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JP5007598B2 - 表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置およびその製造方法に関し、特に、有機電界発光素子(いわゆる有機EL(Electro Luminescence)素子を備えた表示装置とこの表示装置の製造方法に関する。
近年、表示装置の分野では、次世代のディスプレイが盛んに開発されており、省スペース、高輝度、低消費電力等が要望されている。このような表示装置として、有機EL素子を用いた有機ELディスプレイが注目されている。この有機ELディスプレイは、自発光型であるため視野角が広く、バックライトを必要としないため、省電力が期待でき、応答性が高く、装置自体の厚さを薄くできるなどの特徴を有している。
一般に、有機ELディスプレイを製造する場合には、駆動基板上に有機EL素子を形成した後に、有機EL素子を覆うように封止基板などにより封止することにより、有機EL素子と大気とを遮断する構造となっている。これは、有機EL素子が極めて水分や酸素に弱く、大気中に曝されていると、大気中に含まれる水分や酸素により、発光しないエリア(ダークスポット)が発生したり、輝度が劣化したりするためである。
特に、有機ELディスプレイにおいては、薄膜トランジスタを用いて構成された駆動回路を覆う状態で層間絶縁膜が設けられており、この層間絶縁膜上に有機EL素子が配列形成された構成となっている。この場合、駆動回路の形成によって生じる段差を軽減して平坦化された面上に有機発光素子を形成するために、例えば有機絶縁膜などを平坦化膜として層間絶縁膜に用いる。ところが、有機材料からなる層間絶縁膜は水や酸素を通しやすいため、異物に付着したまま表示装置内に取り残された水分や酸素が、この層間絶縁膜を通して拡散し易かった。
そこで、図8に示すように、例えば支持基板10上に有機EL素子を配列形成してなるEL層13を備えた表示領域1Aと、表示領域1Aの周囲における支持基板10上に有機EL素子の駆動回路を設けてなる周辺領域1Bとを備え、対向基板30により封止樹脂20を介して有機EL素子を封止してなる表示装置において、支持基板10上に回路形成層11を介して設けられた有機絶縁膜12の表示領域1Aを囲む位置に分離溝Bが設けられた例が報告されている(例えば、特許文献1参照)。表示領域1Aの有機絶縁膜12上には、上記EL層13が設けられており、このEL層13および分離溝Bの内壁を覆う状態で、有機絶縁膜12上には無機絶縁膜14が設けられている。
この表示装置では、有機絶縁膜12に分離溝Bが設けられることで、分離溝Bの外側の有機絶縁膜12に存在する水分や酸素が、有機絶縁膜12内を通過して表示領域1Aが配置された分離溝Bの内側の有機絶縁膜12に浸入することがなく、表示装置内に残存する水分の拡散による有機EL素子の劣化が防止される、という利点がある。
特開2006−54111号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたように、支持基板10上の有機絶縁膜12に分離溝Bが設けられた構成では、表示装置内に残存する水分の拡散による有機EL素子の劣化を防止することはできるものの、封止樹脂20による密閉性は十分ではなく、パネル外部からの水分や酸素の浸入を防止し、有機EL素子の劣化を確実に防止することは難しい、という問題がある。
そこで、本発明は、表示装置内に残存する水分の拡散を防止するだけでなく、パネル外部からの水や酸素の浸入を防止する表示装置を提供することを目的としている。
本発明の表示装置は、表示素子を配列形成してなる表示領域を有すると共に、当該表示領域の周辺領域に前記表示素子の駆動回路を有する支持基板と、少なくとも周辺領域に設けられた封止樹脂を介して表示素子を封止する対向基板と、支持基板上に形成された有機絶縁膜と、周辺領域において、有機絶縁膜を分断する複数の分離溝と、対向基板上の複数の分離溝のそれぞれに対向する領域に設けられ、分離溝内に封止樹脂を介して挿入された第1の突出部と、対向基板上の分離溝に非対向の領域な領域であって、かつ第1の突出部を挟む領域に設けられると共に、第1の突出部よりも高さの小さな第2の突出部とを備えたものである。
このような表示装置によれば、周辺領域の封止樹脂が、上記分離溝とこの分離溝内に挿入される突出部の間に配置されることから、密閉性が向上するため、パネル外部からの水分や酸素の浸入をより確実に防止することが可能となる。また、有機絶縁膜に上記分離溝が設けられることにより、有機絶縁膜の分離溝よりも外側に存在する水分が有機絶縁膜の膜内を通過して表示領域が配置された分離溝よりも内側に侵入することが防止される。これにより、表示装置内に残存する水分の拡散を防止することが可能となる。
本発明の表示装置の製造方法は、表示素子を配列形成してなる表示領域を有すると共に、当該表示領域の周辺領域に前記表示素子の駆動回路を有する支持基板と、少なくとも周辺領域に設けられた封止樹脂を介して表示素子を封止する対向基板とを備えた表示装置の製造方法において、支持基板上に有機絶縁膜を形成する工程と、周辺領域において、有機絶縁膜を分断する複数の分離溝を形成する工程と、複数の分離溝を形成した後、支持基板側または対向基板側に封止樹脂を形成する工程と、複数の分離溝のそれぞれに対向する領域に第1の突出部を有すると共に、各分離溝に非対向の領域であって、かつ第1の突出部を挟む領域には第1の突出部よりも高さの小さな第2の突出部を有する対向基板を、第1の突出部が封止樹脂を介して分離溝に挿入された状態で、支持基板と貼り合わせる工程とを有するものである。
このような表示装置の製造方法によれば、上記表示装置を製造することが可能となる。
以上説明したように、本発明の表示装置およびその製造方法によれば、表示装置内に残存する水分の拡散を防止するだけでなく、パネル外部からの水分や酸素の浸入をより確実に防止することができるため、長期信頼性に優れた表示装置を実現することができる。
以下、本発明の表示装置の各実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1(a)は第1実施形態の表示装置の構成を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)におけるX−X’の概略断面図である。なお、図1(a)においては、説明のために構成要素の一部を切り欠いた図面となっている。
まず、図1(a)の平面図に示すように、表示装置1は、有機EL素子Aを発光素子として用いたいわゆる有機ELディスプレイであり、ガラス基板や他の透明材料等を用いて構成された基板(ここでは支持基板とする)10の上方に、有機EL素子Aが配列形成された表示領域1Aと、その周辺に設けられた周辺領域1Bとを備えている。
このうち、表示領域1Aは、支持基板10の上方に配列された各画素に、有機EL素子Aを設けてなる。ここで、この表示装置1は、例えばアクティブマトリックス型の表示装置であり、各画素には有機EL素子Aと共にこの有機EL素子Aを駆動するための画素回路(図示省略)が設けられている。
一方、この表示領域1Aを囲む周辺領域1Bには、有機EL素子Aに走査信号やデータ信号を送る駆動回路(図示省略)が配置されている。ここでは、上記駆動回路を構成する駆動回路配線11aの一部を示すが、駆動回路配線11aは、後述する周辺領域1Bに枠状に配置されるシール材の長辺方向に対して、直交する状態で、かつシール材の外側に貫通する状態で延設されることが好ましい。これは、駆動回路配線11a上に形成される有機絶縁膜の表面及び無機絶縁膜の表面には、駆動回路配線11aに起因した凸部が形成されるが、この凸部がシール材の長辺方向に対して略平行な部分を有していると、シール材の幅方向に対する凸部領域の割合が大きくなり、シール材との密着性が悪くなるためである。これにより、駆動回路配線11aが曲折した状態で配置される場合と比較して、支持基板10と対向基板30との貼り合わせの際に、対向基板のスプリングバックによりシール材に空間が発生することが防止されるとともに、シール材の接着強度低下による対向基板の剥離が防止される。
以上のような表示領域1A、周辺領域1Bが設けられた表示装置1の層構成を図1(b)の概略構成断面図を用いて説明すると、支持基板10上には、表示領域1Aの画素回路や周辺領域1Bの駆動回路が形成された回路形成層11が設けられており、回路形成層11上には、有機絶縁膜12が設けられている。また、表示領域1Aの有機絶縁膜12上には、有機EL素子A(前記図1(a)参照)を配列形成してなるEL層13が配置され、このEL層13を覆う状態で無機絶縁膜14が設けられている。そして、このように構成された支持基板10上には、シール材20aと充填材20bとからなる封止樹脂20を介して対向基板30が配置されている。
続いて、上述した表示装置1の各構成を、図2に示す領域Yの要部拡大図を用いて、詳細に説明する。
この図に示すように、支持基板10上の回路形成層11は、表示領域1Aの方が画素回路が形成される分、周辺領域1Bよりも高くなるような段差を有して形成される。回路形成層11の表面層は、水分や酸素を通し難い、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる無機絶縁膜(図示省略)で構成されており、無機絶縁膜上に、上述した駆動回路配線11aを含む種々の配線パターンが配置されている。
また、この回路形成層11を覆う状態で、支持基板10上の全域に、有機絶縁膜12が設けられている。この有機絶縁膜12は、第1有機絶縁膜12aと第2有機絶縁膜12bとをこの順に積層してなる。また、有機絶縁膜12には、上記表示領域1Aを囲む位置に、この有機絶縁膜12を分断する状態の分離溝Bが設けられている。この分離溝Bは、幅が0.1mm以上、深さが1μm〜100μmで形成される。
この分離溝Bは、上記第1有機絶縁膜12aに設けられた分離溝B1と第2有機絶縁膜12bに設けられた分離溝B2とが重なることで設けられている。分離溝Bは、有機絶縁膜12を完全に除去した溝形状であり、表示領域1Aを囲む位置に、表示領域1Aの全周を囲む状態で設けられている。有機絶縁膜12にこの分離溝Bが設けられることで、有機絶縁膜12の分離溝Bよりも外側に存在する水分が、有機絶縁膜12の膜内、或いは有機絶縁膜12と有機絶縁膜12の上層に設けられる無機絶縁膜の界面、或いは有機絶縁膜12と駆動回路配線11aの界面を通過して表示領域1Aが配置された分離溝Bよりも内側に侵入することが防止される。これにより、表示領域1Aにおける水分による有機EL素子A(前記図1(a)参照)の劣化が防止される。
ここで、上記有機絶縁膜12は、表示領域1A上の有機絶縁膜12の表面高さと、周辺領域1B上の有機絶縁膜12の表面高さが等しくなるように形成されることが好ましい。特に、分離溝Bよりも内側で表示領域1Aの周縁を構成する内周部12cと、有機絶縁膜12の分離溝Bよりも外側の外周部12dの表面高さが等しく、平坦度が0.1μm以下であることが好ましい。上記内周部12cと外周部12dとは、それぞれ0.1mm以上の幅で設けられることとする。上記有機絶縁膜12の表面高さが、表示領域1A上と周辺領域1B上とで等しく構成されることで、上記支持基板10と後述する対向基板30とを封止樹脂20を介して貼り合せる際に、有機絶縁膜12の高低差による対向基板30の撓みが防止される。
さらに、表示領域1Aにおける第1有機絶縁膜12a上には、有機EL素子A(前記図1(a)参照)が配列形成されたEL層13が設けられている。有機EL素子Aは、支持基板10側から、下部電極、有機発光層、上部電極が順に積層されている。また、上記EL層13を覆うとともに、分離溝Bの内壁を覆う状態で、有機絶縁膜12上には、例えば窒化シリコン(SiNx)からなる無機絶縁膜14が設けられている。この無機絶縁膜14は、有機絶縁膜12と比較して水や酸素を通過しにくく、上記有機EL素子Aを水や酸素から保護する機能を有する。
そして、上記無機絶縁膜14が設けられた状態の支持基板10は、封止樹脂20を介して対向基板30と貼り合わされている。
ここで、封止樹脂20は、例えば上記周辺領域1Bに枠状に配置されるシール材20aと、シール材20aで囲われた領域に配置される充填材20bとで構成されている。
ここでは、上記支持基板10の周辺領域1Bの上記無機絶縁膜14上に、液状の熱硬化性樹脂からなるシール材20aが、上記分離溝Bを埋め込む状態で、枠状に配置されている。ここで、シール材20aには、水や酸素の透過性が低い材料が用いられ、その透湿度は85℃湿度85%で100g/m2・24h/100μm以下であることが望ましい。さらに、シール材20aには、透湿度を低くするために、無機充填剤が含まれていてもよく、接着性向上剤、膜厚を制御するためのスペーサーが含まれていてもよい。
また、このシール材20aで囲われた領域の無機絶縁膜14上に、例えば熱硬化性樹脂からなる充填材20bが配置されることとする。充填材20bとしては、接着性を有し、硬化後の光透過率が80%以上となる樹脂で形成され、上記熱硬化性樹脂の他に、UV硬化性樹脂または熱とUVの併用型硬化性樹脂が用いられる。この充填剤はゲル状またはシート状の樹脂であってもよい。
なお、ここでは、封止樹脂20がシール材20aと充填材20bとで構成されることとしたが、封止樹脂20が、無機絶縁膜14が設けられた状態の支持基板10の全域を覆う同一材料で設けられていてもよい。
一方、上記封止樹脂20を介して上記支持基板10に対向配置される対向基板30は、有機EL素子Aの発光光を透過する例えばガラス等の透明材料で形成される。対向基板30上には、ここでの図示は省略したが、赤色、緑色、青色のカラーフィルタおよびブラックマトリクスが設けられており、有機EL素子Aで発生した光を取り出すとともに、有機EL素子Aなどにおいて反射された外光を吸収し、コントラストを改善するように構成されている。
そして、本発明に特徴的な構成として、対向基板30上には、上記支持基板10に設けられた有機絶縁膜12の分離溝Bに対向する位置に、例えば感光性樹脂からなる枠状の突出部31が設けられている。
ここで、この突出部31は、リソグラフィー技術で形成可能な例えば5μm以上の範囲の幅で形成されている。また、無機絶縁膜14で覆われた状態の分離溝Bに挿入されることから、封止樹脂の膜厚T1よりも高く、封止樹脂の膜厚T1と無機絶縁膜14で覆われた状態の分離溝Bの深さT2とを足した高さ(T1+T2)よりも低い高さで形成される。
そして、上記対向基板30の突出部31を支持基板10上の上記有機絶縁膜12の分離溝B内に挿入した状態で、支持基板10上に封止樹脂20を介して対向基板30が配置される。これにより、シール材20aが、上記分離溝Bとこの分離溝B内に挿入される突出部31の間に配置されることから、密閉性が向上するため、パネル外部からの水分や酸素の浸入をより確実に防止することが可能となる。
このような表示装置1aは、次のように形成される。
まず、図3(a)に示すように、支持基板10上に表示領域1Aに配置される画素回路(図示省略)と周辺領域1B上に配置される駆動回路(図示省略)とを有する回路形成層11を形成する。この際、回路形成層11の表面側を無機絶縁膜(図示省略)で形成するとともに、この無機絶縁膜上に上記駆動回路を外部端子側に引き出す駆動回路配線11aを、後工程で周辺領域1Bに枠状に形成するシール材の長辺方向と直交する方向にシール材を貫通する状態で形成する。この回路形成層11は、表示領域1A上が周辺領域1B上よりも高くなるような段差を有して形成される。
次に、例えばスピンコート法により、上記回路形成層11が設けられた支持基板10上の全域に、ポジ型感光性樹脂からなる第1有機絶縁膜12aを塗布形成する。続いて、フォトマスクM1を用いた露光を行い、現像することで、第1有機絶縁膜12aの表示領域1Aを囲む位置に、回路形成層11に達する状態の分離溝B1を形成する。また、この露光により、第1有機絶縁膜12aに回路形成層11のTFTと接続するためのコンタクトホール(図示省略)を形成する。続いて、この状態の基板1に、窒素(N2)等の不活性ガス雰囲気下でベーク処理を行うことで、第1有機絶縁膜12aを硬化するとともに、第1有機絶縁膜12a中に含まれる水分などを除去する。その後、ここでの図示は省略するが、上記コンタクトホールを埋め込む状態で、第1有機絶縁膜12a上に導電層を形成し、この導電層をパターニングすることで、表示領域1A上の第1有機絶縁膜12a上に各画素に対応する状態の下部電極(図示省略)を配列形成する。
次いで、図3(b)に示すように、例えばスピンコート法により、下部電極が設けられた第1有機絶縁膜12a上に、ポジ型感光性樹脂からなる第2有機絶縁膜12bを塗布形成することで、回路形成層11上に、第1有機絶縁膜12aと第2有機絶縁膜12bとを順次積層してなる有機絶縁膜12を形成する。この際、分離溝B1内も第2有機絶縁膜12bで埋め込まれた状態となる。ここで、上記第1有機絶縁膜12a、第2有機絶縁膜12bは、平坦化膜として形成されるため、上述したような回路形成層11の段差は軽減されるものの、回路形成層11の表面形状に倣ったある程度の段差を残して形成される。
続いて、図3(c)に示すように、フォトマスクM2をマスクに用いて露光を行い、現像することで、表示領域1A内に各画素、すなわち、後述する有機EL素子を形成するための画素開口部Wを形成して、上記下部電極(図示省略)の表面を露出するとともに、上記分離溝B1の上部に連通する状態の分離溝B2を形成する。この際、上記フォトマスクM2にハーフトーンマスクを用い、画素開口部W以外の表示領域1Aの有機絶縁膜12で、周辺領域1B上の有機絶縁膜12よりも突出した部分を分離溝B2および画素開口部Wより低い露光量で露光して、有機絶縁膜12の分離溝Bの外側と内側の有機絶縁膜12の表面高さが等しくなるようにする。
なお、ここでは、フォトマスクM2にハーフトーンマスクを用いて、露光量を制御することで、表示領域1A上と周辺領域1B上の有機絶縁膜12の表面高さを等しくするようにしたが、分離溝B2と画素開口部Wを形成した後に、再び、フォトマスクを用いた露光を行い、周辺領域1Bの有機絶縁膜12の表面よりも突出した表示領域1Aの有機絶縁膜12部分を除去することで、有機絶縁膜12の表面高さを調整してもよい。
続いて、この状態の支持基板1に、N2等の不活性ガス雰囲気下でベーク処理を行うことで、第1有機絶縁膜12aおよび第2有機絶縁膜12bに含まれる水分などを除去する。
その後、図4(d)に示すように、画素開口部W内の下部電極(図示省略)上に各色の有機発光層をそれぞれ形成し、この有機発光層上に少なくとも表示領域11Aの全域を覆う状態で上部電極を形成することで、EL層13を形成する。
次に、例えば化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))またはスパッタリング法により、EL層13を覆うとともに、分離溝Bの内壁を覆う状態で、有機絶縁膜12上にSiNxからなる無機絶縁膜14を形成する。
次に、図4(e)の全体断面図に示すように、不活性ガス雰囲気下で、無機絶縁膜14上に、後述する対向基板と貼り合わせるための封止樹脂20を形成する。まず、周辺領域1Bの無機絶縁膜14上に、液状のシール材20aを形成する。これにより、内壁が無機絶縁膜14で覆われた分離溝B内にもシール材20aが埋め込まれた状態となる。
次いで、不活性ガス雰囲気下で、例えばディスペンサー等を用いた塗布により、シール材20aで囲われた無機絶縁膜14上に、点状に1点、またはその面積が大きければ数点に分けて、例えば充填材20bを塗布形成する。
なお、上記封止樹脂20の形成工程は、上述したように不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、EL層13を形成してから短時間で行うのであれば、大気雰囲気下で行ってもよい。ここでは、支持基板10側に封止樹脂20を形成することとしたが、後述する対向基板側に封止樹脂20を形成してもよい。
一方、図4(f)に示すように、対向基板30上に、ポジ型感光性樹脂を塗布し、フォトマスク(図示省略)を介して露光を行い、現像することで、上記分離溝Bに対向する位置に、枠状の突出部31を形成する。次いで、ベークを行う。なお、この突出部31を無機絶縁材料や導電材料で形成する場合には、対向基板30上に、無機絶縁膜または導電膜を成膜した後、レジストパターンを用いたエッチングにより、突出部31をパターン形成する。
そして、真空雰囲気下(20Pa以下)で、上記対向基板30を突出部31を支持基板10側に向けて対向させて、シール材20aを介して突出部31を分離溝Bに挿入し、支持基板10と対向基板30とを封止樹脂20を介して貼り合わせる。続いて、シール材20a及び充填材20bを硬化させる前に、真空中で貼り合わせた状態において有機発光素子Aとカラーフィルタの位置を合わせた後に、真空中から大気あるいは不活性ガス雰囲気中に開放する。この際、有機絶縁膜12の表面高さが等しく形成されることで、対向基板30のスプリングバックによるシール材20a中の空間の発生は防止される。よって、それらの空間による接着強度の低下が原因の剥離やパネル外部からの水分や酸素の浸入を防ぐことができる。次に、シール材20a及び充填材20bを一定時間加熱することで硬化させる。貼り合わせた後の封止樹脂20の厚みは、支持基板10と対向基板30の間で、最も厚い部分でも25μm以下、好ましくは20μm以下であり、より薄い方が好ましい。上記有機発光素子Aとカラーフィルタの位置合わせは、突出部31の挿入の前に行ってもよい。
なお、ここでは、1つの表示装置の製造方法について説明したが、実際には支持基板10および対向基板30ともに、多数の表示装置の形成領域が配列された多面取り(多数個取りで形成される場合が多い。この場合には、上述した支持基板10と対向基板30とを貼り合わせる工程を行った後に、貼り合わせた支持基板10と対向基板30とをスクライブ・ブレイクすることで、表示装置毎に分割する。
以上のようにして、有機ELディスプレイからなる表示装置1aが形成される。
このような表示装置およびこの製造方法によれば、周辺領域1Bの封止樹脂20が、分離溝Bとこの分離溝B内に挿入される突出部31の間に配置されることから、密閉性が向上し、パネル外部からの水分や酸素の浸入をより確実に防止することが可能となる。また、有機絶縁膜12に分離溝Bが設けられることにより、有機絶縁膜12の分離溝Bよりも外側に存在する水分が有機絶縁膜12の膜内、或いは有機絶縁膜12と無機絶縁膜14の界面、或いは有機絶縁膜12と駆動回路配線11aの界面を通過して表示領域1Aが配置された分離溝Bよりも内側に侵入することが防止される。これにより、表示装置内に残存する水分の拡散を防止することができ、長期信頼性に優れた表示装置を実現することができる。
また、本実施形態の表示装置およびこの製造方法によれば、有機絶縁膜12が、表示領域1A上と周辺領域1B上とで表面高さが等しくなるように形成されることから、支持基板10上に封止樹脂20を介して対向基板30を貼り合わせる際に、対向基板30に撓みが発生することを防止することができる。したがって、この撓みによるスプリングバックが生じることなく、シール材20a内への空間の発生を防止し、この空間に起因した水分や酸素の浸入を防止することができる。
なお、ここでは、シール材20aとして、液状の熱硬化性樹脂を用いることとしたが、本発明はこれに限定されず、ゲル状またはシート状の樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂以外にも紫外線(UV)硬化性樹脂または熱とUVの併用型硬化性樹脂であってもよい。ただし、シート状のシール材20aは、ゲル状または液状のシール材と比較して、膜厚が制御し易い。
シート状のシール材20aとしては、例えば予め基体フィルム(離型フィルム)上に延展され、シート状に形成された熱硬化性樹脂が用いられ、このシール材20aは、周辺領域1Bの無機絶縁膜14上に、例えばロールラミネータで転写される。この転写方法を用いる場合には、熱硬化型組成物の層の厚みを10μm〜30μmとすると、転写を円滑に行うことができる。
(変形例1)
また、上述した第1実施形態で図4(e)を用いて説明した工程において、封止樹脂20とともに、支柱を形成してもよい。
この場合には、図5に示すように、支持基板10上のシール材20aの形成領域の外側で、かつ駆動回路が設けられていない領域に、支持基板10と対向基板30の間隔(ギャップ)と同程度の径を有するスペーサー41を含有した有機材料、或いは無機材料からなる複数の支柱40を形成する。この支柱40は、対向基板30を支持できるように、3ヶ所以上の位置に設けられることが好ましい。この支柱40を形成することで、支持基板10と対向基板30の間のギャップの制御が容易になるため、支持基板10上に封止樹脂20を介して対向基板30を貼り合わせる際の対向基板30の撓みを確実に防止することが可能となる。なお、この支柱40は対向基板30側の上記領域に対向する位置に形成しても構わない。
なお、支柱40が設けられた構成であれば、有機絶縁膜12の表面高さは、表示領域1Aと周辺領域1Bとで等しくなるように形成されていなくてもよい。ただし、有機絶縁膜12の表面高さは等しい方が、ギャップの制御が容易であるため、好ましい。
そして、上記支柱40と封止樹脂20が設けられた状態で、支持基板10と対向基板30とを貼り合わせた後、上記支柱40が表示装置として残存しないように、貼り合わせた支持基板10と対向基板30をスクライブ・ブレイクする。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の表示装置における特徴部分を示す要部拡大断面図である。この図は、先の図1(b)の概略断面図における領域Yに相当する拡大断面を示す。この図に示す、第2実施形態の表示装置1bが第1実施形態と異なるところは、有機絶縁膜12に複数の分離溝B’が設けられるとともに、対向基板30にこれらの分離溝B’に対応した複数の突出部31が設けられた点にあり、他の構成は同様であることとする。
ここでは、表示領域1Aを囲む位置に、内側から順に2列の分離溝Ba’、Bb’が設けられることとする。この場合には、対向基板30側も上記複数列の分離溝Ba’、Bb’に対向する位置に、複数列の枠状の突出部31a’、31b’が設けられ、これらが上記分離溝Ba’、Bb’にシール材20aを介してそれぞれ挿入された状態で、対向基板30が配置される。
このような表示装置1cであっても、周辺領域1Bの封止樹脂20が、分離溝B’とこの分離溝B’内に挿入される突出部31’の間に配置されることから、密閉性をさらに向上させることができる。また、分離溝B’により表示装置内に残存する水分の拡散を防止することができる。したがって、長期信頼性に優れた表示装置を実現することができる。
なお、ここでは、有機絶縁膜12に2列の分離溝Ba’、Bb’が設けられた例について説明したが、分離溝B’は3列以上であってもよい。ただし、分離溝B’が多く形成されると、周辺領域1Bの幅を広く形成しなくてはならず、小型化が妨げられるため、分離溝B’は2列以下で形成されることが好ましい。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の表示装置における特徴部分を示す要部拡大断面図である。この図は、先の図1(b)の概略断面図における領域Yに相当する拡大断面を示す。この図に示す、第3実施形態の表示装置1cが第2実施形態と異なるところは、対向基板30に、突出部31’よりも低い枠状の突出部32が、突出部31’の内側と外側に設けられた点にあり、他の構成は同様であることとする。
ここでは、対向基板30の突出部31a、31bの内側と外側とに、突出部31a、31bよりも高さの低い枠状の突出部32a、32bがそれぞれ設けられることとする。これらの突出部32a、32bは、それぞれ有機絶縁膜12の表面に対向する状態で配置される。このように、対向基板30側に高さの異なる突出部31、32が設けられることで、周辺領域1Bに配置される封止樹脂20が突出部31、32と分離溝B’との間に介在され、密閉性をさらに高めることが可能となる。特に、突出部31、32を対向基板30よりも封止樹脂20との密着性の高い材料で形成した場合には、封止樹脂20との密着性がさらに高まるため、好ましい。
このような高さの異なる突出部31、32を形成する場合には、対向基板30上に、ポジ型感光性樹脂を塗布形成した後、フォトマスクにハーフトーンマスクを用いて露光量を制御するか、露光を複数回行うことで、上記突出部31、32の高さを制御する。
このような表示装置1cによれば、上記第2実施形態の効果の他に、突出部32a、32bが形成される分、さらに密閉性を高めることができる。
なお、第3実施形態は、第1実施形態にも適用可能であり、上述した変形例1は、第2、第3実施形態にも適用可能である。
また、上述した第1〜第3実施形態および変形例1では、有機ELディスプレイからなる表示装置の例を用いて説明したが、本発明は液晶表示装置であっても適用可能である。
本発明の表示装置に係る第1実施形態の構成を示す平面図(a)および断面図(b)である。 本発明の表示装置に係る第1実施形態の構成を示す要部拡大断面図である。 本発明の表示装置の製造方法にかかる第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。 本発明の表示装置の製造方法にかかる第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。 本発明の表示装置に係る第1実施形態の変形例1の構成を示す要部拡大断面図である。 本発明の表示装置に係る第2実施形態の構成を示す要部拡大断面図である。 本発明の表示装置に係る第3実施形態の構成を示す要部拡大断面図である。 従来の表示装置の構成を示す断面図である。
符号の説明
1a〜1d…表示装置、1A…表示領域、1B…周辺領域、10…支持基板、20…封止樹脂、20a…シール材、20b…充填材、30…対向基板、31,32…突出部、40…支柱、41…スペーサー、A…有機EL素子、B,B’…分離溝

Claims (6)

  1. 表示素子を配列形成してなる表示領域を有すると共に、当該表示領域の周辺領域に前記表示素子の駆動回路を有する支持基板と、
    少なくとも前記周辺領域に設けられた封止樹脂を介して前記表示素子を封止する対向基板と、
    前記支持基板上に形成された有機絶縁膜と、
    前記周辺領域において、前記有機絶縁膜を分断する複数の分離溝と、
    前記対向基板上の前記複数の分離溝のそれぞれに対向する領域に設けられ、前記分離溝内に前記封止樹脂を介して挿入された第1の突出部と、
    前記対向基板上の分離溝に非対向な領域であって、かつ前記第1の突出部を挟む領域に設けられると共に、前記第1の突出部よりも高さの小さな第2の突出部と
    を備えた表示装置。
  2. 前記有機絶縁膜は、前記表示領域上と前記周辺領域上とで表面高さが等しくなるように形成されている
    請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記封止樹脂は、前記周辺領域に枠状に設けられるシール材と、
    前記シール材で囲われる領域に設けられる充填材とで構成されている
    請求項1に記載の表示装置。
  4. 前記シール材と充填材は、シート状の樹脂からなる
    請求項3に記載の表示装置。
  5. 表示素子を配列形成してなる表示領域を有すると共に、当該表示領域の周辺領域に前記表示素子の駆動回路を有する支持基板と、少なくとも前記周辺領域に設けられた封止樹脂を介して前記表示素子を封止する対向基板とを備えた表示装置の製造方法において、
    前記支持基板上に有機絶縁膜を形成する工程と、
    前記周辺領域において、前記有機絶縁膜を分断する複数の分離溝を形成する工程と、
    前記複数の分離溝を形成した後、前記支持基板側または前記対向基板側に封止樹脂を形成する工程と、
    前記複数の分離溝のそれぞれに対向する領域に第1の突出部を有すると共に、各分離溝に非対向の領域であって、かつ前記第1の突出部を挟む領域には前記第1の突出部よりも高さの小さな第2の突出部を有する前記対向基板を、前記第1の突出部が前記封止樹脂を介して前記分離溝に挿入された状態で、前記支持基板と貼り合わせる工程とを有する
    表示装置の製造方法。
  6. 前記封止樹脂を形成する工程では、
    前記封止樹脂を形成するとともに、前記支持基板側または前記対向基板側に前記周辺領域における封止樹脂の形成領域よりも外側で、かつ駆動回路の形成領域を除く領域に、前記支持基板と前記対向基板の間隔と同じ大きさのスペーサーを含む有機材料、或いは無機材料からなる複数の支柱を形成し、
    前記対向基板と前記支持基板とを貼り合わせる工程の後に、前記支柱を残存させないように、貼り合わせた前記対向基板と前記支持基板とをスクライブ・ブレイクする
    請求項に記載の表示装置の製造方法。
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