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JP5053234B2 - 両面接着テープ - Google Patents

両面接着テープ Download PDF

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JP5053234B2 JP2008285711A JP2008285711A JP5053234B2 JP 5053234 B2 JP5053234 B2 JP 5053234B2 JP 2008285711 A JP2008285711 A JP 2008285711A JP 2008285711 A JP2008285711 A JP 2008285711A JP 5053234 B2 JP5053234 B2 JP 5053234B2
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Description

本発明は、不織布を支持基材とする両面接着テープに関する。更に詳しくはプラスチックや金属などの被着体に貼り合せた両面接着テープを剥離する時の剥離性に優れた両面接着テープに関する。
両面接着テープ(本発明において両面接着シートを含む)は、作業性が良好で接着の信頼性が高い接合手段として、家電製品や自動車、OA機器などの各種産業分野に利用されている。また、近年、省資源の観点から、製品に使用されているリサイクル可能な部品については使用後に製品を分解して再利用する場合が多くなっている。このとき、両面接着テープを使用して部品同士を接合している場合、部品に取り付けられた両面接着テープを剥離する作業が必要になる事がある。
このような再剥離性が要求される両面接着テープとして、これまでにも各種の提案が行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。これら特許文献において、テープの再剥離性は、製品使用後のリサイクル工程において、テープを剥離しても糊が残らない(糊残り性)ようにすること、部品を分解しても基材部で層割れするような層間破壊がおこらないようにすること、テープ単体で剥離除去してもテープが千切れないようにすること、であると述べられている。
しかしながら、これらの特許文献では、テープ強度やその他の特性がその熱履歴や使用時間により変化する事には触れていない。近年、リサイクル対応の製品が3〜5年の使用期間を終え、リサイクル業者にて分解再回収される際に、多くの再剥離用途両面テープには、設計時のテープ強度から著しく強度が低下する場合が見られ、初期設計した強度を発揮しない場合や、層間破壊が生じてしまい結果として再剥離性能に乏しくなることが新たに判明した。
具体的には、家電製品や自動車、OA機器などの製品内で部品同士を接合していた再剥離用両面接着テープが、実際にリサイクル工程に回収されてきた製品において、テープ強度が著しく劣化してしまっている場合が報告されている。この結果、解体時にテープ単体のみを剥離しようとしても、テープ強度が粘着テープの接着力より弱い為に、剥離のための力によりテープが剥れる前にテープが千切れてしまう状態に陥り、その再剥離性が著しく損なわれてしまい、初期に狙っていた性能が発揮されなかった。
テープ強度が低下する理由としては、不織布繊維自体の劣化や不織布に用いられているバインダーの強度低下、もしくは粘着剤の低弾性化が推測される。一般的な再剥離用両面接着テープは、製品使用時の熱履歴や使用時間が、60℃×30日間程度の保管による長期保管代用試験(アレニウス則にて23℃×4年4ヶ月/40℃×7.6ヶ月の想定に相当する)にて設計されている場合が多い。この条件では、製品使用条件の設定が現実との間にズレがある、もしくは、保存によるテープ強度劣化について評価できない、と考えられる。つまり、例えばOA機器の使用方法で考えると、電源を入れると装置内温度が約40℃程度まで上昇することが分っており、大部分のユーザーで一日の半分が電源の入った状況で回収までに3〜4年を要することが知られている。
また、組立部品類のリサイクル工程においては、先ず、両面接着テープで接合している部品同士を引き剥がして分解し、その後、部品に付着した両面接着テープ単体を部品(被着体)から剥離することになる。この時、テープ強度が劣化する事を想定していない両面接着テープの多くは、使用短期間では問題ないが、製品として長期使用した後の部品同士の引き剥がし(分解)工程においては、両面接着テープが基材である不織布の部分で破壊(層間破壊)されてしまい、分解された部品の両方の表面に、不織布が二つに割裂し、割裂した不織布が剥き出しとなった両面接着テープの残さが付着した状態となる。この残さを部品表面から取り除く作業がリサイクル工程上、最も効率の悪い作業になるケースも見られる。
また、このような層間破壊が生じなくとも、製品回収時に両面接着テープ単体を部品(被着体)から剥離する際に、テープ強度が低下した場合、テープの接着強度の方が強いと、剥離時にテープが千切れてしまい、これまたリサイクル工程においてテープの剥離が容易に成されず、効率の悪化を招く。
加えて、このような層間破壊やテープ千切れが生じなくとも、製品回収時に両面接着テープ単体を部品(被着体)から剥離する際に、剥離後の被着体表面に粘着剤の一部が残ってしまい(多くの場合、この現象を糊残りという)、リユースや再成型工程へ進む為に糊をヘラや溶剤で取り除かなければならず、これもリサイクル工程の効率を低下させる。勿論、糊が残らないことだけが重要ではなく、粘着特性も優れていることがその前提条件となる。
そして、例えば特許文献4に記載の両面接着テープのように、バインダー樹脂で結着された不織布基材を用いる場合、不織布単体では高い強度を発揮するものの、両面接着テープとしては十分な強度が発揮できず、特に引裂強度の低下やリサイクル時の強度低下が顕著になることが判明した。
また、特許文献2には、バインダー樹脂を含まない不織布基材を用いた両面接着テープが提案されているが、特許文献4と同様に坪量が大きくないため、強度が十分とは言えなかった。なお、不織布基材の坪量を大きくすると、特許文献3にも記載されているように、テープを巻き取る際にシワが発生し易くなり、また、粘着剤の含浸が十分行えずに両面接着テープが不織布基材の部分で破壊(層間破壊)され易くなる場合が生じる。
特開平7−70527号公報 特開平9−272850号公報 特開2003−253228号公報 特開2003−193006号公報
そこで、本発明の目的は、テープを巻き取る際にシワが発生し難く、熱履歴などが長時間に負荷された実使用後でも、剥離の際に層間で破壊(層割れ)されず、被着体の一方から両面接着テープを剥離する際に、千切れたり糊残りが発生し難い、剥離性に優れた両面接着テープを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、実使用後の強度劣化の原因や対策などについて鋭意研究したところ、バインダー成分なしの坪量の大きい不織布基材を用いて、粘着剤層の原料液を内部に十分含浸させて構成繊維同士を粘着させることにより、特に実使用後の剥離性に優れた両面接着テープが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の両面接着テープは、坪量20g/m以上の不織布基材と、その不織布基材の両面に形成された粘着剤層とを備える両面接着テープであって、両面接着テープの長手方向及び幅方向の引張強度が、初期引張強度で20〜50N/10mm、70℃で44日間保存後の引張強度で14〜30N/10mmであり、初期グレーン比及び70℃で44日間保存後のグレーン比が70〜140%であることを特徴とする。
本発明の両面接着テープは、両面接着テープの層間破壊面積率が10%以下であることが好ましい。
本発明の両面接着テープは、リサイクル部品の固定用に使用されることが好ましい。
本発明の両面接着テープは、PCABS及びABSに圧着後の70℃44日間保存における剥離テストにおいて、テープが千切れず剥離できることが好ましい。
また、本発明の両面接着テープの製造方法としては、バインダー成分を実質的に含まない坪量20g/m以上の不織布基材に、粘着剤層の原料液を塗布して内部に含浸させる工程と、その原料液を乾燥又は硬化させて内部から両面に連続する粘着剤層を形成する工程とを含むことが好ましい。
前記製造方法によると、バインダー成分を実質的に含まない不織布基材を用いて、粘着剤層の原料液を内部に含浸させるため、構成繊維同士が粘着した構造となり、柔軟な構造のため、不織布基材を厚くしてもテープを巻き取る際にシワが発生し難くなる。また、構成繊維同士がバインダーで結着していないため、引裂時に応力集中が生じにくく、引裂強度が大きくなり、更に、不織布基材の内部に粘着剤が含浸し易くなるため、厚みが大きい場合でも剥離の際に層割れが生じ難くなる。そして、バインダー成分を実質的に含まない不織布基材は、その単体では強度は大きくないが、構成繊維同士が粘着した構造により十分強度が大きくなり、不織布基材の厚みを大きくした事と相まって、熱履歴などが長時間に負荷された実使用後でも十分な強度を維持するため、剥離の際に千切れにくくなる。
上記において、前記塗布時の原料液の粘度が、23℃において0.1〜100Pa・Sであることが好ましい。このような原料液を用いることで、不織布基材を厚くしても内部に十分含浸させることができる。
また、前記原料液を前記不織布基材の両面に対して順次又は同時に塗布することが好ましい。両面からの塗布によって、不織布基材を厚くしても、より均一に内部に含浸させ易くすることができる。
本発明における各種物性値は、具体的には実施例に記載の方法で測定される値である。
また、坪量20g/m以上の不織布基材と、その不織布基材の両面に形成された粘着剤層とを備える両面接着テープであって、前記不織布基材は、バインダー成分によらずに、含浸された前記粘着剤層によって構成繊維同士が粘着されている構造が好ましい。
本発明の両面接着テープによると、バインダー成分によらずに、含浸された粘着剤層によって不織布基材の構成繊維同士が粘着されているため、柔軟な構造となり、不織布基材を厚くしてもテープを巻き取る際にシワが発生し難くなる。また、構成繊維同士がバインダーで強固に結着していないため、引裂時に応力集中が生じにくく、引裂強度が大きくなり、更に、不織布基材の内部に粘着剤が含浸し易くなるため、厚みが大きい場合でも剥離の際に層割れが生じ難くなる。そして、バインダー成分を実質的に含まない不織布基材は、その単体では強度は大きくないが、構成繊維同士が粘着した構造により十分強度が大きくなり、不織布基材の厚みを大きくした事と相まって、熱履歴などが長時間に負荷された実使用後でも十分な強度を維持するため、剥離の際に千切れにくくなる。
本発明において実使用時後に両面接着テープの引張強度が十分に維持されていることを確認するために採用した促進試験条件(70℃×44日間)は、以下の如く決定した。
一定期間保管した後の粘着剤の挙動を推測する方法として加熱促進試験が用いられる。これは加熱することにより短時間に長期変化を予測するもので、その変化速度は、アレニウスの法則に従って加速されるものと仮定した。
アレニウスの式は
K=A×exp(−Ea/RT)
で示される。
ここで、Kは反応速度係数、Aは頻度因子、Eaは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度(K)である。
Ea(活性化エネルギー)は、「日東技報」Vol.27,No.2(Nov.1989)に記載のように、アクリル系粘着剤の力学物性測定値から時間温度換算則を用いて得られるシフトファクターがアレニウス型であると仮定して算出された21000〔cal/mol〕を用いた。
これにより、23℃と40℃及び70℃下での反応速度係数は、
K(23℃)=A×exp(−21000/296R)
K(40℃)=A×exp(−21000/313R)
K(70℃)=A×exp(−21000/343R)
となる。この式を用いて、両温度の反応速度係数比は、
K(70℃)/K(23℃)=133.3
K(70℃)/K(40℃)=19.2
となる。
ここで、実際の複写機の使用状況において、
(1)リサイクルに返却されるまでの平均使用期間:4年
(2)通常使用状況での電源投入状態の時間的比率:50%
(3)電源投入時の複写機内の平均温度:40℃
との実績を元に、一般的にリサイクルで返却される状況を想定した保管状態は、上記アレニウス則に従って推定算出すると、70℃での加温促進を行った場合、
電源投入状態:40℃@730日(2年)は70℃@38.8日
*計算式:730(日)÷19.2〔K(70℃)/K(40℃)〕=38.0日
電源未投入状態:23℃@730日(2年)は70℃@5.5日
*計算式:730(日)÷133.3〔K(70℃)/K(23℃)〕=5.5日
上記の和により、38.0+5.5=43.5≒44(日)となる。
従って、本発明の両面接着テープはその長手方向および幅方向の各々の引張強度が、初期引張強度で20N/10mm以上であり、及び、実使用態様から導き出された促進条件である70℃で44日間保存後の引張強度が14N/10mm以上、好ましくは17N/10mm以上である。
本発明の両面接着テープによると、初期引張強度と70℃で44日間保存後の引張強度を各々特定値以上とすることにより、不織布基材の坪量を大きくしたことと相まって、熱履歴などが長時間に負荷された実使用後でも十分な強度をより確実に維持できるようになる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の両面接着テープの製造方法としては、バインダー成分を実質的に含まない坪量20g/m以上の不織布基材に、粘着剤層の原料液を塗布して内部に含浸させる工程を含む。テープ強度を高く設定するには、不織布基材の強度を高める事が一般的に用いられており、好ましくはテープ基材である不織布の素材の選定、及び、不織布の坪量を多くすることが望ましい。
不織布の素材としては、例えばマニラ麻、レーヨン、木材繊維、化学繊維などが挙げられ、如何なる材料を使用してもかまわないが、強度が得られやすいように太く長い繊維を持つマニラ麻などの材料が好んで用いられる。
バインダー成分を実質的に含まない不織布基材とは、バインダー樹脂やバインダー繊維を実質的に含まない(好ましくは0.5重量%以下)不織布であり、例えば不織布を構成する原料としてマニラ麻繊維のみが使用され、不織布製造時に繊維同士を結合させるための手段が繊維同士の絡み合いだけ等で行われたものが挙げられる。
本発明者らは、このような構成繊維のみからなる不織布に粘着剤を塗布した場合、厚みが厚い場合でも、粘着剤が繊維同士の隙間に進入しやすくなり、粘着剤が繊維同士を粘着する作用により、両面接着テープの引張強度が増加し、不織布基材の層割れも生じにくくなることを見出したものである。
また、高強度を得るには坪量を高くすることが有効で、少なくとも坪量が20g/m以上でないと、初期のテープ強度を20N/10mmすることは難しくなる。好ましい不織布の坪量は、22〜25g/mである。また、不織布基材の厚みは、坪量の増加に伴って一般に大きくなるが、不織布基材の層割れを防止しながら十分な強度を得る観点から、50〜150μmが好ましく、70〜100μmがより好ましい。
不織布基材の長手方向(流れ方向、MD)の引張強度は、粘着剤の含浸後に十分な強度を得る上で、引張速度300mm/分の条件で18〜40N/10mmが好ましい。また、両面接着テープのグレーン比を好適な範囲にする上で、不織布基材のグレーン比は、70〜140%であり、80〜120%がより好ましい。ここで、グレーン比とは、不織布基材や両面接着テープの強度について、長手方向(流れ方向、MD)と幅(TD)方向の強度のMD/TD比を指す。このグレーン比は不織布の抄紙方法により制御され、如何なる抄紙方法を用いてもかまわないが、100%に近づけるには多くの場合、傾斜短網法が用いられている。
粘着剤層の原料液としては、以下のような粘着剤の原料液が使用される。即ち、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着剤組成物が使用できるが、本発明においては、粘度調整による含浸性の制御や粘着力の制御、再剥離性の制御などの観点からアクリル系粘着剤組成物が好ましい。
アクリル系粘着剤組成物としては、後述する粘弾特性を得る上で、アルキル基の炭素数が2〜14のアクリル酸アルキルエステルモノマーの単独又は共重合体100重量部と、重合ロジンエステルなどの粘着付与樹脂10〜40重量部とを含有するものが好ましい。
アルキル基の炭素数が2〜14のアクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、エチルアクリレート、ノルマルブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、インノニルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、などが挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルモノマーは複数使用することも可能で、同種全体としての(共)重合組成比は特に制約されないが、好ましくはその効果が発揮されやすい30重量%以上での配合が用いられる。
本発明ではスチレン、酢酸ビニル等の上記のアクリルモノマー以外のビニル系モノマーや、アクリル系モノマーでもそのアルキル基に官能基を持つようなモノマーなど如何なる材料を共重合してもかまわない。
この主ポリマーの重合方法としては、如何なる方法も用いてよい。好適に用いられる溶剤系粘着剤の場合、開始剤にラジカル系の過酸化ベンゾイルやAIBNのほか、アニオン系開始剤、チグラーナッタ触媒などでも重合することが出来る。この時、重合温度や重合時間によりその分子量や分子量分布を制御できるが好ましくは重量平均分子量で10〜100万で用いられる事が多い。
粘着剤のもう一つの主要材料である粘着付与樹脂には、少なくとも重合ロジンエステル1種以上配合するのが好ましい。この重合ロジンエステルの軟化(環球法による)点はいかなる温度でも良いが、好ましくは80〜180℃、より好適には120〜140℃を用いる事ができ、その配合量は主ポリマー100重量部に対して10〜40重量部である。
この粘着付与剤には、重合ロジンエステル以外の樹脂を使用又は併用しても良い。そのような樹脂としては、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系C5樹脂、石油系C9樹脂、石油系C5/C9樹脂、テルペンフェノール樹脂などとその水添物、エステル化合物、重合物及び重合ロジン、ロジン酸、ロジン酸エステルが挙げられる。
糊残りしにくい粘着剤とするため、せん断損失弾性率G”のピークトップは、前出のモノマー組成比と粘着付与剤樹脂の軟化点と配合量で制御できるが、前出のモノマー及び粘着付与剤樹脂の規定範囲でG”のピークトップが、−45℃以上−25℃以下となるのであれば、如何なるモノマー組成と組成比と粘着付与剤樹脂の軟化点と配合量でもよい。G”のピークトップが−45℃未満になると、長期保存後にテープを剥離すると粘着剤が糊残りしてしまい、−25℃を超える場合は粘着テープとしての部品固定性能が低下してしまう。
この粘着剤には、適宜架橋剤を添加することにより、粘着剤組成物の塗工性と乾燥後の粘着特性のバランスを取る手法が良く用いられている。この架橋剤として、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤を用いる事が多いが特に限定されない。
また、この粘着剤組成物に、老化防止剤、色素、金属微粉末、充填剤など各種添加剤を粘着特性に影響の無い範囲で添加することが可能である。
粘着剤層の原料液に含まれる溶媒又は分散媒としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶媒、水、アルコールなどの水系溶媒などが挙げられる。本発明では、後述する層間破壊面積率を10%以下とする為に、溶剤系粘着剤もしくは光硬化型粘着剤が好適に用いられる。
塗布時の原料液の粘度は、23℃において0.1〜100Pa・Sであることが好ましく、より好ましくは、1〜50Pa・S、更に好ましくは5〜30Pa・Sである。かかる粘度を持つ粘着剤を不織布に直接塗布した後に乾燥することが有効な手段となる。0.1Pa・Sより低い粘度では、粘着剤が流れてしまい一定厚みの粘着剤層を形成しにくくなり、一方、100Pa・Sより高い粘度では、粘着剤が不織布に含浸しにくくなってしまい、層間破壊率が高くなってしまう。粘着剤組成物の粘度は、固形分濃度や主ポリマー分子量などを変化させることで制御できるが、これに限定されるものではない。
原料液を塗布する方法としては、粘着テープの製造に用いられる公知の方法が用いられ、具体的にはダイコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコートなどの方法が挙げられる。本発明では、原料液を不織布基材の両面に対して順次又は同時に塗布することが好ましい。
原料液を塗布する厚みは、十分な粘着力を維持する観点から乾燥又は硬化後における不織布基材の表面からの厚みとして、10〜1000μmとなるように塗布するのが好ましく、30〜100μmがより好ましい。
本発明の両面接着テープの製造方法としては、原料液を乾燥又は硬化させて内部から両面に連続する粘着剤層を形成する工程を含むものが好ましい。この工程によって、粘着剤層によって構成繊維同士が粘着した構造となる。このとき、不織布基材の内部に粘着剤層が存在しない層が生じると、その部分で層割れが生じ易くなる。
原料液の乾燥には、乾燥オーブンなどが使用でき、粘着剤層の原料液を、紫外線や電子線の照射により重合や架橋にて硬化させる場合には、各々に対応した紫外紙照射システムや電子線照射システムを採用することができる。なお、乾燥と硬化を同時に行うことも可能である。
製造された両面接着テープは、セパレータとともに巻き取られるなどして製品テープとなる。セパレータとしては、長尺帯状の形態のシート又はフィルム(特に、ロール状に巻き取られた長尺帯状のシート又はフィルム)状のものを好適に用いることができる。具体的には、セパレータとしては、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が基材表面に形成されたセパレータ、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム〔例えば、ポリエチレンフィルム(線状低密度ポリエチレンフィルム等)、エチレン−α−オレフィン共重合体フィルム等のポリオレフィン系樹脂製フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなど〕によるセパレータ、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材(例えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂や、テフロン(登録商標)など)を、各種建材(例えば、金属箔を耐熱プラスチックフィルムなど)にラミネート又はコーティングして得られるセパレータなどが挙げられる。
一方、本発明の両面接着テープは、以上のような製造方法によって好適に製造されるものであり、坪量20g/m以上の不織布基材と、その不織布基材の両面に形成された粘着剤層とを備える両面接着テープであって、前記不織布基材は、バインダー成分によらずに、含浸された前記粘着剤層によって構成繊維同士が粘着されていることを特徴とする。
本発明の両面接着テープにおいては、OA機器などの実使用を想定した条件(70℃44日間)の加熱保存が成された後の試験片において、テープ強度が長手方向(流れ方向)、幅方向共に14N/10mm〜30N/10mmである。テープ強度が流れ方向、幅方向共に14N/10mmより低くなると、保存後の剥離時にテープが千切れてくる可能性がある。そのため、保存によるテープ強度の低下を考慮して初期のテープ強度が流れ方向、幅方向共に20N/10mm〜50N/10mmである。
この時のテープ強度の測定方法は、23℃/50%下で10mm幅、チャック間距離100mmの短冊状のテープ単体をテンシロンにて引張速度300mm/minの条件で測定した時の最大強度の事を示している。テープ強度は流れ(MD)方向と幅(TD)方向の2方向で測定され、両者の強度のMD/TD比がグレーン比となる。
テープにかかる剥離力の方向により強度が変わると、加工後のテープ強度や加工性が低下する事から、千切れ性が損なわれるため、初期および70℃44日間保存後のグレーン比は70〜140%であり、80〜120%がより好ましい。
保存後の剥離時にテープが千切れるのは、テープが引き剥がしに耐える力以上に剥離に力が必要な為である。より分りやすく大小関係を示すと、「テープ強度<粘着力」である。保存後にテープが剥離で千切れないようにするためには、「テープ強度>粘着力」であることが好ましい。
粘着力は長期保管により初期値より向上する。これは時間と共に被着体表面への粘着剤の濡れが進む為であるが、千切れないようにするためには「テープ強度>粘着力」が好ましい。従って、初期には、「23℃におけるテープ強度>23℃における粘着力」であり、かつ「70℃で44日間保存後のテ−プ強度>70℃で44日間保存後の粘着力」であることが好ましい。
この時のテープ粘着力は、保存前より貼付背面を微粉末(ベビーパウダー)で非粘着化し圧着しており、23℃/50%下で、剥離速度300mm/minで180°剥離にて剥離した場合の平均値で示している。
また、本発明の両面接着テープにおいては、OA機器などの実使用を想定した条件下での加熱保存が成された後の試験片において、以下の如く測定される層間破壊面積率が10%以下、好ましくは5%以下、最も好ましくは0%であることが望ましい。なぜなら、層間破壊面積率が10%以下であれば、両面接着テープを使用して接合させた組立部品を容易に引き剥がせ、構成部品の解体性が良好となるからである。一方、層間破壊面積率が10%を超えると、リサイクルを目的とした部品解体を行う際に、両面テープが解体された二つの部品表面に割裂した状態で残される部分がかなり大きくなる。割裂部は不織布の強度が著しく低下する為に剥離し難いばかりか、結果的に割裂している面積が2倍になってしまう。そのため、部品の解体性を著しく損ねてしまう。
本発明において、層間破壊面積率とは、15×15mmに切断した両面テープの両面に20×100mmに切断したt=0.1mmのアルミ箔を貼合わせ、60℃×24時間保存で十分に接着性を確保した後、常温まで除冷し、アルミ箔両端を手で持ち10m/min程度の速度で手によりT剥離を行う。剥離した後の糊面を目視で確認し、不織布層間で破壊している面積割合を評価する。
また、本発明では、OA機器や家電製品に好適に用いられる被着体に貼り合せて70℃44日間保管した後に剥離しても糊残りをしないような粘着剤が好ましい。本発明者らは鋭意検討をした結果、糊残り性に優れる粘着剤には、前述した粘着剤組成物を使用し、せん断損失弾性率G”のピークトップが−45℃以上、−25℃以下であることが好適である事を見出した。
せん断損失弾性率G”の測定は、Φ7.5mm×1mmの円柱状に打ち抜いた粘着剤の片方の円状面に周波数1Hzのせん断振動を与えた際のもう一方の円状面に伝わるせん断振動を測定し解析することにより得られる数値である。本測定にはRheometric Scientific社製ARES型式を用いた。
本発明の両面接着テープは、家電製品や自動車、OA機器などの製品内の部品のうち、リサイクル部品の固定用に使用される場合に特に有用である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(1)不織布の長手方向の引張強度
引張方向が長手方向になるように切断した、10mm幅、チャック間距離100mmの短冊状の不織布を、テンシロンにて23℃/50%下で引張速度300mm/minの条件で測定した時の最大強度を示す。
(2)不織布のグレーン比
上記(1)と同様にして、引張方向が幅方向になるように切断した不織布の引張強度を測定した。長手方向(流れ方向(MD))と幅(TD)方向の強度のMD/TD比をグレーン比として算出した。
(3)両面接着テープの長手方向の引張強度
引張方向が長手方向になるように切断した、10mm幅、チャック間距離100mmの短冊状の両面接着テープを、テンシロンにて23℃/50%下で引張速度300mm/minの条件で測定した時の最大強度を示す。両面接着テープの長手方向の引張強度は、初期および70℃44日間保存後のものについて測定を行った。
(4)両面接着テープのグレーン比
上記(3)と同様にして、引張方向が幅方向になるように切断した両面接着テープの引張強度を測定した。両面接着テープの幅方向の引張強度は、初期および70℃44日間保存後のものについて測定を行った。長手方向(流れ方向(MD))と幅(TD)方向の強度のMD/TD比をグレーン比として算出した。
(5)両面接着テープの粘着力
両面接着テープの片面を微粉末(ベビーパウダー)により非粘着化したサンプルを、20mm幅で切断した。サンドペーパー(#280)にて表面研磨したSUS−304板に上記サンプルを2kgの荷重ローラで圧着させた後、23℃/50%RHで30分放置後、引張試験機を使用して23℃/50%RH下で、剥離速度300mm/minで180°剥離にて剥離した場合の平均値で示している。
(6)両面接着テープの層間破壊面積率
15×15mmに切断した両面テープの両面に、20×100mmに切断したt=0.1mmのアルミ箔を貼合わせ、60℃×24時間保存で十分に接着性を確保した後、常温まで除冷し、アルミ箔両端を手で持ち10m/min程度の速度で手によりT剥離を行った。剥離した後の糊面を目視で確認し、不織布層間で破壊している面積割合を評価した。
(7)粘着剤層のせん断損失弾性率G”
Rheometric Scientific社製ARES型式を用いて、Φ7.5mm×1mmの円柱状に打ち抜いた粘着剤の片方の円状面に周波数1Hzのせん断振動を与え、その際、もう一方の円状面に伝わるせん断振動を測定し解析することにより、せん断損失弾性率G”を測定した。その際、試料温度を変化させながら、せん断損失弾性率G”をプロットしてそのピークトップに相当する温度を求めた。
(8)粘着剤層の原料液の粘度
TOKIMEC社製BH型回転粘度計を用いて、23℃に温度調整した粘着剤組成物の粘度を回転ローターを回転数20rpmとし、粘度を測定した。
(9)テープ巻き取り時の外観
厚さ0.14mmの両面処理した剥離紙の片面に両面テープを貼り合わせた状態で、外径82mmの紙芯に巻き付けた後に、これを巻き戻し、両面テープ表面を目視で観察した。幅方向にミミズ状のシワが発生している場合を×、発生していない場合を○とした。
(10)70℃44日間保存後の剥離テスト
幅5mm×150mmの両面テープの片面を微粉末(ベビーパウダー)により非粘着化し、非粘着化していないもう片方の粘着面にPCABS及びABSを2Kgのローラ1往復にて圧着した。これを曝露状態で70℃44日間保存した。保存終了後、23℃/50%RH下で 24時間放置した。
剥離性は、圧着していたテープを5mm/分程度の速度で手で剥離し、千切れる場合を×、テープが千切れず剥離できる場合を○とした。また、糊残りは、テープを剥離した後の被着体表面を観察した際に、糊残りが全くない場合を○、少し糊が残っている(面積率で3%程度以下)場合を△、糊残りが多い場合を×とした。
(粘着剤の調製例1)
アクリル酸3重量部、酢酸ビニル4重量部、アクリル酸ブチル93重量部、及び重合溶媒としてトルエン200重量部を三つ口フラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、2時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.15重量部を加え、70℃に昇温して6時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量は40万であった。
このポリマー溶液にその固形分100重量部に対して40重量部の荒川化学製重合ロジン「ペンセルD125」を添加し、粘着剤組成物を調製した。さらに、この組成物の固形分100重量部に対して1.4重量部のイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製を配合して、溶剤により濃度調整しつつ、十分に攪拌し固形分35%のアクリル系粘着剤を調製した。
このアクリル系粘着剤の23℃における粘度は10Pa・Sであり、得られる粘着剤層のせん断損失弾性率G”のピークトップ温度は、−25℃であった。
(粘着剤の調製例2)
アクリル酸3重量部、酢酸ビニル4重量部、アクリル酸ブチル93重量部、及び重合溶媒としてトルエン200重量部を三つ口フラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、2時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.15重量部を加え、60℃に昇温して10時間重合反応を行った。得られたポリマーの重量平均分子量は70万であった。
このポリマー溶液にその固形分100重量部に対して40重量部の荒川化学製重合ロジン「ペンセルD125」を添加し、粘着剤組成物を調製した。さらに、この組成物の固形分100重量部に対して1.4重量部のイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製を配合して、溶剤により濃度調整しつつ、十分に攪拌し固形分40%のアクリル系粘着剤を調製した。
このアクリル系粘着剤の23℃における粘度は120Pa・Sであり、得られる粘着剤層のせん断損失弾性率G”のピークトップ温度は、−25℃であった。
(実施例1)
マニラ麻のみからなりバインダー成分を含まない不織布(長手方向の引張強度:4N/10mm、グレーン比:105%、厚さ:75μm、坪量23g/m)の上面と下面に、夫々配置したダイコーターから、粘着剤の調製例1で得られたアクリル系粘着剤の原料液を直接塗布して、不織布の内部に含浸させた後、原料液を100℃のオーブン内で5分間乾燥させて内部から両面に連続する粘着剤層を形成した。これを厚み140μmのセパレータと共に紙管(外径82mm)に巻き取って、本発明の両面接着テープを作製した(両面接着テープの総厚160μm)。この両面接着テープを用いて、前述の各評価を行った。
(比較例1)
実施例1において、不織布基材として、マニラ麻の1重量%がポリビニルアルコールで結着された不織布(長手方向の引張強度:13N/10mm、グレーン比:88%、厚さ:62μm、坪量18g/m)を用いること以外は、実施例1と同様にして両面接着テープを作製し、評価した。
(比較例2)
実施例1において、直接塗布法の代わりに転写法で粘着剤層を形成すること以外は、実施例1と同様にして両面接着テープを作製し、評価した。転写法としては、実施例1で用いた粘着剤層の原料液を用いて、セパレータの剥離処理面上に乾燥後の糊厚が70μmとなるように100℃のオーブン内で3分間乾燥した粘着剤固形層を(実施例1)と同じ不織布に熱転写して、テープ総厚160μmとした両面接着テープを作製した。
(比較例3)
実施例1において、粘着剤層の原料液として、粘着剤の調製例2で得られたアクリル系粘着剤の原料液を用いること以外は、実施例1と同様にして両面接着テープを作製し、評価した。なお、粘着剤層の原料液を塗布する際、高粘度のため内部まで十分含浸させることができず、内部から両面に連続する粘着剤層を形成することができなかった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005053234

表1の結果が示すように、本発明の両面接着テープは、テープを巻き取る際にシワが発生し難く、熱履歴などが長時間に負荷された実使用後でも、剥離の際に層間で破壊(層割れ)されず、被着体の一方から両面接着テープを剥離する際に、千切れたり糊残りが発生し難い、剥離性に優れたものである。

Claims (5)

  1. バインダー成分を実質的に含まない坪量20g/m以上の不織布基材と、その不織布基材の両面に形成された粘着剤層とを備える両面接着テープであって、
    前記粘着剤層が、粘度が23℃において、0.1〜100Pa・s、せん断損失弾性率G”のピークトップが、−45〜−25℃である、アルキル基の炭素数が2〜14のアクリル酸アルキルエステルモノマーの単独又は共重合体100重量部と、粘着付与樹脂10〜40重量部と、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤と、を含有する粘着剤組成物から形成され、
    両面接着テープの長手方向及び幅方向の引張強度が、初期引張強度で20〜50N/10mm、70℃で44日間保存後の引張強度で14〜30N/10mmであり、
    初期グレーン比及び70℃で44日間保存後のグレーン比が70〜140%である両面接着テープ。
  2. 両面接着テープの層間破壊面積率が10%以下である請求項1記載の両面接着テープ。
  3. リサイクル部品の固定用に使用される請求項1又は2に記載の両面接着テープ。
  4. PCABS及びABSに圧着後の70℃44日間保存における剥離テストにおいて、テープが千切れず剥離できる請求項1〜3のいずれかに記載の両面接着テープ。
  5. バインダー成分を実質的に含まない坪量20g/m以上の不織布基材に、
    アルキル基の炭素数が2〜14のアクリル酸アルキルエステルモノマーの単独又は共重合体100重量部と、粘着付与樹脂10〜40重量部と、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤を含有する粘着剤層の原料液を塗布して内部に含浸させる工程と、
    その原料液を乾燥又は硬化させて内部から両面に連続する粘着剤層を形成する工程とを含み、
    前記塗布時の原料液の粘度が、23℃において0.1〜100Pa・sであり、
    前記粘着剤層のせん断損失弾性率G”のピークトップが、−45〜−25℃であり、
    前記原料液を前記不織布基材の両面に対して順次又は同時に塗布する両面接着テープの製造方法。
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