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JP2007050769A - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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JP2007050769A
JP2007050769A JP2005237479A JP2005237479A JP2007050769A JP 2007050769 A JP2007050769 A JP 2007050769A JP 2005237479 A JP2005237479 A JP 2005237479A JP 2005237479 A JP2005237479 A JP 2005237479A JP 2007050769 A JP2007050769 A JP 2007050769A
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Kenji Arai
健治 新井
Nobuyuki Kobayashi
伸行 小林
Takashi Ishikawa
剛史 石川
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Abstract

【課題】 通信ネットワークのノード数を減少させると共に、舵角検出手段に電源回路を設ける必要がない車両用走行制御装置を提供する。
【解決手段】 電力の供給によって操舵機構の舵角を検出して舵角検出信号を出力する舵角検出手段24と、この舵角検出手段24を接続し、当該舵角検出手段24で検出した舵角検出信号に基づいて車両の走行状態を制御すると共に、通信ネットワーク3に接続された走行制御手段4とを備え、前記舵角検出手段24に前記走行制御手段4を介して電源を供給するように構成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、操舵機構の舵角を検出し、検出した舵角に基づいて車両の走行状態を制御する車両用走行制御装置に関する。
この種の車両用走行制御装置としては、例えば夫々CANコントローラを有する旋回挙動ECU等の制御ユニット及びGセンサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ等のセンサをCANバスを介して互いに接続し、VSC制御(旋回挙動制御)を実行するうえで必要な旋回挙動ECU及び各種センサを、CANバス上におけるデータ送信の優先順位が高いノートとして設定するようにしたCAN通信方法及びシステムが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2003−264567号公報(第1頁、図1)
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、旋回挙動ECUと、ヨーレートセンサ、舵角センサ等の各種センサとがCANバスを介して接続されているので、旋回挙動ECUはCANバスを介してセンサ情報を取得して、旋回挙動制御を行うことができるものであるが、各種センサで必要とする電源は別途バッテリから供給するようにしており、通常各種センサでは、センサで使用するセンサ電圧がバッテリ電圧より低いため、各種センサ内に電源回路を設ける必要があり、部品点数が増加して製造コストが嵩むと共に、この電源回路で発熱を生じるので、この発熱に対する放熱性/耐熱性の設計を行わねばならず、筐体の設計自由度やレイアウト自由度に制約があるという未解決の課題がある。
また、CANバスに接続された各種センサは、異常の発生の有無を自己診断する必要があり、その診断結果を、後の異常解析を容易とするために電源の供給が停止されても保持するように、通常はEEPROM等の不揮発性メモリを備える必要があり、部品点数が増加すると共に、部品実装面積も増加するという未解決の課題がある。
さらに、CANのような通信システムを使用する場合には、各種センサやECUをCANバスに接続するノード数が増加すれば、CANバス上のトラフィック量を増大させることになり、通信周期が例えば10msec以上に制約されてしまい、高速通信を行うことができないので、例えば舵角を微分して舵角速度を算出し、さらに舵角速度を微分して舵角加速度を算出する場合などでは演算精度が低下するので、ノード数を必要最小限に削減する要求がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、通信ネットワークのノード数を減少させると共に、舵角検出手段に電源回路を設ける必要がない車両用走行制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用走行制御装置は、電力の供給によって操舵機構の舵角を検出して舵角検出信号を出力する舵角検出手段と、該舵角検出手段を接続し、当該舵角検出手段で検出した舵角検出信号に基づいて車両の走行状態を制御すると共に、通信ネットワークに接続された走行制御手段とを備え、前記舵角検出手段に前記走行制御手段を介して電源を供給するように構成したことを特徴としている。
また、請求項2に係る車両用走行制御装置は、電力の供給によって操舵機構の舵角を検出して舵角検出信号を出力する舵角検出手段と、該舵角検出手段を接続し、当該舵角検出手段で検出した舵角検出信号に基づいて車両の走行状態を制御すると共に、通信ネットワークに接続された走行制御手段とを備え、前記舵角検出手段に前記走行制御手段を介して電力を供給すると共に、舵角検出信号を前記走行制御手段を介して前記通信ネットワークに送信するように構成したことを特徴としている。
さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記走行制御手段は、操舵補助力を発生する電動モータを備えた電動パワーステアリング装置を制御する電動パワーステアリング制御装置で構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置は、請求項3に係る発明において、前記電動パワーステアリング制御装置は、前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段と、該回転角検出手段で検出したモータ回転角に基づいて舵角を推定する舵角推定手段と、該舵角推定手段で推定した舵角推定値と前記舵角検出手段で検出した舵角とを比較して当該舵角検出手段の異常を検出する異常検出手段とを備えていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る車両用走行制御装置は、請求項3又は4に係る発明において、電源の供給によって操舵機構に作用される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、前記電動パワーステアリング制御装置は、前記操舵トルク検出手段に電源を供給すると共に、当該操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを操舵補助制御し、さらに前記舵角検出手段で検出した舵角信号に基づいて中立位置への戻し制御を行うように構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る車両用走行制御装置は、請求項3乃至5の何れか1つの発明において、前記舵角検出手段と前記走行制御手段とは電気的に着脱可能に接続されていることを特徴としている。
本発明によれば、操舵機構の舵角を検出する舵角検出手段を、その舵角検出信号に基づいて車両の走行状態を制御する通信ネットワークに接続された走行制御手段に接続し、この走行制御手段を介して電力を舵角検出手段に供給するようにしたので、舵角検出手段が直接通信ネットワークに接続されることがないと共に、舵角検出手段に電源回路を設ける必要がなく、舵角検出手段の構成を簡易化することができると共に、通信ネットワークに舵角検出手段を接続するためのノードを設ける必要がなく、通信周期を短くすることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示すシステム構成図であって、自動車内通信システムとしてのCAN(Controller Area Network)を構成するCAN−Hライン1及びCAN−Lライン2とから2線式通信ラインに設定されたCANバス3に、電動パワーステアリング制御装置4と横滑り防止制御装置5とがデータ伝送可能に接続され、両制御装置4及び5には、バッテリ6の正極側及び負極側に接続された正極ライン11及び負極ライン12が接続されていると共に、イグニッションスイッチ7に接続されたイグニッションライン13が接続されている。
電動パワーステアリング制御装置4は、図2に示す電動パワーステアリング装置20を構成する電動モータ33を駆動制御する操舵補助制御を行うCPU4aと、CANバス3に接続されてCPU4aから出力される送信データをCANバス3に送信すると共に、CANバス3で伝送される自己宛のデータを取込んでCPU4aに入力する通信ドライバ4bと、CPU4aに接続されたCPU4aで実行するアプリケーションプログラムを格納したROM4c及びCPU4aで実行する演算処理過程で必要なデータや演算結果等を記憶するRAM4dと、異常データを記憶する不揮発性メモリとしてのEEPROM4eとを備えた電子制御装置(ECU)で構成されている。
一方、電動パワーステアリング装置20は、図2に示すように、ステアリングホイール21に運転者から作用される操舵力が入力軸22aと出力軸22bとを有するステアリングシャフト22に伝達される。このステアリングシャフト22は、入力軸22aの一端がステアリングホイール21に連結され、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ23を介して出力軸22bの一端に連結されている。これら入力軸22a及び出力軸22b間には図示しないトーションバーが介装されている。また、入力軸22aには、ステアリングホイール21の舵角を検出する舵角センサ24が配設されている。
そして、出力軸22bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント25を介してロアシャフト26に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント27を介してピニオンシャフト28に伝達される。このピニオンシャフト28に伝達された操舵力はステアリングギヤ29を介してタイロッド30に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ29は、ピニオンシャフト28に連結されたピニオン29aとこのピニオン29aに噛合するラック29bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン29aに伝達された回転運動をラック29bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト22の出力軸22bには、操舵補助力を出力軸22bに伝達する操舵補助機構31が連結されている。この操舵補助機構31は、出力軸22bに連結した減速ギヤ32と、この減速ギヤ32に連結された操舵補助力を発生する例えば直流モータで構成される電動モータ33とを備えている。
トルクセンサ23は、ステアリングホイール21に付与されて入力軸22aに伝達された操舵トルクを検出するもので、図3に示すように、入力軸22a及び出力軸22b間のずれを検出する2系列の平行出力接続のポテンショメータ35M及び35Sを有し、これらポテンショメータ35M及び35Sは、その一端が電動パワーステアリング制御装置4に接続された電源ラインLp1に接続され、他端が同様に電動パワーステアリング制御装置4に接続された接地ラインLn1に接続され、摺動子35aから出力される検出電圧VTが操舵トルク検出信号Tとして電動パワーステアリング制御装置4に信号ラインLsm及びLssを通じて出力される。また、ポテンショメータ35M及び35Sは、図4に示すように入力トルクに比例した電圧でなる操舵トルクTを出力し、両ポテンショメータ35M及び35Sでは所定のオフセット値OSが設定されている。
また、舵角センサ24は、図5に示すように、入力軸22aの周りに配設されたポテンショメータ41を有し、このポテンショメータ41の一端が電動パワーステアリング制御装置4に接続された電源ラインLp2に接続され、他端が同様に電動パワーステアリング制御装置4に接続された接地ラインLn2に接続され、摺動子41aから出力される検出電圧Vinが差動型のオペアンプ42の非反転入力側に接続され、このオペアンプ42の反転入力側にオフセット電圧Vneuが抵抗R1を介して供給されている。また、オペアンプ42の反転入力側及び出力側間にフィードバック抵抗R2が接続されている。さらに、オペアンプ42の出力側は電圧クランプ用として抵抗R3及びダイオードD1を介して電源ラインLp2に接続され、抵抗R3及びダイオードD1の接続点がA/Dコンバータ43に接続され、このA/Dコンバータ43の出力が信号ラインLdを通じて例えばシリアル通信によって電動パワーステアリング制御装置4に絶対舵角信号θとして入力される。
この構成において、オペアンプ42は、下記(1)式の演算式に基づいて出力信号Voutを出力する。
Vout=(1+R2/R1)×(Vin−Vneu)+Vneu ……(1)
ここで、舵角(入力信号Vin)と出力信号Voutとの関係を図示すると、図6の実線図示の特性になり、オフセット電圧Vneuを中心として、そのVneu地点からの差分電圧を(1+R2/R1)倍に協調する特性となっている。但し、オペアンプ42のダイナミックレンジの境界以上になれば、ダイオードD1によってクランプされる。
このようなオペアンプ42を使用すれば、抵抗R1及びR2の値を調整することで回転角の分解能を調整することができ、オフセット電圧Vneuの調整で検出領域の位置を調整することができる。なお、オペアンプ42のダイナミックレンジをできる限り大きくとりたい場合は、オペアンプ42の電圧Vampを電源ラインLp2の電圧Vccより大きくし、オペアンプ42自体も片電源型にすれば良い。抵抗R3及びダイオードD1はVamp>Vccの際の上限クランプ用として機能する。
さらに、CANバス3には、車両の車速を検出する車速センサ51及び車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ52が接続され、これら車速センサ51及びヨーレートセンサ52も夫々検出信号を演算処理する信号処理装置(DSP)51a及び52aと、これら信号処理装置51a及び52aで演算処理された車速信号V及びヨーレート信号ψをCANバス3に所定周期で送信する通信ドライバ51b及び52bを備えている。
そして、電動パワーステアリング制御装置4では、CANバス3によって自己宛に送信された車速信号V及びヨーレート信号ψを通信ドライバ4bで受信したときに、これら車速信号V及びヨーレート信号ψをRAM4dの所定記憶領域に更新記憶する外部割込処理を実行すると共に、図7に示す操舵補助制御処理を実行する。
この操舵補助制御処理は、先ず、ステップS11で、トルクセンサ23、車速センサ51、モータ電流検出回路61、モータ端子間電圧検出回路62等の各種センサの検出値を読込み、次いでステップS12に移行して、トルクセンサ23で検出した操舵トルクT及び車速センサ51で検出した車速Vに基づいて図9の操舵補助指令値算出マップを参照して操舵補助指令値IM *を算出する。
次いで、ステップS13に移行して、モータ電流検出値IMD及びモータ端子間電圧Vmに基づいて下記(1)式の演算を行ってモータ角速度ωを推定してからステップS14に移行する。
ω=(Vm−IMD・Rm)/K0 …………(1)
ここで、Rmはモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
ステップS14では、推定したモータ角速度ωと車速Vに基づいて設定されるゲインKvとを乗算して収斂性制御値Ic(=Kv・ω)を算出し、次いでステップS15に移行して、ハンドル戻し制御処理を実行してハンドル戻し制御値Ihを算出する。
このハンドル戻し制御処理は、図8に示すように、先ず、ステップS31で、舵角センサ24で検出した舵角θを読込み、次いでステップS32に移行して、舵角θをもとに図9に示すハンドル戻し基本電流値算出マップを参照してハンドル戻し基本電流値Ibを算出する。
次いで、ステップS33に移行して、車速信号Vを読込み、次いでステップS34に移行して、車速信号Vをもとに図10に示す車速感応ゲイン算出マップを参照して車速感応ゲインGvを算出し、算出した車速感応ゲインGvをハンドル戻し基本電流値Ibに乗算してハンドル戻し基本制御値Ibvを算出してからステップS35に移行する。
このステップS35では、舵角θを微分して舵角速度θ′を算出し、次いでステップS36に移行して、算出した舵角速度θ′が“0”であるか否かを判定し、θ′=0であるときには、ステアリングホイール21が停止しているものと判断してステップS37に移行し、ハンドル戻し制御値Ihを“0”に設定してからハンドル戻し制御処理を終了して図7のステップS16に移行する。
また、ステップS36の判定結果が、舵角速度θ′が“0”でないときには、ステップS38に移行して、舵角θの符号と舵角速度θ′の符号とが一致する否かを判定し、両者の符号が一致しないときには、ステアリングホイール21を中立位置即ち直進走行位置に戻すハンドル戻し時であるものと判断してステップS39に移行し、ステップS34で算出したハンドル戻し基本制御値Ibvをハンドル戻し制御値Ihとして設定してからハンドル戻し制御処理を終了して図7のステップS16に移行する。
さらに、ステップS38の判定結果が、舵角θの符号と舵角速度θ′の符号とが一致するときには、ステアリングホイール21を中立位置から離れる方向に切り増し操舵しているものと判断して前記ステップS37に移行して、ハンドル戻し制御値Ihを“0”に設定してから図7のステップS16に移行する。
図7の操舵補助制御処理に戻って、ステップS16では、操舵トルクTを微分演算処理してアシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行うセンタ応答性改善指令値Ir を算出し、次いでステップS17に移行して、操舵補助指令値IM *、収斂性制御値Ic、ハンドル戻し制御値Ih及びセンタ応答性改善補償値Irを加算して操舵補助補償値IM *′を算出してからステップS18に移行する。
このステップS18では、操舵補助補償値IM *′を微分してフィードフォワード制御用の微分値Idを算出する。次いで、ステップS19に移行して、操舵補助補償値IM *′からステップS11で読込んだモータ電流検出値IMDを減算して電流偏差ΔIを算出し、次いでステップS20に移行して、電流偏差ΔIを比例演算処理して比例補償制御用の比例値ΔIpを算出し、次いでステップS21に移行して、電流偏差ΔIを積分演算処理して積分補償制御用の積分値ΔIiを算出する。
次いで、ステップS22に移行して、微分値Id、比例値ΔIp及び積分値ΔIiを加算してモータ電流指令値IM(=Id+ΔIp+ΔIi)を算出し、次いでステップS23に移行して、前記ステップS23で算出したモータ電流指令値IMをモータ駆動回路40に出力してから前記ステップS1に戻る。
また、横滑り防止制御装置5は、舵角センサ24から電動パワーステアリング制御装置4を介し、CANバス3を介して供給される舵角θと、図示しないブレーキ圧力センサで検出した制動圧等から運転者の操舵量や制動量に基づいて目標横滑り量を算出し、算出した目標横滑り量とヨーレートセンサ52からCANバス3を介して入力されるヨーレートψに基づいて算出される実横滑り量とを比較して、両者の偏差に応じて左右輪の制動力を制御すると共に、エンジン出力を制御することにより、横滑り量を最適状態に制御して走行安定性を確保するように構成されている。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両の使用を開始するために、イグニッションスイッチ7をオン状態とすることにより、電動パワーステアリング制御装置4、横滑り防止制御装置5、車速センサ51及びヨーレートセンサ52に電源が投入されると共に、電動パワーステアリング制御装置4を介して操舵トルクセンサ23及び舵角センサ24に電源が投入される。
このため、ステアリングホイール21に作用される操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ23及びステアリングホイール21の舵角θを検出する舵角センサ24で検出した操舵トルクT及び舵角θはCANバス3を介することなく直接電動パワーステアリング制御装置4に入力され、舵角θは、電動パワーステアリング制御装置4の通信ドライバ4bを介してCANバス3に送信されて、舵角θを必要とする横滑り防止制御装置5等の各種制御機器に送信される。
一方、CANバス3に接続された車速センサ51で検出した車速信号Vは、CANバス3を介して、車速検号Vを必要とする電動パワーステアリング制御装置4等の各種制御機器に送信され、同様にCANバス3に接続されたヨーレートセンサ52で検出したヨーレート信号ψも、CANバス3を介して、ヨーレート信号ψを必要とする横滑り防止制御装置5等の各種制御機器に送信される。
横滑り防止制御装置5では、CANバス3を介して受信する舵角θ、各車輪の制動圧に基づいて目標横滑り量を算出すると共に、CANバス3を介して受信するヨーレート信号ψに基づいて算出される実横滑り量を算出し、目標横滑り量と実横滑り量との偏差に基づいて車両挙動を安定させるように左右輪の制動力を制御すると共に、エンジン出力を制御して、走行安定性を確保する。
一方、電動パワーステアリング制御装置4では、図7の操舵補助制御処理で、トルクセンサ23で検出した操舵トルクT、車速センサ51で検出した車速信号V、モータ電流検出回路61で検出したモータ電流検出値IMD、モータ端子間電圧検出回路62で検出したモータ端子間電圧Vm等を読込み(ステップS11)、操舵トルクTと車速Vとに基づいて図9に示す操舵補助指令値算出マップを参照して操舵補助指令値IM *を算出する(ステップS12)。
一方、モータ電流検出回路61で検出したモータ電流検出値IMD及びモータ端子間電圧検出回路62で検出したモータ端子間電圧Vmに基づいて前記(1)式の演算を行ってモータ角速度ωを推定する(ステップS13)。
そして、モータ角速度ωに基づいて収斂性制御値Icを算出し(ステップS14)、舵角θに基づいてハンドル戻し基本電流値Ibを算出し、車速信号Vに基づいて車速感応ゲインGvを算出し、ハンドル戻し基本電流値Ibに車速感応ゲインGvを乗算してハンドル戻し基本制御値Ibvを算出する(ステップS31〜S34)。次いで、舵角速度θ′を算出し、ステアリングホイール21を操舵していない状態では舵角速度θ′が“0”となるので、ハンドル戻し制御値Ihは“0”を維持する(ステップS37)。
また、操舵トルクTを微分してセンタ応答性改善補償値Irを算出し(ステップS16)、操舵補助指令値IM *、収斂性制御値Ic、ハンドル戻し制御値Ih及びセンタ応答性改善補償値Irを加算して操舵補助補償値IM *′を算出する(ステップS17)。
この操舵補助補償値IM *′の微分値Idを演算すると共に、操舵補助補償値IM *′とモータ電流検出値IMDとの電流偏差ΔIを算出し、電流偏差ΔIの比例値ΔIpと、この比例値ΔIpの積分値ΔIiとを加算することにより、モータ電流指令値IMを算出し(ステップS18〜S22)、算出したモータ電流指令値IMをモータ駆動回路63に出力することにより、電動モータ33を回転駆動して、ステアリングホイール21に作用される操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させ、この操舵補助力を減速ギヤ32を介して出力軸22bに伝達する。
このとき、車両が停車している状態でステアリングホイール21が操舵されていない非操舵状態では、トルクセンサ23で検出される操舵トルクTが“0”であるので、図7の操舵補助制御処理におけるステップS12で算出される操舵補助指令値IM *も“0”であり、電動モータ33も回転停止状態であるので、モータ角速度ωもゼロとなり、前述したようにハンドル制御値Ihも“0”となるので、操舵補助補償値IM *′も“0”となるので、モータ電流指令値IMも“0”となって、モータ駆動回路63に供給するモータ電流指令値IMも零となり、電動モータ33は停止状態を維持する。
この車両が停止している操舵停止状態から、車両を停止させた状態でステアリングホイール21を操舵する所謂据え切り状態では、図9に示す操舵補助指令値算出マップの特性線の傾きが大きいことにより、小さい操舵トルクTで大きな操舵補助指令値IM *を算出するので、電動モータ33で大きな操舵補助力を発生して軽い操舵を行うことができる。
一方、車両が発進して、所定車速以上となると、図9に示す操舵補助指令値算出マップの特性線の傾きが小さくなることにより、大きな操舵トルクTでも小さな操舵補助指令値IM *を算出するので、電動モータ33で発生する操舵補助力が小さくなり、ステアリングホイール21の操舵が軽くなりすぎることを抑制して最適な操舵を行うことができる。
また、例えば車両の直進走行中に、ステアリングホイール21を例えば中立位置から右切りして、操舵状態とし、所望の舵角θまで切り増してから保舵状態とすると、ステアリングホイール21が切り増し状態であるときには、そのときの操舵トルク信号Tに応じて操舵補助指令値IM *が増加するが、ハンドル戻し制御では、舵角θと舵角速度θ′との符号が一致するので、ハンドル戻し制御値Ihは“0”に設定され、操舵補助指令値IM *、収斂性制御値Ic、センタ応答性改善補償値Irに基づいて操舵補助補償値IM *′が算出され、良好な切り操舵を行うことができる。
この切り増し操舵状態から、ステアリングホイール21の回転を停止させる保舵状態となると、この保舵状態では、トルクセンサ23でセルフアライニングトルクに応じた操舵トルクTが検出されるので、このセルフアライニングトルクに抗する操舵補助指令値IM *が算出され、モータ角速度ωが“0”であると共に、舵角速度θ′も“0”となるので、収斂性制御値Ic及びハンドル戻し制御値Ihが共に零となって、操舵補助指令値IM *及びセンタ応答性開眼補償値Irとを加算して操舵補助補償値IM *′が算出され、これに基づいて保舵状態を維持するモータ電流指令値IMが算出される。
この保舵状態から、ステアリングホイール21から手を離して、中立位置側に戻すハンドル戻し操作を行うと、トルクセンサ23では操舵トルクTが“0”となり、操舵補助指令値IM *も“0”となるが、モータ角速度ωは負値となり、収斂性制御Icが算出されると共に、図8に示すハンドル戻し制御処理で、舵角θの符号と舵角速度θ′の符号とが不一致となり、ステップS38からステップS39に移行して、ハンドル戻し基本電流値Ibに車速感応ゲインGvを乗算したハンドル戻し基本制御値Ibvが算出され、これがハンドル戻し制御値Ihとして設定されるので、電動モータ33の慣性モーメントや減速ギヤ32の摩擦等が影響して、ステアリングホイール21の戻りが悪くなることを補償して、良好なハンドル戻し制御を行うことができる。特に、低速走行時には、セルフアライニングトルクが小さくなることにより、ハンドル戻りが遅くなるが、ハンドル戻し制御で、車速感応ゲインGvが大きな値となることにより、良好なハンドル戻し制御を行うことができる。
ところで、上記のように、電動パワーステアリング制御装置4で、良好な操舵補助制御を行うことができるものであるが、この操舵補助制御処理で使用する操舵トルクT及び舵角θを検出するトルクセンサ23及び舵角センサ24が電動パワーステアリング制御装置4に直接接続されると共に、電動パワーステアリング制御装置4から電源が供給されるので、トルクセンサ23及び舵角センサ24にバッテリ電圧Vbから制御電圧Vccを形成する電源回路を設ける必要がなく、この分トルクセンサ23及び舵角センサ24の部品点数を減少させて小型化することができると共に、製造コストの低減を図ることができる。
しかも、舵角センサ24にCANバス3との通信を行う通信ドライバ等の通信制御機器を設ける必要もないので、さらに舵角センサ24の構成を簡略化することかできる。
また、電動パワーステアリング制御装置4では、操舵トルクT及び舵角θについては、CANバス3を介することなく直接トルクセンサ23及び舵角センサ24から読込むことができるため、CANバス3のトラフィック量の影響を受けることなく、所望の短いタイミング(シリアル通信で1msec程度)で読込むことができるので、応答性を向上させて、正確な操舵補助制御処理を行うことができる。特に、上述したハンドル戻し制御処理のように、舵角θを微分して舵角速度θ′を算出する処理を行う場合に、良好な微分演算を安定して行うことかできる。
因みに、舵角センサ24を車速センサ51と同様にCANバス3に直接接続した場合には、CANバス3のトラフィック量が増加した場合にはその影響を受けて舵角θの送信周期が例えば10msec程度以上に長くなることから、操舵補助制御処理の演算周期も長くなって応答性が低下するものであるが、本発明では、CANバス3の影響を受けずに、高速な演算処理を行うことができる。
また、トルクセンサ23については電動パワーステアリング制御装置4でのみ必要となるものであるが、舵角センサ24で検出する舵角θについては横滑り防止制御装置5のように、舵角θを必要とする制御機器がCANバス3に接続されている場合には、電動パワーステアリング制御装置4の通信ドライバ4bを介して舵角θをCANバス3に送信することにより、CANバス3に新たなノードを設けることなく、舵角θを必要とする制御機器に送信することができる。したがって、車両ネットワークから見ると、物理的に接続されるノードの数を削減することができるため通信ネットワーク信号線の配索自由度を向上させることかできると共に、コネクタなどの接続手段も削減されることになり、コストの低減と信頼性向上という効果も得ることができる。
また、操舵補助制御処理で、電動パワーステアリング制御装置4以外の制御機器で舵角θを必要としない場合には、イグニッションスイッチ7がオン状態となった初期状態で、電動パワーステアリング制御装置4の通信ドライバ4bで、CANバス3への接続機器を認識して、舵角θの送信の有無を確認することにより、舵角θを必要としないときにCANバス3への舵角θの送信を停止することができ、この分CANバス3のトラフィック量を減少させて、他の車速信号V、ヨーレート信号ψ等の通信周期を短くすることができ、応答性を上げることができる。
また、舵角センサ24が異常状態となったときに、その直前の舵角θのデータを電動パワーステアリング制御装置4側に設けたEEPROM4eに記憶させることができ、故障診断装置をCANバス3に接続した場合に、電動パワーステアリング制御装置4のEEPROM4eから舵角センサ24の異常情報を収集することができ、舵角センサ24に異常診断用の不揮発性メモリを設ける必要がなく、この分でも舵角センサ24の小型化及び省コスト化を図ることができると共に、不揮発性メモリとの通信チャンネルを削減することができる。
因みに、車速センサ51のように、CANバス3に舵角センサ24を接続した場合には、異常診断装置をCANバス3に接続して異常診断を行う場合に、その異常診断を行うためのデータを電源供給が途絶えても保持するためには、舵角センサ24に不揮発性メモリを設ける必要があり、舵角センサ24の部品点数が増加して構成が大型化すると共に、製造コストも嵩むことになる。しかも、本発明では車両から見て舵角センサ24は電動パワーステアリング制御装置4を構成する1つの要素に過ぎないことになるため異常診断装置においては、舵角センサ24との通信機能を備える必要がなくなり、舵角センサとの通信ソフトウェアの開発/検証に要するコストを低減することができる。
また、電動パワーステアリング制御装置4に舵角センサ24を接続してから、電動パワーステアリング装置の組み立て完成検査工程で、舵角センサ24が検出する舵角θの中立位置と実際のステアリング角度の中立とを一致させる舵角センサの初期化を容易に行うことができる。また、このときに舵角センサが正常に動作するか否かをも容易に確認可能であり、仮に舵角センサ24に異常が発見された場合には、当然に車両組み付けられる前であるので、交換を容易に実施できる。
一方、舵角センサをCANバス3に独立して接続する従来例の場合には、舵角センサが認識する舵角の中立位置と実際のステアリング角度の中立とを一致させる舵角センサの初期化は、車両に舵角センサが組み付けられた状態で実施される。通常、車両の各種制御装置や様々な信号検出手段等の電装品に通電可能な状態になるのは車両の組立工程の極めて最終段に近い工程となる。舵角センサの異常が車両の組立工程の最終段に近い工程で発見された場合、その交換に要する手間は多大なものとなるが、本発明では、上述したように、電動パワーステアリング装置の組立工程で異常を検出して交換することができ、交換作業を容易に行うことができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図10〜図13について説明する。
この第2の実施形態においては、舵角センサ24の異常診断を容易に行うようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図10に示すように、電動モータ33として多相ブラシレスモータを適用し、このブラシレスモータのロータ位相センサ71からの位相信号PSを電動パワーステアリング制御装置4に入力して、この電動パワーステアリング制御装置4のCPU4aで、位相信号PSを加減算カウントすることにより、舵角推定値θpを算出し、算出した舵角推定値θpと舵角センサ24から入力される舵角θとを比較することにより、舵角センサ24の異常を検出する。
ここで、CPU4aは、上述した第1の実施形態における操舵補助制御処理の他に、図11に示す直進走行検出処理、図12に示す舵角推定処理及び図13に示す舵角異常検出処理を実行する。
直進走行検出処理は、所定のメインプログラムに対するタイマ割込処理として実行され、図11に示すように、先ず、ステップS41で、車速信号Vを読込み、次いでステップS42に移行して、車速信号Vが予め設定した設定車速Vs1(例えば5km/h程度)以上であるか否かを判定し、V≧Vs1であるときには、ステップS43に移行して、操舵トルクTを読込んでからステップS44に移行する。
このステップS44では、操舵トルクTの絶対値|T|が予め設定した無操舵状態を表す閾値Ts未満であるか否かを判定し、|T|<Tsであるときには無操舵状態であってステアリングホイール21が中立位置にある直進走行状態であると判断してステップS45に移行して、無操舵状態の継続時間カウント値tを“1”だけインクリメントしてからステップS46に移行する。
このステップS46では、継続時間カウント値tが予め設定した所定継続時間に相当するカウント設定値ts以上であるか否かを判定し、t<tsであるときには直進走行の継続時間が不足するものと判断してそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、t≧tsであるときには直進走行状態を所定時間継続して直進走行状態が確定されたものと判断してステップS47に移行し、直進走行状態フラグFDを直進走行状態であることを表す“1”にセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS42の判定結果が、車速信号Vが設定車速Vs1未満であるときには、ステップS48に移行して、継続時間カウント値tを“0”にクリアし、次いでステップS49に移行して、直進走行状態フラグFDを直進走行状態ではないことを表す“0”にリセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、舵角推定処理は、図12に示すように、所定のメインプログラムに対する所定時間毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS51で、車速信号Vを読込み、次いでステップS52に移行して、車速信号Vが前述した設定車速Vs1以上であるか否かを判定し、V<Vs1であるときには、ステップS53に移行して、舵角不定状態フラグFIを舵角推定値θpを算出することができない舵角不定状態であることを表す“1”にセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、V≧Vs1であるときにはステップS54に移行する。
このステップS54では、舵角不定状態フラグFIが“1”にセットされているか否かを判定し、FI=“1”であるときにはステップS55に移行して、前述した図11の直進走行検出処理で直進走行状態フラグFDが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときにはそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、走行状態フラグFDが“1”にセットされているときには、ステアリングホイール21が中立状態にあるものと判断してステップS56に移行する。
このステップS56では、舵角推定値θpを“0”に設定してからステップS57に移行し、舵角不定状態フラグFIを舵角推定値θpを算出可能な状態であることを表す“0”にリセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS54の判定結果が、舵角不定状態フラグFIが“0”にリセットされているときには、ステップS58に移行して、直進走行状態フラグFDが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときには前記ステップS56に移行し、“0”にリセットされているときにはステップS59に移行する。
このステップS59では、各ロータ位相センサ71の位相信号を読込み、次いでステップS60に移行して、各位相信号の極性切換わりの順序から電動モータ33の回転方向を算出し、次いでステップS61に移行して、電動モータ33の回転方向が正転方向であるか否かを判定し、正転方向であるときにはステップS62に移行して、舵角推定値θpを“1”だけインクリメントしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、逆転方向であるときにはステップS63に移行して、舵角推定値θpを“1”だけデクリメントしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらに、舵角異常検出処理は、図13に示すように、所定のメインプログラムに対する所定時間毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS71で、舵角不定状態フラグFIが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときにはそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、“0”にリセットされているときにはステップS72に移行する。
このステップS72では、舵角θ及び舵角推定値θpを読込み、次いでステップS73に移行して、舵角θから舵角推定値θpを減算して舵角偏差Δθを算出し、次いでステップS74に移行して、算出した舵角偏差Δθの絶対値|Δθ|が予め設定した誤差範囲を設定する設定値Δθs以上であるか否かを判定し、|Δθ|<Δθsであるときには、舵角θが正常であるものと判断して、ステップS75に移行し、舵角θ及び舵角推定値θpをRAM4dに形成した順次所定個数を記憶可能なシフトレジスタに記憶し、次いでステップS76に移行して、後述する異常回数Nを“0”にクリアしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、ステップS74の判定結果が、|Δθ|≧Δθsであるときには、舵角θが異常であるものと判断してステップS77に移行し、前記ステップS75と同様に、舵角θ及び舵角推定値θpをRAM4dに形成した順次所定個数を記憶可能なシフトレジスタに記憶し、次いでステップS78に移行して、シフトレジスタに記憶されている所定数の舵角θ及び舵角推定値θpを不揮発性メモリとしてのEEPROM4eに格納してからステップS79に移行し、舵角センサ24に対する制御電源Vcc、Vneu及びVampを一端遮断して、オペアンプ42及びA/Dコンバータ43をリセットし、次いでステップ80に移行して、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS81に移行して、舵角センサ24に対する制御電源Vcc、Vneu及びVampを再度投入してからステップS82に移行する。
このステップS82では、異常回数カウント値Nを“1”だけインクリメントしてからステップS83に移行し、異常回数カウント値Nが設定値Ns以上となったか否かを判定し、N<Nsであるときにはそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、N≧NsであるときにはステップS84に移行して、警報回路70に警報信号を出力し、次いでステップS85に移行して、舵角推定値θpを舵角θとして設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記第2の実施形態の動作を説明する。
今、車両が設定車速Vs1未満で走行しているか又は停止しているときには、図11の直進走行検出処理では、車速信号Vが設定車速Vs1未満であるので、ステップS42からステップS48に移行して、継続時間カウント値tが“0”にクリアされると共に、ステップS49に移行して、直進走行状態フラグFDが“0”にリセットされた状態を継続する。
また、図12の舵角推定処理では、車速信号Vが設定車速Vs1未満であるので、ステップS52からステップS53に移行して、舵角不定状態フラグFIを“1”に設定する。
このため、図13の舵角異常検出処理では、舵角不定状態フラグFIが“1”にセットされているので、舵角異常を判定することなくタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この状態から、車速信号Vが設定車速Vs1以上となると、図11の直進走行検出処理で、ステップS42からステップS43に移行して操舵トルクTを読込む。このとき、運転者がステアリングホイール21を操舵していて旋回走行をしている状態では、トルクセンサ23で、設定値Ts以上の操舵トルクTを検出しているので、ステップS44からステップS48に移行して、継続時間カウント値tを“0”にクリアし、直進走行状態フラグFDを“0”にリセットした状態を継続する。
この旋回走行状態では、図12の舵角推定処理で、車速信号Vが設定車速Vs1以上であることからステップS52からステップS54に移行するが、前回の走行状態で、舵角不定状態フラグFIが“1”にセットされたままであるので、ステップS55に移行し、直進走行状態フラグFDが“0”にリセットされているので、ステップS56に移行することなくそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。このため、図13の舵角異常検出処理では舵角不定状態フラグFIが“1”にセットされているので、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この旋回走行状態から直進走行状態に移行すると、トルクセンサ23で検出する操舵トルクTが略零に近い値となるので、図11の直進走行検出処理で、ステップS44からステップS45に移行して、継続時間カウント値tがインクリメントされてからステップS46に移行して、継続時間カウント値tが設定値ts以上であるか否かを判定するが、直進走行状態となったばかりであるので、そのままタイマ割込処理を終了する。
この直進走行状態を継続して、図11の直進走行検出処理で、継続時間カウント値tが設定値ts以上となると、ステップS46からステップS47に移行して、走行状態フラグFDが“1”にセットされる。
このため、図12の舵角推定処理で、ステップS55からステップS56に移行して、舵角推定値θpが中立位置を表す“0”に設定され、次いでステップS57に移行して、舵角不定状態フラグFIが“0”にリセットされる。
このため、図13の舵角異常検出処理では、ステップS71からステップS72に移行し、舵角θ及び舵角推定値θpを読込み、次いでステップS73で舵角偏差Δθを算出する。このとき、舵角センサ24が正常であるときには、舵角θと舵角推定値θpとの舵角偏差Δθが“0”に近い値となるので、ステップS74からステップS75に移行して、舵角θ及び舵角推定値θpを異常診断用としてシフトレジスタに記憶し、次いでステップS76に移行して、後述する異常回数Nを“0”にクリアしてからからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
そして、車両が直進走行状態を継続している場合には、図11の直進走行検出処理で、直進走行状態フラグFDが“1”にセットされたままとなるので、図12の舵角推定処理で、ステップS54からステップS58に移行するが、ステップS56に移行して、舵角推定値θpは“0”を継続する。
その後、車速信号Vが設定車速Vs1以上の走行状態を継続している状態で、運転者がステアリングホイール21を操舵して旋回状態に移行すると、操舵トルクTの絶対値|T|が設定値Ts以上となるので、図11の直進走行検出処理で、ステップS44からステップS48に移行して、継続時間カウント値tを“0”にクリアし、次いでステップS49に移行して、走行状態フラグFDが“0”にリセットされるので、図12の舵角推定処理で、ステップS58からステップS59に移行して、各ロータ位相センサ71の位相信号PSを読込み、各位相信号PSの極性切換わりの順序から回転方向を算出し(ステップS60)、回転方向が正転方向であるときにはステップS62に移行して、舵角推定値θpがインクリメントされて正方向に増加し、逆転方向であるときにはステップS63に移行して舵角推定値θpがデクリメントされて負方向に増加する。
このとき、舵角センサ24が正常であるときには、ステアリングホイール21の操舵方向が正転方向であるときには舵角θが正方向に増加し、逆転方向であるときには舵角θが負方向に増加することになる。このため、図13の舵角異常検出処理で、舵角偏差Δθの絶対値|Δθ|が設定値Δθsより小さい値となるので、ステップS74からステップS75に移行して、舵角θ及び舵角推定値θpがシフトレレジスタに記憶される。このため、シフトレジスタには常時設定数の舵角θ及び舵角推定値θpが順次更新記憶される。
この舵角センサ24が正常な状態から、A/Dコンバータ43の変換処理異常やポテンショメータの摺動子41aの接触不良、各種接続線の断線等が生じて、異常状態となると、出力される舵角θが実際のステアリングホイール21の舵角と異なる値となる。
このため、車両が設定車速Vs1以上で走行している状態では、図12の舵角推定処理で、電動モータ33の各ロータ位相センサ71の位相信号PSに基づいて極性切換わり順序から回転方向及び所定回転量を算出し、これに基づいて舵角推定値θpを加減算することにより、ステアリングホイール21の操舵に追従した舵角推定値θpを算出しているので、舵角センサ24に異常が発生して舵角θが変化すると、図13の舵角異常検出処理で、舵角偏差Δθの絶対値|Δθ|が設定値Δθs以上となる。
このため、ステップS74からステップS77に移行して、現在の舵角θ及び舵角推定値θpをシフトレジスタに記憶し、次いでステップS78に移行して、シフトレジスタに記憶されている設定数の舵角θ及び舵角推定値θpをEEPROM4eに格納してからステップS79に移行して、電動パワーステアリング制御装置4から舵角センサ24に供給する制御電源Vcc、Vneu及びVampを一旦遮断し、その後所定時間が経過してから制御電源Vcc、Vneu及びVampを再投入する。
このため、舵角センサ24のオペアンプ42及びA/Dコンバータ43の電源が遮断されてから再投入されることにより、これらオペアンプ42及びA/Dコンバータ43がリセット状態となり、舵角センサ24の異常がオペアンプ42の電源異常又はA/Dコンバータ43の演算処理異常であるときには、これらをリセット状態とすることにより、正常状態に復帰させることができる。この場合には、次回のサンプリング時に舵角異常検出処理で、舵角θが正常値に復帰することになり、舵角偏差Δθが小さい値となることから、舵角θ及び舵角推定値θpをシフトレジスタに記憶し、異常回数Nを“0”にクリアする。
しかしながら、舵角センサ24の異常が断線や、地絡、天絡である場合には、制御電源Vcc、Vneu及びVampの再投入によっても回復する可能性は殆どないので、図13の舵角異常検出処理で舵角偏差Δθの絶対値|Δθ|が設定値Δθs以上の状態が継続されることになり、異常回数Nが増加して、これが設定値Ns以上となると、ステップS83からステップS84に移行して、警報回路70に警報信号が出力されて警報が発せられると共に、舵角推定値θpが舵角θとして設定されることにより、この舵角θに基づいてハンドル戻し制御処理が継続される。
このように、上記第2の実施形態によると、舵角センサ24の異常を舵角異常検出処理で検出することができ、電動パワーステアリング制御装置4から舵角センサ24に電源を供給しているので、舵角センサ24の異常を検出したときに、舵角センサ24に対する電源供給を一時的に遮断して舵角センサ24の内部回路をリセットすることが可能となり、A/Dコンバータ等の内部回路の異常発生時に、異常回復処理を行うことかできるという効果が得られる。
しかも、舵角センサ24で検出した舵角θ及び舵角推定処理で算出した舵角推定値θpを順次所定個数シフトレジスタに記憶しておき、舵角センサ24の異常発生時に、シフトレジスタに記憶されている所定個数の舵角θ及び舵角推定値θpを電動パワーステアリング制御装置4に設けた不揮発性メモリとしてのEEPROM4eに格納するようにしたので、電動パワーステアリング制御装置4の電源が遮断された状態でも、異常に至る過程の舵角θ及び舵角推定値θpを保存することができ、後にCANバス3に異常診断装置を接続して舵角センサ24の異常解析を行う場合に、EEPROM4eから異常データを正確に抽出することができ、正確な異常診断を行うことができる。
なお、上記第2の実施形態においては、舵角センサ24が異常であると判断されたときに、舵角推定値θpを舵角θとして設定して、ハンドル戻し制御を継続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、舵角センサ24が異常であると判断されたときに、舵角推定処理を中止すると共に、舵角θを使用するハンドル戻し制御を中止するようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、舵角センサ24としてポテンショメータ41及び差動増幅するオペアンプ42を使用して絶対舵角を検出するように構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリングシャフト22にその回転角を検出して90°位相のずれた2つのパルス信号を出力する光学的又は磁気的エンコーダを配設して、2つのパルス信号を加減算すると共に、中立位置を中立位置センサで検出することにより、舵角θを検出する舵角センサを適用することもでき、任意の構成の舵角センサを適用することができる。
同様に、トルクセンサ23としても、ポテンショメータを適用する場合に代えて、回転軸に生じたトルクに応じて互いに逆方向にインピーダンスが変化するようになっている一対のコイルの夫々と、一対の電気抵抗とを個別に直列に接続し、コイルと電気抵抗との角接続部に発生する過渡電圧に基づいてトルクを検出するトルクセンサを適用することもでき、さらにはトルクセンサの2系統出力が平行出力特性となる場合に限らず2系統出力がクロス出力特性となるトルクセンサでも適用することができ、任意の構成のトルクセンサを適用することができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、舵角センサ24を電動パワーステアリング制御装置4に接続した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、舵角θを使用する他の走行制御装置に接続して、接続した制御機器から電源を供給するようにすればよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、舵角センサ24を電動パワーステアリング制御装置4に直接接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動パワーステアリング制御装置にコネクタを介して着脱自在に接続するようにしてもよく、この場合には、電動パワーステアリング制御装置でハンドル戻し制御などの舵角θを使用する制御を行わず、他の制御機器でも舵角θを必要としない場合には、コネクタに舵角センサ24を接続しない状態とすることが可能となると共に、舵角センサ24に異常が発生した場合の交換を容易に行うことができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、電動パワーステアリング制御装置4をCPU4aによるソフトウェア処理によって構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、論理回路、比較回路、設定器等を組み合わせたハードウェア構成とすることもできる。
本発明の第1の実施形態を示すシステム構成図である。 本発明を適用し得る電動パワーステアリング装置を示す概略構成図である。 第1の実施形態に適用し得るトルクセンサの一例を示す回路図である。 図3のトルクセンサの出力特性を示す特性線図である。 第1の実施形態に適用しうる舵角センサの一例を示す回路図である。 図5の舵角センサの出力特性を示す特性線図である。 第1の実施形態におけるCPUで実行する補助操舵処理手順の一例を示すフローチャートである。 図7のハンドル戻し制御処理の一例を示すフローチャートである。 操舵補助指令値算出マップを示す特性線図である。 本発明の第2の実施形態を示す電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 第2の実施形態におけるCPUで実行する直進走行検出処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるCPUで実行する舵角推定処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるCPUで実行する舵角異常検出処理手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1…CAN−Hライン、2…CAN−Lライン、3…CANバス、4…電動パワーステアリング制御装置、4a…CPU、4b…通信ドライバ、4c…ROM、4d…RAM、4e…EEPROM、5…横滑り防止制御装置、6…バッテリ、7…イグニッションスイッチ、20…電動パワーステアリング装置、21…ステアリングホイール、22…ステアリングシャフト、23…トルクセンサ、24…舵角センサ、29…ステアリングギヤ、31…操舵機構、32…減速ギヤ、33…電動モータ、40…モータ駆動回路、51…車速センサ、52…ヨーレートセンサ、61モータ電流検出回路、62…モータ端子間電圧検出回路、71…モータ位相センサ

Claims (6)

  1. 電力の供給によって操舵機構の舵角を検出して舵角検出信号を出力する舵角検出手段と、該舵角検出手段を接続し、当該舵角検出手段で検出した舵角検出信号に基づいて車両の走行状態を制御すると共に、通信ネットワークに接続された走行制御手段とを備え、前記舵角検出手段に前記走行制御手段を介して電源を供給するように構成したことを特徴とする車両用走行制御装置。
  2. 電力の供給によって操舵機構の舵角を検出して舵角検出信号を出力する舵角検出手段と、該舵角検出手段を接続し、当該舵角検出手段で検出した舵角検出信号に基づいて車両の走行状態を制御すると共に、通信ネットワークに接続された走行制御手段とを備え、前記舵角検出手段に前記走行制御手段を介して電力を供給すると共に、舵角検出信号を前記走行制御手段を介して前記通信ネットワークに送信するように構成したことを特徴とする車両用走行制御装置。
  3. 前記走行制御手段は、操舵補助力を発生する電動モータを備えた電動パワーステアリング装置を制御する電動パワーステアリング制御装置で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置。
  4. 前記電動パワーステアリング制御装置は、前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段と、該回転角検出手段で検出したモータ回転角に基づいて舵角を推定する舵角推定手段と、該舵角推定手段で推定した舵角推定値と前記舵角検出手段で検出した舵角とを比較して当該舵角検出手段の異常を検出する異常検出手段とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の車両用走行制御装置。
  5. 電源の供給によって操舵機構に作用される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、前記電動パワーステアリング制御装置は、前記操舵トルク検出手段に電源を供給すると共に、当該操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを操舵補助制御し、さらに前記舵角検出手段で検出した舵角信号に基づいて中立位置への戻し制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用走行制御装置。
  6. 前記舵角検出手段と前記走行制御手段とは電気的に着脱可能に接続されていることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
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