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JP5099767B2 - 解体可能な酸化剤含有接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤によって組み立てられた構造体又は物品をその接着部において簡単に解体させることを可能にする解体性接着剤に関する。
接着剤は、構造用接着剤をはじめとして、より接着力が強く、より耐久性が長く、さらには、耐熱性、温度環境の変動にも強いものが求められ、開発が進められてきた。しかしながら、限り有る資源を有効に使用しようとするリサイクルの面では、アセンブリーされた部品を再利用するには、解体可能な接着剤の開発が必須である。
解体性接着剤とは、使用期間後に何らかの処置により接合部をはがしうるものである。このような接着剤として、熱可塑性接着剤は、加熱により接合部の解体が可能であるが、いったん冷却すると再び接着力が復活する。解体の場合は、接着剤だけを加熱することは困難であるため、高い雰囲気温度で解体されるが、高温となった接合物の解体は、危険性の高いものであった。この問題を解決するため、熱可塑性よりもより高強度の接着力が要求される熱硬化性接着剤にも適用可能な熱膨張性マイクロバルーン、熱膨張性黒鉛あるいは、分解性高分子(ポリペルオキシド)などの開発が進められている(非特許文献1参照)。しかしながら熱膨脹性マイクロバルーンは耐熱性、初期接着強度が依然低く、熱膨張性黒鉛は粒径が大きいため実用的接着剤厚として使用が困難である、解体時の加熱温度が高いといった課題が残されている。(特許文献2参照)
しかしながら、接着剤に解体性を付与する試みにおいて、最大の課題は、加熱等の外的刺激を加えた後、冷却後に接着力が残存することにある。接着構造体は、通常、加熱などで接着部を熱劣化、熱分解させて、解体しようとしても、密閉された空間であるから、酸素供給がされず、かなりの高温にさらしても接着力が残存する。また、場合によっては、いわゆる焼き付きを生じ、解体することが極めて困難である。このため、接着構造体を加熱により解体しようとすると、高い温度が必要となり、金属/FRP(繊維補強プラスチック)などの構造体を解体する場合、FRPの機能や構造が失われるため、リサイクルというニーズにおいて、極めて問題であった。
また、近年の自動車の省エネの要求から、自動車の軽量化のためにFRPを金属部品と置換していく流れがあり、FRPの持つ破断しやすいという欠点から、金属とFRPを積層して成型する方法が考えられているが、このような積層品の場合は、特に解体が困難であり問題であった。
佐藤千明,高分子,2005年,6月号,390頁 特開2004−189856号公報
本発明は接着後に初期強度を低下させること無く、必要な場合に外的刺激によって比較的低温で接着部を解体させることができ、且つ冷却後も解体することが可能な接着剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記従来技術の問題点を克服するため、鋭意研究した結果、酸化剤を接着剤に含有させることにより、外的刺激により該酸化剤を分解させ、発生する酸素によって、接着剤成分を燃焼させることにより、接着剤の残存強度の極小化、あるいは、完全に消失させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記に記載するとおりの、解体可能な接着剤、接着方法、解体方法を提供する。
有機系接着剤成分及び酸化剤を含有する解体性接着剤であって、有機系接着剤成分と酸化剤の重量比が50/1〜3/1であって、有機接着剤成分が、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル(SGA)或いはアクリル酸ジエステルを主成分とする接着剤、エポキシ樹脂を変性させた樹脂からなる接着剤、又は前記接着剤の2種類以上を混合してなる接着剤であることを特徴とする解体性接着剤。
本発明の解体性接着剤によれば、該接着剤を用いて接着した接着構造体を外的刺激によって容易に解体することが可能となる。
本発明の解体性接着剤は外的刺激によって接着性が低下又は消失するため、該接着剤を用いて接着した接着構造体を容易に解体することが可能となる。
本明細書で言う外的刺激とは、熱、火等の物理的な刺激をいい、より具体的には、熱風加熱、赤外線照射、高周波加熱、化学反応熱、摩擦熱等、ガスバーナーなどの火による加熱が挙げられる。本発明の接着剤によって接着された接着構造体に上記外的刺激が与えられると、接着剤の温度が上昇し、接着剤成分が有する接着力が低下するという現象に加え、外的刺激を受けることで、その際、酸化剤中の酸素が接着剤の熱分解・燃焼を促し、酸化剤が無添加の場合に比べ、接着剤の炭化を促進し、接着力を大きく低減、あるいは、消失させることができる。
大型の接着された構造体を均一加熱するという点では、電気炉、ガス炉等の内部構造に加熱部を有し、外部が断熱材で構成されたものの内部空間で構造体を加熱する方法がより好ましい。また、解体時の温度としては、金属/FRP接合体、FRP/FRP接合体などは、FRPの融点以下で短時間での解体を可能とすることは、極めて重要な課題である。例えば、複合材料に使用される樹脂PPS(ポリフェニレンサルファイド、融点:280℃)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン、融点:335℃)などの接着構造体の解体においては、リユースを考慮した場合に、樹脂に対して融点以上の温度での加熱を長時間行わないことは樹脂の変質を招かないために重要であり、加熱温度は350℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃以下である。
本発明において利用できる接着剤成分としては、何ら限定されるものではないが、本発明の主旨が、解体しにくいものを解体することにあるから、構造用の接着剤を用いること好ましい。構造用接着剤とは、「長期間破壊することなく、その最大破壊荷重に比較的近い応力を加えることのできる信頼性の保証された接着剤」(接着応用技術 日経技術図書株式会社発行 1991年 P93 接着剤の分類参照)であり、化学組成による分類によれば、(同上図書 P99)熱硬化性、アロイがよい。
本発明の解体性接着剤に用いることができる有機系接着剤成分を例示すれば、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、レゾルシノール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンズイミダゾール、アクリル(SGA)、アクリル酸ジエステル、シリコーンゴム系などを主成分とする接着剤を挙げることができる。アロイとしては、エポキシフェノリック、エポキシポリサルファイド、エポキシナイロン、二トリルフェノリック、クロロプレンフェノリックビニルフェノリック等、または上記物質を変性させた樹脂、上記物質を2種類以上混合した樹脂が使用できる。特にエポキシ樹脂系接着剤は、副生成物を遊離せずに硬化し、高いせん断強さを有しており、好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が、反応性および作業性の面で特に好ましい。
構造用接着剤の場合、実施例で示したような引張強度測定を常温で実施したときに10MPa以上の値を示すものが好ましい。
酸化剤の一般的定義は、酸化作用を有する物質であり、1)酸素を与えるもの、2)水素を奪うもの、3)正の酸化数を増大させるもの、4)電子を奪うもの、に分類されている。本発明でいう酸化剤とは、このように定義されているもののうち、1)の「酸素を与えるもの」であり、外的刺激で、酸素を放出するものであればよい。具体的には、過塩素酸塩(例えば、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウムなど)、塩素酸塩(塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸マグネシウムなど)、硝酸塩(硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅など)、金属過酸化物(過酸化カルシウム、過酸化カリウムなど)、亜硝酸塩、臭素酸塩、クロム酸塩、過マンガン酸塩、硫酸塩などがある。2種以上を組み合わせて用いても良い。
酸化剤は密閉条件下で発熱分解することが好ましい。接着剤と酸化剤の熱分解により接着剤は解体されるので密閉条件下で発熱分解する酸化剤を用いれば接着剤の解体を促進することができる。ここで言う密閉条件下で発熱分解する酸化剤とは密閉セルを用いて示差走査熱量分析装置で測定した際に発熱分解する酸化剤のことである。
また、酸化剤は接着剤成分に混合して用いるものであるため、固形粉末状であるものが好ましいが、常温常圧下で液体でかつ接着剤成分と相溶性の良い酸化剤であってもよい。 過塩素酸系酸化剤、特にロケット用酸化剤として用いられる過塩素酸アンモニウムは、密閉条件下で発熱分解し、入手しやすく、かつ、粉砕を必要とする場合に(接着剤に混合する際、または、接着剤の粘度を調整するような場合)安全性が高く、さらに好ましい。また、硝酸塩は、その分解ガスが主に窒素からなり、環境面で好ましい。
本発明においては、酸化剤と共に分解促進剤を接着剤に含有させてもよい。
本明細書でいう分解促進剤とは、上記酸化剤と併用して用いた場合、酸化剤の分解反応を促進するものを意味し、酸化剤分解の触媒作用や、熱伝導性の向上により酸化剤の分解を促進する物質である。
例えば、硝酸アンモニウムの分解は、クロム酸塩によって、また、過塩素酸アンモニウムの分解は、MnO、Feによって、促進されることが知られている(「ロケット工学」日刊工業新聞社、昭和35年3月25日発行、P230〜231参照)。
そのほか、nBF(ノルマルブチルフェロセン)、DnBF(ジノルマルブチルフェロセン)、FeO(OH)などが知られている(木村逸郎著「ロケット工学」 養賢堂 1993年1月27日発行、P523参照)。
分解促進剤は、酸化剤と併用し、接着剤に混合して用いるものであることから、固形粉末状であるもの、または、常温で液体であるものが、かつ、機能として、金属の熱伝導率のよさを利用して酸化剤の分解を促進するものであることから、金属を含有する化合物が好ましい。具体的には、上記参考文献に記載された化合物のほか、粉末にできる、酸化第一鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化コバルト、銅クロマイトなどの金属酸化物、フェロセン、ジメチルフェロセン、フェロシリコンなどの分子内に金属を含む化合物が使用可能である。さらには、微細な表面構造に起因した触媒作用を有する活性炭も使用可能である。これらを2種類以上組み合わせて用いても良い。
また、本発明においては酸化剤、もくしは酸化剤と分解促進剤とともに発熱剤を接着剤に含有させても良い。本明細書でいう発熱剤とは自己が分解温度に達すると発熱しながら分解するもので、上記酸化剤、もくしは酸化剤と分解促進剤を含有した接着剤の熱分解、燃焼を促進したり、上記酸化剤、もくしは酸化剤と分解促進剤を含有した接着剤を解体する際の雰囲気温度を低下させたりすることが出来る。具体的には3−アジドメチル−3−オキセタンポリマー(AMMO)、グリシジルアジドポリマー(GAP)、3,3ビスアジドメチルオキセタンポリマー(BAMO)などのアジド基含有物の他に、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、尿素、硝酸グアニジン、ビスカルバモイルヒドラジン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、トリメチレントリニトロアミン(RDX)、テトラメチレンテトラニトロアミン(HMX)、ウラゾール、トリアゾール類、テトラゾール類などが使用可能である。これらは、上述の通り、酸化剤もしくは、酸化剤と分解促進剤を含有した接着剤の熱分解、燃焼を促進し、解体温度を低下させるため、酸化剤の分解温度と同程度か、それ以下が好ましい。
酸化剤、分解促進剤、発熱剤は、予め接着剤成分に含有させておいても良いし、硬化前の接着剤中での長期安定性に問題がある場合等は、接着剤使用時に混合しても良い。
酸化剤の添加量としては、解体性、接着剤の初期強度、接着剤の粘度の観点から、接着剤成分と酸化剤の重量比は、100/1〜2/3が好ましい。酸化剤が少なすぎると解体性が低下し、酸化剤が多すぎると接着剤の初期強度の低下や、接着剤の粘度上昇が著しくなる。より好ましい接着剤成分と酸化剤の重量比は、75/1〜2/1であり、さらに好ましくは50/1〜3/1である。
分解促進剤を添加する場合は、解体性、接着剤の耐熱性の観点から、酸化剤と分解促進剤の重量比は50/1〜1/5が好ましい。添加量が少なすぎると、有効な分解促進効果が得られず、添加量が多すぎると接着剤の耐熱性低下が著しくなる。より好ましい酸化剤と分解促進剤の重量比は45/1〜1/3であり、さらに好ましくは40/1〜1/2である。
発熱剤を添加する場合は、解体性の観点から、酸化剤と発熱剤の重量比は、1/1〜1/100が好ましい。より好ましい酸化剤と発熱剤の重量比は1/2〜1/80であり、さらに好ましくは1/3〜1/50である。
また、酸化剤と分解促進剤、発熱剤を併用する場合であっても、接着剤の初期強度、接着剤の粘度の観点から、接着剤成分(A成分)と酸化剤、分解促進剤、発熱剤の総量(B成分)の重量比は、2/3以下であることが好ましい。
粒径については、一般的に接着剤の厚みが最大でも1mm程度であることから、酸化剤、分解促進剤、発熱剤において、1mm以下が好ましい。また、粒径が細かくなると表面積が増大し、接着剤との反応性が向上することや、接着剤中での分散性が向上することから100μm以下がより好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。なお、本明細書において粒径とは、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定したメジアン径をいう。
本発明の接着剤の使用箇所は、特に制限されるものではないが、リサイクル、リユース、リワーク用途に使用することが可能であり、金属−FRPや、金属−ガラスのような異材質の接着に好適に用いることが出来る。また異種の金属−金属、FRP−FRPの接着に用いることも可能である。
本発明の効果を実証するために、以下の実験を実施した。
<接着剤の調製>
構造用接着剤として、広く用いられるエポキシ樹脂系接着剤を用いた。用いたエポキシ樹脂系接着剤は、以下のように調製した。
主剤としてビスフェノールF型エポキシ(旭電化工業製 アデカレジンEP−4901)、ブチルグリシジルエーテル(日本油脂製 エピオールB−4)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(旭電化工業製 アデカグリシロールED−529E)を85/5/10の組成比とし、エポキシ樹脂主成分(A)とした。 硬化剤として、変性脂肪族ポリアミン(旭電化工業製 アデカハードナーEH−463)(B)を使用した。接着硬化する組成配合としてA/B=100/35を混合し、接着剤組成(基本接着剤)とした。
本発明の効果を示すために、表1に示すように、基本接着剤のみのもの(配合組成1)、基本接着剤に酸化剤としてAP(過塩素酸アンモニウム)(粒径10.08μm)を配合したもの(配合組成2)及び酸化剤としてのAP(過塩素酸アンモニウム)(粒径10.08μm)と分解促進剤(熱伝導性物質)として三酸化二鉄(1.41μm)を配合したもの(配合組成3)、酸化剤としてのAP(過塩素酸アンモニウム)(粒径10.08μm)と発熱剤としてのGAP(グリシジルアジドポリマー)を配合したもの(配合組成4)をそれぞれ調製した。また、類似技術である熱膨張性黒鉛を配合したもの(配合組成5)、熱膨張性マイクロバルーンを配合したもの(配合組成6)についてもそれぞれ調製した。
Figure 0005099767
<接着強度の測定>
接着強度の測定には、上記組成の接着剤組成物を直径約2.85cm円柱の金属チップ(重さ139.5g;SUS製)円形断面部に塗布し、同じ形状の金属チップで挟み、加温装置により100℃で2時間加温し硬化させ、接着構造体試料を得た。得られた試料の引張強度(加熱前強度)を測定温度25℃、5mm/minの引張速度で測定した。測定結果を表2に示す。
<電気炉剥離試験>
剥離試験(比較例3を除く)時の加熱は、電気炉を用いて実施した。280℃雰囲気にした加熱炉中試験片を入れ、10分ごとに剥離の確認を行い、最終的に1時間加熱したものを上記と同一の試験条件で引張強度を得た。試験には用いた試験機は次のものを用いた。
<試験機>
SHIMADZU(島津製作所製)型式:AG−10TD ロードセル:10トン(100000N)用
[比較例1]
配合組成1の基本組成で接着した接着構造体試料を280℃で加熱し、加熱による剥離程度を確認した。結果を表2に示す。試験の結果、剥離はしていなかった。すなわち、試験に用いたチップの片方をつかみ、持ち上げたが、常温に戻しても外れることはなかった。
[実施例1]
配合組成2を用いて接着した接着構造体試料を280℃で加熱し加熱による剥離程度を確認した。結果を表2に示す。電気炉に入れて50分後に剥離することが確認された。(この場合の評価を表2の剥離可否の欄で○と表現した。)炭化度合いは、Bであった。剥離には、接着剤が炭化することが必須であると考えられる。
[実施例2]
配合組成3の接着剤を用いて接着した接着構造体試料を280℃で加熱し、加熱による剥離程度を確認した。結果を表2に示す。試験体は電気炉に入れて30分後に剥離することが確認された。この結果から、酸化剤に分解促進剤である三酸化二鉄を併用すると、より効果的に、接着部分に外的刺激である熱が、加熱の際に伝導しやすく、剥離に有効であることを実証できた。炭化度合いは、Aであった。剥離には、やはり接着剤が炭化することが必須であると考えられる。
[実施例3]
配合組成4の接着剤を用いて接着した接着構造体試料を280℃で加熱し、加熱による剥離程度を確認した。結果を表2に示す。試験体は電気炉に入れて30分後に剥離することが確認された。この結果から、酸化剤に発熱剤であるGAP(グリシジルアジドポリマー)を併用すると、発熱剤の分解時の発熱により、実証できた。炭化度合いは、Aであった。剥離には、やはり接着剤が炭化することが必須であると考えられる。
[比較例2]
配合組成5の接着剤を用いて接着した接着構造体試料を280℃で加熱し、加熱による剥離程度を確認した。結果を表2に示す。試験体は60分後に剥離することが確認されたが加熱前の強度が基本組成である配合組成1と比較して6割程度しか発現しておらず、熱膨張性黒鉛は解体温度が高く、初期強度が低いという課題が明確となった。
[比較例3]
配合組成6の接着剤を用いて90℃の熱水に浸漬した。結果を表2に示す。試験体は熱水に浸漬してしばらくすると剥離することが確認されたが基本組成と比較して1割にも満たない初期強度となった。加熱条件が90℃で剥離することから耐熱性も低く、構造用接着剤に用いることが困難であることが明確となった。
Figure 0005099767
炭化度合い
A:十分に炭化しており、光沢がない。手で触ると粉状でさらさらしている。
B:ほとんど炭化しているが、一部に光沢が残っている。写真に撮ると光る。
C:炭化は、ほとんどしておらず、透明性が残っている。黒ずんではいる。
D:炭化しておらず、光沢、透明性あり。茶色に変色。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2006年1月19日出願の日本特許出願(特願2006−010635)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の解体性接着剤によれば、該接着剤を用いて接着した接着構造体を外的刺激によって容易に解体することが可能となる。従って、本発明の接着剤は、リサイクル、リユース、リワーク用途に有用であり、金属−FRPや、金属−ガラスのような異材質の接着に好適に用いることが出来る。

Claims (1)

  1. 有機系接着剤成分及び酸化剤を含有する解体性接着剤であって、有機系接着剤成分と酸化剤の重量比が50/1〜3/1であって、有機接着剤成分が、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル(SGA)或いはアクリル酸ジエステルを主成分とする接着剤、エポキシ樹脂を変性させた樹脂からなる接着剤、又は前記接着剤の2種類以上を混合してなる接着剤であることを特徴とする解体性接着剤。
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