JP4261879B2 - 疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、鋼板を用いた疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法に関する。
例えば、自動車用ロードホイール、プーリー、ギア、キャタピラーの動輪など、回転により繰り返し荷重を受ける重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、打ち抜き穴等を有する疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
回転による繰り返し荷重を受ける、自動車用ロードホイール、プーリー、ギア、キャタピラーの動輪などの回転体は、重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、打ち抜き穴等の金属疲労上の弱点を持つ。
これら、溶接、冷間曲げ加工、打ち抜きなどの加工後の後処理による溶接ビード形状や疲労強度の向上手法としては、従来、▲1▼グラインディング、▲2▼TIGドレッシング、▲3▼ショットピーニング、▲4▼ハンマーピーニングが用いられてきた。これらの手法は、応力集中部となる溶接止端部の形状を整形して応力集中を緩和する、もしくは残留応力を変化させて疲労強度を向上するというものである。しかし、これらの手法でも、以下のような問題点があった。
【0003】
ここで、グラインディング、TIGドレッシングは、応力集中部の形状を応力集中の少ない形状に整形することによって疲労強度を向上させるという手法である。しかし、これらは、重ね隅肉溶接継手や、打ち抜き穴の疲労強度の向上には効果があるが、冷間曲げ加工部については効果を持たないうえ、作業効率が著しく低く、大量生産品への使用には向いていなかった。さらに、グラインディングでは、歯を当てる方向が応力作用方向に直角の場合、かえって疲労き裂が進展しやすい処理痕ができてしまう場合があるなど、処理に技能が要求されるという面もある。
ところで、溶接部には一般に溶接入熱による局部的な熱膨張とその後の冷却による熱収縮によって残留応力が導入される。また、冷間加工部にも塑性変形に伴う大きな残留応力が存在する。このような残留応力が疲労強度を低下させる一つの大きな要因となっている。
そこで、疲労強度を向上させる別の手段として、圧縮残留応力を発生させるか、あるいは引張残留応力を低減して疲労強度を高める、ショットピーニングやハンマーピーニングなどの方法が知られている。なお、ショットピーニング処理は、疲労き裂発生の起点となる部位に、1mm弱の鋼球を多数打ち付け圧縮残留応力を付与する手法である。また、ハンマーピーニングは圧搾空気などを利用してピンを作動させ、処理部を叩くという手法である。
【0004】
しかし、ショットピーニングは巨大な機械が必要であるうえ、使用時にチャンバーが必要なのでやはり大量生産品への使用については効率が悪く、種々のユーティリティが必要となる。また、必要なところだけを処理するという箇所選択性が著しく劣るために、意匠性が求められる場合には使えなかった。
また、ハンマーピーニングは反動が大きく、また、あまりに大きな塑性変形を与えるために、薄い板に対しては使いにくいという欠点もあった。
さらに、ハンマーピーニングでは、数Hzの低周波の機械加工を継手部に施すため加工表面の凹凸が激しく、その凹部が応力集中部となって、疲労き裂の起点となるために処理結果が安定せず、ときには継手全体の疲労強度が却って低下する場合があるという問題点があった。
【0005】
さらに、溶接金属の加熱再溶融により溶接止端部形状の改善あるいは引張残留応力の軽減が可能であることも知られている。しかし、この手法も著しく効率が低いという問題があるうえ、効果もそれほど大きくない。
【0006】
以上のように、従来の疲労強度の向上技術を、自動車用ホイールをはじめとする回転体について採用することは困難であり、たとえ採用できても疲労強度向上代が低いレベルに留まっていた。そのため、材料の高強度化により対応してきたが、打ち抜き端面の疲労に対する感受性が、鋼材の強度が600N/mm2級以上になると、急激に高くなってしまうため、疲労向上効果は頭打ちとなってしまうという問題点があった。
なお、溶接継手部に超音波振動を与えることによって、疲労強度を向上させる方法に関する従来技術としては、例えば、米国特許第6,171,415号明細書に、溶接アークによって熱せられた溶接シーム部に沿って超音波振動を付与する方法が開示されている。
しかし、この従来技術は、溶接直後の高温の材料に超音波振動を与えることを前提としているうえ、本発明が提案しているような超音波振動子で打撃する具体的な対象物および処理範囲の開示がない。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,171,415号明細書
【0008】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、自動車用ホイール、プーリー、ギア、キャタピラーの動輪など、回転により繰り返し荷重を受ける重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、打ち抜き穴を有する金属板を用いた疲労強度に優れた回転体長寿命回転体の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するために鋭意検討の結果なされたものであり、自動車用ホイール、プーリー、ギア、キャタピラーの動輪など、回転により繰り返し荷重を受ける重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、打ち抜き穴の表面に、超音波振動処理を施すことにより、疲労強度に優れた回転体長寿命回転体の製造方法を提供するものであり、その要旨とするところは、特許請求の範囲に規定した通りの下記内容である。
【0010】
(1)2枚の鋼板を重ね合わせて端部を溶接した重ね隅肉溶接継手を有する回転体の製造方法であって、該重ね隅肉溶接継手のルート部の鋼板表面または表裏面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理によって幅1〜5mmの圧痕を形成することを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
ここに、超音波衝撃処理とは、超音波振動端子により鋼板表面を打撃する処理をいう。
【0011】
(2)鋼板の冷間曲げ加工部を有する回転体の製造方法であって、該冷間曲げ加工部の引張側表面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理を施すことによって、該引張側表面の表面硬さを非処理部と比較して10%以上増加させて、該冷間曲げ加工部の残留応力を圧縮の範囲にすることを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
(3)鋼板の冷間曲げ加工部を有する回転体の製造方法であって、該冷間曲げ加工部の圧縮側表面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理を施すことによって、該圧縮側表面を中心線平均粗さRa(JIS B 0601)で10μm以下に平滑化させて、該引張側表面の表面硬さを非処理部と比較して10%以上増加させて、該冷間曲げ加工部の残留応力を圧縮の範囲とすることを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体。
【0012】
(4)打ち抜き穴を有する鋼板の回転体の製造方法であって、該打ち抜き穴の端面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理を施すことによって、該打ち抜き穴端面の表面のノッチを中心線平均粗さRaで10μm以下に平滑化させて、該打ち抜き穴端面に硬さ400Hv以上の硬化組織がなく、該打ち抜き穴端面の表面から発生した200μm以下の微細な亀裂を、元の長さの50%以下の深さまで扁平化させることを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
(5)前記鋼板の引張強度が400N/mm2以上であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
(6)重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、および/または打ち抜き加工部を有する鋼板製回転体の製造方法において、溶接継手の止端部、ルート部、鋼板の冷間加工部、打ち抜き加工部の被処理部の形状に応じた、ピンの先端が凸状または凹状となった超音波振動端子を用いて、超音波衝撃処理を施すことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれか1項に疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
自動車用ロードホイールを例として、本発明の実施形態について、図1乃至図6を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態である自動車用ロードホイールの側面図である。
図1の自動車用ロードホイールは、鋼板やアルミ板を打ち抜き加工を含むプレス成形加工により加工されたホイール・ディスク材と、ロール成形されたホイール・リム材を溶接して製造され、1は打ち抜き穴を示している。
以下、金属板とは、鋼板やアルミニウム合金板を含む金属製の板をいう。
【0014】
図2は、本発明の一つの実施形態である自動車用ロードホイールの断面図であり、図1のA−A´断面を示している。
図2において、1は金属板をプレスにより打ち抜いた打ち抜き穴であり、2は金属板を冷間にてプレス成形加工されたいわゆるハット部であり、曲げ加工成分を有することから本発明の冷間曲げ加工部に相当するものであり、3は2枚の金属板を重ね合わせた端部を溶接する重ね隅肉溶接継手部を示す。
自動車の走行中の繰り返し荷重によって、これらの溶接部、冷間曲げ加工部、および、打ち抜き穴に応力集中が発生し易く、これらの部分の疲労強度が最も小さくなるため、この部分に超音波衝撃処理を行うことによって疲労強度を著しく向上させることができる。
【0015】
図2における4が超音波振動端子を示しており、本発明に使用する超音波振動の発生装置は、発振機により発振され、トランスデューサにより19kHz〜60kHzの機械的振動に変換され、ウェーブガイドにてその振幅を増幅させることにより、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させることによって、打撃部の表面の平滑性に優れた深さ数百μm程度の圧痕を形成することができる。この超音波振動発生装置は、以下の実施形態にも共通して用いることができる。
【0016】
図3は、2枚の金属板の重ね隅肉溶接継手部を示す図であり、図2における3の詳細図である。
図3において、6、7は2枚の金属板であり、9が止端部、10がルート部を示し、止端部9における曲率半径ρが止端半径、その角度θは止端角を示す。
本発明における回転体(例えば自動車用ロードホイール)は、この重ね隅肉継手の止端部9の周囲に、超音波衝撃処理によって形成された幅1〜5mmの圧痕を有しており、該超音波衝撃処理を施した止端部における止端半径ρが1mm以上である。
【0017】
前述の超音波振動端子によって止端部9の周囲を打撃することによって幅1〜5mmの圧痕を形成し、止端部における止端半径ρを1mm以上とすることにより、止端部9の応力集中を緩和するとともに、引張残留応力を圧縮残留応力に変えることができるので回転体の疲労強度を著しく向上させることができる。
本発明における回転体(例えば自動車用ロードホイール)は、この重ね隅肉継手のルート部10の金属板表面または表裏面に、超音波衝撃処理によって形成された幅1〜5mmの圧痕を有する。
【0018】
前述の超音波振動端子によってルート部10の鋼板表面または表裏面を打撃することによって幅1〜5mmの圧痕を形成し、ルート部10の応力集中を緩和することができるので回転体の疲労強度を著しく向上させることができる。
図4は、鋼板の冷間曲げ加工部を示しており、図2における2の拡大詳細図である。
図4において、4、4´は本発明に用いる超音波振動端子を示し、回転体の冷間曲げ加工部(例えばホイールのハット部)の表裏面から超音波振動を付与することにより、冷間曲げ加工部の引張側表面である凸面および圧縮側表面である凹面の表面硬さが非処理部と比較して10%以上増加しており、冷間曲げ加工部の残留応力が圧縮の範囲となっている。
【0019】
この結果、冷間曲げ加工部の疲労強度を著しく向上させることができる。
また、冷間曲げ加工部の圧縮側表面である凹面のみを打撃することによって、圧縮側表面が中心線平均粗さRaで10μm以下に平滑化されるとともに、冷間曲げ加工部の残留応力が圧縮の範囲となり、また、使用時に人目に触れる表面側に処理痕を残さないので、意匠性を維持したまま疲労強度を向上させることができる。
なお、鋼板表面の凹面を打撃する超音波振動端子の先端を凸型とし、鋼板表面の凸面を打撃する超音波振動端子の先端を鋼板表面の凸面より大きな曲率半径の凹型にすることによって(ただし、図2および図4では超音波振動端子4'の先端の曲率半径は誇張されている。)、鋼板表面に超音波振動端子の先端がならい易いので、表面硬さと引張残留応力の軽減効果をさらに高めることができる。
【0020】
図5および図6は、金属板の打ち抜き穴部に超音波衝撃処理を施す状況を示すもので、図5は図2の部分拡大図、図6はその斜視図である。
図5において、4´は本発明に用いる超音波振動端子を示し、回転体の打ち抜き穴部5(例えばホイールの打ち抜き穴部)の端面に超音波振動を付与することにより、打ち抜き穴端面の表面のノッチが中心線平均粗さRaで10μm以下に平滑化されており、該打ち抜き穴端面に硬さ400Hv以上の硬化組織がなく、該打ち抜き穴端面の表面から発生した200μm以下の微細な亀裂が、元の長さの50%以下の深さまで扁平化している。
この結果、打ち抜き穴部の疲労強度を著しく向上させることができる。
なお、打ち抜き穴端面を打撃する超音波振動端子の先端を凹型にすることによって、打ち抜き穴端面に超音波振動端子の先端がならい易いので、ノッチの平坦化、硬化組織の除去、および、微細亀裂の扁平化効果をさらに高めることができる。
また、超音波衝撃処理のような残留応力を与える手法は、適用する材料が高強度材の方が低強度材と比較して効果が得られやすい。これは、高強度材の方が導入された残留応力が付加される外力によって再配分されにくいという特性によるものである。
【0021】
図6において、左右の超音波振動端子4´を上下にずらして配置することによって、左右の超音波振動端子4´が相互に干渉することがないので超音波打撃処理を効率的に行うことができる。
以上の実施形態は、自動車用ロードホイールを例にとって説明したが、本発明は、プーリー、ギア、キャタピラーの動輪など、回転により繰り返し荷重を受ける重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、打ち抜き穴を有する金属板を用いた回転体に広く適用できるものである。
【0022】
【実施例】
本発明における鋼板製の自動車用ロードホイールの実施例により、本発明の効果を説明する。
自動車用の13インチのロードホイールについて、処理方法を変えてその疲労強度を比較した。なお、ここで使用したホイール・ディスク材は、板厚3.2mm、強度690N/mm2および板厚4.0mm、強度330N/mm2の素材から加工したものである。
疲労試験は回転曲げモーメント負荷にて行った。繰り返し速度は700rpm、ボルト締め付けトルク98Nm、試験モーメントは1.47kNmである。
また、処理前の初期き裂としては、人工的に打ち抜き孔端部に深さ200μmのノッチを入れ、試験後に当該部分を切り出して、き裂長さを計測した。
【0023】
【表1】
表1に結果を示す。
No.1は、発明例であり、曲げ加工部の表裏面、打ち抜き穴端面、重ね隅肉溶接継手部とも先端が凸型の超音波振動端子を用いて打撃処理を行ったので、超音波衝撃処理を行った鋼板表面は平滑化されており、残留応力も圧縮残留応力となっているので疲労寿命は長くなっており評価は「OK」(良好)だった。
No.2、No.3は、発明例であり、曲げ加工部の表裏面、および重ね隅肉継手部は先端が凸型の超音波振動端子を用いて打撃処理を行い、打ち抜き穴端面は、凹型の超音波振動端子を用いて打撃処理を行ったので、超音波衝撃処理を行った鋼板表面がさらに平滑化され、疲労寿命はさらに長くなっており、評価は「OK」(良好)だった。
なお、No.1〜No.3の発明例においては、超音波打撃処理を施した鋼板表面の表面硬さ(ビッカース硬度)は、非処理部と比較して約30%増加した。
また、打ち抜き穴端面に硬さ400Hv以上の硬化組織がなく、打ち抜き穴端面の表面に導入した200μmのノッチが、元の長さの約30%の深さまで扁平化した。また、溶接部での処理痕も確認できる。
【0024】
No.4は比較例であり、加工後の処理を何も行っていないので加工面は粗く、残留応力は引張り残留応力となっている部分が多いため、疲労寿命は短くなっており、評価は「NG」(不良)だった。
No.5は比較例であり、加工後の打ち抜き穴の端面にグラインダー処理を施したので表面の平滑性は向上しているが、残留応力は改善されていないので疲労寿命は短くなっており、評価は「NG」(不良)だった。
No.6は比較例であり、加工後の曲げ加工部表面にショットピーニング処理を施したので表面の平滑性も、残留応力も改善しており、疲労寿命は長くなっているが、他の部分に対しては何もしていないので、本発明の半分以下に留まっており、評価は「NG」(不良)だった。
No.7は、ホイール・ディスク材の強度が330N/mm2の実施例であり、曲げ加工部の表裏面、重ね隅肉溶接継手部とも先端が凸型の超音波振動端子を用いて打撃処理を行い、打ち抜き穴端面は、凹型の超音波振動端子を用いて打撃処理を行ったが、超音波衝撃処理を行った鋼板表面がさらに平滑化されて、長寿命が得られており、評価は「OK」(良好)であった。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車用ロードホイール、プーリー、ギア、キャタピラーの動輪など、回転により繰り返し荷重を受ける重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、打ち抜き穴の表面に超音波振動処理を施すことにより疲労強度に優れた回転体長寿命回転体を提供することができ、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態である自動車用ホイールの側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】2枚の金属板の重ね隅肉溶接継手部を示す拡大図で説明する図である。
【図4】金属板の冷間曲げ加工部への超音波衝撃処理の状況を説明する図である。
【図5】金属板の打ち抜き穴部への超音波衝撃処理の状況を部分拡大図で説明する図である。
【図6】図5の状況を斜視図で説明する図である。
【符号の説明】
1:打ち抜く穴、 2:冷間曲げ加工部、 3:重ね隅肉継手部、
4:超音波振動端子(先端部:凸型)、
4´:超音波振動端子(先端部:凹型)、 5:打ち抜き穴端面、
6、7:金属板、 8:溶接金属、9:止端部、10:ルート部
Claims (6)
- 2枚の鋼板を重ね合わせて端部を溶接した重ね隅肉溶接継手を有する回転体の製造方法であって、該重ね隅肉溶接継手のルート部の鋼板表面または表裏面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理によって幅1〜5mmの圧痕を形成することを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
- 鋼板の冷間曲げ加工部を有する回転体の製造方法であって、該冷間曲げ加工部の引張側表面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理を施すことによって、該引張側表面の表面硬さを非処理部と比較して10%以上増加させて、該冷間曲げ加工部の残留応力を圧縮の範囲にすることを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
- 鋼板の冷間曲げ加工部を有する回転体の製造方法であって、該冷間曲げ加工部の圧縮側表面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理を施すことによって、該圧縮側表面を中心線平均粗さRaで10μm以下に平滑化させて、該引張側表面の表面硬さを非処理部と比較して10%以上増加させて、該冷間曲げ加工部の残留応力を圧縮の範囲とすることを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
- 打ち抜き穴を有する鋼板の回転体の製造方法であって、該打ち抜き穴の端面に、周波数19kHz〜60kHzで、φ2mm〜6mmのピンからなる超音波振動端子を20〜40μmの振幅で振動させる超音波衝撃処理を施すことによって、該打ち抜き穴端面の表面のノッチを中心線平均粗さRaで10μm以下に平滑化させて、該打ち抜き穴端面に硬さ400Hv以上の硬化組織がなく、該打ち抜き穴端面の表面から発生した200μm以下の微細な亀裂を、元の長さの50%以下の深さまで扁平化させることを特徴とする疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
- 前記鋼板の引張強度が400N/mm2以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
- 重ね隅肉溶接継手、冷間曲げ加工部、および/または打ち抜き加工部を有する鋼板製回転体の製造方法において、溶接継手の止端部、ルート部、鋼板の冷間加工部、打ち抜き加工部の被処理部の形状に応じた、ピンの先端が凸状または凹状となった超音波振動端子を用いて、超音波衝撃処理を施すことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた長寿命回転体の製造方法。
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