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JP4935702B2 - 動圧気体軸受の取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、航空機のエアサイクルマシン、ヘリウム液化装置の膨張タービン、自動車のターボチャージャ等の高速回転機械に使用される軸受に関し、特に、軸を取り付ける対象である軸受部材と軸に設けた回転受圧部との間に形成された気体膜により荷重を支持する動圧気体軸受の取付構造に関する。
高速回転機械用に使用される軸受として、軸を取り付ける対象である軸受部材と軸に設けた回転受圧部との間に形成した楔状の空間により両部材間に薄い気体膜を生じさせ、この気体膜の潤滑作用により荷重を支持する動圧気体軸受が従来知られている。
このような従来の動圧気体軸受の一例として、軸受部材に係止された可撓性を有するフォイル部を設け、このフォイル部と前記回転受圧部との間における初期楔状空間から回転受圧部とフォイルの間隙に導入された気体の圧力により、フォイルが撓んで隣接する支持突起間に複数の楔状空間を繰り返し形成するようにする構成が考えられている。このような構成に用いられるフォイル部には、軸受部材に係止された環状のアンダーフォイルと、一部にうねり部を形成してなる環状のアッパーフォイルとを設け、このアッパーフォイルのうねり部と前記回転受圧部との間における初期楔状空間を形成しているとともに、前記アンダーフォイルとアッパーフォイルとの間の空間にアッパーフォイルを支持させるべく支持台を設ける態様が従来考えられてきている。そして、このような態様において、アッパーフォイル及びアンダーフォイルは、ともに上流側において軸受部材に支持させるようにしている(特許文献1参照)。
特開2003−148461号公報
ところで、前記アッパーフォイル及びアンダーフォイルには、上流側の端縁をL字状に屈曲させてフィンを設けていて、このフィンを軸受部材に設けた係合溝に係合させて取り付けるようにしている。しかし、このような取付態様では、前記アッパーフォイル又はアンダーフォイルに軸受部材から離間させる方向の作用が加えられた場合に該アッパーフォイル又はアンダーフォイルが容易に脱落する。すなわち、このようなアッパーフォイル又はアンダーフォイルの取付態様では、取り付け作業の際に外れ止めを別途行う手間がかかる不具合が存在する。
本発明は、以上に述べた課題を解決すべく構成するものである。
すなわち本発明に係る動圧気体軸受の取付構造は、軸を取り付ける対象である軸受部材と軸に設けた回転受圧部との間に設けられるフォイル部とを具備してなり、前記フォイル部を構成するフォイルの一端部に軸受部材に支持させるためのフィンを有し、前記フィンが、前記軸受部材に向け屈曲するフィン本体及びこのフィン本体の突出端からさらに屈曲させて設けた係合部を有するとともに、前記軸受部材側に、前記フィン本体を収納する溝部及びこの溝部の先端から延伸して設けてなり前記係合部を収納する被係合部を有する係止穴を設けている動圧気体軸受の取付構造であって、前記フォイル部が、軸の回転の際に前記回転受圧部との間にクサビ状空間を含む気体膜を形成するアッパーフォイルと、このアッパーフォイルと前記軸受部材との間に配してなり前記アッパーフォイルを前記回転受圧部側に弾性付勢するアンダーフォイルとを具備し、前記アンダーフォイルの下流側端縁とアッパーフォイルの上流側端縁とを同一の係止孔に係止させてなることを特徴とする。
このようなものであれば、軸受部材へのフォイル部の取り付けの際に、フォイル部のフィンの係合部と軸受部材の係止穴の被係合部とを係合させ、フォイル部の位置決め及び抜け止めを図ることができる。また、厚み方向に隣接するフォイルがそれぞれ逆方向に摺動するので、フォイル間の摩擦によりダンピング効果を発生させることができる。
フォイル部が複数のフォイルを有し、前記係止孔に複数のフォイルを係止してなるものに特に有効な態様として、前記係止穴に複数のフォイルのフィンを同時に係止してなるものであって、係止穴の溝部の開口幅が前記複数のフォイルの前記フィン本体の厚さ寸法の合計に前記複数のフォイルのフィン本体のうち厚さ寸法が最小のものの厚さ寸法を加えたものよりも小さいものが挙げられる。このようなものであれば、前記溝部内でのフォイルのがたつきを少なくできるからである。
フォイル部の抜け止めをさらに有効に図ることができるようにするための態様として、前記係止穴の被係合部が傾斜面を有し開口幅が回転受圧部に向けて拡開する形状をなすとともに、前記フィンの係合部が、前記被係合部の傾斜面に圧接可能であるものが挙げられる。
フォイル部の溝部に沿う方向の位置決めをも有効に行わせるための態様として、前記係止穴の溝部の長手方向少なくとも一端部にストッパを設けているものが挙げられる。ここで、「前記係止穴の溝部の長手方向」とは、該溝部が延伸する方向を示す概念である。
本発明に係る動圧気体軸受の構造によれば、フォイルの一端部に軸受部材に支持させるためのフィンを有し、このフィンが、前記軸受部材に向け屈曲するフィン本体及びこのフィン本体の突出端からさらに屈曲させて設けた係合部を有するとともに、フォイルを取り付ける対象の軸受部材側に、前記フィン本体を収納する溝部と、前記溝部の先端から延伸して設けてなり前記係合部を収納する被係合部とを有する係止穴を設けているので、軸受部材へのフォイル部の取り付けの際に、フォイル部のフィンの係合部と軸受部材の係止穴の被係合部とを係合させ、フォイル部の位置決め及び抜け止めを図ることができる。
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る軸受は、図1に概略正面図を示すようなスラスト軸受であり、軸2を取り付ける対象である軸受部材1と軸2に設けた回転受圧部3との間に設けられたフォイル部4と、このフォイル部4と前記回転受圧部3との間にクサビ状空間を含む気体膜Sとを具備してなる。
前記フォイル部4は、前記図1に示すように、前記軸受部材1に略全体が添接可能であるとともに前記軸受部材1に対して弾性突没可能な複数の突条52を有し前記軸受部材1側に配してなるアンダーフォイル5と、このアンダーフォイル5に添接させてなり前記回転受圧部3との間に前記クサビ状空間を含む気体膜Sを形成するアッパーフォイル6とを具備する。ここで、図2に軸受部材1の平面図、図3にこの軸受付近の縦断面図、図4にこのフォイル部4の正面図をそれぞれ示している。また、前記図1及び図4ではアンダーフォイル5及びアッパーフォイル6は形状の理解を容易にするため、一定の厚さで示されているが、実際には、例えば0.1〜0.2mmであり、かつ軸1を巻回する環状に形成されている。
前記アッパーフォイル6及び前記アンダーフォイル5は、本実施形態では4枚ずつ対をなして設けていて、対をなすアッパーフォイル6及びアンダーフォイル5をそれぞれ重合させた状態に配している。
しかして、前記アッパーフォイル6及び前記アンダーフォイル5は、いずれも一端縁にフィン61、51を有するとともに、軸受部材1側には、このフィンと係合してこれらアッパーフォイル6及びアンダーフォイル5を係止可能な係止穴1xを設けている。
さらに詳述すると、前記アッパーフォイル6は、軸2の回転に伴い発生する気体膜Sのガス流れの上流側端縁に前記フィン61を設けてなる。このフィン61は、前記軸受部材1に向け屈曲するフィン本体611と、このフィン本体611の突出端からこのアッパーフォイル6の面板部すなわちフィン61以外の部分に平行にさらに屈曲させて設けた係合部612とを有する。
一方、前記アンダーフォイル5は、下流側端縁に前記フィン51を設けてなる。このフィン51も、前記フィン61と同様に前記軸受部材1に向け屈曲するフィン本体511と、このフィン本体511の突出端からさらに屈曲させて延伸する係合部512とを有する。
そして、前記係止穴1xは、いずれか1つのアッパーフォイル6のフィン61及び該アッパーフォイル6の上流側に隣接するアンダーフォイル5のフィン51と同時に係合する。この係止穴1xは、前記フィン本体511、611を収納する溝部1x1と、前記溝部1x1の先端から延伸して設けてなり前記係合部512、612と係合する被係合部1x2とを有する。なお、前記溝部1x1の幅寸法は、前記アッパーフォイル5の厚み寸法と前記アンダーフォイル6の厚み寸法との合計よりは大きく、この合計と前記アッパーフォイル6の厚み寸法との和よりは小さい。また、この係止穴1xの溝部1x1の内周側端部には、ストッパ7を設けている。このストッパ7は、係止穴1xを貫通するとともに、上部においてアッパーフォイル5及びアンダーフォイル6と当接し、これらアッパーフォイル5及びアンダーフォイル6がこのストッパ7を越えて内周側に移動することを規制している。
ここで、軸2及び回転受圧部3が回転すると、回転受圧部3とフォイル部4との隙間の空気が空気の粘性により引張られ、回転受圧部3とフォイル部4との隙間が次第に挟まっている気体膜Sの前記クサビ状空間の領域で圧力が上昇する。この圧力上昇によって、まず、アッパーフォイル6が軸受部材1側に向かう作用を受ける。この際、アッパーフォイル6はアンダーフォイル5の突条52に圧接し、前記アンダーフォイル5が下方に向かう作用を受ける。この作用を受けて、前記突条52が弾性変形してアンダーフォイル5の表面形状が変化する。一方、前記アッパーフォイル6は、この突条52から上方に向かう弾性力を受ける。この弾性力は、例えば、前記クサビ状空間の入口部分すなわち気体膜Sの上流側では小さく、周方向中間部以降、すなわち気体膜Sの下流側では前記入口部分における弾性力よりも大きな所定の大きさである。そして、アッパーフォイル6が前記突条52からこのような弾性力を受けることにより、クサビ状空間を含む気体膜Sの形状が、例えば、入口部分から下流側に進むにつれ幅が小さくなるなど、適切な形状に維持され、前記突条52の上方部分において空気の圧力上昇が生じる。この圧力上昇により軸受は回転受圧部3を非接触で支えることになる。
以上に述べたように、本実施形態に係る軸受の取付構造によれば、アンダーフォイル5の下流側端縁に設けたフィン51、及びアッパーフォイル6の上流側端縁に設けたフィン61が、前記軸受部材1に向け屈曲するフィン本体511、611、及びこのフィン本体511、611の突出端からさらに屈曲させて設けた係合部512、612をそれぞれ有するとともに、前記軸受部材1側に、前記フィン本体511、611を収納する溝部1x1と、前記溝部1x1の先端から延伸して設けてなり前記係合部512、612を収納する被係合部1x2とを有する係止穴1xを設けているので、軸受部材1へのフォイル部4の取り付けの際に、フォイル部4の各フォイル5、6のフィン51、61と軸受部材1の係止孔1xとを係合させ、フォイル部4の位置決め及び各フォイル5、6抜け止めを有効に図ることができる。
また、係止穴1xの溝部1x1の開口幅を、前記アッパーフォイル6及びアンダーフォイル5の前記フィン本体511、611の厚さ寸法の合計に前記アッパーフォイル6の厚さ寸法を加えたものよりも小さくしているので、前記溝部1x1内での各フォイル5、6のがたつきを少なくできる。
さらに、前記係止孔1xの溝部の内周側端部にストッパ7を設けているので、アッパーフォイル6及びアンダーフォイル5の内周側への脱落を防止でき、溝部1x1に沿う方向の位置決めをも有効に行わせることができる。
そして、各アッパーフォイル6の上流側端縁のフィン61と各アッパーフォイル6の上流側に隣接するアンダーフォイル5の下流側端縁のフィン51とを同一の係止孔1xに係止させているので、厚み方向に隣接するアッパーフォイル6及びアンダーフォイル5がそれぞれ逆方向に摺動し、これらの間の摩擦によりダンピング効果を発生させることができる。従って、ダンピング効果によりフォイル部4の振動を有効に防止することができる。
なお、スラスト軸受において、フォイル部4に異なる構成を採用してもよい。例えば、図5に示すように、前記アンダーフォイル5を省略し、前記アッパーフォイルと同様の構成を有する、すなわち上流側端縁にフィン41を有する1枚のフォイル4のみを係止穴1xに係合させ、前記フィン41に軸受部材1に向け屈曲するフィン本体411及びこのフィン本体411の先端からさらに屈曲させて設けた係合部412を設ける態様を採用してもよい。
一方、本発明に係る動圧気体軸受と同様の効果を奏する第1の参考例として、図6に示すように、フォイル部4に、軸受部材1に添接可能な第1のアンダーフォイル501と、回転受圧部3に対向しこの回転受圧部3との間に気体膜を形成するアッパーフォイル6と、これら第1のアンダーフォイル501及びアッパーフォイル6の間に設けてなる第2のアンダーフォイル502とを具備する構成を採用するとともに、第1のアンダーフォイル501の上流側端縁、第2のアンダーフォイル502の下流側端縁、及びアッパーフォイル6の上流側端縁にそれぞれフィン5011、5021、61を設け、これらのフィンを同一の係止穴1xに係合させる態様を採用したものが挙げられる。ここで、前記フィン5011、5021、61は、いずれも、軸受部材1に向け屈曲するフィン本体及びこのフィン本体の先端からさらに屈曲させて設けた係合部を有する。
さらに、本発明の他の実施態様として、図7に示すように、1枚のアッパーフォイル6が周方向に互いに隣接する複数のアンダーフォイル5に跨り当接する態様を採用したものが挙げられる
また、本発明の第二実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る軸受は、図8に概略正面図を示すようなジャーナル軸受であり、軸A2を取り付ける対象である軸受部材A1と軸A2の表面との間に設けられたフォイル部A4と、このフォイル部A4と前記軸A2との間にクサビ状空間を含む気体膜SSとを具備してなる。なお、本実施形態では、軸A2の軸受部材A1に対向する表面が回転受圧部である。
前記フォイル部A4は、前記図8に示すように、前記軸受部材A1に略全体が添接可能であるとともに前記軸受部材A1に対して弾性突没可能な複数の突条A52を有し前記軸受部材A1側に配してなるアンダーフォイルA5と、このアンダーフォイルA5に添接させてなり前記軸A3との間に前記クサビ状空間を含む気体膜SSを形成するアッパーフォイルA6とを具備する。ここで、前記図8では、アンダーフォイルA5及びアッパーフォイルA6は形状の理解を容易にするため一定の厚さで示されているが、実際には、例えば0.1〜0.2mmの板状である。
前記アッパーフォイルA6及び前記アンダーフォイルA5は、本実施形態では複数枚ずつ対をなして設けていて、対をなすアッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5をそれぞれ重合させた状態に配している。
しかして、前記アッパーフォイルA6及び前記アンダーフォイルA5は、いずれも一端縁にフィンA61、A51を有するとともに、軸受部材A1側には、この支持部と係合してこれらアッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5を係止可能な係止孔A1xを設けている。
さらに詳述すると、前記アッパーフォイルA6は、上流側端縁に前記フィンA61を設けてなる。このフィンA61は、前記軸受部材A1に向け屈曲するフィン本体A611と、このフィン本体A611の突出端からさらに屈曲させて設けた係合部A612とを有する。
一方、前記アンダーフォイルA5は、下流側端縁に前記フィンA51を設けてなる。このフィンA51も、前記軸受部材A1に向け屈曲するフィン本体A511と、このフィン本体A511の突出端からさらに屈曲させて延伸する係合部A512とを有する。
そして、前記係止穴A1xは、いずれか1つのアッパーフォイルA6のフィンA61及び該アッパーフォイルA6の上流側に隣接するアンダーフォイルA5のフィンA51と同時に係合する。この係止穴A1xは、前記フィン本体A511、A611を収納する溝部A1x1と、前記溝部A1x1の先端から延伸して設けてなり前記係合部A512、A612と係合する被係合部A1x2とを有する。なお、前記溝部A1x1の幅寸法は、前記アッパーフォイルA5の厚み寸法と前記アンダーフォイルA6の厚み寸法との合計よりは大きく、この合計と前記アッパーフォイルA6の厚み寸法との和よりは小さい。
ここで、軸A2が回転すると、軸A2とフォイル部A4との隙間の空気が空気の粘性により引張られ、軸A2とフォイル部A4との隙間が次第に挟まっている気体膜SSの前記クサビ状空間の領域で圧力が上昇する。この圧力上昇によって、まず、アッパーフォイルA6が軸受部材A1側に向かう作用を受ける。この際、アッパーフォイルA6はアンダーフォイルA5の突条A52に圧接し、前記アンダーフォイルA5が軸受部材A1側に向かう作用を受ける。この作用を受けて、前記突条A52が弾性変形してアンダーフォイルA5の表面形状が変化する。一方、前記アッパーフォイルA6は、この突条A52から回転受圧部A3側に向かう弾性力を受ける。この弾性力は、例えば、前記クサビ状空間の入口部分すなわち気体膜SSの上流側では小さく、周方向中間部以降、すなわち気体膜SSの下流側では前記入口部分における弾性力よりも大きな所定の大きさである。そして、アッパーフォイルA6が前記突条A52からこのような弾性力を受けることにより、クサビ状空間を含む気体膜SSの形状が、例えば、入口部分から下流側に進むにつれ幅が小さくなるなど、適切な形状に維持され、前記突条A52の軸A2側において空気の圧力上昇が生じる。この圧力上昇により軸受は軸A2を非接触で支えることになる。
以上に述べたような本実施形態に係る軸受の構成によっても、第一実施形態に係る軸受の構成によるものと同様の効果が得られる。すなわち、アンダーフォイルA5の下流側端縁に設けたフィンA51、及びアッパーフォイルA6の上流側端縁に設けたフィンA61が、前記軸受部材A1に向け屈曲するフィン本体A511、A611、及びこのフィン本体A511、A611の突出端から各フォイルA5、A6の面板部に平行に屈曲させて設けた係合部A512、A612をそれぞれ有するとともに、前記軸受部材A1側に、前記フィン本体A511、A611を収納する溝部A1x1と、前記溝部A1x1の先端から延伸して設けてなり前記係合部A512、A612を収納する被係合部A1x2とを有する係止穴A1xを設けているので、軸受部材A1へのフォイル部A4の取り付けの際に、フォイル部A4の各フォイルA5、A6のフィンA51、A61と軸受部材1の係止孔A1xとを係合させ、フォイル部A4の位置決め及び各フォイルA5、A6の抜け止めを有効に図ることができる。
また、係止穴A1xの溝部A1x1の開口幅を、前記アッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5の前記フィン本体A511、A611の厚さ寸法の合計に前記アッパーフォイルA6の厚さ寸法を加えたものよりも小さくしているので、前記溝部A1x1内での各フォイルA5、A6のがたつきを少なくできる。
そして、各アッパーフォイルA6の上流側端縁のフィンA61と各アッパーフォイルA6の上流側に隣接するアンダーフォイルA5の下流側端縁のフィンA51とを同一の係止孔A1xに係止させているので、厚み方向に隣接するアッパーフォイルA6及びアンダーフォイルA5がそれぞれ逆方向に摺動し、これらの間の摩擦によりダンピング効果を発生させることができる。従って、ダンピング効果によりフォイル部A4の振動を有効に防止することができる。
さらに、第1実施例でのストッパ7と同様に、溝部A1Xの端部にストッパ(図示せず)を備えることで長手方向への位置決めをおこない、また脱落を防止することができる。
なお、ジャーナル軸受においても、フォイル部A4に異なる構成を採用してもよい。例えば、図9に示すように、前記アンダーフォイルA5を省略し、前記アッパーフォイルと同様の構成を有する、すなわち上流側端縁にフィンA41を有する1枚のフォイルA4のみを係止穴A1xに係合させ、前記フィンA41に軸受部材A1に向け屈曲するフィン本体A411及びこのフィン本体A411の先端からさらに屈曲させて設けた係合部A412を設ける態様を採用してもよい。
さらに、図10に示すように、1枚のアッパーフォイルA6が周方向に互いに隣接する複数のアンダーフォイルA5に跨り当接する態様を採用してもよい。
一方、本発明に係る動圧気体軸受と同様の効果を奏する第2の参考例として、図11に示すように、フォイル部A4に、軸受部材A1に添接可能な第1のアンダーフォイルA501と、軸A2に対向しこの軸A2との間に気体膜を形成するアッパーフォイルA6と、これら第1のアンダーフォイルA501及びアッパーフォイルA6の間に設けてなる第2のアンダーフォイルA502とを具備する構成を採用するとともに、第1のアンダーフォイルA501の上流側端縁、第2のアンダーフォイルA502の下流側端縁、及びアッパーフォイルA6の上流側端縁にそれぞれフィンA5011、A5021、A61を設け、これらのフィンを同一の係止穴A1xに係合させる態様を採用したものが挙げられる。ここで、前記フィンA5011、A5021、A61は、いずれも、軸受部材A1に向け屈曲するフィン本体及びこのフィン本体の先端からさらに屈曲させて設けた係合部を有する。
そして、本発明は以上に述べたような実施の態様に限られない。
例えば、図12に示すように、フォイルB4の一端縁に、軸受部材B1に向け屈曲するフィン本体B411及びこのフィン本体B411の先端からさらに屈曲させて設けた係合部B412を有するフィンB41を設けるとともに、軸受部材B1に、フィン本体B411を収納する溝部B1x1及び傾斜面B1x3を有し開口幅が回転受圧部に向けて拡開する形状の被係合部B1x2を有する係止穴B1xを設け、前記フィンB41の係合部B412が、前記被係合部B1x2の傾斜面B1x3に圧接可能な構成を採用してもよい。このようなものであれば、前記フィンB41の係合部B412が、前記被係合部B1x2の傾斜面B1x3に圧接することにより、より確実にフォイルB4の軸受部材B1からの抜け止めを図ることができる。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
本発明の第一実施形態に係る動圧気体軸受を示す概略図。 同実施形態に係る軸受部材を示す概略図。 同実施形態に係る動圧気体軸受の中央縦断面図。 同実施形態に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明の他の実施態様に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明に関連する第1の参考例に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明の他の実施態様に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明の第二実施形態に係る動圧気体軸受を示す概略図。 本発明の他の実施態様に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明の他の実施態様に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明に関連する第2の参考例に係る動圧気体軸受の要部を示す図。 本発明の他の実施態様に係る動圧気体軸受の要部を示す図。
符号の説明
1、A1…軸受部材
1x、A1x…係止穴
2、A2…軸
3…回転受圧部
4、A4…フォイル部
5、A5…アンダーフォイル
6、A6…アッパーフォイル
51、61、A51、A61…フィン
511、611、A511、A611…フィン本体
512、612、A512、A612…係合部

Claims (4)

  1. 軸を取り付ける対象である軸受部材と軸に設けた回転受圧部との間に設けられるフォイル部とを具備してなり、前記フォイル部を構成するフォイルの一端部に軸受部材に支持させるためのフィンを有し、前記フィンが、前記軸受部材に向け屈曲するフィン本体及びこのフィン本体の突出端からさらに屈曲させて設けた係合部を有するとともに、前記軸受部材側に、前記フィン本体を収納する溝部及びこの溝部の先端から延伸して設けてなり前記係合部を収納する被係合部を有する係止穴を設けている動圧気体軸受の取付構造であって、
    前記フォイル部が、軸の回転の際に前記回転受圧部との間にクサビ状空間を含む気体膜を形成するアッパーフォイルと、このアッパーフォイルと前記軸受部材との間に配してなり前記アッパーフォイルを前記回転受圧部側に弾性付勢するアンダーフォイルとを具備し、前記アンダーフォイルの下流側端縁とアッパーフォイルの上流側端縁とを同一の係止孔に係止させてなることを特徴とする動圧気体軸受の取付構造。
  2. 前記係止穴に複数のフォイルのフィンを同時に係止してなるものであって、係止穴の溝部の開口幅が前記複数のフォイルの前記フィン本体の厚さ寸法の合計に前記複数のフォイルのフィン本体のうち厚さ寸法が最小のものの厚さ寸法を加えたものよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の動圧気体軸受の取付構造。
  3. 前記係止穴の被係合部が傾斜面を有し開口幅が回転受圧部に向けて拡開する形状をなすとともに、前記フィンの係合部が、前記被係合部の傾斜面に圧接可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の動圧気体軸受の取付構造。
  4. 前記係止穴の溝部の長手方向少なくとも一端部にストッパを設けていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の動圧気体軸受の取付構造。
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