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JP4928072B2 - プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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JP4928072B2 JP2004269021A JP2004269021A JP4928072B2 JP 4928072 B2 JP4928072 B2 JP 4928072B2 JP 2004269021 A JP2004269021 A JP 2004269021A JP 2004269021 A JP2004269021 A JP 2004269021A JP 4928072 B2 JP4928072 B2 JP 4928072B2
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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に好適に用いられるプロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
従来より、複写機、プリンタ等に広く使用されている電子写真方法に用いられる静電潜像担持体(以下、「感光体」、「電子写真感光体」、「光導電性絶縁体」と称することもある)としては、安価、大量生産性、無公害性等の利点から、有機系の感光材料が汎用されている。しかし、この場合、有機感光体は無機感光体に比べて耐摩耗性が低く、耐久性が劣るという問題がある。
また近年、電子写真システムのフルカラー化、高速化が望まれるようになり、各色毎に感光体を備えたタンデム方式のフルカラー画像形成装置が実用化されている。このタンデム方式のフルカラー画像形成装置を小型化するには感光体の小径化が必須であり、このことからも感光体の耐摩耗性を主とする機械的耐久性の向上がさらに強く要望されるようになってきている。
前記有機感光体の耐摩耗性を向上させる方法としては、例えば、金属又は金属酸化物からなるフィラーを含有する保護層を設けたものが提案されている(特許文献1参照)。また、感光体表面に保護層を設けて感光体そのものの耐摩耗性を向上させる以外に、潤滑剤により感光体の表面エネルギーを低下させる方法が知られている。例えば、感光体への潤滑剤の供給方法としては、ブラシなどの塗布手段により固形の潤滑剤を塗布する方法(特許文献2参照)、トナーに外添し感光体に供給する方法(特許文献3参照)等の各種の方法が提案されている。更に、潤滑剤により感光体の表面エネルギーを低下させることで、感光体の摩耗を低減させるだけでなく、転写率を向上させたり、転写中抜け等の異常画像の発生を防止することもできる。
以上のように、金属含有化合物塗布手段により感光体表面に金属含有化合物を塗布して感光体の表面エネルギーを低減し、AC帯電等の強烈な帯電ハザードから感光体を保護し、摩耗を低減することも可能である。
しかし、前記金属含有化合物を塗布する画像形成装置には、(1)帯電ローラを金属含有化合物の塗布方式を組み合わせると、初期には問題ないものの、経時により、帯電ローラの金属含有化合物による汚れが発生し、帯電ムラを生じ、異常画像が生じたり、(2)金属含有化合物としての金属せっけんと小粒径トナーとを組み合わせると、初期には何ら問題が生じないが、ブレードクリーニング方式のブレードエッジ摩耗が著しく増大し、クリーニング耐久性が劣るという問題がある。
したがって静電潜像担持体表面への金属含有化合物付着手段を備えた画像形成装置の帯電ローラ汚れの発生防止、及びブレードエッジ摩耗の低減を図り、安定して良好な画像を形成することができる画像形成装置及びその関連技術は未だ提供されておらず、その速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開平1−170951号公報 特開2000−162881号公報 特許第2859646号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、静電潜像担持体表面への金属含有化合物付着手段を備えた画像形成装置の帯電ローラ汚れの防止、及びブレードエッジ摩耗の低減を図り、安定して良好な画像を形成することができるプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、従来は、静電潜像担持体表面に塗布された金属含有化合物量は、該金属含有化合物の消費量から推定していたが、より金属含有化合物における金属原子の含有量を精密に測定評価することによって、金属含有化合物の塗布方法、塗布条件などを精密に設定することにより、静電潜像担持体の表面エネルギーの低減と帯電ハザードからの静電潜像担持体の保護を図りながら、帯電ローラの汚れの発生を防止でき、ブレード摩耗量の低減を達成できることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段と、前記静電潜像担持体上をクリーニングするクリーニング手段とを有する画像形成装置において、
前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%であることを特徴とする画像形成装置である。
<2> 金属含有化合物が、炭素数12〜18の脂肪酸金属塩である前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 脂肪酸金属塩における金属が、配位数2の金属元素であり、該金属元素がバリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、及び亜鉛(Zn)のいずれかである前記<2>に記載の画像形成装置である。
<4> 金属含有化合物が直鎖脂肪酸の2配位金属塩であり、100枚通紙後の静電潜像担持体表面に付着した直鎖脂肪酸の2配位金属塩における金属原子の含有量が0.3〜2.0質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 静電潜像担持体における最表層が、少なくともバンダー樹脂、電荷輸送剤、及び無機顔料を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 静電潜像担持体にクリーニング手段が複数個設けられ、該複数のクリーニング手段の少なくとも1つの後に、金属含有化合物付着手段が配置された前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段とを有する画像形成要素を複数配列し、中間転写体上に複数のトナー像を重ねるタンデム型中間転写方式による画像形成装置であって、
前記中間転写体が該中間転写体表面に金属含有化合物を付着させる中間転写体用金属含有化合物付着手段を有し、かつ該中間転写体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量が、前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量よりも少ない前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<8> プロセス速度が200mm/sec以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> トナーの体積平均粒径が7μm以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<10> トナーの平均円形度が0.97以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> 静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着工程と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを用いて該静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、前記静電潜像担持体上をクリーニングするクリーニング工程とを含む画像形成方法において、
前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%であることを特徴とする画像形成方法である。
<12> 金属含有化合物が直鎖脂肪酸の2配位金属塩であり、100枚通紙後の静電潜像担持体表面に付着した直鎖脂肪酸の2配位金属塩における金属原子の含有量が0.3〜2.0質量%である前記<11>に記載の画像形成方法である。
<13> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段とを有し、更に該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを備えた静電潜像形成手段、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、トナー像を記録媒体に転写する転写手段及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有してなるプロセスカートリッジであって、
前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<14> 金属含有化合物が直鎖脂肪酸の2配位金属塩であり、100枚通紙後の静電潜像担持体表面に付着した直鎖脂肪酸の2配位金属塩における金属原子の含有量が0.3〜2.0質量%である請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段と、前記静電潜像担持体上をクリーニングするクリーニング手段とを有してなり、前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%である。
本発明の画像形成装置においては、前記金属含有化合物付着手段が前記静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる。前記静電潜像形成手段が、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する。前記現像手段が、前記静電潜像をトナーを用いて現像し、可視像を形成する。前記転写手段が、前記可視像を記録媒体に転写される。前記定着手段が、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる。その結果、静電潜像担持体表面への金属含有化合物付着手段を備えた画像形成装置の帯電ローラ汚れの防止、及びブレードエッジ摩耗の低減を図り、安定して良好な画像が形成される。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着工程と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを用いて該静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、前記静電潜像担持体上をクリーニングするクリーニング工程とを含んでなり、前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%である。該本発明の画像形成方法においては、前記金属含有化合物付着工程において、静電潜像担持体表面に金属含有化合物が付着される。前記静電潜像形成工程において、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像工程において、前記静電潜像が前記本発明のトナーを用いて現像され、可視像が形成される。前記転写工程において、前記可視像が記録媒体に転写される。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像が定着される。その結果、静電潜像担持体表面への金属含有化合物付着手段を備えた画像形成装置の帯電ローラ汚れの防止、及びブレードエッジ摩耗の低減を図り、安定して良好な画像が形成される。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段とを有し、更に該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを備えた静電潜像形成手段、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、トナー像を記録媒体に転写する転写手段及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有してなり、
前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%である。該本発明のプロセスカートリッジにおいては、画像形成装置に着脱可能であり、利便性に優れ、クリーニング性に優れ、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像を形成可能である。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、静電潜像担持体表面への金属含有化合物付着手段を備えた画像形成装置における帯電ローラ汚れの発生の防止、及びブレードエッジ摩耗の低減が図れ、安定して良好な画像を形成することができるプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供できる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、金属含有化合物付着手段と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、金属含有化合物付着工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、クリーニング工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記金属含有化合物付着工程は前記金属含有化合物付着手段により行うことができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
本発明の画像形成装置のプロセス速度は200mm/sec以上が好ましい。
−金属含有化合物付着工程及び金属含有化合物付着手段−
前記金属含有化合物付着工程は、静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる工程である。該金属含有化合物付着工程は、前記金属含有化合物付着手段により行われる。
ここで、前記金属含有化合物付着手段としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属含有化合物を供給しつつ静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着できるように配置されたブラシローラなどが好適である。
本発明においては、前記前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%であることが必要であり、20〜40%がより好ましい。
前記比率〔(W2/W1)×100〕が、10%未満であると、感光体が磨耗しやすくなり、70%を超えると、帯電ローラに汚れが生じ、ブレードエッジ摩耗が増大することがある。
また、前記金属含有化合物が直鎖脂肪酸の2配位金属塩であり、100枚通紙後の静電潜像担持体表面に付着した直鎖脂肪酸の2配位金属塩における金属原子の含有量が0.3〜2.0質量%が好ましく、0.3〜1.5原子%がより好ましく、0.6〜1.2原子%が更に好ましい。ここで、前記直鎖脂肪酸の2配位金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
ここで、前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量の測定は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)で塗布厚みをそのまま観察する方法、X線電子分光法(XPS;X-Ray Photoelectron Spectroscopy)などが挙げられるが、X線電子分光法(XPS)が特に好ましい。
前記XPSでは、使用装置としてはPHI社製1600S型、X線光電子分光装置を用いて、X線源は MgKα(100W)、分析領域は0.8×2.0mm、表面原子濃度の計算はPHI社製の相対感度因子を用いる。原子濃度は水素とヘリウムを除いた元素の原子濃度の比率として、金属含有化合物中の金属元素含有量を求めることができる。
前記金属原子の前記静電潜像担持体表面における存在領域としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記静電潜像担持体表面から数nm程度の表面層であることが好ましく、該静電潜像担持体表面から0〜10nmの表面層であることがより好ましい。
前記金属含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(せっけん)、金属せっけん、金属せっけん以外の金属含有含有化合物、などが挙げられる。
前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩(せっけん)としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム(炭素原子数12、XPSでの金属元素含有量は6.7原子%)、ラウリン酸カリウム(炭素原子数12、XPSでの金属元素含有量は6.7原子%)、ミスチン酸ナトリウム(炭素原子数14、XPSでの金属元素含有量は5.9原子%)、ミスチン酸カリウム(炭素原子数14、XPSでの金属元素含有量は5.9原子%)、パルチミン酸ナトリウム(炭素原子数16、XPSでの金属元素含有量は5.3原子%)、パルチミン酸カリウム(炭素原子数16、XPSでの金属元素含有量は5.3原子%)、ステアリン酸ナトリウム(炭素原子数18、XPSでの金属元素含有量は4.8原子%)、ステアリン酸カリウム(炭素原子数18、XPSでの金属元素含有量は4.8原子%)等が挙げられる。
前記金属石けんは、構成する脂肪酸と金属原子の両者で決まり、脂肪酸分子間の疎水結合に関連する物性と金属原子の極性結合は金属間結合に関連する物性、その化学的性質を併せ持っており、例えば、直鎖状脂肪酸の金属塩、分岐状脂肪酸の金属塩、分子内に2重結合を有するモノエン/ジエン不飽和脂肪酸の金属塩、酸素含有脂肪酸の金属塩、などが好適であり、前記脂肪酸の炭素数は3〜29が好ましく、低表面エネルギー化を図る目的から12〜18がより好ましい。
前記金属石けんにおける金属としては、例えば、銅、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、鉛、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル等が挙げられ、これらの中でも、配位数2のものが好ましく、バリウム、アルミニウム、亜鉛等の接触角が高い金属原子が特に好ましい。
前記直鎖飽和脂肪酸金属塩としては、例えば、ブタン酸カルシウム(炭素数4、XPSでの金属元素含有量は7.7原子%)、ヘキサン酸バリウム(炭素数6、XPSでの金属元素含有量は5.9原子%)、オクタン酸亜鉛(炭素数8、XPSでの金属元素含有量は4.8原子%)、ノナン酸チタン(炭素数9、XPSでの金属元素含有量は8.3原子%)、デカン酸亜鉛(炭素数10、XPSでの金属元素含有量は4.0原子%)、ウンデカン酸バリウム(炭素数11、XPSでの金属元素含有量は3.7原子%)、ラウリン酸カルシウム(炭素数12、XPSでの金属元素含有量は3.4原子%)、ミリスチン酸亜鉛(炭素数14、XPSでの金属元素含有量は3.0原子%)、パルチミン酸カルシウム(炭素数16、XPSでの金属元素含有量は2.7原子%)、ステアリン酸亜鉛(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は2.4原子%)、ステアリン酸銅(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は2.4原子%)、ステアリン酸チタン(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は1.2原子%)、ステアリン酸アルミニウム(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は1.6原子%)、アラキン酸アルミニウム(炭素数20、XPSでの金属元素含有量は1.5原子%)、ベヘン酸マンガン(炭素数22、XPSでの金属元素含有量は2.0原子%)、リグノセリン酸亜鉛(炭素数24、XPSでの金属元素含有量は1.9原子%)、セロチン酸カルシウム(炭素数25、XPSでの金属元素含有量は1.8原子%)、モンタン酸アルミニウム(炭素数28、XPSでの金属元素含有量は1.1原子%)、メリシン酸マンガン(炭素数30、XPSでの金属元素含有量は1.6原子%)等が挙げられる。
前記分岐状脂肪酸金属塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸アルミニウム(炭素数8、XPSでの金属元素含有量は3.2原子%)、イソオクタン酸リチウム(炭素数8、XPSでの金属元素含有量は9.1原子%)、イソノナン酸チタン(炭素数9、XPSでの金属元素含有量は2.2原子%)、イソデカン酸ストロンチウム(炭素数10、XPSでの金属元素含有量は2.2原子%)、イソトリデカン酸カルシウム(炭素数13、XPSでの金属元素含有量は3.2原子%)、イソパルチミン酸亜鉛(炭素数16、XPSでの金属元素含有量は2.7原子%)、イソステアリン酸亜鉛(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は2.4原子%)等が挙げられる。
前記分子内に2重結合を有するモノエン/ジエン不飽和脂肪酸の金属塩としては、例えば、フィゼテリン酸亜鉛(炭素数14、XPSでの金属元素含有量は3.0原子%)、ミリストレイン酸カルシウム(炭素数14、XPSでの金属元素含有量は3.0原子%)、パルミトレイン酸亜鉛(炭素数16、XPSでの金属元素含有量は2.7原子%)、オレイン酸マンガン(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は2.4原子%)、ガドレイン酸アルミニウム(炭素数20、XPSでの金属元素含有量は1.5原子%)等が挙げられる。
前記酸素含有脂肪酸の金属塩としては、例えば、サビニン酸亜鉛(炭素数12、XPSでの金属元素含有量は3.2原子%)、イプロール酸カルシウム(炭素数14、XPSでの金属元素含有量は2.9原子%)、リシノール酸アルミニウム(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は1.6原子%)、カムロレン酸バリウム(炭素数18、XPSでの金属元素含有量は2.3原子%)等が挙げられる。
前記金属石けん以外の金属含有化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。
(1)硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン
Figure 0004928072
XPSでのMoの含有量は6.9原子%である。
(2)硫化オキシモリブデン・ジアルキルジチオリン酸塩
Figure 0004928072
XPSでのMoの含有量は7.1原子%である。
(3)ジアルキルジチオリン酸チタン
Figure 0004928072
XPSでのTiの含有量は3.0原子%である。
(4)N,N’−エチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛
Figure 0004928072
XPSでのZnの含有量は14.3原子%である。
(5)ジチオカルバミンジ酸アンチモン
XPSでのZnの含有量は14.2原子%である。
(6)ポリヒドロキシチタンステアレート
[(Ti(OCOC1735)−O)]
XPSでのZnの含有量は4.8原子%である。
次に、前記静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段について図面を参照して説明する。
図1に示すように、静電潜像担持体(感光体)5表面に潤滑剤としての金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段としてのブラシローラ15は、金属含有化合物16にも当接して配置されている。回転するブラシローラ15により掻き取られた金属含有化合物16は、ブラシローラ15の回転により静電潜像担持体5に搬送され、供給される。
なお、図1中47は、クリーニングブレード、14は帯電器をそれぞれ表す。
前記金属含有化合物付着手段は、静電潜像担持体5に複数個を備えることができ、これにより金属含有化合物の安定した供給ができ、静電潜像担持体5の耐摩耗性が向上し、長期にわたり安定かつ優れた品位の画像を得ることができる。
ブラシローラ15で静電潜像担持体5に塗布する金属含有化合物16としては、トナーに外添する金属含有化合物と同じ物質を用いることが好ましく、例えば、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩を融解固化させて棒状に加工したものなどが挙げられる。該金属含有化合物16は接着剤や両面テープ等により保持部材に固定され、ブラシローラ15に当接可能に配置される。トナーに外添する金属含有化合物とブラシローラ15から供給する金属含有化合物16の材質が異なる場合には、それぞれの材質とトナーやキャリアとの摩擦帯電などにより、トナーの帯電量分布等に異常が生じてしまい、地肌汚れ等の異常画像を引き起こすおそれがある。
本発明の画像形成装置には、更に、金属含有化合物付着量調整手段を備えることが好ましい。これにより、金属含有化合物の静電潜像担持体5への過剰な塗布を防止すると共に、間欠的に金属含有化合物16を塗布することで金属含有化合物16の消費量を低減し、金属含有化合物16の寿命を長くすることができる。更に、トナーに外添した金属含有化合物の静電潜像担持体5への供給量は画像面積の影響を受け、高画像面積の画像が形成されてトナー消費量が多い場合には供給量も増加し、低画像面積の画像が形成されてトナー消費量が少ない場合には供給量も減少してしまう。特に、タンデム方式の画像形成装置では各静電潜像担持体5毎に形成される画像面積が大きく異なることも珍しくないため、そのままでは静電潜像担持体5毎に金属含有化合物の付着量が大きく異なってしまう場合がある。
そこで、前記金属含有化合物付着量調整手段としては、書き込みの画素数をカウントして、画素数が少ない静電潜像担持体5にはブラシローラ15への金属含有化合物16の当接時間を長くするように制御することで、各静電潜像担持体5への金属含有化合物の供給量を適切に保つことができる。トナーからの金属含有化合物の供給量が低下する低画像面積が形成されている静電潜像担持体5は塗布手段からの供給量を増加させるように制御することで、静電潜像担持体5への供給量を常に良好に保つことができる。なお、金属含有化合物塗布量調整手段は、上述の手段に限定されない。金属含有化合物塗布量調整手段としては、現像剤のトナー濃度、トナー収納部におけるトナー量等の変動を検知して、静電潜像担持体5に供給する金属含有化合物16の量を調整するものであってもよい。
本発明においては、静電潜像担持体表面に付着させる金属含有化合物の量の調整は、(1)ブラシローラの金属含有化合物に対する荷重、(2)ブラシローラの回転数を変えることにより行うことが好ましい。
前記ブラシローラ15の金属含有化合物に対する荷重は1〜10g/cmが好ましい。前記ブラシローラの回転数は50〜1000rpmが好ましい。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを含み、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられる。
本発明の静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に感光層を少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明の静電潜像担持体は、第一の形態では、支持体上に単層の感光層を設けてなり、更に必要に応じて、中間層、保護層、その他の層を有してなる(以下、「単層型感光体」と称することがある)。また、第二の形態では、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に含む感光層を設けてなり、更に必要に応じて、中間層、保護層、その他の層を有してなる(以下、「積層型感光体」と称することがある)。なお、第二形態では、電荷発生層、及び電荷輸送層は逆に積層しても構わない。
また、前記静電潜像担持体における最表層が少なくとも無機微粒子、バインダー樹脂、及び電荷輸送剤を含有することが好ましい。前記最表層とは、静電潜像担持体の最表面に位置する層であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単層型の感光層では、最表層は感光層自体又は表面保護層を意味する。積層型の感光層では、最表層は、電荷輸送層、又は表面保護層を意味する。
ここで、図2は、本発明の静電潜像担持体(感光体)の模式断面図を示し、支持体301上に感光層302を設けた構成の感光体を示している。図3、図4、及び図5は各々本発明における感光体の他の構成例を示すものである。図3は、感光層302が電荷発生層(CGL)303と電荷輸送層(CTL)304より構成される機能分離型タイプの感光体を示す。図4は、支持体301と、機能分離型タイプの感光層との間に下引き層305を入れた感光体を示す。図5は、図4の感光層302の上にさらに表面保護層306を形成した感光体を示す。なお、本発明に係る感光体としては、支持体上に少なくとも感光層を有していれば、上記以外のその他の層が形成されていてもよく、また、該感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
−支持体−
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。該導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
−感光層−
本発明の感光体に用いられる感光層の種類は、その材質としては、例えば結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。これらの中でも、特に、環境に対して優しくかつ安価なOPCが良好である。
前記感光層は、上述したように、単層型及び積層型のいずれであってもよい。以下、両者を分けて説明する。
<積層型の感光層>
前記積層型の感光層では、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する感光層を設けてなり、更に必要に応じて、中間層、表面保護層、その他の層を有してなる。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を少なくとも含有し、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷発生物質としては、無機系材料及び有機系材料のいずれかを用いることができる。
前記無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、電荷輸送性物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送性物質も良好に用いられる。
前記電荷発生層の形成方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。前記塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行うことができる。
前記電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、電荷輸送性物質及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂により構成される。かかる電荷輸送層は、これらの電荷輸送性物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解乃至は分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。
前記電荷輸送性物質としては、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−オキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子電荷輸送性物質は、以下のような構造を有していてもよい。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54
−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特
開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示さ
れる。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−5055平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
前記高分子電荷輸送性物質としては、更に有用なトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルとしては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載の化合物が例示される。
前記電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、電荷輸送性物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーなどが使用され、その使用量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して、0〜1質量部が適当である。
前記電荷輸送層の塗工方法としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行うことができる。
前記電荷輸送層の膜厚は、5〜100μmが好ましく、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5〜30μmがより好ましい。
更に、前記電荷輸送層が感光体の最表層になる場合には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムから選択される少なくと1種の無機微粒子を含有する。
<単層型の感光層>
前記単層型の感光層では、支持体上に単層の感光層を設けてなり、更に必要に応じて、中間層、表面保護層、その他の層を有してなる。
ここで、キャスティング法で単層型の感光層を設ける場合、多くの場合、かかる単層型の感光層は、電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送性物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。電荷発生物質及び電荷輸送性物質としては、前述した材料を用いることができる。
また、前記単層型の感光層には、更に必要に応じて、可塑剤、バインダー樹脂を添加することができる。
前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いることができる。その他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
前記単層型の感光層が感光体の最表層となる場合には、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選択される少なくと1種の無機微粒子を含有する。
また、前記単層型の感光層は、前記電荷輸送層の場合と同様の製造方法により形成することができる。
前記単層型の感光層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜100μm程度が適当である。
本発明の静電潜像担持体においては、単層型の感光層の上又は積層型の感光層の電荷輸送層上に、表面保護層が設けられることもある。
前記表面保護層に使用される材料としては、例えば、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記静電潜像担持体が表面保護層を有する場合、該表面保護層が最表層となるので、該表面保護層中に酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子を含有する。表面保護層は主に機能分離を目的としている。本発明においては、表面保護層は感光層の上に比較的小さな膜厚をもって設けられるため、感光体の電気特性への影響が比較的小さく、電荷輸送層に無機微粒子を含有させる場合よりも、含有量を大きくすることができたり、耐摩耗性に特化した処方を用いて電荷輸送層と明確に機能分離させることができるなどの利点がある。
また、表面保護層に電荷輸送物質を含有させることも感光体の電気特性、特に繰り返し使用時の光感度劣化、残留電位の上昇を抑制するのに非常に有用である。これは、表面保護層にも電荷輸送性を持たせることで、感光体表面までスムーズに電荷が移動できるようになるためだと考えられる。かかる電荷輸送性物質としては、前記電荷輸送層で用いられる電荷輸送性物質を用いることができる。
更に、本発明に係る静電潜像担持体の表面保護層には、接着性、平滑性、化学的安定性を向上させる目的で、種々の添加剤を加えてもかまわない。
前記表面保護層は、浸漬塗工、スプレー塗工、ブレード塗工、ナイフ塗工等の常法の塗工方法を用いて感光層上に形成される。特に、量産性、塗膜品質などの面から浸漬塗工、スプレー塗工が有利である。
前記表面保護層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜15μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
また、前記感光層と前記表面保護層との間に中間層を設けることも可能である。該中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。前記中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、前記中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
本発明の静電潜像担持体(感光体)は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッター光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
また、像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を静電潜像担持体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い静電潜像担持体に光を照射することなどにより行われる。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像をトナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、通常乾式現像方式が用いられる。また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上をクリーニング手段を用いてクリーニングする工程である。
前記クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、等が挙げられる。
前記静電潜像担持体にはクリーニング手段が複数個設けられてもよく、該クリーニング手段の少なくとも1つの後ろに金属含有化合物付着手段が配置されることが好ましい。
ここで、前記クリーニング手段について説明する。図6は、本発明に用いられるクリーニング機構について概略断面図である。なお、本発明においては、公知のクリーニング条件、ブレード材料を使用できる。その際、静電潜像担持体の回転方向に対してカウンターに当接して使用することが好ましい。
図6において、当接荷重Pはクリーニングブレード71を静電潜像担持体(感光体)10に当接させたときの圧接力法線方向ベクトル値である。また、当接角θは感光体10の当接点における接線と変形前のブレードとのなす角を表す。また、前記クリーニングブレード自由長Lは支持部材72の端部から変形前のブレード先端点の長さを表す。
前記クリーニングブレード71の感光体10への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、Pは5〜50g/cmが好ましい。θは5〜35°が好ましい。また、クリーニングブレード自由長Lは3〜15mmが好ましい。クリーニングブレードの厚さ0.5〜10mmが好ましい。
前記ブレードクリーニング方式に用いられるゴムブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、等が挙げられ、これらの中でも、ウレタンゴム特に好ましい。
本発明においては、前記ゴムブレードの硬度と反発弾性を同時にコントロールすることにより有効にブレードの反転を抑制できる。ゴムブレードの25±5℃におけるJISA硬度は65〜80が好ましい。前記JISA硬度が65未満であると、ブレードの反転が起こり易くなることがあり、80を超えるとクリーニング性能が低下することがある。ゴムブレードの反発弾性は20〜75%が好ましい。前記反発弾性が75%を超えるとブレードの反転がおこり易くなることがあり、20%未満であるとクリーニング性能が低下することがある。
ここで、前記JISA硬度及び反発弾性ともJIS K6301の加硫ゴム物理試験方法に基づき測定することができる。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図7を参照しながら説明する。図7に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下、「感光体10」と称することがある)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
図7に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図8を参照しながら説明する。図8に示す画像形成装置100は、図7に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図7に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図8においては、図7におけるものと同じものは同符号で示した。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図9を参照しながら説明する。
図9は、中間転写ベルト87を有するいわゆるタンデム方式の画像形成装置である。感光体ドラム80を各色で共有させるのではなく、各色用の感光体ドラム80Y、80M、80C、80Bkを備えている。また、ドラムクリーニングユニット85、除電ランプ83、ドラムを一様帯電せしめる帯電ローラ84も、各色用のものを備えている。この装置では、帯電ローラ84、現像用部材の2成分現像剤(不図示)、中間転写ベルト87、クリーニングユニット85中のファーブラシ96、クリーニングブレード97、及び金属含有化合物付着手段98が静電潜像担持体に接触する接触部材である。金属含有化合物付着手段98は、クリーニングユニット85の後に複数箇所配置されている。
前記タンデム型中間転写方式による画像形成装置においては、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を少なくとも有する画像形成要素を複数配列し、中間転写体上に複数のトナー像を重ねて画像形成を行う。
ここで、前記中間転写体が該中間転写体表面に金属含有化合物を付着させる中間転写体用金属含有化合物付着手段を有し、かつ該中間転写体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量が、前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量よりも少ないことが好ましい。
前記タンデム方式では、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
ここで、タンデム型カラー画像形成装置について更に詳細に説明する。図10に示すように、前記タンデム画像形成装置は、複写装置本体250と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体250には、無端ベルト状の中間転写体150が中央部に設けられている。そして、中間転写体150は、支持ローラ114、115及び116に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ115の近傍には、中間転写体150上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置117が配置されている。支持ローラ114と支持ローラ115とにより張架された中間転写体150には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段118が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置121が配置されている。中間転写体150における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置122が配置されている。二次転写装置122においては、無端ベルトである二次転写ベルト124が一対のローラ123に張架されており、二次転写ベルト124上を搬送される転写紙と中間転写体150とは互いに接触可能である。二次転写装置122の近傍には定着装置125が配置されている。定着装置125は、無端ベルトである定着ベルト126と、これに押圧されて配置された加圧ローラ127とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置122及び定着装置125の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置128が配置されている。
次に、前記タンデム画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス132上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス132上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス132上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体133及び第2走行体134が走行する。このとき、第1走行体133により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体134におけるミラーで反射し、結像レンズ135を通して読取りセンサ136で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段118(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段118(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図11に表すように、それぞれ、感光体110(ブラック用感光体110K、イエロー用感光体110Y、マゼンタ用感光体110M及びシアン用感光体110C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図11中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器161と、該トナー像を中間転写体150上に転写させるための転写帯電器162と、感光体クリーニング装置163と、除電器164とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ114、115及び116により回転移動される中間転写体150上にそれぞれ、ブラック用感光体110K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体110Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体110M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体110C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体150上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ149に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ151上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ152で1枚ずつ分離して手差し給紙路153に入れ、同じくレジストローラ149に突き当てて止める。なお、レジストローラ149は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体150上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ149を回転させ、中間転写体150と二次転写装置122との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置122により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体150上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置117によりクリーニングされる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面に金属含有化合物を付着させる金属含有化合物付着手段とを有し、更に該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを備えた静電潜像形成手段、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、トナー像を記録媒体に転写する転写手段及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
この場合、前記金属含有化合物が有する金属原子の含有量W1と、100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面に付着した金属含有化合物における金属原子の含有量W2との比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%であり、20〜40%がより好ましい。
また、前記金属含有化合物が直鎖脂肪酸の2配位金属塩であり、100枚通紙後の静電潜像担持体表面に付着した直鎖脂肪酸の2配位金属塩における金属原子の含有量は0.3〜2.0質量%が好ましく、0.6〜1.2原子%がより好ましい。
前記現像手段としては、前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱自在に備えさせることができ、特に本発明の前記画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図12に示すように、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記感光体101としては、上述したようなものを用いることができる。
前記露光手段103には、高解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられる。
前記帯電手段102には、任意の帯電部材が用いられる。
本発明の画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
(トナー)
本発明のトナーは、体積平均粒径が7μm以下であり、かつ平均円形度が0.97以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を反応させて水系媒体中で接着性基材(「トナーバインダー」と称することもある)を生成しつつ粒子状に得られ、顔料等の色材を含み、更に必要に応じて、離型剤、樹脂微粒子、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤等のその他の成分を含む。
−接着性基材−
前記接着性基材は、紙等の記録媒体に対し接着性を示し、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなるポリマーを少なくとも含み、更に必要に応じて公知のバインダー樹脂から適宜選択した他のバインダーを含んでいてもよい。
前記接着性基材の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000以上が好ましく、2,000〜10,000,000がより好ましく、3,000〜1,000,000が特に好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記接着性基材のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30〜70℃が好ましく、40〜65℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
前記接着性基材の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを前記水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよく、この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。
前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下(1)から(10)、即ち、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、などが好適に挙げられる。
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基、が特に好ましい。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)など、が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、などが挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、などが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、などが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、などが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、などが挙げられる。
なお、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などが挙げられる。
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であるのが好ましく、1/2〜2/1であるのがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、などが挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)であるのが特に好ましい。
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、などが挙げられる。前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)などが特に好適に挙げられる。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ前記活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、などが挙げられる。
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、又は前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、などが好ましい。
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、などが挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、などが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられる。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記セルソルブ類としては、例えば、メチルセルソルブ等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クリーニング性向上剤、流動性付与剤、離型剤、着色剤、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤、磁性材料などが挙げられる。これらは、前記トナーに乾式外添することができる。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後のトナーを除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記流動性付与剤としては、上述した微粒子と同様のものが好適に挙げられる。前記微粒子は、前記トナーに湿式外添されるが、該微粒子による外添効果を補強する目的で、該流動性向上剤を乾式外添することが好ましい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、着色力が不足することがあり、15質量%を超えると、定着性が低下することがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、などが好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、などが挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜100℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が低下し、現像剤の耐久性が低下することがある。
前記トナーに内添される(OMSとしての)前記樹脂微粒子は、一般に、トナー形状(平均円形度、粒度分布など)の制御等の目的で使用される。該樹脂微粒子は、前記トナーバインダーが生成され、トナーの粒子形状が形成される際に、該粒子形状の表面等に付着乃至結合等する。
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成可能な樹脂で形成されているのが好ましく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択した樹脂により形成されていてよく、該樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよい。
該樹脂の具体例としては、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状の樹脂微粒子の水性分散液の調製が容易である点で、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、これらの混合物が好ましい。なお、前記ビニル系樹脂は、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、40〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、40℃未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、前記トナーの保管時及び現像機内でブロッキングが発生することがあり、100℃を超えると、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害して、定着下限温度が上昇することがある。
前記樹脂微粒子の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、9,000〜500,000が好ましく、20,000〜200,000がより好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)が、9,000未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、前記トナーの保管時及び現像機内でブロッキングが発生することがあり、200,000を超えると、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度が上昇することがある。
前記樹脂微粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜500nmが好ましく、30〜300nmがより好ましい。
前記平均粒径が、5nm未満であると、粒径制御性が低下することがあり、500nmを超えると、粒度分布がブロードになることがある。
前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜5.0質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。
なお、前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量は、各種方法により測定することができ、前記樹脂微粒子にのみ起因する物質乃至官能基等を、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計などを用いて分析することにより、そのピーク面積から算出することができる。
前記非反応性ポリエステル樹脂は、低温定着性、光沢性等を向上させる目的で前記トナー中に含有させることができる。
前記非反応性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、などが挙げられる。該非反応性ポリエステル樹脂は、無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えば、ウレタン結合で変性されていてもよい。また、前記非反応性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶していること、即ち互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
前記非反応性ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、1000未満であると、オフセット性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記非反応性ポリエステル樹脂の酸価としては、1〜50が好ましく、5〜30がより好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
前記非反応性ポリエステル樹脂を前記トナーに含有させる場合、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と該非反応性ポリエステル樹脂(PE)との混合質量比(RMPE/PE)としては、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましい。
前記非反応性ポリエステル樹脂(PE)の混合質量比が、95を超えると、耐ホットオフセット性が悪化し、20未満であると、低温定着性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶媒に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記トナーバインダーの種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記トナーバインダー100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、帯電性が不十分となることがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本発明のトナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、平均円形度、体積平均粒径、体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)、形状係数SF−1、熱特性、等を有していることが好ましい。
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.97以上が好ましく、0.97〜0.99がより好ましい。
前記平均円形度が、0.97未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.99を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
前記平均円形度は、例えば、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)等を用いて計測することができる。
前記トナーの体積平均粒径としては、例えば、7μm以下が好ましく、3〜7μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下を招いたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる一方、7μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなる。
前記トナーにおける体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、例えば、1.25以下が好ましく、1.10〜1.25がより好ましい。
該比(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像中のトナー収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。一方、1.10未満であると、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化を図れる面では好ましいが、トナーを十分に帯電することができなかったり、クリーニング性を悪化させてしまうことがある。
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒子径と個数平均粒子径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「「コールターカウンターTAII」」を用いて測定することができる。
前記形状係数を示すSF−1とは、例えば、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して例えばニコレ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を形状係数SF−1と定義する。
SF-1={(MxLNG)2/AREA}×(100π/4)
〔式中、MxLNGはトナー粒子の絶対最大長を示し、AREAはトナー粒子の投影面積を示す。〕
前記形状係数SF−1は、トナー粒子の丸さの度合を示している。
溶融混練−粉砕法で生成されるトナー粒子は、不定形であり、通常、トナー粒子の形状係数SF−1は、150を超えており、本発明のトナーの形状係数SF−1は100〜135が好ましく、100〜120がより好ましい。前記形状係数SF−1が135を超えると、トナーの形状が球形から離れて不定形に近づき、トナー層の層厚と表面が均一とはならないため、トナーと転写紙、像担持体の接触が少なくなるため、転写効率が低下することがあり、その結果、転写電流が大きくなり、分離時の放電が増大することがある。
前記熱特性は、フローテスター特性とも言われ、例えば、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。
これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。
前記軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、60〜100℃がより好ましい。前記軟化温度(Ts)が、50℃未満であると、耐熱保存性が悪化することがある。
前記流出開始温度(Tfb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、70〜150℃がより好ましい。前記流出開始温度(Tfb)が、60℃未満であると、オフセット性が悪化することがある。
前記1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、70℃以上が好ましく、90〜170℃がより好ましい。前記1/2法軟化点(T1/2)が、70℃未満であると、オフセット性が悪化することがある。
本発明のトナーの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは前記着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができる。
本発明の感光体に前述のトナーを適用した画像形成方法によると、高温高湿環境下においてもトナーの水分吸着が少なく、画像ボケ、筋状或いは斑点状(黒ポチなど)の画像欠陥の発生が防止され、高耐久、高画質の画像が得られる。本発明のトナーは、各種分野において好適に使用することができ、電子写真法による画像形成に、より好適に使用することができ、以下の本発明のトナー入り容器、現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に使用することができる。
本発明のトナーは、公知の方法により製造することができるが、後述する本発明のトナーの製造方法により、好適に製造することができる。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、接着性基材生成工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
−接着性基材生成工程−
前記接着性基材生成工程は、前記活性水素基含有化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成させつつトナーを得る工程である。
前記接着性基材生成工程においては、例えば、水系媒体相の調製、有機溶媒相の調製、乳化・分散、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成など)を行う。
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記有機溶媒相の調製は、前記有機溶媒中に、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記顔料、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記非反応性ポリエステル樹脂等のトナー原料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
なお、前記トナー原料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記有機溶媒相を前記水系媒体相に添加する際に、該有機溶媒相と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
前記有機溶媒としては、前記トナー原料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、などが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー原料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
前記乳化・分散は、先に調製した前記有機溶媒相を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化・分散させることにより行うことができる。そして、該乳化・分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂)は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記有機溶媒相を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記有機溶媒相を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記有機溶媒相を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
前記乳化・分散により、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させて前記接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記有機溶媒に溶解乃至分散させた前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記顔料、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記非反応性ポリエステル樹脂などの前記トナー原料を加えて、せん断力により分散させる方法、などが挙げられる。
前記分散は、その方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1000〜30000rpmが好ましく、5000〜20000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
前記乳化・分散において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー原料100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー原料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記乳化・分散においては、必要に応じて、粒度分布をシャープにし、安定に分散を行う観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記乳化・分散においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものなどが挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法などによって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記乳化・分散においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、などが挙げられる。
こうして、得られたトナー粒子を、前記離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢、などが挙げられる。
ここで、本発明のトナーの製造方法の好適な具体例を以下に示す。
−接着性基材生成工程−
−−水系媒体相(水相)の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩、スチレン、メタクリル酸、及び過硫酸アンモニウムを仕込み、400回転/分にて15分間撹拌すると、白色の乳濁液が得られる。該乳濁液を加熱し系内温度を75℃まで昇温して5時間反応させ、更に該反応液に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液を加え、75℃にて5時間熟成させてビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下、「微粒子分散液」と略記する。)を調製する。その後、水、前記微粒子分散液、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液、及び酢酸エチルを混合撹拌し、乳白色の液体(以下「水相」と略記する。)を調製する。
−−プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)の合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、テレフタル酸、アジピン酸、及びジブチルチンオキサイドを入れ、常圧230℃にて8時間反応させ、更に該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸を入れ、常圧下、180℃にて2時間反応して、低分子ポリエステルを合成する。
その後、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記低分子ポリエステル、イソホロンジイソシアネート、及び酢酸エチルを入れて100℃にて5時間反応させることにより、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成する。
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン及びメチルエチルケトンを仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成する。
−−有機溶媒相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、前記低分子ポリエステル、合成エステルワックス(ペンタエリスリトールテトラベヘネート)及び酢酸エチルを仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却する。次いで、反応容器中に、酢酸エチルを仕込み、1時間混合して原料溶解液を得る。
得られた原料溶解液を反応容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、ワックスの分散を行う。次いで、該分散液に前記低分子ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液を加え、上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶媒相を調製する。
−−乳化・分散−−
前記有機溶媒相、前記プレポリマー(低分子ポリエステル)及び前記ケチミン化合物を反応容器中に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて1分間混合した後、反応容器中に前記水相を加え、TKホモミキサーを用いて、回転数13,000rpmにて20分間混合して、乳化・分散を行い、乳化スラリーを調製する。次いで、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、該乳化スラリーを投入し、30℃にて8時間脱溶剤し、更に該乳化スラリーを50℃にて6時間静置する。
静置後の前記乳化スラリーを減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過する。この超音波アルカリ洗浄を再度行う(超音波アルカリ洗浄2回)。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。ここで得られた濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩うと、トナー粒子を得ることができる。
そして、得られたトナー粒子に対し、ヘンシェルミキサーを用いて疎水性シリカ及び疎水化酸化チタンを混合することにより、本発明のトナーを製造することができる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、20〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。
前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜99質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、これを用いて画像形成を行うと、ブレードクリーニング性等に優れた状態を維持しつつ、高精細で高品質な画像が得られる。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、特に、上述した本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例1から実施例4、実施例6から実施例14及び実施例20から実施例24は、参考例である。
(製造例1)
−静電潜像担持体(感光体)Aの製造−
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業株式会社製)15質量部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製))10質量部をメチルエチルケトン150質量部に溶解した。得られた溶液に酸化チタン粉末(タイペールCR−EL、石原産業株式会社製)90質量部を加え、ボールミルで12時間分散して、下引き層用塗工液を調製した。
得られた下引き層用塗工液を直径30mm、長さ340mmの円筒状アルミニウム基体に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して厚み3.5μmの下引き層を形成した。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(XYHL、UCC株式会社製)4質量部をシクロヘキサノン150質量部に溶解した。この溶液に下記構造式(A)で表されるビスアゾ顔料10質量部を加え、ボールミルで48時間分散し、更にシクロヘキサノン210質量部を加えて3時間分散を行った。この分散液を容器に取り出して固形分が1.5質量%となるようにシクロヘキサノンで希釈し、電荷発生層用塗布液を調製した。
得られた電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0004928072
次に、テトラヒドロフラン100質量部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10質量部、及びシリコーンオイル(KF−50、信越化学工業株式会社製)0.002質量部を溶解した。この溶液に下記構造式(B)で表される電荷輸送物質10質量部を加えて、電荷輸送層用塗工液を調製した。得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗工法により塗工し、110℃にて20分間乾燥し、厚み25μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0004928072
次に、テトラヒドロフラン280質量部、及びシクロヘキサノン80質量部の混合溶媒にビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂4質量部を溶解した。得られた溶液に上記構造式(B)で表される電荷輸送物質3質量部、及び、予めシクロヘキサノン19質量部にαアルミナ1質量部を分散した分散液を加えて、保護層形成用塗工液を調製した。
得られた保護層形成用塗工液を前記電荷輸送層上にスプレーガン(ピースコンPC308 オリンポス社製)を用い、2kgf/cmのエアー圧でスプレー塗工を行い、3回重ね塗りした後、130℃にて20分間乾燥して、厚み5μmの保護層を形成した。以上により、静電潜像担持体(感光体)Aを作製した。
(製造例2)
−静電潜像担持体(感光体)Bの製造−
製造例1と同様にして、直径30mm、長さ340mmの円筒状アルミニウム基体上に厚み3.5μmの下引き層と、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、テトラヒドロフラン80質量部に、ポリアリレート樹脂10質量部、及びシリコーンオイル(KF−50、信越化学工業株式会社製)0.002質量部を溶解した。この溶液に上記構造式(B)で表される電荷輸送物質10質量部を加えて、電荷輸送層用塗工液を調製した。
得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗工法によって塗工し、110℃にて20分間乾燥し、厚み30μmの電荷輸送層を形成した。以上により、静電潜像担持体(感光体)Bを作製した。
(製造例3)
−現像剤Aの製造−
<トナーの製造>
下記組成のトナー原材料を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、110℃に設定した2軸混練機にて溶融混練した。得られた混練物を水冷後、カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、風力分級装置を用いて分級し、トナー母体粒子を調製した。
−トナー原料組成−
−−結着樹脂−−
結着樹脂としてのポリエステル樹脂(テレフタル酸、フマル酸、ポリオキシプロピレン−(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメリット酸から合成されたポリエステル樹脂、ガラス転移温度(Tg):62℃、軟化点:106℃)・・・100質量部
−−着色剤−−
イエロートナー用顔料(ジスアゾイエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 17)・・・7.0質量部
マゼンタトナー用顔料(キナクリドン系マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122)・・・7.0質量部
シアントナー用顔料(銅フタロシアニンブルー顔料:C.I.Pigment Blue 15:3)・・・3.5質量部
ブラックトナー用顔料(カーボンブラック:C.I.Pigment Black 7)・・・6.0質量部
帯電制御剤としてのサリチル酸誘導体の亜鉛塩・・・2.5質量部
離型剤としてのカルナウバワックス(融点:85℃)・・・5質量部
次に、得られたトナー母体粒子100質量部に対し、シリカ(ヘキサメチルジシラザン表面処理品、平均一次粒子径:0.01μm)0.8質量部、及びチタニア(イソブチルトリメトキシシラン表面処理品、平均一次粒子径:0.015μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーにて混合した。次いで、目開き100μmの篩により風篩を行い、トナーを作製した。
得られたトナーの体積平均粒子径は6.8μmであった。
ここで、トナーの粒度分布は、コールターマルチサイザーを用いて行った。即ち、測定装置としてはコールターマルチサイザーIIe型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機社製)及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製した。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分の分散処理を行った。さらに、別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIe型により100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定することにより行った。
<キャリアの製造>
トルエン450質量部、シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%)450質量部、アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)10質量部、及びカーボンブラック10質量部を10分間スターラーで分散してコート液を調製した。得られたコート液と、芯材としてのCu−Znフェライト粒子(重量平均粒子径:35μm)5000質量部を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、コート液を芯材上に塗布し、電気炉を用いて250℃にて2時間焼成を行った。以上により、キャリア(膜厚:0.5μm)を作製した。
次に、上記トナー5質量部に対し上記キャリア95質量部をターブラーミキサーで混合して、現像剤Aを作製した。
(製造例4)
−現像剤Bの製造−
<トナーバインダーの合成>
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、イソフタル酸276質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃にて8時間反応させて、更に、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、160℃まで冷却した。得られた反応液に32質量部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中でイソホロンジイソシアネート188質量部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を合成した。
次いで、前記プレポリマー(1)267質量部とイソホロンジアミン14質量部を50℃にて2時間反応させて、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、テレフタル酸276質量部を常圧下、230℃にて8時間重縮合して、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を合成した。
次に、前記ウレア変性ポリエステル(1)750質量部と、前記変性されていないポリエステル(a)250質量部を酢酸エチル/メチルエチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤2000質量部に溶解し、混合して、トナーバインダー(1)の酢酸エチル/メチルエチルケトン(MEK)溶液を得た。その一部を減圧乾燥し、トナーバインダー(1)を単離した。得られたトナーバインダー(1)のガラス転移温度(Tg)は62℃であり、酸価は10であった。
<トナーの作製>
ビーカー内に前記トナーバインダー(1)の酢酸エチル/メチルエチルケトン(MEK)溶液240質量部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20質量部、及びカーボンブラック10質量部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて12000rpmで攪拌し、均一に溶解し、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10質量%懸濁液(日本化学工業株式会社製、スーパタイト10)294質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れて均一に溶解した。次いで、60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。次いで、この混合液を攪拌棒及び温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して一部溶剤を除去し、室温に戻してから、更に溶剤を完全に除去した。その後、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、母体トナー粒子を得た。
次いで、母体トナー粒子100質量部に対し疎水性シリカ0.5質量部をヘンシェルミキサーを用い混合して、トナーを作製した。
得られたトナーのSF−1は105、平均円形度は0.99、分散度は1.20、凝集度は18%であった。
次に、前記現像剤Aと同様にして、キャリア製造、現像剤の製造を行い、現像剤Bを作製した。
(製造例5)
−中間転写体の製造−
ポリイミドワニス(N−メチルピロリドンを溶媒とする耐熱皮膜用ポリイミドワニス、Uワニス−S、宇部興産株式会社製)100質量部に対し18質量部のカーボンブラックを添加して、ミキサーで充分に混合した。得られた成膜原液を直径168mm、高さ500mmのステンレススチール製円筒金型に注入し、120℃の熱風で120分間乾燥させながら、遠心形成した。次いで、半硬化状態で脱型した円筒状フィルムを鉄芯に被せ、30分かけて120〜350℃に昇温して溶媒を蒸発させた後、更に450℃で20分間加熱して、ポリアミド酸を脱水縮合させる本硬化を行った。
得られた80μm厚のカーボンブラック分散ポリイミドフィルムを320mm幅に切削して、表面抵抗率1012Ω/□のシームレスベルト基材を形成した。次に、上記ベルト基材表面に、FEPゴム系塗料(ダイエルラテックスGLS−213:ダイキン工業株式会社製)をスプレー塗装で塗布した後、270℃にて20分間加熱して、厚さ50μmのコート層を形成した。このコート層は、表面にフッ素樹脂層としての厚さ2μmのFEPが形成されたフッ素ゴム層からなる。以上により、中間転写体ベルトを作製した。
(製造例6)
−帯電用部材の製造−
クロロプレンゴム100質量部に導電性カーボン5質量部を溶融混練し、導電性支持体として中心に直径8mm、長さ260mmのステンレス製の軸を通して直径20mm、長さ240mmになるように成形し、ローラ形状帯電用部材の導電性弾性層を設けた。
この帯電用部材の導電性弾性層の体積抵抗を、温度22℃、湿度60%の環境で測定すると、3×10Ω・cmであった。
次に、ポリエーテルアミドイミド樹脂をテトラヒドロフランに固形分が50質量%になるように均一に溶解し、前記帯電用部材の導電性弾性層の上に浸漬塗工し、乾燥後膜厚200μmの樹脂層を設けた。以上により、帯電ローラ部材を製造した。
(実施例1〜25及び比較例1〜12)
以上のようにして作製した現像剤A、及びB、静電潜像担持体(感光体)A、及びB、現像剤A、及びB、中間転写体、及び帯電ローラ部材を、表1に示す組み合わせで、図7(表1中1)及び図10(表1中2)に示す画像形成装置に組み立てた。
これら画像形成装置に、図1に示した金属含有化合物付着手段を静電潜像担持体のクリーニング手段の後に配置した。表1に示す金属含有化合物を用い、表1に示すブラシローラの回転数、及び表1に示すブラシローラの金属含有化合物に対する荷重を調整して、画像形成を行い、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表2に示す。
<金属含有化合物における金属原子含有量の測定>
使用装置としてはPHI社製1600S型、X線光電子分光装置を用い、X線源は MgKα(100W)、分析領域は0.8×2.0mm、表面原子濃度の計算はPHI社製の相対感度因子を用いた。原子濃度は水素とヘリウムを除いた元素の原子濃度の比率として、金属含有化合物中の金属元素含有量を求めることができる。
<帯電ローラ汚れの評価>
50000枚出力後の帯電ローラの表面の汚れの発生の有無を目視観察した。
<ブレード摩耗量の測定>
50000枚出力後のクリーニングブレードの摩耗量を測定した。本発明においては、ブレード摩耗量が10μm以下までは摩耗の低減が図れていると判断した。
<感光体の摩耗量の測定>
50000枚出力後の感光体表面の摩耗量を測定した。本発明においては、感光体の摩耗量が6μm以下までは摩耗の低減が図れていると判断した。
<画像評価>
50000枚出力後の画質ついて目視観察で評価した。
Figure 0004928072
Figure 0004928072
表1及び表2の結果から、比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%である実施例1〜25は、比率〔(W2/W1)×100〕が、10〜70%を外れた比較例1〜10、及び金属含有化合物を付着させない比較例11〜12に比べて、帯電ローラ汚れの発生防止、及びブレードエッジ摩耗の低減を図り、安定して良好な画像を形成できることが認められた。
本発明の静電潜像担持体は、直接又は間接電子写真現像方式を用いた複写機、レーザープリンター、及び普通紙ファックス等に使用される。また、直接又は間接電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックス等に使用される静電潜像担持体を用いる画像形成方法、該静電潜像担持体を装填した画像形成方法、及び該静電潜像担持体を保持したプロセスカートリッジに好適に用いることができる。
図1は、本発明の画像形成装置に用いられる静電潜像担持体の構成を示す概略断面図である。 図2は、本発明における静電潜像担持体の模式断面図である。 図3は、本発明における静電潜像担持体の他の構成例を示す図である。 図4は、本発明における静電潜像担持体の他の構成例を示す図である。 図5は、本発明における静電潜像担持体の他の構成例を示す図である。 図6は、本発明で用いられるクリーニング手段の一例を示す概略説明図である。 図7は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。 図8は、本発明による画像形成装置を用いた別のプロセスの例を示した図である。 図9は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。 図10は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を表す概略説明図である。 図11は、図10に表す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 図12は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
符号の説明
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
71 クリーニングブレード
72 支持部材
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
101 感光体
102 帯電手段
103 露光
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
301 支持体
302 感光層
303 電荷発生層
304 電荷輸送層
305 下引き層
306 表面保護層
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (11)

  1. 静電潜像担持体表面にステアリン酸亜鉛を付着させる金属含有化合物付着工程と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電ローラと該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを用いて該静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電荷像をシリカ及び酸化チタンの少なくとも1種を含有するトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、前記静電潜像担持体上をクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング工程とを含む画像形成方法において、
    前記クリーニング工程が行われた後、前記金属含有化合物付着工程が行われ、
    前記静電潜像担持体における最表層が、ポリカーボネート樹脂と、電荷輸送剤とを含有し、
    前記金属含有化合物付着工程及び金属含有付着工程調整手段によって100枚通紙後の前記静電潜像担持体表面での亜鉛原子の含有量が0.4原子%〜0.7原子%に調整されており、前記亜鉛原子の含有量はMgKα(100W)をX線源とし0.8mm×2.0mmの分析領域をX線光電子分光装置で測定されるものであり、
    前記クリーニングブレードがゴムブレードであり、該クリーニングブレードの自由長Lが3〜15mmであり、該クリーニングブレードの厚さが0.5〜10mmであり、該ゴムブレードの25±5℃におけるJISA硬度が65〜80であり、該クリーニングブレードを前記静電潜像担持体表面に当接させたときの当接荷重Pが5〜50g/cmでかつ当接角θが5〜35°であり、かつ
    前記静電潜像担持体における最表層の膜厚が5〜30μmであることを特徴とする画像形成方法。
  2. 静電潜像担持体における最表層が、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送剤、及び無機顔料を含有する請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 静電潜像担持体にクリーニング手段が複数個設けられ、該複数のクリーニング手段の少なくとも1つの後に、静電潜像担持体表面にステアリン酸亜鉛を付着させる金属含有化合物付着手段が配置された請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
  4. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面にステアリン酸亜鉛を付着させる金属含有化合物付着手段と、該静電潜像担持体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電荷像をシリカ及び酸化チタンの少なくとも1種を含有するトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段とを有する画像形成要素を複数配列し、中間転写体上に複数のトナー像を重ねるタンデム型中間転写方式による画像形成装置を用いる請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 中間転写体が、該中間転写体表面にステアリン酸亜鉛を付着させる中間転写体用金属含有化合物付着手段を有し、かつ該中間転写体表面に付着したステアリン酸亜鉛における亜鉛原子の含有量が、前記静電潜像担持体表面に付着したステアリン酸亜鉛における亜鉛原子の含有量よりも少ない請求項4に記載の画像形成方法。
  6. プロセス速度が200mm/sec以上である請求項1から5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. トナーの体積平均粒径が、7μm以下である請求項1から6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. トナーの平均円形度が、0.97以上である請求項1から7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. トナーが、ポリエステル樹脂を含有する請求項1から8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 金属含有化合物付着工程において、金属含有化合物付着手段で静電潜像担持体表面にステアリン酸亜鉛を付着させ、前記金属含有化合物付着手段の回転数が、50rpm〜1,000rpmであり、前記金属含有化合物付着手段のステアリン酸亜鉛に対する荷重が1gf/cm〜10gf/cmである請求項1から9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 更に、静電潜像担持体表面に付着させるステアリン酸亜鉛の量を調整する金属含有化合物塗布量調整手段を有する請求項3から10のいずれかに記載の画像形成方法。
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