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JP5095159B2 - 電解ドレッシング研削装置 - Google Patents

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JP5095159B2 JP2006236008A JP2006236008A JP5095159B2 JP 5095159 B2 JP5095159 B2 JP 5095159B2 JP 2006236008 A JP2006236008 A JP 2006236008A JP 2006236008 A JP2006236008 A JP 2006236008A JP 5095159 B2 JP5095159 B2 JP 5095159B2
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Description

本発明は、解ドレッシング研削装置に関する。
自動車用エンジンのシリンダボア等の高精度が要求される被削材の円筒内面の仕上げ加工に、従来からホーニング装置によるホーニング加工が施されている。ホーニング加工は、精密中ぐり、研削等によって加工された円筒内面等を効率よく真円度、真直度、表面粗さ等の加工精度を向上させる加工方法である。
ホーニング装置は、角形棒状のホーニング砥石を放射状に配置したホーニング工具を有し、ホーニング砥石に被削材の円筒内面に接触する半径方向外向きの接触圧力を与え、ホーニング工具を回転しながら、回転軸方向に被削材の全長にわたる往復運動を与えて円筒内面を研削仕上げするものである。
ホーニング装置によるホーニング加工によると、回転と同時に往復運動するホーニング砥石によりクロスハッチと呼ばれる特殊な網目状模様の研削状痕が形成される。このクロスハッチは、エンジンのシリンダボアに要求される潤滑油を保持する機能を有する。
一般にホーニング砥石は、酸化アルミニウム、炭化珪素等の極めて硬く小さな砥粒が結合剤によって結合された角形棒状であって、被削材を研削加工することで同時に砥石自体がドレッシングされる、即ち自生作用(摩耗した砥粒が脱落し新しい砥粒が突出する現象)に優れた砥石が選択される。
しかし、ホーニング砥石のドレッシングを砥石自体の自生作用に依存することから、精密中ぐり、研削等による前工程における被削材の加工精度のバラツキや、砥石自体の製造に伴う形状のバラツキ、ホーニング加工に使用される研削液の汚れ等に影響されて、ホーニング砥石の自生作用のサイクルにバラツキが生じる。
このホーニング砥石の自生作用のサイクルにバラツキがあると、ホーニング加工中に、ホーニング砥石の隙間に切り屑が詰まる目詰まり、砥粒が摩耗しても破砕しない目潰れ、わずかな研削抵抗や衝撃によっても砥粒が脱落する目こぼれ等を招き、加工面粗さの悪化、加工面の研削焼け、研削割れ等を誘発し、更に加工時間が過大になる等の不具合が懸念される。このため、ホーニング砥石を頻繁にドレッシングする必要がある。
このホーニング砥石のドレッシング手段が種々提案されている。例えば、図7に示すように、被削材Wの上方の位置に、旋回部材101によってホーニング加工にあたりホーニング工具105を被削材Wの円筒内面Waに誘導する筒状の挿入案内ガイド102及びこの挿入案内ガイド102と一体形成された筒状の砥石ドレス部材103を支持し、この砥石ドレス部材103の内径をホーニング工具105におけるホーニング砥石106の加工径と略等しく設定し、砥石ドレス部材103の内面にドレス用砥石104を配設する。
そして、ホーニング工具105で被削材Wの円筒内面Waをホーニング加工し、適当なドレッシングタイミングで旋回部材101によって挿入案内ガイド102及び砥石ドレス部材103を旋回させて、ホーニング工具105を砥石ドレス部材103内に挿入し、各ホーニング砥石106を半径方向外向きに突出させてドレス用砥石104に接触させ、この状態でホーニング工具105を軸方向に往復動し、かつ回転駆動することによりホーニング砥石106をホーニング工具105に装着したままホーニング砥石106をドレッシングすることが知られている(特許文献1参照)。
一方、近年、ホーニング砥石に砥粒を青銅や鋳鉄の導電性結合部で結合したメタルボンド砥石が多く使用されるようになっている。この種のホーニング砥石のドレッシング方法として電解ドレッシング方法が種々提案されている。
例えば、図8に示すようにホーニングヘッド111に電解ドレス用の砥石ホルダ112を取り付け、この砥石ホルダ112に砥粒と導電性結合部からなるホーニング砥石115を固定する一方、砥石ホルダ112に位置決めされたホーニング砥石115の加工面となる外周面に所定の間隔を隔てて対向する円弧状の対向面113aを有する電極113を配置し、流路113bを通して対向面113aに水性クーラント等の導電性研削液を供給すると共に、ホーニング砥石115と電極113との間に所定の電圧を印加する電圧印加手段114を備えている。そして、ホーニング砥石115と電極113との間に所定の電圧を印加し、同時にホーニング砥石115と電極113との間に水性クーラント等の導電性研削液を供給してホーニング砥石115の外表面の導電性結合部を電解して砥粒を突出させる電解ドレッシング方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、図9に示すように、ターニングセンター加工機の回転チャック121に被削材122を取り付け、これに対向し往復駆動可能な図示しないチャックにメタルボンド砥石125を取り付けると共に、砥石125と対向する電極面124a及び研削液供給孔124bを有する電極124を備え、砥石125を回転して被削材122と電極124との間で反復駆動しながら砥石125と電極124との間に所定の電圧を印加し、同時に砥石125と電極124との間に研削液供給孔124bから水性クーラント等の導電性研削液を供給して電解ドレッシングと研削加工を交互に行うことも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平07−096462号公報 特開2001−62721号公報 特許第2838314号公報
上記特許文献1によると、ホーニング砥石106のドレッシングにあたり砥石ドレス部材103と挿入案内ガイド102を反転する構造であり、ホーニング砥石106をドレッシングするには、挿入案内ガイド102と砥石ドレス部材103の反転及び位置決め等の追加工程、即ちホーニング砥石106のドレッシングのためのサイクルが必要になり、このドレッシングのためのサイクルの追加によりホーニング加工サイクルが長くなり、ホーニング加工効率に影響を及ぼすことが懸念される。また、ドレッシングの状態及びドレッシングのタイミングを、被削材Wの加工精度を計測しないと判断できないため、連続操業する量産ラインへの適合が困難である。
一方、特許文献2においては、ホーニング砥石115のドレッシングにあたり、ホーニングヘッド111に電解ドレス用の砥石ホルダ112を取り付け、砥石ホルダ112にホーニング砥石115を取り付けて電解ドレッシングすることから、ホーニングヘッド111にホーニング工具に代えて電解ドレス用の砥石ホルダ112を取り付けると共にホーニング工具から取り外したホーニング砥石115を砥石ホルダ112に取り付け、更にドレッシングが施された後にホーニング砥石115を再びホーニング工具に取り付けると共にホーニングヘッド111から砥石ホルダ112を取り外してホーニング工具を取り付ける厄介な作業を要し、ホーニング砥石115のドレッシングのために多くの工数が必要になり、ホーニング加工サイクルに影響し、ホーニング作業効率の低下を招くことが懸念される。
更に、特許文献3によると、砥石125を回転して被切削材122と電極124との間で反復駆動しながら砥石125と電極124との間に所定の電圧を印加し、同時に砥石125と電極124との間に水性クーラント等の導電性研削液を供給して電解ドレッシングと切削加工を交互に行うことから、油性クーラント等の弱導電性ないし非導電性研削液を使用する仕上研削加工等にあっては、電解ドレッシングにあたり研削液に微弱な電流しか流れず、電解電流が不安定、或いは電流が流れなくなる等の原因によって砥石125に対する電解ドレッシング能力が著しく低下し、電解ドレッシングが不可能になることが懸念される。
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、弱導電性ないし非導電性研削液の使用による研削が可能でかつ作業効率に優れた解ドレッシング研削装置を提供することにある。
上記目的を達成する請求項に記載の電解ドレッシング研削装置の発明は、ホーニングヘッドに支持されて回転駆動されるホーニング工具本体と該ホーニング工具本体の外周に放射状に配置された角形棒状の砥粒と該砥粒を固定する導電性結合部とからなる砥石を装着したホーニング工具と、被削材を保持する被削材保持部及び弱導電性ないし非導電性研削液を供給する研削液供給手段を備え、弱導電性ないし非導電性研削液を供給しつつ被削材保持部に保持された被削材を上記ホーニング工具の砥石により研削する加工時間と非加工時間とを繰り返して連続的に順次被削材を研削する加工部と、導電性液体を貯留する液槽と該液槽内に配置され、上方からホーニングヘッドに支持されて下降するホーニング工具本体及び砥石の挿入を許容し、かつ、各砥石と間隔を隔てて電極面が対向する円筒状の電極と該電極と間隔を隔てて対向配置された上記砥石に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、上記非加工時間において導電性液体を存在させて上記電極と砥石とを間隔を隔てて対向させ、かつ砥石と電極に電圧を印加して砥石を電解ドレッシングする電解ドレッシング部とを備えたことを特徴とする。
この発明によると、加工部において研削液供給手段により油性クーラント等の弱導電性ないし非導電性研削液を供給しつつホーニング工具本体の外周に放射状に配置された砥石により被削材保持部に保持された被削材を研削する加工時間と非加工時間とを繰り返して連続的に被削材を研削し、非加工時間に電解ドレッシング部において水性クーラント等の導電性液体を存在させてホーニング工具本体及び砥石の挿入を許容し、かつ、各砥石と間隔を隔てて電極面が対向する電極と砥石に電圧を印加して砥石を電解ドレッシングすることから、弱導電性ないし非導電性研削液の使用による研削を行う場合であっても電解ドレッシングが可能であり、砥石による研削能力の過剰な低下が抑制されて加工部における弱導電性ないし非導電性研削液を使用した砥石による安定した品質の研削加工が可能になる。また、電解ドレッシングは非加工時間において極めて短時間で行え、加工サイクルに影響することなく効率的に実行することができ作業効率に優れる。
請求項に記載の発明は、請求項の電解ドレッシング研削装置において、上記加工時間を計測する加工時間計測手段を有し、加工時間が予め設定された閾値に達したときに、上記電解ドレッシングすることを特徴とする。
この発明は、研削により砥粒が摩耗すると研削能力が次第に低下して加工時間が次第に長くなることに着目してなされたものであって、加工時間が予め設定された閾値に達したときに砥石を電解ドレッシングすることによって砥石の研削能力が過剰に低下することなく、加工部における弱導電性ないし非導電性研削液を使用した砥石による安定した品質の研削加工が可能になる。また、電解ドレッシングにより砥石の過剰な摩耗が抑制されるため、加工時間が短縮されて加工サイクルの効率化が図れる。
請求項に記載の発明は、請求項の電解ドレッシング研削装置において、予め設定された非加工時間毎に上記電解ドレッシングすることを特徴とする。
この発明によると、予め設定された非加工時間毎に電解ドレッシングすることにより、砥石の研削能力が過剰に低下することなく、加工部における弱導電性ないし非導電性研削液を使用した砥石による安定した品質の研削加工が可能になる。また、電解ドレッシングにより砥石の過剰な摩耗が抑制されるため、加工時間が短縮されて加工サイクルの効率化が図れる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の電解ドレッシング研削装置において、上記ホーニング工具は、ホーニングヘッドに上部が支持されて回転軸に沿って延在する円筒状で外周に半径方向に貫通して開口する複数のホーニングシューガイド穴を備えたホーニング工具本体と、上記各ホーニングシューガイド穴に半径方向に摺動可能に嵌合するホーニングシューと、該各ホーニングシューの外表面に配設された上記砥石と、ホーニング工具本体内に配設されて上記ホーニングシューを半径方向に押動する拡縮バーとを備え、上記ホーニング工具本体が鉄材によって形成され、ホーニングシューがステンレス材によって形成されたことを特徴とする。
この発明は、ホーニング工具の具体的構成を示すもので、ホーニング工具本体を一般のホーニング工具と同様な導電性の鉄材にすることで汎用性が得られ、かつ安価にできると共に、ホーニングシューを電解ドレッシングの際の電気分解による発錆が抑制できるステンレス材にすることによってホーニング工具本体のホーニングシューガイド穴に対するホーニングシューの動きの低下が回避できる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の電解ドレッシング研削装置において、上記導電性液体は、水性クーラントであることを特徴とする。
この発明は、導電性液体の具体的を示すもので、導電性液体として水性クーラントを用いることで、容易に対処することができて汎用性に優れ、かつ、ホーニング工具に悪影響を与えることなく実現できる。
本発明によると、弱導電性ないし非導電性研削液を供給しつつ砥石を備えたホーニング工具により研削する加工時間と非加工時間を繰り返して連続的に被削材を研削する一方、非加工時間において砥石と電極とを導電性液体を介在して対向させて砥石と電極に電圧を印加して砥石を電解ドレッシングすることにより、弱導電性ないし非導電性研削液の使用による研削を行う場合であっても電解ドレッシングが可能であり、砥石の過剰な摩耗が抑制されて弱導電性ないし非導電性研削液を使用した砥石による安定した品質の研削加工が可能になる。また、電解ドレッシングは非加工時間において極めて短時間で行え、加工サイクルに影響することなく効率的に実行することができ作業効率に優れる。
以下、本発明の解ドレッシング研削装置の実施の形態を図1乃至図6を参照して説明する。
図1は電解ドレッシング研削装置であるホーニング装置の概要説明図であり、図2はーニング工具10の構成図である。ホーニング工具10は、主軸モータ等を供えた駆動装置となるホーニングヘッド1に揺動可能に吊り下げられ、ホーニングヘッド1により上下動かつ鉛直な回転軸Zを中心に回転駆動可能に構成されている。このホーニングヘッド1及びホーニング工具10は、図1に示すエンジンのシリンダボア等、ホーニング加工する円筒内面Waを有する被削材Wに研削、即ちホーニング加工を施す加工部Iと、電解ドレッシング部IIとの間で移動する。
ホーニング工具10は、図2に示すと共に図3に図2のA矢視図を示すように、ホーニングヘッド1に上端が支持された中空円筒状のホーニング工具本体11を有している。ホーニング工具本体11の外周に回転軸Zの延在方向に沿って延在する複数、本実施の形態では12個のホーニングシューガイド穴12が等間隔で開口し、各ホーニングシューガイド穴12に摺動案内されて回転軸Zに対して接離する半径方向に移動可能に第1ホーニングシュー13Aと第2ホーシングシュー13Bが交互に嵌合して装着されている。
第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bは、外端面に回転軸Z方向に沿って延在する砥石装着溝13aが形成され、両側面13bがホーニングシューガイド穴12の端面12bに摺動自在に当接するブロック状であって、外周面の上端及び下端にそれぞれ係合溝13c及び13dが形成されている。
第1ホーニングシュー13Aの内端面の上部範囲及び下部範囲にそれぞれ上方から下方に移行するに従って回転軸Zに漸次接近する上部テーパ面13Aa及び下部テーパ面13Abが形成されている。第2ホーニングシュー13Bの内端面の上部範囲及び下部範囲にそれぞれ上方から下方に移行するに従って回転軸Zに漸次接近する上部テーパ面13Ba及び下部テーパ面13Bbが形成されている。なお、第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bの各係合溝13c及び13dには、縮径付勢手段となる環状のスプリングバンド14a、14bが装着され、スプリングバンド14a及び14bによって各第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bを回転軸Z方向、即ち半径方向内向きの縮径方向に付勢している。
第1ホーニングシュー13A及び第2ホーミングシュー13Bの各砥石装着溝13aに回転軸Z方向に沿って延在するブロック状のホーニング砥石(砥石)20が取り付けられている。このホーニング砥石20は、例えば、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化硼素)、結晶質の酸化アルミニウム、炭化珪素等の砥粒を青銅や鋳鉄からなる導電性結合部で結合したメタルボンド砥石によって構成されている。
また、ホーニング工具本体11の外周に等間隔で回転軸Z方向に沿って延在する複数のホーニングガイド部材取付溝11aが形成され、ホーニングガイド部材取付溝11aに取付部材15を介してセラミック等からなる矩形状で回転軸Z方向に延在するホーニングガイド部材16が取り付けられている。回転軸Zから各ホーニングガイド部材16の外周面16aまでの距離は一定に形成されている。更にホーニングガイド部材16の外周面16aと加工面との隙間を空気圧で精密測定する図示しないエアーマイクロメータ用のエアー通路11bがホーニング工具本体11内に穿設されてホーニングガイド部材16の外周面16aに開口している。
ホーニング工具本体11内を貫通して第1ホーニングシュー13Aの上部テーパ面13Aa及び下部テーパ面13Abに摺接可能に接し、下方に移行するに従って回転軸Zに漸次接近する上部テーパ面17Aa及び下部テーパ面17Abが形成された第1拡縮バー17Aがホーニング工具本体11内に配置されている。また、第1拡縮バー17Aに結合されて第2ホーニングシュー13Bの上部テーパ面13Ba及び下部テーパ面13Bbに摺接可能に接し、下方に移行するに従って回転軸Zに漸次接近する上部テーパ面17Ba及び下部テーパ面17Bbが形成された第2拡縮バー17Bがホーニング工具本体11内に配置されている。
この第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bはホーニングヘッド1内に配設された図示しない昇降動作機構によって上方に牽引及びこの牽引が解除される。また、第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bは、ホーニング工具本体11内に配設されたスプリング18によって下方に常時付勢されている。
このホーニングヘッド1の昇降動作機構による牽引解除によりスプリング18の付勢によって第1拡縮バー17Aの上部テーパ面17Aa及び下部テーパ面17Abがそれぞれ第1ホーニングシュー13Aの上部テーパ面13Aa及び下部テーパ面13Abに圧接して各第1ホーニングシュー13Aを中心軸Zから離れる半径方向外向きに押動する。同様に、第2拡縮バー17Bの上部テーパ面17Ba及び下部テーパ面17Bbがそれぞれ第2ホーニングシュー13Bの上部テーパ面13Ba及び下部テーパ面13Bbに圧接して各第2ホーニングシュー13Bを中心軸Zから離れる半径方向外向きに押動する。
一方、スプリング18の付勢に抗して昇降動作機構により第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bを上方に牽引することにより、第1拡縮バー17Aの上部テーパ面17Aa及び下部テーパ面17Abによる第1ホーニングシュー13Aの上部テーパ面13Aa及び下部テーパ面13Abの押圧が解除されると共に、第2拡縮バー17Bの上部テーパ面17Ba及び下部テーパ面17Bbによる第2ホーニングシュー13Bの上部テーパ面13Ba及び下部テーパ面13Bbの押圧が解除される。これら第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bによる押圧が解除された各第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bは、スプリングバンド14a及び14bによって中心軸Z方向、即ち縮径方向に移動する。
なお、ホーニング工具10の第1拡縮バー17A、第2拡縮バー17Bとホーニングヘッド1との間は絶縁処理が施され、ホーニング工具本体11に図2に示すように電極39が設けられている。この電極39と各砥石20はホーニング工具本体11及び第1ホーニングシュー13A、第2ホーニングシュー13Bを介して導電可能に接続される。
ここで、ホーニング工具本体11、第1拡縮バー17A、第2拡縮バー17Bが導電性の鉄材の場合、後述する電解ドレッシングの際の電気分解による発錆によって第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bが各ホーニングシューガイド穴12に対する摺動、即ち動きの低下を招くのを回避するために第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bを同じ導電性材でかつ耐酸化性に優れたステンレス材によって形成することが好ましい。同様にスプリングバンド14a、14bも耐酸化性に優れたステンレス材やゴム製のOリングにより構成することが好ましい。更に、ホーニング工具本体11の外表面に絶縁性塗料を塗布して防錆を図ることが好ましい。また、ホーニング工具本体11、第1拡縮バー17A、第2拡縮バー17Bを鉄材によって形成することによって製造コストの低減が得られると共に、既存のホーニング装置のホーニング工具本体との汎用性が得られる。
図4は、被削材Wの円筒内面Waにホーニング加工を施す加工部Iの概要を示す図である。加工部Iには被削材Wを位置決め保持する図示しない被削材保持部、被削材保持部の上方に配置されて上方から下降するホーニング工具本体11を被削材保持部に保持された被削材Wの円筒内面Wa内に誘導案内する筒状の挿入案内ガイド25を備え、更に加工面となる被削材Wの円筒内面Waに、例えば油性クーラント等の弱導電性ないし非導電性研削液を供給する研削液供給手段が配置されている。すなわち、加工部Iにおいて、油性クーラント等の弱導電性ないし非導電性研削液を使用する仕上研削加工を行う。
この加工部Iにおいて、搬入された被削材Wを被削材保持部に保持し、ホーニングヘッド1の昇降動作機構によってホーニング工具10の第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bを上方に牽引して第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bを中心軸Z方向、即ち縮径方向に移動した縮径状態のホーニング工具10を上方から挿入案内ガイド25によって誘導しつつ被削材Wの円筒内面Wa内に挿入する。この円筒内面Wa内にホーニング工具本体11を挿入した状態で油性クーラント等の弱導電性ないし非導電性研削液を供給しつつホーニング工具10を回転しながら回転軸Z方向に上下動させ、かつ昇降動作機構によるホーニング工具10の第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bの牽引を解除する。
この牽引の解除によりスプリング18の付勢力によって第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bが下降して第1拡縮バー17Aの上部テーパ面17Aa及び下部テーパ面17Abがそれぞれ第1ホーニングシュー13Aの上部テーパ面13Aa及び下部テーパ面13Abに圧接して各第1ホーニングシュー13Aを中心軸Zから離れる半径方向外向きに押動する。同様に、第2拡縮バー17Bの上部テーパ面17Ba及び下部テーパ面17Bbがそれぞれ第2ホーニングシュー13Bの上部テーパ面13Ba及び下部テーパ面13Bbに圧接して各第2ホーニングシュー13Bを中心軸Zから離れる半径方向外向き押動して各ホーニング砥石20の外表面21が被削材Wの円筒内面Waに接触し、予め設定された接触圧力でホーニング砥石20によって円筒内面Waを研削、即ちホーニング加工を開始する。
ホーニング加工しつつエアーマイクロメータによりホーニングガイド部材16の外周面16aと加工面となる被削材Wの円筒内面Waまでの隙間を検出し、ホーニングガイド部材16の外周面16aと加工面との隙間が所定値に達すると、昇降動作機構により第1拡縮バー17A及び第2拡縮バー17Bを上方に牽引し、第1拡縮バー17Aの上部テーパ面17Aa及び下部テーパ面17Abによる第1ホーニングシュー13Aの上部テーパ面13Aa及び下部テーパ面13Abの押圧を解除すると共に、第2拡縮バー17Bの上部テーパ面17Ba及び下部テーパ面1Bbによる第2ホーニングシュー13Bの上部テーパ面13Ba及び下部テーパ面13Bbの押圧を解除する。これにより、各第1ホーニングシュー13A及び第2ホーニングシュー13Bは、スプリングバンド14a及び14bによって中心軸Z方向、即ち縮径方向に移動して各ホーニング砥石20が加工面である被削材Wの円筒内面Waから離れてホーニング加工が終了する。このホーニング加工開始からホーニング加工終了までが加工時間となる。
ホーニング加工が終了すると、ホーニング工具10の回転及び回転軸Z方向の上下動を停止し、ホーニングヘッド1を上昇させてホーニング工具本体11を被削材Wの円筒内面Wa内から挿入案内ガイド25の上方に退避させる。しかる後、ホーニング加工された被削材Wを被削材保持部から搬出し、次のホーニング加工が施される被削材Wを搬入して被削材保持部に保持する。即ち、ホーニング加工終了から次のホーニング開始までの非加工時間に被削材の搬出及び搬入が行われる。
これら搬入された被削材Wを被削材保持部に保持する工程からホーニング加工された被削材Wを被削材保持部から搬出する工程、即ち加工時間と非加工時間を順次繰り返す研削加工サイクルによって連続的に順次被削材Wにホーニング加工することができる。
この研削加工サイクルのタイムチャートを図6に示す。図6において横軸は時間であり、上下ストロークはホーニングヘッド1によるホーニング工具10の上昇及び下降動作、主軸モータの「入」、「切」はホーニングヘッド1即ちホーニング工具10の回転と停止を示している。また、これに対応して図10は、ホーニング砥石20の拡径及び縮径動作を示しており、ホーニングヘッド1が上昇位置における非加工時間に被削材Wの搬入及び搬出が行われる。
この研削加工サイクルにおいて加工時間と非加工時間を繰り返すことにより、次第に各ホーニング砥石20の砥粒の摩耗により研削能力が低下し、各加工時間が漸次長くなる。この加工時間を計測する加工時間計測手段を設け、加工時間が予め設定された閾値に達したときに、即ち砥粒の摩耗により研削能力が設定レベルまで低下したときに、非加工時間においてホーニング砥石20を電解ドレッシングして加工精度を確保する。
図5は、ホーニング工具10のホーニング砥石20を電解ドレッシングする電解ドレッシング部IIの概要を示す図である。
電解ドレッシング部IIには、底部32及び周壁33を有して上方が開放され、導電性液体として導電性に優れる導電性研削液例えば水性クーラント40を貯留する液槽31を供え、底部32にホーニング工具本体11の下端が載置されてホーニング工具10を位置決め保持する絶縁材で形成されたホーニング工具保持部35が設けられている。
更に、底部32にホーニング工具保持部35を囲むと共に上方が開放された円筒状の絶縁材で形成された電極保持部36が立設されている。電極保持部36は 液槽31内の水性クーラント40に埋没する高さを有し外周には、液槽31内の水性クーラント40の流入及び流出を図る複数の貫通孔36bが穿設されている。
電極保持部36の内周面36aに沿う円筒状の電極面37a及び電極保持部36の頂端にボルトによって形成された端子38によって固定されるフランジ部37bを有する電極としての電解インプロセスドレッシング用電極(以下、ELID用電極)37が設けられている。ELID用電極37は例えば鉄製であって、端子38が図示しない電圧印加手段の負極(−極)に接続される。
この電極保持部36の内周面36aに沿って配設されるELID用電極37の電極面37aは、上方からホーニングヘッド1に支持されて下降するホーニング工具本体11及び砥石20の挿入を許容し、かつ、各砥石20と間隔を隔てて対向する円筒状であって、ホーニング工具保持部35に載置されて位置決めされたホーニング工具10に配設された各ホーニング砥石20の外表面21と対向して水性クーラント40の介在を許容する隙間、例えば1〜5mm程度が形成される内径を有し、かつホーニング砥石20の長さより若干大きな上下方向の長さを有している。
ホーニング工具10を加工部Iからホーニングヘッド1の移動により電解ドレッシング部IIのホーニング工具保持部35の上方に移動し、ホーニングヘッド1を回転軸Zに沿って下降すると、ホーニング工具10が下降して電極保持部36内に挿入され、ホーニング工具保持部35上に位置決め載置される。このホーニング工具保持部35に位置決め載置されたホーニング工具10は、各砥石20の外表面21が水性クーラント(導電性液体)40を介在させてELID用電極37の電極面37aと対向する。また、ホーニングヘッド1の上昇によってホーニング工具10が電極保持部36内から上方に抜け出し、ホーニングヘッド1の移動によって加工位置Iに復帰する。
一方、ホーニング工具10は、加工部Iから電解ドレッシング部IIのホーニング工具保持部35の上方への移動に伴って、ホーニング工具本体11に設けられた電極39が、電圧印加手段の正極(+極)に接続され、また、ホーニング工具保持部35の上方から加工部Iへの移動に伴って電極39が電圧印加手段の正極から切離されるように構成されている。
そして、加工部Iからホーニングヘッド1の移動によりホーニング工具10を電解ドレッシング部IIのホーニング工具保持部35の上方に移動にすると、その移動によりホーニング工具10のホーニング工具本体11に設けられた電極39が電圧印加手段の正極に接続される。
この電極39が電圧供給手段の正極に接続された状態でホーニングヘッド1を回転軸Zに沿って下降し、ホーニング工具10を下降させて電極保持部36内に挿入してホーニング工具保持部35上に位置決め載置する。ホーニング工具保持部35上に位置決めされたホーニング工具10は、各ホーニング砥石20の外表面21が水性クーラント(導電性液体)40を介在してELID用電極37の電極面37aと対向する。
このホーニング工具保持部35にホーニング工具10が位置決め保持された状態で、ELID用電源から予め設定されたドレッシング時間だけELID用電極37に負電圧を印加すると共に、電圧印加手段により電極39からホーニング工具本体11及びホーニングシュー13A、13Bを介して各砥石20に正電圧を印加し、電解作用により各ホーニング砥石20の外表面21における導電性結合部を溶解させて電解ドレッシングする。この電解ドレッシングにあたり、ELID用電極37の電極面37aとホーニング砥石20の外表面21との間に介在する水性クーラント40が導電性に優れることから安定した電解ドレッシングが得られる。この電解ドレッシング時間は電解電圧、砥粒突出量及び導電性結合部の材質等によって決定されるが数秒以内に設定できる。また、電解電圧、電解ドレッシング時間により砥粒の突出量を最適化できる。
ホーニング砥石20の電解ドレッシングが終了すると、ホーニングヘッド1の上昇によってホーニング工具10が電極保持部36内から上方に抜け出し、ホーニングヘッド1の移動によって加工部Iに復帰させる。そして、ホーニング工具保持部35の上方から加工部Iへの移動に伴ってホーニング工具10の電極39がELID用電源の正極から分離される。この電解ドレッシングに要する時間は十分短く、ホーニング加工サイクルに影響することはない。この電解ドレッシングのタイミングを図6に示す。
従って、本実施の形態によると、加工部Iにおいて油性クーラント等の弱導電性ないし非導電性研削液を使用してホーニングヘッド1に取り付けられたホーニング工具10によるホーニング加工を繰り返し、ホーニング砥石20が摩耗等により研削能力が低下して加工時間が予め設定された閾値を越えた際に、ホーニングヘッド1と共にホーニング工具10を電解ドレッシング部IIに移動して電解ドレッシングが可能な導電性に優れる水性クーラント(導電性液体)を使用してホーニング砥石20に電解ドレッシングを施すことにより、弱導電性ないし非導電性研削液の使用による研削を行う場合であっても電解ドレッシングが可能となって、面粗度のバラツキのない安定した品質のホーニング加工か可能になる。また、ホーニング砥石20の過剰な摩耗が抑制されて加工時間の短縮に伴い作業効率が向上する。
また、電解ドレッシング部IIにおける電解ドレッシングがホーニングヘッド1にホーニング工具10を取り付けた状態で、かつ、極めて短時間で被削材Wの搬入及び搬出等の非加工時間に設定することができ、ホーニング加工サイクルに影響することなく電解ドレッシングが可能になる。
さらに、導電性液体として水性クーラントを用いることで、容易に対処することができて汎用性に優れ、かつ、ホーニング工具に悪影響を与えることなく実現することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態ではホーニング加工に要する加工時間を計測してホーニング砥石20のドレッシングタイミングを設定したが、ホーニング砥石20の摩耗に伴って研削抵抗が漸次増大することに着目し、研削抵抗が予め設定された閾値を越えた際に電解ドレッシングを施すようにドレッシングタイミングを設定することも、或いは予め設定された非加工時間毎に電解ドレッシングを施すようにドレッシングタイミングを設定することもできる。予め設定された非加工時間毎に電解ドレッシングを行うことで、砥石の研削能力が過剰に低下することなく、加工部における弱導電性ないし非導電性研削液を使用した砥石による安定した品質の研削加工が可能になる。また、電解ドレッシングにより砥石の過剰な摩耗が抑制されるため、加工時間が短縮されて加工サイクルの効率化を図れる。
さらに、上記実施の形態では導電性液体として水性クーラント等の導電性研削液を用いているが、これに限定されず、適宜の導電性液体を用い得る。
本発明の実施の形態に係るホーニング装置の概要説明図である。 ホーニング工具の説明図である。 図2のA矢視図である。 加工部の概要を示す図である。 電解ドレッシング部の概要を示す図である。 研削加工サイクルのタイムチャートである。 従来のホーニング砥石のドレッシング手段の模式図である。 従来のホーニング砥石の電解ドレッシング手段の模式図である。 従来のホーニング砥石の電解ドレッシング手段の模式図である。
I 加工部
II 電解ドレッシング部
1 ホーニングヘッド
10 ホーニング工具(工具)
11 ホーニング工具本体
12 ホーニングシューガイド穴
13A、13B 第1ホーニングシュー、第2ホーニングシュー(ホーニングシュー)
15 取付部材
17A、17B 第1拡縮バー、第2拡縮バー(拡縮バー)
20 ホーニング砥石(砥石)
21 外表面
31 液槽
37 電解インプロセスドレッシング用電極(電極)
37a 電極面

Claims (5)

  1. ホーニングヘッドに支持されて回転駆動されるホーニング工具本体と該ホーニング工具本体の外周に放射状に配置された角形棒状の砥粒と該砥粒を固定する導電性結合部とからなる砥石を装着したホーニング工具と、
    被削材を保持する被削材保持部及び弱導電性ないし非導電性研削液を供給する研削液供給手段を備え、弱導電性ないし非導電性研削液を供給しつつ被削材保持部に保持された被削材を上記ホーニング工具の砥石により研削する加工時間と非加工時間とを繰り返して連続的に順次被削材を研削する加工部と、
    導電性液体を貯留する液槽と該液槽内に配置され、上方からホーニングヘッドに支持されて下降するホーニング工具本体及び砥石の挿入を許容し、かつ、各砥石と間隔を隔てて電極面が対向する円筒状の電極と該電極と間隔を隔てて対向配置された上記砥石に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、上記非加工時間において導電性液体を存在させて上記電極と砥石とを間隔を隔てて対向させ、かつ砥石と電極に電圧を印加して砥石を電解ドレッシングする電解ドレッシング部とを備えたことを特徴とする電解ドレッシング研削装置。
  2. 上記加工時間を計測する加工時間計測手段を有し、加工時間が予め設定された閾値に達したときに、上記電解ドレッシングすることを特徴とする請求項に記載の電解ドレッシング研削装置。
  3. 予め設定された非加工時間毎に上記電解ドレッシングすることを特徴とする請求項に記載の電解ドレッシング研削装置。
  4. 上記ホーニング工具は、
    ホーニングヘッドに上部が支持されて回転軸に沿って延在する円筒状で外周に半径方向に貫通して開口する複数のホーニングシューガイド穴を備えたホーニング工具本体と、
    上記各ホーニングシューガイド穴に半径方向に摺動可能に嵌合するホーニングシューと、
    該各ホーニングシューの外表面に配設された上記砥石と、
    ホーニング工具本体内に配設されて上記ホーニングシューを半径方向に押動する拡縮バーとを備え、
    上記ホーニング工具本体が鉄材によって形成され、ホーニングシューがステンレス材によって形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解ドレッシング研削装置。
  5. 上記導電性液体は、水性クーラントであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解ドレッシング研削装置。
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