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JP4989393B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、特にブラックインクおよびカラーインクを吐出するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット方式の記録装置では、普通紙等を用いたカラー記録における記録スピードの向上と高画質化が重要なテーマとなっている。記録スピードの向上の手法としては、記録ヘッドの長尺化の他、記録ヘッドの記録(駆動)周波数の向上や双方向プリントなどが一般的である。中でも、双方向プリントは片方向プリントに比較して、同じスループットを得るときに必要エネルギの分散化が時間的になされているので、トータルシステムとしてコスト的に有効な手段である。
しかしながら、双方向プリント方式では、記録ヘッドの配置構成によっては各色のインクの吐出順(打ち込み順)が主走査の往方向と復方向で異なり、それによってバンド状の色むらが発生することがある。このようなインクの打ち込み順の相違による色むらを解決する構成として、各インクのノズル列が対称に配置された記録ヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、主に普通紙に対してテキスト等の記録を行なう場合、黒文字の高品位化を実現するため、顔料系のインクを用いるインクジェット記録装置が主流となりつつある。ここで、顔料系のブラックインクは、フェザリングによる品位劣化を防ぐため低浸透の組成とされることが多い。この場合に、浸透性が比較的高い超浸透のカラーインクを吐出する上記の対称配置のノズルを低浸透のブラックインクを吐出するノズルに対して主走査方向において横並びとした記録ヘッドを用いると、画像劣化が生じることがある。すなわち、ブラックとカラーの境界間での滲み(ブリード)や白もや現象(低浸透インクの後退による濃度低下)が生じることがある。そのためブラックインクを吐出するノズル列とカラーインクを吐出するノズル列を縦並びとした記録ヘッドが用いられることが多い。詳しくは、ブラックインクのノズル列がカラーインクのノズル列より長く、ブラックインクのノズル列による記録領域の一部が、カラーインクのノズル列による記録領域と重複するノズル配列を有した記録ヘッドが用いられる。
しかしながら、このような縦並び配列の記録ヘッドを用いてグレーを記録する場合、色むらが生じることがある。例えばブラックインクのドットとカラーインクのドットが混在してグレー色を双方向記録によって行う場合、走査領域(バンド)ごとに、各走査領域の右端部と左端部で、ブラックインクとカラーインクとの吐出時間差が異なる。すなわち、記録ヘッドの走査時においてブラックインクを吐出するノズルとカラーインクを吐出するノズルそれぞれが対応する走査領域が互いに異なる。そのため、所定の走査領域に対しては先の走査(第1走査)でブラックインクを吐出するノズルが対応し、その後の走査(第2走査)でカラーインクを吐出するノズルが対応する。もしくは第1走査でカラーインクを吐出するノズルが対応し、その後の第2走査でブラックインクを吐出するノズルが対応することになる。このため、走査領域の二つの端部では同じグレーでも色味の違いが生じることがある。これにより、記録媒体全体にバンドごとのしま状の色むらを生じることがある。
図9は、縦並び配列の記録ヘッドを用いて記録を行うときの所定領域中の濃度の違いの発生を説明する図である。図9(a)において、1回目の主走査(第1の往走査)では、1番上のバンド(第1の領域)に対しブラックインク用ノズル列のカラーインク用ノズル列と隣り合わない領域のみで記録が行なわれる。1回目の主走査後に、1バンド幅に相当する紙送りが行なわれる。その後、復方向への走査となる2回目の主走査が行われる。この2回目の主走査(第2の復走査)では、ブラックインクが吐出された最上位のバンド(第1の領域)に対してカラーインク用ノズル列を対応させてカラーインクにより記録される。また、次のバンド(第2の領域)に対してはブラックインク用ノズル列のカラーインク用ノズル列と隣り合わない領域を対応させてブラックインクによる記録が行なわれる。この場合、最上位のバンド(第1の領域)における端部領域Bはプリントヘッドの走査方向が切り替わる前後でそれぞれのインクが吐出される領域である。一方、端部領域Aは約1往復分の時間差を持ってそれぞれのインクが吐出される領域である。
このような双方向プリントを繰り返す場合、特に、各バンドの端部付近において、ブラックインクとカラーインクが付与される時間が大きく異なることとなる。図9(a)において、各バンドの端部領域A、C、Eは、ブラックインクとカラーインクの付与時間差が最大となる領域である。一方、端部領域B、D、Fは、上記時間差が最小となる領域である。これらの端部領域以外についても、その位置に応じた時間差でブラックインクとカラーインクが付与されることになる。
したがって、例えば低浸透のブラックインクと超浸透のカラーインクとで記録を行なう場合、記録媒体他端では、ブラックインクが打ち込まれて記録媒体に浸透する前にカラーインクが打ち込まれることがある。そのため、ブラックインクは記録媒体の内部に押し込まれ濃度が下がることになる。つまり、記録媒体の右端部と左端部で同じ打ち込み順序で、かつ同じ打ち込み量でプリントを行っても、インクが吐出される時間差によって濃度差が生じることがある。
すなわち、ブラックインクとカラーインクの付与される時間が大きい領域A、C、Eでは、図9(b)に示すように、ブラックインクがある程度定着した状態でカラーインクが付与されるため、濃度の高いグレーがプリントされることになる。一方、ブラックインクとカラーインクが付与される時間が短い領域B、D、Fでは、同様に図9(b)に示すようになる。このように、ブラックインクとカラーインクが吐出される時間差に応じ、バンド幅単位で、特にバンド内の端部において「濃い」、「薄い」といった濃度差が交互に繰り返されることとなる。
この時間差による濃度差は、1バンドであればその濃度差は記録ヘッドの走査方向にその程度が段階的に変化するため視覚的には認識しづらい。しかし、記録媒体全体に数バンド連続して発生した場合には、左右の端部においてはバンドごとに上述の時間差の長短が繰り返えされる。このため視覚的にバンド間における濃度差が目立ち、画質を低下させる原因となる。
このような濃度差による画像低下を抑制する技術として、記録時間差により濃度差が発生する場合には、カラーインクとブラックインクの記録の間に一定時間の待機時間を設けて記録を行なうものが知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、待機時間によって先に吐出されたインクが記録媒体に浸透してから次のインクが吐出されるため、記録時間差による濃度差が低減され、画像劣化を抑制することができる。
特開2001−171119号公報 特開2004−181698号公報
しかしながら、上述した技術では、記録時間差により濃度差が生じるような記録をする場合、インクが記録媒体に浸透するまで記録を行なわずに待機する。このため、記録速度が低下することになる。
本発明は以上の点を鑑みてなされたものであり、ブラックインクとカラーインクの吐出口列が縦並び配列の記録ヘッドを用いて記録を行なう場合であっても、記録時間差によるムラを低減することができる。さらに、記録速度の速いインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドを用い、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向において双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録装置であり、前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、前記第2のインクは、前記第1のインクの分散安定性を不安定化する成分を含むインクであることを特徴とする。
以上の構成によれば、ブラック、カラーが同一領域に混在する場合であっても、ブラックインクが浸透してからカラーインクの記録を行うことができる。これにより、双方向記録であってもブラックインクの記録の濃度を高めることにより、時間差むらを抑制することができる。
以下に図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の主要部を示す概略図である。図1において、カートリッジ1がキャリッジ2に交換可能に搭載されている。カートリッジ1は、プリントヘッド部およびインクタンク部を有し、ヘッド部を駆動するための信号などを授受するための不図示のコネクタが設けられている。
カートリッジ1はキャリッジ2に位置決めして搭載されている。キャリッジ2は、コネクタを介して各カートリッジ1に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダ(電気接続部)が設けられている。キャリッジ2は、主走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト3に沿って往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ2は主走査モータ4により、モータプーリ5、従動プーリ6およびタイミングベルト7等の駆動機構を介して駆動されるとともにその位置及び移動が制御される。また、キャリッジ2にはホームポジションセンサ30がキャリッジに設けられている。このような構成により、遮蔽板36の位置をキャリッジ2上のホームポジションセンサ30が通過した際に位置を知ることができる。
記録用紙やプラスチック薄板等の記録媒体8は給紙モータ35からギアを介してピックアップローラ31を回転させることによりオートシートフィーダ(ASF)32から一枚ずつ分離給紙される。更に搬送ローラ9の回転により、カートリッジ1の吐出口面と対向する位置(記録部)を通って搬送(副走査)される。搬送ローラ9はLFモータ34の回転によりギアを介して行われる。その際、給紙されたかどうかの判定と給紙時の頭出し位置の確定は、ペーパエンドセンサ33をプリント媒体8が通過した時点で行われる。また、記録媒体8の後端が実際にどこに有り、実際の後端から現在の記録位置を最終的に割り出す為にもペーパエンドセンサ33は使用されている。
なお、記録媒体8は、記録部において平坦な記録面を形成するように、その裏面をプラテン(不図示)により支持されている。この場合、キャリッジ2に搭載された各カートリッジ1は、それらの吐出口面がキャリッジ2から下方へ突出して前記2組の搬送ローラ対の間でプリント媒体8と平行になるように保持されている。
カートリッジ1は例えば、熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェットヘッドカートリッジであって、熱エネルギを発生するための電気熱変換体を備えたものである。すなわちカートリッジ1の記録ヘッドは、電気熱変換体によって印加される熱エネルギによる膜沸騰により生じる気泡の圧力を利用して、吐出口よりインクを吐出してプリントを行うものである。なお、記録ヘッドは圧電素子によってインクを吐出する等、その他の方式であっても良い。
図2は、インクジェット記録装置における制御回路の概略構成を示すブロック図である。同図において、コントローラ200は主制御部であり、例えばマイクロコンピュータ形態のCPU201、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納したROM203、画像データを展開する領域や作業用の領域等を設けたRAM205を有する。ホスト装置210は、画像データの供給源(記録に係る画像等のデータの作成、処理等を行うコンピュータとする他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい)である。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号等は、インタフェース(I/F)212を介してコントローラ200と送受信される。
操作部120は操作者による指示入力を受容するスイッチ群であり、電源スイッチ222、吸引回復の起動を指示するための回復スイッチ226等を有する。センサ群230は装置の状態を検出するためのセンサ群であり、上述のホームポジションセンサ30、プリント媒体の有無を検出するためのペーパエンドセンサ33、および環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ234等を有する。
ヘッドドライバ240は、プリントデータ等に応じて記録ヘッド100の吐出ヒータ25を駆動するドライバである。ヘッドドライバ240は、記録データを吐出ヒータ25の位置に対応させて整列させるシフトレジスタ、適宜のタイミングでラッチするラッチ回路、駆動タイミング信号に同期して吐出ヒータを作動させる論理回路素子を有する。その他、ドット形成位置合わせのために駆動タイミング(吐出タイミング)を適切に設定するタイミング設定部等を有する。
記録ヘッド100には、サブヒータ242が設けられている。サブヒータ242はインクの吐出特性を安定させるための温度調整を行うものであり、吐出ヒータ25と同時に記録ヘッド基板上に形成された形態や、記録ヘッド本体ないしはカートリッジに取り付けられる形態とすることができる。
モータドライバ250は主走査モータ4を駆動するドライバである。また、副走査モータ34は記録媒体8を搬送(副走査)するために用いられ、モータドライバ270により駆動される。
給紙モータ34は記録媒体8をASFから分離、給紙するために用いられるモータであり、モータドライバ260により駆動される。
図3は、記録ヘッド100の吐出部の構造を部分的に示す模式図である。
本図では、記録ヘッド100の主走査方向と交差する方向にノズル列が形成されている。すなわち、記録媒体の搬送方向に沿って、ノズル列は形成されているものである。
記録ヘッド100のブラックチップ10には、ノズル数160、300dpiのピッチでノズルが形成された第1のインクであるブラックインクを吐出する吐出口列100、101(第1の吐出口列)を有する。吐出口列100および101のノズルは、600dpiオフセットしているためブラックの色単位で見れば320ノズル、600dpiの記録ヘッドである。
また、記録ヘッド100のカラーチップ20には、第2のインクであるカラーインクを吐出する吐出口列(第2の吐出口列)が備えられている。本実施形態の記録ヘッドは複数色のカラーインクを吐出するものであって、第2の吐出口列は、記録ヘッドの走査方向に対して同一色のカラーインクの吐出口列が対称に配列されたものである。シアンインクを吐出する第一の吐出口列102、マゼンタインクを吐出する第一の吐出口列103、イエローインクを吐出する第一の吐出口列104が形成されている。さらに、インク色の配列が左右対称となるように、イエローインクを吐出する第二の吐出口列105、マゼンタインクを吐出する第二の吐出口列106、シアンインクを吐出する第二の吐出口列107が形成されている。吐出口列のそれぞれ列ではノズル数128、600dpiピッチでノズルが形成されている。第1の吐出口列102〜104と、第2の吐出口列105〜107のノズルは、600dpiオフセットしているため色単位で見れば256ノズル、1200dpiの記録ヘッドである。
個々の記録ヘッドの吐出口列は主走査方向に対してほぼ垂直な方向に配列されている。厳密には吐出タイミングのとの関係で主走査方向に多少斜めに配列されている場合も有る。さらに、本実施形態の記録ヘッドでは、黒インクを吐出する吐出口列の方がカラーインクを吐出する吐出口列よりトータルピッチが長くなっている。これによりモノクロデータのエリアでは黒を吐出する記録ヘッドの全幅320ノズルを用いて記録することによって高速化を実現することができる。
次に、本実施形態において使用するインクについて説明する。
本実施形態では、反応性カラーインクは、ブラックインクと混合された際に、ブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させる成分の染料と、ブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させる成分の添加剤のうちの少なくとも一方を含む。またブラックインクは、塩を含有している。
ここで、ブラックインク中の顔料における分散安定性の不安定化とは、具体的には、顔料の凝集、沈殿、あるいはブラックインクの増粘等である。増粘とは混合前のブラックインクとカラーインクのいずれの粘度よりも、両者を混合したインクの粘度の方が高くなった状態を意味する。
次に、ブラックインクとカラーインクの反応性について説明する。
本実施形態に使用するブラックインクとカラーインクの組成は、ブラックインクとカラーインクとが混合されたときにブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させるように各々が調製されることが好ましい。より具体的には、例えば
(1)カラーインクがブラックインクと混合されたときに、ブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させる染料を含んでいる態様
(2)カラーインクが、ブラックインクと混合されたときにブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させる添加剤とを含んでいる態様
等が挙げられる。
上記(1)の態様をさらに詳細に述べれば、例えば以下の(a)あるいは(b)の例が挙げられる。
(a)ブラックインク中の顔料がアニオン性基を有し、カラーインクの染料がカチオン性基を有するように調製する例。
この例においては、カラーインクとブラックインクとが混合されると、カラーインク中の染料のカチオン性基がブラックインク中の顔料のアニオン性基と反応し、ブラックインク中の顔料が分散破壊を起こし、顔料を凝集させ、インクを増粘させる。
(b)ブラックインク中の顔料がカチオン性基を有し、カラーインク中の染料がアニオン性基を有するように調製する例。
この例においては、カラーインクとブラックインクとが混合されると、カラーインク中の染料のアニオン性基がブラックインク中の顔料のカチオン性基と反応し、その結果ブラックインク中の顔料が分散破壊を起こし、顔料が凝集し、インクを増粘させる。
また、上記(2)の態様をより詳細に述べれば、例えば以下の(c)ないし(e)の例が挙げられる。
(c)ブラックインク中の顔料がアニオン性基を有し、 カラーインクが多価金属陽イオンからなる多価金属塩。例えば、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Co2+、Ni2+、Fe2+、La3+、Nd3+、Y3+およびAl3+の中から選ばれる多価金属陽イオンからなる少なくとも一つの多価金属塩を有するように調製する例。
この例においては、カラーインクとブラックインクとが混合されると、カラーインク中の多価金属塩の多価金属陽イオンがブラックインク中の顔料のアニオン性基と反応する。その結果ブラックインク中の顔料が分散破壊を起こし、顔料を凝集させ、インクを増粘させる。ここでカラーインクに含有させる多価金属塩は、カラーインクの全質量に対して例えば、約0.1〜15質量%を含有させることが好ましい。
(d)ブラックインク中の顔料がpH3〜7において安定に分散されていて、カラーインクがpH8〜11となるように調製する例。
この例においては、カラーインクとブラックインクが混合されると、ブラックインクのpHが上昇することにより、顔料の分散安定性が破壊され、顔料が凝集し、インクが増粘する。
(e)ブラックインク中の顔料がpH7〜11において安定に分散されていて、カラーインクがpH3〜6となる様に調製する例。
この例においては、カラーインクとブラックインクが混合されると、ブラックインクのpHが低下することにより、顔料の分散安定性が破壊され、顔料が凝集し、インクを増粘させる。
なお、本実施形態において、記録ヘッド部102〜107により吐出される3種類のカラーインクのうち、いずれか1つのインクのみ(例えば、シアンインクのみ)を反応性カラーインクとしてもよい。また、全てのカラーインクを反応性カラーインクとしてもよい。
次に本実施形態に使用するブラックインクについて詳細に説明する。
ブラックインク中の顔料は、例えばカーボンブラックが好適に用いられる。そしてカーボンブラックのインク中での分散の形態としては、自己分散型であっても、分散剤による分散の形態であってもよい。
ここで、自己分散型カーボンブラックについて説明する。自己分散型のカーボンブラックとしては、例えば、少なくとも1つの親水性基(アニオン性基やカチオン性基)がイオン性基としてカーボンブラック表面に直接、もしくは他の原子団を介して結合しているカーボンブラックが挙げられる。これを用いることによって、カーボンブラックを分散させるための分散剤の添加が削減あるいは不要となる。
アニオン性基を表面に直接もしくは他の原子団を介して結合しているカーボンブラックの場合、表面に結合されている親水性基の例として、例えば、-COO(M2)、-SO3(M2)、-PO3H(M2)、-PO3(M2)2等を挙げることができる。なお上記式中、「M2」は水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。
またブラックインク用の顔料は、自己分散型でない、通常のカーボンブラックを用いることもできる。また、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いても良い。そして、このような通常型のカーボンブラックをブラックインクの顔料として用いる場合には、これを水性媒体に安定して分散させるために分散剤をインク中に添加することが好ましい。
分散剤としては例えばイオン性基を有し、その作用によってカーボンブラックを水性媒体に安定に分散させることのできるものが好適に用いられる。そのような分散剤の具体例としては、例えば、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸-マレイン酸ハーフエステル共重合体、あるいは、これらの塩等が挙げられる。この中で質量平均分子量が、1000〜30000の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは3000〜15000の範囲である。
本実施形態にかかるブラックインクの有する塩としては、(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph-COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3および(M1)2CO3から選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。ここでM1はアルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Phはフェニル基を表す。
そしてアルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。また、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリメタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムおよびトリエタノールアンモニウム等が挙げられる。
ところで、本実施形態におけるブラックインクをインクジェット記録用に用いる場合には、インクは記録ヘッドから吐出可能な特性を有することが必要である。記録ヘッドからの吐出性という観点からすると、液体の特性としては、例えばその粘度を1〜15mPa・s、表面張力が25mN/m以上、特に、粘度を1〜5mPa・sとし、表面張力を25〜50mN/mとすることが好ましい。
図4は、本実施形態における、ブラックチップ10とカラーチップ20の概観図である。ブラックチップ10に形成されているインクの吐出口列100,101の中の使用可能な最大の領域(最大吐出口領域)のノズル群の幅をEとする。カラーチップ20のインクの吐出口列102〜107の中の使用可能な最大の領域(最大吐出口領域)のノズル群の幅をeとする。また、同一の主走査においてブラックチップ10とカラーチップ20とにより記録媒体の同一の記録領域に記録可能な吐出口領域の最大幅をeとする。Eとeの関係は、E=e×2である。さらに、ブラック用のインクの吐出口列の吐出口領域は、2つの分割吐出口領域第1ノズル群EAおよび第2ノズル群EB,に分割されており、各分割吐出口領域EA,EBまたは最大吐出口領域Eが、後述の記録走査において選択的に指定される。
ブラックの第2ノズル群の記録比率は、以下に示す通り、第1ノズル群の記録比率より高いことが画像品位上好ましい。さらに好ましくは第2ノズル群の記録比率Xは、50%<X<80%の範囲にあるのが好ましい。
本実施形態の記録方法では、カラー画像を記録する際に、上述したとおり、ブラックインクと反応するカラーインク(反応性カラーインク)をブラックインクと混合させるように使用する。
図5は、本実施形態における記録動作を説明するための図である。
本実施形態における記録動作は、同一記録領域を2以上の走査により画像形成を行なうものえある。まず、X1方向への第1回目の記録ヘッドの主走査(往走査)を行い、記録領域S1の記録を行う。このとき、ブラックインクによる記録には、ブラックの吐出口領域EB(第2ノズル群)のみを用いて記録を行い、吐出口領域EA(第1ノズル群)は使用しない。吐出口領域EBの記録比率が吐出口領域EAの記録比率より高い。特に、記録比率が50%<X<80%の範囲の値で記録を行なう。例えば、本実施形態では第2ノズル群の記録比率が75%、第1ノズル群の記録比率が25%であるものとする。
これにより、図5に示す記録領域S1の記録位置には、まずブラックインクのみによる記録が行われる。この第1回目の記録ヘッド走査(往走査)が終了すると、記録媒体は副走査方向(Y方向)へ吐出口領域E/2の幅に相当する量だけ搬送される。
続いて、図5に示すように、X2方向への第2回目の記録ヘッドの主走査(復走査)を行ない、記録領域S1とS2の記録を行う。このとき、記録領域S2に対しては、ブラックの吐出口領域EBのみを用いて記録を行なう。また、記録領域S1に対しては、ブラックインクの記録は、ブラックの吐出口領域EAを用い、カラーインクの記録は吐出口領域eを用いる。この第2回目の記録ヘッド走査(復走査)が終了すると、記録媒体は副走査方向(Y方向)へカラー吐出口領域eの幅に相当する量だけ搬送される。
次に、X1方向への第3回目の記録ヘッドの主走査(往走査)を行ない、記録領域S2とS3の記録を行う。このとき、記録領域S3に対しては、ブラックの吐出口領域EBのみを用いて記録を行なう。また、記録領域S2に対しては、ブラックインクの記録は、ブラックの吐出口領域EAを用い、カラーインクの記録は吐出口領域eを用いる。この第3回目の記録ヘッド走査(往走査)が終了すると、記録媒体は副走査方向(Y方向)へカラー吐出口領域eの幅に相当する量だけ搬送される。
このように本実施形態では、ブラックインクは2回の走査、カラーインクは1回の走査で画像を形成している。また、ブラックインクは必ずカラーインクより先打ちされる記録システムとなっている。
このように、本実施形態では、カラーインクの吐出口領域eと並列しない吐出口領域EB記録比率を50%<X<80%としている。その結果、カラーの吐出口領域eと重なるブラックの吐出口領域EAを使用する記録比率は低くなる。したがって、双方向プリントを行っても、往方向走査と復方向走査でブラックインクとカラーインクの記録順序が異なることが原因で生じる色ムラは、吐出口領域EBによるブラックインクの打ち込み量が少ないため発生軽減される。すなわち、吐出口領域EBにより記録された後に時間差が少なく吐出口領域eにより記録される領域であっても、ブラックインクが記録媒体に浸透してから、カラーインクが吐出されることになる。また、カラーインの吐出口領域eとブラックインクの吐出口領域EAとが並列する領域では、カラーインクがブラックインクと反応する反応性インクであり、本実施形態の記録比率(20%<X<50%)の場合には、色ムラは殆ど発生しない。
このように、以上説明した記録方法では、バンドの主走査方向における両端部で濃度の違い(色むら)が現われ難くなる。すなわち、記録比率の高いブラックインクにより記録を行ない、その後ブラックインクが記録媒体に浸透してからカラーインクによる記録を行なうことにより、インクの打ち込み順に起因する色むらを軽減することができる。
なお、本実施形態では、吐出口領域EAと吐出口領域EBとの記録比率は、20%<X<50%および50%<X<80%としているが、本発明の記録比率はこれに限定されるものではない。すなわち、ある領域をカラーインクとブラックインクと同一の走査で記録を行なうブラックインクのノズル群の記録比率が、カラーインクとブラックインクと同一の走査で記録を行なうことのないブラックインクのノズル群の記録比率より低いものであればよい。
また、本実施形態では、反応系のインクを用いているが、本発明はこれらのインクに限定されるものではない。すなわち、記録媒体に上述した多価金属陽イオンが含まれていても良い。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図4に示すように、ブラックインクの最大吐出口領域の幅をE、カラーインクの最大吐出口領域の幅をeとし、Eとeの関係は、E=e×2であったが、本発明はこのような関係に限定されない。Eの幅がeの幅よりも大きいものであればよい。
図6は、本実施形態における、ブラックチップ10とカラーチップ20の概観図である。本実施形態において、第1の実施形態と同様に、ブラックチップ10に形成されているインクの吐出口列100,101の中の使用可能な最大の領域(最大吐出口領域)幅はEとする。また、カラーチップ20のインクの吐出口列102〜107の中の使用可能な最大の領域(最大吐出口領域)幅はeとする。本実施形態では、ブラックノズルとカラーノズルを用いて双方向記録を行う際には、カラーノズル幅をeAに制限して使用する。すなわち、同一の主走査においてブラックチップ10とカラーチップ20とにより記録媒体の同一の記録領域に記録可能な吐出口領域の最大幅は、eAである。また、EとeAの関係は、E=eA×2となっている。
(第3実施形態)
第1実施形態の記録ヘッドは、ブラックインクの吐出口列の上流側にカラーインクの吐出口列が配置されたものであったが、本発明はこのような構成に限定されない。すなわち、ブラックインクの吐出口列の下流側にカラーインクの吐出口列が配置された記録ヘッドであってもよい。
図7は、本実施形態における、ブラックチップ10とカラーチップ20の概観図である。また、図8は、本実施形態における記録動作を説明するための図である。記録動作は第1実施形態と同様である。また、吐出口領域EA(第2ノズル群)の記録比率が吐出口領域EB(第1ノズル群)の記録比率より高い。特に、本実施形態の第2ノズル群の記録比率Xは、50%<X<80%の範囲にあるのが好ましい。
これにより、カラーの吐出口領域eと重なるブラックの第1ノズル群を使用する記録比率は低くなる。したがって、双方向プリントを行っても、往方向走査と復方向走査でブラックインクとカラーインクの記録順序が異なることが原因で生じる色ムラは、ブラックインクの打ち込み量が少ないため発生軽減されることになる。
なお、上述した実施形態ではカラーインクの吐出口列が主走査方向に対称に配列された記録ヘッドを用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、カラーインクそれぞれを吐出する吐出口列が複数備えていないものであってもよく、また、複数備えたものであっても、対称に配列された記録ヘッドでなくてもよい。この様な記録ヘッドであっても、特に本発明はブラックインクを使用した記録の記録時間差に用いられる場合には、カラーインクの吐出口列が対称に配置されていることによる色むらは視認しにくく、画像劣化を抑制することができる。
(第4実施形態)
本実施形態の記録ヘッドは、第1実施形態と同様にブラックインクの吐出口列の上流側にカラーインクの吐出口列が配置されたものである。本実施形態は、記録ヘッドによる記録に先立ち記録媒体上に画像を良好に形成させるように、前処理液をローラを用いて記録媒体に塗布するものである。すなわち、本実施形態の記録装置は、記録液中の着色剤を不溶化する化合物を含有する前処理液を塗布する塗布手段を備えたものである。
<前処理液>
本発明で使用する前処理液は、インク中の色材を不溶化若しくは凝集せしめる反応性成分を含有する。例えば、水性媒体中に、イオン性基の作用によって安定に分散又は溶解されている色材を有するインクと、記録媒体上で接触した場合に、該インクの分散安定性を破壊及び凝集することができる、金属塩(特には多価金属のイオン及びその塩)、低分子カチオン性化合物、及びカチオン性高分子から選ばれる、少なくとも何れかを、反応性成分として含むものが挙げられる。以下、これらの反応性成分について説明する。
(多価金属のイオン及びその塩)
本発明にかかる前処理液に用いることのできる好ましい多価金属イオンは、具体的には、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+等の二価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+等の三価の金属イオンが挙げられるがこれに限定されるものではない。これら多価金属イオンを前処理液に含有させるためには、多価金属の塩を用いる。塩とは、上記に挙げたような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、水に可溶なものであることを要する。塩を形成するための好ましい陰イオンは、例えば、Cl−、NO3−、I−、Br−、ClO3−、SO42−、CO32−、CH3COO−及びHCOO−等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明においては、反応性や着色性、更には取り扱いの容易さ等の点から、多価金属イオンは、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Al3+及びY3+が特に好ましく、更には、Ca2+が好ましい。又、陰イオンは、溶解性等の点から、NO3−が特に好ましい。
図10は、本実施形態のインクジェット記録装置の一例を示すものである。この画像形成装置は、シリアル型のインクジェット記録方式を採用するものである。画像形成装置は、記録ヘッド1と、給紙カセット16と、記録紙の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)へ記録ヘッドを往復移動させるための駆動手段と、これらの構成要素の駆動を制御する制御手段とを有する。給紙カセット16は、記録媒体(以下、記録紙ともいう)19を給紙するための給紙トレイ17と本発明の液体組成物を塗布するための手段とが一体形成されている。
記録ヘッド1は、インク吐出口が形成された面をプラテン41側に配向するようにしてキャリッジ2に搭載されている。図示しないが、記録ヘッド1は、上記インク吐出口と、インク液を加熱するための複数の電気熱片歓体(例えば発熱抵抗素子)と、これを支持する基板を有する。尚、記録ヘッド1はその上部のキャリッジ内にインクカートリッジを搭載している。
キャリッジ2は、記録ヘッド1を搭載し、且つ記録紙19の幅方向に沿って平行に延びる2本のガイド軸9に沿って往復移動することができる。又、記録ヘッド1は、このキャリッジの往復移動と同期して駆動し、インク液滴を記録紙19に吐出して画像を形成する。給紙カセット16は、画像形成装置本体から着脱することができる。記録紙19は、この給紙カセット16内の給紙トレイ17上に積載収納される。給紙時において、給紙トレイ17を上方向に押圧するスプリング18により最上位のシートが給紙ローラ40に圧接される。この給紙ローラ10は断面形状が概略半月形のローラであり、図示しないモータによって駆動回転し、不図示の分離爪により最上位のシート(記録紙19)のみを給紙する。
分離給紙された記録紙19は、大径の中間ローラ42と、それに圧接している小径の塗布ローラ26とによって、給紙カセット16の搬送面とペーパーガイド27の搬送面とに沿って搬送される。これらの搬送面は、中間ローラ42と同心的な円弧を描くようにして湾曲した面からなる。従って、記録紙19は、これらの搬送面を通過することによって、その搬送方向を逆転する。即ち、記録紙19の印字がなされる面は、給紙トレイ17から搬送されて中間ローラ42に達するまでは、下方向を向いているが、記録ヘッド1に対向する時点では、上方向(記録ヘッド側)を向く。従って、記録紙の印字面は、常に画像形成装置外側方向に向いている。
液体組成物塗布手段は、給紙カセット16内に設けられ、補充タンク22と、中間ローラ42と、塗布ローラ26を有している。補充タンク22は、液体組成物15を供給するために用いられる。中間ローラ42は、タンク22に周面の一部を浸した状態で回転自在に支持されている。塗布ローラ25は、中間ローラ42と平行となるようにして配置され、且つ中間ローラ12と接触し、同一方向へ回転する。また、塗布ローラ26は、記録紙19を搬送するための中間ローラ42と周面が接触、且つ平行となるようにして配置している。従って、記録紙19が搬送される際、中間ローラ42の回転に伴って中間ローラ42及び塗布ローラ36が回転する。その結果、供給ローラ13によって塗布ローラ26の周面に該液体組成物15が供給され、更に塗布ローラ26と中間ローラ42とによって挟持された記録紙19の印字面に満遍なく該液体組成物が供給ローラ26によって塗布される。
また、本画像形成装置では、補充タンク22内にフロート14が設けられている。このフロート14は、液体組成物15より比重の軽い物質であり、液体組成物の液面に浮かぶことにより透明部材である残量表示窓21を通して外から反応成分を含有した液体組成物の残量を目視で確認できる。
液体組成物の補充方法は、図3に示すように、給紙カセット16を画像形成装置本体から引き出した状態で、注入機具23の先端を切れ目の入ったゴム部材で構成される注入口20に差し込むことにより補充タンク22内に液体組成物を注入するものである。
このように、液体組成物を塗布された記録紙は、その後、主搬送ローラ37とそれに圧接しているピンチローラ38により所定量送られて記録部へと搬送され、記録ヘッド1からインクを付与される。以上の構成において給紙、印字された記録シート19は、排紙ローラ23とこれに圧接する拍車24とによって排出搬送され、排紙トレイ25上にスタックされる。
また、液体組成物をローラ等により付与する場合には、特に液体組成物の粘度の方がインクの粘度よりも高くする方が、少ない付与量でインクを効果的に不安定化でき、且つ記録物の定着性等にも良いために好ましい。より具体的に説明すると、液体組成物の粘度が高い方が、多価金属イオンがより記録媒体の上方に留まりやすくなるため、インクと効果的に反応しやすくなる。
本実施形態では、実施例1と同様に。カラーインクの吐出口領域eと並列しない吐出口領域EB記録比率を50%<X<80%としている。その結果、カラーの吐出口領域eと重なるブラックの吐出口領域EAを使用する記録比率は低くなる。したがって、双方向プリントを行っても、往方向走査と復方向走査でブラックインクとカラーインクの記録順序が異なることが原因で生じる色ムラは、吐出口領域EBによるブラックインクの打ち込み量が少ないため発生軽減される。すなわち、吐出口領域EBにより記録された後に時間差が少なく吐出口領域eにより記録される領域であっても、ブラックインクが記録媒体に浸透してから、カラーインクが吐出されることになる。また、カラーインの吐出口領域eとブラックインクの吐出口領域EAとが並列する領域では、前処理液と、ブラックインクが反応することにより、記録比率(20%<X<50%)の場合には、色ムラは殆ど発生しない。
本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置の主要部を示す概略図である。 本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置における制御回路の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態の記録ヘッドの吐出部の構造を部分的に示す模式図である。 本発明の第1実施形態のブラックチップとカラーチップの概観図である。 本発明の第1実施形態における記録動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態のブラックチップとカラーチップの概観図である。 本発明の第3実施形態のブラックチップとカラーチップの概観図である。 本発明の第3実施形態における記録動作を説明するための図である。 従来の双方向の主走査で記録を行うときの濃度の違いの発生を説明する図である。 本発明の第4実施形態のインクジェット記録装置の主要部を示す概略図である。
符号の説明
1 カートリッジ
2 キャリッジ
100 記録ヘッド
10 ブラックチップ
20 カラーチップ
100、101 ブラック吐出口列
102、107 シアン吐出口列
103、106 マゼンタ吐出口列
104、105 イエロー吐出口列

Claims (12)

  1. 第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドを用い、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向において双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録装置であり、
    前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、
    前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、
    前記第2のインクは、前記第1のインクの分散安定性を不安定化する成分を含むインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドを用い、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向において双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録装置であり、
    前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、
    前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、
    前記記録媒体には、前記第1のインクの分散安定性を不安定化する成分が含まれていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドを用い、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向において双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録装置であり、
    前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、
    前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、
    前記記録媒体の記録領域に記録液中の着色剤を不溶化する化合物を含有する前処理液を塗布する塗布手段を有していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 前記第1の吐出口列はブラックインクの吐出を行い、前記第2の吐出口列はカラーインクの吐出を行なうことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第2の吐出口列は、複数色のインクを吐出するための複数の吐出口列を具え、前記複数の吐出口列は、記録ヘッドの走査方向に対して同一色のカラーインクの吐出口列が対称に配列されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第2ノズル群の記録比率Xは、50%<X<80%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドであって、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向に双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録方法であり、
    前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、
    前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、
    前記第2のインクは、前記第1のインクの分散安定性を不安定化する成分を含むインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドであって、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向に双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録方法であり、
    前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、
    前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、
    前記記録媒体には、前記第1のインクの分散安定性を不安定化する成分が含まれていることを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 第1のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第1の吐出口列と、第2のインクを吐出するための複数の吐出口が記録媒体の搬送方向に配列された第2の吐出口列を備えた記録ヘッドであって、該記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向と交差する方向に双方向に走査させて記録を行なうインクジェット記録方法であり、
    前記第1の吐出口列は、前記第2の吐出口列よりも前記記録媒体の搬送方向に長く配列された吐出口列であり、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録する第1ノズル群と、前記第1の吐出口列のうち第2の吐出口列と同一の走査で前記記録媒体の同一領域を記録しない第2ノズル群を備え、
    前記記録媒体の同一記録領域に対し、第1ノズル群の記録比率は第2ノズル群の記録比率より低く、
    前記記録媒体の記録領域に記録液中の着色剤を不溶化する化合物を含有する前処理液を塗布する塗布工程を有していることを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 前記第1の吐出口列はブラックインクの吐出を行い、前記第2の吐出口列はカラーインクの吐出を行なうことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記第2の吐出口列は、複数色のインクを吐出するための複数の吐出口列を具え、前記複数の吐出口列は、記録ヘッドの走査方向に対して同一色のカラーインクの吐出口列が対称に配列されたことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記第2ノズル群の記録比率Xは、50%<X<80%であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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