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JP4974538B2 - Epdm発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白色系又はカラーEPDM発泡体及びその製造方法に関するものである。
従来から知られたゴム発泡体製品は、その使用目的に応じていくつかのゴム原料を混ぜ合わせ、これに配合剤を加え、加硫工程を経て製造されている。その中のエチレンプロピレンジエン共重合体ゴム(EPDM)は、耐熱性、耐トラッキング性や反発弾性がよい為その用途は極めて広く、一般ゴム製品、工業用ゴム製品、自動車用ゴム製品、建築用ゴム製品等に使用されている。例えば、EPDM発泡性組成物を金型内で加熱して1次加熱段階の予備処理を施した後、大型の金型枠内で加熱して2次加熱段階により製造する方法(特許第3181549号公報)が提案されている。
しかし、従来のEPDM発泡体は補強剤にカーボンブラックを使用している為、発泡体の色を黒以外にすることができなかった。
従来、白色のEPDMゴム組成物を得る方法としては、酸化けい素、炭酸カルシウム、タルク、クレイなどの白色フィラーを配合したり(特開平11−310673号公報)、シリカおよび活性化炭酸カルシウムを配合する方法(特開2000−302268号公報)が知られている。
特開平11−310673号公報 特開2000−302268号公報
しかしながら、上記特許はEPDMの固形物の特許であり、白色フィラーを既存のEPDM発泡体に単純に配合するだけでは、発泡時にガス抜けや割れが生じ、正常な発泡体が得られなかった。
本発明者らは、高エチレンタイプのEPDM樹脂と、高ムーニー粘度のEPDM樹脂をブレンドし、さらに表面処理をした炭酸カルシウムを添加することにより、発泡時にガス抜けや割れが生じない、白色系又はカラーEPDM発泡体およびその製造方法を開発した。
本発明に係るEPDM発泡体は、高エチレンタイプのEPDM樹脂と、高ムーニー粘度のEPDM樹脂に表面処理をした炭酸カルシウムを添加し、軟化剤、充填剤、加硫促進剤、発泡剤及び加硫剤を添加混練して加熱、発泡して得られるものである。
上記発泡体において、高エチレンタイプのEPDM樹脂のエチレン含有量は、60〜75重量であることが好ましい。この条件を満たすと、発泡時のガス抜けや割れがなくなる。エチレン含有量が、60重量未満の場合は、ガス抜けが生じやすい。エチレン含有量が、75重量%を超える場合は、割れが発生しやすい。
上記発泡体において、高ムーニー粘度タイプのEPDM樹脂のムーニー粘度は、55〜65ML(1+4)100℃であることが好ましい。この条件を満たすと、発泡時のガス抜けや割れがなくなる。ムーニー粘度が55ML(1+4)100℃未満の場合はガス抜けが生じやすい。ムーニー粘度が65ML(1+4)100℃を超える場合は割れが発生しやすい。
本発明に係るEPDM発泡体の製造方法は、高エチレンタイプのEPDM樹脂70〜90重量部と、高ムーニー粘度のEPDM樹脂30〜10重量部からなるゴム組成物に補強剤として表面処理をした炭酸カルシウム10〜30重量部を添加し、軟化剤、充填剤、加硫促進剤、発泡剤及び加硫剤を添加混練して加熱、発泡させるものである。
上記本発明の製造方法において、高エチレンタイプのEPDM樹脂のエチレン含有量は、60〜75重量%であることが好ましい。この条件を満たすと、発泡時のガス抜けや割れがなくなる。エチレン含有量が、60重量%未満の場合は、ガス抜けが生じやすい。エチレン含有量が、75重量%を超える場合は、割れが発生しやすい。
上記本発明の製造方法において、高ムーニー粘度タイプのEPDM樹脂のムーニー粘度は、55〜65ML(1+4)100℃であることが好ましい。この条件を満たすと、発泡時のガス抜けや割れがなくなる。ムーニー粘度が55ML(1+4)100℃未満の場合はガス抜けが生じやすい。ムーニー粘度が65ML(1+4)100℃を超える場合は割れが発生しやすい。
本発明の方法によれば、発泡体の色が黒色以外の、白色系EPDM発泡体が得られ、黄色や赤色等の顔料を添加すれば、黄色や赤色等のカラーEPDM発泡体を得ることが出来る。
本発明でいうEPDM樹脂とは、エチレンプロピレンジエン共重合体ゴムであり、エチレン含有量60〜75重量%およびムーニー粘度55〜65ML(1+4)100℃のものが好ましい。
本発明でいう補強剤には、表面処理をした炭酸カルシウムが用いられ、その表面処理剤には脂肪酸等がある。また、その粒子径は100nm以下であることが好ましい。100nmを越える粒子径を添加すると、発泡体のホールの原因になる。その添加量はEPDM樹脂100重量部に対して10〜30重量部添加することが好ましい。炭酸カルシウムの添加量が上記範囲未満である場合、補強効果に劣り、上記範囲を越えて添加する場合、発泡成形を阻害し、満足な発泡体が得られない。
本発明でいう軟化剤とは、プロセスオイル、可塑剤、パラフィンワックス、流動性パラフィン等のゴムとの相溶性が良いものであり、ゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは30〜100重量部含むことが望ましい。軟化剤の添加量が上記範囲未満である場合、発泡体の柔軟性が乏しくなり、上記範囲を越えて添加する場合、発泡成形を阻害し、満足な発泡体が得られない。
本発明でいう充填剤とは、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ等である。
本発明でいう加硫促進剤とは、チアゾール系の2−メルカプトベンゾチアゾール等;グアニジン系のジフェニルグアニジン等;チウラム系のテトラメチルチウラムジスルフィドまたはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等;ジチオカルバメート系のジブチルジチオカルバミン酸亜鉛等のゴムに常用されるものである。
本発明でいう発泡剤とは、アゾ系化合物のアゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等;ニトロソ系化合物のジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリニトロトリメチルトリアミン等;ヒドラジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等;スルホニルセミカルバジッド系化合物のp,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジッド、トルエンスルホニルセミカルバジッド等である。
本発明でいう加硫剤とは、硫黄粉、硫黄化合物のアルキルフェノールジスルフィド等;有機過酸化物のジクミルパーオキサイド等である。
本発明において、発泡助剤を発泡剤の種類に応じて添加することができる。発泡助剤としては尿素を主成分とした化合物、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、サリチル酸、ステアリン酸等を主成分とする化合物、即ち高級脂肪酸あるいは高級脂肪酸の金属化合物などがある。
本発明のEPDM発泡体の製造方法は、用いた発泡剤や加硫剤などによる発泡温度や加硫開始温度などにより、従来公知の方法及び適宜の条件で行うことができる。特に好ましい方法及び条件を下記に記述する。
高エチレンタイプのEPDM樹脂75重量部と、高ムーニー粘度のEPDM樹脂25重量部からなるゴム組成物に表面処理をした炭酸カルシウム15重量部を添加し、周知の軟化剤、充填剤、加硫促進剤、発泡剤、発泡助剤及び加硫剤を添加し、これをミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機等によって練和する。次いで、得られた発泡性樹脂組成物をプレス中の金型に充填し、一定時間加圧下に90〜115℃で加熱し、未加硫ゴムをスコーチ状態にし、かつ、発泡剤を部分的に分解し、好ましくは、発泡倍率1.0〜1.2の中間発泡体を生成させる。次いで、該中間発泡体を常圧下にて密閉系でない直方体型などの所望の形状の型内に入れ、120〜140℃で加熱し、発泡剤及び加硫剤を完全に分解させて発泡体を得る。
以上のようにして得られた気泡体(いわゆる独立気泡体)は、次いで例えば等速二本ロール等により圧縮変形を加えることによって気泡膜は破壊され、気泡が連通化されて連続気泡体が得られる。等速二本ロールの表面に無数の小さい針を設けるか、又は等速二本ロールの前及び/又は後に無数の小さい針を設けたロールを配置して、該気泡体の表面に無数の小孔を開けることによって、気泡の連通化を促進させることができる。
高エチレンタイプのEPDM樹脂(商品名:エスプレン512F、エチレン含有量65重量%、住友化学株式会社製)75重量部と、高ムーニー粘度のEPDM樹脂(商品名:エスプレン600F、ムーニー粘度63ML(1+4)100℃、50%油展、住友化学株式会社製)25重量部、脂肪酸の表面処理を施したコロイド炭酸カルシウム(平均粒子径50nm)15重量部、プロセスオイル55重量部、タルク35重量部、充填剤(物質名:重質炭酸カルシウム)65重量部、アゾジカルボンアミド25重量部、硫黄粉3重量部、発泡助剤(物質名:尿素系複合剤)6重量部及び加硫促進剤(2−メルカプトベンゾチアゾール)5重量部からなる組成物を110℃に加熱された、プレス内の金型(30×150×150mm)に充填し、100kg/cmの圧力で45分間加熱し、中間発泡体(32×155×155mm)を生成した。
次いで、中間発泡体を気密でない金型(80×470×470mm)の略中央に載置し、125℃で80分間加熱して取り出し、発泡体(80×500×500mm)を得た。
得られた発泡体をロール間隔20mmに設定した等速二本ロールの間を5回通化させて気泡膜を破壊させ、気泡の連通化を行った。
得られた発泡体の見掛け密度は73kg/m、連続気泡率80〜100%であり、白色の弾力性のあるEPDM発泡体が得られた。
EPDM樹脂の比率を高エチレンタイプ90重量部と、高ムーニー粘度タイプ10重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させ、発泡体を得た。
得られた発泡体の見掛け密度は75kg/mであり、白色の弾力性のあるEPDM発泡体が得られた。
EPDM樹脂の比率を高エチレンタイプ70重量部と、高ムーニー粘度タイプ30重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させ、発泡体を得た。
得られた発泡体の見掛け密度は76kg/mであり、白色の弾力性のあるEPDM発泡体が得られた。
表面処理をされた炭酸カルシウムを30重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させ、発泡体を得た。
得られた発泡体の見掛け密度は76kg/mであり、白色の弾力性のあるEPDM発泡体が得られた。
比較例1
EPDM樹脂の比率を高エチレンタイプ95重量部と、高ムーニー粘度タイプ5重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させたが、ガス抜けがひどく、満足な発泡体を得ることが出来なかった。
比較例2
EPDM樹脂の比率を高エチレンタイプ65重量部と、高ムーニー粘度タイプ35重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させたが、割れがひどく、満足な発泡体を得ることが出来なかった。
比較例3
表面処理をされた炭酸カルシウムを5重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させたが、収縮がひどく、満足な発泡体を得ることが出来なかった。
比較例4
表面処理をされた炭酸カルシウムを40重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させたが、割れがひどく、満足な発泡体を得ることが出来なかった。
比較例5
表面処理をされた炭酸カルシウムの粒子径を150nm(商品名:Vigot−15、表面脂肪酸処理、白石工業株式会社製)15重量部に変えた以外は実施例1と同じ配合及び条件で発泡させたが、収縮がひどく、満足な発泡体を得ることが出来なかった。
以上のように、本発明の方法によれば、白色系EPDM発泡体を製造できる。また、黄色や赤色等の顔料を添加すれば、黄色や赤色等のEPDM発泡体を得ることが出来る。本発明の方法によって製造された白色系EPDM発泡体は、断熱材やクッション材等の工業用途以外に、多様な色を作ることができることから、雑貨等の用途に適用できる。

Claims (4)

  1. エチレン含有量が60〜75重量%である高エチレンタイプのEPDM樹脂70〜90重量部と、ムーニー粘度が55〜65ML(1+4)100℃であり、40〜60%油展されている高ムーニー粘度のEPDM樹脂30〜10重量部からなるゴム組成物に補強剤として表面処理をした粒子径が100nm以下である炭酸カルシウム10〜30重量部を添加し、軟化剤、充填剤、加硫促進剤、発泡剤および加硫剤を添加混練して加熱、発泡させてなるEPDM発泡体。
  2. 前記炭酸カルシウムの表面処理剤が脂肪酸であり、粒子径が100nm以下である請求項1記載の発泡体。
  3. エチレン含有量が60〜75重量%である高エチレンタイプのEPDM樹脂70〜90重量部と、ムーニー粘度が55〜65ML(1+4)100℃であり、40〜60%油展されている高ムーニー粘度のEPDM樹脂30〜10重量部からなるゴム組成物に補強剤として表面処理をした粒子径が100nm以下である炭酸カルシウム10〜30重量部を添加し、軟化剤、充填剤、加硫促進剤、発泡剤および加硫剤を添加混練して加熱、発泡させてなるEPDM発泡体の製造方法。
  4. 前記炭酸カルシウムの表面処理剤が脂肪酸であり、粒子径が100nm以下である請求項記載の発泡体の製造方法。
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