JP4987773B2 - ロングレール - Google Patents
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Description
また、前記ハンマーピーニングは工具の先端を材料に打撃して溶接部に塑性変形を与えて、圧縮応力を導入するとともに、塑性変形により応力集中を低減することで疲労強度が向上すると言われている。しかし、打撃時の振動が大きく、作業者への負担が大きいことに加え、細かいコントロールが難しく、処理むらが生じやすい。例えば、非特許文献1によると、処理条件によっては加工によって生じるシワ状の溝部が影響し、疲労強度の向上効果は小さいことが示されている。
(1)2本のレールをテルミット溶接することにより製造されたロングレールであって、溶接部のビードの止端部に形成された鋳バリが、レール足裏部において1mm以下であり、レール足表部に位置する前記ビードの止端部において鋳バリが除去されており、前記ビードの止端部のうち少なくとも前記レール足表部に位置する領域において、表面から50μm以内の組織がパーライトを有しており、前記表面に対して垂直な断面において該パーライトの60%以上のラメラーが前記表面に対して±45°以下の角度を成していることを特徴とするロングレール。
(3)前記ビードの止端部のうち少なくとも前記レール足表部に位置する領域において、表面から50μm以内のパーライトの10%以上は、ラメラー間隔が70nm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のロングレール。
(4)前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域の前記断面において、表面から50μm以内のパーライトの5%以上は、ラメラー間隔が50nm以下であることを特徴とする上記(3)に記載のロングレール。
(5)前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域は、前記ロングレールの長手方向の断面における断面の曲率半径が1.5mm以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のロングレール。
(6)前記ビードの止端部の表面のうち前記レール足表部に位置する領域は、前記ロングレールの長手方向の残留応力が中立又は圧縮であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のロングレール。
(7)前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域は、超音波ピーニング処理されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のロングレール。
(8)荷重繰り返し回数200万回での疲労限界が280MPa以上であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のロングレール。
また、上記した断面において止端部10aの表面から50μm以内のパーライトの10%以上のラメラー間隔(隣り合う2つのフェライト相の中心間隔)が70nm以下である場合も硬度が上昇する(例えばHv50以上)為、特に疲労強度が向上する。この場合、止端部10aの表面から50μm以内に位置するパーライトの5%以上のラメラー間隔が50nm以下である場合、さらに疲労強度が向上する。
荷重繰返し速度は5Hzとし、溶接部が破断した時点で試験を終了した。また、荷重繰返し回数が200万回まで非破断であった場合は、そこで試験を終了した。
2分割式鋳型によるテルミット溶接法を用いて複数のロングレールを製造した。そして、このとき、鋳型の内面をレール足裏部に密着させ、レール足裏部に形成された鋳バリを1mm以下にした。そして、レール足表部に位置するビードの止端部の鋳バリを超音波ピーニング法により除去し、さらにビードの止端部に超音波ピーニング処理を行うことにより、複数の試料を作製した。複数の試料相互間は、超音波ピーニング処理の処理回数が異なっているが、他の作製条件は同じである。また、比較例として溶接まますなわち超音波ピーニング処理を行わないロングレールを作製した。
また発明例A4〜A6は、表面とパーライトラメラーの角度が±45°以下の組織が60%以上であり、かつ表面とパーライトラメラーの角度が±15°以下の組織が40%以上であるため、200万回疲労限界が240MPaとなった。
また、発明例A10〜A12は、表面とパーライトラメラーの角度が±45°以下の組織が60%以上であり、かつラメラー間隔が50nm以下のパーライトが5%以上であるため、200万回疲労限界が260MPaとなった。
2分割式鋳型によるテルミット溶接法を用いて複数のロングレールを製造した。このとき、鋳型の内面をレール足裏部に密着させ、レール足裏部に形成された鋳バリを1mm以下にした。そして、レール足表部に位置するビードの止端部の鋳バリを超音波ピーニング法により除去した試料7(図11(A)では「足表UIT(非付け根)」と記載)と、レール足表部に位置するビードの止端部の鋳バリを超音波ピーニング法により除去し、さらにビード止端部に追加の超音波ピーニング処理を3パス行った試料8(図11(A)では「足表UIT処理」と記載)とを作製した。なお、試料7のビード止端部は、鋳バリを除去する際にある程度の超音波ピーニング処理が行われている。
表5は様々な疲労強度改善方策をレールのテルミット溶接部に適用した場合の疲労試験の結果と処理時間を示したものである。
比較例C2は、鋼材表面に打撃される工具の先端曲率が15mmφの工具を用い、ビード10の止端部を集中的にハンマーピーニングした例である。加工は同じ位置を10パス繰り返した。加工部の凹みは深い部分ではレール母材表面から1.5mm程度あり、疲労強度は非処理材に比較してむしろ低下した。
比較例C5は、ビード10の止端部をTIG溶接機により幅約5mmの範囲で再溶融させて、滑らかな形状に再凝固させた例である。疲労強度は非処理材にくらべて向上したが、処理部の割れ防止のために400℃に予熱するために20分を要した。
このことから、超音波ピーニングは、他の疲労強度改善方法より効率的で効果的に疲労強度の向上が得られることが示された。
Claims (8)
- 2本のレールをテルミット溶接することにより製造されたロングレールであって、溶接部のビードの止端部に形成された鋳バリが、レール足裏部において1mm以下であり、レール足表部に位置する前記ビードの止端部において鋳バリが除去されており、前記ビードの止端部のうち少なくとも前記レール足表部に位置する領域において、表面から50μm以内の組織がパーライトを有しており、前記表面に対して垂直な断面において該パーライトの60%以上のラメラーが前記表面に対して±45°以下の角度を成していることを特徴とするロングレール。
- 前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域の前記断面において、表面から50μm以内に位置するパーライトの40%以上のラメラーが前記表面に対して±15°以下の角度を成していることを特徴とする請求項1に記載のロングレール。
- 前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域の前記断面において、表面から50μm以内のパーライトの10%以上は、ラメラー間隔が70nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロングレール。
- 前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域の前記断面において、表面から50μm以内のパーライトの5%以上は、ラメラー間隔が50nm以下であることを特徴とする請求項3に記載のロングレール。
- 前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域は、前記ロングレールの長手方向の断面における断面の曲率半径が1.5mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のロングレール。
- 前記ビードの止端部の表面のうち前記レール足表部に位置する領域は、前記ロングレールの長手方向の残留応力が中立又は圧縮であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のロングレール。
- 前記ビードの止端部のうち前記レール足表部に位置する領域は、超音波ピーニング処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のロングレール。
- 荷重繰り返し回数200万回での疲労限界が280MPa以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のロングレール。
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