以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側に配置されるもので、エアバッグ25と、インフレーター14と、取付ブラケット10,19と、エアバッグカバー8と、を備えて構成されている。実施形態の場合、エアバッグ25は、車両Vの窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方側までの範囲に、折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、窓W1,W2の車内側を覆うように、窓W1,W2の上縁側から下方側へ展開膨張する。
エアバッグカバー8は、図1,2に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁側から構成されている。なお、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ1側のインナパネル2における車内側に、取付固定されている。ルーフヘッドライニング5は、フロントピラー部FPの上方付近から、センターピラー部CPの上方を経て、リヤピラー部RPの上方付近まで、配設されている。
インフレーター14は、図1,13に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとして、略円柱状の本体15と、本体15の先端側(実施形態の場合、前端側)に配置されて本体15より小径とされる小径部16と、を備える構成とされている。小径部16には、インフレーター14の軸心を中心として放射状に膨張用ガスを吐出させるガス吐出口16aが、周方向に沿って複数個形成されている。このインフレーター14は、圧縮ガスを内蔵させて構成されるハイブリッドタイプとされて、本体15の前後方向の中央より前方となる位置に、圧縮ガス封入用の図示しない封入孔を塞ぐシールピン17を、軸直交方向に部分的に突出させている(図15参照)。このシールピン17は、詳細に説明すれば、車両搭載時に、前側に配設される取付ブラケット19Fの後側となる位置に、配設されている。このインフレーター14は、エアバッグ25における後述する接続口部59内にガス吐出口16a(小径部16)側を挿入させた状態で、接続口部59の外周側に配置されるクランプを締め付けることにより、接続口部59と接続されている。実施形態の場合、インフレーター14を車両のボディ1側のインナパネル2に取り付ける取付ブラケット19Fの保持環部20Fが、インフレーター14と接続口部59とを接続させるクランプを構成している。
取付ブラケット19は、板金製として、インフレーター14における本体15の周囲に配置可能に帯状の部材を略円環状に湾曲させた形状の保持環部20と、保持環部20の両端側に形成される略四角環状の2つの取付板部21A,21Bと、から構成されている。実施形態の場合、取付ブラケット19は、インフレーター14の軸方向に沿った2箇所となる本体15の前後両端近傍となる位置に、配設されている(図1,3参照)。そして、実施形態の場合、前方側に配置される取付ブラケット19Fの保持環部20Fが、インフレーター14と接続口部59とを接続させるクランプを構成しており、この取付ブラケット19Fは、インフレーター14の本体15において、小径部16から若干離れた領域(本体15の前後の中央より前方となる領域)に、配置されている。また、取付ブラケット19Fの保持環部20Fは、接続口部59における後述する挿入用開口60近傍であって、後述するカバー布71の折返部72よりも前方であって、かつ、挿入用開口60周縁に形成される切欠凹部61よりも前方となる位置の外周側に、配置されている(図3,15参照)。各取付ブラケット19(19F,19B)における取付板部21A,21Bには、取付ブラケット19(19F,19B)をボディ1側のインナパネル2に固定させる取付ボルト22を挿通可能な貫通孔21aが、形成されている。
各取付ブラケット19(19F,19B)は、取付板部21A,21Bを車内外方向で相互に重ねるようにして、保持環部20を、インフレーター14の本体15の外周側に配置させる構成とされるもので、前側に配置される取付ブラケット19Fにおいては、保持環部20Fは、エアバッグ25の接続口部59を介して、インフレーター14の本体15の外周側に配置されることとなる(図15参照)。そして、車外側に配置される取付板部21Bをインナパネル2に当接させて、貫通孔21aに挿通させた取付ボルト22を、インナパネル2に固着された図示しないナットに締結させれば、インフレーター14をインナパネル2に取り付けることができる。このとき、前側の取付ブラケット19Fでは、取付ボルト22のナットへの締結時に、クランプとしての保持環部20Fが、接続口部59の外周側から締め付けられることとなって、インフレーター14の本体15とエアバッグ25の接続口部59とが接続されることとなる。
エアバッグ25の後述する取付部50をボディ1側のインナパネル2に取り付ける取付ブラケット10は、略四角板状の板金製として、それぞれ、取付部50を車内側と車外側とから挟むような2枚構成とされている(図2,3参照)。実施形態の場合、取付ブラケット10は、取付部50における取付部本体51と連結片53とを、車内側と車外側とから挟むように、構成されている。また、取付ブラケット10には、取付ボルト11挿通用の挿通孔10aが、形成されている。そして、取付ブラケット10は、取付ボルト11を、挿通孔10a及び取付部50(取付部本体51及び連結片53)の挿通孔51a,53aを経て、インナパネル2に固着されたナット2aに締結させることにより、取付部50(取付部本体51及び連結片53)を挟持させた状態で、インナパネル2に取付固定されている(図2参照)。
エアバッグ25は、図4〜12に示すように、接続口部59を有したバッグ本体26と、可撓性を有した布材から構成されて接続口部59内に配設される補強布68と、接続口部59の内周側を覆うカバー布71と、補強布68及びカバー布71と接続口部59との間に介在されるインナチューブ63と、から、構成されている。
バッグ本体26は、車両Vの窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方側までの範囲に、折り畳まれて収納されている(図1参照)。そして、バッグ本体26は、インフレーター14からの膨張用ガスGを内部に流入させて、折り畳み状態から展開して、図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2や、センターピラー部CPの車内側に配置されるセンターピラーガーニッシュ7、リヤピラー部RPの車内側に配置されるリヤピラーガーニッシュ6の車内側を覆うように、膨張を完了させる構成とされている。実施形態の場合、バッグ本体26は、膨張完了時に窓W1,W2の車内側を覆う遮蔽本体部27と、遮蔽本体部27の上縁27a側を窓W1,W2の上縁側に取り付ける複数の取付部50と、遮蔽本体部27の内部に膨張用ガスを流入させる略筒状の接続口部59と、遮蔽本体部27の前縁における下端付近から前方に延びる取付ベルト55と、から構成されている。実施形態の場合、取付部50、接続口部59、及び、取付ベルト55は、それぞれ、遮蔽本体部27と別体として、形成されている。
遮蔽本体部27は、実施形態の場合、膨張完了時に前席の側方に配置されて窓W1からセンターピラー部CPにかけての車内側を覆う前席用膨張部32と、膨張完了時に後席の側方に配置されて窓W2の後部側からリヤピラー部RPの前部側にかけての車内側を覆う後席用膨張部40と、上縁側において前後方向に沿うように配置されて接続口部59からの膨張用ガスを前席用膨張部32と後席用膨張部40とに流す連通路部28と、を備えて構成されている。また、遮蔽本体部27において、連通路部28の下方には、前席用膨張部32と後席用膨張部40とを連結するような板状部48が、配置されている。実施形態の場合、遮蔽本体部27において、前席用膨張部32及び後席用膨張部40は、袋織りから形成され、連通路部28と、連通路部28の下方に配置される板状部48とは、平織り等の布材から、形成されている。
連通路部28は、遮蔽本体部27の前後方向の中央付近における上縁側において、車両の前後方向に沿うように、配設されるもので、インフレーター14から吐出される膨張用ガスを、接続口部59を経て内部に流入させ、前席用膨張部32と後席用膨張部40とに案内する構成である。連通路部28は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を平織り等により織成して形成される布材の表面に、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング剤を塗布されたコート布から、形成されている。実施形態の場合、連通路部28は、このコート布からなる連通路部用素材78(図14参照)を、コーティング層(図符号省略)を内表面側に位置させるように、下縁側となる部位で二つ折りして、上縁側を相互に縫着させることにより、前後両端側を開口させた略筒状として、構成されている(図8参照)。
また、連通路部28における前端付近の上縁側(実施形態の場合、連通路部28の前端付近から連通路部28の前方に位置する前席用膨張部32の導管部34の領域における上縁側)には、接続口部59が連結(縫着)されている。そして、実施形態の場合、連通路部28における上縁側には、接続口部59を連結するための開口30が、形成されている(図5,17参照)。この開口30は、連通路部28の上縁側の全域を含めて、袋織りにより形成される前席用膨張部32の後述する導管部34の後側の領域から後席用膨張部40の後述する導管部42の前端付近の領域にかけて、形成されている。詳細に説明すれば、開口30は、接続口部59の縫着作業や、インナチューブ63の挿入作業が容易なように、遮蔽本体部27の上縁27a側において、前席用膨張部32の前後の略中央から後席用膨張部40の前端側の部位にかけての領域に、形成されている。この開口30は、前席用膨張部32及び後席用膨張部40の領域においては、前席用膨張部32及び後席用膨張部40を構成する袋織り素材において、車内側壁部33a,41aと車外側壁部33b,41bとを分離させるように、開口している(図17のA参照)。そして、接続口部59は、開口30の前後の略中央となる領域に、連結されることとなり、開口30における接続口部59を縫着させた部位の前後の残部30c,30dは、それぞれ、車内側壁部33a,41aと車外側壁部33b,41bとを縫着させるとともに、連通路部28の上縁側を縫着させる縫合部位88F,88Bによって、閉塞されている(図5参照)。
この開口30の残部30c,30dを閉塞させる縫合部位88F,88Bは、それぞれ、遮蔽本体部27の上縁27a側において、前席用膨張部32の周縁部37及び後席用膨張部40の周縁部45から連なるように、前後方向に略沿って形成されている。各縫合部位88F,88Bは、これらの周縁部37,42と、接続口部59を開口30の周縁30aに縫着させている縫合部位87と、を連結させるようにして、周縁部37,42と縫合部位87との間を閉塞するように、形成されている。なお、実施形態の場合、接続口部59の後方に配置される縫合部位88Bは、接続口部59の後縁を縫着させるように、遮蔽本体部27の上縁27aから接続口部59の後縁側にかけて連続的に、形成されている(図5参照)。また、実施形態の場合、接続口部59の後方に配置される縫合部位88Bは、相互に端末を重ねるようにして、前後で2分割されている(図19のC参照)。
前席用膨張部32は、ポリアミド糸等を使用した袋織りにより、製造されており、外表面側を、略全面にわたって、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング剤を塗布して形成されたコーティング層(図符号省略)によって、覆われている(図7,9参照)。この前席用膨張部32は、車内側壁部33aと車外側壁部33bとの間に膨張用ガスを流入させて膨張する膨張部33の周囲に、内部に膨張用ガスを流入させない非膨張部36を、配設させて構成され、膨張完了形状を、窓W1及びセンターピラーガーニッシュの車内側を覆い可能な略長方形板状として、構成されている。膨張部33は、上端側に配置されて連通路部28と連通される導管部34と、導管部34の下方に配置される保護本体部35と、を備えている。非膨張部36は、前席用膨張部32の外周縁を、後上側の領域を除いて囲むように形成される周縁部37と、周縁部37から延びて前席用膨張部32内を区画する区画部38A,38B,38Cと、を備えている。区画部38Aは、周縁部37から前方に延びて、保護本体部35と導管部34とを、区画している。区画部38B,38Cは、周縁部37や区画部38Aから延びて、保護本体部35の領域を、3つのセル35a,35b,35cに区画させて保護本体部35の膨張完了時の厚さを規制している。
導管部34は、前席用膨張部32の上端側において前後方向に延びて連通路部28と連通可能に、後方側を開口させた略筒状として、形成されている。この導管部34は、前席用膨張部32を構成する袋織り素材75では、上端側と後端側を開口させて構成されており、後端側の端縁34aを、連通路部28の前端側の端縁28aと、縫合糸を用いて縫着されて、連通路部28に連通されている。実施形態の場合、導管部34の後端側の端縁34aは、連通路部28の前端側の端縁28aの外周側に重ねられた状態で、全周にわたって形成される縫合部位84によって、連通路部28の端縁28aと連結されている(図5〜7参照)。また、導管部34の端縁34aにおける下端側の部位は、縫合部位84と交差し、かつ、導管部34と連通路部28とを跨いで、板状部48に延びるように略円弧状に形成される縫合部位90によって、閉塞されている(図6参照)。
後席用膨張部40は、前席用膨張部32と同様に、ポリアミド糸等を使用した袋織りにより、製造されており、外表面側を、略全面にわたって、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング剤を塗布して形成されたコーティング層(図符号省略)によって、覆われている(図7,9参照)。この後席用膨張部40は、車内側壁部41aと車外側壁部41bとの間に膨張用ガスを流入させて膨張する膨張部41の周囲に、内部に膨張用ガスを流入させない非膨張部44を、配設させて構成され、膨張完了形状を、窓W2の後半分の領域からリヤピラーガーニッシュの前側の領域にかけての車内側を覆い可能な略長方形板状として、構成されている。膨張部41は、上端側に配置されて連通路部28と連通される導管部42と、導管部42の下方に配置される保護本体部43と、を備えている。非膨張部44は、後席用膨張部40の外周縁を、前上側の領域を除いて囲むように形成される周縁部45と、周縁部45から延びて後席用膨張部40内を区画する区画部46A,46Bと、を備えている。区画部46Aは、保護本体部43と導管部42とを、区画するように、周縁部45から前方に延びるように、形成されている。区画部46Bは、区画部46Aの前端側から下方に延びて、保護本体部43の領域を、2つのセル43a,43bに区画させて保護本体部43の膨張完了時の厚さを規制している。
導管部42は、後席用膨張部40における上端側において前後方向に延びて連通路部28と連通されるとともに、連通路部28からの膨張用ガスGを保護本体部43に案内するような前端側を開口させた略筒状として、形成されている。この導管部42は、後席用膨張部40を構成する袋織り素材76では、上端側と前端側を開口させて構成されており、前端側の端縁42aを、連通路部28の後端側の端縁28bと、縫合糸を用いて縫着されて、連通路部28に連通されている。実施形態の場合、導管部42の前端側の端縁42aは、連通路部28の後端側の端縁28bと、端縁42a,28b相互を突き合わせるようにして、端縁42a,28b近傍となる部位に、全周にわたって形成される縫合部位85によって、連通路部28の端縁28bと連結されている(図5〜7参照)。また、導管部42の端縁42aにおける下端側の部位は、縫合部位85と交差し、かつ、導管部42と連通路部28とを跨いで、板状部48に延びるように略円弧状に形成される縫合部位91によって、閉塞されている(図6参照)。
板状部48は、外形形状を略長方形状とされて、前後両端側を、それぞれ、前席用膨張部32における周縁部37の後縁側の部位と、後席用膨張部40における周縁部45の前縁側の部位と、に縫着されて、前席用膨張部32と後席用膨張部40とを連結している。実施形態の場合、この板状部48は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を平織り等により織成して形成されるノンコート布から、形成されている。なお、実施形態の場合、板状部48は、上縁48a側を、連通路部28の下縁28c側と車内外方向で重ねるように、構成され、実施形態の場合、板状部48の上縁48aは、連通路部28の下縁28cの車内側に重なって配置されている(図4,6,8参照)。
取付部50は、遮蔽本体部27の上縁27a側から上方へ突出するように、複数(実施形態の場合、5個)配設されている。実施形態の場合、各取付部50は、図14に示すように、遮蔽本体部27と別体として、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布(実施形態の場合、シリコン等からなるコーティング剤を塗布させて強度を向上させたコート布)から形成される。各取付部50は、取付部本体51と、取付部本体51の下端から下方に延びるように形成されるラッピング部52と、を有した略帯状として、構成されている。ラッピング部52は、図2に示すように、エアバッグ25(バッグ本体26)の折り畳み収納時に、折り崩れを防止可能に、折り畳まれた遮蔽本体部27の外周側に巻き掛けられるもので、先端側に、取付部本体51とともに共締めされる連結片53を、有している。また、ラッピング部52において、折り畳まれた遮蔽本体部27の下側に位置することとなる長手方向の中央付近には、エアバッグ25の展開膨張時に破断可能に、ミシン目状の切り込みからなる破断予定部52aが、前後方向に沿って形成されている(図5参照)。また、実施形態の場合、取付部本体51は、二枚重ね状とされている(図2参照)。取付部本体51及び連結片53には、取付ボルト11を挿通可能な挿通孔51a,53aが、形成されている(図2,14参照)。そして、実施形態の場合、取付部50は、遮蔽本体部27の車内側面に重ねられた状態で、取付部本体51の下端側を、遮蔽本体部27の上縁27a側(前席用膨張部32,後席用膨張部40における周縁部37,45の部位)に、縫合糸を用いて縫着されて、遮蔽本体部27に連結されている。接続口部59の前側に配置される取付部50Aは、開口30の領域内に配置されることから、縫合部位88Fの形成時に、共縫いされて、遮蔽本体部27に連結されている(図6参照)。
取付ベルト55は、図4に示すように、遮蔽本体部27の前縁における下端付近(前席用膨張部32の前下端付近)から前方へ突出するような帯状とされるもので、遮蔽本体部27と別体として、取付部50と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布(実施形態の場合、シリコン等からなるコーティング剤を塗布させて強度を向上させたコート布)から形成されている。取付ベルト55は、元部側を、前席用膨張部32の前縁側における周縁部37の部位に縫着されるもので、先端側に、取付ブラケット10と取付ボルト11とによりボディ1側のインナパネル2に取り付けられる取付片部56を、備えている。実施形態の場合、取付片部56は、二枚重ね状とされている。そして、実施形態の場合、取付片部56は、インナパネル2におけるフロントピラー部FPの下端近傍の部位に取付固定されており、取付ベルト55は、エアバッグ25(バッグ本体26)の膨張完了時に、前後方向に略沿って配置されることとなる(図1の二点鎖線参照)。
接続口部59は、遮蔽本体部27と別体として、ポリアミド糸やポリエステル糸等を平織り等により織成して形成される布材の表面に、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング剤を塗布されたコート布から、形成されている。この接続口部59は、図4,5,11に示すように、遮蔽本体部27の上縁27a側から上方に突出するとともに、遮蔽本体部27内に膨張用ガスGを流入可能に、上下両端側を開口させた略筒状とされている。実施形態の場合、接続口部59は、遮蔽本体部27の前後の略中央であって、前席用膨張部32の後端近傍の上方となる位置に、配置されている。具体的には、接続口部59は、図5に示すように、外形形状を、下端59b側を前方に向け、上端59a側を後方に向けるように、軸方向を上下方向に対して傾斜させた形状とされ、上端59a側の開口を、インフレーター14に接続させるための挿入用開口60としている。また、接続口部59において、挿入用開口60の周縁となる後上縁側には、挿入用開口60の周縁を、インナチューブ63及びカバー布71とともに、略U字形状に切り欠くような切欠凹部61が、形成されている(図13参照)。この切欠凹部61は、インフレーター14を接続口部59に挿入させる際の位置決め用に設けられるもので、切欠凹部61の底部61aが、インフレーター14を接続口部59に挿入させる際の位置決めポイントとして、インフレーター14の本体15から突出しているシールピン17と当接することとなる(図13,15参照)。接続口部59は、実施形態の場合、連通路部28の前端付近から前席用膨張部32の導管部34の後側の部位にかけての領域に、配置されている。
また、この接続口部59は、図11に示すように、遮蔽本体部27と連通される下端59b側の縁部59cを、上側に向けつつ、開口30の縁部30bと一致させるように反転させて、下端59b近傍部位を開口30の周縁30aに縫着されて、遮蔽本体部27に連結されている。実施形態の場合、接続口部59の下端59b側を開口30の周縁30aに縫着させる縫合部位87は、既述した遮蔽本体部27の開口30における残部30c,30dを閉塞させる縫合部位88F,88Bより若干上方となる位置において、前後方向に略沿うように配置されている(図5参照)。また、実施形態の場合、接続口部59は、コート布を、接続口部59を前縁側で相互に連結させたような形状に裁断して形成される接続口部用素材79から、形成されるもので(図14参照)、この接続口部用素材79を、コーティング層79aを内側に配置させるように、この前縁側の部位で折り返して二つ折りさせた状態で、後縁側を相互に縫着させて、筒状に構成されている(図5,11参照)。
インナチューブ63は、接続口部59及び連通路部28における接続口部59近傍の部位を保護するとともに、遮蔽本体部27内に流入した膨張用ガスGの流入方向を制御するためのもので、図10〜12に示すように、接続口部59と、補強布68及びカバー布71と、の間に介在されるようにして、接続口部59の内周側を全域にわたって覆うように構成されている。
インナチューブ63は、略筒状として、接続口部59から、連通路部28における接続口部59の下方となる領域にかけてを覆うように配設されるもので、実施形態の場合、図5に示すように、接続口部59の内部に挿入される流入側部64と、連通路部28内における接続口部59の下方の領域(実施形態の場合、前席用膨張部32の導管部34内)に配置される流出側部65と、を備えて構成されている。流入側部64は、外形形状を、接続口部59と略同一形状とした筒状とされて、接続口部59と同様に、上下両端側を開口させて構成されている。流出側部65は、流入側部64の下端から前後両側に延びるように形成される前後方向に沿った略筒状とされるもので、前後両端側を開口させて構成されている。そして、インフレーター14のガス吐出口16aから吐出された膨張用ガスGは、流入側部64を経て、流出側部65の前後両端側の開口65a,65bから、前後方向に略沿うようにして、遮蔽本体部27内に流入することとなる。なお、実施形態の場合、流出側部65は、平らに展開した状態において、後端側にかけて拡開するようなテーパ状として、後端側の開口65bを、前端側の開口65aより開口幅寸法(開口面積)を大きくするように、構成されている(図5及び図18のC参照)。
実施形態の場合、インナチューブ63は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を平織り等により織成して形成される布材の表面に、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング剤を塗布されたコート布からなるインナチューブ用素材80から、形成されている。インナチューブ用素材80は、インナチューブ63を全域にわたって二枚重ね状とするように、前縁側で相互に連結させた基材二枚を、上縁側で相互に連結させた外形形状とされている(図14及び図18のA参照)。そして、インナチューブ63は、このインナチューブ用素材80を、コート面(コーティング層80a)を外周面側に位置させるように、上縁側で折り返して二枚重ね状としたものを、さらに、前縁側の部位で折り返して二つ折りし、流入側部64の上端側と、流出側部65の前後両端側と、の開口部分を除いた後縁側と下縁側とで、それぞれ、縫着させるようにして、形成されている。すなわち、インナチューブ63は、インナチューブ用素材80を四つ折りして、構成されるもので、外周側及び内周側で露出している外表面側に、全面にわたってコート面(コーティング層80a)が形成されている。なお、実施形態のインナチューブ63では、流入側部64は、後縁側を、接続口部59の後縁側とともに、縫合部位88Bの部位で共縫いされて、筒状とされており、流出側部65は、後上縁側を、遮蔽本体部27における開口30の残部30dとともに、縫合部位88Bの部位で共縫いされて、筒状とされている(図5参照)。すなわち、インナチューブ63は、流入側部64の後縁側の部位において、接続口部59に結合(縫着)されている。
補強布68は、図11,15,16に示すように、インフレーター14におけるガス吐出口16aが配置される小径部16の外周側を覆うように、インナチューブ63において、接続口部59の内周側に位置する流入側部64内に、配置されている。この補強布68は、外形形状を、小径部16の外周側を、下方を除いた全域にわたって覆い可能な略長方形形状として、前縁68a側と後縁68b側とを、それぞれ、インナチューブ63の流入側部64に、縫着されている。詳細に説明すれば、補強布68は、前後方向側の幅寸法を、車両搭載時において、インフレーター14の外周側を、取付ブラケット19Fの保持環部20Fの前側から、小径部16を越えた前方側まで覆い可能な構成として(図15参照)、左右方向側の幅寸法を、小径部16の上方から左右両側を越えた下方となる領域まで覆い可能な構成としている(図16参照)。すなわち、補強布68は、小径部16の左右両側と上方側とを覆うのみであって、小径部16の直下となる領域には、配置されていない(図16参照)。また、この補強布68は、挿入用開口60側の端縁(後縁68b)を、挿入用開口60から離れた位置に配置させている。詳細に説明すれば、補強布68は、後縁68bを、取付ブラケット19Fの保持環部20Fの配置される領域よりも前方(バッグ本体26の内側)に位置させるように、構成されている(図15参照)。
この補強布68は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を平織り等により織成して形成される布材の両面に、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング剤を塗布されたコート布からなる補強布用素材81から、形成されている(図14及び図18のA参照)。補強布用素材81を構成するコート布は、布材の両面に、耐熱性を向上させるために、通常のエアバッグ用の基材に使用されるコート布の4倍程度(具体的には、120g/m2)のコーティング剤を塗布させて、形成されている。また、補強布68は、この補強布用素材81を二つ折りして、形成されており、図11,12に示すように、コーティング層69を四重に配置させた厚肉として、インフレーター14の作動時に接続口部59を保護可能な耐熱性を付与されている。具体的には、補強布用素材81は、補強布68の前縁側で相互に連結させたような外形形状とされている。そして、補強布68は、この補強布用素材81を、前縁側で折り返して二枚重ね状としたものを、インナチューブ63の流入側部64に縫着させて、形成されている。
カバー布71は、インナチューブ63において、接続口部59の内周側に位置する流入側部64の内周側を覆うように、配置されている。このカバー布71は、図10,12に示すように、流入側部64の内周側を、挿入用開口60の開口端から、補強布68の後縁68bを越えて、補強布68の内周側にかけてを、覆うように、構成されている。すなわち、カバー布71は、流入側部64において、補強布68より挿入用開口60側(後側)の部位の内周側を、略全域にわたって覆うように、構成されている。また、カバー布71は、補強布68の後縁68b付近の内周側を覆うように、前縁71aを補強布68の後縁68bの内周側に位置させているが、この前縁71aを、補強布68の後縁68bとともに共縫いされて、インナチューブ63の流入側部64に、縫着されている。なお、補強布68の後縁68bとカバー布71の前縁71aとをインナチューブ63に縫着させる縫合部位89は、補強布68の後縁68bに接近した位置に、形成されている。また、このカバー布71は、挿入用開口60側の縁部(後縁71b)を、挿入用開口60から突出させるように、構成され、この後縁71b側の部位を、挿入用開口60の外周縁を覆うように折り返して、挿入用開口60の周縁に結合されている。この挿入用開口60の周縁に配置される折返部72は、接続口部59とインナチューブ63とを挿入用開口60の周縁において溶着させる溶着部位62の部位で、溶着されて、挿入用開口60の周縁に、結合されている(図12参照)。また、実施形態の場合、このカバー布71は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を平織り等により織成して形成されるノンコート布から、形成されている。
次に、実施形態のエアバッグ25の製造について説明する。まず、前席用膨張部32を構成する袋織り素材75の導管部34の端縁34aと、連通路部用素材78の前縁78a(連通路部28の端縁28a)と、を、縫合糸を用いて、縫合部位84を形成するように縫着させる。次いで、後席用膨張部40を構成する袋織り素材76の導管部42の端縁42aと、連通路部用素材78の後縁78b(連通路部28の端縁28b)と、を、縫合糸を用いて、縫合部位85を形成するように縫着させる。その後、板状部48の前後両縁側を、袋織り素材75,76にそれぞれ縫着させるとともに、縫合糸を用いて縫合部位90,91を形成して、開口30を開口させた状態の遮蔽本体部27を製造する。
その後、接続口部用素材79を、コーティング層79aを外周面側に位置させるように、前縁側の折目C1の部位で折り返して、挿入用開口60(上端59a)を下方に位置させ、下端59bを上方に位置させるように反転させ(図17のA参照)、この反転させた状態の接続口部用素材79を、開口30から、遮蔽本体部27の内部に挿入させて、縁部59cを、開口30の縁部30bと一致させる。そして、下端59b近傍の部位を、開口30の周縁30aに、縫合部位87を形成するように、縫合糸を用いて縫着させる(図17のB参照)。その後、接続口部用素材79を、縫合部位87近傍の部位で折り返しつつ、反転状態を解除させる(図17のC,D参照)。このとき、接続口部用素材79は、コーティング層79aを内周面側に位置させるようにして、折目C1の部位で再度折り返されることとなる。
次いで、インナチューブ63を構成するインナチューブ用素材80を、二つ折りし(図18のA,B参照)、二つ折りしたインナチューブ用素材80の上に、補強布用素材81を二つ折りして形成される補強布68を載せ、さらに、カバー布71を、前縁71aによって補強布68の後縁68bを覆うように、インナチューブ用素材80の上に載せて、補強布68の前縁68a側と後縁68b側を、カバー布71の前縁71aとともに、インナチューブ63に、縫合糸を用いて縫着させ、縫合部位89を形成する(図18のB,C参照)。その後、図18のDに示すように、このインナチューブ用素材80を、補強布68及びカバー布71を間に挟むように二つ折りして、流出側部65の下端側の領域を、縫合糸を用いて縫着させる。
次いで、インナチューブ用素材80を、開口30の残部30dを挿通させるようにして、接続口部用素材79間に挟むように、配置させる(図19のA,B参照)。このとき、インナチューブ63における流出側部65は、前席用膨張部32の導管部34から連通路部28にかけての内部に配置されることとなる。その後、図19のCに示すように、開口30の残部30cを縫着させて、縫合部位88Fを形成する。このとき、接続口部59の前側に配置される取付部50Aが、共縫いされて、遮蔽本体部27に連結されることとなる。次いで、開口30の残部30dを縫着させると同時に、接続口部用素材79の後縁側と、インナチューブ用素材80の後縁側と、を共縫いするようにして、連通路部28の上縁から接続口部59の後縁側にかけて縫合部位88Bを形成し、接続口部59及びインナチューブ63を形成する(図19のC参照)。このとき、カバー布71の後縁71bは、図19のCの二点鎖線に示すように、挿入用開口60から突出している。その後、挿入用開口60から突出しているカバー布71の後縁71bを、挿入用開口60の外周側を覆うように折り返して折返部72を形成し、この折返部72の部位で、折返部72,接続口部59,インナチューブ63,カバー布71を溶着させて溶着部位62を形成し(図12参照)、挿入用開口60の周縁において接続口部59とインナチューブ63とを溶着させるとともに、折返部72を接続口部59に結合させる。さらに、取付部50と取付ベルト55とを、遮蔽本体部27の所定箇所に縫着させれば、エアバッグ25を製造することができる。
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明する。まず、エアバッグ25(バッグ本体26)を折り畳む。具体的には、前席用膨張部32,後席用膨張部40の領域において、車内側壁部33a,40aと車外側壁部33b,40bとを重ね、バッグ本体26全体を平らに展開した状態から、遮蔽本体部27における連通路部28と、連通路部28の前後に位置する領域と、を、前後方向に沿った折目を付けて蛇腹折りし、連通路部28より下方の領域を、下縁27bを車外側に向けて巻くようにロール折りして、遮蔽本体部27を折り畳む。そして、遮蔽本体部27の折り畳みが完了したならば、各取付部50のラッピング部52を折り畳まれた遮蔽本体部27の周囲に巻き掛けるようにして、ラッピング部52の先端側に形成される連結片53を、取付部本体51の車外側に重ねるように配置させ、連結片53と取付部本体51とを間に挟むようにして、取付部50(取付部本体51及び連結片53)に、取付ブラケット10を取り付ける。また、取付ベルト55の先端側に形成される取付片部56にも、取付ブラケット10を取り付けておく。次いで、本体15の後端側に後側の取付ブラケット19Bを取り付けた状態のインフレーター14を、挿入用開口60から、小径部16をカバー布71の内周側に挿入させるようにして、エアバッグ25の接続口部59に挿入させる。このとき、インフレーター14の後端側に配置される取付ブラケット19Bが、インフレーター14の周方向側の位置を規制し、本体15から突出するように形成されるシールピン17が、インフレーター14の軸方向側の位置を規制することとなる。その後、前側の取付ブラケット19Fの保持環部20Fを、接続口部59における折返部72の前側となる位置に外装させて、インフレーター14に取付ブラケット19Fを取り付け、エアバッグ組付体を形成しておく。
その後、各取付ブラケット10,19を、インナパネル2の所定位置に配置させて、取付ボルト11,22を利用して取付固定し、エアバッグ組付体をボディ1に取り付ける。次いで、インフレーター14に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とをボディ1側のインナパネル2に取り付け、さらに、リヤピラーガーニッシュ6とセンターピラーガーニッシュ7とをボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、インフレーター14が作動されれば、インフレーター14のガス吐出口16aから吐出される膨張用ガスGが、図4の二点鎖線に示すごとく、エアバッグ25の遮蔽本体部27内に流入し、エアバッグ25の遮蔽本体部27が、ラッピング部52の破断予定部52aを破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁で構成されるエアバッグカバー8を押し開いて下方へ突出しつつ、図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2、センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように、大きく膨張することとなる。
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ25の接続口部59内に、インフレーター14におけるガス吐出口16aの外周側を覆う補強布68が、配設され、この補強布68は、接続口部59を保護可能に、耐熱性を付与された厚肉として、構成されている。そのため、作動時に、インフレーター14のガス吐出口16aから、高温の膨張用ガスが、インフレーター14の軸心を中心として放射状に噴出されることとなっても、ガス吐出口16aの外周側を覆う補強布68により、接続口部59がダメージを受けることを防止できる。そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、可撓性を有した布製からなる補強布68を使用していることから、金属パイプ製のディフューザーを使用した従来の頭部保護エアバッグ装置と比較して、安価に製造することができ、かつ、軽量化を図ることもできる。特に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、高価なコーティング剤を大量に塗布させたコート布からなる補強布68が、接続口部59の内周におけるバッグ本体26の内部側(遮蔽本体部27側)を部分的に覆う構成とされていることから、補強布68により接続口部59の内周における挿入用開口端側までの全域を覆う場合と比較して、製造コストを低減させることができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、補強布68が、接続口部59の内周側を部分的に覆って、挿入用開口60側の端縁(後縁68b)を、挿入用開口60から離れた位置に配置させているが、バッグ本体26及び補強布68と別体とされるカバー布71が、図12に示すように、接続口部59の内周側において、挿入用開口60の開口端から、補強布68の後縁68bを越えて、補強布68の内周側にかけてを、覆うように、配設されている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、厚肉の補強布68の後縁68bにより、接続口部59におけるインフレーター14を挿入させる領域に段差70(図12参照)が生じることとなっても、この段差70の内周面側を、カバー布71によって覆っている構成である。そのため、インフレーター14と接続口部59との間からのガス漏れを極力抑制するために、接続口部59の開口幅寸法を小さく設定している場合にも、カバー布71がガイドとなって、インフレーター14を、補強布68の後縁68bに引っ掛かることを抑制された状態で、補強布68の領域まで、円滑に、接続口部59内に挿入させることができる。特に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、カバー布71が、コーティング剤を塗布させていないノンコート布から、形成されているため、インフレーター14をコート布71に対して滑らせやすく、インフレーター14の挿入作業性が良好である。
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、安価に製造することができて、かつ、軽量であり、インフレーター14と接続口部59との接続作業性も良好となる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、補強布68の後縁68bを、取付ブラケット19Fの保持環部20F(クランプ)の配置される領域よりもバッグ本体26の内側(前側)に位置させるように、構成している。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、接続口部59においてクランプ止めされる領域(保持環部20Fが配置される領域)に、補強布68が介在されないことから、この保持環部20Fが配置される領域の肉厚を極力薄くすることができ、保持環部20F(クランプ)によって、インフレーター14を接続口部59に対して容易に強固に接続させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、補強布を、保持環部が配置される領域まで延ばすように、配置させてもよい。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、外周カバー布71における挿入用開口60側の縁部(後縁71b)を、挿入用開口60の外周縁を覆うように折り返して、挿入用開口60周縁に結合させている。そのため、インフレーター14を接続口部59に挿入させる際に、インナチューブ63とカバー布71との間や、接続口部59とインナチューブ63との間に挿入させるような誤挿入を防止でき、インフレーター14を、接続口部59におけるカバー布71に覆われる領域に、確実に挿入させることができる。また、このカバー布71の後縁71bを折り返して形成される折返部72は、車両搭載時における取付ブラケット19Fの保持環部20Fの抜け止め用のストッパとしても作用することとなる。勿論、このような点を考慮しなければ、カバー布として、折返部を備えない構成のものを使用してもよい。
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、カバー布71の後縁71b(折返部72)を、接続口部59の挿入用開口60の周縁において、インナチューブ63と接続口部59とを熱溶着により結合させる際に、同時に、熱溶着により、接続口部59と結合させている。そのため、小径の棒状のヒーター等を接続口部59の内部に挿入させて加熱すればよいことから、ミシン等を使用して縫合糸を用いて縫着させる場合と比較して、折返部72を、容易に接続口部59の挿入用開口60の周縁に結合させることができる。なお、実施形態では、折返部72とカバー布71との間に介在される接続口部59及びインナチューブ63を、共に溶着させているが、接続口部59とインナチューブ63とに部分的に開口を設け、その開口の部位で、折返部72とカバー布71とを溶着させるように、構成してもよい。このような構成とする場合、折返部72とカバー布71との間に介在される接続口部59及びインナチューブ63を、共に溶着させる場合と比較して、接続口部59における挿入用開口60の周縁が厚くなることを抑制できる。
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、インフレーター14として、本体15からシールピン17を突出させたハイブリッドタイプのものを使用しており、エアバッグ25における挿入用開口60の周縁に、カバー布71と接続口部59とを略U字状に切り欠くような切欠凹部61を、形成している。そして、この切欠凹部61の底部61aを、インフレーター14を接続口部59に挿入させる際の位置決めポイントとして、インフレーター14のシールピン17と当接させるように、構成している。そのため、インフレーター14に配設されるシールピン17を、インフレーター14を挿入用開口60から接続口部59内に挿入させる際の位置決めに使用することができ、インフレーター14の位置決めが容易となって、インフレーター14と接続口部59との接続作業を、一層、容易とすることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、インフレーターとして、シールピンを本体から部分的に突出させない構成のもの(例えば、ガス発生剤を内蔵させたパイロタイプのインフレーター)を、使用してもよい。
なお、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、補強布68の後縁68b(端縁)を、インナチューブ63に縫着(結合)させているが、補強布の後縁(端縁)は、インナチューブ63に結合させない構成としてもよい。例えば、補強布の左右両縁のみをインナチューブに結合させる構成としてもよい。しかしながら、接続口部59の内周面との間に生じる段差を極力小さくする見地からは、補強布68の後縁68b(端縁)側を、極力後縁68bに近接させた位置で、インナチューブ63に縫着(結合)させることが、好ましい。また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、カバー布71の前縁71aを、補強布68の後縁68b(端縁)に縫着(結合)させているが、カバー布の前縁は、補強布の後縁(端縁)の内周側を覆い可能な構成であれば、補強布の後縁に結合させない構成としてもよい。しかしながら、確実に補強布の後縁の内周側を覆った状態でインフレーターを挿入させる見地からは、カバー布の前縁は補強布の後縁の内周側を覆った状態で、補強布の後縁に結合させておくことが好ましい。さらに、実施形態では、補強布68は、インフレーター14における小径部16(ガス吐出口16a)の下方を覆っていない構成であるが、小径部16の下方は、周囲に配置されるインナチューブ63における流出側部65の下端までの距離が比較的長く、ガス吐出口16aから吐出される膨張用ガスGが直接当たっても、大きなダメージを与えないためである。勿論、補強布として、インフレーターの小径部の外周側を全周にわたって覆うような、筒状のものを使用してもよい。