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JP5076665B2 - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、駆動力伝達装置に関する。
駆動力伝達装置の一形式として、外側回転部材と同外側回転部材内にて同軸的かつ回転可能に位置する内側回転部材との間に、メインクラッチ機構、カム機構および電磁式のパイロットクラッチ機構を配設して構成され、前記パイロットクラッチ機構の電磁コイルに電流を印加することにより発生するパイロットトルクを前記カム機構にて軸方向のカム推力に変換し、同カム推力にて前記メインクラッチ機構を押圧して係合動作させて、前記両回転部材間のトルク伝達を行う形式の駆動力伝達装置がある。
当該駆動力伝達装置においては、前記カム機構は、一般に、前記パイロットクラッチ機構側に位置するパイロットカムと、前記メインクラッチ機構側に位置するメインカムと、前記パイロットカムに設けた第1のカム溝と前記メインカムに設けられて前記第1のカム溝に対向する第2のカム溝との間に嵌合するカムボールとからなり、前記パイロットクラッチトルクによって、前記パイロットカムと前記メインカムが相対回転して両カム溝内をカムボールが転動して、両カムを互いに離間する方向に押動する作用力(軸方向のカム推力)を発生させるように構成されている。このため、前記パイロットカムと前記メインカムの相対回転が過大になると、カムボールがカム溝から乗り上げてメインクラッチ機構に過大なカム推力を付与し、両回転部材間がロック状態に至る可能性がある。
当該形式の駆動力伝達装置においては、メインクラッチ機構が配設されているクラッチ室内に収容されているクラッチオイルが低温で粘度が高い場合や、パイロットカムとメインカムの相対回転が急激に発生した場合には、メインクラッチ機構に付与されるカム推力が一層過大になって、当該駆動力伝達装置が介在している駆動系が損傷するに至るおそれがある。このため、かかる問題に対処すべき駆動力伝達装置が提案されている(特許文献1を参照)。
上記した特許文献1にて提案されている駆動力伝達装置は、パイロットカムとメインカムの相対回転が過大になってもカムボールがカム溝から乗り上げることがないようにすることを意図したものであって、メインカムにおけるカム溝の径方向の外周に嵌合突起を設けるとともに、パイロットカムにおけるカム溝の径方向の外周に嵌合凹溝を設けて、パイロットカムとメインカム間に過大の相対回転が生じた場合には、メインカム側の嵌合突起がパイロットカム側の嵌合凹溝に嵌合して、パイロットカムとメインカムのそれ以上の相対回転を規制して、カムボールのカム溝からの乗り上げを防止するものである。
特開2005−24024号公報
このように、上記した特許文献1にて提案されている駆動力伝達装置においては、カムボールのカム溝からの乗り上げを防止することはできる。しかしながら、カムボールのカム溝からの乗り上げを防止する手段として、メインカム側に嵌合突起を設け、パイロットカム側にメインカムの嵌合突起が嵌合する嵌合凹溝を設けることが不可欠であり、このようなメインカムとパイロットカムを形成するには工数の増加をまねき、また、このような特別の嵌合突起や嵌合凹溝の加工は面倒であるという問題がある。従って、本発明の目的は、このような特別の嵌合突起や嵌合凹溝を設けることなく、パイロットカム側のカム溝とメインカム側のカム溝の相対的な形状を特殊な形状にすることのみによって、カムボールのカム溝からの乗り上げを防止することにある。
本発明は駆動力伝達装置に関する。本発明が適用対象とする駆動力伝達装置は、外側回転部材と同外側回転部材内にて同軸的かつ回転可能に位置する内側回転部材との間に、メインクラッチ機構、カム機構および電磁式のパイロットクラッチ機構を配設して構成され、前記パイロットクラッチ機構の電磁コイルに電流を印加することにより発生するパイロットトルクを前記カム機構にて軸方向のカム推力に変換し、同カム推力にて前記メインクラッチ機構を押圧して係合動作させて、前記両回転部材間のトルク伝達を行う駆動力伝達装置である。
本発明に係る駆動力伝達装置においては、前記カム機構は、前記パイロットクラッチ機構側に位置するパイロットカムと、前記メインクラッチ機構側に位置するメインカムと、前記パイロットカムに設けた第1のカム溝と前記メインカムに設けられて前記第1のカム溝に対向する第2のカム溝との間に嵌合するカムボールとからなるもので、前記パイロットクラッチトルクによって前記パイロットカムと前記メインカムが相対回転して軸方向のカム推力を発生させる構成のカム機構である。
しかして、本発明に係る駆動力伝達装置においては、前記パイロットカムの第1のカム溝および前記メインカムの第2のカム溝は回転軸に対する径方向の断面が円弧状を呈して周方向へ所定長さ延びていて、前記パイロットカムの第1のカム溝と前記メインカムの第2のカム溝の回転軸に対する径方向の位置は、カム溝の周方向の中心部では互いに略一致していて、カム溝の周方向の中心部から外側にいくにしたがってずれていることを特徴とするものである。
本発明に係る駆動力伝達装置においては、前記パイロットカムの第1のカム溝と前記メインカムの第2のカム溝の回転軸に対する径方向の位置が、カム溝の周方向の中心部から外側にいくにしたがってずれていることから、両カム溝の径方向の位置が大きくずれている部位ほど発生するカム推力は軸方向からずれることになる。従って、パイロットカムとメインカムを相対回転させるに必要なトルクは、両カムの相対回転に比例して増加することになって、カムボールのカム溝からの乗り上げが大きく抑制されることになる。
また、カム機構のこのような作用によれば、両カムの相対回転の増加にしたがって、メインクラッチ機構の締結力の増分が減少することになるため、低温でクラッチオイルの粘度が増加している場合や、急激な差動回転の入力による過大トルクの発生を抑制することができる。
本発明に係る駆動力伝達装置は、外側回転部材と同外側回転部材内にて同軸的かつ回転可能に位置する内側回転部材との間に、メインクラッチ機構、カム機構および電磁式のパイロットクラッチ機構を配設して構成され、前記パイロットクラッチ機構の電磁コイルに電流を印加することにより発生するパイロットトルクを前記カム機構にて軸方向のカム推力に変換し、同カム推力にて前記メインクラッチ機構を押圧して係合動作させて、前記両回転部材間のトルク伝達を行う駆動力伝達装置である。
図1には、本発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置を示している。当該駆動力伝達装置10は、図3に示すように、前輪駆動をベースとする四輪駆動車の後輪側の動力伝達系路の途中に配設される使用形態が採られる。当該四輪駆動車において、トランスアクスル21はトランスミッション、トランスファおよびフロントディファレンシャルを一体に備えるもので、エンジン22の駆動力をトランスアクスル21のフロントディファレンシャル23aを介して、両アクスルシャフト24a,24bに出力して左右の前輪25a,25bを駆動させるとともに、第1プロペラシャフト26a側に出力させる。第1プロペラシャフト26aは、駆動力伝達装置10を介して第2プロペラシャフト26bに連結されており、両プロペラシャフト26a,26bがトルク伝達可能に連結された場合には、駆動力は後側ディファレンシャル23bに伝達され、リヤディファレンシャル23bから両アクスルシャフト27a,27bへ出力されて左右の後輪28a,28bを駆動させる。
駆動力伝達装置10は、図1に示すように、外側回転部材であるアウタケース10a、内側回転部材であるインナシャフト10b、メインクラッチ機構10c、パイロットクラッチ機構10d、および、カム機構10eを備えている。アウタケース10aは、筒状のハウジング11aと、ハウジング11aの後端開口部に嵌合螺着されて同開口部を覆蓋するリヤカバー11bとにより形成されている。ハウジング11aは非磁性材料であるアルミ合金にて、かつ、リヤカバー11bは磁性材料である鉄にてそれぞれ形成されている。リヤカバー11bには、その中間部に、非磁性材料であるステンレス製の筒体11cが埋設されており、筒体11cは環状の非磁性部位を形成している。
インナシャフト10bは、リヤカバー11bの中央部を液密的に貫通してアウタケース10a内に同軸的に挿入されていて、軸方向を規制された状態で、ハウジング11aの前側壁部とリヤカバー11bに回転可能に支持されている。インナシャフト10bは、その内孔を貫通する第2プロペラシャフト26bとスプライン嵌合して、第2プロペラシャフト26bとはトルク伝達可能に連結される。なお、ハウジング11aの前側壁部には第1プロペラシャフト26aが固定的に組付けられている。
メインクラッチ機構10cは湿式多板式の摩擦クラッチであり、多数のクラッチプレート(インナクラッチプレート12a、アウタクラッチプレート12b)を備え、ハウジング11a内のクラッチ室に配設されている。メインクラッチ機構10cを構成する各インナクラッチプレート12aは、インナシャフト10bの外スプライン11dにスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、各アウタクラッチプレート12bはハウジング11aの内スプライン11eにスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。各インナクラッチプレート12aと各アウタクラッチプレート12bは交互に位置していて、互いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して自由状態となる。
パイロットクラッチ機構10dは、電磁石13、摩擦クラッチ14、アーマチャ15、および、ヨーク16にて構成されている。電磁石13は環状を呈し、ヨーク16に嵌着された状態でリヤカバー11bの環状凹所に嵌合されている。ヨーク16は、リヤカバー11bの後端部の外周に回転可能に支持された状態で、車体側に固定されている。
摩擦クラッチ14は、複数のアウタクラッチプレート14aとインナクラッチプレート14bとからなる湿式の摩擦クラッチであり、各アウタクラッチプレート14aは、ハウジング11aの内スプライン11eにスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、各インナクラッチプレート14bは、後述するカム機構10eを構成するパイロットカム17aの外スプラインにスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。アーマチャ15は環状を呈するもので、ハウジング11aの内スプライン11eにスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられていて、摩擦クラッチ14の前側に位置してこれと対向している。
以上の構成のパイロットクラッチ機構10dにおいては、電磁石13の電磁コイルへ通電することによって、電磁石13を基点としてヨーク16、リヤカバー11b、摩擦クラッチ14、および、アーマチャ15を循環する磁束が通るループ状の循環磁路が形成される。電磁石13の電磁コイルへの印加電流は、デューティ制御により設定された所定の電流値に制御される。電磁石13の電磁コイルに対する通電の断続(印加電流の断続)は、手動スイッチの切替え操作によってなされ、後述する3つの駆動モードを選択できるようになっている。当該スイッチは、車室内の運転席の近傍に配設されて、運転者が容易に操作し得るようになっている。なお、当該駆動力伝達装置10を後述する第2の駆動モードのみの構成とすれば、当該スイッチを省略できる。
カム機構10eは、図1および図2に示すように、パイロットカム17a、メインカム17b、および、カムボール17cにて構成されている。パイロットカム17aは、インナシャフト10bの外周に回転可能に嵌合していて、リヤカバー11bに回転可能に支承されており、その外スプライン17a1に、摩擦クラッチ14のインナクラッチプレート14bがスプライン嵌合している。メインカム17bは、内スプライン17b1にて、インナシャフト10bの外スプライン11dにスプライン嵌合して一体回転可能に組付けられていて、メインクラッチ機構10cのインナクラッチプレート12aの後側に対向して位置している。パイロットカム17aとメインカム17bの互いに対向する対向面には、パイロットカム17a側に複数の第1のカム溝17a2が、メインカム17b側に複数の第2のカム溝17b2がそれぞれ形成されている。第1のカム溝17a2と第2のカム溝17b2は互いに対向して位置するもので、第1のカム溝17a2と第2のカム溝17b2間には、カムボール17cが介在している。各カム溝17a2,17b2は、周方向の中央部で最も深く、端部にいくにしたがって浅くなっている。
当該駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石13の電磁コイルが非通電状態にある場合には磁路は形成されず、摩擦クラッチ14は非係合状態にある。このため、パイロットクラッチ機構10dは非作動の状態にあって、カム機構10eを構成するパイロットカム17aはカムボール17cを介してメインカム17bと一体回転可能であり、メインクラッチ機構10cは非作動の状態にある。このため、アウタケース10aとインナシャフト10bとは非連結状態にあって、車両は前輪25a,25bが駆動する二輪駆動である第1の駆動モードを構成する。
一方、当該駆動力伝達装置10において、パイロットクラッチ機構10dの電磁石13の電磁コイルへ通電されると、電磁石13を基点とするループ状の循環磁路が形成されて磁力が発生し、電磁石13はアーマチャ15を吸引する。これにより、アーマチャ15は摩擦クラッチ14を押圧して摩擦係合させ、カム機構10eのパイロットカム17aをアウタケース10a側へ連結させて、メインカム17bとの間に相対回転を生じさせる。この結果、カム機構10eでは、カムボール17cがパイロットカム17aおよびメインカム17bを互いに離間する方向へ押圧する。
このため、メインカム17bはメインクラッチ機構10c側へ押動されて、メインクラッチ機構10cをハウジング11aの前側壁部とにより押圧して、摩擦クラッチ14の摩擦係合力に応じて摩擦係合させる。これにより、アウタケース10aとインナシャフト10b間のトルク伝達が発生し、車両は両プロペラシャフト26a,26bが非直結状態と直結状態間での四輪駆動である第2の駆動モードを構成する。この駆動モードでは、車両の走行状態に応じて、前後輪間の駆動力分配比を100:0(二輪駆動状態)〜直結状態の間で制御することができる。
この第2の駆動モードでは、車輪速度センサ、アクセル開度センサ、舵角センサ等各種のセンサからの信号に基づいて、車両の走行状態や路面状態に応じて電磁石13の電磁コイルへの印加電流をデューティ制御することにより、摩擦クラッチ14の摩擦係合力に起因するカム推力が制御されて、後輪28a,28b側への伝達トルクが制御される。
また、電磁石13の電磁コイルへの印加電流を所定の値に高めると電磁石13のアーマチャ15に対する吸引力が増大し、アーマチャ15は強く吸引されて摩擦クラッチ14の摩擦係合力を増大させ、パイロットカム17aとメインカム17b間の相対回転を増大させる。この結果、カムボール17cはメインカム17bに対する押圧力(カム推力)を高めて、メインクラッチ機構10cを結合状態とする。このため、車両は両プロペラシャフト26a,26bが直結状態の四輪駆動である第3の駆動モードを構成する。
しかして、カム機構10eを構成するパイロットカム17aが有する第1のカム溝17a2、および、メインカム17bが有する第2のカム溝17b2は、図2(a),(b)に示す形状に形成されている。図2(a)は、パイロットカム17aとメインカム17bとが互いに対向して位置する状態の断面を示し、図2(b)は、パイロットカム17aの内側面の正面を示している。但し、図2(b)の2点鎖線は、メインカム17bが有する第2のカム溝17b2の正面形状を示している。また、図2(a)は、図2(b)の矢印2−2線方向の断面を示している。
パイロットカム17aが有する第1のカム溝17a2は、回転軸に対する径方向の断面が円弧状を呈するもので、パイロットカム17aの内側面の周方向に、同一の間隔を保持して4個形成されている。また、メインカム17bが有する第2のカム溝17b2も同様に回転軸に対する径方向の断面が円弧状を呈するもので、メインカム17bのパイロットカム17aに対向する側の面の周方向に、同一の間隔を保持して4個形成されている。パイロットカム17aとメインカム17bが互いに対向している状態では、各第1のカム溝17a2と各第2のカム溝17b2とは互いに対向する関係にあって、第1のカム溝17a2と第2のカム溝17b2はその周方向の中心部では互いに略一致していて、カム溝の周方向の中心部から外側へいくにしたがってずれている。互いに対向する第1のカム溝17a2と第2のカム溝17b2との間には、カムボール17cが転動可能に介在する。
かかる構成のカム機構10eを装備する駆動力伝達装置10においては、カム機構10eを構成するパイロットカム17aの第1のカム溝17a2と、メインカム17bの第2のカム溝17b2の回転軸に対する径方向の位置が、カム溝の周方向の中心部から外側にいくにしたがってずれていることから、両カム溝17a2,17b2の径方向の位置が大きくずれている部位ほど発生するカム推力は軸方向からずれることになる。このため、当該カム機構10eにおいては、カムボール17cが両カム溝17a2,17b2の位置が大きくずれているカム溝の末端方向へ転動するほど、発生するカム推力は軸方向からずれることになる。従って、パイロットカム17aとメインカム17bを相対回転させるに必要なトルクは、両カム17a,17bの相対回転に比例して増加することになって、カムボール17cのカム溝17a2,17b2からの乗り上げが大きく抑制されることになる。
また、当該カム機構10eのこのような作動によれば、パイロットカム17aとメインカム17bの相対回転の増加にしたがって、メインクラッチ機構10cの締結力の増分が減少することになるため、低温でクラッチオイルの粘度が増加した場合や、急激な差動回転の入力による過大トルクの発生を大幅に抑制することができる。
本発明に係る駆動力伝達装置の一実施形態を示す断面図である。 同駆動力伝達装置が装備するカム機構を構成する各カムを対向させた状態の一部を省略した断面図(a)、および、同カム機構を構成するパイロットカムの内側からみた正面面(b)である。 同駆動力伝達装置を装備した四輪駆動車のスケルトン図である。
10…駆動力伝達装置、10a…アウタケース、10b…インナシャフト、10c…メインクラッチ機構、10d…パイロットクラッチ機構、10e…カム機構、11a…ハウジング、11b…リヤカバー、11c…筒体、11d…外スプライン、11e…内スプライン、12a…インナクラッチプレート、12b…アウタクラッチプレート、13…電磁石、14…摩擦クラッチ、14a…アウタクラッチプレート、14b…インナクラッチプレート、15…アーマチャ、16…ヨーク、17a…パイロットカム、17a1…外スプライン、17a2…第1のカム溝、17b…メインカム、17b1…内スプライン、17b2…第2のカム溝、17c…カムボール、21…トランスアクスル、22…エンジン、23a…フロントディファレンシャル、23b…リヤディファレンシャル、24a,24b…アクスルシャフト、25a,25b…前輪、26a…第1プロペラシャフト、26b…第2プロペラシャフト、27a,27b…アクスルシャフト、28a,28b…後輪。

Claims (1)

  1. 外側回転部材と同外側回転部材内にて同軸的かつ回転可能に位置する内側回転部材との間に、メインクラッチ機構、カム機構および電磁式のパイロットクラッチ機構を配設して構成され、前記パイロットクラッチ機構の電磁コイルに電流を印加することにより発生するパイロットトルクを前記カム機構にて軸方向のカム推力に変換し、同カム推力にて前記メインクラッチ機構を押圧して係合動作させて、前記両回転部材間のトルク伝達を行う駆動力伝達装置であり、
    前記カム機構は、前記パイロットクラッチ機構側に位置するパイロットカムと、前記メインクラッチ機構側に位置するメインカムと、前記パイロットカムに設けた第1のカム溝と前記メインカムに設けられて前記第1のカム溝に対向する第2のカム溝との間に嵌合するカムボールとからなり、前記パイロットクラッチトルクによって前記パイロットカムと前記メインカムが相対回転して軸方向のカム推力を発生させる構成のカム機構であり、
    前記パイロットカムの第1のカム溝および前記メインカムの第2のカム溝は回転軸に対する径方向の断面が円弧状を呈して周方向へ所定長さ延びていて、
    前記パイロットカムの第1のカム溝と前記メインカムの第2のカム溝の回転軸に対する径方向の位置は、カム溝の周方向の中心部では互いに略一致していて、カム溝の周方向の中心部から外側にいくにしたがってずれていることを特徴とする駆動力伝達装置。
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