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JP5001920B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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JP5001920B2
JP5001920B2 JP2008222029A JP2008222029A JP5001920B2 JP 5001920 B2 JP5001920 B2 JP 5001920B2 JP 2008222029 A JP2008222029 A JP 2008222029A JP 2008222029 A JP2008222029 A JP 2008222029A JP 5001920 B2 JP5001920 B2 JP 5001920B2
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Description

この発明は、電動パワーステアリング装置を含み、ステアリング角信号の異常を検出し得るようにした車両用操舵装置に関するものである。
車両の横滑り防止装置や、電動パワーステアリング装置等に於いては、車両のステアリング若しくはステアリング軸の回転角度を示すステアリング角(ハンドル角、若しくは操舵角と称されることもある)を検出するステアリング角センサが用いられている。例えば車両の横滑り防止装置の場合、運転者の操舵状態をステアリング角から演算し、その演算したステアリング角に応じた車両挙動となるように車両の各車輪の制動力を制御する。
このように、車両のステアリング角は、車両挙動を制御するため非常に重要な役割を担っており、ステアリング角に関連する信号に異常をきたした場合には正常な車両制御が行えなくなる可能性がある。このため、従来からステアリング角に関連する信号の異常を検出する装置等が提案されている。
例えば、特許文献1には、ステアリング角を検出するセンサを複数個備え、夫々のセンサの出力の偏差が所定値以上になった場合に、ステアリング角を異常とするステアリング角の異常検出装置が開示されている。又、特許文献2には、ステアリング角センサと、レゾルバ等により構成されたモータ回転角センサから得られるモータ相対回転角と、モータの誘起電圧から推定される推定ステアリング角とを比較することで、ステアリング角の異常を判定する電動パワーステアリング装置が開示されている。
特開2002−104211号公報 特開2007−261548号公報
しかしながら、特許文献1に示された従来の装置の場合、夫々のセンサが検出したステアリング角信号の偏差に基づいてステアリング角信号の異常を検出するようにしているために、ステアリング角センサが異常なのか電動パワーステアリング装置等により演算されたステアリング角が異常なのか不明であるという課題がある。又、特許文献2に示された従来の装置の場合、電動パワーステアリング装置の制御処理を実行するマイクロコンピュータ(以下、CPUと称する)内でステアリング角の異常を判定するため、電動パワーステアリング装置のCPUがフェイルした場合にはステアリング角信号を得ることができないという課題があった。
この発明は、前述のような従来の装置に於ける課題を解決し、車両のステアリング角に関する信号の異常の有無を正確に判定することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
この発明による車両用操舵装置は、
運転者により車両のステアリング軸に加えられる操舵トルクに対応して生成された信号に基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、
前記ステアリング軸にアシストトルクを付与するアシストモータの回転角に対応して生成されたレゾルバからの信号に基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出手段と、
前記車両の車速に対応して生成された信号に基づいて車速を検出し車速信号を出力する車速検出手段と、
少なくとも前記モータ回転角信号と前記操舵トルク信号と前記車速信号とに基づいてアシスト指令値を演算すると共に、前記レゾルバの巻線の励磁を指令する電動パワステ制御用演算手段と、
前記アシスト指令値に基づいて前記アシストモータを駆動するモータ駆動手段と、
前記ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、
前記電動パワステ制御演算手段からの信号に基づいて前記レゾルバの前記励磁の異常の有無を検出することにより、若しくは前記電動パワステ制御用演算手段と同等の演算を行いその演算結果を前記電動パワステ制御用演算手段の演算結果と比較することにより、前記電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、
前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算すると共に前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算する機能を備え、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角との間の偏差が所定値より大きいときに、前記第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段と
を備えたものである。
この発明による車両用操舵装置は、好適には、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角との間の偏差が前記所定値以下であるとき、又は、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常が検出されたときは、前記第一のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とするものである。
更に、この発明による車両用操舵装置は、好適には、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角との間の偏差が前記所定値より大きいときは、前記第二のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とするものである。
又、この発明による車両用操舵装置は、運転者により車両のステアリング軸に加えられる操舵トルクに対応して生成された信号に基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、
前記ステアリング軸にアシストトルクを付与するアシストモータの回転角に対応して生成されたレゾルバからの信号に基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出手段と、
前記車両の車速に対応して生成された信号に基づいて車速を検出し車速信号を出力する車速検出手段と、
少なくとも前記モータ回転角信号と前記操舵トルク信号と前記車速信号とに基づいてアシスト指令値を演算すると共に、前記レゾルバの巻線の励磁を指令する電動パワステ制御用演算手段と、
前記アシスト指令値に基づいて前記アシストモータを駆動するモータ駆動手段と、
前記ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、
前記車両のヨーレートに対応した信号に基づきヨーレートを検出しヨーレート信号を出力するヨーレート検出手段と、
前記電動パワステ制御演算手段からの信号に基づいて前記レゾルバの前記励磁の異常の有無を検出することにより、若しくは前記電動パワステ制御用演算手段と同等の演算を行いその演算結果を前記電動パワステ制御用演算手段の演算結果と比較することにより、前記電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、
前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算し前記ヨーレート信号に基づいて第三のステアリング角を演算する機能を備え、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との相互間の偏差が夫々所定値より大きいときに、前記第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段と
を備えたものである。
更に、この発明による車両用操舵装置は、運転者により車両のステアリング軸に加えられる操舵トルクに対応して生成された信号に基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、
前記ステアリング軸にアシストトルクを付与するアシストモータの回転角に対応して生成されたレゾルバからの信号に基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出手段と、
前記車両の車速に対応して生成された信号に基づいて車速を検出し車速信号を出力する車速検出手段と、
少なくとも前記モータ回転角信号と前記操舵トルク信号と前記車速信号とに基づいてアシスト指令値を演算すると共に、前記レゾルバの巻線の励磁を指令する電動パワステ制御用演算手段と、
前記アシスト指令値に基づいて前記アシストモータを駆動するモータ駆動手段と、
前記ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、
前記車両の4輪夫々の車輪速度に対応した信号に基づいて4輪車輪速を検出し4輪車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、
前記電動パワステ制御演算手段からの信号に基づいて前記レゾルバの前記励磁の異常の有無を検出することにより、若しくは前記電動パワステ制御用演算手段と同等の演算を行いその演算結果を前記電動パワステ制御用演算手段の演算結果と比較することにより、前記電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、
前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算し前記4輪車輪速信号に基づいて第三のステアリング角を演算する機能を備え、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との相互間の偏差が夫々所定値より大きいときに、前記第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段と
を備えたものである。
又、この発明による車両用操舵装置は、好適には、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との間の偏差が夫々前記所定値以下であるとき、又は、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常が検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第三のステアリング角との間の偏差が前記所定値以下であるときは、前記第一のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とするものである。
更に、この発明による車両用操舵装置は、好適には、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との間の偏差が夫々前記所定値より大きいときは、前記第三のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とするものである。
又、この発明による車両用操舵装置は、好適には、前記ステアリング角演算手段の異常の有無を検出するステアリング角演算異常監視手段を備え、前記電動パワステ制御用演算手段は、前記モータ回転角信号を前記ステアリング軸の絶対角信号に変換したステアリング絶対角を演算する機能を有し、前記ステアリング角演算異常監視装置により前記ステアリング角演算手段の異常が検出されたときは、前記電動パワステ制御用演算手段により演算された前記ステアリング絶対角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とするものである。
更に、この発明による車両用操舵装置は、好適には、前記電動パワステ制御用演算手段と前記ステアリング角演算手段とは、同一の筐体内に収納されるものである。
この発明による車両用操舵装置によれば、ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算する機能を備え電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角との間の偏差が所定値より大きいときに第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段とを備えているので、ステアリング角検出手段からのステアリング角信号の異常の有無を正確に判定することができる。
又、この発明による車両用操舵装置によれば、電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角との間の偏差が所定値以下であるとき、又は、電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常が検出されたときは、第一のステアリング角を車両のステアリング角とするようにしているので、常に正確なステアリング角を得ることができる。
更に、この発明による車両用操舵装置は、電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角との間の偏差が前記所定値より大きいときは、第二のステアリング角を車両のステアリング角とするようにしているので、常に正確なステアリング角を得ることができる。
又、この発明による車両用操舵装置によれば、ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、前記車両のヨーレートに対応した信号に基づきヨーレートを検出しヨーレート信号を出力するヨーレート検出手段と、電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算し前記ヨーレート信号に基づいて第三のステアリング角を演算する機能を備え電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角と第三のステアリング角との相互間の偏差が夫々所定値より大きいときに第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段とを備えているので、ステアリング角検出手段からのステアリング角信号の異常の有無を、より正確に判定することができる。
更に、この発明による車両用操舵装置によれば、ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、車両の4輪夫々の車輪速度に対応した信号に基づいて4輪車輪速を検出し4輪車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算し前記4輪車輪速信号に基づいて第三のステアリング角を演算する機能を備え電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角と第三のステアリング角との相互間の偏差が夫々所定値より大きいときに第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段とを備えているので、ステアリング角検出手段からのステアリング角信号の異常の有無を、より正確に判定することができる。
又、この発明による車両操舵装置によれば、電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角と第三のステアリング角との間の偏差が夫々所定値以下であるとき、又は、電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常が検出され且つ第一のステアリング角と第三のステアリング角との間の偏差が所定値以下であるときは、第一のステアリング角を車両のステアリング角とするようにしているので、常に正確なステアリング角を得ることができる。
更に、この発明による車両用操舵装置によれば、電動パワステ制御用異常監視手段により電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ第一のステアリング角と第二のステアリング角と第三のステアリング角との間の偏差が夫々所定値より大きいときは、第三のステアリング角を車両のステアリング角とするようにしているので、常に正確なステアリング角を得ることができる。
又、この発明による車両用操舵装置によれば、ステアリング角演算手段の異常の有無を検出するステアリング角演算異常監視手段を備え、電動パワステ制御用演算手段は、モータ回転角信号をステアリング軸の絶対角信号に変換したステアリング絶対角を演算する機能を有し、ステアリング角演算異常監視装置によりステアリング角演算手段の異常が検出されたときは、電動パワステ制御用演算手段により生成されたステアリング絶対角を車両のステアリング角とするようにしたので、ステアリング角演算手段が異常な場合でも、電動パワステ制御用演算手段により正確なステアリング角を得ることが可能となる。
更に、この発明による車両用操舵装置によれば、電動パワステ制御用演算手段とステアリング角演算手段とは、同一の筐体内に収納されているので、通信遅れや夫々の筐体をつなぐハーネス等の異常を予防することが可能となる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置を図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置を含む車両操舵システムの全体構成を示す説明図である。図1に於いて、車両操舵システムは、ステアリングハンドル1が上端に設けられたステアリング軸2と、ステアリング軸2の下端に設けられたステアリングギアボックス3と、ギアボックス3に結合されたラックとピニオン機構6と、ラックとピニオン機構6により操舵されるタイヤ7とを含んでいる。
更に、車両操舵システムは、ステアリング軸2に設けられたステアリング角センサ9と、ステアリング軸2に設けられたトルクセンサ4と、ステアリング軸2に減速機構を介して連結されたアシストモータ5と、アシストモータ5を制御するモータ駆動器を含む車両用操舵装置8、及び、前述のステアリング角センサ9とトルクセンサ4とアシストモータ5と車両用操舵装置8とを接続するケーブル(図示せず)を含む。尚、図示していないが、電源装置も当然に含まれる。
ステアリング角センサ9は、ステアリングハンドル1の絶対回転角、即ちステアリング軸2の絶対回転角を検出しステアリング角検出信号θsを出力する。トルクセンサ4は、運転者によりステアリングハンドル1を介してステアリング軸2に加えられた操舵トルク操舵トルクを検出し操舵トルク検出信号Thdlを出力する。
アシストモータ5は、電動モータにより構成され、運転者による操舵トルクに応じたアシストトルクTassistをステアリング軸2に与え、運転者による操舵をアシストする。又、アシストモータ5に設けられているモータ回転角センサとしてのレゾルバ(図示せず)は、アシストモータ5の回転子の回転角に対応するモータ回転角検出信号θmを出力する。
ステアリング軸2の下端に設けられたステアリングギアボックス3は、ステアリング軸2に与えられる操舵トルクとアシストモータ5によるアシストトルクとを加え合わせた合成トルクを数倍に増幅し、ラックとピニオン機構6を介してタイヤ7を操舵する操舵機構に伝達する。
この発明の実施の形態1による車両用操舵装置8は、後述するように、モータ駆動電流Imtrによりアシストモータ5を駆動すると共に、ステアリング角信号が異常であると判定したときステアリング角異常信号θfailを出力する。
図2は、この発明の実施の形態1による車載用操舵装置8の構成を示すブロック図である。図2に於いて、車載用操舵装置8は、車速検出手段としての車速検出器11と、操舵トルク検出手段としての操舵トルク検出器12と、モータ回転角検出手段としてのモータ回転各検出器13と、ステアリング角検出手段としてのステアリング角検出器14と、電動パワステ制御用演算手段としての電動パワステ制御用演算器15と、電動パワステ制御用異常監視手段としての電動パワステ制御用異常監視器16と、ステアリング角演算手段としてのステアリング角演算器17と、モータ駆動手段としてのモータ駆動器19とを備えている。
車速検出器11は、車速に対応する車速検出信号Vに基づいて車速を検出し車速信号V(s)を出力する。操舵トルク検出器12は、トルクセンサ4からの操舵トルク検出信号Thdlに基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号Thdl(s)を出力する。モータ回転角検出器13は、アシストモータ5に設けられているレゾルバからのモータ回転角検出信号θmに基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号θm(s)を出力する。ステアリング角検出器14は、ステアリング角センサ9からのステアリング角検出信号θsに基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号θs(s)を出力する。
電動パワステ制御用演算器15は、車速検出器11から入力される車速信号V(s)と、操舵トルク検出器12から入力される操舵トルク信号Thdl(s)と、モータ回転角検出器13から入力されるモータ回転角信号θm(s)とに基づいて、ステアリング軸2に加えるべきアシストトルクを演算し、この演算したアシストトルクを減速機構を介してステアリングシャフト2に加えるための指令値を生成してモータ駆動器19へ出力する。
又、電動パワステ制御用演算器15は、アシストモータ5に設けられた前述のレゾルバの巻線を励磁するための指令値を生成してレゾルバに与える。レゾルバは、電動パワステ制御用演算器15からの指令値に基づいて励磁され、アシストモータ5の回転子の回転角に対応したモータ回転角検出信号θmを発生してモータ回転角検出器13に入力する。尚、電動パワステ制御用演算器15は、この他にもこの発明には関係しない様々な機能を備えるが、ここではその説明を省略する。
モータ駆動器19は、電動パワステ制御用演算器15からのアシストトルクの指令値とアシストモータ5からのモータ駆動電流検出信号Imtrとを入力とし、その入力された
指令値を制御目標値としてアシストモータ5の駆動電流を生成してアシストモータ5に与える。アシストモータ5は、モータ駆動器19から入力される駆動電流に基づいて駆動される。
尚、車載用操舵装置8には、前述の他にもヨーレート等、車両の状態に応じた信号が入力されるが、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置には関係しないのでその説明は省略する。
電動パワステ制御用異常監視器16は、電動パワステ制御用演算器15との間で所定の信号の送受信を行い、この送受信に基づいて得られる電動パワステ制御用演算器15の動作状態を示す状態信号から電動パワステ制御用演算器15の異常の有無を判定し、その判定結果を出力する。即ち、例えば、電動パワステ制御用異常監視装置16と電動パワステ制御用演算器15との間で所定のパルス信号を一定時間間隔で送受信し、そのパルス信号の受信タイミング等に基づいて電動パワステ制御用演算器15の異常判定を行ない、その判定結果を出力するものである。
電動パワステ制御用異常監視器16は、電動パワステ制御用演算器15からのパルス信号に基づいて、例えば、電動パワステ制御用演算器15の状態がレゾルバの励磁箇所等が故障し異常であるか否か、或いは、電動パワステ制御用演算器15が電源等の故障によりダウンしているか否か等の、電動パワステ制御用演算器15の異常の内容についても識別が可能である。
尚、電動パワステ制御用異常監視装置16に電動パワステ制御用演算器15と同等の演算を行なう機能を持たせ、その演算結果を電動パワステ制御用演算器15の演算結果と比較することにより、電動パワステ制御用演算器15の異常判定を行なうようにしてもよい。更には、電動パワステ制御用演算器15内に自己異常判定器として電動パワステ制御用異常監視器16の機能を備える、つまり電動パワステ制御用演算器15内に電動パワステ制御用異常監視器16を含ませるようにしてもよい。
ステアリング角演算器17は、後述するように、ステアリング角検出器14からのステアリング角信号θs(s)に基づいて第一のステアリング角θhs(s)を演算すると共にモータ回転角検出器13からのモータ回転角信号θm(s)に基づいて第二のステアリ
ング角θms(s)を演算する。そして、前述の第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を判定し、第一のステアリング角θhs(s)が異常である場合にステアリング角異常信号θfailを出力する。
以上のように構成されたこの発明の実施の形態1による車両用操舵装置8を含む車両操舵システムに於いて、ステアリングハンドル1に運転者による操舵トルクが加えられると、電動パワステ制御用演算器15は、前述したようにアシストトルクを演算し、モータ駆動器19への指令値を出力する。これにより、モータ駆動器19は、電動パワステ制御用演算器15から与えられる指令値に対応した駆動電流を生成してアシストモータ5に与えアシストモータ5を駆動する。これにより、運転者による操舵トルクに応じたアシストトルクがアシストモータ5から減速機構を介してステアリング軸2に与えられ、運転者による操舵トルクとアシストモータ5によるアシストトルクの和のトルクに基づいて車両が操舵される。
次に、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置8の動作について説明する。図3は、この発明の実施の形態1による車両用操舵装置8の主要動作を示すフローチャートである。図3に於いて、先ず、ステップS101に於いて、ステアリング角演算器17は、モータ回転角検出器13からのモータ回転角信号θm(s)を読み込み、自身のメモリ(図示せず)に記憶する。
続いてステップS102に於いて、ステアリング角演算器17は、記憶したモータ回転角信号θm(s)をアシストモータ5の減速ギア比で除算してステアリング相対角θhm(s)を演算し、更に、この演算したステアリング相対角θhm(s)からステアリング角初期値θs(0)とステアリング相対角初期値θhm(0)との差を減じることでステアリング相対角θhm(s)をステアリング絶対角に換算し、この換算したステアリング絶対角の値を第二のステアリング角θms(s)として自身のメモリに記憶する。
次に、ステップS103に於いて、ステアリング角演算器17は、ステアリング角検出器14からのステアリング角信号θs(s)を読み込み、このステアリング角信号θs(
s)に基づいて第一のステアリング角θhs(s)を演算し自身のメモリに記憶する。ステップ104に進むと、電動パワステ制御用異常監視器16は、前述の電動パワステ制御用演算器15の状態信号を自身のメモリに記憶し、ステップS105に於いて、前述の記憶した状態信号に基づき、電動パワステ制御用演算器15が異常であるか否かの判定を行なう。
ステップS105での判定の結果、電動パワステ制御用演算器15が異常であると判定した場合は、前述のステアリング角演算器17にて演算した第二のステアリング角θms(s)が正確にステアリング角を示す値であるとすることができない。つまり、前述したように、アシストモータ5に設けられたレゾルバの巻線は、電動パワステ制御用演算器15からの指令値に基づいて励磁されるものであり、電動パワステ制御演算器15が異常であれば、レゾルバからのモータ回転角検出信号θmそのものが異常である可能性があり、従がって、このモータ回転角検出信号θmに基づいて生成された第二のステアリング角θm(s)の信頼性は確保できないことになる。
従がって、ステップS105での判定の結果、電動パワステ制御用演算器15の異常が検出されたときは、図示していないが、ステップS106には進まず、ステアリング角演算器17は第一のステアリング角θhs(s)を車両のステアリング角として必要な演算
等に用いる。
ステップS105での判定の結果、電動パワステ制御用演算器15が異常ではないと判定した場合は、ステップS106に進む。ステップS106に於いて、ステアリング角演算器17は、自身のメモリに記憶している前述の第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)との間の差を演算し、その差と予め設定された値αとの大きさを比較する。このとき、夫々の角度信号の単位が「度(°)」により演算されている場合は、予め設定される値αは、例えば「3度(°)」程度の値に設定する。尚、この
予め設定される値αは、ステアリング角センサ9の分解能等によって異なる値となる。
次に、ステップS107に進み、ステアリング角演算器17は、ステップS106での比較の結果、第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)との間の差が予め設定された値αより大きいか否かを判定する。ステップS107での判定の結果、前述の差が予め設定された値αより大きいと判定した場合は、ステップS108に進む。
ステップS108では、ステアリング角演算器17は、第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)との間の差が予め設定された値αより大きいことをもって、第一のステアリング角θhs(s)が異常であると判定し、ステアリング角異常信号θfailを出力すると共に、第二のステアリング角θms(s)を車両のステアリング角として必要な演算等に用いる。
ステップS107での判定の結果、第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)との間の差が予め設定された値α以下であると判定されたときは、図示していないが、ステアリング角演算器17は、第一のステアリング角θhs(s)を車両のステアリング角として必要な演算等に用いる。
以上のように、この発明の実施の形態1による車載用操舵装置によれば、電動パワステ制御用演算器15の異常の有無を確認し、第二のステアリング角θms(s)の正当性を確認してから第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)とを比較するようにしているので、第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を精度良く検出することができる。つまり、電動パワステ制御用異常監視器17により電動パワステ制御用演算器15の異常の有無を確認することにより、少なくともモータ回転角の信頼性を考慮することが可能になるため、第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を精度良く検出することができる。
尚、以上述べたこの発明の実施の形態1では、モータ回転角信号θm(s)から得られ
るステアリング相対角θhm(s)を絶対角に換算するために、ステアリング角初期値θs(0)とステアリング相対角初期値θhm(0)の差を演算したが、例えば車両の4輪の
車輪速を取り込みこれらの4輪車輪速が同一になった際のステアリング相対角を「0」度と設定する手段を設ける等、周知の様々な手段により、相対角から絶対角を得るようにしても良い。この場合、ステアリング相対角初期値θhm(0)を保持することなく、現在
の情報だけから第二のステアリング角θms(s)を演算することができる。
又、ステアリング角信号θs(s)から第一のステアリング角速度を演算し、モータ回転角信号θm(s)から第二のステアリング角速度を演算し、第一のステアリング角速度と第二のステアリング角速度との差が予め設定された値αより大きい場合に、第一のステアリング角信号θs(s)の異常を検出するように構成してもよい。
又、電動パワステ制御用演算器15及びステアリング角演算器17は、CPU、DSP(データ処理システム)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途集積回路)等、信号処理演算ができる素子であればいずれで構成してもよく、その場合、電動パワステ制御用演算器15及びステアリング角演算器17を一つの筐体に収めることが可能となる。1つの筐体に電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17とを収納することで、別々の筐体に分けて設けるよりも通信遅れや夫々の筐体をつなぐハーネス等の異常を予防することが可能となる。
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。図4に示す実施の形態2による車両用操舵装置は、前述の実施の形態1による車両用操舵装置に、車両のヨーレートに対応する信号γに基づき車両のヨーレート信号γ(s)を出力するヨーレート検出器40を追加し、ステアリング角演算器17から第一のステアリング角の異常検出信号θfail出力に加えて、正しいステアリング角θを出力するようにしたものである。以下の説明では、実施の形態1との相違点を主体に説明する。
図5は、この発明の実施の形態2による車両用操舵装置の動作を示すフローチャートである。図5に於いて、ステップS201からステップS203までは、前述の実施の形態1に於ける図3のステップS101からS103に夫々対応しこれらと同様であるので説明を省略する。
ステップS204では、ステアリング角演算器17は、車両のヨーレートγに対応するヨーレート検出器40からのヨーレート信号γ(s)を読み込み、このヨーレート信号γ(s)に基づいて第三のステアリング角θys(s)を、例えば下記の式(1)により演算し、その演算結果を自身のメモリに記憶する。
Figure 0005001920
但し、Lは車両のホイールベース、Vは車速、Aは車両のスタビリティファクタ、Grpはラックアンドピニオン部のステアリングギア比である。一般的にこれらの何れのパラメータも車両に応じて一意に設定される数値であり、予めメモリに記憶しておくことで演算が可能となる。尚、式(1)による演算以外の演算により、ヨーレート信号γ(s)から第3のステアリング角を得るようにしてもよい。
次にステップS205に於いて、電動パワステ制御用異常監視器16は、電動パワステ制御用演算器15の状態信号を読み込み、自身のメモリに記憶させ、ステップS206に進み、記憶した前述の状態信号に基づき電動パワステ制御用演算器15が正常であるか異常であるかの判定を行なう。
ステップS206に於ける判定の結果、電動パワステ制御用演算器15が異常であると判定した場合には、ステップS207へ進む。ステップS207では、ステアリング角演算器17は、第一のステアリング角θhs(s)と第三のステアリング角θys(s)との差と予め設定された値αとの比較を行なう。
ステップS207での判定の結果、第一のステアリング角θhs(s)と第三のステアリング角θys(s)との間の差が予め設定された値α以下である場合には、ステップS208へ進み、第一のステアリング角θhs(s)が正常であると判断し、ステアリング角演算器17は第一のステアリング角θhs(s)を車両のステアリング角θとして出力する。
一方、ステップS207での判定の結果、第一のステアリング角θhs(s)と第3のステアリング角θys(s)との間の差が予め設定された値αより大きい場合は、ステップS210へ進み、ステアリング角演算器17はステアリング角θを出力しない。そして、ステップS210から更にステップS211に進んで、第一のステアリング角θhs(s)が異常であると判断し、ステアリング角の異常検出信号θfailを出力する。
前述のステップS206に於ける判定の結果、電動パワステ制御用演算器15が異常ではないと判定した場合には、ステップS209へ進み、第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)と第3のステアリング角θys(s)との相互間の差、即ち、第一のステアリング角θhs(s)と第二のステアリング角θms(s)との間の差と、第一のステアリング角θhs(s)と第3のステアリング角θys(s)との間の差と、第二のステアリング角θms(s)と第3のステアリング角θys(s)との間の差を、夫々演算する。
次にステップS212に進み、ステアリング角演算器17は、ステップS209にて演算した全ての差と予め設定された値αとを比較し、夫々の差が予め設定された値α以下である場合は、ステップS213へ進み、第一のステアリング角θhs(s)を車両のステアリング角θとして出力する。
一方、ステップS212に於いて、ステップS209にて演算した全ての差と予め設定された値αとを比較の結果、夫々の差が予め設定された値αより大きい場合は、ステップS214へ進み、ステアリング角演算器17は第二のステアリング角θms(s)をステアリング角θとして出力する。続いてステップS215に進み、ステアリング角演算器17は、第一のステアリング角θhs(s)が異常であると判断してステアリング角異常信号θfailを出力する。
以上述べたこの発明の実施の形態2による車両用操舵装置によれば、ヨーレートから第三のステアリング角θys(s)を演算することで、例え電動パワステ制御用演算器15のCPUが異常になっている場合でも、ステアリング角検出器14からのステアリング角信号、ひいてはステアリング角センサ9の異常を検出することが可能となる。更に、ステアリング角演算器17からステアリング角θを出力することで、第一のステアリング角θhs(s)が異常となった場合でも、第二のステアリング角θms(s)をステアリング角θとして出力し、ステアリング角θが必要な横すべり防止装置等のシステムを稼動させることが可能となる。
尚、ステアリング角演算器17は、電動パワステ制御用異常監視器16による電動パワステ制御用演算器15の状態が異常か否かを判定結果を受けて、ステアリング角θを出力するだけでなく、電動パワステ制御用演算器15の状態も出力するようにしてもよい。例えば、電動パワステ制御用演算器15の状態がレゾルバの励磁箇所等が故障し異常であると判定された場合は、電動パワステ制御用演算器15が異常である旨の信号を出力し、電源等の故障により電動パワステ制御用演算器15がダウンしている場合等では、電動パワステ制御用演算器15がダウン状態である旨の信号を出力するようにしてもよい。
電動パワステ制御演算器15がダウン状態である旨の信号を出力するようにした場合、例えば、横滑り防止装置等、ステアリング角を制御要素として必要とする装置は、電動パワステ制御演算器15がダウン状態あることを踏まえ、ステアリング角を用いた制御の動作範囲を制限する等の処置をすることが可能となる。
又、電動パワステ制御用演算器15及びステアリング角演算器17は、CPU、DSP(データ処理システム)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途集積回路)等、信号処理演算ができる素子であればいずれで構成してもよく、その場合、電動パワステ制御用演算器15及びステアリング角演算器17を一つの筐体に収めることが可能となる。1つの筐体に電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17とを収納することで、別々の筐体に分けて設けるよりも通信遅れや夫々の筐体をつなぐハーネス等の異常を予防することが可能となる。
以上のように、この発明の実施の形態2に係る車両用操舵装置によれば、電動パワステ制御用演算器15が正常であることを確認してから第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を判定するようにしているので、第一のステアリング角の異常の有無を精度良く検出することができる。つまり、電動パワステ制御用異常監視器17により電動パワステ制御用演算器15の異常の有無を確認することにより、少なくともモータ回転角の信頼性を考慮することが可能になるため、第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を精度良く検出することができる。
又、ヨーレート信号に基づき第三のステアリング角を演算するようにしたので、電動パワステ制御用演算器15に異常が発生した場合に於いても第一のステアリング角の異常を検出することが可能となる。
尚、以上述べたこの発明の実施の形態2による車両用操舵装置では、ヨーレート検出器40を設けそのヨーレート信号に基づき第三のステアリング角の演算を行なうようにしたが、ヨーレート検出器に代えて車両の4輪夫々の車輪速度に対応した信号に基づいて4輪車輪速を検出し4輪車輪速信号を出力する車輪速検出手段としての車輪速検出器を設けるようにしてもよい。この場合、4輪車輪速が同一になった際のステアリング相対角を「0」度とみることが可能であり、これを利用してステアリング角演算器17により第三のステアリング角を演算する。その他については、図4及び図5に示す実施の形態2と同様である。
更に、前述の構成以外に、ステアリング角に相当するその他の車両状態量を用いて第3のステアリング角を演算することも可能である。
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。この実施の形態3による車両用操舵装置は、前述の図4に示す実施の形態2による車両用操舵装置にステアリング角演算異常監視器60を追加し、ステアリング角演算器17の状態を監視しその異常を検出するようにしたものである。その他の構成は実施の形態2による車両用操舵装置と同様である。
図6に於いて、ステアリング角演算異常監視手段としてのステアリング角演算異常監視器60は、ステアリング角演算器17の内部状態を通信でやりとりし、ステアリング角演算器17の異常を監視する機能をもつ。例えば、ステアリング角演算異常監視器60とステアリング角演算器17との間で所定のパルス信号を一定時間間隔で送受信し、ステアリング角演算器17のからのパルス信号の受信タイミング等に基づいてステアリング角演算器17の異常判定を行なう。
ステアリング角演算異常監視器40は、ステアリング角演算器17からのパルス信号に基づいて、例えば、ステアリング角演算器17の状態が発熱等で故障し異常であるか否か、或いは、ステアリング角演算器17が電源等の故障によりダウンしているか否か等の、電動パワステ制御用演算器15の異常の内容についても識別が可能である。
或いは、ステアリング角演算器17と同等の演算をステアリング角演算異常監視器60が行ない、その演算結果をステアリング角演算器17の演算結果と比較することにより、ステアリング角演算器17の異常判定を行なうようにしてもよい。更には、ステアリング角演算器17内に自己異常判定器としてステアリング角演算異常監視器60の機能を備えるようにしても同等の効果が得られる。
電動パワステ制御用演算器15は、ステアリング角演算器17と通信でやりとりし、ステアリング角θs(s)やステアリング角演算器17の状態を得る。又、電動パワステ制御用演算器15は、モータ回転角から得られるステアリング相対角を絶対角に換算するためにステアリング角初期値θs(0)とステアリング相対角初期値θhm(0)の差を演算し、ステアリング角θを演算する機能を有する。
ステアリング角演算異常監視器17がステアリング角演算器17の異常を検出したとき、電動パワステ制御用演算器15は、前述により演算したステアリング角θを出力する。
又、電動パワステ制御用演算器15は、ステアリング角演算器17との通信によりステアリング角演算器の状態を得ることができるので、ステアリング角θを出力するだけでなく、ステアリング角演算器17の状態も出力するようにしてもよい。例えば、ステアリング角演算器17の状態が発熱等で故障し異常であると判定された場合は、ステアリング角演算器17が異常である旨の信号を出力し、電源等の故障によりステアリング角演算器17がダウンしている場合等では、ステアリング角演算器17がダウン状態である旨の信号を出力することができる。
又、電動パワステ制御用演算器15及びステアリング角演算器17は、CPU、DSP(データ処理システム)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途集積回路)等、信号処理演算ができる素子であればいずれで構成してもよく、その場合、電動パワステ制御用演算器15及びステアリング角演算器17を一つの筐体に収めることが可能となる。1つの筐体に電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17とを収納することで、別々の筐体に分けて設けるよりも通信遅れや夫々の筐体をつなぐハーネス等の異常を予防することが可能となる。
以上のように、この発明の実施の形態2に係る車両用操舵装置によれば、電動パワステ制御用演算器15が正常であることを確認してから第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を判定するようにしているので、第一のステアリング角の異常の有無を精度良く検出することができる。つまり、電動パワステ制御用異常監視器17により電動パワステ制御用演算器15の異常の有無を確認することにより、少なくともモータ回転角の信頼性を考慮することが可能になるため、第一のステアリング角θhs(s)の異常の有無を精度良く検出することができる。
以上のように、この発明の実施の形態3に係る車両用操舵装置は、ステアリング角演算器17の異常を監視するステアリング角演算異常監視器60を備え、電動パワステ制御用演算器15は、モータ回転角から得られるステアリング相対角を絶対角に換算するためにステアリング角初期値θs(0)とステアリング相対角初期値θhm(0)の差を演算し、ステアリング角θを演算する機能を有するので、ステアリング角演算器17に異常が発生した場合に於いてもステアリング角θを精度よく得ることが可能となる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4による車両用操舵装置は、図示していないが、車両用操舵装置8内に、電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17とに、夫々独立の電源を備えるようにしたことを特徴とするものである。その他の構成は、前述の実施の形態1乃至3の夫々の構成と同様の構成である。
このように、電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17とに、夫々独立に電源を備えることで、一方の電源箇所に異常が発生した場合でも、もう一方の演算器が正常であるためステアリング角θを継続して演算することが可能となる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5による車両用操舵装置は、図示していないが、車両用操舵装置8内の電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17のグランドを別々に備えることを特徴とする。その他の構成は、前述の実施の形態1乃至4の夫々の構成と同様の構成である。
このように、電動パワステ制御用演算器15とステアリング角演算器17とに夫々独立にグランドを備えることでお互いノイズ等による通信異常を予防することが可能となり、精度よくステアリング角θを演算することが可能となる。
尚、この発明による車両用操舵装置は、前述の実施の形態1乃至5に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限りに於いて、種々の変更が可能である。
この発明の実施の形態1による車両用操舵装置を含む車両の操舵システムの全体構成を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による車載用操舵装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による車両用操舵装置の主要動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2による車両用操舵装置の主要動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 ステアリング
2 ステアリング軸
3 ステアリングギアボックス
4 トルクセンサ
5 アシストモータ
6 ラックとピニオン機構
7 タイヤ
8 車両用操舵装置
9 ステアリング角センサ
11 車速検出器
12 操舵トルク検出器
13 モータ回転角検出器
14 ステアリング角検出器
15 電動パワステ制御用演算器
16 電動パワステ制御用異常監視器
17 ステアリング角演算器
19 モータ駆動器
40 ヨーレート検出器
60 ステアリング角演算異常監視器

Claims (13)

  1. 運転者により車両のステアリング軸に加えられる操舵トルクに対応して生成された信号に基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、
    前記ステアリング軸にアシストトルクを付与するアシストモータの回転角に対応して生成されたレゾルバからの信号に基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出手段と、
    前記車両の車速に対応して生成された信号に基づいて車速を検出し車速信号を出力する車速検出手段と、
    少なくとも前記モータ回転角信号と前記操舵トルク信号と前記車速信号とに基づいてアシスト指令値を演算すると共に、前記レゾルバの巻線の励磁を指令する電動パワステ制御用演算手段と、
    前記アシスト指令値に基づいて前記アシストモータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、
    前記電動パワステ制御演算手段からの信号に基づいて前記レゾルバの前記励磁の異常の有無を検出することにより、若しくは前記電動パワステ制御用演算手段と同等の演算を行いその演算結果を前記電動パワステ制御用演算手段の演算結果と比較することにより、前記電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、
    前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算すると共に前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算する機能を備え、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角との間の偏差が所定値より大きいときに、前記第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段と
    を備えたことを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角との間の偏差が前記所定値以下であるとき、又は、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常が検出されたときは、前記第一のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角との間の偏差が前記所定値より大きいときは、前記第二のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
  4. 運転者により車両のステアリング軸に加えられる操舵トルクに対応して生成された信号に基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、
    前記ステアリング軸にアシストトルクを付与するアシストモータの回転角に対応して生成されたレゾルバからの信号に基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出手段と、
    前記車両の車速に対応して生成された信号に基づいて車速を検出し車速信号を出力する車速検出手段と、
    少なくとも前記モータ回転角信号と前記操舵トルク信号と前記車速信号とに基づいてアシスト指令値を演算すると共に、前記レゾルバの巻線の励磁を指令する電動パワステ制御用演算手段と、
    前記アシスト指令値に基づいて前記アシストモータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、
    前記車両のヨーレートに対応した信号に基づきヨーレートを検出しヨーレート信号を出力するヨーレート検出手段と、
    前記電動パワステ制御演算手段からの信号に基づいて前記レゾルバの前記励磁の異常の有無を検出することにより、若しくは前記電動パワステ制御用演算手段と同等の演算を行いその演算結果を前記電動パワステ制御用演算手段の演算結果と比較することにより、前記電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、
    前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算し前記ヨーレート信号に基づいて第三のステアリング角を演算する機能を備え、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との相互間の偏差が夫々所定値より大きいときに、前記第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段と
    を備えたことを特徴とする車両用操舵装置。
  5. 運転者により車両のステアリング軸に加えられる操舵トルクに対応して生成された信号に基づいて操舵トルクを検出し操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、
    前記ステアリング軸にアシストトルクを付与するアシストモータの回転角に対応して生成されたレゾルバからの信号に基づいてモータ回転角を検出しモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出手段と、
    前記車両の車速に対応して生成された信号に基づいて車速を検出し車速信号を出力する車速検出手段と、
    少なくとも前記モータ回転角信号と前記操舵トルク信号と前記車速信号とに基づいてアシスト指令値を演算すると共に、前記レゾルバの巻線の励磁を指令する電動パワステ制御用演算手段と、
    前記アシスト指令値に基づいて前記アシストモータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記ステアリング軸の回転角に対応して生成された信号に基づいてステアリング角を検出しステアリング角信号を出力するステアリング角検出手段と、
    前記車両の4輪夫々の車輪速度に対応した信号に基づいて4輪車輪速を検出し4輪車輪速信号を出力する車輪速検出手段と、
    前記電動パワステ制御演算手段からの信号に基づいて前記レゾルバの前記励磁の異常の有無を検出することにより、若しくは前記電動パワステ制御用演算手段と同等の演算を行いその演算結果を前記電動パワステ制御用演算手段の演算結果と比較することにより、前記電動パワステ制御用演算手段の異常の有無を検出する電動パワステ制御用異常監視手段と、
    前記ステアリング角信号に基づいて第一のステアリング角を演算し前記モータ回転角信号に基づいて第二のステアリング角を演算し前記4輪車輪速信号に基づいて第三のステアリング角を演算する機能を備え、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との相互間の偏差が夫々所定値より大きいときに、前記第一のステアリング角が異常であると判定するステアリング角演算手段と
    を備えたことを特徴とする車両用操舵装置。
  6. 前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との間の偏差が夫々前記所定値以下であるとき、又は、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常が検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第三のステアリング角との間の偏差が前記所定値以下であるときは、前記第一のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用操舵装置。
  7. 前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常なしが検出され且つ前記第一のステアリング角と前記第二のステアリング角と前記第三のステアリング角との間の偏差が夫々前記所定値より大きいときは、前記第三のステアリング角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用操舵装置。
  8. 前記電動パワステ制御用演算手段と前記ステアリング角演算手段とは、夫々別の電源から電力の供給を受けることを特徴とする請求項1乃至7のうちの何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  9. 前記電動パワステ制御用演算手段と前記ステアリング角演算手段とは、夫々別々にグランドされた基板に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のうちの何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  10. 前記ステアリング角演算手段の異常の有無を検出するステアリング角演算異常監視手段を備え、前記電動パワステ制御用演算手段は、前記モータ回転角信号を前記ステアリング軸の絶対角信号に変換したステアリング絶対角を演算する機能を有し、前記ステアリング角演算異常監視装置により前記ステアリング角演算手段の異常が検出されたときは、前記電動パワステ制御用演算手段により演算された前記ステアリング絶対角を電動パワステ制御用以外の車両制御用に用いるステアリング角とすることを特徴とする請求項請求項1乃至9のうちの何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  11. 前記電動パワステ制御用演算手段は、前記ステアリング角演算異常監視手段により前記ステアリング角演算手段の異常が検出されたときに、前記ステアリング角演算手段が異常である旨の信号を出力する機能を有することを特徴とする請求項10記載の車両用操舵装置。
  12. 前記ステアリング角演算手段は、前記電動パワステ制御用異常監視手段により前記電動パワステ制御用演算手段の異常が検出されたときに、前記電動パワステ制御用演算手段が異常である旨の信号を出力する機能を有することを特徴とする請求項1乃至11のうちの何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  13. 前記電動パワステ制御用演算手段と前記ステアリング角演算手段とは、同一の筐体内に収納されていることを特徴とする請求項1乃至12のうちの何れか1項に記載の車両用操舵装置。
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