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JP4973590B2 - 動圧気体軸受 - Google Patents

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JP4973590B2 JP2008118126A JP2008118126A JP4973590B2 JP 4973590 B2 JP4973590 B2 JP 4973590B2 JP 2008118126 A JP2008118126 A JP 2008118126A JP 2008118126 A JP2008118126 A JP 2008118126A JP 4973590 B2 JP4973590 B2 JP 4973590B2
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Description

本発明は、航空機のエアサイクルマシン、ヘリウム液化装置の膨張タービン、自動車のターボチャージャ等の高速回転機械に使用される軸受に関し、特に、軸を取り付ける対象である固定部材と軸に設けた回転受圧部との間に形成された気体膜により荷重を支持する動圧気体軸受に関する。
高速回転機械用に使用される軸受として、軸を取り付ける対象である固定部材と軸に設けた回転受圧部との間に形成した楔状の空間により両部材間に薄い気体膜を生じさせ、この気体膜の潤滑作用により荷重を支持する動圧気体軸受が従来知られている。
このような従来の動圧気体軸受の一例として、固定部材に係止された可撓性を有するフォイル部を設け、このフォイル部と前記回転受圧部との間における初期楔状空間から回転受圧部とフォイルの間隙に導入された気体の圧力により、フォイルが撓んで隣接する支持突起間に複数の楔状空間を繰り返し形成するようにする構成が考えられている。このような構成に用いられるフォイル部には、固定部材に係止された環状のアンダーフォイルと、一部にうねり部を形成してなる環状のアッパーフォイルとを設け、このアッパーフォイルのうねり部と前記回転受圧部との間における初期楔状空間を形成しているとともに、前記アンダーフォイルとアッパーフォイルとの間の空間にアッパーフォイルを支持させるべく支持台を設ける態様が従来考えられてきている。そして、このような態様において、アッパーフォイル及びアンダーフォイルは、ともに上流側において固定部材に支持させるようにしている(特許文献1参照)。
特開2003−148461号公報
ところで、前記アッパーフォイルは薄い板状の部材であり、気体膜圧力が高い箇所においてはアッパーフォイルが大きく撓み、これに伴い回転受圧部との間の空間が大きくなる。ところが、前記特許文献1記載の構成では、アッパーフォイル及びアンダーフォイルをともに上流側において固定部材に支持させるようにしているので、アンダーフォイルの下流側が自由端となり、ばね定数は下流側にいくほど小さくなる、すなわち下流側にいくほど撓みやすくなるため、下流側で前記空間が拡開してしまう。その際、この空間における気体膜圧力が該空間の拡開に伴い低下してしまう不具合が発生する。
これを解決するために、前記特許文献1記載の構成では、アンダーフォイルであるバンプフォイルの下流側ピッチを小さくする、あるいはフォイルの高さを高くすることでフォイルの沈み込みを抑制する対策を施している。このようなフォイルは一般的には金属プレートからなる。しかし、下流側の狭いピッチで凹凸の大きい形状を成型することは、難しい製造工程が必要となるといった問題があった。
本発明は、以上に述べた課題を解決すべく構成するものである。
すなわち、本発明に係る動圧気体軸受は、軸を取り付ける対象である固定部材と軸に設けた回転受圧部との間に設けられるフォイル部を具備してなり、前記フォイル部が、軸の回転の際に気体膜を形成すべく前記回転受圧部との間にクサビ状空間を含む気体膜を形成するアッパーフォイルと、このアッパーフォイルと前記固定部材との間に配してなり前記アッパーフォイルを前記回転受圧部側に弾性付勢するアンダーフォイルとを具備するものであって、前記アンダーフォイルが、その突出端がアッパーフォイルに当接しアッパーフォイル側からの圧力を受けて弾性変形可能な複数の突条を有し、これら突条間の間隔及びこれら突条の突出幅が略同一であるとともに、前記アンダーフォイルが下流側の部位に固定部材に支持させるための支持部をさらにし、前記突条のうち1つが前記支持部から起立していることを特徴とする。
このようなものであれば、アンダーフォイルが下流側の部位に固定部材に支持させるための支持部を有することにより、支持部に近いアンダーフォイルの下流側は上流側と比較してばね定数が大きく、すなわちアンダーフォイルの下流側を所定量だけ弾性変位させるために必要な圧力は上流側と比較して大きく、従って、気体膜からアッパーフォイルを介して受ける圧力による変形の幅が小さい。このことにより、気体膜の形状を下流側に向かうにつれ幅寸法が小さくなるクサビ状に保ち、動圧気体軸受の負荷容量を大きくできる。さらに、このような構成であれば、気体膜から受ける圧力により、アッパーフォイルは下流側に滑り、一方、アンダーフォイルは上流側に滑る。従って、アッパーフォイル及びアンダーフォイルをともに上流側で支持させる場合と比較してアッパーフォイルとアンダーフォイルとが相対的に大きく摺動し、フォイル部の異常振動があった際に振動エネルギーをこの摺動のエネルギーに変換させて振動を減衰させることができる。
また、前記アンダーフォイルの上流側の部位が固定部材に支持されない自由端であれば、前記アンダーフォイルの上流側への滑る際に制約を受けないことで、アッパーフォイルとアンダーフォイル間で、より大きく摺動することができ、振動の減衰も更に可能となる。
さらに、前記アッパーフォイルが上流側の部位に固定部材に支持させるための支持部を有するものであれば、このアンダーフォイルは上流側へ滑るので、前段で述べた効果をより好適に得ることができる。
このような構成を簡単に実現できるようにするための態様として、前記アッパーフォイル及び前記アンダーフォイルを複数枚具備するとともに、アッパーフォイルの支持部と、このアッパーフォイルの上流側に隣接するアンダーフォイルの支持部とを同一箇所において固定部材に支持させているものが挙げられる。このようなものであれば、固定部材側において、アッパーフォイルの支持部を支持させるための機構を、このアッパーフォイルの上流側に隣接するアンダーフォイルの支持部を支持させるための機構と共用できるからである。
特に、前記アッパーフォイルの支持部と、このアッパーフォイルの上流側に隣接するアンダーフォイルの支持部とを一体に形成しているものであれば、部品点数を削減できるとともに、組立工数の削減を図ることもできる。
また、アンダーフォイルを所定量だけ弾性変位させるために必要な圧力を小さくし、下流端においてアッパーフォイルが回転受圧部に最も近接する形状となることを防ぎ、前記領域の上流側に隣接するより広い領域で気体膜の開口幅を小さくすることにより、動圧気体軸受の負荷容量をさらに大きくできるようにするための態様として、前記アンダーフォイルが下流側の部位に固定部材に支持させるための支持部を有するとともに、前記アンダーフォイルの下流端近傍に、上流側に隣接する部位よりもばね定数が小さな領域を設けているものが挙げられる
このようなものであれば、アンダーフォイルの下流側の部位を固定部材に支持させるようにしていることにより、アンダーフォイルの上流側では、下流側に向けてばね係数を大きく、すなわちアンダーフォイルを所定量だけ弾性変位させるために必要な圧力を下流側に向かうにつれ大きくするようにして、クサビ状の隙間の開口幅が小さくなることによる気体の圧力の上昇に対応させつつ、下流端近傍の領域では上流側に隣接する領域よりもばね定数を小さくできるからである
簡単な構成で下流端においてばね定数を低下させるようにするための構成として、前記アンダーフォイルの下流端及びその近傍に切欠き部を設けているものが挙げられる。
さらに、前記アンダーフォイルの切欠き部の基端部に前記支持部を設けているものであれば、この切欠き部を固定部材に設けた溝に係合させることにより、アンダーフォイルの下流側を安定して固定部材に支持させることができる。
本発明に係る動圧気体軸受の構成によれば、アンダーフォイルが下流側に固定部材に支持させるための支持部を有するので、アンダーフォイルの下流側は上流側と比較してばね定数が大きく、気体膜からアッパーフォイルを介して受ける圧力による変形の幅が小さい。このことにより、気体膜の形状を下流側に向かうにつれ幅寸法が小さくなるクサビ状に保つことができ、従って動圧気体軸受の負荷容量を大きくできる。
また、特に、下流端近傍に上流側に隣接する領域よりもばね定数を小さくしている領域を設けた場合、下流端においてアッパーフォイルが回転受圧部に最も近接する形状となることを防ぎ、前記領域の上流側に隣接するより広い領域で気体膜の開口幅を小さくすることができる。
加えて、このような構成であれば、気体膜から受ける圧力により、アッパーフォイルは下流側に滑り、一方、アンダーフォイルは上流側に滑る。従って、アッパーフォイル及びアンダーフォイルをともに上流側で支持させる場合と比較してアッパーフォイルとアンダーフォイルとが相対的に大きく摺動し、フォイル部の異常振動があった際に振動エネルギーをこの摺動のエネルギーに変換させて振動を減衰させることができる。
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る軸受は、図1に概略正面図を示すように、軸2を取り付ける対象である固定部材1と軸2に設けた回転受圧部3との間に設けられたフォイル部4と、このフォイル部4と前記回転受圧部3との間にクサビ状空間を含む気体膜Sとを具備してなる。
前記フォイル部4は、前記図1に示すように、前記固定部材1に略全体が添接可能であるとともに前記固定部材1に対して弾性突没可能な複数の突条51を有し前記固定部材1側に配してなるアンダーフォイル5と、このアンダーフォイル5に添接させてなり前記回転受圧部3との間に前記クサビ状空間を含む気体膜Sを形成するアッパーフォイル6とを具備する。ここで、図2にアンダーフォイル5を固定部材1に取り付けた状態の平面図、図3にこのフォイル部4の正面図をそれぞれ示している。また、前記図1及び図3ではアンダーフォイル5及びアッパーフォイル6は形状の理解を容易にするため、一定の厚さで示されているが、実際には、例えば0.1〜0.2mmの平板状であり、かつ軸1を巻回する環状に形成されている。
前記アッパーフォイル6及び前記アンダーフォイル5は、本実施形態では4枚ずつ対をなして設けていて、対をなすアッパーフォイル6及びアンダーフォイル5をそれぞれ重合させた状態に配している。
しかして本実施形態では、前記アッパーフォイル6の上流端部を固定部材に支持させているとともに、前記アンダーフォイル6の下流側を固定部材に支持させている。
さらに詳述すると、前記アッパーフォイル6は、平面視扇形板状をなし、上流端部に固定部材1に向かい突出し固定部材1に設けたフォイル固定溝1xに係合可能な支持部6aを有する。
一方、前記アンダーフォイル5は、平面視扇形板状をなし、下流端部に固定部材1に向かい突出し固定部材1に設けたフォイル固定溝1xに係合可能な支持部5aを有する。このアンダーフォイル5の支持部5aは、上流側に隣接するアッパーフォイル6の支持部6aと同一のフォイル固定溝1xに係合可能に構成している。さらに、このアンダーフォイル5は、径方向に延伸する前記突条51を複数本有し、この突条51の突出端が前記アッパーフォイル6に当接するとともに、少なくともこの突条51の基端近傍が固定部材1に当接するようにしている。なお、本実施形態では、この突条51間の角度を略同一としているとともに、この突条51それぞれの突出幅も略同一としている。加えて、この突条51は、前記アッパーフォイル6側からの圧力を受けて突出幅を減じるように弾性変形可能である。この突条51それぞれのばね定数は、固定端側すなわち下流端側から自由端側すなわち上流端側に向かうにつれ漸次小さくなる。
ここで、軸2及び回転受圧部3が回転すると、回転受圧部3とフォイル部4との隙間の空気が空気の粘性により引張られ、回転受圧部3とフォイル部4との隙間が次第に挟まっている気体膜Sの前記クサビ状空間の領域で圧力が上昇する。この圧力上昇によって、まず、アッパーフォイル6が固定部材1側に向かう作用を受ける。この際、アッパーフォイル6はアンダーフォイル5の突条51に圧接し、前記アンダーフォイル5が下方に向かう作用を受ける。この作用を受けて、前記突条51が弾性変形してアンダーフォイル5の表面形状が変化する。一方、前記アッパーフォイル6は、この突条51から上方に向かう弾性力を受ける。この弾性力は、例えば、前記クサビ状空間の入口部分すなわち気体膜Sの上流側では小さく、周方向中間部以降、すなわち気体膜Sの下流側では前記入口部分における弾性力よりも大きな所定の大きさである。そして、アッパーフォイル6が前記突条51からこのような弾性力を受けることにより、クサビ状空間を含む気体膜Sの形状が、例えば、入口部分から下流側に進むにつれ幅が小さくなるなど、適切な形状に維持され、前記突条51の上方部分において空気の圧力上昇が生じる。この圧力上昇により軸受は回転受圧部3を非接触で支えることになる。
従って、本実施形態に係る軸受の構成を採用すれば、アンダーフォイル5の下流側の部位に固定部材1に支持させるための支持部5aを設けていることにより、前記クサビ状空間の幅が小さく空気の圧力が高くなる気体膜Sの下流側の部位において突条51の弾性係数を大きくでき、従ってアッパーフォイル6の沈み込みを抑制することにより気体膜Sの形状をクサビ状に維持することができる。すなわち、フォイル部4が回転受圧部3に触れないようにできる限界の圧力をより高くでき、負荷容量を高めることができる。加えて、このような構成であれば、気体膜Sから受ける圧力により、アッパーフォイル6は下流側に滑り、一方、アンダーフォイル5は上流側に滑るので、アッパーフォイル6及びアンダーフォイル5をともに上流側で支持させる場合と比較してアッパーフォイル6とアンダーフォイル5とが相対的に大きく摺動し、フォイル部4の異常振動があった際に振動エネルギーをこの摺動のエネルギーに変換させて振動を減衰させることができる。
また、前記アッパーフォイル6及び前記アンダーフォイル5を各々複数枚、具体的には4枚ずつ具備するとともに、アッパーフォイル6の支持部6aと、このアッパーフォイル6の上流側に隣接するアンダーフォイル5の支持部5aとを固定部材1に設けた同一のフォイル固定溝1xに支持させているので、固定部材1側にはフォイル固定溝1xを4箇所だけ設ければよく、簡単な構成によって前段で述べた効果を実現できる。
次に、本発明の第二実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る軸受は、図4に概略正面図を示すように、軸A2を取り付ける対象である固定部材A1と軸A2に設けた回転受圧部A3との間に設けられたフォイル部A4と、このフォイル部A4と前記回転受圧部A3との間にクサビ状空間を含む気体膜SSとを具備してなる。
前記フォイル部A4は、前記図4に示すように、前記固定部材A1に添接可能であるとともに前記固定部材A1に対して弾性突没可能な複数の突条A51を有し前記固定部材A1側に配してなるアンダーフォイルA5と、このアンダーフォイルA5に添接させてなり前記回転受圧部A3との間に前記クサビ状空間を含む気体膜SSを形成するアッパーフォイルA6とを具備する。ここで、図5の(a)にアンダーフォイルA5の平面図、同図の(b)にアンダーフォイルA5の要部の側面図をそれぞれ示している。さらに、図6には、このフォイル部A4の正面図を示している。また、前記図4及び図6ではアンダーフォイルA5及びアッパーフォイルA6は形状の理解を容易にするため、一定の厚さで示されているが、実際には、例えば0.1〜0.2mmの平板状である。
前記アッパーフォイルA6及び前記アンダーフォイルA5は、本実施形態では4枚ずつ対をなして設けていて、対をなすアッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5をそれぞれ重合させた状態に配している。また、図示はしないが、これらアンダーフォイルA5及びアッパーフォイルA6は、固定部材1上に90度間隔で配置している。なお、前記図5では、アンダーフォイルA5の平面形状を矩形状に簡略化して記載しているが、実際には前記アッパーフォイルA6及び前記アンダーフォイルA5の形状は、上述した第一実施形態におけるアッパーフォイル6及びアンダーフォイル5とそれぞれほぼ同様な扇形である。
しかして本実施形態では、前記アッパーフォイルA6の上流端部を固定部材に支持させているとともに、前記アンダーフォイルA6の下流側を固定部材に支持させている。
さらに詳述すると、前記アッパーフォイルA6は、平面視略矩形状をなし、上流端部に固定部材A1に向かい突出し固定部材A1に設けたアッパーフォイル固定溝A1yに係合可能な支持部A6aを有する。
一方、前記アンダーフォイルA5は、平面視略矩形状をなし、下流側、具体的には下流端から上流側に該アンダーフォイルA5幅寸法の10分の1ないし4分の1変位した箇所に固定部材A1に向かい突出し固定部材A1に設けたアンダーフォイル固定溝A1xに係合可能な支持部A5aを有する。また、このアンダーフォイルA5は、径方向に延伸する突条A51を複数本有し、この突条A51の突出端が前記アッパーフォイルA6に当接するとともに、少なくともこの突条A51の基端近傍が固定部材A1に当接するようにしている。さらに、このアンダーフォイルA5の前記支持部A5aより下方の部位には、切欠き部A5xを設けている。そして、この切欠き部A5xの基端部に前記支持部A5aを配している。なお、前記突条A51間の間隔を略同一にしているとともに、それぞれの突条A51の突出幅も略同一にしている。加えて、この突条A51は、前記アッパーフォイルA6側からの圧力を受けて突出幅を減じるように弾性変形可能である。この突条A51のばね定数は、前記固定端すなわち支持部A5aから自由端側すなわち上流端側に向かうにつれ小さくなる。また、前記支持部A5aから下流の切欠き部A5xを設けた部位のこの突条A51のばね定数は、切欠き部A5xを備えており、また下流が拘束されていない自由端であることから、前記支持部A5aの上流側に隣接する突条A51のばね定数よりも小さい。
ここで、軸A2及び回転受圧部A3が回転すると、回転受圧部A3とフォイル部A4との隙間の空気が空気の粘性により引張られ、回転受圧部A3とフォイル部A4との隙間が次第に挟まっている前記気体膜SSのクサビ状空間の領域で圧力が上昇する。この圧力上昇によって、まず、アッパーフォイルA6が固定部材A1側に向かう作用を受ける。この際、アッパーフォイルA6はアンダーフォイルA5の突条A51に圧接し、前記アンダーフォイルA5が下方に向かう作用を受ける。この作用を受けて、前記突条A51が弾性変形してアンダーフォイルA5の表面形状が変化し、突条A51は前記アッパーフォイルA6を回転受圧部A3側に付勢する。すなわち、前記アッパーフォイルA6は、この突条A51から弾性付勢力を受ける。この弾性付勢力は、例えば、前記クサビ状空間の入口部分すなわち気体膜SSの上流側では小さく、周方向中間部以降、すなわち気体膜SSの下流側では前記入口部分における弾性力よりも大きな所定の大きさである。なお、アッパーフォイルA6の下流端の先では、気体膜から周囲への漏れが増加することで、圧力が急激に下がる。この影響で、近傍のアッパーフォイルA6がアンダーフォイルA5の突条A51に圧接する箇所において、前記アンダーフォイルA5が下方に向かう作用は小さくなる。また、アッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5の下流端では、前記支持部A5aの上流側に隣接する部位の弾性力よりは小さな弾性力を受ける。そして、アッパーフォイルA6が前記突条51からこのような弾性力を受けることにより、クサビ状空間を含む気体膜SSの形状は、入口部分から支持部A5aまでの領域では下流側に進むにつれて気体膜の圧力が上昇し、またアンダフォイルA5のばね定数が上昇することで入口部分から徐々に気体膜の厚みが狭まり、支持部A5a近傍では狭い隙間が形成される。更に支持部A5aから下流では、下流端に向かい気体膜の圧力は減少し、またばね定数が低下することでアッパーフォイルA6が支持部A5aよりも下流側でさらに回転受圧部A3に接近することを防ぎつつ、気体膜の隙間を保つ。
すなわち本実施形態では、アンダーフォイルA5の下流側の部位に設けた支持部A5aを固定部材A1に支持させるようにしていることにより、この支持部A5aより上流側では下流側に向けて突条A51のばね係数を大きくするようにし、クサビ状の隙間の開口幅が小さくなることによる気体の圧力の上昇に対応させつつ、支持部A5aより下流側の領域では上流側に隣接する領域よりもばね定数を小さくしているので、アンダーフォイルA5及びアッパーフォイルA6が下流端において回転受圧部A3に最も近接する形状となることを防ぐことができる。従って、支持部A5aから上流側の幅広い領域で気体膜SSの幅寸法を小さく設定できる。加えて、このような構成であれば、気体膜SSから受ける圧力により、アッパーフォイルA6は下流側に滑り、一方、アンダーフォイルA5は上流側に滑るので、アッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5をともに上流側で支持させる場合と比較してアッパーフォイルA6とアンダーフォイルA5とが相対的に大きく摺動し、フォイル部A4の異常振動があった際に振動エネルギーをこの摺動のエネルギーに変換させて振動を減衰させることができる。
また、前記アンダーフォイルA5の下流端近傍に切欠き部A5xを設けているので、簡単な構成で下流端においてアンダーフォイルA5のばね定数を低下させる構成を実現できる。
そして、前記アンダーフォイルA5の切欠き部A5xを固定部材に支持させるための固定部としているので、この切欠き部A5xを固定部材A1に設けたフォイル固定溝A1xに係合させることにより、アンダーフォイルA5の下流側を安定して固定部材A1に支持させることができる。
なお、各部の具体的な構成は、以上に述べたような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上述した第一実施形態において、図7に示すように、アンダーフォイル5の突条51の回転受圧部3側に複数のアッパーフォイル6が重合するようにしてもよい。更には、アッパーフォイルとアンダーフォイルの枚数は揃える必要はなく、例えば、1枚のアッパーフォイルを複数枚のアンダーフォイルで支持するようにしてもよい。
また、アッパーフォイルとアンダーフォイルとを一体に設けてもよい。具体的には、前記アッパーフォイルの支持部と、このアッパーフォイルの上流側に隣接するアンダーフォイルの支持部とを一体に形成するとよい。このようなものであれば、部品点数を削減できるとともに、組立工数の削減を図ることもできる。また、アッパーフォイルとアンダーフォイルの相対位置が装着状態において確実に決まるため、固定部材の支持部の加工精度なども緩和することが可能となる。なお、アッパーフォイルとアンダーフォイルとを一体化するにあたっては、同一部材から、2つの機能を有する部位を成型してもよいし、あるいは個別に成型した各フォイルを溶接、あるいは接着などにより一体化形成してもよい。
加えて、前記アンダーフォイルの突条間の間隔を同一にする必要はなく、例えば上流側に向けて突条間の間隔を広げるようにしてもよい。また、アンダーフォイルに突条を設ける替わりに、例えばアンダーフォイルを格子状に構成し、格子点の一部をアンダーフォイルの他の部位よりも回転受圧部側に突出させる形状を採用してもよい。
また、上述した第一及び第二実施形態では、アンダーフォイルは一種類としていたが、形状の異なる複数種のアンダーフォイルを重ね合わせて用いてもよい。その場合には、例えば剛性の最も高いアンダーフォイルをガス流れ下流側の部位にて固定部材に支持させることとし、他のアンダーフォイルの固定部材への支持位置は、下流側にこだわらず、また逆に互い違いの支持とすることで、フォイル間の摺動効果により、振動低減効果を更に高めることも可能となる。
また、前記第二実施形態において、図8及び図9に示すように、アンダーフォイルA5の下流側端に支持部A5aを設けるとともに、該アンダーフォイルA5の下流側端に切欠き部A5xを設けるようにしてもよい。さらに、このような支持部A5aに隣接する部位に折り返し部A5bを設け、支持部A5a及び折り返し部A5bを固定部材A1のフォイル固定溝1x内に挿入し、この折り返し部A5bが弾性変形して支持部A5aと離間する方向に弾性付勢された状態でアンダーフォイルA5を固定部材1に支持させるようにしてもよい。この場合、図示はしないが、フォイル固定溝A1xに隣接するアッパーフォイルの支持部を同時に挿入した状態で該アッパーフォイルA6を同時に固定部材A1に支持させるとなおよい。なお、前記図8では、アンダーフォイルA51の平面形状を前記図5と同様に矩形状に簡略化して記載しているが、実際には前記アンダーフォイルA51の形状は、上述した第一実施形態におけるアンダーフォイル5とそれぞれほぼ同様な扇形である。
ここで、前段で述べたような態様を採用した場合、アンダーフォイルの突条の回転受圧部側に複数のアッパーフォイルが重合する構成や、アッパーフォイルとアンダーフォイルとを一体に設ける構成や、前記アンダーフォイルの突条間の間隔を上流側に向けて突条間の間隔を広げる構成や、アンダーフォイルに突条を設ける替わりに例えばアンダーフォイルを格子状に構成し格子点の一部をアンダーフォイルの他の部位よりも回転受圧部側に突出させる構成などを採用してもよい。
さらに、上述した第一及び第二実施形態では、スラスト軸受について説明したが、ジャーナル軸受、あるいは円錐面で回転体を保持する軸受などに本発明に係る構成を採用してももちろんよい。なお、各フォイルの支持部溝部における固定部への支持は、溝への係合として説明したが、接着、締結あるいは溶接などを行い固定部材に支持する構成を採用してもよい。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
本発明の第一実施形態に係る軸受の正面図。 同実施形態に係る軸受のアンダーフォイルを固定部材に取り付けた状態の平面図。 同実施形態に係るフォイル部の正面図。 本発明の第二実施形態に係る軸受の正面図。 同実施形態に係る軸受のアンダーフォイルの平面図及び要部の正面図。 同実施形態に係るフォイル部の正面図。 本発明の他の実施態様に係るフォイル部の正面図。 本発明の他の実施態様に係るアンダーフォイルの平面図。 同実施態様に係るフォイル部の正面図。
符号の説明
1、A1…固定部材
1x、A1x…フォイル固定溝
2、A2…軸
3、A3…回転受圧部
4、A4…フォイル部
5、A5…アンダーフォイル
5a、A5a…支持部
A5x…切欠き部
6、A6…アッパーフォイル
6a、A6a…支持部
S、SS…気体膜

Claims (8)

  1. 軸を取り付ける対象である固定部材と軸に設けた回転受圧部との間に設けられるフォイル部を具備してなり、前記フォイル部が、軸の回転の際に気体膜を形成すべく前記回転受圧部との間にクサビ状空間を含む気体膜を形成するアッパーフォイルと、このアッパーフォイルと前記固定部材との間に配してなり前記アッパーフォイルを前記回転受圧部側に弾性付勢するアンダーフォイルとを具備するものであって、前記アンダーフォイルが、その突出端がアッパーフォイルに当接しアッパーフォイル側からの圧力を受けて弾性変形可能な複数の突条を有し、これら突条間の間隔及びこれら突条の突出幅が略同一であるとともに、前記アンダーフォイルが下流側の部位に固定部材に支持させるための支持部をさらにし、前記突条のうち1つが前記支持部から起立していることを特徴とする動圧気体軸受。
  2. 前記アンダーフォイルの上流側の部位が固定部材に支持されない自由端であることを特徴とする請求項1記載の動圧気体軸受。
  3. 前記アッパーフォイルが上流側の部位に固定部材に支持させるための支持部を有することを特徴とする請求項1又は2の記載の動圧気体軸受。
  4. 前記アッパーフォイル及び前記アンダーフォイルをそれぞれ1枚あるいは複数枚具備するとともに、アッパーフォイルの支持部と、このアッパーフォイルの上流側に隣接するアンダーフォイルの支持部とを同一箇所において固定部材に支持させていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の動圧気体軸受。
  5. 前記アッパーフォイルの支持部と、このアッパーフォイルの上流側に隣接するアンダーフォイルの支持部とを一体に形成していることを特徴とする請求項4記載の動圧気体軸受。
  6. 前記アンダーフォイルが下流側の部位に固定部材に支持させるための支持部を有するとともに、前記アンダーフォイルの下流端近傍に、上流側に隣接する部位よりもばね定数が小さな領域を設けていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の動圧気体軸受。
  7. 前記アンダーフォイルの下流端及びその近傍に切欠き部を設けていることを特徴とする請求項6記載の動圧気体軸受。
  8. 前記アンダーフォイルの切欠き部の基端部に前記支持部を設けていることを特徴とする請求項7記載の動圧気体軸受。
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