JP5091514B2 - 産業車両用変速機 - Google Patents
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Description
図1に本発明の一実施形態による変速機のスケルトン図を、図2にそのエンジン側から見た軸等の概略配置図を示している。さらに、図3に変速機構部分のみを取り出した模式図を示す。なお、図2では、一部の軸等の配置のみを示しており、出力軸等の構成は省略している。
メインクラッチ1は、油圧式のクラッチであり、クラッチ油圧を制御することによってクラッチ容量を制御することが可能である。入力軸2は変速機のハウジングに対して1対の軸受(図示せず)によって回転自在に支持されている。
第1変速機構3は、10段の変速段のうちの奇数段(1&3速,5速,7&9速)が選択されたときに回転が入力されるものであり、第1変速軸12と、第1速・第3速用(以下、1&3速)ドライブギア13と、第5速用(以下、5速)ドライブギア14と、第7速・第9速用(以下、7&9速)ドライブギア15と、を有し、さらに第1〜第3ドグクラッチC1,C2,C3を有している。
第2変速機構4は、10段の変速段のうちの偶数段(2&4速,6速,8&10速)が選択されたときに回転が入力されるものであり、第2変速軸20と、第2速・第4速用(以下、2&4速)ドライブギア21と、第6速用(以下、6速)ドライブギア22と、第8速・第10速用(以下、8&10速)ドライブギア23と、を有し、さらに第4〜第6ドグクラッチC4,C5,C6を有している。
変速用アイドル軸8は、各変速軸12,20と同様に、ハウジングに対して1対の軸受によって回転自在に支持され、第1及び第2変速軸12,20と平行に配置されている。この変速用アイドル軸8には、第1及び第2変速機構3,4に設けられた各ドライブギアに噛み合うドリブンギアと、第7及び第8ドグクラッチC7,C8とが設けられている。より詳細には、変速用アイドル軸8には、エンジン側から順に、第1〜第5ドリブンギア26,27,28,29,30がそれぞれ軸受を介して回転自在に支持されている。なお、第1ドリブンギア26と第2ドリブンギア27とは互いに一体的に回転するように、また第4ドリブンギア29と第5ドリブンギア30とは互いに一体的に回転するように構成されている。そして、第1ドリブンギア26は7&9速ドライブギア15に、第2ドリブンギア27は2&4速ドライブギア21に、第3ドリブンギア28は5速ドライブギア14及び6速ドライブギア22に、第4ドリブンギア29は1&3速ドライブギア13に、第5ドリブンギア30は8&10速ドライブギア23に、それぞれ常時噛み合っている。
出力軸10は、他の軸と同様に、ハウジングに対して1対の軸受によって回転自在に支持されている。また、出力軸10は、各軸の下方で各軸と平行に配置されている。この出力軸10には、出力ギア34が固定されており、この出力ギア34は第3ドリブンギア28と噛み合っている。
クラッチ機構5は、前後進切換用の前進用クラッチF及び後進用クラッチRと、第1変速機構3を選択するための第1スナップクラッチSC1及び第2変速機構4を選択するための第2スナップクラッチSC2とを有している。前進用クラッチFは入力軸2と同軸上に配置されている。後進用クラッチRは、入力軸2と平行に配置されたカウンタ軸36と同軸上に配置されている。第1スナップクラッチSC1は第1変速軸12と同軸上に、第2スナップクラッチSC2は第2変速軸20に同軸上に配置されている。なお、これらの各クラッチは油圧式多板クラッチで構成されているが、特にこの構成に限定されるものではない。
回転方向切換用ギア列6は、入力軸2に固定された入力ギア6aと、カウンタ軸36に固定され入力ギア6aに噛み合うカウンタギア6bとから構成されている。
変速用ギア列7は、前述の、前進用ギアFG、後進用ギアRG、第1変速用ギアG1及び第2変速用ギアG2から構成されている。
次に、以上のように構成された変速機の動力伝達経路について説明する。まず、各変速段において共通の経路、すなわち、入力軸2から各変速機構3,4に至るまでの動力伝達経路について説明する。
前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1がオン(後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2はオフ)の場合は、入力軸2からの回転は前進用クラッチF、前進用ギアFG及び第1変速用ギアG1を介して第1スナップクラッチSC1に入力され、第1変速機構3の第1変速軸12に入力される。
前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2がオン(後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1はオフ)の場合は、入力軸2からの回転は前進用クラッチF、前進用ギアFG及び第2変速用ギアG2を介して第2スナップクラッチSC2に入力され、第2変速機構4の第2変速軸20に入力される。
後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1がオン(前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2はオフ)の場合は、入力軸2からの回転は入力ギア6a、カウンタギア6b及びカウンタ軸36を介して後進用クラッチRに入力され、後進用ギアRG及び第1変速用ギアG1を介して第1スナップクラッチSC1に入力され、第1変速機構3の第1変速軸12に入力される。
後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2がオン(前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1はオフ)の場合は、入力軸2からの回転は入力ギア6a、カウンタギア6b及びカウンタ軸36を介して後進用クラッチRに入力され、後進用ギアRG及び第2変速用ギアG2を介して第2スナップクラッチSC2に入力され、第2変速機構4の第2変速軸20に入力される。
以上のようにして第1又は第2変速機構3,4に入力された回転は、各変速段においては以下のようにして変速される。
前進第1速の場合は、前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1がオンされ、後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第1変速軸12に入力される。また、前進第1速では、図4Aに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第1ドグクラッチC1:第1変速軸12+1&3速ドライブギア13
第2ドグクラッチC2:5速ドライブギア14+7&9速ドライブギア15
第4ドグクラッチC4:第2変速軸20+2&4速ドライブギア21
第5ドグクラッチC5:6速ドライブギア22+8&10速ドライブギア23
他のドグクラッチ:オフ
第1変速軸12→第1ドグクラッチC1→1&3速ドライブギア13→第4及び第5ドリブンギア29,30→8&10速ドライブギア23→第5ドグクラッチC5→6速ドライブギア22→第3ドリブンギア28→変速用アイドル軸8
前進第2速の場合は、前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2がオンされ、後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第2変速軸20に入力される。また、前進第2速では、図4Bに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第1ドグクラッチC1:第1変速軸12+1&3速ドライブギア13
第2ドグクラッチC2:5速ドライブギア14+7&9速ドライブギア15
第4ドグクラッチC4:第2変速軸20+2&4速ドライブギア21
第8ドグクラッチC8:第4ドリブンギア29+変速用アイドル軸8
他のドグクラッチ:オフ
第2変速軸20→第4ドグクラッチC4→2&4速ドライブギア21→第1及び第2ドリブンギア26,27→7&9速ドライブギア15→第2ドグクラッチC2→5速ドライブギア14→第3ドリブンギア28→変速用アイドル軸8
前進第3速の場合は、前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1がオンされ、後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第1変速軸12に入力される。また、前進第3速では、図4Cに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第1ドグクラッチC1:第1変速軸12+1&3速ドライブギア13
第4ドグクラッチC4:第2変速軸20+2&4速ドライブギア21
第7ドグクラッチC7:第2ドリブンギア27+変速用アイドル軸8
第8ドグクラッチC8:第4ドリブンギア29+変速用アイドル軸8
他のドグクラッチ:オフ
第1変速軸12→第1ドグクラッチC1→1&3速ドライブギア13→第4ドリブンギア29→第8ドグクラッチC8→変速用アイドル軸8
前進第4速の場合は、前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2がオンされ、後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第2変速軸20に入力される。また、前進第4速では、図4Dに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第2ドグクラッチC2:第1変速軸12+5速ドライブギア14
第4ドグクラッチC4:第2変速軸20+2&4速ドライブギア21
第7ドグクラッチC7:第2ドリブンギア27+変速用アイドル軸8
他のドグクラッチ:オフ
第2変速軸20→第4ドグクラッチC4→2&4速ドライブギア21→第2ドリブンギア27→第7ドグクラッチC7→変速用アイドル軸8
前進第5速の場合は、前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1がオンされ、後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第1変速軸12に入力される。また、前進第5速では、図4Eに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第2ドグクラッチC2:第1変速軸12+5速ドライブギア14
第5ドグクラッチC5:第2変速軸20+6速ドライブギア22
他のドグクラッチ:オフ
第1変速軸12→第2ドグクラッチC2→5速ドライブギア14→第3ドリブンギア28→変速用アイドル軸8
前進第6速の場合は、前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2がオンされ、後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第2変速軸20に入力される。また、前進第6速では、図4Fに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第3ドグクラッチC3:第1変速軸12+7&9速ドライブギア15
第5ドグクラッチC5:第2変速軸20+6速ドライブギア22
第7ドグクラッチC7:第1及び第2ドリブンギア26,27+変速用アイドル軸8
他のドグクラッチ:オフ
第2変速軸20→第5ドグクラッチC5→6速ドライブギア22→第3ドリブンギア28→変速用アイドル軸8
前進第7速の場合は、前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1がオンされ、後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第1変速軸12に入力される。また、前進第7速では、図4Gに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第3ドグクラッチC3:第1変速軸12+7&9速ドライブギア15
第6ドグクラッチC6:第2変速軸20+8&10速ドライブギア23
第7ドグクラッチC7:第1及び第2ドリブンギア26,27+変速用アイドル軸8
他のドグクラッチ:オフ
第1変速軸12→第3ドグクラッチC3→7&9速ドライブギア15→第1及び第2ドリブンギア26,27→第7ドグクラッチC7→変速用アイドル軸8
前進第8速の場合は、前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2がオンされ、後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第2変速軸20に入力される。また、前進第8速では、図4Hに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第3ドグクラッチC3:第1変速軸12+7&9速ドライブギア15
第4ドグクラッチC4:2&4速ドライブギア21+6速ドライブギア22
第6ドグクラッチC6:第2変速軸20+8&10速ドライブギア23
第8ドグクラッチC8:第4及び第5ドリブンギア29,30+変速用アイドル軸8
他のドグクラッチ:オフ
第2変速軸20→第6ドグクラッチC6→8&10速ドライブギア23→第4及び第5ドリブンギア29,30→第8ドグクラッチC8→変速用アイドル軸8
前進第9速の場合は、前進用クラッチF及び第1スナップクラッチSC1がオンされ、後進用クラッチR及び第2スナップクラッチSC2がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第1変速軸12に入力される。また、前進第9速では、図4Iに示すように、各ドグクラッチは以下の部材間をオン(連結)するように制御される。
第1ドグクラッチC1:1&3速ドライブギア13+5速ドライブギア14
第3ドグクラッチC3:第1変速軸12+7&9速ドライブギア15
第4ドグクラッチC4:2&4速ドライブギア21+6速ドライブギア22
第6ドグクラッチC6:第2変速軸20+8&10速ドライブギア23
他のドグクラッチ:オフ
第1変速軸12→第3ドグクラッチC3→7&9速ドライブギア15→第1及び第2ドリブンギア26,27→2&4速ドライブギア21→第4ドグクラッチC4→6速ドライブギア22→第3ドリブンギア28→変速用アイドル軸8
前進第10速の場合は、前進用クラッチF及び第2スナップクラッチSC2がオンされ、後進用クラッチR及び第1スナップクラッチSC1がオフされる。この場合は、前述のように、第2方向の回転が第2変速軸20に入力される。また、前進第10速では、各ドグクラッチのオン、オフは前進第9速の場合と同様である。
第2変速軸20→第6ドグクラッチC6→8&10速ドライブギア23→第4及び第5ドリブンギア29,30→1&3速ドライブギア13→第1ドグクラッチC1→5速ドライブギア14→第3ドリブンギア28→変速用アイドル軸8
後進の場合は、前進用クラッチFをオフし、後進用クラッチRをオンすることが前進の場合と異なる。したがって、後進の場合は、第1変速軸12及び第2変速軸20に前進とは逆方向の回転が入力されるが、各速度段でのドグクラッチの制御や動力の伝達経路は前進の各変速段の場合と全く同様である。
以上のようにして各変速段において変速用アイドル軸8に出力された回転は、変速用アイドル軸8の第3ドリブンギア28に噛み合う出力ギア34に伝達され、出力軸10に出力される。
本実施形態では、前述のように、奇数段の変速段については第1変速機構3に回転を入力し、偶数段の変速段については第2変速機構4に回転を入力するようにしている。そして、1段ずつ変速していく際に、次の変速段側を担当する変速機構においてプリシフトを行うとともに、さらに次の変速段に変速する際にシンクロ機構17を用いてドグクラッチの噛み合いがスムーズに行えるようにしている。
この装置では、前後進切換用の1対のクラッチF,R及び2つのスナップクラッチSC1,SC2を変速機構の前段に設けることによって、1組の変速機構3,4を用いて前進走行時及び後進走行時の両方において10段の変速段を得ることができる。
(a)前記実施形態では、前後進10段を例にとって説明したが、変速段数はこの実施形態に限定されるものではない。
2 入力軸
3 第1変速機構
4 第2変速機構
5 クラッチ機構
6 回転方向切換用ギア列
6a 入力ギア
6b カウンタギア
7 変速用ギア列
8 変速用アイドル軸
10 出力軸
12 第1変速軸
20 第2変速軸
C1〜C8 ドグクラッチ
F 前進用クラッチ
R 後進用クラッチ
FG 前進用ギア
RG 後進用ギア
G1 第1変速用ギア
G2 第2変速用ギア
Claims (3)
- 前進及び後進において多段変速が可能であり、エンジン側からの回転を変速して出力する産業車両用変速機であって、
エンジン側からの回転が入力される入力軸と、
前記入力軸からの回転を複数段の間で変速するための第1変速機構と、
前記第1変速機構に併設され、前記入力軸からの回転を複数段の間で変速するための第2変速機構と、
前記第1及び第2変速機構の入力側に配置され、前後進切換用の前進用クラッチ及び後進用クラッチと、前記第1変速機構にエンジンからの回転を入力するための第1スナップクラッチ及び前記第2変速機構にエンジンからの回転を入力するための第2スナップクラッチと、を含むクラッチ機構と、
前記前進用クラッチ及び前記後進用クラッチに対して前進用及び後進用の回転を入力するための回転方向切換用ギア列と、
前記前進用クラッチ及び前記後進用クラッチからの出力を前記第1スナップクラッチ及び前記第2スナップクラッチに入力するための変速用ギア列と、
前記第1及び第2変速機構からの回転が入力されて出力する出力軸と、
前記入力軸と平行に配置されたカウンタ軸と、
を備え、
前記第1及び第2変速機構はそれぞれ前記入力軸と平行に配置された第1,第2変速軸を有しており、
前記前進用クラッチは前記入力軸と同軸上に配置され、
前記後進用クラッチは前記カウンタ軸に同軸上に配置され、
前記第1スナップクラッチは前記第1変速軸と同軸上に配置され、
前記第2スナップクラッチは前記第2変速軸と同軸上に配置され、
前記変速用ギア列は、
前記入力軸に回転自在に支持され、前記前進用クラッチからの出力を前記第1及び第2変速機構に伝達するための前進用ギアと、
前記カウンタ軸に回転自在に支持され、前記後進用クラッチからの出力を前記第1及び第2変速機構に伝達するための後進用ギアと、
前記第1変速軸に回転自在に支持され、前記前進用ギア及び前記後進用ギアに噛み合い前記前進用及び後進用ギアからの回転を前記第1スナップクラッチに入力するための第1変速用ギアと、
前記第2変速軸に回転自在に支持され、前記前進用ギア及び前記後進用ギアに噛み合い前記前進用及び後進用ギアからの回転を前記第2スナップクラッチに入力するための第2変速用ギアと、
を有している、
産業車両用変速機。 - 前記回転方向切換用ギア列は、
前記入力軸に固定された第1ギアと、
前記カウンタ軸に固定され前記第1ギアと噛み合う第2ギアと、
を有している、請求項1に記載の産業車両用変速機。 - エンジンと前記クラッチ機構との間に設けられ、前記エンジンからの回転を前記入力軸に伝達するためのメインクラッチ装置をさらに備えた、請求項1又は2に記載の産業車両用変速機。
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