JP5065544B2 - ワイヤーハーネスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ワイヤーハーネスの製造方法に関するものであり、詳しくは、ワイヤーハーネスを構成する電線の所定の部分を所定の形状に維持する形状維持部材(この形状維持部材は、ワイヤーハーネスを構成する電線を保護するプロテクタとしての機能も有する)が設けられたワイヤーハーネスの製造方法に関するものである。
自動車などの車両の内部には、電気装置や電子機器などを相互に接続するためのワイヤーハーネスが配索される。このワイヤーハーネスは、車両などの内部を所定の経路に沿って配索されるため、ワイヤーハーネスを製造する段階において、ワイヤーハーネスが配索しやすい形状に形成されることがある。たとえば、ワイヤーハーネス(すなわち、ワイヤーハーネスを構成する電線)が、配索される経路の形状に応じた形状に形成されることがある。
このため、ワイヤーハーネスを構成する電線の所定の箇所(たとえば、電線が分岐している箇所や、電線が屈曲もしくは湾曲している箇所)には、形状維持部材が装着されることがある。また、ワイヤーハーネスを構成する電線を保護するために、所定の箇所にプロテクタが装着されることがある。このような形状維持部材やプロテクタは、一般的には内部が空洞のシェル状の部材(たとえば筒状の部材であって、その軸線が所定の形状に形成される部材)が適用される。そして、このような形状維持部材やプロテクタは、一般的には樹脂材料からなり射出成形により製造される射出成形品が適用される。
このような射出成形品の形状維持部材が適用される構成によれば、ワイヤーハーネスを構成する電線の所定の箇所に形状維持部材を装着することにより、当該装着された箇所を所定の形状に形成することができる。また、射出成形品のプロテクタが適用される構成によれば、装着された箇所がプロテクタにより保護される。しかしながら、射出成形品の形状維持部材やプロテクタが適用される構成は、次のような問題を有する。
まず、このような形状維持部材やプロテクタを製造するためには、射出成形型が必要となる。射出成形型は一般的に高価であることから、形状維持部材やプロテクタの製造コストや価格が上昇する。また、ワイヤーハーネスを構成する電線に形状維持部材やプロテクタを装着する作業が必要となるから、作業工数が増加し、このため製造コストの上昇を招くおそれがある。
また、シェル状の形状維持部材やプロテクタがワイヤーハーネスを構成する電線に装着される構成においては、電線と形状維持部材やプロテクタの内周面との間に隙間が存在することがある。このため、ワイヤーハーネスに振動や衝撃が加わると、電線が形状維持部材やプロテクタの内周面に衝突し、打音や衝撃音が発生する。このような打音や衝撃音の発生は、ワイヤーハーネスが適用された車両などの品位を低下させるおそれがある。また、電線が形状維持部材やプロテクタの内周面に衝突することによって、損傷するおそれもある。
電線が形状維持部材やプロテクタの内周面に衝突することを防止する構成としては、たとえば、形状維持部材やプロテクタの内部に緩衝材(たとえばスポンジ状の部材)を配設する構成がある。しかしながらこのような構成では、形状維持部材やプロテクタの内部に緩衝材を配設する作業が必要となるから、作業工数が増加し、製造コストの上昇を招くおそれがある。また、部品点数が増加するため、部品コストの上昇を招くおそれもある。
射出成形品ではないプロテクタを用いる構成としては、たとえば、フラット回路体の周囲に熱可塑性材料からなるプロテクタを形成する構成が提案されている(特許文献1参照)。すなわち特許文献1に開示される構成は、熱可塑性樹脂材料からなる二枚の被覆材でフラット回路体を挟み、これらを加熱しながら金型によりプレス成形することにより、二枚の被覆材をフラット回路体に密着させるとともに、二枚の被覆材どうしが接触する部分を溶着させる。このような構成によれば、二枚の被覆材がプロテクタとなるから、射出成形品のプロテクタが不要となる。このため、部品コストの削減を図ることができる。
ところで、ワイヤーハーネスは、一般的に、車両などの内部の所定の経路に沿って配索される。このため、被覆材の断面形状および寸法や、被覆材の軸線形状は、配索される経路の形状および寸法に応じて設定されることが好ましい。たとえば、配索される経路の形状および寸法に略等しい形状や、配索作業において便利となるような形状に設定されることが好ましい。
しかしながら、特許文献1に開示される構成は、次のような問題点を有すると考えられる。プレス成形直後の被覆材は高温であるから、被覆材が塑性変形しやすい状態にある。このため、プレス成形されたワイヤーハーネスを金型から取り出して搬送すると、フラット回路体や被覆材の自重によって撓み変形するおそれがある。また、金型からの取り出しや搬送の際に被覆材に触れると、触れた箇所やその近傍が変形するおそれがある。このように、プレス成形後において、ワイヤーハーネスに望まない変形が生じるおそれがある。したがって、被覆材の軸線形状を、配索される経路の形状および寸法に応じて成形しても、成形後において変形が生じないようにすることが困難であるから、成形した形状を維持することが困難である。
また、特許文献1には、金型を冷却してからワイヤーハーネスを取り出す構成が開示されているが、このような構成とすると、ワイヤーハーネスをプレス成形するごとに金型の加熱と冷却を行う必要がある。このため、ワイヤーハーネスの製造に要する時間が長くなる。
さらに、成形後や冷却後において、プロテクタや被覆材の軸線形状を変更しようとすると、プロテクタや被覆材が損傷するおそれがある。また、プロテクタや被覆材の剛性が高い場合には、軸線形状を変更することができない。
なお、電線の軸線形状を所定の形状に成形する方法としては、電線にテープを巻き付ける方法がある。すなわち、電線にテープを巻き付けることによって、複数の電線を結束するとともに、結束した電線が所定の軸線形状を有するようにする。しかしながら、このような方法では、テープを巻き付ける作業に手間と時間を要する。また、テープが巻き付けられた構成は、見映えがよくない。さらに、手作業でテープを巻き付ける方法であると、形状が変形するなど品質にばらつきが生じるおそれがある。
なお、電線に射出成形品を装着する構成においては、ワイヤーハーネスの所定の部分が三次元的な形状を有する場合には、射出成形型の設計が難しくなり、設備コストが上昇する。
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、射出成形品の形状維持部材やプロテクタを用いることなく、電線や電線束を所定の形状に維持する形状維持部材や電線や電線束を保護するプロテクタを有するワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、形状維持部材やプロテクタの製造コストや製造工数の削減を図ることができるワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、形状維持部材やプロテクタの軸線形状を所定の形状に成形することが容易なワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、熱可塑性材料からなる形状維持部材やプロテクタを有するワイヤーハーネスを製造するに際し、熱可塑性材料に不測の変形が発生しないようにできるワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、熱可塑性材料からなる形状維持部材やプロテクタを有するワイヤーハーネスを製造するに際し、形状維持部材やプロテクタの軸線形状を所定の形状に成形することが容易なワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、熱可塑性材料からなる形状維持部材やプロテクタを有するワイヤーハーネスを製造するに際し、製造に要する時間の短縮を図ることができるワイヤーハーネスの製造方法を提供することができるワイヤーハーネスの製造方法を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、電線の所定の部分が熱可塑性の材料からなる不織布に覆われたワイヤーハーネスの製造方法であって、電線の周囲に熱可塑性の材料からなる不織布で覆うとともに、前記熱可塑性の材料からなる不織布を熱可塑性による塑性変形が可能な温度に加熱するとともに加圧して所定の断面形状および寸法に成形する第一の工程と、前記第一の工程の後、前記熱可塑性の材料からなる不織布が熱可塑性による塑性変形が可能な温度にあるうちに前記熱可塑性材料を所定の軸線形状に成形し、所定の軸線形状に成形した状態で冷却する第二の工程と、を含み、前記不織布は、基本繊維とバインダ繊維とを有し、前記基本繊維は、所定の融点を有する熱可塑性の樹脂材料からなり、前記バインダ繊維は、芯繊維と前記芯繊維の外周に成形されるバインダ材の層とを有し、前記芯繊維は所定の融点を有する熱可塑性の樹脂材料からなり、前記バインダ材の層は前記基本繊維および前記芯繊維の融点よりも低い融点の熱可塑性の樹脂材料からなることを要旨とするものである。
また、別の本発明では、電線の所定の部分を覆う部材が、熱可塑性の材料からなる不織布により成形される。したがって、電線の所定の部分を覆う部材は、空気を多く含む層となる。このような空気を多く含む層は、空気によって断熱性が向上するから、冷めにくい。そのため、別の本発明によれば、(電線の所定の部分を覆う部材がひとかたまり(バルク)であるような場合と比較して、)電線の所定の部分を覆う熱可塑性の材料(不織布)を加熱および加圧してから、所定の軸線形状に成形するまでの間当該所定の部分を覆う部材が冷めにくく、電線の所定の部分を覆う熱可塑性の材料(不織布)を所定の軸線形状にする作業が容易となる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法を用いて製造されるワイヤーハーネス1のうちの所定の部分(=所定の形状に成形された形状維持部材12が設けられる部分)を抜き出して示した外観斜視図である。なお、説明の便宜上、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法を用いて製造されるワイヤーハーネス1を、「本ワイヤーハーネス1」と称することがある。
本ワイヤーハーネス1は、全体として、所定の種類および所定の数の電線11を備え、これらの電線11が所定の態様で纏められる(または結束される)構成を備える。そして、束ねられた(または結束された)電線11が、本ワイヤーハーネス1の幹線や枝線を形成する。本ワイヤーハーネス1に含まれる各電線11の端部には、所定の種類のコネクタ類が装着される。なお、本ワイヤーハーネス1に含まれる電線11の種類や数、本ワイヤーハーネス1の全体的な形状(たとえば、幹線や枝線の形状、枝線の数や分岐形態など)や、各電線11に装着されるコネクタ類の構成などは、必要に応じて適宜設定されるものであり、限定されるものではない。なお、本発明において単に「電線」と記す場合には、単数の電線を意味するほか、複数の電線(すなわち、本ワイヤーハーネスの幹線や枝線)も含むものとする。
図1に示すように、本ワイヤーハーネス11の所定の部分には、形状維持部材12が設けられる。すなわち、本ワイヤーハーネス1の所定の部分は、電線11と、形状維持部材12とを備え、電線11が形状維持部材12に覆われる構成を有する。形状維持部材12は、電線11を所定の形状に維持する機能(特に、電線11の軸線を所定の形状に維持する機能)を有するほか、電線11を保護する機能(いわゆる「プロテクタ」としての機能)も有する。本ワイヤーハーネス1のうち、形状維持部材12が設けられる部分(=本発明にいう本ワイヤーハーネス1の所定の部分)の位置や範囲は、特に限定されるものではなく、電線11の軸線を所定の形状に維持したい部分や、電線11を保護したい部分に適宜設けられる。
形状維持部材12の断面の形状および寸法や、軸線の形状は、本ワイヤーハーネス1が配索される領域の空間の形状などに応じて適宜設定される。たとえば、本ワイヤーハーネス1の所定の部分は、当該所定の部分が配索される領域の空間の形状および寸法に略同じ形状および寸法に形成される構成や、配索に便利な形状に形成される構成が適用できる。このように、形状維持部材12の断面形状および寸法や、軸線の形状は、特に限定されるものではない。
形状維持部材12は、熱可塑性を有し、弾性変形可能な材料(特に、見かけ上の体積が小さくなるような圧縮変形が可能な材料)により形成される。たとえば、熱可塑性の樹脂材料などからなる不織布や、発泡体などにより形成される。なお、説明の便宜上、形状維持部材12の材料となる部材を、「被成形体」13と称する。
被成形体13としての不織布には、基本繊維とバインダ繊維とが絡み合った構成を有するものが適用できる。基本繊維は、所定の融点を有する熱可塑性樹脂材料により形成される。バインダ繊維は、芯繊維の外周にバインダ材の層が形成される構成を有する。芯繊維は、基本繊維と同じ熱可塑性樹脂材料により形成される。バインダ材の層は、基本繊維および芯繊維よりも融点が低い熱可塑性樹脂材料により形成される。なお、このような構成の不織布を、説明の便宜上、「第一の不織布」と称する。
第一の不織布は、ある所定の温度以上の温度に加熱されると、基本繊維およびバインダ繊維が有する熱可塑性により、塑性変形しやすい状態となる。特に、バインダ繊維のバインダ材の融点よりも高い温度であって、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度帯域に加熱されると、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維は、固体の状態(=繊維の状態)を維持したままで熱可塑性により塑性変形できるようになる。一方、この温度帯域に加熱されると、バインダ繊維のバインダ材は溶融して、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の間に流出する。このため、その後、バインダ材の融点よりも低い温度に戻ると、バインダ材が固体の状態に戻り、接着剤(またはホットメルト樹脂)のような態様で、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維どうしを結合する。
したがって、第一の不織布が、バインダ繊維のバインダ材の融点よりも高い温度であって基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度帯域に加熱され、この温度帯域で所定の形状に形成され、その後、基本繊維およびバインダ繊維が熱可塑性による塑性変形をしない温度に冷却されると、前記温度帯域において成形された形状を維持する。さらに、溶融したバインダ材が固化して基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしを結合するため、加熱前に比較して硬くなる。
なお、説明の便宜上、基本繊維およびバインダ繊維が熱可塑性によって塑性変形しやすくなる温度帯域を、第一の不織布の「第一の可塑化温度帯域」と称し、第一の不織布の「第一の可塑化温度帯域」のうち、バインダ繊維のバインダ材の融点以上の温度であって基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度帯域を、第一の不織布の「第二の可塑化温度帯域」と称する。
第一の不織布の基本繊維には、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる繊維が適用できる。第一の不織布のバインダ繊維には、PETにより形成される芯繊維と、PETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂により形成されるバインダ材の層とを有し、芯繊維の外周にバインダ材の層が形成される構成の繊維が適用できる。このような構成の不織布の基本繊維や芯繊維(すなわちPET)の融点は、約250℃である。バインダ材の融点は110〜150℃である。したがって、この第一の不織布の第二の可塑化温度帯域は110〜250℃である。
このほか、被成形体13には、バインダ繊維を有しない熱可塑性樹脂材料からなる不織布も適用できる。このような不織布を、説明の便宜上、「第二の不織布」と称して区別する。たとえば、PETからなる不織布が適用できる。また、被成形体13には、熱可塑性材料からなる発泡体も適用できる。たとえば、PETからなる発泡体が適用できる。被成形体13に適用される第二の不織布および発泡体は、それらの材料である熱可塑性樹脂材料の融点より低い温度であって融点近傍の温度に加熱されると、熱可塑性により塑性変形しやすくなる。
形状維持部材12の表層部(=外表面およびその近傍)は、中心部(=電線11の所定の部分に接触している部分およびその近傍)に比較して硬く形成される。具体的には、形状維持部材12の表層部は、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によって形状維持部材12に成形される前の被成形体13よりも硬さが硬い。そして、この硬い表層部は、電線11の所定の部分の軸線を所定の形状に維持する機能を有するとともに、電線11の所定の部分を保護する機能を有する。
一方、形状維持部材12の中心部は、表層部に比較して軟らかく形成される。具体的には、形状維持部材12の中心部は、形状維持部材12に成形される前の被成形体13の性質を、表層部に比較して多く有している。そして、形状維持部材12の中心部は、電線11の所定の部分に弾性的に接触して包み込んでおり、電線11の所定の部分を衝撃や振動などから保護する機能を有する。さらに、形状維持部材12の中心部は、防音材としての機能も有する。すなわち、形状維持部材12が、弾性を有する状態で電線11の所定の部分に接触して包みこんでいるため、本ワイヤーハーネス1に振動や外力が加わった場合であっても、電線11に振動や外力が伝達することを防止または抑制する。また、電線11と形状維持部材12とが弾性的に接触しているから、これらの間で衝突音などの発生が防止される。
次に、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法について説明する。本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法は、本ワイヤーハーネス1を構成する電線11の所定の部分を形状維持部材12で覆う工程(=電線11の周囲に形状維持部材12を形成する工程)と、形状維持部材12を所定の形状の軸線に成形する工程とを含む。説明の便宜上、電線11の所定の部分を形状維持部材12で覆う工程を「第一の工程」と称し、形状維持部材12を所定の形状の軸線に成形する工程を「第二の工程」と称する。
第一の工程の内容は次のとおりである。
第一の工程においては、第一の成形型5と下側保持具62とが用いられる。第一の成形型5は、一対となる上型51と下型52(たとえば、いずれも金型が適用できる)を有する。図2は、下型保持具62と第一の成形型5の下型52の要部の構成を模式的に示した外観斜視図である。図3は、第一の成形型5の上型51の要部の構成を模式的に示した外観斜視図である。下側保持具62および第一の成形型5の下型52については、図2中の上方が、第一の成形型5の上型51に対向する側となる。第一の成形型5の上型51については、図3の上方が、下側保持具62および第一の成形型5の下型52に対向する側となる。説明の便宜上、下側保持具62と第一の成形型5の下型52については、第一の成形型5の上型51に対向する側を「上側」と称し、第一の成形型5の上型51については、下側保持具62および第一の成形型5の下型52に対向する側を「下側」と称する。図2においては、図中の上方が上側であり、図3においては、図中の上方が下側である。
下側保持具62は、第一の工程において、被成形体13を加圧して所定の形状および寸法を有する形状維持部材12に成形する機能や、所定の形状および寸法に成形された形状維持部材12(=成形後の被成形体13)を所定の形状および寸法に維持する(換言すると、形状維持部材12が、不測の変形または望まない変形をしないようにする)などの機能を有する工具(または治具)である。
下側保持具62は、上側に向かって開放する溝状の凹部623を有する。具体的には、下側保持具62は、所定の幅寸法を有し所定の軸線方向に延伸する底部621と、底部621の軸線方向の両側部から上側に向かって起立する壁部622とを有する。そして、底部621の上側の面と両側の壁部622の内側の面とに囲繞される領域が、上側に向かって開放する溝状の凹部623となる。したがって、下側保持具62は、全体として、断面が略「U」字形状の棒状の構造を有する。
溝状の凹部623の底部近傍(=底部621の上側の面、または底部621の上側の面と壁部622の内側の面の底部近傍。被成形体13を加圧している状態において、被成形体13に接触する部分を指す)の断面形状(ここでは、下側保持具62を軸線方向に直角な方向で切断した場合における断面形状をいう)は、成形する形状維持部材12の断面の形状および寸法に応じた形状および寸法に設定される。たとえば、形状維持部材12を略円形の断面形状に形成する場合には、底部621の上側の面は略半円に形成される。また、形状維持部材12を、略四辺形の断面形状に形成する場合には、底部621の上側の面と両側の壁部622の内側の面は、それらに囲まれる領域の断面形状が略四辺形となるように形成される。すなわち、底部621の上面が略平面に形成されるとともに、両側の壁部622の少なくとも底部621近傍の部分が略平面に形成され、両側の壁部622の少なくとも底部621の近傍が底部621の上側の面に対して略直角に起立する。
下側保持具62は、熱伝導率の高い材料により形成され、蓄熱量が小さい(すなわち、周りの温度変化に追従しやすい)構成を有する。特に、溝状の凹部623の内側と外側との間で熱を伝えやすい構成を有する。具体的にはたとえば、薄い金属板などからなり、板金加工などにより形成される。薄い金属板などからなれば、金属板の厚さ方向に熱を伝えやすく、かつ、下側保持具62の質量を小さくできるから、蓄熱量を小さくすることができる。また、底部621と壁部622とは、一枚の金属板に鈑金加工などを施すことにより一体に形成される。底部621と壁部622とが一枚の金属板などから一体に形成される構成であれば、別体からなる部品を組み付ける必要がない。このため、別体からなる部品を組み付ける構成に比較すると、下側保持具62の部品コストや製造コストの上昇を防止することができる。さらに下側保持具62の製造の手間を削減することができる。
下側保持具62の溝状の凹部623の外側の面の形状(=底部621の下側の面の形状、および壁部622の外側の面の形状)は、特に限定されるものではない。下側保持具62が薄板などからなり、鈑金加工などにより形成される場合には、下側保持具62の底部621の下側の面の形状、および壁部622の外側の面の形状は、底部621の上側の面の形状および壁部622の内側の面の形状に略相似な形状となる。
第一の成形型5の下型52は、下側保持具62を介して、第一の成形型5の上型51とともに被成形体13を加熱しながら加圧し、形状維持部材12を成形する工具である。すなわち、熱可塑性を利用して被成形体13を塑性変形させ、所定の断面形状および寸法を有する形状維持部材12に形成する。
第一の成形型5の下型52の上側には、係合部521が形成される。係合部521は、上側に向かって開放する溝状の凹部であり、下側保持具62の全体または下側の一部(底部621および壁部622の底部621の近傍)を収容可能な構成を有する。図2においては、下側保持具62の下側の一部を収容可能な構成を示す。そして、下側保持具62を係合部521に係合させることによって、第一の成形型5の下型52の上側に、下側保持具62の溝状の凹部623の開放側を上側に向けて(=第一の成形型5の上型51に向けて)載置することができる。
第一の成形型5の下型52の係合部521の形状および寸法は、下側保持具62を係合部521に係合させた状態において、係合部521の表面が、下側保持具62の外側の表面のうちの係合部521に係合している部分(=下側保持具62の外側の面の略全体、または下側保持具62の底部621の下側の面および壁部622の外側の面の底部621の近傍)の略全体に接触することができるように設定される。
たとえば、下側保持具62の外側の面(底部621の外側の面および壁部622の外側の面)の寸法および形状と略同じか、またはそれよりも少し大きい寸法および形状に設定される。したがって、図2に示すように、下側保持具62の底部621および側部622の底部621近傍の断面形状が略四辺形である場合には、係合部521の断面形状は略四辺形に設定される。また、下側保持具62の底部621の断面形状が略半円形状である場合には、係合部521の断面形状は略半円形状に設定されるか、または係合部521の底部が略半円状に設定される。
第一の成形型5の下型52は、図略の加熱手段を備える。そして、この加熱手段により、係合部521の表面を所定の温度に維持することができる。なお、「所定の温度」については後述する。加熱手段には公知の各種加熱手段が適用できる。たとえば、加熱手段として電熱線が適用され、この電熱線が第一の成形型5の下型52の内部に埋め込まれる構成や、第一の成形型5の下型52の外周に電熱線が装着される構成が適用できる。また、第一の成形型5の下型52の内部に流体が通過することができる経路(たとえば孔)が形成され、この経路に温度調整された流体(温度調整された空気、液体(油など)、蒸気(過熱蒸気など))を通過させる構成が適用できる。このように、加熱手段は、第一の成形型5の下型52(特に係合部521の表面)を所定の温度に維持できる構成を有していればよく、その種類や構成は限定されるものではない。
このように、第一の成形型5の下型52は、係合部521に係合された下側保持具62を所定の温度に加熱することができる。そして、係合部521の形状および寸法が前記のとおりであるから、下側保持具62のうちの係合部521に係合している部分を、略均一に加熱することができる。
第一の成形型5の上型51は、第一の成形型5の下型52および下側保持具62とともに、被成形体13を加熱しながら加圧することができる工具である。
第一の成形型5の上型51の下側の一部は、下側保持具62の壁部622どうしの間に嵌り込むことができる構成を有する。具体的には図3に示すように、第一の成形型5の上型51には、下側に向かって突起する凸状の構造物511が形成され、この凸状の構造物511の全部または下側の一部が、下側保持具62の壁部622どうしの間に嵌り込むことができる。このため、この凸状の構造物511の幅方向寸法(=軸線方向に直角な方向の寸法)は、下側保持具62の壁部622どうしの間の間隔と略同じか、またはそれよりも少し小さく設定される。
なお、図3に示すような構成のほか、第一の成形型5の上型51の全体が、下側保持具62の壁部622どうしの間に嵌り込むことができる寸法および形状に形成される構成であってもよい。
第一の成形型5の上型51の下側には、加圧面512が形成される。加圧面512は、被成形体13を加圧および加熱して、所定の断面形状を有する形状維持部材12を成形するための部分である。加圧面512は、第一の成形型5の下型52の係合部521に下側保持具62が係合された状態において、下側保持具62の底部621の上側の面に対向する。図3に示すように、第一の成形型5の上型51に下側に凸状の構造物511が形成される構成においては、当該凸状の構造物511の下側の面が加圧面512となる。一方、第一の成形型5の上型51の全体が、下側保持具62の側部どうしの間に嵌り込むことができる構成を有する場合には、第一の成形型5の上型51の下側の面の略全体が加圧面512となる。
凸状の構造物511(または第一の成形型5の上型51の全体)の軸線方向に直角な面で切断した場合における加圧面512の断面形状および寸法は、成形する形状維持部材12の断面形状および寸法に応じて設定される。すなわち、加圧面512は、成形する形状維持部材12の外周面の一部の形状と略同じ形状に形成される。たとえば、形状維持部材12の断面形状が略四辺形の場合には、第一の成形型5の上型51の加圧面512は、略平面に形成される。また、形状維持部材12の断面形状が略円形である場合には、加圧面512は、断面略半円形状で上側に向かって窪む溝状の構成を有する。
第一の成形型5の上型51は、図略の加熱手段を備える。そして、この加熱手段により、特に加圧面512を、所定の温度に維持することができる。「所定の温度」は第一の成形型5の下型52と同じである。また、加熱手段も、第一の成形型5の下型52と同じ加熱手段が適用できる。したがって説明は省略する。
下側保持具62が第一の成形型5の下型52の係合部521に係合し、その状態で、第一の成形型5の上型51と下型52とを接近させると、第一の成形型5の上型51の全部または下側の一部が、第一の成形型5の下型52の係合部521に係合する下側保持具62の壁部622どうしの間に挿抜可能に嵌り込む。そして、下側保持具62の底部621の上側の面と、第一の成形型5の上型51の加圧面512とが、所定の間隔をおいて対向する。
第一の成形型5の上型51と下型52とが所定の距離に接近した状態における、下側保持具62の溝状の凹部623の内側の面(=底部621の上側の面、または底部621の上側の面と壁部622の互いに対向する面のうちの底部621近傍)と、第一の成形型5の上型51の加圧面512とにより囲まれる空間の形状および寸法が、本ワイヤーハーネス1の所定の部分に形成される形状維持部材12の形状および寸法となる。したがって、下側保持具62の溝状の凹部623の底部621近傍の内側の面の寸法および形状と、第一の成形型5の上型51の加圧面512の寸法および形状は、形状維持部材12の寸法および形状に基づいて設定される。
図4〜図8は、それぞれ、第一の工程に含まれる所定の工程を、模式的に示した断面図である。具体的には、図4は、被成形体13により電線11を包む工程を示した図、図5は、電線11および被成形体13を下側保持具62に収容する工程を示した図、図6は、下側保持具62を第一の成形型5の下型52の係合部521に係合する工程を示した図、図7は、第一の成形型5の上型51と下型52とにより被成形体13を加熱および加圧成形している工程を示した図、図8は、電線11および所定の断面形状に成形された形状維持部材12を、第一の成形型5の上型51および下型52から取り外す工程を示した図である。
まず、図4に示すように、被成形体13により電線11の所定の部分を包む。被成形体13には、図4(a)に示すような略平板状の構成のものや、図4(b)に示すように、棒状であって軸線方向に沿ってスリット131(=外周面から内部に達する切り込みまたは溝)が形成される構成のものが適用できる。そして、略平板状の被成形体13が適用される場合には、図4(c)に示すように、被成形体13を略「U」字状に曲げ、電線11の所定の部分を挟み込むようにして包む。一方、棒状の被成形体13が適用される場合には、電線11の所定の部分を被成形体13に形成されるスリット131に挿入することによって、電線11の所定の部分を被成形体13により包む。
被成形体13の断面の形状および寸法は、電線11の所定の部分を包んだ状態において、その断面積(電線11の所定の部分を含めた断面積)が、成形される形状維持部材12の断面積(電線11の所定の部分を含めた断面積)より大きくなればよい。換言すると、成形される形状維持部材12の断面の輪郭線(電線11の所定の部分を含めた断面の輪郭線)が、電線11の所定の部分を包んだ状態における被成形体13の断面の輪郭線の内側に収まるものであればよい。そして、それ以外は特に限定されるものではない。
次いで、図5に示すように、電線11の所定の部分を包んだ被成形体13を、下側保持具62の溝状の凹部623に収容する。下側保持具62の溝状の凹部623に収容された被成形体13は、両側部622に挟まれることによって、電線11の所定の部分を包んだ状態に維持される。
次いで、図6に示すように、電線11の所定の部分を包んだ被成形体13が収容された下側保持具62を、第一の成形型5の下型の係合部521に係合させる。すなわち、下側保持具62を、第一の成形型5の下型52の上側に載置する。
第一の成形型5の上型51の加圧面512および第一の成形型5の下型52の係合部521は、加熱手段により所定の温度に維持されている。「所定の温度」は、被成形体13に第一の不織布が適用される場合には、第一の不織布の第二の可塑化温度帯域内の温度が適用される。被成形体13に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第二の不織布の材料または発泡体の材料の融点以上の温度であって、融点近傍の温度が適用される。
次いで、図7に示すように、第一の成形型5の上型51と下型52とを接近させる。そして、第一の成形型5の上型51の加圧面512と下側保持具62の底部の上側の面および側部の内側の面とに囲繞される空間(または、第一の成形型5の上型51の加圧面512と下側保持具62の底部の上側の面とに囲繞される空間)の寸法および形状を、成形後の形状維持部材12の形状および寸法にする。これにより、被成形体13が、第一の成形型5の上型51と、下側保持具62を介して第一の成形型5の下型52とにより、加圧されて圧縮変形するとともに、加熱される。そして、所定の時間にわたって、この状態を維持する(すなわち、被成形体13への加熱および加圧を継続する)。
「所定の時間」は、次のとおりである。
被成形体13に第一の不織布が適用される場合には、被成形体13のうち、下側保持具62の溝状の凹部623の内側の面および第一の成形型5の上型51の加圧面512に接触している部分およびその近傍(換言すると、形状維持部材12の表層部となる部分)は、第二の可塑化温度帯域に達する時間であるが、電線11に接触している部分およびその近傍(換言すると、形状維持部材12の中心部となる部分)は、第二の可塑化温度帯域には達しない時間である。特に、電線11が芯線と芯線を被覆する被覆材とを有する構成である場合には、被覆材が熱により損傷しない時間(換言すると、電線11の被覆材が熱により溶融や変質などしない時間)が適用される。なお、電線11に接触している部分およびその近傍は、第一の可塑化温度帯域に達していてもよく、達していなくてもよい。
被成形体13に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、被成形体13のうち、下側保持具62の溝状の凹部623の内側の面および第一の成形型5の上型51の加圧面512に接触している部分およびその近傍は、第二の不織布または発泡体の融点以上の温度に達する時間であるが、電線11に接触している部分およびその近傍は、融点に達するよりも短い時間である。特に、電線11が芯線と芯線を被覆する被覆材とを有する構成である場合には、被覆材が熱により損傷しない時間が適用される。
被成形体13が、「所定の温度」で「所定の時間」にわたって加熱されながら加圧されると、次のようなプロセスにより、形状維持部材12が形成される。
被成形体13に第一の不織布が適用される場合には、被成形体13のうちの第一の可塑化温度帯域に達した部分は、熱可塑性により塑性変形する。加熱および加圧されている間においては、被成形体13の表層部(下側保持具62の内側の面に接触している部分およびその近傍と、第一の成形型5の上型51の加圧面512に接触している部分およびその近傍)の温度は、中心部(電線11の所定の部分に接触している部分およびその近傍)に比較して高くなる。このため、被成形体13の表層部の塑性変形の度合は、中心部に比較して大きくなる。したがって、被成形体13の基本繊維およびバインダ繊維の密度は、中心部から表層部に向かうにしたがって高くなる。
被成形体13の表層部は第二の可塑化温度帯域に達するから、バインダ繊維のバインダ材が溶融し、基本繊維やバインダ繊維どうしを溶着する。このため、被成形体13の表層部は、基本繊維やバインダ繊維の密度が高くなった状態で、バインダ繊維のバインダ材により溶着されるから、中心部に比較して硬くなる。さらに、被成形体13が平板状の構成を有し、曲げられることによって電線11の所定の部分を包んでいる場合には、被成形体13の幅方向の端部の接触している部分どうしが、溶融したバインダ繊維のバインダ材によって溶着する。一方、被成形体13が棒状の構成を有しスリット131の内部に電線11の所定の部分が収容されている場合には、スリット131の内側の面どうしが溶着する。したがって、被成形体13は、電線11の所定の部分の周囲を、切れ目なく覆う構成を有するようになる。
被成形体13に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、被成形体13のうち、熱可塑性による塑性変形が可能な温度に達した部分は塑性変形する。加熱および加圧されている間は、被成形体13の表層部の温度は、中心部に比較して高くなるから、被成形体13の表層部の塑性変形の度合は、中心部に比較して大きくなる。したがって、被成形体13の密度は、中心部から表層部に向かうにしたがって高くなる。
さらに、被成形体13の表層部は融点以上の温度に達するから、被成形体13の表層部が溶融する。このため、被成形体13に第二の不織布が適用される場合には、溶融した繊維どうしが結合して一体化し、繊維の構造が消失する。一方、被成形体13に発泡体が適用される場合には、溶融して気泡が抜ける。このため、被成形体13の表層部は、繊維の状態または発泡体の状態に比較して、密度が高くなるとともに硬度が上昇する。さらに、被成形体13が平板状の構成を有し、曲げられることによって電線11の所定の部分を包んでいる場合には、被成形体13の幅方向の端部どうしが、溶融して溶着する。一方、被成形体13が棒状の構成を有しスリット131の内部に電線11の所定の部分が収容されている場合には、スリット131の内側の面どうしが溶融して溶着する。したがって、被成形体13は、電線11の所定の部分の周囲を、切れ目なく覆う構成を有するようになる。
なお、第一の成形型5の下型52が発する熱は、下側保持具62を通じて被成形体13に伝わる。前記のとおり、下側保持具62は熱伝導率の高い材料から形成され、かつ外側の面から内側の面に向かって熱を伝えやすい構成であるから、第一の成形型5の下型52が発する熱は、被成形体13に伝わりやすい。このため、前記「所定の時間」を長くする必要がない。
次いで、図8に示すように、所定の時間経過後、第一の成形型5の上型51と下型52とが分離される。そして、本ワイヤーハーネス1の所定の部分(すなわち、成形された形状維持部材12と、電線11の所定の部分)が、下側保持具62に載置された状態で、下型から取り外される。
下側保持具62が、金属板などからなる構成であれば(すなわち、質量が小さい構成であれば)、蓄熱量が小さいから、本ワイヤーハーネス1の所定の部分が第一の成形型5の下型52から取り外された後は、成形された形状維持部材12および電線11の所定の部分は、下側保持具62が有する熱によって加熱されることがない。このため、本ワイヤーハーネス1の所定の部分が必要以上に加熱されることを防止できる。したがって、形状維持部材12の性質の制御が容易となる。さらに、下側保持具62の溝状の凹部623に収容された状態で、第一の成形型5の下型52から取り外されるから、成形された形状維持部材12が自重などによって変形することが防止できる。また、取り外す際に、形状維持部材12に直接的に接触する必要がないから、形状維持部材12に不測の変形や望まない変形が生じることがない。
このように、被成形体13を加熱および加圧することにより、所定の断面形状の形状維持部材12を成形することができる。成形された形状維持部材12の表層部は、成形前の被成形体13に比較して、密度が高くかつ硬さが高くなっている。一方、形状維持部材12の中心部は、成形前の被成形体13の物理的性質を有しており、電線の所定の部分に弾性的に接触している。
図9は、第一の工程を経た本ワイヤーハーネス1の所定の部分を抜き出して示した外観斜視図である。図9に示すように、第一の工程を経ると、本ワイヤーハーネス1の電線11の所定の部分に、所定の断面形状および寸法を有する形状維持部材12が設けられる。形状維持部材12の軸線の形状は、下側保持具62の軸線の形状と略等しくなる。たとえば、図9に示すように、略直線に形成される。すなわち、第一の工程を経た直後においては、形状維持部材12は、最終的に成形すべき軸線形状を有していない。
第一の工程を経た本ワイヤーハーネス1の所定の部分は、第二の工程に移される。第二の工程の内容は、次のとおりである。第二の工程においては、形状維持部材12の軸線形状を所定の形状に成形するための成形型7が使用される。この成形型7を、第二の成形型7と称する。図10は、第二の成形型7の構成を、模式的に示した分解斜視図である。図10に示すように、第二の成形型7は、上型71と下型72とを有する。
図10に示すように、第二の成形型7の下型72には、成形部721が形成される。成形部721は、形状維持部材12を挿入可能な溝であり、その軸線の形状は、最終的に形成される形状維持部材12の軸線の形状に応じて設定される。すなわち、成形部721の軸線の形状および寸法が、最終的に製造される本ワイヤーハーネス1の形状維持部材12の軸線の形状および寸法となる。したがって、成形部721の軸線の形状および寸法は、製造したい形状維持部材12の形状および寸法に応じて設定される。図10に示す成形部721の形状は、一例であり、この形状に限定されるものではない。
第二の成形型7の上型71は、下型72に結合可能な構成を有する。そして、第二の成形型7の上型71と下型72とが結合した状態において、下型72の成形部721の内側の面と、上型71の表面のうちの下型72の成形部721を臨む部分とに囲まれる空間の寸法および形状が、本ワイヤーハーネス1の所定の部分に設けられる形状維持部材12の最終的な寸法および形状となる。
第二の成形型7の上型71および下型72の材質は、特に限定されるものではないが、熱伝導率が高い材料が適用されることが好ましい。たとえば、鉄系の金属材料やアルミ合金などの各種金属材料が適用できる。
第一の工程を経た本ワイヤーハーネス1の所定の部分(=成形された形状維持部材12)が、熱可塑性による塑性変形が可能な温度にあるうちに、第二の成形型7の下型72の成形部721に嵌め込まれ、上型71と下型72とが結合される。すなわち、形状維持部材12に第一の不織布が適用される場合には、形状維持部材12が第一の可塑化温度帯域にあるうちに、第二の成形型7の下型72の成形部721に嵌め込まれ、上型71と下型72とが結合される。
形状維持部材12が第二の成形型7の下型72の成形部721に嵌め込まれると、形状維持部材12は、成形部721の形状に倣った形状に塑性変形する。特に、形状維持部材12の軸線の形状が、成形部721の軸線の形状と同じ形状に塑性変形する。
そして、形状維持部材12が、熱可塑性による塑性変形を生じない温度に低下するまで、この状態が維持される。たとえば、形状維持部材12に第一の不織布が適用される場合には、形状維持部材12が第一の不織布の第一の可塑化温度帯域よりも低い温度に下がるまで、この状態が維持される。
成形された形状維持部材12が、第二の成形型7の下型72の成形部721に嵌め込まれ、上型71と下型72とが結合されると、形状維持部材12の表面が、第二の成形型7の下型72の成形部721の内面と上型71の表面に接触する。そして、形状維持部材12が有する熱は、第二の成形型7の上型71および下型72に伝導し、さらに第二の成形型7の上型71および下型72から外部(たとえば大気中)に放散される。前記のとおり、第二の成形型7の上型71および下型72が、熱伝導率の高い材料により形成されるものであれば、成形部721に嵌め込まれた形状維持部材12が有する熱は、速やかに第二の成形型7の上型71および下型72に伝導され、形状維持部材12が急速に冷却される。
形状維持部材12の温度が、熱可塑性による塑性変形が生じない温度以下に下がった後に、第二の成形型7の上型71と下型72とが分離され、形状維持部材12が第二の成形型7の下型72の成形部721から取り外される。以上の工程を経て、所定の形状および寸法に形成された形状維持部材12を有する本ワイヤーハーネス1が得られる。
なお、第二の成形型7は、上型71を有さない構成であってもよい。すなわち、第二の成形型7の下型71のみであっても、形状維持部材12を充分に冷却できる場合や、上型71により形状維持部材12を押さえる必要がない場合(たとえば、上型72により形状維持部材12を押さえなくとも、形状維持部材12が元の形状に戻るおそれがない場合)には、上型72を備えなくともよい。
さらに、第二の成形型7は、形状維持部材12の軸線を所定の形状に成形できる構造物であればよく、専用の成形型を用いる必要はない。たとえば、本ワイヤーハーネス1を配索する領域が設けられる実物の部材を、第二の成形型7として用いてもよい。
たとえば、自動車のピラー(前面窓もしくは後部窓と側面窓の間にある支柱、または側面窓どうしの間にある支柱)に配索される部分を有するワイヤーハーネスを製造する場合には、実物のピラーを、第二の成形型7として用いることができる。そして、第一の工程を経て成形された形状維持部材12(=本ワイヤーハーネス1の所定の部分)を、実際に配索する態様でピラーに載置する。そして、形状維持部材12が熱可塑性による塑性変形が生じない温度に低下するまで、その状態を維持する。これにより、形状維持部材12(特に、形状維持部材12の軸線形状)を、実際に配索される空間の形状に成形することができる。
また、自動車のドアに配索される部分を有するワイヤーハーネスを製造する場合には、実物のドアとなる部材(ドアの外板および外板に溶接などされるフレーム)を、第二の成形型7として用いることができる。そして、前記同様の工程を経て、形状維持部材12を、実際に配索される空間の形状に成形することができる。
このように、本ワイヤーハーネス1の所定の部分が配索される実物の部材を、第二の成形型7として用いることができる。このような構成によれば、専用の第二の成形型7を製造する必要がないから、第二の成形型の設計や製造に要する労力やコストを削減できるから、設備コストの削減を図ることができる。また、実際に配索される実物の部材を用いるから、形状維持部材12を、正確かつ精度良く、所定の形状に成形することができる。
本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、第一の成形型5を用いて被成形体13を加熱および加圧して、所定の断面形状および寸法を有する形状維持部材12を成形することができる。すなわち、電線11の所定の部分を覆うように形状維持部材12を成形することができる。そして、第二の成形型7を用いることにより、形状維持部材12を所定の軸線形状に成形するとともに、冷却することができる。
このため、形状維持部材12の軸線形状が複雑な形状(たとえば、複雑な三次元形状)であっても、容易かつ安価に成形することができる。すなわち、射出成形品を用いる構成では、形状維持部材の軸線形状が複雑な形状となると、射出成形型の設計が複雑となり、設備コストの上昇を招く。これに対して、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、形状維持部材12を、たとえば配索される空間の形状に応じた形状に容易かつ安価に成形することができる。
また、電線の軸線形状を所定の形状に維持するためにテープを巻き付ける構成と比較すると、作業内容が大幅に単純化されるから、製造に要する手間や時間を省略することができる。さらに、手作業でテープを巻き付ける構成と比較すると、品質の安定化を図ることができる。そして、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、製造されるワイヤーハーネスの見映えがよい。
形状維持部材12は、第二の成形型7を用いることにより、所定の軸線形状に成形されるとともに、熱可塑性による塑性変形が生じない温度にまで冷却される。したがって、形状維持部材12は、第二の成形型から取り外された時点において、形状が確定しており、熱可塑性による塑性変形が生じない。したがって、成形された形状維持部材12に、不測の変形や、望まない変形が生じることなく、寸法精度のよい形状維持部材を成形することができる。さらに、成形された形状維持部材12の取り扱いが容易となる。
すなわち、一基の成形型を用い、被成形体の断面を所定の形状および寸法に形成すると同時に、形状維持部材の軸線を所定の形状に成形する構成であると、成形直後の形状維持部材の温度は、熱可塑性による塑性変形が可能な温度であるから、成形後に、不測の変形や望まない変形が生じることがある。これに対して本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、形状維持部材12の温度は、第二の成形型7から取り出された時点において、既に熱可塑性による塑性変形が生じない温度にある。このため、成形された形状維持部材12に触れても、不測の変形などが生じることがない。
なお、一基の成形型を用いて形状維持部材を成形する構成においては、形状維持部材を成形後、成形型を冷却してから形状維持部材を取り外す構成が考えられる。しかしながらこのような構成では、成形型を冷却するための時間を要するため、形状維持部材の成形に要する時間が長くなり、製造効率が低下する。さらに、成形型が冷却するまでの間は、成形型によって形状維持部材が加熱され続けるから、形状維持部材の性質の調整が困難となる。さらに、形状維持部材を成形するごとに、成形型の加熱と冷却が必要となるから、形状維持部材の成形に要する時間が長くなる。
これに対して本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、第一の成形型5を冷却する必要がなく、常に所定の温度に維持できる。このため、第一の成形型5の稼働効率の向上を図ることができる。また、成形型を冷却する構成と比較すると、成形型の冷却のために必要な時間と、形状維持部材の冷却のために必要な時間とでは、形状維持部材を冷却するために必要な時間の方が短くできるから(すなわち、成形型の蓄熱量と、成形された形状維持部材の蓄熱量とでは、成形された形状維持部材の蓄熱量の方が少ない)、形状維持部材の成形(特に冷却)に要する時間を短くできる。
被成形体13を加熱する手段は、第一の成形型5にのみ設けけられる構成であればよく、第二の成形型7に設ける必要はない。また、第二の成形型7は、形状維持部材12を所定の軸線形状に成形することができる構成を有していればよいから、専用の成形型を用いる必要はなく、本ワイヤーハーネス1の所定の部分が配索される実物の部材を、そのまま適用できる。したがって、第二の成形型7の製造コストの削減を図ることができ、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法において使用する設備コストの削減を図ること、または設備コストの上昇を防止することができる。
さらに、形状維持部材12は、第二の成形型7(加熱手段を有さない成形型)により所定の軸線形状に成形されるため、第一の成形型5(加熱手段を有する成形型)および下側保持具62の形状を単純な形状にすることができる。たとえば、下側保持具62を略直線の棒状に形成し、第一の成形型5の下型52の係合部521と、上型51の加圧面512を略直線に形成することができる。このように、加熱手段を有する第一の成形型5の形状を、単純な形状とすることができる。したがって、第一の成形型5の製造コストの削減を図ることができる。すなわち、一基の成形型により被成形体を所定の断面形状および寸法に形成するとともに、所定の軸線形状に成形する構成と比較すると、被成形体13を加熱する成形型の形状が簡単になるから、成形型の製造コストの削減を図ることができる。
そして、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、形状維持部材12の表層部を硬化させ、中心部を軟らかい状態(成形前における被成形体13の物理的性質を有する状態)に維持することが容易となる。
すなわち、第一の成形型5により加熱および加圧が完了した後(=第一の工程を経た後)、形状維持部材12を直ちに第二の成形型7の下型72の成形部721に嵌め込むことにより、速やかに冷却を開始することができる。第一の成形型5により加熱および加圧された直後の形状維持部材12の温度は、表層部が高く中心部が低い。このため、この状態で放置されると、表層部の熱が中心部に伝わり、中心部においても熱可塑性による塑性変形が進行して硬くなるおそれがある。これに対して、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、成形された形状維持部材12が有する熱(特に、表層部が有する熱)は、速やかに第二の成形型7に伝導される。したがって、中心部における塑性変形の進行を防止することができる。
さらに、下側保持具62を用いる構成であると、第一の成形型5による加圧成形前において、被成形体13が不要に加熱されることを防止できる。すなわち、第一の成形型5に直接に被成形体13および電線11の所定の部分をセッティングする構成では、このセッティングの作業において時間がかかると、加圧する前に被成形体13が加熱される。このため、被成形体13のうちの形状維持部材12の中心部となる部分が、熱可塑性による塑性変形可能な温度に達する場合や、融点に達する場合がある。そうすると、形状維持部材12の表層部のみならず中心部も硬化するおそれがある。さらに、電線11が熱により損傷するおそれもある。これに対して、下側保持具62を用いる構成によれば、被成形体13と電線11の所定の部分を下側保持具62に収容する作業においては、被成形体13が加熱されることがない。そして、下側保持具62に収容された被成形体13を第一の成形型5の下型52に係合部521に係合させた後は、直ちに加圧を行うことができる。したがって、被成形体13の表層部を所定の温度に達するように加熱するとともに、中心部は所定の温度に達しないようにすることができる。
このように、形状維持部材12の表層部を硬化させ、中心部を硬化させないようにすることが容易となる。さらに、電線11が熱損傷しないようにできる。
そして、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、大量生産において、時間あたりの製造数を増加させることができる。たとえば、ある一つの被成形体13を第一の成形型5により加熱するとともに加圧し、その後、当該ある一つの被成形体13により成形された形状維持部材12を、第二の成形型7により所定の軸線形状に成形するとともに冷却している間に、他の一つの被成形体13を、第一の成形型5により加熱するとともに加圧することができる。そして、このような工程を、繰り返して行うことができる。このように、第一の成形型5および第二の成形型7を用いることにより、休みなく形状維持部材12の成形を行うことができる。
このほか、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、射出成形品の形状維持部材を用いる構成と比較すると、次のような作用効果を奏することができる。
本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法において使用される第一の成形型5および第二の成形型7は、射出成形品を製造する金型(いわゆる射出成形用の金型)に比較して、構造が簡単であるから、安価に製造でき、設備コストの削減を図ることができる。また、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、射出成形品の形状維持部材やプロテクタを用いる構成と比較して、形状維持部材12に安価な材料(市販の安価な熱可塑性材料)が適用できるから、本ワイヤーハーネスを安価に製造することができる。このため、製品の低価格化を図ることができる。
そして、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法における第一の工程および第二の工程は、射出成形品のプロテクタや形状維持部材に電線を嵌め込む方法に比較して、作業が簡単である。
また、射出成形品のプロテクタや形状維持部材を用いる構成においては、プロテクタや形状維持部材の内面と電線との間に隙間があると、振動などによって電線がプロテクタや形状維持部材の内面と衝突し、衝突音などが発生する。なお、射出成形品のプロテクタや形状維持部材の内部にスポンジなどの緩衝材を挿入して衝突音などを防止する構成があるが、このような構成とすると、部品点数や作業工数が増加し、製造コストや製品価格の上昇を招くおそれがある。
本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法により製造されるワイヤーハーネスによれば、電線11の所定の部分は形状維持部材12に包まれており、形状維持部材12に弾性的に接触している。このため、電線11と形状維持部材12との間で衝突音などが発生しない。また、形状維持部材12は電線11の所定の部分を衝撃や振動から保護するプロテクタや緩衝材としても機能する。このように、部品点数の増加や作業工数の増加を招かないから、部品コストや製造コストの削減を図ることができる。
また、本実施形態では、被成形体13が、熱可塑性の材料からなる不織布により成形される。したがって、形状維持部材12は、図11に示すように、空気を多く含む層となる。このような空気を多く含む層は、空気によって断熱性が向上するから、冷めにくい。そのため、本実施形態によれば、(形状維持部材がひとかたまり(バルク)であるような場合と比較して、)被成形体13を加熱および加圧してから、形状維持部材12を所定の軸線形状に成形するまでの間、形状維持部材12が冷めにくく、形状維持部材12を所定の軸線形状にする作業(第二の工程)が容易となる。つまり、形状維持部材12が「塑性変形が可能な温度にあるうち」に行わなければならない第二の工程において時間的な余裕が生まれる。
以上、本発明の各種実施形態について詳細に説明したが、本発明は、前記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。
前記本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法においては、形状維持部材の断面形状を略四辺形に形成する構成を示したが、形状維持部材の断面形状および寸法は、特に限定されるものではない。
たとえば形状維持部材の本体部の断面形状または形状維持部材の全体の断面形状は、略四辺形などであってもよい。また、上下、左右に非対称な形状であってもよい。断面形状が略四辺形の場合には、下側保持具には、上側に断面略四辺形の溝状の凹部が形成される構成が適用される。そして上型には、加圧面に断面四辺形の溝状の凹部が形成される構成が適用される。このように、下側保持具の底部の上側の面の断面形状と、上型の加圧面の断面形状を種々の形状に形成することにより、ワイヤーハーネスの所定の部分の形状維持部材の断面形状を、種々の形状に成形することができる。
また、形状維持部材の軸線形状は、ワイヤーハーネスが配索される空間の形状や配索作業の便宜などに応じて適宜設定されるものであり、限定されるものではない。
さらに、前記実施形態においては、単一の被成形体により電線の所定の部分を包む構成を示したが、複数の被成形体により電線の所定の部分を挟むようにして包む構成であってもよい。
Claims (1)
- 電線の所定の部分が熱可塑性の材料からなる不織布に覆われたワイヤーハーネスの製造方法であって、
電線の周囲に熱可塑性の材料からなる不織布で覆うとともに、前記熱可塑性の材料からなる不織布を熱可塑性による塑性変形が可能な温度に加熱するとともに加圧して所定の断面形状および寸法に成形する第一の工程と、
前記第一の工程の後、前記熱可塑性の材料からなる不織布が熱可塑性による塑性変形が可能な温度にあるうちに前記熱可塑性材料を所定の軸線形状に成形し、所定の軸線形状に成形した状態で冷却する第二の工程と、
を含み、
前記不織布は、基本繊維とバインダ繊維とを有し、
前記基本繊維は、所定の融点を有する熱可塑性の樹脂材料からなり、
前記バインダ繊維は、芯繊維と前記芯繊維の外周に成形されるバインダ材の層とを有し、前記芯繊維は所定の融点を有する熱可塑性の樹脂材料からなり、前記バインダ材の層は前記基本繊維および前記芯繊維の融点よりも低い融点の熱可塑性の樹脂材料からなることを特徴とするワイヤーハーネスの製造方法。
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