の上面開口に固定保持部材を装着し、この固定保持部材と前記載置用フランジ部とで前記各プラスチックレンズを挟着することによって、各レンズを光軸方向に押えたことを特徴とする。
請求項2の撮影レンズは、請求項1の撮影レンズにおいて、前記各プラスチックレンズのうちの一つのプラスチックレンズの外周面を前記鏡筒の内周面に圧入して該プラスチックレンズの光軸と鏡筒の中心と一致させて調芯を行い、他のプラスチックレンズは、鏡筒との間にクリアランスが形成されていることを特徴とする。
請求項の撮影レンズは、請求項1又は2の撮影レンズにおいて、前記テーパ面の仮想延長線の交点が鏡筒の中心と同一軸線上であることを特徴とする。
請求項の光学機器は、請求項乃至のいずれかに記載の撮影レンズを用いたものである。
請求項1の撮影レンズによれば、複数のレンズを光軸方向に重ね合わせて鏡筒内に収容する撮影レンズであって、前記鏡筒は、内周底部に載置用フランジ部を有して上面を開口した円筒状に形成されているとともに、前記各レンズは、最上段に配置されるガラスレンズと、その下部に重ね合わせる複数のプラスチックレンズから成り、上段プラスチックレンズの上面中央部に前記ガラスレンズがクリアランスを保って位置決めされる環状突部を形成し、かつ、前記各プラスチックレンズの重ね合わせ面には、これら各プラスチックレンズの光軸を位置合わせするテーパ面をそれぞれ形成し、前記鏡筒の上面開口部から載置用フランジ部に順次、プラスチックレンズを積み重ねて鏡筒内に収容し、その鏡筒内への各レンズの組み付け時において、下段側プラスチックレンズのテーパ面に上段側プラスチックレンズのテーパ面を面接触して各レンズの光軸を位置合わせし、各プラスチックレンズを相互に位置決めした状態で前記上段プラスチックレンズの環状突部の内側に前記ガラスレンズを配置し、その上段プラスチックレンズの光軸に対してガラスレンズの光軸を位置合わせした後、上段プラスチックレンズとガラスレンズとを接着剤で一体化した状態で、前記鏡筒の上面開口に固定保持部材を装着し、この固定保持部材と前記載置用フランジ部とで前記各プラスチックレンズを挟着することによって、各レンズを光軸方向に押えたものであるから、鏡筒の上面開口部から順次、レンズを挿入し、その各レンズの重ね合わせ面に形成されたテーパ面によって各レンズの光軸を調芯しながら鏡筒の載置用フランジ部上に積み重ねて鏡筒に組み込むことができる。このため、専用の調芯用治具を用いることなく、鏡筒に対する全てのプラスチックレンズの光軸の位置合わせが完了した後、最上部に位置する上段プラスチックレンズを含む全てのプラスチックレンズとガラスレンズとの光軸を調芯することで全てのレンズは鏡筒に組み込んだ状態で調芯作業を行うことができ、簡単に調芯が行えることから、調芯作業工程を削減し、調芯作業時に微細なごみや塵あるいは汚れなどがレンズに付着することを可及的に抑制することができるとともに、大幅な作業工程の短縮化が可能となる。
請求項2の撮影レンズによれば、請求項1記載の撮影レンズにおいて、前記各プラスチックレンズのうちの一つのプラスチックレンズの外周面を前記鏡筒の内周面に圧入して該プラスチックレンズの光軸と鏡筒の中心と一致させて調芯を行い、他のプラスチックレンズは、鏡筒との間にクリアランスが形成されているから、鏡筒に組み込みながら各レンズの調芯を行うとともに、少なくとも一つのレンズを鏡筒に圧入することによって、鏡筒の中心に対するレンズの調芯を行うことができ、そのレンズと他のレンズはそれぞれの重ね合わせ面に形成されたテーパ面によって光軸の調芯が成されているため、鏡筒に対する全てのレンズの光軸の位置合わせが一つのレンズを鏡筒に圧入することによって可能となる。
請求項の撮影レンズによれば、請求項1又は2記載の撮影レンズにおいて、前記テーパ面の仮想延長線の交点が鏡筒の中心と同一軸線上であるから、各レンズの重ね合わせ面に形成するテーパ面を相互に嵌合させることによって、各レンズの光軸と鏡筒の中心軸との位置合わせが可能となる。
請求項の光学機器によれば、請求項1乃至のいずれかに記載の撮影レンズを用いたものであるから、光学機器における撮影レンズの調芯作業を簡略化することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図1及び図2を参照して説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反さない範囲で、実施例において説明した以外のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
図1は、本発明の実施例による撮影レンズを断面図、図2は、図1に示す撮影レンズの分解状態を示す断面図であり、本実施例の撮影レンズ1は、鏡筒2と、プラスチック材からなるプラスチックレンズ3,4,5と、この各プラスチックレンズ3,4,5の間に介在する内遮光板6,7と、上段プラスチックレンズ5上に配置されるガラスレンズ8と、固定保持部材9等から構成されている。
鏡筒2は全体として上下を開口した円筒状に形成され、内周底部寄り載置用フランジ部10を中心方向に向かって一体形成している。また、開口した上部内周面には、固定保持部材9の外周面に形成する雄螺子部9aと螺着する雌螺子部2aが形成され、前記載置用フランジ部10に下段プラスチックレンズ3、内遮光板6、中間プラスチックレンズ4、内遮光板7、上段プラスチックレンズ5、ガラスレンズ8を順次積み重ねて鏡筒2内に収容した後、鏡筒2の雌螺子部2aに固定保持部材9の雄螺子部9aを螺着することによって、鏡筒2に収容した下段プラスチックレンズ3、内遮光板6、中間プラスチックレンズ4、内遮光板7、上段プラスチックレンズ5を光軸方向に押える。また、固定保持部材9の中央には、ガラスレンズ8に対応する開口窓12が形成されるとともに、その前面に設けた凹部13に保護ガラス14aが嵌め込まれ、鏡筒2の下面開口部には赤外線をカットするフィルタ14bが嵌め込まれている。
上段プラスチックレンズ5は、物体側(上面側)中央に前記ガラスレンズ8を位置決めする環状突部15を一体形成し、像面側に凹レンズ面を有するプラスチック材からなる凸レンズで、像面側凹レンズ面から順次、第1の平坦部5a、外向き円錐状のテーパ面5b、第2の平坦部5cが同心円状に形成されている。
中間プラスチックレンズ4は、上段プラスチックレンズ5と下段プラスチックレンズ3の間に介在し、物体側が凹レンズ面、像面側に凸レンズ面を有する凸レンズである。また、中間プラスチックレンズ4は、その凹レンズ面、凸レンズ面の外周部に位置して表裏面にそれぞれ第1及び第2の平坦面4a,4bを有する平板部4cと、内面及び外面にそれぞれ円錐状のテーパ面4d,4eを有する傾斜壁4fと、下面に第3の平坦面4gを有する鍔部4hが同心円状に形成されている。
下段プラスチックレンズ3は、物体側が凹レンズ面、像面側に凸レンズ面を有する凸レンズであり、凹レンズ面及び凸レンズ面の外周には前記載置用フランジ部10に載置するための表裏に平坦部3a,3bを有する鍔部3cが同心円状に形成され、この鍔部3cの上面側には中間プレスチックレンズ4を位置決めするために、内向きのテーパ面3dを有する突状部3eが突設されている。このように、各プラスチックレンズ3,4,5には、それぞれの重ね合わせ面にテーパ面3d,4d,4e,5bが形成され、これらテーパ面3d,4d,4e,5bをそれぞれ面接触させて嵌合させることによって、各プラスチックレンズ3,4,5の光軸Sの位置合わせが行われる。すなわち、各テーパ面3d,4d,4e,5bの仮想延長線の交点が光軸Sと一致する。また、上段プラスチックレンズ5は前記鏡筒2の内周面に圧入して鏡筒2の中心と上段プラスチックレンズ5の光軸Sとを位置合わせされるが、他のプラスチックレンズ3,4は鏡筒2の内周面に対してクリアランスを持たせるように設定され、上段プラスチックレンズ5を除く中間、下段プラスチックレンズ3,4の外周と鏡筒2の内周面との間に僅かな隙間が形成される。
内遮光板6,7は合成樹脂材料などからなるシート状であって、内径部は絞り穴6a,7aとして機能する。この各内遮光板6,7は、各プラスチックレンズ3,4,5の重ね合わせ面に位置する平坦面3a,4a,4b,5aの間に介在される。
ガラスレンズ8は物体側と像面側に凸レンズ面を有する凸レンズであり、前記上段プラスチックレンズ5に形成された環状突部15の内側に配置してガラスレンズ8に対して接着固定する。環状突部15とガラスレンズ8との間にはガラスレンズ8の成形誤差を吸収するためのクリアランスが形成され、上段プラスチックレンズ5に対してガラスレンズ8の光軸Sを調芯してから接着材によって一体的に接着固定している。
次に、撮影レンズ1の組み立て手順について説明する。撮影レンズ1の組立に際し、図2に示すように、鏡筒2の上面開口部が開放しており、先ず上面開口部から下段プラスチックレンズ3、内遮光板6、中間プラスチックレンズ4、内遮光板7、上段プラスチックレンズ5を順次挿入して載置用フランジ部10に載置する。この際、下段プラスチックレンズ3に内遮光板6を介在して中間プラスチックレンズ4を重ね合わせると、下段プラスチックレンズ3の突状部3eに形成された内向きのテーパ面3dと中間プラスチックレンズ4の傾斜壁4fに形成に外向きのテーパ面4eとが嵌合し、下段プラスチックレンズ3と中間プラスチックレンズ4との光軸Sが位置合わせされる。また、中間プラスチックレンズ4に内遮光板7を介在して上段プラスチックレンズ5を重ね合わせると、中間プラスチックレンズ4の傾斜壁4fに形成された内向きのテーパ面4dと上段プラスチックレンズ5の外向きのテーパ面5bとが嵌合し、上段プラスチックレンズ5と中間プラスチックレンズ4との光軸Sが位置合わせされ、これにより、それぞれのプラスチックレンズ3,4,5それぞれの光軸Sが位置合わせされる。さらに、最上部に位置する上段プラスチックレンズ5は、外周縁を鏡筒2の内周面に圧入することで鏡筒2の中心軸と上段プラスチックレンズ5の光軸Sが位置合わせされる。これにより、鏡筒2に挿入される各プラスチックレンズ3,4,5の光軸Sの調芯しながら各プラスチックレンズ3,4,5を積み重ね、最後に挿入する上段プラスチックレンズ5を鏡筒2に圧入することによって、鏡筒2に対する各プラスチックレンズ3,4,5の光軸Sの調芯を行い、最終的に上段プラスチックレンズ5を鏡筒2に圧入することによって各プラスチックレンズ3,4,5を一体化する。この後、調芯された上段プラスチックレンズ5の環状突部15内にガラスレンズ8を配置し、ガラスレンズ8の光軸を調整した後、接着剤によって上段プラスチックレンズ5とガラスレンズ8とを一体化する。これにより、それぞれのレンズ3,4,5,8の光軸Sを合わせ、かつ上段プラスチックレンズ5を基準として鏡筒2の中心軸に対して全てのレンズ3,4,5,8の光軸Sを合わせて調芯が完了する。この後、鏡筒2の雌螺子部2aに固定保持部材9の雄螺子部9aを螺着することによって、鏡筒2に収容した下段プラスチックレンズ3、内遮光板6、中間プラスチックレンズ4、内遮光板7、上段プラスチックレンズ5を光軸方向に押える。
以上のように、本実施例においては、鏡筒2の上面を開口させ、その開口部から順次、下段プラスチックレンズ3、内遮光板6、中間プラスチックレンズ4、内遮光板7、上段プラスチックレンズ5を順次挿入し、その各プラスチックレンズ3,4,5の重ね合わせ面に形成されたテーパ面3d,4d,4e,5bによって各プラスチックレンズ3,4,5の光軸Sを順次、調芯しながら鏡筒2の載置用フランジ部10上に積み重ね、最後に挿入する上段プラスチックレンズ5を鏡筒2に圧入することによって、鏡筒2に対する各プラスチックレンズ3,4,5の光軸Sの調芯を行うことができ、このように、鏡筒2に対して各プラスチックレンズ3,4,5の調芯作業が完了した状態で上段プラスチックレンズ5に対してガラスレンズ8の光軸Sの位置合わせ行って調芯することができる。このため、従来のように、鏡筒2にセットする前に予めプラスチックレンズの調芯を行ってから調芯用治具を用いて調芯されたプラスチックレンズに対するガラスレンズの調芯を行うといった複雑な調芯作業を行うことなく、極めて簡単にレンズの調芯が行える。しかも、最終製品となる鏡筒2に順次、下段プラスチックレンズ3、内遮光板6、中間プラスチックレンズ4、内遮光板7、上段プラスチックレンズ5を順次挿入しながら調芯が行えるから、組み立てた撮影レンズ1の精度も高度に保つことができる。また、調芯に伴う作業工程も少ないから、これらの作業時に微細なごみや塵あるいは汚れなどがレンズに付着することを防止することができ、また、大幅な作業工程の短縮化も可能となる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズの形状や各レンズの光軸を合わせるために嵌合構造やレンズの枚数やレンズの押え構造といった基本的構成は適宜選定すればよい。
本発明の一実施例を示す撮影レンズの断面図である。 同上、撮影レンズの分解状態を示す一部を省略した断面図である。 従来例を示す撮影レンズの断面図である。
符号の説明
1 撮影レンズ
2 鏡筒
3,4,5 プラスチックレンズ
3d,4d,4e,5b テーパ面
8 ガラスレンズ
9 固定保持部材
10 載置用フランジ部
15 環状突部
S 光軸

Claims (4)

  1. 複数のレンズを光軸方向に重ね合わせて鏡筒内に収容する撮影レンズであって、前記鏡筒は、内周底部に載置用フランジ部を有して上面を開口した円筒状に形成されているとともに、前記各レンズは、最上段に配置されるガラスレンズと、その下部に重ね合わせる複数のプラスチックレンズから成り、上段プラスチックレンズの上面中央部に前記ガラスレンズがクリアランスを保って位置決めされる環状突部を形成し、かつ、前記各プラスチックレンズの重ね合わせ面には、これら各プラスチックレンズの光軸を位置合わせするテーパ面をそれぞれ形成し、前記鏡筒の上面開口部から載置用フランジ部に順次、プラスチックレンズを積み重ねて鏡筒内に収容し、その鏡筒内への各レンズの組み付け時において、下段側プラスチックレンズのテーパ面に上段側プラスチックレンズのテーパ面を面接触して各レンズの光軸を位置合わせし、各プラスチックレンズを相互に位置決めした状態で前記上段プラスチックレンズの環状突部の内側に前記ガラスレンズを配置し、その上段プラスチックレンズの光軸に対してガラスレンズの光軸を位置合わせした後、上段プラスチックレンズとガラスレンズとを接着剤で一体化した状態で、前記鏡筒の上面開口に固定保持部材を装着し、この固定保持部材と前記載置用フランジ部とで前記各プラスチックレンズを挟着することによって、各レンズを光軸方向に押えたことを特徴とする撮影レンズ。
  2. 前記各プラスチックレンズのうちの一つのプラスチックレンズの外周面を前記鏡筒の内周面に圧入して該プラスチックレンズの光軸と鏡筒の中心と一致させて調芯を行い、他のプラスチックレンズは、鏡筒との間にクリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1記載の撮影レンズ。
  3. 前記テーパ面の仮想延長線の交点が鏡筒の中心と同一軸線上であることを特徴とする請求項1項又は2に記載の撮影レンズ。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の撮影レンズを用いたことを特徴とする光学機器
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