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JP5081899B2 - 蒸着源、蒸着装置、成膜方法 - Google Patents

蒸着源、蒸着装置、成膜方法 Download PDF

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Description

本発明は有機薄膜の技術分野にかかり、特に、品質のよい有機薄膜を製造する技術に関する。
有機EL素子は近年最も注目される表示素子の一つであり、高輝度で応答速度が速いという優れた特性を有している。有機EL素子は、ガラス基板上に赤、緑、青の三色の異なる色で発色する発光領域が配置されている。発光領域は、アノード電極膜、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及びカソード電極膜がこの順序で積層されており、発光層中に添加された発色剤で、赤、緑、又は青に発色するようになっている。
ホール輸送層、発光層、電子輸送層等は一般に有機材料で構成されており、このような有機材料の膜の成膜には蒸着装置が広く用いられる。
図4の符号203は、従来技術の蒸着装置であり、真空槽211の内部に蒸着容器212が配置されている。蒸着容器212は、容器本体221を有しており、該容器本体221の上部は、一乃至複数個の放出口224が形成された蓋部222で塞がれている。
蒸着容器212の内部には、粉体の有機蒸着材料200が配置されている。
蒸着容器212の側面と底面にはヒータ223が配置されており、真空槽211内を真空排気し、ヒータ223が発熱すると蒸着容器212が昇温し、蒸着容器212内の有機蒸着材料200が加熱される。
有機蒸着材料200が蒸発温度以上の温度に加熱されると、蒸着容器212内に、有機材料蒸気が充満し、放出口224から真空槽211内に放出される。
放出口224の上方には、基板搬送装置214が配置されており、ホルダ210に基板205を保持させ基板搬送装置214を動作させると、基板205は、放出口224の真上位置を通り、放出口224から放出された有機材料蒸気が基板205表面に到達し、ホール注入層やホール輸送層等の有機薄膜が形成される。
有機材料蒸気を放出させながら、基板205を一枚ずつ放出口224上を通過させれば、複数枚の基板205に逐次有機薄膜を形成することが可能になる。
特開2003−96557号公報
しかし、上記のように複数枚の基板205を成膜するためには、蒸着容器212内に多量の有機蒸着材料200を配置する必要がある。実際の生産現場では、蒸着材料を350℃〜450℃に加熱しながら120時間以上連続して成膜処理を行うため、蒸着容器212内の有機蒸着材料200は長時間高温に曝されることになり、蒸着容器中の水分と反応して変質したり、加熱による分解が進行し、加熱初期の状態に比べ、有機蒸着材料200が劣化してしまう。
供給回数を増やし、1回の供給量を減らせば、有機蒸着材料200の劣化が防止されるが、1回の供給量が少ないと、連続して運転できる時間が短くなる。さらに、加熱手段のトラブル等で有機蒸着材料200の蒸発速度が上がった場合や、基板205の搬送速度が遅くなった場合に、基板205に成膜している途中で有機蒸着材料200が無くなり、不良品となってしまう。
上記課題を解決するために、本発明は、放出口が設けられた蒸着容器と、前記蒸着容器に接続口を介して接続された蒸発室と、前記蒸発室の内部に配置された受け皿と、前記受け皿に蒸着材料を配置する供給装置と、前記受け皿の荷重がかかる質量計とを有する蒸着源である。
本発明は蒸着源であって、前記供給装置は前記蒸着材料が配置される供給室と、一端が前記供給室に接続され、他端が前記受け皿の上方位置で前記蒸発室に接続された供給管と、前記供給管に挿通された回転軸と、前記回転軸の側面に形成された螺旋状の溝と、前記回転軸を中心軸線を中心として回転させる回転手段とを有する蒸着源である。
本発明は蒸着源であって、前記受け皿に配置された前記蒸着材料を加熱する加熱手段を有する蒸着源である。
本発明は蒸着源であって、前記加熱手段はレーザー発生装置であり、前記レーザー発生装置は、前記受け皿に配置された前記蒸着材料に、レーザー光を照射可能に構成された蒸着源である。
本発明は蒸着源であって、前記質量計と前記供給装置にそれぞれ接続された制御装置とを有し、前記質量計は、前記受け皿の荷重に応じた信号を前記制御装置に伝達し、前記制御装置は、前記質量計から伝達される前記信号に応じて前記回転軸の回転量を制御する蒸着源である。
本発明は、真空槽と、蒸着源とを有する蒸着装置であって、前記蒸着源は、放出口が設けられた蒸着容器と、前記蒸着容器に接続口を介して接続された蒸発室と、前記蒸発室の内部に配置された受け皿と、前記受け皿に蒸着材料を配置する供給装置と、前記受け皿の荷重がかかる質量計とを有し、前記蒸着容器の内部空間と、前記真空槽の内部空間は、前記放出口を介して接続された蒸着装置である。
本発明は、供給装置から蒸発室の内部に蒸着材料を供給し、前記蒸着材料を前記蒸発室の内部で蒸発させ、前記蒸着材料の蒸気を、前記蒸発室に接続された1又は複数個の放出口から真空槽内部に放出させ、複数枚の基板を搬送元から搬送先へ連続して移動させる間に、前記放出口の真上位置を通過させて、前記各基板表面に薄膜を成膜する成膜方法であって、放出口上を通過する前記基板の枚数を数え、予め決めた枚数の前記基板が、最も前記搬送先に近い前記放出口の上方位置を通過し終わってから、次の前記基板が最も前記搬送元に近い前記放出口の上方位置に到達する前に、前記蒸発室内部の前記蒸着材料の質量を測定し、その測定値と、予め決めた基準値とを比較して、前記蒸着材料を前記蒸発室に補充する成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、予め決めた枚数の前記基板の成膜に必要な質量よりも大きい質量を前記基準値とし、前記蒸発室の内部の前記蒸着材料が、前記基準値となるように補充する成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、予め決めた枚数の前記基板の成膜に必要な質量よりも大きい質量を前記基準値とし、前記測定値が前記基準値以下となった時に、前記蒸着材料を補充する成膜方法である。
本発明は上記のように構成されており、本発明の蒸着源は、蒸着材料を必要な時に必要量供給することができるので、蒸着材料の劣化が起こり難い。
実際の測定値と基準値を比較することで、蒸発室内部に所望量の蒸着材料を正確に配置することができる。
レーザー光を照射して蒸着材料を蒸発させる方法は、抵抗加熱等他の加熱方法に比べて蒸着材料の化学変性が起こりにくい。
有機EL材料(電荷移動材料、発光材料、電子移動材料等)は、加熱による化学変性が起こりやすいので、蒸着材料の加熱にレーザー光を用いれば、有機EL材料の変性が少なく、発光量の高い有機EL装置を製造することができる。
レーザー光はポリマーも化学変性無しに蒸発させることができるので、従来、インクジェット法、スクリーン印刷法、スピンコート法で成膜していたポリマー薄膜を、蒸着法で成膜することができる。
本発明の蒸着源は長時間運転が可能であり、蒸着材料が高温に長時間曝されないので、蒸着材料が分解や変質しない。蒸着材料と化学組成の変わらない薄膜を成膜できる。有機EL装置の有機層の成膜に本発明の蒸着源を用いれば、発光量の高い有機EL装置を製造することができる。成膜途中に蒸着材料が無くならないので、不良品が無くなる。膜厚分布が均一な薄膜が形成される。
本発明の第一例の蒸着装置を説明するための斜視図 その蒸着装置の内部を説明するための模式的断面図 本発明の第二例の蒸着装置を説明するための模式的断面図 従来技術の蒸着装置を説明するための断面図
符号の説明
1、50……蒸着装置 2……レーザー発生装置 6……基板 11……真空槽 15……蒸発室 21……蒸着容器 30……供給装置
図1の斜視図、図2の概略断面図の符号1は、本発明の実施例であり、第一例の蒸着装置を示している。この蒸着装置1は、真空槽11と、蒸着源3とを有している(図1では真空槽11は省略してある)。
真空槽11には真空排気系9が接続されており、真空排気系9を動作させると真空槽11の内部が真空排気される。
蒸着源3は蒸着容器21と、蒸発室15と、供給装置30と、受け皿41と、質量計49と、制御装置45とを有している。蒸着容器21は真空槽11内部に配置されている。
蒸着容器21には放出口24が1又は複数個形成され、後述するように、供給装置30から供給された蒸着材料16が蒸発室15内で蒸発すると、その蒸気が蒸着容器21内部に導入され、各放出口24からは真空槽11の内部に蒸着材料の蒸気が放出されるように構成されている。
真空槽11の内部には、不図示の搬送元と搬送先が設けられており、搬送元から搬送先には基板搬送機構14が延設されている。基板搬送機構14には複数のホルダ10が取りつけられており、各ホルダ10には成膜対象物である基板6がそれぞれ取り付けられる。
基板6はホルダ10に保持された状態で、1又は複数枚ずつ、搬送元から搬送先へ搬送されるように構成されている。
各放出口24は、基板が搬送される搬送経路の途中の下方にそれぞれ位置しており、基板の縁が最も搬送元に近い放出口24の縁に到達してから、基板の縁が最も搬送先に近い放出口24の縁を通過し終わるまでの間、基板表面に蒸着材料の薄膜が成膜される。尚、基板と放出口24の間にマスクを配置し、基板表面の所定領域にだけ薄膜を形成してもよい。
次に、蒸着源3について詳細に説明する。供給装置30は、供給室31と、供給管32と、回転軸35とを有している。供給室31は蒸発室15の上方に配置されている。
供給室31の底面には開口が設けられており、供給管32は一端が供給室31の内部に接続され、他端が蒸発室15の天井から内部に気密に挿入されている。
供給室31は天井側の方が底面側よりも大径にされ、底部の側壁は傾斜している。この蒸着装置1で使用される蒸着材料16は粉体であり、供給室31に蒸着材料16を収容すると、蒸着材料16は底部に形成された傾斜を滑り、供給管32との接続部分である開口に向かって落ち込む。
回転軸35は、上端が開口よりも上方に突き出るように、供給管32に挿入されており、開口に向かって落ち込んだ蒸着材料16は、回転軸35の周囲に溜まる。
回転軸35の側面のうち、供給管32の下端よりも上の部分には、少なくとも供給室31と供給管32の接続部分よりも上方位置まで螺旋状の溝が形成されており、その溝に回転軸35の周囲に溜まった蒸着材料16が接触する。
回転軸35の溝と溝の間の凸部は、供給管32の内壁面と接触するか、凸部と内壁面との間の隙間が、蒸着材料16の粒子径以下にされており、回転軸35が静止した状態では、蒸着材料16が供給室31底面の開口を通って蒸発室15内部に落下しないようになっている。
真空槽11の外部には回転手段37が配置されている。回転軸35は回転手段37に接続されており、回転手段37の動力を回転軸35に伝達させると、回転軸35は上昇も下降もせずに、供給管32内に挿通された状態を維持しながら、中心軸線Cを中心として回転するように構成されている。
ここでは、供給管32の内壁面にネジ山は形成されておらず、回転軸35は上下方向には静止した状態で回転すると、回転軸35の溝に接触する蒸着材料16は下方に押し出される。
溝の下端は蒸発室15の内部空間に接続されており、蒸着材料16が下方に押し出されると、蒸発室15内部に落下する。
受け皿41は蒸発室15内部の供給管32下端の真下に配置されており、落下した蒸着材料16は受け皿41に配置される。
蒸発室15の底壁には貫通孔が形成されており、貫通孔には上軸46の上端が挿入され、受け皿41はこの上軸46に取り付けられている。
上軸46の下端は支持板43を介して下軸47の上端に取り付けられている。下軸47の下端は質量計49に乗せられており、従って、受け皿41は、上軸46と支持板43と下軸47を介して質量計49に乗せられており、受け皿41と、受け皿41上の蒸着材料16の荷重は質量計49に加えられる。
ここでは、蒸発室15底壁の貫通孔の周囲には、ベロース42の一端が気密に取り付けられ、ベロース42の他端は、上軸46の周囲で支持板43に気密に取り付けられており、蒸発室15の内部空間は外部雰囲気から遮断されている。
ベロース42は伸縮可能になっており、蒸着材料16が落下して、受け皿41と蒸着材料16の合計質量が増えると、蒸発室15を外部雰囲気から遮断したままベロース42が伸び、質量が増えた分の荷重が、ベロース42で遮られることなく質量計49に伝わる。
質量計49と回転手段37はそれぞれ制御装置45に接続されている。質量計49は、例えば歪みゲージであって、受け皿41と、受け皿41上の蒸着材料16との合計荷重に応じた信号を制御装置45へ伝達する。
受け皿41の質量は予め分かっており、制御装置45は質量計49から伝達された信号と、受け皿41の質量から、受け皿41に配置された蒸着材料16の質量を算出する。
回転軸35の回転量と、受け皿41に落下する蒸着材料16の質量の関係は予め分かっており(例えば、1回転で0.01g)、蒸着材料16の必要量を供給するだけの回転軸35の回転量を求め、求めた回転量だけ回転軸35を回転させれば、必要量の蒸着材料16を蒸発室15内部に補充することができる。
回転軸35の回転量と受け皿41に落下する量は必ずしも常に一定の関係にあるわけではなく、例えば、蒸着材料16の一部が凝集して塊が生じた場合、その塊が落下する時には、回転量に応じた量よりも多量の蒸着材料16が受け皿41に落下する。従って、回転軸35を必要量から求めた回転量回転させるだけでは、誤差が生じることがある。
上述したように、制御装置45は受け皿41上の蒸着材料16の質量を測定できるから、受け皿41上の蒸着材料16の質量を測定しながら、回転軸35を回転させ、必要量から求めた回転量回転し終わる前に、測定値が必要量に達したら回転を停止させ、必要量に応じた回転量回転し終わっても、測定値が必要量に達していなかったら回転量を増やすようにすれば、必要量の蒸着材料16を正確に受け皿41に配置することができる。
蒸発室15には透明な窓部19が設けられている。ここでは、蒸発室15は真空槽11内部に位置し、真空槽11の側壁の窓部19と対面する位置にも窓部4が設けられているが、蒸発室15のうち、少なくとも窓部19が形成された部分が真空槽11外部に配置されている場合は、真空槽11に窓部4を設ける必要が無い。
真空槽11の外部には加熱手段であるレーザー発生装置2が配置されており、レーザー発生装置2が照射するレーザー光は、窓部4、19を通過し、受け皿41上の蒸着材料16に照射され、昇温されるように構成されている。
蒸発室15と蒸着容器21の間には接続管26が設けられ、接続管26によって蒸発室15と蒸着容器21の内部空間が接続されている。
上述した放出口24は蒸着容器21の天井に設けられており、従って、蒸発室15の内部空間は、接続管26と、蒸着容器21と、放出口24とを介して真空槽11の内部空間に接続されている。
真空槽11と蒸発室15と蒸着容器21にはそれぞれ真空排気系9が接続されており、真空排気系9を動作させ、真空槽11と蒸発室15と蒸着容器21の内部空間を真空排気し、所定圧力の真空雰囲気が形成されたところで、真空槽11の真空排気は続け、蒸発室15と蒸着容器21の真空排気は停止させる。
有機EL層用の有機材料(例えば電荷移動材料、電荷発生材料、電子移動材料)を蒸着材料16として供給室31に配置しておき、受け皿41に蒸着材料16を配置しておく。
真空槽11の真空排気を続けながら、レーザー発生装置2から、その蒸着材料16の吸収波長のレーザー光を照射し、蒸着材料16の蒸気を発生させる。
接続管26の内部空間のうち、最も小径の部分(接続口)38は、蒸発室15や蒸着容器21の断面形状よりも小さいので、蒸発室15と蒸着容器21に圧力差が生じ、蒸発室15に充満した蒸気は蒸着容器21に噴出する。ここでは、接続管26は内径が均一であり(例えば内径1mmのステンレス管)、接続管26内部の任意の一部分が接続口38となる。
接続口38を通って蒸着容器21に進入した蒸気は、蒸着容器21内部に充満すると、蒸着容器21の天井に設けられた放出口24を通って真空槽11の内部に放出される。
蒸着容器21の内部圧力が安定し、放出口24からの蒸気放出量が安定してから、基板6を搬送元から搬送先へ連続して搬送させると、各基板6には放出口24上を通過する間に有機材料の薄膜が成膜される。
複数枚の基板6を連続して搬送元から搬送先へ送りながら、真空槽11の真空排気と、蒸着材料16の加熱とを続ければ、複数枚の基板6に連続して薄膜を形成することができる。
蒸着材料16の補充無しに蒸着材料16の加熱を続け、複数枚の基板6の成膜を行うと、受け皿41上の蒸着材料16が減少し、基板6を成膜している途中に蒸着材料16が無くなり、その基板6は不良品となる。
本発明では、蒸着材料16が無くなる前に、各放出口24に基板6が存在しない状態で、蒸着材料16を補充する。
具体的には、最も搬送元に近い放出口24の真上位置、又は該真上位置よりも所定距離だけ搬送元側の位置を成膜開始位置とし、最も搬送先に近い放出口24の真上位置、又は該真上位置よりも所定距離だけ搬送先側の位置を成膜終了位置とした場合に、基板6と基板6との搬送間隔を、成膜開始位置と成膜終了位置との間の距離よりも長くしておけば、前の基板の搬送方向最後尾が成膜終了位置を通過してから、次の基板6の搬送方向先頭が成膜開始位置に到達するまでの間に、少なくとも最も搬送元側の放出口24の真上位置から、最も搬送先の放出口24の真上位置までの間に、基板6が存在しない状態が生じる。
受け皿41上の蒸着材料16を加熱しながら蒸着材料16を補充する場合、補充された瞬間蒸発量が増大し、短期間の間放出口24からの放出量が増大するが、前の基板の搬送方向最後尾が成膜終了位置を通過してから、次の基板6の搬送方向先頭が成膜開始位置に到達するまでの間に、蒸着材料16の補充を行えば、蒸着材料16を補充している間、各放出口24上に基板6が存在しないので、基板6の膜厚分布にむらが生じない。
蒸着材料16の補充方法をより具体的に説明すると、予め1回の補充で成膜する基板6の枚数を決めておき、その枚数分の基板6の成膜に必要な蒸着材料16の量を求め、その量よりも大きい値を基準値として決め、1回の補充で成膜する基板6の枚数と、基準値とを制御装置45に入力しておく。
制御装置45は成膜終了位置を通過する基板6の枚数を数え、予め決めた枚数の基板6が成膜終了位置を通過し終わってから、次の基板6が成膜開始位置に到達する前に、各放出口24上に基板6が存在しない状態での、受け皿41上の蒸着材料16の質量を測定して測定値と基準値とを比較する。
本発明第一の方法では、測定値と基準値とを比較して、基準値と測定値の差を求め、次の基板6が成膜開始位置に到達する前に、その差分の蒸着材料16を補充し、受け皿41上の蒸着材料16の質量を基準値とする。
本発明第二の方法では、測定値と基準値とを比較し、測定値が基準値以上であれば、決めた枚数の基板6が成膜終了位置を通過し終わった時であっても補充を行わずに、次に決めた枚数の基板6の成膜を行う。決めた枚数毎に測定値と基準値の比較を行い、測定値が基準値未満となった時に、測定値が基準値以上となるように蒸着材料16を補充する。
いずれの場合も、次の基板6が成膜開始位置に到達する前には、決めた枚数の成膜に必要な量以上の蒸着材料16が配置されるから、基板6の成膜途中に蒸着材料16が無くならない。
尚、測定値と基準値との比較は、同じ枚数毎に行ってもよいし、異なる枚数毎に行っても良い。異なる枚数毎に行う場合には、その枚数毎に基準値を求め、測定値と比較する基準値を、次に補充無しに連続成膜する枚数分の成膜に必要な量よりも大きい値とする。
また、受け皿41上の蒸着材料16の質量測定は、基板6が成膜終了位置を通過し終わってから行ってもよいし、基板6が成膜終了位置を通過し終わる前に行い、基板6が成膜終了位置を通過したときの質量を推測で算出してもよい。
要するに本発明は、各放出口24上に基板6が存在しない状態での、受け皿41上の蒸着材料16の質量を測定し、その測定値に基づいて、各放出口24上に基板6が存在しない状態で蒸着材料16を補充するものである。
蒸着材料16の補充は、次の基板6が成膜開始位置に到達しないように、成膜開始位置よりも搬送元側で停止させた状態で行ってもよいし、基板6の搬送間隔が長く、次の基板6が成膜開始位置に到達する前に、蒸着材料16の補充が終わるのであれば、基板6を搬送しながら蒸着材料16の供給を行っても良い。
以上は、蒸着材料16の加熱にレーザー発生装置2を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、加熱装置としては、通電によって発熱する抵抗発熱体、電磁誘電によって蒸着容器21を加熱する装置、赤外線放射によって蒸着容器21を加熱する装置、昇温させた熱媒体の熱伝導によって蒸着容器21を加熱する装置、ペルチェ効果によって加熱する装置等の蒸着容器21を加熱する装置等を用いることができる。
しかし、レーザー光は無機材料だけでなく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機材料を蒸発可能であり、しかも、蒸発するときに蒸着材料の化学組成の変化が少ないので特に好ましい。
また、蒸着材料16の変性物や不純物は、吸収波長が、変性する前の目的化合物とは異なるから、目的化合物に吸収されやすい波長のレーザー光を選択すれば、蒸着材料16の一部が変性したり、不純物が混入したとしても、目的化合物のだけを選択的に蒸発させ、変性物や不純物の混入量が少ない薄膜を形成できる。
レーザー発生装置2として、レーザー光の波長を可変な可変型のものを用いれば、蒸着材料16の吸収波長に応じて、放出するレーザー光の波長を選択できるので、本発明の蒸着装置1を多様な蒸着材料16の成膜に用いることができる。
レーザー光の波長は特に限定されないが、蒸着材料16がポリマーの場合は、例えば680nm〜10.6μmである。レーザー発生装置2の一例を述べると、口径10μm〜20μmのCO2レーザーである。
上記実施例では本発明の蒸着装置によって有機薄膜を形成したが、本発明の蒸着装置は、長時間の加熱によって劣化する蒸着材料を真空雰囲気内で蒸発させ、複数の成膜対象物に逐次薄膜を形成する製造方法に適しており、蒸発室15内で蒸気を発生させる蒸着材料は有機化合物に限定されるものではない。要するに、本発明の蒸着装置は、有機化合物の薄膜を形成する場合の他、無機薄膜や複合材料の薄膜を形成するのにも用いることができる。
蒸着材料16の蒸気は冷却されると析出するので、少なくとも接続口38の周囲(接続管26)に加熱手段28を設けることが望ましい。ここでは、加熱手段28は、蒸発室15と、蒸着容器21にも取り付けられており、該加熱手段28に通電し、蒸発室15と、蒸着容器21と、接続管26を蒸気が析出しない温度に加熱すると、蒸気が蒸発室15と蒸着容器21と接続管26の内部で析出しない。
蒸着容器21内に真空計5を配置し、真空計5とレーザー発生装置2を、それぞれ質量計49が接続されたのと同じ制御装置45、又は、異なる制御装置に接続しておき、真空計5から送られる信号に基づいて蒸着容器21内の圧力を求め、その圧力が目標圧力になるように、レーザー発生装置2の照射時間、パルス数等を変えれば、蒸着材料16の蒸発量を増減可能である。
この場合、放出口24からの蒸気放出量は安定するが、レーザー発生装置2を制御した場合であっても、蒸着材料16を補充するときには瞬間的に蒸気放出量が増大するので、放出口24上に基板6が存在しない状態で蒸着材料16の補充を行うことが望ましい。
蒸発室15と供給装置30を真空槽11の外部に配置することもできる。この場合、真空槽11に窓部4を設ける必要はない。一つの蒸着容器21に接続する蒸発室15の数は特に限定されず、一つの蒸着容器21に複数の蒸発室15を接続口38を介して接続し、複数の蒸発室15から蒸着容器21に蒸気を供給してもよい。この場合、各蒸発室15から同じ蒸着材料16の蒸気を供給してもよいし、異なる蒸着材料16の蒸気を供給してもよい。異なる蒸着材料16の蒸気を同時に供給すれば、2種類以上の蒸着材料16からなる薄膜が形成される。
以上は、蒸発室15と蒸着容器21にも真空排気系9に接続する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。真空排気系9を真空槽11だけに接続し、真空槽内部を真空排気することで、放出口24を介して蒸着容器21の内部を真空排気し、更に接続口38を介して蒸発室15の内部を真空排気することもできる。更に、蒸発室15と蒸着容器21のいずれか一方を真空排気系に接続することもできる。
以上は、放出口24を鉛直上方に向け、基板6を放出口24の上方を通過させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、細長の蒸着容器21を、長手方向を鉛直下方に向け、ホルダ10に保持された基板6を鉛直に向けた状態で搬送させ、放出口24と対面する位置を通過させることで、蒸気を基板6表面に到達させることもできる。
以上は、放出口24と面する位置を一列に基板6を通過させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、搬送経路を2つ以上形成し、二列以上の基板6を通過させる場合も本発明に含まれる。

Claims (9)

  1. 放出口が設けられた蒸着容器と、
    前記蒸着容器に接続口を介して接続された蒸発室と、
    前記蒸発室の内部に配置された受け皿と、
    前記受け皿に蒸着材料を配置する供給装置と、
    前記受け皿の荷重がかかる質量計とを有する蒸着源。
  2. 前記供給装置は前記蒸着材料が配置される供給室と、
    一端が前記供給室に接続され、他端が前記受け皿の上方位置で前記蒸発室に接続された供給管と、
    前記供給管に挿通された回転軸と、
    前記回転軸の側面に形成された螺旋状の溝と、
    前記回転軸を中心軸線を中心として回転させる回転手段とを有する請求項1記載の蒸着源。
  3. 前記受け皿に配置された前記蒸着材料を加熱する加熱手段を有する請求項1記載の蒸着源。
  4. 前記加熱手段はレーザー発生装置であり、
    前記レーザー発生装置は、前記受け皿に配置された前記蒸着材料に、レーザー光を照射可能に構成された請求項3記載の蒸着源。
  5. 前記質量計と前記供給装置にそれぞれ接続された制御装置とを有し、
    前記質量計は、前記受け皿の荷重に応じた信号を前記制御装置に伝達し、
    前記制御装置は、前記質量計から伝達される前記信号に応じて前記回転軸の回転量を制御する請求項2記載の蒸着源。
  6. 真空槽と、蒸着源とを有する蒸着装置であって、
    前記蒸着源は、放出口が設けられた蒸着容器と、
    前記蒸着容器に接続口を介して接続された蒸発室と、
    前記蒸発室の内部に配置された受け皿と、
    前記受け皿に蒸着材料を配置する供給装置と、
    前記受け皿の荷重がかかる質量計とを有し、
    前記蒸着容器の内部空間と、前記真空槽の内部空間は、前記放出口を介して接続された蒸着装置。
  7. 供給装置から蒸発室の内部に蒸着材料を供給し、
    前記蒸着材料を前記蒸発室の内部で蒸発させ、
    前記蒸着材料の蒸気を、前記蒸発室に接続された1又は複数個の放出口から真空槽内部に放出させ、複数枚の基板を搬送元から搬送先へ連続して移動させる間に、前記放出口の真上位置を通過させて、前記各基板表面に薄膜を成膜する成膜方法であって、
    放出口上を通過する前記基板の枚数を数え、
    予め決めた枚数の前記基板が、最も前記搬送先に近い前記放出口の上方位置を通過し終わってから、次の前記基板が最も前記搬送元に近い前記放出口の上方位置に到達する前に、前記蒸発室内部の前記蒸着材料の質量を測定し、その測定値と、予め決めた基準値とを比較して、前記蒸着材料を前記蒸発室に補充する成膜方法。
  8. 予め決めた枚数の前記基板の成膜に必要な質量よりも大きい質量を前記基準値とし、
    前記蒸発室の内部の前記蒸着材料が、前記基準値となるように補充する請求項7記載の成膜方法。
  9. 予め決めた枚数の前記基板の成膜に必要な質量よりも大きい質量を前記基準値とし、
    前記測定値が前記基準値以下となった時に、前記蒸着材料を補充する請求項7記載の成膜方法。
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