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JP4961111B2 - 光電変換膜積層型固体撮像素子とその製造方法 - Google Patents

光電変換膜積層型固体撮像素子とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は光電変換部が多層構造の光電変換膜積層型固体撮像素子に関する。さらに詳しくは、有機半導体を利用した光電変換膜積層型固体撮像素子の保護層とその製造方法に関する。
光電変換部が多層構造である光電変換膜積層型固体撮像素子においては、例えば、特許文献1では緑色(G)光を電荷信号に変換する光電変換層(G層)に有機半導体を利用している。有機半導体は水分やガス(酸素)により容易に劣化してしまうのでこのような有機半導体を使用した素子はこれら劣化因子を遮断する為に保護層を設ける事が必須になる。特許文献1の明細書中には保護層として一般的な無機材料・有機材料が列挙されているが具体的な材料およびその成膜手段を提示していない。
特許文献2は、光電変換膜積層型固体撮像素子に関するものではなく、有機EL素子用保護膜の製造装置・方法に関するものであるが、有機EL素子上に高分子と窒化珪素および窒化酸化珪素から成る保護層を作製する誘導結合型プラズマCVD(ICPCVD)法・装置について記載されている。しかし、保護層の光学的透明性には一切ふれていないなど具体的な実施例の記載は無い。
また、特許文献3,4も、光電変換膜積層型固体撮像素子に関するものではなく、有機EL素子用保護膜の製造方法に関するものであるが、有機EL素子上に窒化珪素等から成る保護層を電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD(ECRCVD)法で作製することが記載されているが、保護膜の光学的透明性には一切ふれていない。
特開2003−332551号公報 特開2003−282250号公報 特許第3524711号公報 特許第3577117号公報
したがって、本発明の課題は特許文献1のような有機半導体を利用した光電変換膜積層型固体撮像素子の保護層に必要な以下の条件を満足する材料とその製造方法を示すことである。
・光学的透明性:透明対向電極を介して光電変換部となる有機半導体の上部に保護層が設置される為に保護層を構成する材料は透明である必要がある。
・保護層製造条件:有機半導体から成る光電変換層を作製した後に保護層を成膜する。そのため保護層製造時すでに成膜された有機半導体を劣化させない条件・手段を選択する必要がある。
・バリア性:固体撮像素子製造時の各工程に於いて加熱・プラズマ・溶媒等から有機半導体を保護しなくてはならない(プロセス耐性)。また製造後に水分やガス等を遮断して有機半導体の劣化を防止する(経時保存性)。
上記課題は、下記の手段によって解決される。
(1)
有機半導体を利用した光電変換膜積層型固体撮像素子であって、画素電極と透明対向電極との間に前記有機半導体を含む有機層を有し、前記透明対向電極の前記有機層が設けられた側と反対側に、無機材料から成る保護層を2層以上有し、更に、前記透明対向電極と接する前記保護層と当該保護層上に設けられた別の保護層との間に位置し、前記透明対向電極と接する前記保護層に設けられた開口を介して前記透明対向電極と接続される接続電極を有すること特徴とする光電変換膜積層型固体撮像素子。
(2)
上記無機材料が金属の酸化物および/または窒化物から成ることを特徴とする(1)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(3)
上記無機材料が窒化珪素から成ることを特徴とする(2)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(4)
上記無機材料が窒化酸化珪素から成ることを特徴とする(2)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(5)
上記保護層が酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素のうち2種を交互に積層した構造から成ることを特徴とする(2)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(6)
上記保護層が乾式薄膜作製法により真空中で成膜されることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(7)
上記乾式薄膜作製法がプラズマ励起化学気相堆積(プラズマCVD)法であることを特徴とする(6)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(8)
上記乾式薄膜作製法が誘導結合型プラズマCVD法であることを特徴とする(7)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(9)
上記乾式薄膜作製法が電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法であることを特徴とする(7)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
(10)
(1)〜(5)のいずれか一項に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法であって、前記保護層を乾式薄膜作製法により真空中で成膜することを特徴とする光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
(11)
上記乾式薄膜作製法がプラズマ励起化学気相堆積(プラズマCVD)法であることを特徴とする(10)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
(12)
上記乾式薄膜作製法が誘導結合型プラズマCVDであることを特徴とする(11)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
(13)
上記乾式薄膜作製法が電子サイクロトロン共鳴プラズマCVDであることを特徴とする(11)に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
本発明は、上記(1)〜(13)に関するものであるが、以下、その他の事項についても参考のために記載した。
本発明(1)によれば、有機半導体を利用した光電変換膜積層型固体撮像素子の保護層として、有機半導体の劣化因子を遮断する保護層を有する光電変換膜積層型固体撮像素子とすることができる。また、()によれば、特に透明性に優れる、()によれば、特に有機半導体劣化因子の遮断性に優れる、()によれば、透明性と遮断性を両立させる、()によれば、それぞれの材料の特長を併せ持った、保護層を有する光電変換膜積層型固体撮像素子とすることができる。
また、本発明()(10)によれば、素子の製造が真空中で連続的に可能で有機半導体の劣化因子(水分・酸素)が混入しない、()(11)によれば、低温(常温)成膜が可能なので製造時に有機半導体を熱により劣化させない、()()(12)(13)によれば、品質の良い(透明性・遮断性に優れる)無機材料を成膜できる、保護層を有する光電変換膜積層型固体撮像素子とすることができる。
(光電変換素子の説明)
以下に本発明の光電変換膜積層型固体撮像素子(以下、「光電変換素子」ともいう。)について説明する。
光電変換素子は電磁波吸収/光電変換部位と光電変換により生成した電荷の電荷蓄積/転送/読み出し部位よりなる。
電磁波吸収/光電変換部位は、少なくとも青光、緑光、赤光を各々吸収し光電変換することができる少なくとも2層の積層型構造を有する。青光吸収層(B)は少なくとも400〜500nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピーク波長の吸収率は50%以上である。緑光吸収層(G)は少なくとも500〜600nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピーク波長の吸収率は50%以上である。赤光吸収層(R)は少なくとも600〜700nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピーク波長の吸収率は50%以上である。これらの層の序列はいずれの序列でも良く、3層積層型構造の場合は上層からBGR、BRG、GBR、GRB、RBG、RGBの序列が可能である。好ましくは最上層がGである。2層積層型構造の場合は上層がR層の場合は下層が同一平面状にBG層、上層がB層の場合は下層が同一平面状にGR層、上層がG層の場合は下層が同一平面状にBR層が形成される。好ましくは上層がG層で下層が同一平面状にBR層である。このように下層の同一平面状に2つの光吸収層が設けられる場合には上層の上もしくは上層と下層の間に色分別できるフィルター層を例えばモザイク状に設けることが好ましい。場合により4層目以上の層を新たな層としてもしくは同一平面状に設けることが可能である。
電荷蓄積/転送/読み出し部位は電磁波吸収/光電変換部位の下に設ける。下層の電磁波吸収/光電変換部位が電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねることは好ましい。
電磁波吸収/光電変換部位は有機層または無機層または有機層と無機層の混合よりなる。有機層がB/G/R層を形成していても良いし無機層がB/G/R層を形成していても良い。好ましくは有機層と無機層の混合である。この場合、基本的には有機層が1層の時は無機層は1層または2層であり、有機層が2層の時は無機層は1層である。有機層と無機層が1層の場合には無機層が同一平面状に2色以上の電磁波吸収/光電変換部位を形成する。好ましくは上層が有機層でG層であり、下層が無機層で上からB層、R層の序列である。場合により4層目以上の層を新たな層として、もしくは同一平面状に設けることが可能である。有機層がB/G/R層を形成する場合には、その下に電荷蓄積/転送/読み出し部位を設ける。電磁波吸収/光電変換部位として無機層を用いる場合には、この無機層が電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねる。
(有機層の説明)
本発明において有機層について説明する。本発明の有機層からなる電磁波吸収/光電変換部位は1対の電極に挟まれた有機層から成る。有機層は電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極ならびに層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合から形成される。有機層は有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。
有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
有機n型半導体(化合物)は、アクセプター性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。
p型有機色素、又はn型有機色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、または錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、または亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、または亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、H.Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、またはシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、またはシロキシ配位子が挙げられる。
1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体およびn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましい。このような場合、光電変換膜において、有機層にバルクへテロ接合構造を含有させることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、バルクへテロ接合構造については、特願2004−080639号において詳細に説明されている。
1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を持つ光電変換膜(感光層)を含有する場合も好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2〜50であり、さらに好ましくは2〜30であり、特に好ましくは2または10である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。なお、タンデム構造については、特願2004−079930号において詳細に説明されている。
1対の電極間にp型半導体の層、n型半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持つ光電変換膜において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする光電変換膜の場合も好ましく、さらに好ましくは、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含む場合である。光電変換膜の有機層に用いられる有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、さらに好ましくは0°以上60°以下であり、さらに好ましくは0°以上40°以下であり、さらに好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良いが、好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような状態は、光電変換膜において、有機層の有機化合物の配向を制御することにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させるものである。
有機化合物の配向が制御されている場合において、さらに好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、さらに好ましくは30°以上90°以下であり、さらに好ましくは50°以上90°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°(すなわち基板に対して垂直)である。上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、有機層におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔ペア等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。以上の、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光電変換膜(光電変換膜)において、特に光電変換効率の向上が可能である。これらの状態については、特願2004−079931号において詳細に説明されている。
光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、有機色素層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
(有機層の形成法)
これらの有機化合物を含む層は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。
p型半導体(化合物)、又は、n型半導体(化合物)のうちの少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。一方、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基盤温度、蒸着速度等が基本的なパラメーターである。均一な蒸着を可能とするために基盤を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10-2Pa以下、好ましくは10-4Pa以下、特に好ましくは10-6Pa以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は上記の真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、アモルファス性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニターを用いて蒸着速度をPIもしくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
(電極)
本発明の有機層からなる電磁波吸収/光電変換部位は1対の電極に挟まれており、各々が画素電極と対向電極を形成している。好ましくは下層が画素電極である。
対向電極は正孔輸送性光電変換膜または正孔輸送層から正孔を取り出すことが好ましく、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができる材料である。画素電極は電子輸送性光電変換層または電子輸送層から電子を取り出すことが好ましく、電子輸送性光電変換層、電子輸送層などの隣接する層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。これらの具体例としては酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、シリコン化合物およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITO、IZOが好ましい。膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm以上1μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは30nm以上500nm以下であり、更に好ましくは50nm以上300nm以下である。
画素電極、対向電極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子線加熱蒸着法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウム錫の分散物の塗布などの方法で膜形成される。ITOの場合、紫外線オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
透明電極膜をプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで透明電極膜を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、透明電極膜の成膜中にプラズマが発生しないか、またはプラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
透明電極膜の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線加熱蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置またはパルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
プラズマ発生源から基体への距離が2cm以上であって基体へのプラズマの到達が減ずるような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられ、それらについては沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
本発明の有機電磁波吸収/光電変換部位の電極についてさらに詳細に説明する。有機層の光電変換膜は、画素電極膜、対向電極膜により挟まれ、電極間材料等を含むことができる。画素電極膜とは、電荷蓄積/転送/読み出し部位が形成された基板上方に作成された電極膜のことで、通常1ピクセルごとに分割される。これは、光電変換膜により変換された信号電荷を電荷蓄積/転送/信号読出回路基板上に1ピクセルごとに読み出すことで、画像を得るためである。
対向電極膜とは、光電変換膜を画素電極膜と共にはさみこむことで信号電荷と逆の極性を持つ信号電荷を吐き出す機能をもっている。この信号電荷の吐き出しは各画素間で分割する必要がないため、通常、対向電極膜は各画素間で共通にすることができる。そのため、共通電極膜(コモン電極膜)と呼ばれることもある。
光電変換膜は、画素電極膜と対向電極膜との間に位置する。光電変換機能は、この光電変換膜と画素電極膜及び対向電極膜により機能する。
光電変換膜積層の構成例としては、まず基板上に積層される有機層が一つの場合として、基板から画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)を順に積層した構成が挙げられるが、これに限定されるものではない。
さらに、基板上に積層される有機層が2つの場合、例えば、基板から画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)、層間絶縁膜、画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)を順に積層した構成が挙げられる。
光電変換部位を構成する透明電極膜の材料は、プラズマフリーである成膜装置、EB蒸着装置、及びパルスレーザー蒸着装置により成膜できるものが好ましい。例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が好適に挙げられ、具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムタングステン(IWO)等の導電性金属酸化物、窒化チタン等の金属窒化物、金、白金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。また、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)等に詳細に記載されているものを用いても良い。
透明電極膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化錫)のいずれかの材料である。透明電極膜の光透過率は、その透明電極膜を含む光電変換素子に含まれる光電変換膜の光電変換光吸収ピーク波長において、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また、透明電極膜の表面抵抗は、画素電極であるか対向電極であるか、さらには電荷蓄積/転送・読み出し部位がCCD構造であるかCMOS構造であるか等により好ましい範囲は異なる。対向電極に使用し電荷蓄積/転送/読み出し部位がCMOS構造の場合には10000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、1000Ω/□以下である。対向電極に使用し電荷蓄積/転送/読み出し部位がCCD構造の場合には1000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100Ω/□以下である。画素電極に使用する場合には1000000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100000Ω/□以下である。
透明電極膜成膜時の条件について触れる。透明電極膜成膜時の基板温度は500℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃以下で、さらに好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、透明電極膜成膜中にガスを導入しても良く、基本的にそのガス種は制限されないが、Ar、He、酸素、窒素などを用いることができる。また、これらのガスの混合ガスを用いても良い。特に酸化物の材料の場合は、酸素欠陥が入ることが多いので、酸素を用いることが好ましい。
本発明の光電変換膜に電圧を印加した場合、光電変換効率が向上する点で好ましい。印加電圧としては、いかなる電圧でも良いが、光電変換膜の膜厚により必要な電圧は変わってくる。すなわち、光電変換効率は、光電変換膜に加わる電場が大きいほど向上するが、同じ印加電圧でも光電変換膜の膜厚が薄いほど加わる電場は大きくなる。従って、光電変換膜の膜厚が薄い場合は、印加電圧は相対的に小さくでも良い。光電変換膜に加える電場として好ましくは、10V/m以上であり、さらに好ましくは1×103V/m以上、さらに好ましくは1×105V/m以上、特に好ましくは1×106V/m以上、最も好ましくは1×107V/ m以上である。上限は特にないが、電場を加えすぎると暗所でも電流が流れ好ましくないので、1×1012V/m以下が好ましく、さらに1×109V/m以下が好ましい。
(無機層)
電磁波吸収/光電変換部位としての無機層について説明する。この場合、上層の有機層を通過した光を無機層で光電変換することになる。無機層としては結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のpn接合またはpin接合が一般的に用いられる。積層型構造として米国特許第5965875号明細書に開示されている方法を採用することができる。すなわちシリコンの吸収係数の波長依存性を利用して積層された受光部を形成し、その深さ方向で色分離を行う構成である。この場合、シリコンの光進入深さで色分離を行っているため積層された各受光部で検知するスペクトル範囲はブロードとなる。しかしながら、前述した有機層を上層に用いることにより、すなわち有機層を透過した光をシリコンの深さ方向で検出することにより色分離が顕著に改良される。特に有機層にG層を配置すると有機層を透過する光はB光とR光になるためにシリコンでの深さ方向での光の分別はBR光のみとなり色分離が改良される。有機層がB層またはR層の場合でもシリコンの電磁波吸収/光電変換部位を深さ方向で適宜選択することにより顕著に色分離が改良される。有機層が2層の場合にはシリコンでの電磁波吸収/光電変換部位としての機能は基本的には1色で良く、好ましい色分離が達成できる。
無機層は好ましくは、半導体基板内の深さ方向に、画素毎に複数のフォトダイオードが重層され、前記複数のフォトダイオードに吸収される光によって各フォトダイオードに生じる信号電荷に応じた色信号を外部に読み出す構造である。好ましくは、前記複数のフォトダイオードは、B光を吸収する深さに設けられる第1のフォトダイオードと、R光を吸収する深さに設けられる第2のフォトダイオードの少なくとも1つとを含み、前記複数のフォトダイオードの各々に生じる前記信号電荷に応じた色信号を読み出す色信号読み出し回路を備えることが好ましい。この構成により、カラーフィルタを用いることなく色分離を行うことができる。又、場合によっては、負感度成分の光も検出することができるため、色再現性の良いカラー撮像が可能となる。又、前記第1のフォトダイオードの接合部は、前記半導体基板表面から約0.2μmまでの深さに形成され、前記第2のフォトダイオードの接合部は、前記半導体基板表面から約2μmまでの深さに形成されることが好ましい。
無機層についてさらに詳細に説明する。無機層の好ましい構成としては、光伝導型、p−n接合型、ショットキー接合型、PIN接合型、MSM(金属−半導体−金属)型の受光素子やフォトトランジスタ型の受光素子が挙げられる。単一の半導体基板内に、第1導電型の領域と、前記第1導電型と逆の導電型である第2導電型の領域とを交互に複数積層し、前記第1導電型及び第2導電型の領域の各接合面を、それぞれ異なる複数の波長帯域の光を主に光電変換するために適した深さに形成してなる受光素子を用いることが好ましい。単一の半導体基板としては、単結晶シリコンが好ましく、シリコン基板の深さ方向に依存する吸収波長特性を利用して色分離を行うことができる。
無機半導体として、InGaN系、InAlN系、InAlP系、又はInGaAlP系の無機半導体を用いることもできる。InGaN系の無機半導体は、Inの含有組成を適宜変更し、青色の波長範囲内に極大吸収値を有するよう調整されたものである。すなわち、InxGa1-xN(0≦X<1)の組成となる。このような化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて製造される。Gaと同じ13族原料のAlを用いる窒化物半導体のInAlN系についても、InGaN系と同様に短波長受光部として利用することができる。また、GaAs基板に格子整合するInAlP、InGaAlPを用いることもできる
無機半導体は、埋め込み構造となっていてもよい。埋め込み構造とは、短波長受光部部分の両端を短波長受光部とは異なる半導体で覆われる構成のものをいう。両端を覆う半導体としては、短波長受光部のバンドギャップ波長より短い又は同等のバンドギャップ波長を有する半導体であることが好ましい。
有機層と無機層とは、どのような形態で結合されていてもよい。
また、有機層と無機層との間には、電気的に絶縁するために、絶縁層を設けることが好ましい。
接合は、光入射側から、npn、又はpnpnとなっていることが好ましい。特に、表面にp層を設け表面の電位を高くしておくことで、表面付近で発生した正孔、及び暗電流をトラップすることができ暗電流を低減できるため、pnpn接合とすることがより好ましい。
このようなフォトダイオードは、p型シリコン基板表面から順次拡散される、n型層、p型層、n型層、p型層をこの順に深く形成することで、pn接合ダイオードがシリコンの深さ方向にpnpnの4層が形成される。ダイオードに表面側から入射した光は波長の長いものほど深く侵入し、入射波長と減衰係数はシリコン固有の値を示すので、pn接合面の深さが可視光の各波長帯域をカバーするように設計する。同様に、n型層、p型層、n型層の順に形成することで、npnの3層の接合ダイオードが得られる。ここで、n型層から光信号を取り出し、p型層はアースに接続する。
また、各領域に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
(補助層)
好ましくは電磁波吸収/光電変換部位の最上層に紫外線吸収層および/または赤外線吸収層を有する。紫外線吸収層は少なくとも400nm以下の光を吸収または反射することができ、好ましくは400nm以下の波長域での吸収率は50%以上である。赤外線吸収層は少なくとも700nm以上の光を吸収または反射することができ、好ましくは700nm以上の波長域での吸収率は50%以上である。
これらの紫外線吸収層、赤外線吸収層は従来公知の方法によって形成できる。例えば基板上にゼラチン、カゼイン、グリューあるいはポリビニルアルコールなどの親水性高分子物質からなる媒染層を設け、その媒染層に所望の吸収波長を有する色素を添加もしくは染色して着色層を形成する方法が知られている。さらには、ある種の着色材が透明樹脂中に分散されてなる着色樹脂を用いた方法が知られている。例えば、特開昭58−46325号公報,特開昭60−78401号公報,特開昭60−184202号公報,特開昭60−184203号公報,特開昭60−184204号公報,特開昭60−184205号公報等に示されている様に、ポリアミノ系樹脂に着色材を混合した着色樹脂膜を用いることができる。感光性を有するポリイミド樹脂を用いた着色剤も可能である。
特公平7−113685号公報記載の感光性を有する基を分子内に持つ、200℃以下にて硬化膜を得ることのできる芳香族系のポリアミド樹脂中に着色材料を分散すること、特公平7−69486号公報記載の含量を分散着色樹脂を用いることも可能である。
好ましくは誘電体多層膜が用いられる。誘電体多層膜は光の透過の波長依存性がシャープであり、好ましく用いられる。
各電磁波吸収/光電変換部位は絶縁層により分離されていることが好ましい。絶縁層は、ガラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン等の透明性絶縁材料を用いて形成することができる。窒化珪素、酸化珪素等も好ましく用いられる。プラズマCVDで製膜した窒化珪素は緻密性が高く透明性も良いために好ましく用いられる。
更に、マイクロレンズアレイを受光素子の上部に形成することにより、集光効率を向上させることができるため、このような態様も好ましい。
(電荷蓄積/転送/読み出し部位)
電荷転送/読み出し部位については特開昭58−103166号公報、特開昭58−103165号公報、特開2003−332551号公報等を参考にすることができる。半導体基板上にMOS トランジスタが各画素単位に形成された構成や、あるいは、素子としてCCD を有する構成を適宜採用することができる。例えばMOS トランジスタを用いた光電変換素子の場合、電極を透過した入射光によって光導電膜の中に電荷が発生し、電極に電圧を印加することにより電極と電極との間に生じる電界によって電荷が光導電膜の中を電極まで走行し、さらにMOS トランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOS トランジスタのスイッチングにより電荷読出し部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む固体撮像装置に入力される。
一定量のバイアス電荷を蓄積ダイオードに注入して(リフレッシュモード)おき、一定の電荷を蓄積(光電変換モード)後、信号電荷を読み出すことが可能である。受光素子そのものを蓄積ダイオードとして用いることもできるし、別途、蓄積ダイオードを付設することもできる。
信号の読み出しについてさらに詳細に説明する。信号の読み出しは、通常のカラー読み出し回路を用いることができる。受光部で光/電気変換された信号電荷もしくは信号電流は、受光部そのものもしくは付設されたキャパシタで蓄えられる。蓄えられた電荷は、X−Yアドレス方式を用いたMOS型撮像素子(いわゆるCMOSセンサ)の手法により、画素位置の選択とともに読み出される。他には、アドレス選択方式として、1画素づつ順次マルチプレクサスイッチとデジタルシフトレジスタで選択し、共通の出力線に信号電圧(または電荷)として読み出す方式が挙げられる。2次元にアレイ化されたX−Yアドレス操作の撮像素子がCMOSセンサとして知られる。これは、X−Yの交点に接続された画素に設けられたスイッチは垂直シフトレジスタに接続され、垂直走査シフトレジスタからの電圧でスイッチがオンすると同じ行に設けられた画素から読み出された信号は、列方向の出力線に読み出される。この信号は水平走査シフトレジスタにより駆動されるスイッチを通して順番に出力端から読み出される。
出力信号の読み出しには、フローティングディフュージョン検出器や、フローティングゲート検出器を用いることができる。また画素部分に信号増幅回路を設けることや、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)の手法などにより、S/Nの向上をはかることができる。
信号処理には、ADC回路によるガンマ補正、AD変換機によるデジタル化、輝度信号処理や、色信号信号処理を施すことができる。色信号処理としては、ホワイトバランス処理や、色分離処理、カラーマトリックス処理などが挙げられる。NTSC信号に用いる際は、RGB信号をYIQ信号の変換処理を施すことができる。
電荷転送・読み出し部位は電荷の移動度が100cm2・V-1・s-1以上であることが必要であり、この移動度は、材料をIV族、III−V族、II−VI族の半導体から選択することによって得ることができる。その中でも微細化技術が進んでいることと、低コストであることからシリコン半導体が好ましい。電荷転送・電荷読み出しの方式は数多く提案されているが、何れの方式でも良い。特に好ましい方式はCMOS型あるいはCCD型のデバイスである。更に、CMOS型の方が高速読み出し、画素加算、部分読み出し、消費電力などの点で好ましいことが多い。
(接続)
電磁波吸収・光電変換部位と電荷転送・読み出し部位を連結する複数のコンタクト部位はいずれの金属で連結してもよいが、銅、アルミ、銀、金、クロム、タングステンの中から選択するのが好ましく、特に銅が好ましい。複数の電磁波吸収・光電変換部位に応じて、それぞれのコンタクト部位を電荷転送・読み出し部位との間に設置する必要がある。青・緑・赤光の複数感光ユニットの積層構造を採る場合、青光用取り出し電極と電荷転送・読み出し部位の間、緑光用取り出し電極と電荷転送・読み出し部位の間および赤光用取り出し電極と電荷転送・読み出し部位の間をそれぞれ連結する必要がある。
(プロセス)
本発明の積層光電変換素子は、公知の集積回路などの製造に用いるいわゆるミクロファブリケーションプロセスにしたがって製造することができる。基本的には、この方法は活性光や電子線などによるパターン露光(水銀のi,g輝線、エキシマレーザー、さらにはX線、電子線)、現像及び/又はバーニングによるパターン形成、素子形成材料の配置(塗設、蒸着、スパッタ、CVなど)、非パターン部の材料の除去(熱処理、溶解処理など)の反復操作による。
(用途)
デバイスのチップサイズは、ブローニーサイズ、135サイズ、APSサイズ、1/1.8インチ、さらに小型のサイズでも選択することができる。本発明の積層光電変換素子の画素サイズは複数の電磁波吸収・光電変換部位の最大面積に相当する円相当直径で表す。いずれの画素サイズであっても良いが、2−20ミクロンの画素サイズが好ましい。さらに好ましくは2−10ミクロンであるが、3−8ミクロンが特に好ましい。
画素サイズが20ミクロンを超えると解像力が低下し、画素サイズが2ミクロンよりも小さくてもサイズ間の電波干渉のためか解像力が低下する。
本発明の光電変換素子は、デジタルスチルカメラに利用することが出来る。また、テレビカメラに用いることも好ましい。その他の用途として、デジタルビデオカメラ、下記用途などでの監視カメラ(オフィスビル、駐車場、金融機関・無人契約機、ショッピングセンター、コンビニエンスストア、アウトレットモール、百貨店、パチンコホール、カラオケボックス、ゲームセンター、病院)、その他各種のセンサ(テレビドアホン、個人認証用センサ、ファクトリーオートメーション用センサ、家庭用ロボット、産業用ロボット、配管検査システム)、医療用センサ(内視鏡、眼底カメラ)、テレビ会議システム、テレビ電話、カメラつき携帯電話、自動車安全走行システム(バックガイドモニタ、衝突予測、車線維持システム)、テレビゲーム用センサなどの用途に用いることが出来る。
中でも、本発明の光電変換素子は、テレビカメラ用途としても適するものである。その理由は、色分解光学系を必要としないためにテレビカメラの小型軽量化を達成することが出来るためである。また、高感度で高解像力を有することから、ハイビジョン放送用テレビカメラに特に好ましい。この場合のハイビジョン放送用テレビカメラとは、デジタルハイビジョン放送用カメラを含むものである。
更に、本発明の光電変換素子においては、光学ローパスフィルターを不要とすることが出来、更なる高感度、高解像力が期待できる点で好ましい。
更に、本発明の光電変換素子においては厚みを薄くすることが可能であり、かつ色分解光学系が不要となる為、「日中と夜間のように異なる明るさの環境」、「静止している被写体と動いている被写体」など、異なる感度が要求される撮影シーン、その他分光感度、色再現性に対する要求が異なる撮影シーンに対して、本発明の光電変換素子を交換して撮影する事により1台のカメラにて多様な撮影のニーズにこたえることが出来、同時に複数台のカメラを持ち歩く必要がない為、撮影者の負担も軽減する。交換の対象となる光電変換素子としては、上記の他に赤外光撮影用、白黒撮影用、ダイナミックレンジの変更を目的に交換光電変換素子を用意することが出来る。
テレビカメラは、映像情報メディア学会編「テレビジョンカメラの設計技術」(コロナ社刊、1999年)第2章の記述を参考にし、例えば図2.1テレビカメラの基本的な構成の色分解光学系及び撮像デバイスの部分を、本発明の光電変換素子と置き換えることにより作製することができる。
上述の積層された受光素子は、配列することで撮像素子として利用することができるだけでなく、単体としてバイオセンサや化学センサなどの光センサやカラー受光素子としても利用可能である。
(本発明の好ましい光電変換素子)
本発明の好ましい光電変換素子について図1により説明する。13はシリコン単結晶基盤でありB光とR光の電磁波吸収/光電変換部位と光電変換により生成した電荷の電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねている。通常、p型のシリコン基盤が用いられる。21、22,23はシリコン基盤中に設けられたn層、p層、n層を各々示す。21のn層はR光の信号電荷の蓄積部でありpn接合により光電変換されたR光の信号電荷を蓄積する。蓄積された電荷は26に示したトランジスタを介して19のメタル配線により27の信号読み出しパッドに接続される。23のn層はB光の信号電荷の蓄積部でありpn接合により光電変換されたB光の信号電荷を蓄積する。蓄積された電荷は26に類似のトランジスタを介して19のメタル配線により27の信号読み出しパッドに接続される。ここでp層、n層、トランジスタ、メタル配線等は模式的に示したが、それぞれが前論で詳述したように、構造等は適宜最適なものが選ばれる。B光、R光はシリコン基盤の深さにより分別しているのでpn接合等のシリコン基盤からの深さ、ドープ濃度の選択などは重要である。12はメタル配線を含む層であり酸化珪素、窒化珪素等を主成分とする層である。12の層の厚みは薄いほど好ましく5μ以下、好ましくは3μ以下、さらに好ましくは2μ以下である。11も同様に酸化珪素、窒化珪素等を主成分とする層である。11と12の層にはG光の信号電荷をシリコン基盤に送るためのプラグが設けられている。プラグは11と12の層の間で16のパッドにより接続されている。プラグはタングステンを主成分としたものが好ましく用いられる。パッドはアルミニウムを主成分としたものが好ましく用いられる。前述したメタル配線も含めてバリア層が設けられていることが好ましい。15のプラグを通して送られるG光の信号電荷はシリコン基盤中の25に示したn層に蓄積される。25に示したn層は24に示したp層により分離されている。蓄積された電荷は26に類似のトランジスタを介して19のメタル配線により27の信号読み出しパッドに接続される。24と25のpn接合による光電変換は雑音となるために11の層中に17に示した遮光膜が設けられる。遮光膜は通常、タングステン、アルミニウム等を主成分としたものが用いられる。12の層の厚みは薄いほど好ましく3μ以下、好ましくは2μ以下、さらに好ましくは1μ以下である。27の信号読み出しパッドはB,G,R信号別に設ける方が好ましい。以上のプロセスは従来公知のプロセス、いわゆるCMOSプロセスにより調製できる。
G光の電磁波吸収/光電変換部位は6,7,8,9,10,14により示される。6と14は透明電極であり、各々、対向電極、画素電極に相当する。画素電極14は透明電極であるが、15のプラグと電気的接続を良好にするために接続部にアルミニウム、モリブデン等の部位が必要な場合が多い。これらの透明電極間には18の接続電極、20の対向電極パッドからの配線を通じてバイアスがかけられる。対向電極5に対して画素電極14に正のバイアスをかけて25に電子が蓄積できる構造が好ましい。この場合7は電子ブロッキング層、8がp層、9がn層、10が正孔ブロッキング層であり、有機層の代表的な層の構成を示した。7,8,9,10から成る有機層の厚みは好ましくは合わせて0.5μ以下、より好ましくは0.3μ以下、特に好ましくは0.2μ以下である。6の透明対向電極、14の透明画素電極の厚みは特に好ましくは0.2μ以下である。3,4は窒化珪素等を主成分とする保護膜である。これらの保護膜により、有機層を含む層の製造プロセスが容易となる。特にこれらの層は18等の接続電極作成時のレジストパターン作成、エッチング時等の有機層に対するダメージを低減させることができる。また、レジストパターン作成、エッチング等を避けるために、マスクによる製造も可能である。3,4の保護膜の厚みは上述した条件を満足する限りにおいて、好ましくは0.5μ以下である。
3は18の接続電極の保護膜である。2は赤外カット誘電体多層膜である。1は反射防止膜である。1、2,3の層の厚みは合わせて1μ以下が好ましい。
以上の図1で説明した光電変換素子はG画素が4画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっている。G画素が1画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっていても良いし、G画素が3画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっていても良いし、G画素が2画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっていても良い。さらには任意の組み合わせでも良い。以上は本発明の好ましい態様を示すものであるが、これに限定されるものではない。
本発明における保護層は、光電変換膜積層型固体撮像素子の有機半導体光電変換膜層上の透明対向電極上に乾式薄膜作製法により真空中で成膜される無機材料から成る保護層である。
図1について、本発明における保護層についてさらに説明する。
保護膜3,4は、透明対向電極6より上に位置し、接続電極18は、保護膜3と4の間に位置しなくてはならない。特に保護膜4は、保護膜4自身のパターニング(接続電極18を透明対向電極6や対向電極パッド20・信号読出パッド27と電気的に接続する為。)や接続電極18の微細加工(パターニング)の際にホトリソグラフィの工程(レジスト塗布・現像・エッチング・レジスト剥離(レジスト灰化))を通すので加熱・水等の溶媒・プラズマから有機半導体を保護しなくてはならない。一方で保護膜3は、対向電極パッド20・信号読出パッド27のパターニングでホトリソグラフィの工程を通すので、保護膜4と同様に、加熱・水等の溶媒・プラズマから有機半導体を保護しなくてはならない。更に保護膜3は、有機半導体はもちろんのこと接続電極18を含めて製造後に水分やガス等を遮断して劣化を防止する(経時保存)役割がある。赤外線遮断誘電体多層膜2の材料によっては2の上に更に保護膜を設ける必要がある。
有機半導体を利用した光電変換膜を2層以上積層する場合は、上層の透明画素電極とシリコン基板上の信号読出回路を接続する為に中間の光電変換膜を貫通する縦配線を設ける必要がある。このため中間の光電変換膜を作製する毎に光電変換膜・透明対向電極をパターニングしなくてはならない。この際ホトリソグラフィの工程を通すので透明対向電極の上に加熱・水等の溶媒・プラズマから有機半導体を保護する保護膜を成膜する必要がある。
〔誘導結合型プラズマCVD〕
図2は、ICPCVD(誘導結合型プラズマCVD)装置の図である。
101は成膜室、102は排気系、103はガス導入系、104は誘導結合型プラズマ発生器、105は基板ホルダ、106は高周波電源、107は整合回路、108は石英窓、109は基板、110は制御装置を示す。
以下、ICPCVD(誘導結合型プラズマCVD)装置を使用した成膜方法について、説明する。
・基板ホルダ105上に基板109を設置する。
・排気系102の真空ポンプにより0.001Pa程度まで成膜室101内を脱気する。
・ガス導入系103から反応ガスを導入する。
・誘導結合型プラズマ発生器104に高周波電源106から13.56MHzの電力を整合回路107を調整して印加する。誘導結合型プラズマ発生器104はコイルから成り高周波電力を印加するとコイルから電波が発生しプラズマ発生器104と成膜室101を隔てる石英窓108を通して伝播する。
・基板から充分に離れた位置にプラズマ(成膜室101内の灰色部分)が生成する。プラズマ発生器104からの磁界により石英窓108直下に誘導電界が発生する。この電界により電子の運動エネルギが増大して電離効率が上昇し均一で高密度なプラズマが常温で生成される。
・プラズマ中の反応種が基板9に拡散し保護層が成膜される。
・常温で高密度プラズマが生成する。従来のプラズマCVDと比較して常温で極めて良質な保護膜が作製できる。常温なので有機半導体が劣化しない。
・基板から充分に離れた位置にプラズマが生成するので基板に対するプラズマ損傷が無い。その為に有機半導体が劣化しない。
・ガス導入の量と種類を変えるだけで成膜する材料の組成を変えられる。真空中で連続的に2種以上の材料を積層できる。
〔電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD〕
図3は、ECRCVD(電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD)装置の図である。
201は成膜室、202はプラズマ生成室、203は排気系、204,205はガス導入系、206はマイクロ波源、207はマイクロ波導波管、208は石英窓、209は電磁石、210は基板ホルダ、211は基板を示す。
以下、ECRCVD(電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD)装置を使用した成膜方法について、説明する。
・基板ホルダ210上に基板211を設置する。
・排気系203の真空ポンプによりプラズマ生成室202及び成膜室201を脱気する。
・ガス導入系204よりN2,O2,Ar等を導入する。
・マイクロ波源206より発生させたマイクロ波2.45GHzをマイクロ波導波管207及び石英窓208を通してプラズマ生成室202に導入する。電磁石209に磁界87.5mTをかけると電子サイクロトロン共鳴が発生する。電子の運動エネルギが増大して電離効率が上昇し高密度プラズマ(灰色部分)が常温で生成する。
・電子サイクロトロン共鳴条件:fc=eB/2πm
c:共鳴周波数→2.45GHz e:電荷素量 B:磁界→87.5mT m:電子質量
・磁界は基板ホルダ210方向に近づくほど弱くなる発散磁界となっておりプラズマ生成室202中の高密度プラズマが成膜室201に移動する。
・ここでガス導入系205よりSiH4を導入するとプラズマにより分解され反応種が生成し基板211上に保護層が成長する。
・常温で高密度プラズマが生成する。従来のプラズマCVDと比較して常温で極めて良質な保護膜が作製できる。常温なので有機半導体が劣化しない。
・基板から充分に離れた位置にプラズマが生成するので基板に対するプラズマ損傷が無い。その為に有機半導体が劣化しない。
参考例
有機半導体を利用した光電変換素子の透明対向電極上にICPCVD装置(セルバック製)を使用し以下の条件で窒化珪素を成膜した。
SiH4:5sccm N2:95sccm 成膜時真空度:0.1Pa(ガス導入前0.001Pa) 高周波(rf)電力:500W 膜厚:0.5μm
結果は以下の通り。
可視光透過率92%以上。水蒸気透過度0.01g・m-2・day-1・atm-1以下。酸素透過度0.01cm3・m-2・day-1・atm-1以下。成膜温度は70℃を超えなかった。保護層に亀裂等の欠陥は生じなかった。また、有機半導体を利用した光電変換素子上に成膜したことで、保護層作製時に光電特性は劣化せず素子の経時保存性も良好だった。
〔実施例2〕
有機半導体を利用した光電変換素子の透明対向電極上にICPCVD装置を使用し以下の構成で保護膜を作製した。
SiNx 0.1μm/SiOxy 0.2μm/SiNx 0.2μm
(まず窒化珪素を0.1μm成膜。次に窒化酸化珪素を0.2μm。最後に窒化珪素を0.2μmを作製。)
窒化珪素の作製条件:
SiH4:5sccm N2:95sccm 成膜時真空度:0.1Pa(ガス導入前0.001Pa)高周波電力:500W
窒化酸化珪素の作製条件:
SiH4:15sccm N2:285sccm O2:10sccm 真空度:0.1Pa(ガス導入前0.001Pa) 高周波電力:800W
結果は以下の通り。
可視光透過率95%以上。水蒸気透過度0.01g・m-2・day-1・atm-1以下。酸素透過度0.01cm3・m-2・day-1・atm-1以下。成膜温度は70℃を超えなかった。保護層に亀裂等の欠陥は生じなかった。また、有機半導体を利用した光電変換素子上に成膜したことで、保護層作製時に光電特性は劣化せず素子の経時保存性は極めて良好だった。
〔比較例〕
有機半導体を利用した光電変換素子の透明対向電極上に高周波マグネトロンスパッタ装置(芝浦メカトロニクス製)を使用し以下の条件で酸化珪素を成膜した。
ターゲットSiO2 Ar:10sccm O2:10sccm 成膜時真空度:1Pa(ガス導入前0.001Pa) 高周波(rf)電力:400W 膜厚:0.5μm
結果は以下の通り。
可視光透過率98%以上。水蒸気透過度1g・m-2・day-1・atm-1。酸素透過度1cm3・m-2・day-1・atm-1。成膜温度は70℃を超えなかった。また、有機半導体を利用した光電変換素子上に成膜したことで、光電特性が劣化し素子の経時保存性は無かった。
図1は、本発明の有機半導体を利用した光電変換膜積層型固体撮像素子の態様の一例を示す。 図2は、ICPCVD装置の説明図である。 図3は、ECRCVD装置の説明図である。
符号の説明
1 反射防止膜
2 赤外線遮断誘電体多層膜
3,4 保護膜
6 透明対向電極
7 電子阻止層(有機層)
8 p層(有機層)
9 n層(有機層)
10 正孔阻止層(有機層)
14 透明画素電極
11,12 層間絶縁膜
13 シリコン基板
15 ビアプラグ
16 パッド
17 遮光膜
18 接続電極
19 金属配線
20 対向電極パッド
21,23,25 n層
22,24 p層
26 トランジスタ
27 信号読出パッド
101 成膜室
102 排気系
103 ガス導入系
104 誘導結合型プラズマ発生器
105 基板ホルダ
106 高周波電源
107 整合回路
108 石英窓
109 基板
110 制御装置
201 成膜室
202 プラズマ生成室
203 排気系
204,5 ガス導入系
206 マイクロ波源
207 マイクロ波導波管
208 石英窓
209 電磁石
210 基板ホルダ
211 基板

Claims (13)

  1. 有機半導体を利用した光電変換膜積層型固体撮像素子であって、画素電極と透明対向電極との間に前記有機半導体を含む有機層を有し、前記透明対向電極の前記有機層が設けられた側と反対側に、無機材料から成る保護層を2層以上有し、更に、前記透明対向電極と接する前記保護層と当該保護層上に設けられた別の保護層との間に位置し、前記透明対向電極と接する前記保護層に設けられた開口を介して前記透明対向電極と接続される接続電極を有すること特徴とする光電変換膜積層型固体撮像素子。
  2. 上記無機材料が金属の酸化物および/または窒化物から成ることを特徴とする請求項1に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  3. 上記無機材料が窒化珪素から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  4. 上記無機材料が窒化酸化珪素から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  5. 上記保護層が酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素のうち2種を交互に積層した構造から成ることを特徴とする請求項2に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  6. 上記保護層が乾式薄膜作製法により真空中で成膜されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  7. 上記乾式薄膜作製法がプラズマ励起化学気相堆積(プラズマCVD)法であることを特徴とする請求項6に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  8. 上記乾式薄膜作製法が誘導結合型プラズマCVD法であることを特徴とする請求項7に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  9. 上記乾式薄膜作製法が電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法であることを特徴とする請求項7に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法であって、前記保護層を乾式薄膜作製法により真空中で成膜することを特徴とする光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
  11. 上記乾式薄膜作製法がプラズマ励起化学気相堆積(プラズマCVD)法であることを特徴とする請求項10に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
  12. 上記乾式薄膜作製法が誘導結合型プラズマCVDであることを特徴とする請求項11に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
  13. 上記乾式薄膜作製法が電子サイクロトロン共鳴プラズマCVDであることを特徴とする請求項11に記載の光電変換膜積層型固体撮像素子の製造方法。
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