以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明になる光ディスク記録/再生装置、及び、その光ピックアップの構成を示すブロック図である。図において、符号100は光ピックアップ、101は光ディスク、102はレーザ光源、103はコリメートレンズ、104は偏光ビームスプリッタ、105は1/4波長板、106は全反射ミラー、107は光スポット、108は対物レンズ、109はアクチュエータ、110は球面収差補正素子、111はシンドリカルレンズ、112は集光レンズ、113は反射光スポット、114は光検出器、115はスピンドルモータ、121はスピンドルモータ駆動回路、122はアクチュエータ駆動回路、123は球面収差補正素子駆動回路、124は再生信号生成部、125はプッシュプル信号生成部、126はサーボ信号生成部、127はレーザ駆動回路、128は信号振幅検出部、129は記録状態判別部、130はシステム制御部を、それぞれ示している。
また、上記の光ピックアップ100は、光ディスク101に対して、情報信号の記録/再生を行うためのレーザ光の光束を放射するレーザ光源102と、このレーザ光源から放射された光束を平行光束に変換するコリメートレンズ103と、所定の直線偏光光をほぼ透過すると共に、当該直線偏光光に直交する直線偏光光ほぼ反射する、所謂、偏光ビームスプリッタ104と、直線偏光光を円偏光光に変換し、又は、円偏光光を直線偏光光に変換する1/4波長板105と、全反射ミラー106と、この全反射ミラー106からの光束を光ディスク101の情報記録層に所定のNAで光スポット107を形成するための対物レンズ108と、この対物レンズ108をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させるためのアクチュエータ109と、対物レンズ108に入射する光束の球面収差を調整し、光ディスク101の基板厚誤差などによって生じる光スポット107の球面収差を補正するための球面収差補正素子110と、光ディスク101からの反射光束が偏光ビームスプリッタ103により反射された後に通過するシンドリカルレンズ111及び集光レンズ112と、そして、最終的に反射光スポット113の強度変化に応じた電気信号に変換する光検出器114とを備えて構成されている。
上記の光ピックアップ100の構成によれば、上記レーザ光源102から放射された光束は、コリメートレンズ103で平行光束に変換され、所定の方向の直線偏光光だけが偏光ビームスプリッタ104を透過し、1/4波長板105で円偏光光に変換される。この円偏光光は、球面収差補正素子110により所定の球面収差が付加された後、全反射ミラー106上で反射され、対物レンズ108に導かれる。この対物レンズ108は、入射した光束に対応して、光ディスク101の情報記録層に光スポット107を形成する。
一方、光ディスク101からの反射光束は、再び、対物レンズ108、全反射ミラー106、球面収差補正素子110を通過し、その後、1/4波長板105によりレーザ光源102から放射される直線偏光光に直交する直線偏光光に変換される。そのため、光ディスク101からの反射光束は偏光ビームスプリッタ104において、その殆どが反射される。そして、この反射光束は、シンドリカルレンズ111を通過し、集光レンズ112により所定の反射光スポットに集束され、その後、光検出器114に導かれる。
ここで、上記の球面収差補正素子110は、例えば、レンズ間距離が可変の2枚のレンズの組み合わせからなり、そのレンズ間距離を、上記球面収差補正素子駆動回路123からの駆動信号によって変化させ、これにより、透過光束の球面収差を調整可能な、所謂、ビームエキスパンダにより構成されている。但し、本発明では、球面収差補正素子は、これに限るものではなく、例えば、同心円状パターンを有し、光束の内周部と外周部との間に位相差を与えることによって球面収差を補正可能な、液晶素子であってもよい。
そして、上記光検出器114から出力される電気信号は、再生信号生成部124とサーボ信号生成部126に供給される。再生信号生成部124では、光ディスク101に記録されている情報の再生信号(再生情報信号)が生成され、そして、サーボ信号生成部126では、フォーカスエラー信号や、トラッキングエラー信号などのサーボ制御用の信号が生成される。ここで、本発明では、上記トラッキングエラー信号は、ディスク上にデータが未記録状態においても検出可能なプッシュプル法により生成される。
次に、図2は、上記サーボ信号生成部126において、フォーカスエラー信号と共に、上記プッシュプル法による(特に、プッシュプル信号生成部125)トラッキングエラー信号の検出方法を説明するための図である。
図において、光検出器114の受光面上には、上記の反射光スポット113が形成されている。なお、図からも明らかなように、光検出器114として、その受光面が光ディスク101のトラックの接線方向及び半径方向に平行な2つの分割線によって分割されてなる4個の受光領域、A、B、C、Dを備えた、所謂、4分割光検出器が用いられている。そして、かかる光検出器114によれば、各受光領域の受光量から、以下のサーボ信号が検出される。
まず、トラッキングエラー信号は、次の式1で検出される。
TE = (A+D)−(B+C)
次に、上記の4分割光検出器114とシンドリカルレンズ111により、非点収差法により、フォーカスエラー信号が以下の式2で検出される
FE = (A+C)−(B+D)
また、上記図1の信号振幅検出部128は、再生信号生成部124で生成された再生信号と、サーボ信号生成部126中のプッシュプル信号生成部125で生成されたプッシュプル信号の振幅を検出する。記録状態判別部129は、上記再生信号生成部124からの再生信号によって、スピンドルモータ115に装着された光ディスク101上にデータが記録されているか否かを判別する。
なお、上記システム制御部130は、例えば、CPU等によって構成されており、光ディスク装置全体を制御する機能を備えている。即ち、スピンドルモータ駆動回路121により、スピンドルモータ115に装着された光ディスク101の回転制御を行い、アクチュエータ駆動回路122により、アクチュエータ109を駆動する。これにより、対物レンズ108を動かし、フォーカス制御及びトラッキング制御を実行する。また、上記システム制御部130は、球面収差補正素子駆動回路123により、球面収差補正素子110を駆動することにより球面収差を補正し、更に、レーザ駆動回路127により、レーザ光源102を駆動し、レーザ光束を発光させる。加えて、上記システム制御部130は、上述した球面収差の補正をも行うが、しかしながら、球面収差の補正を行う具体的な方法については、後述する。
上述したように、上記サーボ信号生成部126内に設けられているプッシュプル信号生成部125からの信号が信号振幅検出部128に入力されており、これによれば、特に、トラッキングサーボをかけていない時に生成されるプッシュプル信号の振幅が、信号振幅検出部128により検知され、その振幅情報がシステム制御部130に供給される。また、再生信号生成部124によれば、光ディスク101に記録されている情報の再生信号を生成すると共に、特に、データが記録されているトラックを光スポットが追従するようにトラッキングサーボをかけている時の再生信号の振幅が、やはり、上記信号振幅検出部128により検知され、その振幅情報がシステム制御部130に供給される。
続いて、図3は、上記再生信号生成部124からの再生信号について、信号振幅検出部128によって検知される再生信号振幅の、球面収差補正量とデフォーカス量に関する特性曲線(プロファイル)を示す。図の横軸は、デフォーカス量を表す。このデフォーカス量とは焦点深度の補正量であり、フォーカス(合焦)状態(フォーカスエラー信号が0)からフォーカスエラーが外れた状態(フォーカスエラー信号が大きくなる)にするときの、焦点深度のオフセット量である。対物レンズ108が光ディスク101に近づく方向にデフォーカスした状態を「インフォーカス」と言い、逆に、光ディスク101から遠ざかる方向にデフォーカスした状態を「アウトフォーカス」と言う。また、合焦状態を「ジャストフォーカス」という。
一方、図の縦軸は、球面収差補正素子110によって付加される球面収差補正量を、基板厚誤差に換算して表している。なお、図の等高線は再生信号振幅を表し、また、この等高線で囲まれる領域では内側ほど振幅が大きいことを表す。
この図3の特性曲線から、再生信号振幅の等高線は、振幅最大となる状態(図の中央部)を中心に、デフォーカス量及び球面収差補正量に対してほぼ対称となっていることが分かる。
次に、図4は、上記サーボ信号生成部126内に設けられているプッシュプル信号生成部125により生成されるプッシュプル信号について、やはり上記信号振幅検出部128によって検知されるトラッキングサーボ系がかかっていないときのプッシュプル信号振幅の球面収差補正量とデフォーカス量に関する特性曲線(プロファイル)を示す。なお、図の横軸と縦軸も、上記図3と同様に、デフォーカス量と球面収差補正量を表し、また、この図でも、等高線の内側ほどプッシュプル信号振幅が大きいことを表わしている。
この図4の特性曲線(プロファイル)からは、プッシュプル信号振幅は、デフォーカス量がジャストフォーカス位置とは大きく異なり(デフォーカス量が0で振幅が最大となっていない)、また、球面収差量が0ではないところで振幅最大となっている。更に、上記図3とは異なり、プッシュプル信号振幅の等高線は、振幅最大となる状態を中心にデフォーカス量及び球面収差補正量に対して対称とはなっていないことが分かる。即ち、デフォーカス量に対する極大値を示す直線が所定の角度で傾斜していることが分かる。
なお、上記図1に示した本発明になる光ディスク記録/再生装置における構成では、上記システム制御部130は、上述した2つの信号の振幅特性から、後述する収差補正ステップに基づいて球面収差の補正とデフォーカス量の(粗)調整を行う。
次に、図5のフローチャートにより、上記システム制御部130により実行される、収差補正ステップの基本的な手順を説明する。なお、この図に示す手順は、球面収差補正の初期調整学習動作を示している。
処理が開始すると、ステップ(Step)1−1では、まず、光スポットが記録面上に集光するようにフォーカスサーボをかけた状態にし、更に、ステップ(Step)1−2で、上記記録状態判別部129により、装着されたディスク101が未記録のディスクか、或いは、既にデータが記録されているディスクかを判別する。
ここで、上記ステップ(Step)1−2で、装着されたディスクはデータが未記録のディスクであると判定された場合(図の「Yes」)、ディスクから再生信号を得ることが出来ないことから、処理はステップ(Step)1−3へ進み、上述したプッシュプル信号の振幅情報による(粗)調整(以下、「プッシュプル信号振幅調整」と称する)を行う。その後、ステップ(Step)1−4で、トラッキングサーボをかけた状態にし、更に、ステップ(Step)1−5で、データ書き込みを行い、以下に説明する再生信号の振幅による調整のステップ(Step)1−8に到る。
一方、上記のステップ(Step)1−2で、装着されたディスクはデータが記録済みのディスクであると判定された場合(図の「No」)には、ディスクから再生信号を得ることが出来ることから、処理はステップ1−6へ進み、光スポットをデータが記録されている領域へ移動し、更に、ステップ1−7において、トラッキングサーボをかけた状態にし、その後、以下に説明する再生信号の振幅による調整のステップ(Step)1−8に到る。
そして、上記のステップ(Step)1−5又はステップ(Step)1−7の後に、ステップ1−8において、上述した再生信号の振幅情報による調整(以下、「再生信号振幅調整」と称する)を行い、球面収差補正の初期調整学習を終了する。なお、上記からも明らかなように、装着されたディスク101が未記録のディスク、或いは、既にデータが記録されているディスクかの、データの記録状態の違いにも拘わらず、再生信号振幅調整が可能となる。
更に、以下には、上記で概略を示した球面収差補正初期調整学習において、特に、装着されたディスクが未記録のディスクである場合における、収差補正ステップの詳細について説明する。
即ち、上記図5では、上記ステップ(Step)1−1の後、ステップ(Step)1−2において、装着された光ディスクはデータが未記録か、又は、既に記録済かを判別する。その結果、装着されたディスクにはデータが未記録である(「Yes」)と判定された場合には、上記ステップ(Step)1−3で、プッシュプル信号振幅調整を行うが、このプッシュプル信号振幅調整において、データが未記録状態の光ディスクに対する球面収差補正及びフォーカスオフセットの初期調整を実行する具体例を、添付の図6及び図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
なお、上記の媒体判別(ステップ(Step)1−2)は、以下に説明する収差補正ステップの前に実行しておく。若しくは、以下に説明する収差補正ステップの中で、そのステップを実行する前に、上記の媒体判別を行うステップを入れておいてもよい。
上述したように、上記の図5に示すステップ(Step)1−2において、ディスクにはデータが未記録である(「Yes」)と判定された場合には、図6のフローチャートへ移る。そして、図6のステップ(Step)2−1では、例えば、高周波ウォブル領域のように、データを記録する記録領域のトラックピッチに比べて1.05倍〜2倍のトラックピッチを有するトラックの領域(以下、ワイドトラック領域と称する)が、連続して、半径方向に光ディスクを回転させた際に生じる偏芯の偏芯量以上確保されている光ディスクであるか否かを判断する。なお、ここで、「高周波ウォブル領域」とは、トラックピッチがデータを書き込む領域よりも広い、特に、高密度ディスクに好適なウォブリング方式が適用されている領域を言う(特開2003−123333号公報を参照)。
上記のステップ(Step)2−1で、ディスクにワイドトラック領域が在るディスクであると判定された場合、処理はステップ(Step)2−2へ移動し、その領域へ光スポットを移動する。なお、ここでは、偏芯により他の領域の影響を受けないように、光スポットは半径方向に関してワイドトラック領域の中央に来るようにする。
一方、上記ステップ(Step)2−1で、ワイドトラック領域がないディスクであると判定された場合には、ステップ(Step)2−3へ移動して、データを書き込むトラック領域(以下、「記録可能トラック領域」と称する)へ光スポットを移動させる。
上述したステップ(Step)2−2、ステップ(Step)2−3の後、ステップ2−4(Step)では、変数x=0とし、更に、ステップ(Step)2−5では、この状態でのデフォーカス量S(x)とプッシュプル信号振幅PPA(x)を測定する。
更に、ステップ(Step)2−6では、x=1とし、ステップ(Step)2−7では、アウトフォーカス方向にΔS(例えば、0.05μm)だけデフォーカスした後、ステップ(Step)2−8でプッシュプル信号振幅PPA(x)を測定する。
そして、ステップ(Step)2−9では、上記で測定したPPA(0)とPPA(1)とを比較し、その結果、PPA(0)とPPA(1)の値がほぼ等しかった場合(PPA(0)=PPA(1))には上記ステップ(Step)2−4へ戻り、同様に上記のステップを繰り返す。なお、ここで、PPA(0)とPPA(1)の値がほぼ等しいとは、例えば、これらの間の誤差が3%未満である場合を言う。
一方、上記のステップ(Step)2−9において、PPA(0)とPPA(1)との間の誤差が3%以上(PPA(0)≠PPA(1))であり、かつPPA(0)<PPA(1)であれば、処理はステップ(Step)2−10へ進み、x=x+1とする。そして、ステップ(Step)2−11では、アウトフォーカス方向にΔSだけデフォーカスし、ステップ(Step)2−12では、プッシュプル信号振幅PPA(x)を測定し、更に、ステップ(Step)2−13では、PPA(x)<PPA(x-1)であるか否かを判別する。
このステップ(Step)2−13で、PPA(x)<PPA(x-1)が成立しない場合には、処理は上記のステップ(Step)2−10に戻る。
他方、PPA(x)<PPA(x-1)が成立している場合には、次に、ステップ(Step)2−14で、x=x+1とし、ステップ(Step)2−15で、アウトフォーカス方向にΔSだけデフォーカスし、更に、ステップ(Step)2−16で、プッシュプル信号振幅PPA(x)を測定する。
また、上記のステップ(Step)2−9において、PPA(0)とPPA(1)との間の誤差が3%以上(RFA(0)≠RFA(1))であり、かつ、PPA(0)>PPA(1)であると判断された場合は、ステップ(Step)2−17に移動し、x=0、S(0)=A(1)、 PPA(0)=PPA(1)とする。
その後、ステップ(Step)2−18で、x=x+1とし、ステップ(Step)2−19では、インフォーカス方向にΔSだけデフォーカスする。更に、ステップ(Step)2−20では、プッシュプル信号振幅PPA(x)を測定して、そして、ステップ(Step)2−21で、PPA(x)<PPA(x-1)かどうかを判別する。
その結果、上記ステップ(Step)2−21において、PPA(x)<PPA(x-1)の不等式が成立しない場合には、処理は上記ステップ(Step)2−18へ戻る。一方、上記の不等式が成立している場合は、ステップ(Step)2−22で、x=x+1とし、ステップ(Step)2−23で、インフォーカス方向にΔSだけデフォーカスする。そして、ステップ(Step)2−24では、プッシュプル信号振幅PPA(x)を測定する。
そして、上記のステップ(Step)2−16及びステップ(Step)2−24の後、ステップ(Step)2−25では、デフォーカス量に関して、上記で測定されたプッシュプル信号振幅が極大となるように調整・設定される。これにより、図6のフローチャートが終了し、続いて、図7のフローチャートへ移る。
次に、図7のステップ(Step)3−1では、x=0とし、そして、ステップ(Step)3−2では、球面収差補正量A(x)、デフォーカス量T(x)及びプッシュプル信号振幅PPB(x)を測定する。更に、ステップ(Step)3−3では、x=1とし、その後、ステップ(Step)3−4では、上記球面収差補正素子110により球面収差補正量ΔA(例えば、基板厚誤差換算で1.5μm)を付加し、その補正量ΔAに比例したデフォーカス量κΔAをデフォーカスする。なお、ここで、「κ」はデフォーカス量と球面収差補正量を比例関係で変化させる際に用いる比例係数であり、上記図4における直線LP2の傾きを示している。なお、この「κ」の詳細は後述する。その後、ステップ(Step)3−5において、プッシュプル信号振幅PPB(x)を測定する。そして、ステップ(Step)3−6において、上記で測定したPPB(0)とPPB (1)とを比較する。
その結果、上記ステップ(Step)3−6で、PPB(0)とPPB(1)間の誤差が3%未満(PPB(0)=PPB(1))であると判定した場合は、処理は上記の(Step)ステップ3−1へ戻り、同様にして、以上のステップを繰り返す。
一方、上記のステップ(Step)3−6において、PPB(0)とPPB(1)間の誤差が3%以上(PPB (0)≠PPB (1))であり、かつ、PPB(0)<PPB(1)と判定された場合には、ステップ(Step)3−7で、x=x+1とする。更に、ステップ(Step)3−8では、上記球面収差補正素子110による球面収差補正量ΔAを付加し、その補正量ΔAに比例したデフォーカス量κΔAだけデフォーカスする。ステップ(Step)3−9で、プッシュプル信号振幅PPB(x)を測定し、そして、ステップ(Step)3−10では、PPB(x)<PPB(x-1)が成立するか否かを判別する。
その結果、上記のステップ(Step)3−10において、上述の不等式が成立しないと判定された場合には、上記のステップ3−7に戻る。一方、上述の不等式が成立していると判定された場合には、ステップ3−11で、x=x+1とする。そして、ステップ(Step)3−12で、球面収差補正量ΔAを付加し、その補正量ΔAに比例したデフォーカス量κΔAだけデフォーカスし、更に、ステップ(Step)3−13において、プッシュプル信号振幅PPB(x)を測定する。
また、上記のステップ(Step)3−6で、PPB(0)とPPB(1)間の誤差が3%以上(PPB (0)≠PPB (1))であり、かつ、PPB(0)>PPB(1)と判定された場合には、ステップ(Step)3−14で、x=0、A(0)=A(1)、T(0)=T(1)、PPB(0)=PPB(1)とする。そして、ステップ(Step)3−15で、x=x+1とし、ステップ(Step)3−16では、球面収差補正量−ΔAを付加し、その補正量−ΔAに比例したデフォーカス量−κΔAだけデフォーカスする。更に、ステップ3−17で、プッシュプル信号振幅PPB(x)し、その後、ステップ(Step)3−18で、PPB(x)<PPB(x-1)が成立するかどうかを判別する。
その結果、上記ステップ(Step)3−18で上述の不等式が成立しないと判定された場合には、処理は上記のステップ(Step)3−15に戻る。一方、上述の不等式が成立していると判定された場合には、次に、ステップ(Step)3−19で、x=x+1とし、ステップ(Step)3−20では、球面収差補正量−ΔAを付加し、その補正量−ΔAに比例したデフォーカス量−κΔAだけデフォーカスして、そして、ステップ(Step)3−21で、プッシュプル信号振幅PPB(x)を測定する。
そして、上述したステップ(Step)3−13及びステップ(Step)3−21の後に、更に、ステップ(Step)3−22では、デフォーカス量と球面収差補正量に関して、プッシュプル信号振幅が極大値となる値に調整・設定する。更に、ステップ(Step)3−23では、それまでの調整をワイドトラック領域で行ったか否かを判別し、既に行っていた場合(Yes)は、ステップ(Step)3−24において、光スポットを記録可能トラック領域へ移動して、調整を終了する。
即ち、以上に図6及び図7を用いて詳細に説明したステップにより、上記図5のフローチャートに示した「プッシュプル信号振幅調整」のステップ(Step)1−3が終了する。なお、上述した処理によれば、例えば、上記図4に示したプッシュプル信号振幅の球面収差補正量とデフォーカス量に関する再生信号振幅の特性図において、直線LP1、LR2の順で、その直線上にそれぞれ球面収差補正量とデフォーカス量とを移動し、もって、得られるプッシュプル信号振幅の極大値を検索したと同様のことを実行したこととなる。
続いて、上記図6のステップ(Step)2−25、及び、上記図7のステップ(Step)3−22において、デフォーカス量、又は、デフォーカス量と球面収差補正量に関して、プッシュプル信号振幅が極大となる状態に調整・設定する方法を、添付の図8のフローチャートを参照して説明する。
まず、上記図6におけるステップ(Step)2−25の場合には、図8のステップ(Step)6−1で、プッシュプル信号振幅測定データの中から、最大値を中心に5点、S(x-4)〜S(x)、及び、PPA(x-4)〜PPA(x)のデータを取り出す。但し、x=3のときは、S(0)からS(3)及びPPA(0)〜PPA(3)でよい。
次に、ステップ(Step)6−2では、デフォーカス量のみに関して極大値を算出するか否かを判別する。具体的には、上記の調整において、デフォーカス量のみが変動したか否かを判定する。その結果、デフォーカス量のみ(Yes)と判定された場合には、以下のステップ(Step)6−3へ移動する。
即ち、ステップ(Step)6−3では、デフォーカス量に関して近似を行うため、取り出したデータを基にデフォーカス量に関する2次近似を行い、ステップ(Step)6−4では、プッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を計算する。その結果、得られたデフォーカス量を、次のステップ6−5(Step)で、プッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量に設定して、処理を終了する。
一方、上記図7のステップ(Step)3−22の場合にも、まず、上記と同様に、ステップ(Step)6−1で、プッシュプル信号振幅測定データの中から、最大値を中心に5点、S(x-4)〜S(x)、及び、PPB(x-4)〜PPB(x)のデータを取り出した後、ステップ(Step)6−2では、デフォーカス量のみに関して極大値を算出するか否かを判別する。しかしながら、この場合には、上記デフォーカス量に加えて、球面収差補正量に関しても算出することから、「No」と判定される。
その後、ステップ(Step)6−6では、5つのデータを基に球面収差補正量に関して2次近似を行い、ステップ(Step)6−7では、プッシュプル信号振幅が極大となる球面収差補正量を計算する。その後、ステップ(Step)6−8で、求まった球面収差補正量から、プッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を計算する。そして、ステップ(Step)6−9において、プッシュプル信号振幅が極大となる球面収差補正量及びデフォーカス量に設定し、処理を終了する。なお、この図8に示した処理が終了した後は、何れの場合にも、上記図5のフローチャートへ戻る。
即ち、再び、上記図5において、上記に詳述した「プッシュプル信号振幅調整開始」処理によれば、未だ情報が書き込まれていないディスクであっても、上記ステップ(Step)1−4においてトラッキングサーボを「ON」状態にし、ステップ(Step)1−5においてデータの書き込みが可能となる。そして、それらの処理を終了した後、処理はステップ(Step)1−8において、書き込んだデータにより再生信号振幅調整を行うことが可能となる。
更に、添付の図9及び図10のフローチャートにより、再生信号振幅によって光ディスクに対する球面収差補正及びフォーカスオフセットの初期調整を行うための処理である、上記ステップ(Step)1−8における再生信号振幅調整について、詳細に説明する。
まず、図9において、ステップ(Step)4−1では、x=0とし、ステップ(Step)4−2では、デフォーカス量U(x)、再生信号振幅RFA(x)を測定する。次に、ステップ(Step)4−3では、x=1とし、そして、ステップ(Step)4−4において、アウトフォーカス方向にΔUだけデフォーカスした後、ステップ(Step)4−5で、再生信号振幅RFA(x)を測定する。その後、ステップ(Step)4−6において、測定されたRFA(0)とRFA(1)とを比較する。
その結果、上記ステップ(Step)4−6で、RFA(0)とRFA(1)の誤差が3%未満(即ち、RFA(0)=RFA(1))と判定された場合は、ステップ(Step)4−1へ戻り、同様のステップを繰り返す。
一方、上記のステップ(Step)4−6で、RFA(0)とRFA(1)間の誤差が3%以上(RFA(0)≠RFA(1))であり、かつ、RFA(0)<RFA(1)と判定された場合は、ステップ(Step)4−7で、x=x+1とし、更に、ステップ(Step)4−8では、アウトフォーカス方向にΔUだけデフォーカスする。その後、ステップ(Step)4−9で、再生信号振幅RFA(x)を測定し、ステップ(Step)4−10で、RFA(x) <RFA(x-1)か否かを判別する。
その結果、上記ステップ(Step)4−10において、上述した不等式が成立しないと判定された場合には、処理は上記のステップ(Step)4−7に戻る。
一方、上述した不等式が成立していると判定された場合は、更に、ステップ(Step)4−11において、x=x+1とし、ステップ(Step)4−12で、アウトフォーカス方向にΔUだけデフォーカスし、その後、ステップ(Step)4−13で、再生信号振幅RFA(x)を測定する。
また、上記のステップ(Step)4−6で、RFA(0)とRFA(1) 間の誤差が3%以上(RFA(0)≠RFA(1))であり、かつRFA(0)>RFA(1)であれば、ステップ(Step)4−14で、x=0、U(0)=U(1)、RFA(0)=RFA(1)とする。更に、ステップ(Step)4−15で、x=x+1とし、ステップ(Step)4−16では、インフォーカス方向にΔUだけデフォーカスする。その後、ステップ(Step)4−17で、再生信号振幅RFA(x)を測定し、ステップ4−18で、RFA(x)<RFA(x-1)か否かを判別する。
その結果、上記ステップ4−18において、上述した不等式が成立しないと判定された場合には、処理は上記のステップ(Step)4−15に戻る。
一方、上述の不等式が成立していると判定された場合は、更に、ステップ(Step)4−19で、x=x+1とし、ステップ(Step)4−20では、インフォーカス方向にΔUだけデフォーカスする。その後、ステップ(Step)4−21で、再生信号振幅RFA(x)を測定する。
そして、上記のステップ(Step)4−13、及び、ステップ(Step)4−21の後、更に、ステップ4−22において、デフォーカス量に関して、再生信号振幅極大状態に設定する。これにより、図9のフローチャートが終了し、次に、図10のフローチャートへ移る。
この図10では、まず、ステップ(Step)5−1で、x=0とし、その後、ステップ5−2(Step)で、球面収差補正量B(x)及び再生信号振幅RFB(x)を測定する。更に、ステップ(Step)5−3では、x=x+1とし、そして、ステップ(Step)5−4で、球面収差補正素子により球面収差補正量ΔBを付加した後、ステップ(Step)5−5において、再生信号振幅RFB(x)を測定する。その後、ステップ(Step)5−6において、測定したRFB(0)とRFB(1)を比較する。
その結果、このステップ(Step)5−6で、RFB(0)とRFB(1)間の誤差が3%未満(RFB(0)=RFB(1))と判定された場合は、上記ステップ(Step)5−1へ戻り、更に球面収差補正素子による球面収差補正量ΔBを付加し、上記と同様のステップを繰り返す。
これに対して、上記ステップ(Step)5−6において、RFB(0)とRFB(1)の誤差が3%以上(RFB(0)≠RFB(1))であり、かつ、RFB(0)<RFB(1)であると判定された場合は、更に、ステップ(Step)5−7で、x=x+1とし、ステップ(Step)5−8では、球面収差補正素子により球面収差補正量ΔBを付加する。その後、ステップ(Step)5−9で、再生信号振幅RFB(x)を測定し、更に、ステップ(Step)5−10で、RFB(x)<RFB(x-1)か否かを判別する。
上記ステップ(Step)5−10における判別の結果、上記の不等式が成立しないとされた場合には、処理は上記のステップ5−7に戻る。
一方、上記の不等式が成立していると判定された場合には、更に、ステップ(Step)5−11で、x=x+1とし、ステップ(Step)5−12で、球面収差補正素子により球面収差補正量ΔBを付加する。そして、ステップ(Step)5−13で、再生信号振幅RFB(x)を測定する。
これに対し、上記のステップ(Step)5−6において、RFB(0)とRFB(1)間の誤差が3%以上(RFB(0)≠RFB(1))であり、かつ、RFB(0)>RFB(1)と判定された場合は、次のステップ(Step)5−14において、x=0、B(0)=B(1)、RFB(0)=RFB(1)とする。その後、ステップ(Step)5−15で、x=x+1とし、ステップ(Step)5−16では、球面収差補正素子により球面収差補正量−ΔBを付加し、更に、ステップ(Step)5−17で、再生信号振幅RFB(x)を測定した後、ステップ(Step)5−18において、RFB(x) <RFB(x-1)か否かを判別する。
なお、上記ステップ(Step)5−18の判別の結果、上述した不等式が成立しないと判定された場合には、処理は上記のステップ5−15に戻る。
これに対し、上述の不等式が成立していると判定された場合は、更に、ステップ(Step)5−19において、x=x+1とし、続くステップ(Step)5−20で、球面収差補正素子により球面収差補正量−ΔBを付加する。その後、ステップ(Step)5−21で、再生信号振幅RFB(x)を測定する。
そして、上述したステップ(Step)5−13、及び、ステップ(Step)5−21の終了後、更に、ステップ(Step)5−22において、球面収差補正量に関して再生信号振幅極大状態に設定する。
即ち、以上に図9及び図10を参照して詳述したステップにより、上記図5のフローチャートに示した「再生信号振幅調整」(ステップ(Step)1−8)が終了する。なお、「再生信号振幅調整」を構成する以上に詳述したステップによれば、これは、例えば図2の直線LR1、LR2の順で、直線上を球面収差補正量とデフォーカス量とを移動し、それぞれ再生信号振幅の極大値を検索した結果と同様のことを行ったことを意味する。
更に、以下には、上記のステップ(Step)4−22(図9)と、上記のステップ(Step)5−22(図10)において実行される、プッシュプル信号振幅が極大となる状態に設定する方法について、添付の図11のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
まず、上記図9のステップ(Step)4−22の場合、即ち、デフォーカス量に関して再生信号振幅を最大の状態に設定する場合には、図11のステップ7−1では、再生信号振幅測定データの中から、最大値を中心に5点、U(x-4)〜U(x)、及び、RFA(x-4)〜RFA(x)のデータを取り出す。但し、ここでも、x=3のときは、U(0)〜U(3)、及び、RFA(0)〜RFA(3)でよい。次に、ステップ(Step)7−2で、デフォーカス量に関して極大値を算出するかを判別する。なお、ここでも、前述と同様に、上記の調整において、デフォーカス量のみが変動したか否かを判定する。
その結果、デフォーカス量のみ(Yes)と判定された場合には、デフォーカス量に関して近似を行うため、ステップ(Step)7−3において、取り出したデータを基にデフォーカス量に関する2次近似を行い、更に、ステップ(Step)7−4で、再生信号振幅が極大となるデフォーカス量を計算する。そして、ステップ(Step)7−5で、再生信号振幅が極大となるデフォーカス量に設定を行い、処理を終了する。
一方、上記図10のステップ(Step)5−22の場合、即ち、球面収差補正量に関して再生信号振幅を最大の状態に設定する場合には、まず、上記と同様に、ステップ(Step)7−1で、再生信号振幅測定データの中から、それぞれ、最大値を中心に5点、B(x-4)〜B(x)、及び、RFB(x-4)〜RFB(x)のデータを取り出し、その後、ステップ(Step)7−2では、上述したように、デフォーカス量に関して極大値を算出するかを判別するが、この場合には、球面収差補正量に関して近似を行うことから、「No」となる。その後、ステップ(Step)7−6では、取り出したデータを球面収差補正量に関して2次近似を行い、ステップ(Step)7−7で、再生信号振幅が極大となる球面収差補正量を計算する。その後、ステップ(Step)7−8で、再生信号振幅が極大となる球面収差補正量に設定し、設定処理を終了する。
以上により、上記図5のフローチャートにおける「再生信号振幅調整」(ステップ(Step)1−8)が終了し、もって、未だデータが記録されていない、所謂、未記録ディスクに対し、球面収差補正の初期調整学習のアルゴリズムを終了する。
なお、以上の説明において、上記の比較ステップ(Step)2−9、ステップ(Step)3−6、ステップ(Step)4−6、そして、ステップ(Step)5−6では、計測された振幅が同一であると判定するための基準として、その間の誤差が3%未満を一例に述べたが、しかしながら、本発明はこれに限定されることなく、信号振幅検出部の精度などに応じて、これを、例えば、5%未満、もしくは1%未満などとしてもよい。加えて、上記図8及び図11に示した測定結果の取得のためのステップ(Step)6−1及びステップ(Step)7−1では、測定データの中から最大値を中心にして5点もしくは4点のデータを取得するものとして説明したが、しかしながら、この取得データの点数も、必ずしも、これに限定されることなく、例えば、これを3点以下に、又は、6点以上としてもかまわない。更には、これらの取得された測定データについては、特に、上記図8や図11に示したステップ6−6やステップ7−6では、2次近似を行って極大を求めるものとして説明したが、しかしながら、本発明では、これに限定されることなく、その他、測定データの中で最大のものを極大とすることが出来る方法であれば、何れを採用することも出来る。
なお、既に上記にも説明したが、装着されたディスクは、既にデータが記録済のものである場合における収差補正のステップについては、上記図5のフローチャートにおいて、まず、ステップ(Step)1−1の処理の後、ステップ1−2で、未記録であることか否かが判別されるが、その結果「No」と判定される。そして、記録済であると判別された光ディスクについては、上記に詳述した未記録状態のディスクのためのステップ(即ち、「プッシュプル信号振幅調整」ステップ(Step)1−3、「トラッキングサーボON」ステップ(Step)1−4、そして、「データ書き込み」ステップ(Step)1−5)に代えて、上記ステップ(Step)1−6及びステップ(Step)1−7の処理を行った後、上記ステップ(Step)1−8では、未記録ディスクにデータを書き込んだ後のステップと同様の処理が行われる。
更に、上記の説明では、特に、上記図7に示したステップ(Step)3−3、ステップ(Step)3−8、及び、ステップ(Step)3−15等において、球面収差補正量Aに対し、デフォーカス量κAだけデフォーカスさせると説明したが、このκについて、以下に、添付の図12を用いて説明する。
即ち、図12のデフォーカス量と球面収差補正量に関するプッシュプル信号振幅特性曲線(プロファイル)では、図中において白線の直線LP11、LP12、LP13、LP14、LP15で示すように、ある球面収差補正量毎に、プッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を検索することが出来る。そこで、その検索結果から、最小二乗法により、近似直線を作成し、その直線の傾きをκとする。即ち、このκは、上記図4の直線LP2の、球面収差補正量に対するデフォーカス量の傾きを示している。
そこで、本発明では、この傾きをκを、光ディスク記録/再生装置を出荷する前に、基準となるディスクを利用して求め、この求められたκを、トラックピッチが同じである全てのディスクに対して適用することが提案される。即ち、この場合には、光ディスク記録/再生装置毎に、予め、κを記録させておけばよく、光ディスクを前記光ディスク再生装置に挿入する度に、このκを求める処理を必要としないことから、有利である。
但し、このκは、プッシュプル信号振幅による調整を行う時、光スポットを集光させる領域のトラックピッチ毎に設定する必要があり、そのため、光ディスク記録再生/装置が対応する光ディスク媒体の全てについて、上記本発明の調整を行うトラック領域のトラックピッチ毎に、このκを記録させておかなければならない。
また、上記に代え、例えば、出荷前に調整を行う際にも基準となるκ'を設定しておき、このκ'に従い、上記直線LP11〜LP15上をプッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を検索することによれば、効率的に上記κを求めることができる。または、このκ'も固定せず、κを求める度に、最新のκをκ'に設定するといった方法、あるいは、それまで求めたκの平均値をκ'に設定するという方法なども考えられる。
そこで、以下には、その変形例について説明する。
まず、変形例1では、光ディスク記録/再生装置の構成は、上記の実施の形態と同様であり、上記図1に示すと同様である。また、当該装置において実行される調整学習の基本的なアルゴリズムも、上記図5に示したと同様である。
但し、この変形例1では、上記の実施の形態とは異なり、即ち、上記では比例係数κを装置の出荷前に設定しておき、一度設定した後は、これを変更しないという方法をとっているが、しかしながら、この変形例1では、上述した調整中に、このκを求める方法をとる。なお、この比例係数κは、上述した図5の「プッシュプル信号振幅調整」ステップ(Step)1−3において、以下のように計算する。
この比例係数κの計算方法について、添付の図13を参照しながら説明する。ここでは、まず、第1ステップとして、図13において白線の直線LP21で表されるように、ある球面収差補正状態で、プッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を検索する。次に、第2ステップとして、やはり白線の直線LP22で表されるように、但し、上記第1ステップとは別の球面収差補正量を付加した状態で、プッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を検索する。その後、第3ステップとして、上記第1ステップ及び第2ステップで得られた2つの極大の状態を通る直線LP23を求め、その傾きをκとする。
これによれば、上記図6に示したステップ(Step)2−4〜ステップ(Step)2−25の処理を、異なる球面収差補正量に対して2度行い、それぞれの直線上でプッシュプル信号振幅が極大となるデフォーカス量を検索し、それらを通る直線を求めて上記κを計算することとなる。そして、2回目に、プッシュプル信号振幅が極大となる状態に設定を行った後、そのκを用いて、上記図7のフローチャートの処理を行う。
このように、変形例1の方法を用いることによれば、上記直線LP21上とLP22上のプッシュプル信号振幅の極大値を比較することで、プッシュプル信号振幅が増大する球面収差補正の方向が分かる。そのため、上記図7に示したステップ(Step)3−1〜3−22の処理において極大を検索する際、上記第1ステップと第2ステップで得られた極大値のうち、大きい方へ球面収差補正量及びデフォーカス量を調整すればよいこととなる。即ち、これにより、球面収差補正量及びデフォーカス量の調整方向を、一旦調整した方向と逆の方向へ調整する(即ち、ステップ(Step)3−16〜3−21において、κΔAを−κΔAに設定し直してプッシュプル信号振幅PPBを求める)という無駄なステップを省略することが可能となる。
更に、以上に詳述した実施の形態では、特に、上記図5に示した「プッシュプル信号振幅調整」ステップ(Step)1−3において、球面収差補正量とデフォーカス量とを比例的に調整する前に、当該球面収差補正量を固定し、もって、デフォーカス量の調整のみによりプッシュプル信号振幅が極大となる状態を検索する方法をとっている(上記図6の処理を参照)。
しかしながら、これに代えて、以下の変形例2では、球面収差補正量の調整のみによりプッシュプル信号振幅が極大となる状態を検索した後に、球面収差補正量とデフォーカス量を比例的に調整する方法を採用したものである。
即ち、この変形例2では、添付の図14のフローチャートが示すように、ステップ(Step)8−1において媒体を判別した後、具体的には、ワイドトラック領域が在るか否かを判別する。その結果、ワイドトラック領域が在る(Yes)と判別された場合には、ステップ(Step)8−2において光スポットをワイドトラック領域へ移動し、他方、ワイドトラック領域がない(No)と判別された場合には、ステップ(Step)8−3において光スポットを記録可能トラック領域へ移動する。その後、ステップ8−4(Step)では、デフォーカス量を固定して、球面収差補正量の調整のみにより、プッシュプル信号が極大となる状態を求める。その後、ステップ(Step)8−5では、デフォーカス量と球面収差補正量との間の比例関係を利用してデフォーカス量を求める。これにより、球面収差補正量とデフォーカス量の両者について、同時に調整を行う。
即ち、上述した傾きκは、デフォーカス量を固定して、プッシュプル信号振幅が極大となる球面収差補正量を検索し、かかる検索を2回もしくはそれ以上の回数行った結果から、より具体的には、上記の実施の形態及び上記変形例1におけるデフォーカス量と球面収差補正量との関係を入れ替えることによって、容易に求めることが出来る。
また、データが記録済みの光ディスクに関しても、上記の実施の形態の場合における球面収差補正量とデフォーカス量の調整の順序を入れ替え、即ち、添付の図15のフローチャートが示すように、ステップ(Step)9−1で、球面収差補正量の調整を行った後、ステップ(Step)9−2で、デフォーカス量の調整を行うようにすればよい。
以上にも詳述したように、本発明によれば、光ディスク記録再生装置は、光ディスク上に光束を集光し、光スポットを形成させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光束を検出する光検出器と、前記対物レンズを、前記光ディスクに近づく方向に移動させるインフォーカス状態、及び、前記光ディスクから遠ざかる方向に移動させるアウトフォーカス状態の何れから一方にするアクチュエータと、球面収差を補正する球面収差補正素子を有する光ピックアップと、前記光検出器の出力信号から、データとなる再生信号と、プッシュプル法によりトラッキングエラー信号を生成する手段と、前記再生信号及び前記トラッキングエラー信号の振幅を検出する手段と、前記球面収差補正素子を駆動する球面収差補正素子駆動手段と、前記アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動手段と、前記光ディスクが、そこに全くデータが記録されていない未記録の状態か、或いは、その一部にデータが記録されている記録済みの状態かを判別する記録状態判別手段と、前記各種手段を制御するシステム制御手段とを有しており、前記アクチュエータを駆動して対物レンズを移動し、フォーカスオフセット状態を変えることと、前記球面収差補正素子を駆動して球面収差補正状態を変えることによって得られる前記再生信号及び前記トラッキングエラー信号の振幅の変動パターンから球面収差補正及びフォーカスオフセットの調整学習を行う。
また、本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記光ディスク記録状態判別手段による判別結果が記録済みとなる光ディスクに対しては、データが記録されているトラックを光スポットが追従するようにトラッキングサーボをかけた状態での再生信号の振幅情報を用いて、フォーカスオフセット及び球面収差補正の調整(即ち、「再生信号振幅調整」)を行う。
また、本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記光ディスク記録状態判別手段による判別結果が未記録となる光ディスクに対しては、トラッキングサーボをかけていない状態でのトラッキングエラー信号の振幅情報を用いて、フォーカスオフセット及び球面収差補正の調整(即ち、「プッシュプル信号振幅調整」)を行う。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記光ディスク記録状態判別手段による判別結果が記録済みとなる光ディスクに対しては、プッシュプル信号振幅調整を行う。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記光ディスク記録状態判別手段による判別結果が記録済みとなる光ディスクに対しては、前記プッシュプル信号振幅調整を行った後、次に前記光ディスクにデータを記録し、さらに前記データの再生信号の振幅情報を用いて前記再生信号振幅調整を行う。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記光ディスク記録状態判別手段による判別結果が未記録となる光ディスクに対しては、前記プッシュプル信号振幅調整を行った後、次に前記光ディスクにデータを記録し、さらに前記データの再生信号の振幅情報を用いて前記再生信号振幅調整を行う。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記光ディスク記録再生装置に挿入された光ディスク媒体にデータを記録するトラックの領域(即ち、「記録可能トラック領域」)とは別に前記記録可能トラック領域のトラックピッチに比べて1.05倍〜2倍までのトラックピッチのトラックの領域(即ち、「ワイドトラック領域」)が存在する場合、前記ワイドトラック領域において、前記プッシュプル信号振幅調整を実行する。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記プッシュプル信号振幅調整を実行する際、トラッキングエラー信号の振幅を検出するとき、トラックピッチは一定であり、前記プッシュプル信号振幅調整中にトラックピッチの異なる領域にまたがってトラッキングエラー信号振幅の検出を実施しない。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、記録可能トラック領域に光スポットを集光させて、プッシュプル信号振幅調整を行う。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記プッシュプル信号振幅調整を実行する際、光ディスクの同一のトラックピッチを有する領域の半径方向のほぼ中心に光スポットを移動させて前記プッシュプル信号振幅調整を行う。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記再生信号振幅調整は、対物レンズをフォーカス方向に移動させて再生信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量を検索し、前記フォーカスオフセット状態に設定する第1プロセスと、球面収差補正素子を移動させて再生信号振幅が極大となる球面収差補正量を検索し、前記球面収差補正状態に設定する第2プロセスと、対物レンズと球面収差補正素子の両方を所定の方法で移動させて再生信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量及び球面収差補正量を検索し、前記フォーカスオフセット状態及び球面収差補正状態に設定する第3プロセスを有し、第1プロセスから第3プロセスのうち少なくとも2つ以上の異なったプロセスを行うことにより、再生信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量及び球面収差補正量を検索し、該フォーカスオフセット状態及び該球面収差補正状態に設定する調整法である。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記プッシュプル信号振幅調整は、対物レンズをフォーカス方向に移動させてプッシュプル信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量を検索し、前記フォーカスオフセット状態に設定する第1プロセスと、球面収差補正素子を移動させてプッシュプル信号振幅が極大となる球面収差補正量を検索し、前記球面収差補正状態に設定する第2プロセスと、対物レンズと球面収差補正素子の両方を所定の方法で移動させてプッシュプル信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量及び球面収差補正量を検索し、前記フォーカスオフセット状態及び球面収差補正状態に設定する第3プロセスを有し、第1から第3のプロセスのうち少なくとも2つ以上の異なったプロセスを行うことにより、プッシュプル信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量及び球面収差補正量を検索し、該フォーカスオフセット状態及び該球面収差補正状態に設定する調整法である。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、第3プロセスでは、フォーカスオフセット量と球面収差補正量を所定の比例係数を用いた比例関係で移動させ、再生信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量及び球面収差補正量を検索する。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、第3プロセスでは、フォーカスオフセット量と球面収差補正量を所定の比例係数を用いた比例関係で移動させ、プッシュプル信号振幅が極大となるフォーカスオフセット量及び球面収差補正量を検索する。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記比例関係の比例係数は、前記の第1プロセスを異なった球面収差補正状態で2回以上行い、前記球面収差補正状態の補正量と前記第1プロセスにより検索されたフォーカスオフセット量について最小二乗法による直線近似を行い、前記近似直線の傾きから求める。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記比例関係の比例係数は、前記の第1プロセスを異なった球面収差補正状態で2回以上行い、前記球面収差補正状態の補正量と前記第1プロセスにより検索されたフォーカスオフセット量について最小二乗法による直線近似を行い、前記近似直線の傾きから求める。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記比例関係の比例係数は、請求項11記載の第2プロセスを異なったフォーカスオフセットの状態で2回以上行い、前記フォーカスオフセットの状態と第2プロセスにより検索された球面収差補正量について最小二乗法による直線近似を行い、前記近似直線の傾きから求める。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記比例関係の比例係数は、前記の第2プロセスを異なったフォーカスオフセットの状態で2回以上行い、前記フォーカスオフセットの状態と第2プロセスにより検索された球面収差補正量について最小二乗法による直線近似を行い、前記近似直線の傾きから求める。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記比例係数の初期値は第3プロセスを行うときに、光スポットを集光させる光ディスクの領域のトラックピッチごとに設定する。
本発明では、前記の光ディスク記録再生装置において、前記比例係数の初期値は第3プロセスを行うときに、光スポットを集光させる光ディスクの領域のトラックピッチごとに設定する。