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JP6028501B2 - 像担持体保護剤、保護層形成装置、及び画像形成装置 - Google Patents

像担持体保護剤、保護層形成装置、及び画像形成装置 Download PDF

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JP6028501B2 JP2012221226A JP2012221226A JP6028501B2 JP 6028501 B2 JP6028501 B2 JP 6028501B2 JP 2012221226 A JP2012221226 A JP 2012221226A JP 2012221226 A JP2012221226 A JP 2012221226A JP 6028501 B2 JP6028501 B2 JP 6028501B2
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Description

本発明は、像担持体保護剤、保護層形成装置、及び画像形成装置に関する。
従来より、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等を含む像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像に帯電したトナーを付着させて可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の記録媒体上に転写後、熱、圧力、溶剤、気体等によって記録媒体に定着され、出力画像となる。
このような電子写真方式の画像形成方法は、可視像化のためのトナーを帯電させる方法により、トナーとキャリアとの攪拌及び混合による摩擦帯電を用いる二成分現像方式と、キャリアを用いずにトナーへの電荷付与を行う一成分現像方式とに大別される。
また、前記一成分現像方式は、現像ローラへのトナーの保持に磁気力を使用するか否かによって、磁性一成分現像方式と、非磁性一成分現像方式とに分類される。
これまで、高速性及び画像再現性を要求される複写機、及びこれをベースとした複合機では、トナー帯電の安定性、立ち上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用されている。一方、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい小型のプリンタ、ファクシミリ等では、一成分現像方式が多く採用されている。
また、特に昨今、出力画像のカラー化が進み、画像の高画質化や画像品質の安定化に対する要求は、これまでにも増して強くなっている。高画質化のためには、トナーの平均粒径は小さくなり、粒子形状は角張った部分がなくなり、より丸い球形状になってきている。
前記電子写真方式による画像形成装置は、現像方式の違いによらず、一般的に、ドラム形状又はベルト形状の像担持体を回転させつつ、一様に帯電し、レーザー光等により像担持体上に潜像パターンを形成し、これを現像手段により可視像化して、更に記録媒体上に転写を行っている。記録媒体へトナー像を転写した後の像担持体上には、転写されなかったトナーが残存する。この残存したトナーが、そのまま帯電工程に搬送されると、像担持体の均等な帯電を阻害することがある。このため、一般的には、転写工程を経た後に、像担持体上の残存したトナーを、クリーニング工程にて除去し、像担持体表面を十分に清浄な状態とした上で、帯電が行われる。
このように像担持体表面は、帯電工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程等の各工程で、さまざまな物理的ストレスや電気的ストレスを受け、使用時間を経るに伴って表面状態が変化する。これらのストレスの中でも、前記クリーニング工程での摩擦によるストレスは、像担持体を磨耗させ、擦過傷を発生させるという問題がある。
前記問題点を解消するため、これまでにも像担持体とクリーニングブレードとの間での摩擦力を低減させるため、像担持体保護剤、潤滑成分の供給方法、膜形成方法などについて、数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)
また最近、本願出願人は、像担持体の磨耗及びフィルミング、帯電手段の汚染、並びにクリーニング工程におけるトナーのすり抜けを防止することを目的として、脂肪酸金属塩としてステアリン酸亜鉛と、無機潤滑剤として窒化ホウ素とを含む像担持体保護剤について提案している(特許文献4及び5参照)。
これらの提案では、窒化ホウ素の含有量を20質量%と比較的多く配合しており、このとき、窒化ホウ素のアスペクト比が15〜35のもの(特許文献4の実施例3〜5、特許文献5の実施例3〜5参照)は、感光体の保護性に優れ、帯電手段の汚染が少ないという良好な結果が得られているが、窒化ホウ素のアスペクト比が50以上に大きくなると、感光体の保護性が低下することが認められる(特許文献4の比較例5及び6、特許文献5の比較例6〜11参照)。また、窒化ホウ素はステアリン酸亜鉛に比べて高価(20倍以上の価格差)であり、無機潤滑剤としての窒化ホウ素の含有量を少なくしつつ、良好な特性が得られることが望まれている。
したがって、無機潤滑剤のアスペクト比の最適化、及び脂肪酸金属塩と無機潤滑剤との質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)の適正化については、未だ検討の余地があり、更に、無機潤滑剤(特に窒化ホウ素)の含有量を少なくしつつ、像担持体の磨耗及びフィルミング、帯電手段の汚染、並びにクリーニング工程におけるトナーのすり抜けを防止できることが望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、無機潤滑剤の含有量を少なくしつつ、像担持体の磨耗及びフィルミング、帯電手段の汚染、並びにクリーニング工程におけるトナーのすり抜けを防止できる像担持体保護剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の像担持体保護剤は、脂肪酸金属塩と、無機潤滑剤とを含有してなり、前記無機潤滑剤のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、60〜400であり、前記脂肪酸金属塩と前記無機潤滑剤との質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)が、98/2〜85/15であることを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、無機潤滑剤の含有量を少なくしつつ、像担持体の磨耗及びフィルミング、帯電手段の汚染、並びにクリーニング工程におけるトナーのすり抜けを防止できる像担持体保護剤を提供することができる。
図1は、本発明の保護層形成装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明で用いるプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
(像担持体保護剤)
本発明の像担持体保護剤は、脂肪酸金属塩と、無機潤滑剤とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<無機潤滑剤>
前記無機潤滑剤は、その化合物自体がへき開して潤滑する、又は内部滑りを起こす化合物である。
前記無機潤滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層と層とをつなげるのは弱いファンデルワールス力のみであるため、その層間が容易にへき開して潤滑する点から、窒化ホウ素が特に好ましい。
前記無機潤滑剤のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)は、60〜400であり、80〜350が好ましく、100〜300がより好ましい。前記アスペクト比が、60未満であると、成膜性が悪くなり、帯電手段の汚染が生じて、クリーニング性が低下することがあり、400を超えると、感光体上に無機潤滑剤が積層しやすくなり感光体の保護性が低下することがある。
前記アスペクト比が好ましい数値範囲であると、成膜性が良くなり、帯電手段の汚染がなく、クリーニング性及び感光体の保護性が向上するという利点がある。
前記アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)(サーマルF−SEM、Zeiss社製、ULTRA55)での観察画像を、画像解析・計測ソフトウェア(Image−pro plus 4.0j、Media Cybernetics社製)で測定し、前記無機潤滑剤の一次粒子の長軸長さの平均値を平均一次粒径xとし、前記無機潤滑剤の一次粒子の短軸長さの平均値を平均厚みtとし、比x/tをアスペクト比とする。なお、前記アスペクト比の測定は、無作為に選択した10個の粒子について行った。
前記アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が60〜400である無機潤滑剤としては、特に制限はなく、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、HP−P1、アスペクト比100)、窒化ホウ素(FNAMI社製、FNAMI050、アスペクト比119)、窒化ホウ素(FNAMI社製、FNAMI010、アスペクト比179)、窒化ホウ素(サンゴバン社製、IDL700、アスペクト比269)、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製、GP、アスペクト比381)、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製、HGP、アスペクト比250)、マイカ(ヤマグチマイカ社製、Y−1800、アスペクト比170)、などが挙げられる。これらは、いずれも本発明において好適に用いられる。
また、前記アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が60未満である無機潤滑剤の市販品としては、例えば、窒化ホウ素(ナノグラム社製、アスペクト比3.5)、窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、FS−1、アスペクト比25)、窒化ホウ素(モメンディブパフォーマンスマテリアルズ社製、NX5、アスペクト比15)、窒化ホウ素(モメンディブパフォーマンスマテリアルズ社製、NX9、アスペクト比15)、窒化ホウ素(モメンディブパフォーマンスマテリアルズ社製、NX10、アスペクト比15)、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製、SP−2、アスペクト比35)、窒化ホウ素(ESK社製、S1−F、アスペクト比50)などが挙げられる。これらは、いずれもアスペクト比が小さいため、本発明では用いられない。
また、前記アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が400を超える無機潤滑剤の市販品としては、例えば、窒化ホウ素(サンゴバン社製、IDL800、アスペクト比448)、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製、MGP、アスペクト比650)、窒化ホウ素(ESK社製、S−15、アスペクト比750)、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製、SGP、アスペクト比885)、マイカ(ヤマグチマイカ社製、TM−200、アスペクト比420)、などが挙げられる。これらは、いずれもアスペクト比が大きいため、本発明では用いられない。
<脂肪酸金属塩>
前記脂肪酸金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸コバルト、ラウリン酸鉛、ラウリン酸マグネシウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、クリーニング性及び感光体の保護性に優れ、安価であり、疎水性に優れた非常に安定な物質である点から、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
前記脂肪酸金属塩と前記無機潤滑剤との質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)は、98/2〜85/15であり、95/5〜90/10が好ましい。前記質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)の範囲より脂肪酸金属塩の比率が多いと、成膜量が少なくなり、帯電手段の汚染が生じ、クリーニング性が低下することがある。一方、前記質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)の範囲より無機潤滑剤の比率が多いと、感光体の保護性が低下してしまうことがある。
前記質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)が好ましい数値範囲であると、高価な窒化ホウ素の含有量を少なくしつつ成膜性が良くなり、帯電手段の汚染がなく、クリーニング性及び感光体の保護性が向上するという利点がある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、クレイ、炭酸カルシウム等の無機微粒子、又はこれらの表面疎水化処理微粒子;ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリスチレン微粒子、シリコーン樹脂微粒子、α−オレフィン−ノルボルネン共重合樹脂微粒子等の有機微粒子、界面活性剤、などが挙げられる。
本発明の像担持体保護剤を、一定の形状、例えば、角柱状や円柱状に成型するための方法としては、固体物質の成型方法として公知の方法を用いることができ、例えば、溶融成型法、粉末成型法、熱プレス成型法、冷間等方圧プレス法(CIP)、熱間等方圧プレス法(HIP)、などが挙げられる。
前記溶融成型法としては、例えば、予め、像担持体保護剤の溶融温度以上に加熱した、所定形状の型枠中に、加熱溶融した脂肪酸金属塩の所定量を注ぎ込み、必要に応じて融点以上の温度で一定時間維持後、放冷又は除冷により冷却し、成型体を得ることができる。また、成型体の内部歪みを除去するため、冷却の途中で、脂肪酸金属塩の相転移温度を下回る温度まで冷却が進んだ後に、再度、相転移温度以上の温度まで緩やかに再加熱してもよい。
室温近傍の温度まで冷却後、成型体を型枠から外し、像担持体保護剤の成型体を得る。なお、その後、切削加工などにより、像担持体保護剤の形状を整えてもよい。
前記型枠としては、熱伝導性の良さ、寸法精度の良さから鋼材、ステンレス、アルミニウム等の金属製型枠が好ましい。また、型枠内壁面には、離型性を良くするために、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型剤をコーティングすることが好ましい。
なお、作製されたブロック状の像担持体保護剤は、金属、合金、プラスチック等の基材に接着剤等で貼り付けて用いられる。
本発明の像担持体保護剤は、無機潤滑剤(特に高価な窒化ホウ素)の含有量を少なくしつつ、像担持体の磨耗及びフィルミング、帯電手段の汚染、並びにクリーニング工程におけるトナーのすり抜けを防止できるので、以下に説明する保護層形成装置に好適に用いることができる。
(保護層形成装置)
本発明の保護層形成装置は、本発明の前記像担持体保護剤と、像担持体保護剤供給部材とを有し、保護層形成部材を有することが好ましく、更に必要に応じて、押圧力付与部材等のその他の部材を有してなる。
前記像担持体保護剤供給部材は、本発明の前記像担持体保護剤を像担持体の表面に供給する部材である。
前記保護層形成部材は、像担持体に供給された本発明の前記像担持体保護剤を押圧して前記像担持体表面に保護層を形成する部材である。
前記押圧力付与部材は、本発明の前記像担持体保護剤を押圧して前記像担持体保護剤供給部材に押し付ける部材である。
前記保護層形成装置に前記保護層形成部材を設ける場合には、前記保護層形成部材はクリーニング手段を兼ねてもよいが、より確実に保護層を形成するには、予めクリーニング手段により像担持体上のトナーを主成分とする残存物を除去し、残存物が保護層内に混入しないようにすることが好ましい。
ここで、図1は、本発明の保護層形成装置の一例を示す概略図である。
像担持体1である感光体ドラムに対向して配設された保護層形成装置2は、本発明の像担持体保護剤21、保護剤供給部材22、押圧力付与部材23、保護層形成部材24から構成される。
本発明の像担持体保護剤21は、押圧力付与部材23からの押圧力により、例えば、ブラシ状の保護剤供給部材22へ接する。保護剤供給部材22は像担持体1と線速差をもって回転して摺擦し、この際に、保護剤供給部材22表面に保持された像担持体保護剤21を像担持体1表面に供給する。
像担持体1の表面に供給された像担持体保護剤21は、物質種の選択によっては供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、例えば、ブレード状の部材を持つ保護層形成部材24により薄層化され、保護層となる。
前記保護層が形成された像担持体は、例えば、図示しない高電圧電源により直流電圧もしくはこれに交流電圧を重畳させた電圧を印加した帯電ローラ3を、接触乃至近接させて、微小空隙での放電による像担持体1の帯電が行われる。その際、保護層の一部は電気的ストレスにより分解や酸化が生じる。また、保護層表面への気中放電生成物の付着が生じる。
なお、劣化した像担持体保護剤は、通常のクリーニング手段により、像担持体1に残存したトナー等の他成分と共にクリーニング手段により除去される。このようなクリーニング手段は、前記保護層形成部材24と兼用にしてもよいが、像担持体表面の残存物を除去する機能と、保護層を形成する機能とは、適切な部材の摺擦状態が異なることがあるため、機能を分離し、図1に示すように像担持体保護剤供給部より上流側に、クリーニング部材41と、クリーニング押圧機構42とからなるクリーニング手段4を設けることが好ましい。
前記保護層形成部材24に用いるブレードの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのゴムブレードは、像担持体との接点部部分を低摩擦係数材料で、コーティングや含浸処理してもよい。また、弾性体の硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材を分散させてもよい。
前記ブレードは、ブレード支持体に、先端部が像担持体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。前記ブレードの厚みについては、特に制限はなく、押圧で加える力との兼ね合いに応じて異なり一義的に規定できるものではないが、0.5mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
また、ブレード支持体から突き出し、たわみを持たせることができるクリーニングブレードの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、1mm〜15mmが好ましく、2mm〜10mmがより好ましい。
前記ブレードの他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要に応じてカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の被覆層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要に応じて表面研摩等を施して用いてもよい。
前記被覆層は、少なくともバインダー樹脂及び充填剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、PFA、PTFE、FEP、PVDF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー、などが挙げられる。
前記弾性金属ブレードの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mm〜3mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましい。前記弾性金属ブレードでは、前記金属ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施してもよい。
前記保護層形成部材24で像担持体1を押圧する力は、像担持体保護剤が延展して保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5gf/cm以上80gf/cm以下が好ましく、10gf/cm以上60gf/cm以下がより好ましい。
また、ブラシ状の部材は保護剤供給部材22として好ましく用いられる。この場合、像担持体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を有することが好ましい。前記可撓性のブラシ繊維の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等);ポリビニル系樹脂又はポリビニリデン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等)、などが挙げられる。
なお、撓みの程度を調整するため、前記樹脂に、例えば、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム、などを複合して用いることもできる。
前記保護剤供給部材22の支持体としては、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えば、ブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたもの、などが挙げられる。前記ブラシ繊維としては繊維径10μm〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1mm〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万本〜30万本(1平方メートル当たり1.5×10本〜4.5×10本)が好適である。
前記保護剤供給部材22は、供給の均一性、供給の安定性の面から、ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作製することも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
また、前記ブラシ表面には、必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性等を安定化することなどを目的として、被覆層を設けてもよい。前記被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましい。
前記被覆層成分としては、可撓性を保持し得る材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル又はポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、又はこれらの複合樹脂、などが挙げられる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明に用いる画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、保護層形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クリーニング工程、定着工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、保護層形成手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、定着手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明に用いる画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記保護層形成工程は前記保護層形成手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、像担持体上に静電潜像を形成する工程であり、静電潜像形成手段により行うことができる。
<<像担持体>>
前記像担持体(以下、「静電潜像担持体」、「感光体」と称することがある。)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状などが好適に挙げられる。
前記像担持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなるものが好適である。
前記像担持体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、感光層の上に表面層を設けることもできる。また、前記感光層と前記支持体の間には下引き層を設けることができる。
<<<支持体>>>
前記支持体としては、体積抵抗値1.0×1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
ドラム状の支持体としては、直径が20mm〜150mmが好ましく、24mm〜100mmがより好ましく、28mm〜70mmが更に好ましい。前記ドラム状の支持体の直径が20mm未満であると、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に困難となることがあり、150mmを超えると、画像形成装置が大きくなってしまうことがある。特に、画像形成装置がタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。
また、特開昭52−36016号公報に開示されているようなエンドレスニッケルベルト、又はエンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
<<<感光層>>>
前記感光層としては、単層構造、並びに電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層構造のいずれでもよいが、電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層構造の感光層が特に好ましい。
まず、積層構造の感光層について説明する。
前記積層構造の感光層は、電荷発生層、及び電荷輸送層が順次積層されることによって構成されている。
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、電荷発生材料を少なくとも含有し、バインダー樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−−電荷発生材料−−
前記電荷発生材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−バインダー樹脂−−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルベンザール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、セルロース系樹脂、カゼイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記電荷発生材料100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、10質量部〜300質量部がより好ましい。
前記電荷発生層は、前記電荷発生材料を、必要に応じて前記バインダー樹脂とともに溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの分散方法を用いて溶解乃至分散した電荷発生層塗布液を、前記支持体上、もしくは下引き層や中間層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。なお、前記バインダー樹脂の添加は、電荷発生材料の分散前、又は分散後のどちらでも構わない。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が特に好ましい。
前記電荷発生層塗布液は、前記電荷発生材料を含み、好ましくは溶剤及びバインダー樹脂を含有するが、必要に応じて増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。
前記電荷発生層塗布液を用いて電荷発生層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート、などが挙げられる。
前記電荷発生層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましい。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。前記電荷発生層の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上160℃以下が好ましい。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、電荷輸送材料及びバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−−電荷輸送層−−
前記電荷輸送材料としては、正孔輸送材料と電子輸送材料とがある。
前記正孔輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バインダー樹脂100質量部に対して、20質量部〜300質量部が好ましく、40質量部〜150質量部がより好ましい。
−−バインダー樹脂−−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送層は、前記電荷輸送材料及び前記バインダー樹脂を溶剤に溶解乃至分散した電荷輸送層塗布液を、電荷発生層上、支持体上、又は下引き層上に塗布し、乾燥することにより形成される。前記電荷輸送層塗布液には、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
前記溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷低減等の観点から、非ハロゲン系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテル;トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、又はそれらの誘導体が特に好ましい。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法、などが挙げられる。これらの中でも、電荷輸送層はある程度厚みを厚くする必要がある点から、浸漬塗工法が好ましい。
形成後の電荷輸送層は、オーブン等の加熱手段により加熱乾燥される。乾燥温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜200℃が好ましく、110℃〜170℃がより好ましい。乾燥時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上が好ましく、20分間以上がより好ましい。
前記電荷輸送層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度及び応答性の点から、10μm〜50μmが好ましく、15μm〜35μmがより好ましい。
<<<単層構造の感光層>>>
前記単層構造の感光層は、電荷発生材料及び電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分散乃至溶解させ、電荷発生機能、及び電荷輸送機能を一つの層で実現した感光層である。
前記単層構造の感光層に用いられる電荷発生材料、電荷輸送材料、バインダー樹脂、溶剤及び各種添加剤等については、前記電荷発生層及び前記電荷輸送層に含有されるいずれの材料をも使用することが可能である。
前記電荷輸送材料としては、前記正孔輸送物質と前記電子輸送物質の双方が含有されることが好ましい。必要に応じて可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、前記電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。前記バインダー樹脂100質量部に対する電荷発生材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量部〜40質量部が好ましく、10質量部〜30質量部がより好ましい。前記電荷輸送材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量部〜190質量部が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層構造の感光層は、前記電荷発生材料、前記電荷輸送材料、及び前記バインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解乃至分散した塗布液を浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコート等の方法を用いて塗工することにより形成できる。
前記単層構造の感光層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜40μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。
<<<下引き層>>>
前記感光体の下引き層は、1層であっても、複数の層で構成してもよく、例えば、(1)樹脂を主成分としたもの、(2)白色顔料と樹脂を主成分としたもの、(3)導電性基体表面を化学的又は電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が挙げられる。これらの中でも、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが特に好ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂;アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記下引き層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
<<<表面層>>>
前記表面層は、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のために設けられる。前記表面層としては、感光層よりも機械的強度の高い高分子、高分子に無機フィラーを分散させたものが好適である。
前記表面層に用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、該熱硬化性樹脂は機械的強度が高く、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑える能力が極めて高いため特に好ましい。前記表面層が薄い厚みであれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前述の電荷輸送物質を含有させたり、表面層に用いる高分子を電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。
前記感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により表面層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は磨耗していってしまうため、表面層を設ける場合には、表面層は十分な厚みとすることが重要である。
前記表面層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜12μmが好ましく、1μm〜10μmがより好ましく、2μm〜8μmが更に好ましい。前記平均厚みが、0.1μm未満であると、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の磨耗が進んでしまうことがあり、12μmを超えると、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に、電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうことがある。
前記表面層に用いる樹脂としては、画像形成時の書き込み光に対して透明であり、絶縁性、機械的強度、接着性に優れたものが好ましく、例えば、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、などが挙げられる。これらのポリマーは熱可塑性樹脂であってもよいが、ポリマーの機械的強度を高めるため、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を持つ架橋剤により架橋し、熱硬化性樹脂とすることで、表面層の機械的強度は増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を大幅に減少させることができる。
前記表面層は、電荷輸送能力を有していることが好ましく、表面層に電荷輸送能力を持たせるためには、表面層に用いるポリマーと前述の電荷輸送物質を混合して用いる方法、電荷輸送能力を有する高分子を表面層に用いる方法が考えられ、後者の方法が、高感度で露光後電位上昇、残留電位上昇が少ない感光体を得ることができ好ましい。
前記電荷輸送層能力を有するポリマーとしては、前記ポリマー中に電荷輸送能力を有する基として、下記一般式(i)で表される基を例示することができる。
<一般式(i)>
ただし、前記一般式(i)中、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表す。Ar、及びArは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換もしくは未置換のアリール基を表す。
前記電荷輸送能力を有する基は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の機械的強度の高い高分子の側鎖に付加することが好ましく、モノマーの製造が容易で、塗工性、硬化性にも優れるアクリル樹脂が特に好ましい。
このような電荷輸送能力を有するアクリル樹脂は、前記一般式(i)の基を有する不飽和カルボン酸を重合させることにより機械的強度が高く、透明性にも優れ、電荷輸送能力も高い表面層を形成することができ、単官能の前記一般式(i)の基を有する不飽和カルボン酸に多官能の不飽和カルボン酸、好ましくは3官能以上の不飽和カルボン酸を混合することで、アクリル樹脂は架橋構造を形成し、熱硬化性高分子となり、表面層の機械的強度は極めて高いものとなる。多官能の不飽和カルボン酸に、前記一般式(i)の基を付加してもよいが、モノマーの製造コストが高くなってしまうため、多官能の不飽和カルボン酸には、前記一般式(i)の基を付加せず、光硬化性多官能モノマーを用いることが好ましい。
前記一般式(i)の基を有する単官能不飽和カルボン酸としては、下記一般式(ii)、又は一般式(iii)を例示することができる。
<一般式(ii)>
<一般式(iii)>
前記一般式(ii)及び一般式(iii)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(ただし、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基、CONR(ただし、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表す)を表す。
前記一般式(ii)及び一般式(iii)において、Ar及びArは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換もしくは未置換のアリーレン基を表す。
前記一般式(ii)及び一般式(iii)において、Ar及びArは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換もしくは未置換のアリール基を表す。
前記一般式(ii)及び一般式(iii)において、Xは、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
前記一般式(ii)及び一般式(iii)において、Zは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。
m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。
前記一般式(ii)及び一般式(iii)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、など挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、などが挙げられる。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などにより置換されていてもよい。これらRの置換基のうち、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。
置換もしくは未置換のAr及びArとしてはアリール基であり、該アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基、複素環基が挙げられる。
前記縮合多環式炭化水素基としては、環を形成する炭素数が18個以下のものが好ましく、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、などが挙げられる。
前記非縮合環式炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基;9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の1価基、などが挙げられる。
前記多官能の不飽和カルボン酸の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記表面層全体の5質量%〜75質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が更に好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、表面層の機械的強度が不十分であり、75質量%を超えると、表面層に強い力が加わったときにクラックが発生しやすく、感度劣化も生じやすくなることがある。
前記表面層にアクリル樹脂を用いる場合には、前記不飽和カルボン酸を感光体に塗工後、電子線照射あるいは、紫外線等の活性光線を照射してラジカル重合を生じさせ、表面層を形成することができる。活性光線によるラジカル重合を行う場合には、不飽和カルボン酸に光重合開始剤を溶解したものを用いる。光重合開始剤は通常、光硬化性塗料に用いられる材料を用いることができる。
前記表面層中には表面層の機械的強度を高めるために金属又は金属酸化物の微粒子を分散させることができる。前記金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン、などが挙げられる。
前記その他の成分としては、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの樹脂に無機材料を分散したものなどを添加することができる。
前記像担持体においては、耐環境性の改善のため、特に、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、表面層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送材料、レベリング剤、などを添加することができる。
次に、静電潜像の形成は、例えば、前記像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、等が挙げられる。
前記帯電器としては、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段を有するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
<<トナー>>
前記トナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が0.93〜1.00が好ましく、0.95〜0.99がより好ましい。前記平均円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(トナー粒子の投影像の周囲長)
前記平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。また、トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で記録媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。また、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
前記円形度SRは、例えば、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA−1000)を用いて、以下のようにして測定することができる。
まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1mL〜0.5mL加え、更に測定試料を0.1g〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000個/μL〜10,000個/μLとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
前記トナーの重量平均粒径(D4)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜10μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。前記重量平均粒径(D4)が、3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすいことがあり、10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しいことがある。
また、前記トナーは、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.00〜1.40が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(D4/D1)が、1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味し、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。また、トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。また、トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密にかつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
前記トナーの重量平均粒径(D4)、及び粒度分布の測定は、例えば、コールターカウンター法による。前記コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれも、コールター社製)が挙げられる。
まず、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1mL〜5mL加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2mg〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
前記トナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、変性ポリエステル系樹脂からなるプレポリマー、変性されていないポリエステル、着色剤、及び離型剤を少なくとも含むトナー材料を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させることにより作製することができる。
前記変性ポリエステル系樹脂からなるプレポリマーとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)が挙げられる。また、前記プレポリマーと伸長又は架橋する化合物としては、アミン類(B)が挙げられる。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物、などが挙げられる。前記ポリエステルの有する活性水素基としては、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
前記ポリオール(1)としては、例えば、ジオール(1−1)、3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独又は(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
前記ジオール(1−1)としては、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(1−2)としては、例えば、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(2)としては、例えば、ジカルボン酸(2−1)及び3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、これらの中でも、(2−1)単独、及び(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸(2−1)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が特に好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)、などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
前記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]は、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が更に好ましい。
前記ポリイソシアネート(3)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。前記[NCO]/[OH]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、[NCO]のモル比が、1未満であると、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均1個以上が好ましく、平均1.5個〜3個がより好ましく、平均1.8個〜2.5個が更に好ましい。1分子当たり1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記アミン類(B)としては、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)、などが挙げられる。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、などが挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、などが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、などが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、などが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
更に、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]は、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。前記[NCO]/[NHx]が、2を超えたり、1/2未満であると、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。前記ウレア結合のモル比が10%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
これらの反応により、前記トナーに用いられる変性ポリエステル、中でもウレア変性ポリエステル(i)が作製できる。これらウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。
前記ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1万以上が好ましく、2万〜1000万がより好ましく、3万〜100万が更に好ましい。前記重量平均分子量が、1万未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。前記ウレア変性ポリエステル(i)単独の場合は、数平均分子量は、20,000以下が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記数平均分子量が20,000を超えると、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が悪化することがある。
前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。前記(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上するので、単独使用より好ましい。前記(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。
前記ウレア変性ポリエステル(i)のポリエステル成分と変性されていないポリエステル(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の質量比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。前記(i)の質量比が、5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
前記変性されていないポリエステル(ii)のピーク分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記ピーク分子量が1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、10,000を超えると低温定着性が悪化することがある。
前記変性されていないポリエステル(ii)の水酸基価は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g〜120mgKOH/gがより好ましく、20mgKOH/g〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が、5mgKOH/g未満であると、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
前記変性されていないポリエステル(ii)の酸価は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mgKOH/g〜30mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜20mgKOH/gがより好ましい。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
前記変性されていないポリエステル(ii)のガラス転移温度(Tg)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、50℃未満であると、トナーの高温保管時のブロッキングが悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明に用いるトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移温度が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
前記ウレア結合で変性されたポリエステルは、以下の方法などで製造することができる。
まず、前記ポリオール(1)と、前記ポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等のエステル化触媒の存在下、150℃〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40℃〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。更に(A)にアミン類(B)を0℃〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エーテル類(テトラヒドロフラン等)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。
なお、ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で、変性されていないポリエステル(ii)を製造し、これを前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
前記トナーは、以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
前記トナーは、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成してもよいし、予め製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記プレポリマー(A)と他のトナー材料である(以下、トナー原料と称することもある)、着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、変性されていないポリエステルなどは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、などが挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル(i)及びプレポリマー(A)を含むトナー材料100質量部に対する水系媒体の使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、経済的でない。
また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。これらの中でも。分散体の粒径を2μm〜20μmにするためには高速せん断式が好ましい。
高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合は、0.1分間〜5分間が好ましい。分散時の温度としては、に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
前記プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー材料を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させてもよいし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしてもよい。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
前記反応においては、必要に応じて、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、などが挙げられ、これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル、などが挙げられる。前記フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子株式会社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M株式会社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業株式会社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(DIC株式会社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)、などが挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン、などが挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム、などが挙げられる。前記陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。前記カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フロラードFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(DIC株式会社製);エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)、などが挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン、などが挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、などが挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、などが挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、などが挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、などが挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、などが挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、などが挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル、などが挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、などが挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。前記分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの、などが挙げられる。
前記分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。前記触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、などが挙げられる。
更に、トナー材料の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いた方が粒度分布がシャープになる点で好ましい。前記溶剤は、揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましく、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒がより好ましい。
前記プレポリマー(A)100質量部に対する溶剤の使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、25質量部〜70質量部が更に好ましい。前記溶剤を使用した場合は、伸長及び/又は架橋反応後、常圧又は減圧下にて加温し除去する。
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。更に必要に応じて公知の触媒を使用することができる。前記触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、などが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。また、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発させて除去することも可能である。前記乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられ、スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際、不要の微粒子又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、(1)高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、(2)高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック株式会社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢、などが挙げられる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用できるが、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に必要に応じて、トナー自身に磁気特性を持たせるには、例えば、フェライト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄類;鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらと他の金属との合金等の磁性成分を単独又は混合して、トナーに含有させればよい。なお、これらの成分は、着色剤成分として使用することもできる。
前記トナー中の着色剤の個数平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。前記個数平均粒径が、0.5μmを超えると、顔料の分散性が充分なレベルには到らず、好ましい透明性が得られないことがある。一方、前記個数平均粒径が0.1μmより小さい微小粒径の着色剤は、可視光の半波長より十分小さいため、光の反射、吸収特性に悪影響を及ぼさないと考えられる。よって、前記個数平均粒径が0.1μm未満の着色剤の粒子は良好な色再現性と、定着画像を有するOHPシートの透明性に貢献する。一方、前記個数平均粒径が0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、入射光の透過が阻害されたり、散乱されたりして、OHPシートの投影画像の明るさ及び彩かさが低下する傾向がある。更に、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、トナー粒子表面から着色剤が脱離し、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こすことがある。前記個数平均粒径が0.7μmより大きな粒径の着色剤は、全着色剤の10個数%以下が好ましく、5個数%以下がより好ましい。
前記着色剤を結着樹脂の一部もしくは全部と共に、予め湿潤液を加えた上で混練しておくことにより、初期的に結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となって、その後のトナー製造工程でのトナー粒子中における着色剤分散がより効果的に行われ、着色剤の分散粒径が小さくなり、一層良好な透明性を得ることができる。
予めの混錬に用いる結着樹脂としては、特に制限はなく、トナー用結着樹脂として例示した樹脂類をそのまま使用することができる。
前記結着樹脂と前記着色剤の混合物を予め湿潤液と共に混練する具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤及び湿潤液を、ヘンシェルミキサー等のブレンダーにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得ることができる。
また、前記湿潤液としては、結着樹脂の溶解性や、着色剤との塗れ性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶剤、水が、着色剤の分散性の面から好ましい。これらの中でも、水の使用は、環境への配慮及び、後のトナー製造工程における着色剤の分散安定性維持の点から特に好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層よくなる。
−離型剤−
前記トナー中には、離型剤を含有することが好ましい。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックス等);カルボニル基含有ワックス、などが挙げられる。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが特に好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミド等);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミド等);ジアルキルケトン(ジステアリルケトン等)、などが挙げられる。これらの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記離型剤の融点は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が更に好ましい。前記融点が、40℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすくなることがある。
前記離型剤の溶融粘度は、融点より20℃高い温度で、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が乏しくなることがある。
前記離型剤の前記トナー中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。
−帯電制御剤−
また、トナー帯電量及びその立ち上がりを早くするために、トナー中に、必要に応じて帯電制御剤を含有させてもよい。前記帯電制御剤として有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色又は白色に近い材料が好ましい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。
前記帯電制御剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(いずれも、日本カ一リット株式会社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。これらの帯電制御剤は、マスターバッチ、結着樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶剤に直接溶解し、分散する際に加えてもよいし、トナー粒子作製後、トナー表面に固定化させてもよい。
−樹脂微粒子−
前記樹脂微粒子は、トナー製造過程で水系媒体中にトナー材料を分散させるに際して、主に分散安定化のために添加される。
前記樹脂微粒子は、特に制限はなく、水性分散体を形成し得る樹脂であればいかなる樹脂も使用することができ、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はそれらの併用が好ましい。
前記ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーが用いられ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
−外添剤−
前記外添剤は、トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するために添加される。前記外添剤としては、無機微粒子が好ましい。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレイ、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20m/g〜500m/gが好ましい。前記無機微粒子の前記トナーにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
その他の高分子系微粒子、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、又は分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子、などが挙げられる。
また、前記トナーには流動化剤を添加することもできる。前記流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。前記流動化剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
また、感光体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の金属石鹸;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合などによって製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
このようなトナーを用いることにより、現像安定性に優れる、高画質なトナー像を形成することができる。
本発明の画像形成装置は、上述のような、高品質な画像を得るのに適した構成の重合法トナーとの併用ばかりでなく、粉砕法による不定形のトナーに対しても適用でき、この場合にも、装置寿命を大幅に延ばすことができる。このような粉砕法のトナーを構成する材料としては、通常、電子写真用トナーとして使用されるものが、特に制限なく、適用可能である。
前記粉砕法トナーに使用される結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体又はその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が、電気特性、コスト面等から好ましく、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が特に好ましい。
前記粉砕法トナーでは、前記結着樹脂と共に、前述のような着色剤、離型剤、帯電制御剤等を、必要により前混合後、前記結着樹脂の溶融温度近傍以下で混練して、これを冷却後、粉砕分級工程を経て、トナーを作製すればよく、また、必要に応じて前記外添剤を、適宜添加し混合すればよい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト、などが好適に挙げられる。
前記像担持体は、感光体上に形成されたトナー像を一次転写して色重ねを行い、更に記録媒体へ転写を行う、いわゆる中間転写方式による画像形成を行う際に使用する、中間転写体であってもよい。
−中間転写体−
前記中間転写体としては、体積抵抗率が1.0×10〜1.0×1011Ω・cmの導電性を示すものが好ましい。前記体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm未満であると、感光体から中間転写体上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、1.0×1011Ω・cmを超えると、中間転写体から紙などの記録媒体へトナー像を転写した後に、中間転写体上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
前記中間転写体としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物、カーボンブラック等の導電性粒子、又は導電性高分子を単独又は併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押出成形したベルト状もしくは円筒状のものを使用することができる。その他、熱架橋反応性のモノマー又はオリゴマーを含む樹脂液に、必要に応じて導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成形を行い、無端ベルト状の中間転写体を形成することもできる。
前記中間転写体に表面層を設ける際には、上述の感光体の表面層に使用した表面層材料の内、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
<保護層形成工程及び保護層形成手段>
前記保護層形成工程は、転写後の前記像担持体表面に本発明の前記像担持体保護剤を付与して保護層を形成する工程である。
前記保護層形成手段としては、上述した本発明の前記保護層形成装置を用いることができる。
<その他の工程及びその他の手段>
−前記定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を前記定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共に、あるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段は、転写手段より下流側かつ保護層形成手段より上流側に設けられることが好ましい。
前記クリーニング手段としては、前記像担持体上に残留する前記トナーを除去することができれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、などが挙げられる。
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、前記像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段、などが挙げられる。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、図2は、本発明の保護層形成装置を有する画像形成装置100の一例を示す断面図である。
ドラム状の像担持体1Y,1M,1C,1Kの周囲に、それぞれ保護層形成装置2、帯電手段3、露光手段8、現像手段5、転写手段6、及びクリーニング手段4が配置され、以下の動作で画像形成が行われる。
次に、画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行う。
有機光導電層を有する有機感光体(OPC)に代表される像担持体1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電手段3で均一にマイナスに帯電される。
帯電手段3による像担持体の帯電が行われる際には、電圧印加機構(図示せず)から帯電手段に、像担持体1Y,1M,1C,1Kを所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された像担持体1Y,1M,1C,1Kは、レーザー光学系等の露光手段8によって照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により像担持体1Y,1M,1C,1Kの表面を、像担持体の回転軸方向に走査する。
このようにして形成された潜像が、現像手段5内にある現像剤担持体である現像スリーブ上に供給されたトナー、又はトナーとキャリアとからなる現像剤により現像され、トナー像が形成される。
静電潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブに、像担持体1Y,1M,1C,1Kの露光部と非露光部との間にある、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
各色に対応した像担持体1Y,1M,1C,1K上に形成されたトナー像は、転写手段6にて中間転写体60上に転写され、給紙手段200から給送された、紙等の記録媒体上に、トナー像が転写される。
このとき、転写手段6には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、中間転写体60は、像担持体1から分離され、転写像が得られる。
また、像担持体上に残存するトナーは、クリーニング手段4によって、クリーニング手段4内のトナー回収室に回収される。
前記画像形成装置としては、前記現像手段が複数配置されたものを用い、複数の現像手段によって順次作製された色が異なる複数トナー像を順次記録媒体上へ転写した後、定着手段へ送り、熱等によってトナーを定着する手段であっても、あるいは同様に作成された複数のトナー像を順次一旦中間転写体上に順次転写した後、これを一括して紙のような記録媒体に転写後に、同様に定着する手段であってもよい。
また、前記帯電手段3は、像担持体表面に接触又は近接して配設された帯電手段であることが好ましい。前記帯電手段としては、放電ワイヤを用いている。これにより、いわゆるコロトロン、スコロトロン等のコロナ放電器と比して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制することが可能となる。
このような像担持体表面に接触又は近接して帯電を行う帯電手段では、前述のように放電が像担持体表面近傍の領域で行われるため、像担持体への電気的ストレスが大きくなりがちである。しかし、本発明の像担持体保護剤を用いた保護層形成装置を用いることにより、長期間に亘って像担持体を劣化させることなく維持できるため、安定した画像品質の確保が可能となる。
<プロセスカートリッジ>
本発明で用いられるプロセスカートリッジは、像担持体と、本発明の前記保護層形成手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等のその他の手段を有してなる。
前記プロセスカートリッジは、電子写真方式の各種画像形成装置に着脱可能に備えることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えるのが好ましい。
ここで、図3は、本発明で用いられるプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
前記プロセスカートリッジは、像担持体1である感光体ドラムに対向して配設された保護層形成装置2は、像担持体保護剤21、保護剤供給部材22、押圧力付与部材23、保護層形成部材24から構成される。
また、像担持体1は、転写工程後に部分的に劣化した像担持体保護剤やトナー等が残存した表面となっているが、クリーニング手段4により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。
図3では、クリーニング手段4は、像担持体保護剤供給部より上流側に設けられ、クリーニング部材41と、クリーニング押圧機構42とからなり、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で当接されている。
前記クリーニング手段4により、表面の残留トナーや劣化した像担持体保護剤が取り除かれた像担持体1表面へは、保護剤供給部材22から、像担持体保護剤21が供給され、保護層形成部材24により皮膜状の保護層が形成される。この際、像担持体表面のうち電気的ストレスにより親水性が高くなっている部分に対して、本発明の像担持体保護剤21は、より良好な吸着性を持つため、一時的に大きな電気的ストレスが掛かり、像担持体表面が部分的に劣化をし始めても、保護剤の吸着により像担持体自身の劣化の進行を防ぐことができる。
このようにして皮膜状の保護層が形成された像担持体1は、帯電手段3により帯電後、レーザー等の露光Lによって静電潜像が形成され、現像手段5により現像されて可視像化され、プロセスカートリッジ外の転写手段6により、記録媒体7へ転写される。
本発明の画像形成装置、及び前記プロセスカートリッジによれば、像担持体の磨耗及びフィルミング、帯電手段の汚染、並びにクリーニング工程におけるトナーのすり抜けを防止できるので、極めて高画質な画像を、長期にわたって安定に形成することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた無機潤滑剤のアスペクト比は、以下のようにして測定した。
<無機潤滑剤のアスペクト比の測定>
前記無機潤滑剤のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)(サーマルF−SEM、Zeiss社製、ULTRA55)での観察画像を、画像解析・計測ソフトウェア(Image−pro plus 4.0j、Media Cybernetics社製)で測定し、前記無機潤滑剤の一次粒子の長軸長さの平均値を平均一次粒径xとし、前記無機潤滑剤の一次粒子の短軸長さの平均値を平均厚みtとし、比x/tをアスペクト比とした。なお、前記アスペクト比の測定は、無作為に選択した10個の粒子について行った。
(実施例1)
−像担持体保護剤の製造−
脂肪酸金属塩としてのステアリン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)90質量部、及び無機潤滑剤としての窒化ホウ素3(水島合金鉄株式会社製、HP−P1、アスペクト比100)10質量部の混合物を、所定の大きさの型に入れ均した後、圧力130kN、圧縮時間10秒間で圧縮成型し、冷却後、固形物を型から外し、10mm×21mm×300mmの大きさに切削して、金属製支持体に両面テープで貼り付け、像担持体保護剤を作製した。
<画像形成>
図2に示す画像形成装置(imagio MP C4500、株式会社リコー製)を改造した装置を用いて、像担持体としての感光体に像担持体保護剤を塗布した。即ち、前記画像形成装置(imagio MP C4500、株式会社リコー製)の作像部において、像担持体として前記画像形成装置で使用されている感光体(imagio MP C4500搭載品)を用いた。前記画像形成装置で使用されている像担持体保護剤を、前記作製した実施例1の像担持体保護剤に代えた。また、前記画像形成装置で使用されている保護剤供給部材としてのブラシローラをそのまま用いた。また、トナーとして前記画像形成装置で使用されているトナー(imagio MP C4500搭載品)を用いた。
次に、前記画像形成装置を用いて、以下のようにして、帯電手段の汚染性、感光体の保護性、及びクリーニング性を評価した。結果を表1〜表4に示した。
<帯電手段の汚染性>
画像面積率5%のテストチャート(A4サイズ)を用い、100,000枚画像出力を行い、帯電手段(帯電ローラ)を目視観察し、下記基準で帯電手段の汚染性を評価した。
〔評価基準〕
◎:帯電手段が殆ど汚れない
○:帯電手段が少し汚れるが、常温環境(23℃、50%RH)では画像に影響がない
△:帯電手段が汚れ、低温環境(10℃、15%RH)で異常画像(画像上黒スジとなって表れる画像)が発生する
×:帯電手段がかなり汚れ、早期(約5,000枚程度)から異常画像(画像上黒スジとなって表れる画像)が発生する
<感光体の保護性>
画像面積率5%のテストチャート(A4サイズ)を用い、100,000枚画像出力を行い、感光体を目視観察し、下記基準で感光体の保護性を評価した。
〔評価基準〕
◎:感光体に摩耗及びフィルミングが殆どない
○:感光体にわずかにフィルミングがあるが、許容レベル
△:感光体にフィルミングがあり、経時(約20,000枚程度)で異常画像(画像上白スジとなって表れる画像)が発生する
×:感光体にフィルミングがあり、早期(約5,000枚程度)で異常画像(画像上白スジとなって表れる画像)が発生する
<クリーニング性>
500枚のランを行った後、新品の像担持体に入れ替え、クリーニングブレード下流、現像手段の開口部上端に、厚み2mmの線状のスポンジテープ(住友3M株式会社製、スコッチテープ4016)を用いて、「すり抜けトナーキャッチャー」(厚み1mm、8mm×310mmのフェルト、株式会社槌屋製)を装着した。画像面積率5%のチャートを用いた100枚のラン(通紙)後から、該画像面積率5%チャート20枚をラン(通紙)する間にクリーニングブレード下流へすり抜けたトナーを前記「すり抜けトナーキャッチャー」にて捕集した。捕集したトナーをイメージスキャナーでデジタルデータに変換し、その濃度を測定し、下記の基準によりクリーニング性を評価した。なお、濃度が濃いほどすり抜けトナーの発生が多いことを意味する。
〔評価基準〕
◎:トナーのすり抜けが殆どない
○:トナーのすり抜けはあるが、異常画像(画像上黒スジとなって表れる画像)は発生しない
△:トナーのすり抜けが発生し、異常画像(画像上黒スジとなって表れる画像)が発生することがある
×:トナーのすり抜けが多く発生し、異常画像(画像上黒スジとなって表れる画像)が頻繁に発生する
(実施例2〜12及び比較例1〜11)
−像担持体保護剤の作製及び評価−
実施例1において、脂肪酸金属塩及び無機潤滑剤の種類及び配合量を表1〜表4に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12及び比較例1〜11の像担持体保護剤を作製した。
作製した前記像担持体保護剤を用いて、実施例1と同様にして、帯電手段の汚染性、感光体の保護性、及びクリーニング性を評価した。結果を表1〜表4に示した。
表1〜表4中の脂肪酸金属塩及び無機潤滑剤の詳細については、以下のとおりである。
<脂肪酸金属塩>
*ステアリン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)
*ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)
*ラウリン酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製)
<無機潤滑剤>
*窒化ホウ素1:窒化ホウ素(サンゴバン社製、IDL600、アスペクト比36)
*窒化ホウ素2:窒化ホウ素(ESK社製、S1−F、アスペクト比50)
*窒化ホウ素3(水島合金鉄株式会社製、HP−P1、アスペクト比100)
*窒化ホウ素4:窒化ホウ素(FNAMI社製、FNAMI050、アスペクト比119)
*窒化ホウ素5:窒化ホウ素(FNAMI社製、FNAMI010、アスペクト比179)
*窒化ホウ素6:窒化ホウ素(サンゴバン社製、IDL700、アスペクト比269)
*窒化ホウ素7:窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製、GP、アスペクト比381)
*窒化ホウ素8:窒化ホウ素(サンゴバン社製、IDL800、アスペクト比448)
*マイカ1(ヤマグチマイカ社製、Y−1800、アスペクト比170)
*マイカ2(ヤマグチマイカ社製、TM−200、アスペクト比420)
本発明の態様としては、以下のとおりである。
<1> 脂肪酸金属塩と、無機潤滑剤とを含有してなり、
前記無機潤滑剤のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、60〜400であり、
前記脂肪酸金属塩と前記無機潤滑剤との質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)が、98/2〜85/15であることを特徴とする像担持体保護剤である。
<2> 無機潤滑剤が、窒化ホウ素である前記<1>に記載の像担持体保護剤である。
<3> 脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛である前記<1>から<2>のいずれかに記載の像担持体保護剤である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の像担持体保護剤と、
前記像担持体保護剤を像担持体の表面に供給する像担持体保護剤供給部材と、を有することを特徴とする保護層形成装置である。
<5> 像担持体に供給された像担持体保護剤を押圧して前記像担持体表面に保護層を形成する保護層形成部材を有する前記<4>に記載の保護層形成装置である。
<6> 像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を前記記録媒体上に転写する転写手段と、可視像を転写後の前記像担持体の表面に像担持体保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成手段と、を有する画像形成装置であって、
前記保護層形成手段が、前記<4>から<5>のいずれかに記載の保護層形成装置であることを特徴とする画像形成装置である。
<7> 像担持体の回転方向における転写手段より下流側で、かつ保護層形成手段より上流側に、前記像担持体表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段を有する前記<6>に記載の画像形成装置である。
1 像担持体(感光体ドラム)
2 保護層形成装置
3 帯電ローラ
4 クリーニング手段
5 現像手段
6 転写ローラ
8 露光手段
21 像担持体保護剤
22 保護剤供給部材
23 押圧力付与部材
24 保護層形成部材
41 クリーニング部材
42 クリーニング押圧機構
60 中間転写体
100 画像形成装置
200 給紙機構
L 露光
特公昭51−22380号公報 特開2006−350240号公報 特開2007−145993号公報 特開2009−282160号公報 特開2009−300861号公報

Claims (7)

  1. 脂肪酸金属塩と、無機潤滑剤とを含有してなり、
    前記無機潤滑剤のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が、60〜400であり、
    前記脂肪酸金属塩と前記無機潤滑剤との質量比率(脂肪酸金属塩/無機潤滑剤)が、98/2〜85/15であることを特徴とする像担持体保護剤。
  2. 無機潤滑剤が、窒化ホウ素である請求項1に記載の像担持体保護剤。
  3. 脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛である請求項1から2のいずれかに記載の像担持体保護剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の像担持体保護剤と、
    前記像担持体保護剤を像担持体の表面に供給する像担持体保護剤供給部材と、を有することを特徴とする保護層形成装置。
  5. 像担持体に供給された像担持体保護剤を押圧して前記像担持体表面に保護層を形成する保護層形成部材を有する請求項4に記載の保護層形成装置。
  6. 像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を前記記録媒体上に転写する転写手段と、可視像を転写後の前記像担持体の表面に像担持体保護剤を付与して保護層を形成する保護層形成手段と、を有する画像形成装置であって、
    前記保護層形成手段が、請求項4から5のいずれかに記載の保護層形成装置であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 像担持体の回転方向における転写手段より下流側で、かつ保護層形成手段より上流側に、前記像担持体表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段を有する請求項6に記載の画像形成装置。
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