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JP5244287B2 - 撮像素子、及び撮像素子に電場を印加する方法 - Google Patents

撮像素子、及び撮像素子に電場を印加する方法 Download PDF

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JP5244287B2 JP2005042357A JP2005042357A JP5244287B2 JP 5244287 B2 JP5244287 B2 JP 5244287B2 JP 2005042357 A JP2005042357 A JP 2005042357A JP 2005042357 A JP2005042357 A JP 2005042357A JP 5244287 B2 JP5244287 B2 JP 5244287B2
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Description

本発明は、光電変換膜、該光電変換膜を有する光電変換素子、及び固体撮像素子、並びに、これらに電場を印加する方法、及び印加した素子に関する。
光電変換膜は、例えば光センサ等に広く利用され、特に、テレビカメラ等の撮像装置(固体撮像装置)の固体撮像素子(受光素子)として好適に用いられている。撮像装置の固体撮像素子として用いられる光電変換膜の材料としては、Si膜やa−Se膜等の無機材料の膜が主に用いられている。
これら無機材料の膜を用いた従来の光電変換膜は、光電変換膜特性に対して急峻な波長依存性を持たない。このため、光電変換膜を用いた撮像装置は、入射光を赤、緑、青の三原色に分解するプリズムと、プリズムの後段に配置される3枚の光電変換膜とを備えた3板構造のものが主流となっている。
しかしながら、この3板式構造の撮像装置は、構造上、寸法および質量がともに大きくなることを避けることができない。
撮像装置の小型軽量化を実現するには、分光プリズムを設ける必要がなく、受光素子が1枚である単板構造のものが望まれ、例えば、単板受光素子に赤、緑、青のフィルタを配置した構造の撮像装置が検討され、光電変換膜の材料として、種類および特性が多様であり、また、加工形状の自由度が大きい等の利点を有する有機材料を用いることも検討されて、光感度(感度)を高めた光電変換膜、それを用いた受光素子が特開2003−158254号公報に記載されている。この文献では、p型半導体、n型半導体として、有機材料を用いているが、同公報の実施例では、p型有機材料としてポリメチルフェニルシラン(PMPS)、n型有機材料として8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体(Alq3)を用い、有機色素であるクマリン6を上記PMPS 100質量部に対して5.0質量部添加した例が記載されているのみであり、又同公報の好適な実施の形態の項における記載も有機色素は光電変換膜を構成するp型またはn型有機材料100質量部に対して0.1〜50質量部用いることが好ましいと記載されているのみで、有機色素をp型またはn型有機材料として用いることの記載ない。
また、撮像装置の小型軽量化を実現するには、分光プリズムを設ける必要がなく、受光素子が1枚である単板構造のものとして、低解像度の積層型光電変換膜が特開2003−234460号公報に記載されている。この文献には、例えば、好ましい積層型光電変換膜は、光の三原色のうちのいずれか1色の波長の光を吸収する機能を有する光電変換膜と、他の1色の波長の光を吸収する機能を有する光電変換膜と、残りの1色の光を吸収する機能を有する光電変換膜とを積層することで、高い、感度および解像度を有するカラー画像を得ることができると記載されている。
しかしながら、同公報の実施例では、500nm以下の青色領域全般に光感度を有するクマリン6/ポリシラン膜及び、赤色領域とともに青色領域にも吸収領域を有するZnPc/Alq3膜を光電変換膜として用い、クマリン6/ポリシラン膜のフィルタ機能により、600〜700nmを中心とする略赤色領域全般のみに光感度を有する光電変換膜を記載しているのみである。
また、特開2003−332551号公報には前記特開2003−234460号公報と同様な積層型光導電膜が記載されている。しかし、上記の特許文献1〜3には下記に記載する有機化合物の配向、有機色素化合物のJ会合体、及び色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角については一切記載がない。
一方、有機化合物の配向については非特許文献1(表面、31(10)40(1993))に記載の如く、基板の選択・蒸着条件の調整等により制御が可能である。例えば、基板表面にラビング処理を施し、その上に成長させる有機化合物に異方性を付与する方法等が挙げられる。
但し、基板結晶に依存した構造は高々十数層の厚さにおいてのみ観察され、膜厚が厚くなるとバルクの結晶構造をとるようになる。光導電膜では、光吸収率を高くするために、膜厚100nm以上(分子として100層以上)である場合が好ましい。従って、上記文献を光導電膜に適用できすることは困難である。光導電膜の場合、基板に加え有機化合物同士の相互作用を利用して配向を制御する必要があると考える。
有機色素化合物のJ会合体については非特許文献2に記載されており、色素間相互作用していないモノマー(単量体)吸収に対して、吸収が長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。一般にJ会合体を形成するとモノマー状態と比較して長波長側の吸収幅は小さくなることが知られている。
特開2003−158254号公報 特開2003−234460号公報 特開2003−332551号公報 表面、1993年、31巻(10号)、40頁 ジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、第8章、第214〜222頁
本発明の目的は、吸収の半値幅が狭く色再現に優れた光導電膜、光電変換素子、及び撮像素子(好ましくはカラーイメージセンサー)を提供すること、さらに、光電変換効率が高く耐久性にも優れた光導電膜、光電変換素子、及び撮像素子を提供することである。
本発明は下記の解決手段により解決される。
<1>
1対の電極間にp型半導体とn型半導体とのバルクヘテロ接合構造層を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、前記p型半導体及び前記n型半導体がメロシアニン色素であり、前記バルクヘテロ接合構造層における前記p型半導体及び前記n型半導体のうちの少なくとも1方配向制御されたメロシアニン色素であることを特徴とする撮像素子。
<2>
1対の電極間にp型半導体層、n型半導体層および、それらの間にp型半導体とn型半導体とのバルクヘテロ接合構造層を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、前記p型半導体及び前記n型半導体がメロシアニン色素であり、前記バルクヘテロ接合構造層における前記p型半導体及び前記n型半導体のうちの少なくとも1方配向制御されたメロシアニン色素であることを特徴とする<1>記載の撮像素子。
<3>
前記バルクヘテロ接合構造層における記p型半導体及び前記n型半導体の両方配向制御されたメロシアニン色素であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の撮像素子。

<1>〜<>のいずれか一項に記載の光電変換膜を2層以上積層したことを特徴とする撮像素子。

>に記載の2層以上の光電変換膜が、青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の3層を含むことを特徴とする<>に記載の撮像素子。

>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光吸収極大値を各々λmax1、λmax2、λmax3としたとき、λmax1が400nm以上500nm以下、λmax2が500nm以上600nm以下、λmax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする<>に記載の撮像素子。

>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光感度極大値を各々Smax1、Smax2、Smax3としたとき、Smax1が400nm以上500nm以下、Smax2が500nm以上600nm以下、Smax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする<>に記載の撮像素子。

>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする<>に記載の撮像素子。

>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
10
>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
11
>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
12
>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
13
>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
14
>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大吸収の50%を示す最も長波長が、各々、460nmから510nm、560nmから610nm、640nmから730nmであることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
15
>に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大感度の50%を示す最も長波長が、各々、460nmから510nm、560nmから610nm、640nmから730nmであることを特徴とする<>に記載の撮像素子。
16
<1>〜<15>のいずれか一項に記載の撮像素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法。
17
少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が<1>〜<15>のいずれか一項に記載の撮像素子からなることを特徴とする素子。
18
少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が少なくとも2層の積層型構造を有することを特徴とする<17>記載の素子。
19
上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなることを特徴とする<18>記載の素子。
20
少なくとも3つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が<1>〜<15>のいずれか一項に記載の撮像素子からなることを特徴とする<17>〜<19>のいずれか一項に記載の素子。
21
上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなることを特徴とする<20>記載の素子。
22
少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が無機層からなることを特徴とする<20>または<21>記載の素子。
23
少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位がシリコン基盤内に形成されていることを特徴とする<20>または<21>記載の素子。
24
17>〜<23>のいずれか一項に記載の素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法。
本発明は上記<1>〜<2>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記(1)〜(33)に記載の事項など)についても記載した。
(1) 少なくとも一つの有機色素化合物を有する光電変換膜において、該有機色素化合物がJ会合体を形成していることを特徴とする光電変換膜。
J会合体を形成している色素化合物の吸収極大値が、単量体状態の色素溶液の吸収極大値より、10nm以上長波長であることが好ましく、かつJ会合体を形成している色素化合物のJ会合体の吸収の長波長側の吸収幅が、単量体状態の色素溶液の吸収の長波長側の吸収幅の2倍以下であることが好ましい。
(2) 少なくとも一つの有機色素化合物を有する光電変換膜において、該有機色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換膜平面とのなす角が40°以下であることを特徴とする光電変換膜。該角が15°以下であることが好ましい。
(3) (1)または(2)記載の光電変換膜とそれを挟む一対の電極とを含む光電変換素子。
(4) (3)記載の光電変換素子を含む撮像素子。
(5) 1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層が積層構造を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする撮像素子。
(6) 1対の電極間にp型半導体とn型半導体との混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする撮像素子。
(7) 1対の電極間にp型半導体層、n型半導体層および、それらの間にバルクヘテロ接合構造層層を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする(6)記載の撮像素子。
(8) 前記、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の撮像素子。
(9) 前記配向制御された有機化合物が有機色素であることを特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載の撮像素子。
(10) 前記有機色素がメロシアニン色素であることを特徴とする(9)に記載の撮像素子。
(11) 前記有機化合物の層の厚みが、30nm以上300nm以下であることを特徴とする、(1)もしくは(2)記載の光電変換膜、(3)記載の光電変換素子、または(4)〜(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12) (1)〜(11)のいずれかに記載の光電変換膜を2層以上積層したことを特徴とする撮像素子。
(13) (12)に記載の2層以上の光電変換素子が、青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の3層を含むことを特徴とする(12)に記載の撮像素子。
(14) 入射光側のp型半導体、又はn型半導体が無色であることを特徴とする(1)もしくは(2)記載の光電変換膜、(3)記載の光電変換素子、または(4)〜(13)のいずれかに記載の撮像素子。
(15) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光吸収極大値を各々λmax1、λmax2、λmax3としたとき、λmax1が400nm以上500nm以下、λmax2が500nm以上600nm以下、λmax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(16) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光感度極大値を各々Smax1、Smax2、Smax3としたとき、Smax1が400nm以上500nm以下、Smax2が500nm以上600nm以下、Smax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(17) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(18) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(19) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(20) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(21) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(22) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(23) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大吸収の50%を示す最も長波長が、各々、460nmから510nm、560nmから610nm、640nmから730nmであることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(24) (13)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大感度の50%を示す最も長波長が、各々、460nmから510nm、560nmから610nm、640nmから730nmであることを特徴とする(13)に記載の撮像素子。
(25) (1)ましくは(2)に記載の光電変換膜、(3)に記載の光電変換素子、または(4)〜(24)のいずれかに記載の撮像素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法、及び印加した膜または素子。
(26) 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が(4)〜(25)のいずれかに記載の撮像素子からなることを特徴とする素子。
(27) 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が少なくとも2層の積層型構造を有することを特徴とする(26)記載の素子。
(28) 上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなることを特徴とする(27)記載の素子。
(29) 少なくとも3つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が請求項1〜20のいずれかに記載の撮像素子からなることを特徴とする(26)〜(28)のいずれかに記載の素子。
(30) 上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなることを特徴とする(29)記載の素子。
(31) 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が無機層からなることを特徴とする(29)または(30)記載の素子。
(32) 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位がシリコン基盤内に形成されていることを特徴とする(29)または(30)記載の素子。
(33) (26)〜(32)のいずれかに記載の請求項4〜24のいずれかに記載の撮像〕素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法、及び印加した素子。
本発明の光導電膜、光電変換素子、及び撮像素子は吸収の半値幅が狭く色再現に優れ、さらに、光電変換効率が高く耐久性にも優れるという効果があるが、2層積層、及び、BGR3層積層型固体撮像素子においては、それ以外にも下記の特徴がある。
積層構造のため、モアレの発生がなく、光学ローパスフィルターが不要のため解像度が高く、色にじみがない。また信号処理が単純で、擬信号が発生しない。更に、CMOSの場合には、画素混合が容易で、部分読みが容易である。
開口率100%、マイクロレンズ不要のため、撮像レンズに対する射出瞳距離制限がなく、シェーデングがない。従ってレンズ交換カメラに適し、この際レンズの薄型化が可能になる。
マイクロレンズがないため、接着剤充填でガラス封止が可能となり、パッケージの薄型化、歩留まりが上昇し、コストダウンになる。
有機色素使用のため、高感度が得られ、IRフィルター不要で、フレアが低下する。
本発明の好ましい態様の一つは、1対の電極間にp型半導体の層、n型半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする光電変換膜であり、好ましくは、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含むことを特徴とする。
本発明は、光導電膜において、有機層の有機化合物の配向を制御することにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させるものである。
本発明においては、有機化合物の配向がランダムな状態に比べて秩序を有していることを特徴とする。ランダムでなければ秩序の程度は低くても高くても良いが、好ましくは高秩序の場合である。
光電変換膜の有機層に用いられる有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、さらに好ましくは0°以上60°以下であり、さらに好ましくは0°以上40°以下であり、さらに好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。
上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。
有機化合物の配向は、前記非特許文献1に記載のような基板の選択・蒸着条件の調整等により制御が可能である。例えば、基板表面にラビング処理を施し、その上に成長させる有機化合物に異方性を付与する方法等が挙げられる。但し、基板結晶に依存した構造は高々十数層の厚さにおいてのみ観察され、膜厚が厚くなるとバルクの結晶構造をとるようになる。本発明の光電変換素子では、光吸収率を高くするために、膜厚100nm以上(分子として100層以上)である場合が好ましく、このような場合、基板に加え有機化合物同士の相互作用を利用して配向を制御する必要がある。
有機化合物同士の相互作用の力としてはいかなるものでも良いが、例えば分子間力として、ファン・デル・ワールス(van der Waals)力(さらに細かくは、永久双極子−永久双極子間に働く配向力、永久双極子−誘起双極子間に働く誘起力、一時双極子−誘起双極子間に働く分散力に分けて表現できる。)、電荷移動力(CT)、クーロン力(静電力)、疎水結合力、水素結合力、配位結合力などが挙げられる。これらの結合力は、1つだけ利用することも、また任意のものを複数組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、ファン・デル・ワールス力、電荷移動力、クーロン力、疎水結合力、水素結合力であり、さらに好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力、水素結合力であり、特に好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力であり、最も好ましくはファン・デル・ワールス力である。
本発明のおける有機化合物同士の相互作用の一つとして、共有結合、又は配位結合を用いることも可能であり、好ましくは共有結合で連結されている場合である(なお、配位結合については、分子間力の一つの配位結合力とみなすこともできる)。これらの場合において、共有結合、又は配位結合は予め形成されていても、有機層を形成する過程で形成されていても良い。
上記の分子間力と共有結合のうち、好ましくは分子間力を用いて有機化合物の配向を制御した場合である。
これらの分子間力の引力のエネルギーとして好ましくは15kJ/mol以上、さらに好ましくは20kJ/mol以上、特に好ましくは40kJ/mol以上の場合である。上限は特にないが、好ましくは5000kJ/mol以下、さらに好ましくは1000kJ/mol以下である。
また、有機化合物に誘電異方性や分極を付与しておき、成長中に電場を印加して分子を配向させる方法を用いることも可能である。
本発明の好ましい撮像素子としては、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層が積層構造を持つ光電変換膜を有する撮像素子;1対の電極間にp型半導体とn型半導体との混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層を持つ光電変換膜を有する撮像素子;1対の電極間にp型半導体とn型半導体とのpn接合層の間にバルクヘテロ接合構造層層を持つ光電変換膜を有する撮像素子である。
本発明の有機化合物の配向が制御されている場合において、さらに好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、さらに好ましくは30°以上90°以下であり、さらに好ましくは50°以上90°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°以下(すなわち基板に対して垂直)である。
上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、有機層におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔ペア等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。
上記のヘテロ接合層(面)を持つ光導電膜の具体的な図面の例は、特開2003-298152の図1〜図8に記載されているものが適用できる。
以上、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光導電膜(光電変換膜)において、特に光電変換効率の向上が可能である。
本発明は、これらの有機化合物の配向が制御された有機光電変換膜を少なくとも一つ含み、好ましくは、少なくとも光光電変換が2層以上積層した撮像素子、及び、有機化合物の配向が制御された有機光電変換膜に電圧を印加した素子が好ましい。
本発明の好ましい態様の一つとして、有機色素化合物は、光電変換膜においてJ会合体を形成している状態で存在する。ここで、色素がJ会合体を形成している状態とは、色素間の相互作用のない単量体状態の色素溶液が示す吸収極大値より、長波長側に吸収極大値がシフトした状態であることを意味する。シフト幅として好ましくは、10nm以上であり、さらに好ましくは25nm以上であり、特に好ましくは50nm以上、最も好ましくは75nm以上である。シフト幅の上限は特にないが、好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下である。
一般に、色素はJ会合体を形成すると単量体状態と比較して吸収極大が長波長側へシフトすることが知られている。(The Theory of the Photographic Process 、T. H. James 編集、1977年、MacmillanPublishing Co., Inc.)従って、上記によりJ会合体を定義することが出来る。
なお、単量体状態の色素溶液が示す吸収極大値は、色素濃度=1×10-5mol/lのジメチルホルムアミド(DMF)溶液中での吸収極大値を意味する。なお、色素がDMFに溶解しない場合は、溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、又はメタノールを用いても良い。
また、光電変換膜において形成された色素のJ会合体の吸収の長波長側の吸収幅が、上記の単量体状態の色素溶液が示す吸収の長波長側の吸収幅の2倍以下の場合が好ましい。さらに好ましくは1.5倍以下であり、特に好ましくは1倍以下であり、最も好ましくは0.5倍以下である。ここで長波長側の吸収幅とは、吸収極大波長と、吸収極大波長より長波長で吸収極大の1/2の吸収を示す波長とのエネルギー幅を表す。一般に、J会合体を形成すると単量体状態と比較して長波長側の吸収幅は小さくなることが知られている。しかし、光電変換膜においては、色素がJ会合体を形成しない場合には色素間の不均一な相互作用が強くなるため吸収がブロード化し、単量体状態の色素溶液の長波長側の吸収幅に比べて吸収幅が2倍以上に大きくなる。従って、本発明においては、J会合体の好ましい吸収幅として上記を定義した。
なお、上記のように、J会合体を形成した有機色素化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。
本発明の有機色素化合物が光電変換膜においてJ会合体を形成した場合、得られる光電変換膜の吸収の半値幅が狭くなり色再現性に優れるという長所の他に、驚くべきことに光電変換効率が著しく高くなることを見出した。また、驚くべきことに光電変換膜の耐久性も著しく向上することを見出した。
有機色素化合物のJ会合体を形成するための、有機色素化合物同士の相互作用の力としてはいかなるものでも良いが、例えば分子間力として、ファン・デル・ワールス(van der Waals)力(さらに細かくは、永久双極子−永久双極子間に働く配向力、永久双極子−誘起双極子間に働く誘起力、一時双極子−誘起双極子間に働く分散力に分けて表現できる。)、電荷移動力(CT)、クーロン力(静電力)、疎水結合力、水素結合力、配位結合力などが挙げられる。これらの結合力は、1つだけ利用することも、また任意のものを複数組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、ファン・デル・ワールス力、電荷移動力、クーロン力、疎水結合力、水素結合力であり、さらに好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力、水素結合力であり、特に好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力であり、最も好ましくはファン・デル・ワールス力である。
これらの分子間力の引力のエネルギーとして好ましくは15kJ/mol以上、さらに好ましくは20kJ/mol以上、特に好ましくは40kJ/mol以上の場合である。上限は特にないが、好ましくは5000kJ/mol以下、さらに好ましくは1000kJ/mol以下である。
〔有機色素化合物の会合性〕
我々は、以上の光電変換膜においてJ会合体を形成する有機色素化合物には下記一般式(1)で示す好ましい会合性の範囲があることを見出した。以下の式(1)の値として、好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは2以上、特に好ましくは3.5以上、最も好ましくは5以上である。上限は特にないが、好ましくは20以下であり、さらに好ましくは15以下である。本発明の化合物の会合性がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が高くなるという長所の他に、光電変換膜の耐久性が向上することを見出した。
会合性について説明する。本発明では、会合性を(Agg)で表わす。
本発明の有機色素化合物(DyeX)は、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
式(1) {Agg(DyeX)/Agg(Dye1)}≧1.1
式(1)において、Agg(Dye1)は下記のDye1の会合性、Agg(DyeX)はDyeXの会合性を表す。
Dye1
色素は色素同士の相互作用により会合(又は凝集とも呼ぶことができる)する性質を持っている。ここでは、この会合性を下式(B1)のモノマー吸収に対する会合体の吸収の割合により定義する。
Agg=A/M (B1)
(B1)式において、Aは会合吸収の吸収強度、Mはモノマー吸収の吸収強度を表す。測定条件は以下の通りである。
色素濃度:1×10-5mol/L
溶媒:水
測定温度:25℃
上記条件にて、吸収スペクトルを測定し、A、Mを求める。
なお、上記条件で、本発明の有機色素化合物(DyeX)が溶解しないなどの理由により、測定することができない場合、適宜メタノール等の有機溶媒を加えた混合溶媒を用いて、DyeXと比較のDye1を測定することができる。式(1)は、DyeXとDye1との会合性の相対値で定義されているため、DyeXとDye1の会合性を同条件で測定すれば、式(1)の値に変わりはないからである。
会合吸収とは、モノマー吸収以外の吸収であればいずれでも良く、例えばダイマー吸収、H会合吸収などが挙げられる。なお、この条件では、ほとんどの場合、会合吸収としてはモノマー吸収極大より短波長のダイマー会合吸収を示す。この場合、Aはダイマー吸収の吸収強度(D)を意味する。
但し、この条件で、H会合吸収やJ会合吸収を示す場合もあり、例えば会合吸収としてダイマー、H会合、及びJ会合吸収の3つの吸収を示す場合、Aはダイマー吸収の吸収強度(D)、H会合吸収の吸収強度(H)、及びJ会合吸収の吸収強度(J)の和を意味する。
なお、DyeXにpH=10以下で解離可能な基がある場合には、解離した状態で測定を行う。例えば、色素と当量のNaOH(その他KOH、トリエチルアミンなど、いかなる塩基を用いても良い。また、これらの塩基の色素に対する当量数は、解離基と塩基のpKaに応じて、必要な量だけ増やすことができる。)を加えることにより解離させることができる。
参考のため、以下に会合体の説明を行う。会合体については、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、第8章、第214〜222頁、小林孝嘉著「J会合体(J-Aggregates)」ワールド・サイエンティフィック・パブリッシング社(World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.)、1996年刊)、ケミカル・フィジックス・レター(Chemical Physics Letters),第6巻、第183頁(1970年)、Zeitschrift fur Physikalische Chemie,第49巻、第324頁、(1941年)、松原孝治、田中俊夫、日本写真学会誌、第52巻第5号、第395〜399頁、1989年、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第18巻、第3号、第335頁(1974年)などに詳細な説明がなされている。
モノマーとは単量体を意味する。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼び、この明細書ではH会合吸収はダイマー吸収を除いた吸収である)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。一般にJ会合体を形成するとモノマー状態と比較して長波長側の吸収幅は小さくなることが知られている。
〔J会合性〕
我々は、さらに、本発明の有機色素化合物には下記一般式(2)で示す好ましいJ会合性の範囲があることを見出した。以下の式(2)の値として、好ましくは、5以上であり、さらに好ましくは25以上、さらに好ましくは50以上、特に好ましくは100以上、最も好ましくは150以上である。上限は特にないが、好ましくは500以下であり、さらに好ましくは250以下である。
本発明の有機色素化合物のJ会合性がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の吸収の半値幅が狭くなるという長所の他に、驚くべきことに光電変換効率が著しく高くなることを見出した。また、驚くべきことに光電変換膜の耐久性も著しく向上することを見出した。
J会合性について説明する。本発明では、J会合性を(J−Agg)で表わす。
本発明の色素化合物(DyeX)は、下記の式(2)を満たすことが好ましい。
式(2) {J−Agg(DyeX)/J−Agg(Dye1)}≧1.1
式(2)において、J−Agg(Dye1)はDye1のJ会合性、J−Agg(DyeX)DyeXのJ会合性を表す。
上記の式(1)の説明で述べたように色素は色素同士の相互作用により会合(又は凝集とも呼ぶことができる)する性質を持っている。式(2)では、この会合性の中でも、特にJ会合性を評価するため、下式(B2)のJ会合体以外の吸収に対するJ会合体の吸収の割合により定義する。
J−Agg=J/G (B2)
(B2)式において、JはJ会合吸収の吸収強度、GはJ会合吸収以外の吸収の吸収強度を表す。測定条件は以下の通りである。
色素濃度:1×10-5mol/L
溶媒:0.5%ゼラチン水(ゼラチンは脱イオンゼラチンを用いる)
温度:25℃
上記条件にて、3時間放置した後に25℃で吸収スペクトルを測定し、JおよびGを求める。
なお、上記条件で、本発明の有機色素化合物(DyeX)が溶解しないなどの理由により、測定することができない場合、適宜メタノール等の有機溶媒を加えた混合溶媒を用いて、DyeXと比較のDye1を測定することができる。式(2)は、DyeXとDye1との会合性の相対値で定義されているため、DyeXとDye1の会合性を同条件で測定すれば、式(1)の値に変わりはないからである。
J会合以外の吸収とは、J会合吸収以外の吸収であればいずれでも良く、例えばモノマー吸収、ダイマー吸収、H会合吸収などが挙げられる。
なお、この条件では、ほとんどの場合、J会合吸収以外の吸収はモノマー吸収とダイマー吸収を示す。この場合、Gはモノマー吸収の吸収強度(M)とダイマー吸収の吸収強度(D)の和を意味する。
なお、DyeXにpH=10以下で解離可能な基がある場合には、解離した状態で測定を行う。例えば、色素と当量のNaOH(その他KOH、トリエチルアミンなど、いかなる塩基を用いても良い。また、これらの塩基の色素に対する当量数は、解離基と塩基のpKaに応じて、必要な量だけ増やすことができる。)を加えることにより解離させることができる。
本発明の好ましい態様の一つとして、有機色素化合物を含む光電変換膜において、我々は、色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換膜平面とのなす角に好ましい範囲があることを見出した。本発明の有機色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換膜平面とのなす角として好ましくは40°以下であり、より好ましくは30°以下、さらに好ましくは15°以下、さらに好ましくは5°以下、特に好ましくは2°以下、最も好ましくは0°である。上記の好ましい角度の関係は、光電変換素子においては、有機色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角が、上記範囲である場合に置き換えることができる。
本発明の有機色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が著しく高くなり、また、驚くべきことに光吸収率も顕著に向上することを見出した。
従来、有機光電変換素子の膜中での配向については、ほとんど注意が払われてこなかった。色素分子の遷移双極子モーメントは色素分子の長軸方向にあり、光電変換膜中の色素が光電変換素子の電極平面と角度をなしている場合、色素の遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面が角度をなしていることになる。
本発明において、光励起により発生した色素中の励起子やキャリアーの移動度を向上させるには、色素の遷移双極子モーメントと電極平面とのなす角度が重要なパラメータであり、それらが平行に近いほど光電変換効率が高くなることを見出した。従来の有機光電変換素子を本観点で見直したところ、色素の遷移双極子モーメントと電極平面とのなす角度が平行に近い系はなく不充分であることが明確になった。
さらに、光は光電変換素子に垂直に入射するため、入射する光の電場の振動面は光電変換素子面と平行、すなわち光電変換素子の電極平面と平行になる。色素の遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面が平行であると、入射光の電場振動面と一致するため、光吸収効率が高くなることが明らかとなった。
本発明の有機色素化合物の遷移双極子モーメントは例えば以下の方法で求めることができる。実験物理学講座14、木下是雄編 共立出版1986年の偏光解析法に示されるような、45度反射光学系と偏光子を有する紫外可視分光計を用いて、光電変換素子の反射スペクトルを測定する。p偏光およびs偏光それぞれの光による反射強度(Ig(ν))を色素の吸収波長を含む前後200nmの範囲で測定する。また、同様な方法により、標準物質である石英の反射強度Iq(ν)を測定する。石英の屈折率nは次に示す式により各波数(cm-1)に対して求められ、
n2 = 1+ 1.2409×1010/(1063592 −ν2
これより、石英の反射率(Rq(ν))は、
Rq(ν) = |(n − 1) / (n + 1)|2
で計算でき、光電変換素子の反射率(Rg (ν))は、
Rg(ν) = Rq(ν) × Ig(ν) / Iq(ν)
より求めることができる。
上記の反射率測定をp偏光、s偏光それぞれについて行い、それらの反射スペクトルにクラマース−クローニッヒ変換(以下K-K変換)を行うことによって光電変換素子の全吸収のp偏光成分およびs偏光成分に対する吸収スペクトルAp (ν)およびAs(ν)を得ることが出来る。K-K変換については、第4版実験化学講座7 分光II 井口洋夫編 丸善株式会社1992年 P 320に記載されている。上記の測定を、上記光電変換素子から本発明の有機色素化合物のみを除いた素子で行うことにより、色素以外の素子部分の吸収のp偏光成分およびs偏光成分に対する吸収スペクトルA1p(ν)およびA1s(ν)も同様に求めることが出来る。
色素のみの吸収スペクトルは
p偏光成分 A2p(ν) = Ap(ν) − A1p(ν)
s偏光成分 A2s(ν) = As(ν) − A1s(ν)
と求めることが出来る。これらの測定より、電極平面と色素の遷移双極子モーメントのなす角度は
θ2ps(ν) = tan-1 ( A2p(ν) / A2s(ν) − 1/√2 )
となる。本発明においては電極平面と色素の遷移双極子モーメントがなす角は、色素の吸収極大波長におけるθ2ps(ν)と定義する。
別法として、Ap(ν)およびAs(ν)を波長についての一次微分の波長変化成分を積分することによってA2p(ν)、 A2s (ν)を求めることも出来る。電極平面と色素の遷移双極子モーメントとのなす角もA2p (ν)、 A2s(ν)を用いて上述の方法と同様に求められる。
θ2ps(ν) = tan-1( A12p(ν) / A12s(ν) − 1/√2 )
となる。
〔分子量〕
我々は、本発明の有機色素化合物には好ましい分子量の範囲があることを見出した。分子量として好ましくは300以上1200以下であり、さらに好ましくは400以上1000以下であり、特に好ましくは500以上800以下である。本発明の有機色素化合物の分子量がこれらの範囲にあるとき、光電変換膜の真空蒸着等による成膜が容易にできるという長所の他に、得られる光電変換膜の光電変換効率が高く優れており、さらに、撮像素子の画素間の光吸収率と光電変換効率のバラツキが小さくなることを見出した。
〔親疎水性規定〕
我々は、本発明の有機色素化合物には好ましい親疎水性の範囲があることを見出した。ClogPとして好ましくは2以上10以下であり、さらに好ましくは3以上8以下であり、特に好ましくは4以上6以下である。本発明の有機色素化合物の親疎水性がこれらの範囲にあるとき、光電変換膜の真空蒸着等による成膜が容易にできるという長所の他に、得られる光電変換膜の光電変換効率が高く優れており、さらに、撮像素子の画素間の光吸収率と光電変換効率のバラツキが小さくなることを見出した。また、本発明の有機色素化合物の親疎水性がこれらの範囲にあるとき、得られる膜の耐久性、特に高湿条件下での耐久性が向上することを見出した。
なお、ClogPは化合物の親疎水性の尺度として用いる。
通常、親疎水性は、化合物のオクタノール/水分配係数(logP)により求めることができる。具体的には、下記文献(1)記載のフラスコ・シェーキング法で実測して求めることができる。
文献(1):構造活性相関懇話会(代表)藤田稔夫編、化学の領域増刊122号「薬物の構造活性相関−ドラッグデザインと作用機作研究への指針」、南江堂、1979年刊、第2章第43頁〜203頁。特に第86頁〜89頁にフラスコ・シェーキング(Flask
shaking)法が記載されている。
logPが3以上の場合、測定が困難な場合があるので、本発明ではlogPを計算するためのモデルを使用することができ、本発明では、この計算値によるlogP(以下、ClogPと称する)を用いて規定することができる。
本発明の目的では、Hansch-LeoのCLOGPプログラム(米国Daylight Chemical Information Systems社)(バージョンはアルゴリズム=4.01、フラグメントデータベース=17(*3))を使用して、logP計算値を算出する。このソフトウェアを入手することができない場合には、本出願人が具体的な全ての化合物について、そのClogP値を提供する。
本発明の有機色素化合物において複数の互変異性体をとり得る場合、これらの各々の異性体についてClogPを計算することができ、これらの値の少なくとも1つが特定の範囲内にあるならば、その化合物は本発明の好ましい範囲内にある。また、上記のプログラムのデータベースに分子のフラグメントがない場合は、上記の親疎水性の実測によりデータを補ってClogPを求めることができる。本発明の有機色素化合物はpH=7での状態を基準としてClogPを計算する。
〔電位〕
我々は、さらに、本発明の有機色素化合物には好ましい電位の範囲があることを見出した。酸化電位として好ましくは0.3V以上1.8V以下(vs SCE)であり、さらに好ましくは0.5V以上1.5V以下であり、特に好ましくは0.8V以上1.3V以下である。還元電位として好ましくは−2V以上−0.5V以下(vs SCE)であり、さらに好ましくは−1.6V以上−0.8V以下であり、特に好ましくは−1.4V以上−1V以下である。
本発明の有機色素化合物の電位がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が高くなるという長所の他に、光電変換膜の耐久性が向上することを見出した。
還元電位、及び酸化電位の測定は、種々の方法が可能であるが、好ましくは、位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーで行う場合であり、正確な値を求めることができる。なお、以上の位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーによる電位の測定法はジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journal of Imaging Science)、第30巻、第27頁(1986年)に記載されている。
〔蛍光〕
我々は、さらに、本発明の有機色素化合物には好ましい蛍光量子収率と蛍光寿命の範囲があることを見出した。蛍光量子収率として好ましくは0.1以上1以下であり、さらに好ましくは0.5以上1以下であり、特に好ましくは0.8以上1以下である。蛍光寿命として好ましくは10ps以上であり、さらに好ましくは40ps以上であり、特に好ましくは160ps以上である。上限は特にないが、好ましくは1ms以下である。
本発明の有機色素化合物の蛍光量子収率と蛍光寿命がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が高くなるという長所の他に、光電変換膜の耐久性が向上することを見出した。
蛍光量子収率は、特開昭63−138341号公報に記載の方法で測定することが出来る。以下にその方法を記す。色素の膜中の蛍光量子収率は、溶液の発光量子収率の場合と基本的には同じ方法で測定でき、通常絶対量子収率が既知の標準試料(例えば、ローダミンB、硫酸キニーネ、9、10−ジフェニルアントラセンなど)を参照として、一定の光学配置のもとで入射光強度、試料の発光強度を比較する相対測定を通じて求めることができる。この相対測定法については、例えば、C.A.Parker and W.T.Rees、Analyst、1960年、85巻、587ページに記載されている。本発明における蛍光量子収率は、溶液状態、膜状態いずれの値でも良いが、好ましくは膜状態での値である。
本発明の有機色素化合物の蛍光寿命は、Tadaaki Tani,Takeshi Suzumoto,Klaus Kemnitz,Keitaro Yoshihara著、The Journal of Physical Chemistry,1992年,96巻,2778ページ記載の方法で測定することが出来る。
[有機層]
本発明において有機層について説明する。本発明の有機層からなる電磁波吸収/光電変換部位は1対の電極に挟まれた有機層から成る。有機層は電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極ならびに層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合から形成される。
有機層は有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。
有機層は有機p型半導体(化合物)、及び有機n型半導体(化合物)を含有することが好ましく、これらはいかなるものでも良い。また、可視及び赤外域に吸収を持っていても持っていなくても良いが、好ましくは可視域に吸収を持っている化合物(有機色素)を少なくとも一つ用いる場合である。更に、無色のp型化合物とn型化合物を用い、これらに有機色素を加えても良い。
p型層/バルクへテロ接合層/n型層の3層構造にする場合、入射光側のp型、又はn型半導体(化合物)は無色である場合が好ましい。
有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
有機n型半導体(化合物)は、アクセプター性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。
p型有機色素、又はn型有機色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ジケトピロロピロール色素、ジオキサン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
p型有機色素、n型有機色素が形成する膜は、アモルファス状態、液晶状態、及び結晶状態のいずれでも良い。結晶状態で用いる場合は、顔料を用いることが好ましい。
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、または錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、または亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、または亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社 H.Yersin著1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社山本明夫著1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、またはシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、またはシロキシ配位子が挙げられる。
本発明の目的の一つである、カラー撮像素子として用いるためには、吸収波長の調整の自由度の高い、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素などのメチン色素を好ましく用いることができる。さらに好ましくはメロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素であり、さらに好ましくはメロシアニン色素である。
これらのメチン色素の詳細については、下記の色素文献に記載されている。
[色素文献]
エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、など。
さらに説明を加えると、リサーチ・ディスクロージャ(RD)17643の23〜24頁、RD18716の648頁右欄〜649頁右欄、RD308119の996頁右欄〜998頁右欄、欧州特許第0565096A1号の第65頁7〜10行、に記載されているものを好ましく用いることができる。また、米国特許第5,747,236号(特に第30〜39頁)、米国特許第5,994,051号(特に第32〜43頁)、米国特許第5、340、694号(特に第21〜58頁、但し、(XI)、(XII)、(XIII)に
示されている色素において、n12、n15、n17、n18の数は限定せず、0以上の整数(好ましくは4以下)とする。)に記載されている、一般式及び具体例で示された部分構造、又は構造を持つ色素も好ましく用いることができる。
光電変換膜の中間層中のp型有機半導体およびn型有機半導体の配合比率は、質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲内において適宜設定することができる。
〔電子輸送性材料〕
我々は、本発明の光電変換膜において、電子輸送性を有する有機材料(n型化合物)として、イオン化ポテンシャルが6.0eVよりも大きい場合が好ましく、さらに下記一般式(X)で表わされる場合が好ましい。
一般式(X) L−(A)m
(式中、Aは二つ以上の芳香族へテロ環が縮合したヘテロ環基を表し、Aで表されるヘテロ環基は同一または異なってもよい。mは2以上の整数を表す。Lは連結基を表す。)
なお、これらの電子輸送性を有する有機材料の詳細及び好ましい範囲については、特願2004−082002号において詳細に説明されている。
これらの電子輸送性の有機材料を用いるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が著しく高くなる。
(有機層の形成法)
これらの有機化合物を含む層は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。
p型半導体(化合物)、又は、n型半導体(化合物)のうちの少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。
一方、本発明において、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基盤温度、蒸着速度等が基本的なパラメ−タ−である。均一な蒸着を可能とするために基盤を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10-4Torr以下、好ましくは10-6Torr以下、特に好ましくは10-8Torr以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、アモルファス性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニタ−を用いて蒸着速度をPIもしくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
〔吸収波長規定〕
我々は、さらに、本発明の有機色素化合物には好ましい分光吸収波長及び分光感度領域の範囲があることを見出した。
本発明においては、色再現良好なBGR光電変換膜、即ち青色光電変換膜、緑色光電変換膜、赤色光電変換膜の3層を積層した光電変換素子を好ましく用いることができる。各光電変換膜は、以下の分光吸収及び/または分光感度特性を有する場合が好ましい。
分光吸収極大値を、BGRの順に各々λmax1、λmax2、λmax3、分光感度極大値をBGRの順に各々Smax1、Smax2、Smax3としたとき、λmax1、Smax1 として好ましくは400nm以上500nm以下、さらに好ましくは420nm以上480nm以下、特に好ましくは430nm以上470nm以下の範囲にある場合である。λmax2、Smax2として好ましくは500nm以上600nm以下、さらに好ましくは520nm以上580nm以下、特に好ましくは530nm以上570nm以下の範囲にある場合である。λmax3、Smax3として好ましくは600nm以上700nm以下、さらに好ましくは620nm以上680nm以下、特に好ましくは630nm以上670nm以下の範囲にある場合である。
また、本発明の光電変換膜が3層以上の積層構造をとる場合、λmax1、λmax2、λmax3の分光極大吸収とSmax1、Smax2、Smax3の分光極大感度のそれぞれ50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは120nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは80nm以下、最も好ましくは70nm以下である。
また、λmax1、λmax2、λmax3の分光極大吸収とSmax1、Smax2、Smax3の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは20nm以上で、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
また、λmax1、λmax2、λmax3の分光極大吸収とSmax1、Smax2、Smax3の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは180nm以下、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは120nm以下、最も好ましくは100nm以下である。
また、λmax1、λmax2、λmax3とSmax1、Smax2、Smax3の長波側で、λmax1、λmax2、λmax3の分光極大吸収とSmax1、Smax2、Smax3の分光極大の50%の分光吸収率を示す最も長波長は、λmax1、Smax1として好ましくは460nm以上510nm以下、λmax2、Smax2として好ましくは560nm以上610nm以下、λmax3、Smax3として好ましくは640nm以上730nm以下である。
本発明の化合物の分光吸収波長及び分光感度領域の範囲がこれらの範囲にあるとき、撮像素子により得られるカラー画像の色再現性を向上させることができる。
[有機色素層の膜厚規定]
本発明の光電変換膜をカラー撮像素子(イメージセンサー)として用いる場合、B、G、R層各々の有機色素層の光吸収率を、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%(吸光度=1)以上、最も好ましくは99%以上にすることが光電変換効率を向上させ、さらに、下層に余分な光を通さず色分離を良くするために好ましい。従って、光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与する割合を考慮すると、本発明における有機色素層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは60nm以上200nm以下、最も好ましくは80nm以上130nm以下である。
[電圧印加]
本発明の光電変換膜に電圧を印加した場合、光電変換効率が向上する点で好ましい。印加電圧としては、いかなる電圧でも良いが、光電変換膜の膜厚により必要な電圧は変わってくる。すなわち、光電変換効率は、光電変換膜に加わる電場が大きいほど向上するが、同じ印加電圧でも光電変換膜の膜厚が薄いほど加わる電場は大きくなる。従って、光電変換膜の膜厚が薄い場合は、印加電圧は相対的に小さくでも良い。光電変換膜に加える電場として好ましくは、10V/m以上であり、さらに好ましくは1×103V/m以上、さらに好ましくは1×105V/m以上、特に好ましくは1×106V/m以上、最も好ましくは1×107V/m以上である。上限は特にないが、電場を加えすぎると暗所でも電流が流れ好ましくないので、1×1012V/m以下が好ましく、さらに1×109V/m以下が好ましい。
〔一般的要件〕
本発明において好ましくは、少なくとも光電変換素子が2層以上、さらに好ましくは3層又は4層、特に好ましくは3層積層した構成を用いる場合である。
本発明においては、これらの光電変換素子を撮像素子、特に好ましく固体撮像素子として好ましく用いることができる。
また、本発明においては、これらの光電変換膜、光電変換素子、及び、撮像素子に電圧を印加する場合が好ましい。
本発明における光電変換素子として好ましくは、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層が積層構造を持つ光電変換膜を有する場合である。また、好ましくは、p型及びn型半導体のうち少なくとも一方は有機化合物を含む場合であり、さらに好ましくはp型及びn型半導体の両方とも有機化合物を含む場合である。
〔バルクへテロ接合構造〕
本発明においては、1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体およびn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましい。このような場合、光電変換膜において、有機層にバルクへテロ接合構造を含有させることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。
なお、バルクへテロ接合構造については、特願2004−080639号において詳細に説明されている。
〔タンデム構造〕
本発明において、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を持つ光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2以上10以下であり、さらに好ましくは2以上5以下であり、特に好ましくは2または3であり、最も好ましくは3である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。
本発明において、タンデム構造をもつ半導体としては無機材料でもよいが有機半導体が好ましく、さらに有機色素が好ましい。
なお、タンデム構造については、特願2004−079930号において詳細に説明されている。
[積層構造]
本発明の一つの好ましい態様として、光電変換膜に電圧を印加しない場合は、少なくとも2つの光電変換膜が積層している場合が好ましい。積層撮像素子は特に制限はなく、この分野で用いられているものは全て適用できるが好ましくは、BGR3層積層構造であり、BGR積層構造の好ましい例を図1に示す。
つぎに、本発明に係る固体撮像素子は、例えば、本実施の態様の図2で示されるような光電変換膜を有する。そして、図1に示されるような固体撮像素子は、走査回路部の上に積層型光電変換膜が設けられる。走査回路部は、半導体基板上にMOSトランジスタが各画素単位に形成された構成や、あるいは、撮像素子としてCCDを有する構成を適宜採用することができる。
例えばMOSトランジスタを用いた固体撮像素子の場合、電極を透過した入射光によって光電変換膜の中に電荷が発生し、電極に電圧を印加することにより電極と電極との間に生じる電界によって電荷が光電変換膜の中を電極まで走行し、さらにMOSトランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOSトランジスタのスイッチングにより電荷読出し部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む固体撮像装置に入力される。
これらの積層撮像素子については、特開昭58−103165号公報の第2図及び特開昭58−103166号公報の第2図等で代表される固体カラー撮像素子も適用できる。
上記の積層型撮像素子好ましくは3層積層型撮像素子の製造工程については特開2002−83946号公報記載の方法(同公報の図7〜23及び段落番号0026〜0038参照)が適用できる。
(光電変換素子)
以下に本発明の好ましい態様の光電変換素子について説明する。
本発明の光電変換素子は電磁波吸収/光電変換部位と光電変換により生成した電荷の電荷蓄積/転送/読み出し部位よりなる。
本発明において電磁波吸収/光電変換部位は、少なくとも青光、緑光、赤光を各々吸収し光電変換することができる少なくとも2層の積層型構造を有する。青光吸収層(B)は少なくとも400nm以上500nm以下の光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率は50%以上である。緑光吸収層(G)は少なくとも500nm以上600nm以下の光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率は50%以上である。赤光吸収層(R)は少なくとも600nm以上700nm以下の光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率は50%以上である。これらの層の序列はいずれの序列でも良く、3層積層型構造の場合は上層(光入射側)からBGR、BRG、GBR、GRB、RBG、RGBの序列が可能である。好ましくは最上層がGである。2層積層型構造の場合は上層がR層の場合は下層が同一平面状にBG層、上層がB層の場合は下層が同一平面状にGR層、上層がG層の場合は下層が同一平面状にBR層が形成される。好ましくは上層がG層で下層が同一平面状にBR層である。このように下層の同一平面状に2つの光吸収層が設けられる場合には上層の上もしくは上層と下層の間に色分別できるフィルタ−層を例えばモザイク状に設けることが好ましい。場合により4層目以上の層を新たな層としてもしくは同一平面状に設けることが可能である。
本発明における電荷蓄積/転送/読み出し部位は電磁波吸収/光電変換部位の下に設ける。下層の電磁波吸収/光電変換部位が電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねることは好ましい。
本発明において電磁波吸収/光電変換部位は有機層または無機層または有機層と無機層の混合よりなる。有機層がB/G/R層を形成していても良いし無機層がB/G/R層を形成していても良い。好ましくは有機層と無機層の混合である。この場合、基本的には有機層が1層の時は無機層は1層または2層であり、有機層が2層の時は無機層は1層である。有機層と無機層が1層の場合には無機層が同一平面状に2色以上の電磁波吸収/光電変換部位を形成する。好ましくは上層が有機層でG層であり、下層が無機層で上からB層、R層の序列である。場合により4層目以上の層を新たな層として、もしくは同一平面状に設けることが可能である。有機層がB/G/R層を形成する場合には、その下に電荷蓄積/転送/読み出し部位を設ける。電磁波吸収/光電変換部位として無機層を用いる場合には、この無機層が電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねる。
本発明において、上記で説明した素子のなかで特に好ましい一つの態様は以下の通りである。
少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が本発明の素子(撮像素子)の場合である。
さらに、少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が少なくとも2層の積層型構造を有する素子の場合が好ましい。さらに、上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなる素子である場合が好ましい。
また、特に好ましくは、少なくとも3つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が本発明の素子(撮像素子)の場合である。
さらに、上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなる素子である場合が好ましい。さらに、3つのうち少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が無機層(好ましくはシリコン基盤内に形成されている)の場合である。
(電極)
本発明の有機層からなる電磁波吸収/光電変換部位は1対の電極に挟まれており、各々が画素電極と対向電極を形成している。好ましくは下層が画素電極である。
対向電極は正孔輸送性光電変換膜または正孔輸送層から正孔を取り出すことが好ましく、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができる材料である。画素電極は電子輸送性光電変換層または電子輸送層から電子を取り出すことが好ましく、電子輸送性光電変換層、電子輸送層などの隣接する層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。これらの具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、シリコン化合物およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITO、IZOが好ましい。膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm以上1μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは30nm以上500nm以下であり、更に好ましくは50nm以上300nm以下である。
画素電極、対向電極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。ITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
本発明においては透明電極膜をプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで透明電極膜を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、透明電極膜の成膜中にプラズマが発生しないか、またはプラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
透明電極膜の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置またはパルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
プラズマ発生源から基体への距離が2cm以上であって基体へのプラズマの到達が減ずるような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられ、それらについては沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
本発明の有機電磁波吸収/光電変換部位の電極についてさらに詳細に説明する。有機層の光電変換膜は、画素電極膜、対向電極膜により挟まれ、電極間材料等を含むことができる。画素電極膜とは、電荷蓄積/転送/読み出し部位が形成された基板上方に作成された電極膜のことで、通常1ピクセルごとに分割される。これは、光電変換膜により変換された信号電荷を電荷蓄積/転送/信号読出回路基板上に1ピクセルごとに読み出すことで、画像を得るためである。
対向電極膜とは、光電変換膜を画素電極膜と共にはさみこむことで信号電荷と逆の極性を持つ信号電荷を吐き出す機能をもっている。この信号電荷の吐き出しは各画素間で分割する必要がないため、通常、対向電極膜は各画素間で共通にすることができる。そのため、共通電極膜(コモン電極膜)と呼ばれることもある。
光電変換膜は、画素電極膜と対向電極膜との間に位置する。光電変換機能は、この光電変換膜と画素電極膜及び対向電極膜により機能する。
光電変換膜積層の構成例としては、まず基板上に積層される有機層が一つの場合として、基板から画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)を順に積層した構成が挙げられるが、これに限定されるものではない。
さらに、基板上に積層される有機層が2つの場合、例えば、基板から画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)、層間絶縁膜、画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)を順に積層した構成が挙げられる。
本発明の光電変換部位を構成する透明電極膜の材料は、プラズマフリーである成膜装置、EB蒸着装置、及びパルスレーザー蒸着装置により成膜できるものが好ましい。例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が好適に挙げられ、具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムタングステン(IWO)等の導電性金属酸化物、窒化チタン等の金属窒化物、金、白金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。また、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)等に詳細に記載されているものを用いても良い。
透明電極膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)のいずれかの材料である。透明電極膜の光透過率は、その透明電極膜を含む光電変換素子に含まれる光電変換膜の光電変換光吸収ピーク波長において、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また、透明電極膜の表面抵抗は、画素電極であるか対向電極であるか、さらには電荷蓄積/転送・読み出し部位がCCD構造であるかCMOS構造であるか等により好ましい範囲は異なる。対向電極に使用し電荷蓄積/転送/読み出し部位がCMOS構造の場合には10000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、1000Ω/□以下である。対向電極に使用し電荷蓄積/転送/読み出し部位がCCD構造の場合には1000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100Ω/□以下である。画素電極に使用する場合には1000000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100000Ω/□以下である。
透明電極膜成膜時の条件について触れる。透明電極膜成膜時の基板温度は500℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃以下で、さらに好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、透明電極膜成膜中にガスを導入しても良く、基本的にそのガス種は制限されないが、Ar、He、酸素、窒素などを用いることができる。また、これらのガスの混合ガスを用いても良い。特に酸化物の材料の場合は、酸素欠陥が入ることが多いので、酸素を用いることが好ましい。
(無機層)
電磁波吸収/光電変換部位としての無機層について説明する。この場合、上層の有機層を通過した光を無機層で光電変換することになる。無機層としては結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のpn接合またはpin接合が一般的に用いられる。積層型構造として米国特許第5965875号に開示されている方法を採用することができる。すなわちシリコンの吸収係数の波長依存性を利用して積層された受光部を形成し、その深さ方向で色分離を行う構成である。この場合、シリコンの光進入深さで色分離を行っているため積層された各受光部で検知するスペクトル範囲はブロードとなる。しかしながら、前述した有機層を上層に用いることにより、すなわち有機層を透過した光をシリコンの深さ方向で検出することにより色分離が顕著に改良される。特に有機層にG層を配置すると有機層を透過する光はB光とR光になるためにシリコンでの深さ方向での光の分別はBR光のみとなり色分離が改良される。有機層がB層またはR層の場合でもシリコンの電磁波吸収/光電変換部位を深さ方向で適宜選択することにより顕著に色分離が改良される。有機層が2層の場合にはシリコンでの電磁波吸収/光電変換部位としての機能は基本的には1色で良く、好ましい色分離が達成できる。
無機層は好ましくは、半導体基板内の深さ方向に、画素毎に複数のフォトダイオードが重層され、前記複数のフォトダイオードに吸収される光によって各フォトダイオードに生じる信号電荷に応じた色信号を外部に読み出す構造である。好ましくは、前記複数のフォトダイオードは、B光を吸収する深さに設けられる第1のフォトダイオードと、R光を吸収する深さに設けられる第2のフォトダイオードの少なくとも1つとを含み、前記複数のフォトダイオードの各々に生じる前記信号電荷に応じた色信号を読み出す色信号読み出し回路を備えることが好ましい。この構成により、カラーフィルタを用いることなく色分離を行うことができる。又、場合によっては、負感度成分の光も検出することができるため、色再現性の良いカラー撮像が可能となる。又、本発明においては、前記第1のフォトダイオードの接合部は、前記半導体基板表面から約0.2μmまでの深さに形成され、前記第2のフォトダイオードの接合部は、前記半導体基板表面から約2μmまでの深さに形成されることが好ましい。
無機層についてさらに詳細に説明する。無機層の好ましい構成としては、光伝導型、p−n接合型、ショットキー接合型、PIN接合型、MSM(金属−半導体−金属)型の受光素子やフォトトランジスタ型の受光素子が挙げられる。本発明では、単一の半導体基板内に、第1導電型の領域と、前記第1導電型と逆の導電型である第2導電型の領域とを交互に複数積層し、前記第1導電型及び第2導電型の領域の各接合面を、それぞれ異なる複数の波長帯域の光を主に光電変換するために適した深さに形成してなる受光素子を用いることが好ましい。単一の半導体基板としては、単結晶シリコンが好ましく、シリコン基板の深さ方向に依存する吸収波長特性を利用して色分離を行うことができる。
無機半導体として、InGaN系、InAlN系、InAlP系、又はInGaAlP系の無機半導体を用いることもできる。InGaN系の無機半導体は、Inの含有組成を適宜変更し、青色の波長範囲内に極大吸収値を有するよう調整されたものである。すなわち、InxGa1-xN(0<X<1)の組成となる。このような化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて製造される。Gaと同じ13族原料のAlを用いる窒化物半導体のInAlN系についても、InGaN系と同様に短波長受光部として利用することができる。また、GaAs基板に格子整合するInAlP、InGaAlPを用いることもできる。
無機半導体は、埋め込み構造となっていてもよい。埋め込み構造とは、短波長受光部部分の両端を短波長受光部とは異なる半導体で覆われる構成のものをいう。両端を覆う半導体としては、短波長受光部のバンドギャップ波長より短い又は同等のバンドギャップ波長を有する半導体であることが好ましい。
有機層と無機層とは、どのような形態で結合されていてもよい。また、有機層と無機層との間には、電気的に絶縁するために、絶縁層を設けることが好ましい。
接合は、光入射側から、npn、又はpnpnとなっていることが好ましい。特に、表面にp層を設け表面の電位を高くしておくことで、表面付近で発生した正孔、及び暗電流をトラップすることができ暗電流を低減できるため、pnpn接合とすることがより好ましい。
このようなフォトダイオードは、p型シリコン基板表面から順次拡散される、n型層、p型層、n型層、p型層をこの順に深く形成することで、pn接合ダイオードがシリコンの深さ方向にpnpnの4層が形成される。ダイオードに表面側から入射した光は波長の長いものほど深く侵入し、入射波長と減衰係数はシリコン固有の値を示すので、pn接合面の深さが可視光の各波長帯域をカバーするように設計する。同様に、n型層、p型層、n型層の順に形成することで、npnの3層の接合ダイオードが得られる。ここで、n型層から光信号を取り出し、p型層はアースに接続する。
また、各領域に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
(補助層)
本発明においては、好ましくは電磁波吸収/光電変換部位の最上層に紫外線吸収層および/または赤外線吸収層を有する。紫外線吸収層は少なくとも400nm以下の光を吸収または反射することができ、好ましくは400nm以下の波長域での吸収率は50%以上である。赤外線吸収層は少なくとも700nm以上の光を吸収または反射することができ、好ましくは700nm以上の波長域での吸収率は50%以上である。
これらの紫外線吸収層、赤外線吸収層は従来公知の方法によって形成できる。例えば基板上にゼラチン、カゼイン、グリューあるいはポリビニルアルコールなどの親水性高分子物質からなる媒染層を設け、その媒染層に所望の吸収波長を有する色素を添加もしくは染色して着色層を形成する方法が知られている。さらには、ある種の着色材が透明樹脂中に分散されてなる着色樹脂を用いた方法が知られている。例えば、特開昭58−46325号公報、特開昭60−78401号公報、特開昭60−184202号公報、特開昭60−184203号公報、特開昭60−184204号公報、特開昭60−184205号公報等に示されている様に、ポリアミノ系樹脂に着色材を混合した着色樹脂膜を用いることができる。感光性を有するポリイミド樹脂を用いた着色剤も可能である。
特公平7−113685記載の感光性を有する基を分子内に持つ、200℃以下にて硬化膜を得ることのできる芳香族系のポリアミド樹脂中に着色材料を分散すること、特公平7−69486記載の含量を分散着色樹脂を用いることも可能である。
本発明においては好ましくは誘電体多層膜が用いられる。誘電体多層膜は光の透過の波長依存性がシャ−プであり、好ましく用いられる。
各電磁波吸収/光電変換部位は絶縁層により分離されていることが好ましい。絶縁層は、ガラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン等の透明性絶縁材料を用いて形成することができる。窒化珪素、酸化珪素等も好ましく用いられる。プラズマCVDで製膜した窒化珪素は緻密性が高く透明性も良いために本発明においては好ましく用いられる。
酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。 保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性プラスチック、金属などで素子部分をカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。この場合吸水性の高い物質をパッケージング内に存在させることも可能である。
更に、マイクロレンズアレイを受光素子の上部に形成することにより、集光効率を向上させることができるため、このような態様も好ましい。
(電荷蓄積/転送/読み出し部位)
電荷転送/読み出し部位については特開昭58−103166、特開昭58−103165、特開2003−332551等を参考にすることができる。半導体基板上にMOSトランジスタが各画素単位に形成された構成や、あるいは、素子としてCCDを有する構成を適宜採用することができる。例えばMOSトランジスタを用いた光電変換素子の場合、電極を透過した入射光によって光導電膜の中に電荷が発生し、電極に電圧を印加することにより電極と電極との間に生じる電界によって電荷が光導電膜の中を電極まで走行し、さらにMOSトランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOSトランジスタのスイッチングにより電荷読出し部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む固体撮像装置に入力される。
一定量のバイアス電荷を蓄積ダイオードに注入して(リフレッシュモード)おき、一定の電荷を蓄積(光電変換モード)後、信号電荷を読み出すことが可能である。受光素子そのものを蓄積ダイオードとして用いることもできるし、別途、蓄積ダイオードを付設することもできる。
信号の読み出しについてさらに詳細に説明する。信号の読み出しは、通常のカラー読み出し回路を用いることができる。受光部で光/電気変換された信号電荷もしくは信号電流は、受光部そのものもしくは付設されたキャパシタで蓄えられる。蓄えられた電荷は、X−Yアドレス方式を用いたMOS型撮像素子(いわゆるCMOSセンサ)の手法により、画素位置の選択とともに読み出される。他には、アドレス選択方式として、1画素づつ順次マルチプレクサスイッチとデジタルシフトレジスタで選択し、共通の出力線に信号電圧(または電荷)として読み出す方式が挙げられる。2次元にアレイ化されたX−Yアドレス操作の撮像素子がCMOSセンサとして知られる。これは、X−Yの交点に接続された画素に儲けられたスイッチは垂直シフトレジスタに接続され、垂直操走査シフトレジスタからの電圧でスイッチがオンすると同じ行に儲けられた画素から読み出された信号は、列方向の出力線に読み出される。この信号は水平走査シフトレジスタにより駆動されるスイッチを通して順番に出力端から読み出される。
出力信号の読み出しには、フローティングディフュージョン検出器や、フローティングゲート検出器を用いることができる。また画素部分に信号増幅回路を設けることや、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)の手法などにより、S/Nの向上をはかることができる。
信号処理には、ADC回路によるガンマ補正、AD変換機によるデジタル化、輝度信号処理や、色信号信号処理を施すことができる。色信号処理としては、ホワイトバランス処理や、色分離処理、カラーマトリックス処理などが挙げられる。NTSC信号に用いる際は、RGB信号をYIQ信号の変換処理を施すことができる。
電荷転送・読み出し部位は電荷の移動度が100cm2/volt・sec以上であることが必要であり、この移動度は、材料をIV族、III−V族、II−VI族の半導体から選択することによって得ることができる。その中でも微細化技術が進んでいることと、低コストであることからシリコン半導体(Si半導体共記す)が好ましい。電荷転送・電荷読み出しの方式は数多く提案されているが、何れの方式でも良い。特に好ましい方式はCMOS型あるいはCCD型のデバイスである。更に本発明の場合、CMOS型の方が高速読み出し、画素加算、部分読み出し、消費電力などの点で好ましいことが多い。
(接続)
電磁波吸収/光電変換部位と電荷転送/読み出し部位を連結する複数のコンタクト部位はいずれの金属で連結してもよいが、銅、アルミ、銀、金、クロム、タングステンの中から選択するのが好ましく、特に銅が好ましい。複数の電磁波吸収/光電変換部位に応じて、それぞれのコンタクト部位を電荷転送・読み出し部位との間に設置する必要がある。青・緑・赤光の複数感光ユニットの積層構造を採る場合、青光用取り出し電極と電荷転送/読み出し部位の間、緑光用取り出し電極と電荷転送/読み出し部位の間および赤光用取り出し電極と電荷転送/読み出し部位の間をそれぞれ連結する必要がある。
(プロセス)
本発明の積層光電変換素子は、公知の集積回路などの製造に用いるいわゆるミクロファブリケーションプロセスにしたがって製造することができる。基本的には、この方法は活性光や電子線などによるパターン露光(水銀のi,g輝線、エキシマレーザー、さらにはX線、電子線)、現像及び/又はバーニングによるパターン形成、素子形成材料の配置(塗設、蒸着、スパッタ、CVなど)、非パターン部の材料の除去(熱処理、溶解処理など)の反復操作による。
(用途)
デバイスのチップサイズは、ブローニーサイズ、135サイズ、APSサイズ、1/1.8インチ、さらに小型のサイズでも選択することができる。本発明の積層光電変換素子の画素サイズは複数の電磁波吸収/光電変換部位の最大面積に相当する円相当直径で表す。いずれの画素サイズであっても良いが、2−20ミクロンの画素サイズが好ましい。さらに好ましくは2−10ミクロンであるが、3−8ミクロンが特に好ましい。
画素サイズが20ミクロンを超えると解像力が低下し、画素サイズが2ミクロンよりも小さくてもサイズ間の電波干渉のためか解像力が低下する。
本発明の光電変換素子は、デジタルスチルカメラに利用することが出来る。また、TVカメラに用いることも好ましい。その他の用途として、デジタルビデオカメラ、下記用途などでの監視カメラ(オフィスビル、駐車場、金融機関・無人契約機、ショッピングセンター、コンビニエンスストア、アウトレットモール、百貨店、パチンコホール、カラオケボックス、ゲームセンター、病院)、その他各種のセンサー(テレビドアホン、個人認証用センサー、ファクトリーオートメーション用センサー、家庭用ロボット、産業用ロボット、配管検査システム)、医療用センサー(内視鏡、眼底カメラ)、テレビ会議システム、テレビ電話、カメラつきケータイ、自動車安全走行システム(バックガイドモニタ、衝突予測、車線維持システム)、テレビゲーム用センサーなどの用途に用いることが出来る。
中でも、本発明の光電変換素子は、テレビカメラ用途としても適するものである。その理由は、色分解光学系を必要としないためにテレビカメラの小型軽量化を達成することが出来るためである。また、高感度で高解像力を有することから、ハイビジョン放送用テレビカメラに特に好ましい。この場合のハイビジョン放送用テレビカメラとは、デジタルハイビジョン放送用カメラを含むものである。
更に、本発明の光電変換素子においては、光学ローパスフィルターを不要とすることが出来、更なる高感度、高解像力が期待できる点で好ましい。
更に、本発明の光電変換素子においては厚みを薄くすることが可能であり、かつ色分解光学系が不要となる為、「日中と夜間のように異なる明るさの環境」、「静止している被写体と動いている被写体」など、異なる感度が要求される撮影シーン、その他分光感度、色再現性に対する要求が異なる撮影シーンに対して、本発明の光電変換素子を交換して撮影する事により1台のカメラにて多様な撮影のニーズにこたえることが出来、同時に複数台のカメラを持ち歩く必要がない為、撮影者の負担も軽減する。交換の対象となる光電変換素子としては、上記の他に赤外光撮影用、白黒撮影用、ダイナミックレンジの変更を目的に交換光電変換素子を用意することが出来る。
本発明のTVカメラは、映像情報メディア学会編、テレビジョンカメラの設計技術(1999年8月20日、コロナ社発行、ISBN 4-339-00714-5)第2章の記述を参考にし、例えば図2.1テレビカメラの基本的な構成の色分解光学系及び撮像デバイスの部分を、本発明の光電変換素子と置き換えることにより作製することができる。
上述の積層された受光素子は、配列することで撮像素子として利用することができるだけでなく、単体としてバイオセンサや化学センサなどの光センサやカラー受光素子としても利用可能である。
(本発明の好ましい光電変換素子)
本発明の好ましい光電変換素子について図4により説明する。13はシリコン単結晶基盤でありB光とR光の電磁波吸収/光電変換部位と光電変換により生成した電荷の電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねている。通常、p型のシリコン基盤が用いられる。21、22、23はシリコン基盤中に設けられたn層、p層、n層を各々示す。21のn層はR光の信号電荷の蓄積部でありpn接合により光電変換されたR光の信号電荷を蓄積する。蓄積された電荷は26に示したトランジスタを介して19のメタル配線により27の信号読み出しパッドに接続される。23のn層はB光の信号電荷の蓄積部でありpn接合により光電変換されたB光の信号電荷を蓄積する。蓄積された電荷は26に類似のトランジスタを介して19のメタル配線により27の信号読み出しパッドに接続される。ここでp層、n層、トランジスタ、メタル配線等は模式的に示したが、それぞれが前論で詳述したように、構造等は適宜最適なものが選ばれる。B光、R光はシリコン基盤の深さにより分別しているのでpn接合等のシリコン基盤からの深さ、ドープ濃度の選択などは重要である。12はメタル配線を含む層であり酸化珪素、窒化珪素等を主成分とする層である。12の層の厚みは薄いほど好ましく5μ以下、好ましくは3μ以下、さらに好ましくは2μ以下である。11も同様に酸化珪素、窒化珪素等を主成分とする層である。11と12の層にはG光の信号電荷をシリコン基盤に送るためのプラグが設けられている。プラグは11と12の層の間で16のパッドにより接続されている。プラグはタングステンを主成分としたものが好ましく用いられる。パッドはアルミニウムを主成分としたものが好ましく用いられる。前述したメタル配線も含めてバリア層が設けられていることが好ましい。15のプラグを通して送られるG光の信号電荷はシリコン基盤中の25に示したn層に蓄積される。25に示したn層は24に示したp層により分離されている。蓄積された電荷は26に類似のトランジスタを介して19のメタル配線により27の信号読み出しパッドに接続される。24と25のpn接合による光電変換は雑音となるために11の層中に17に示した遮光膜が設けられる。遮光膜は通常、タングステン、アルミニウム等を主成分としたものが用いられる。12の層の厚みは薄いほど好ましく3μ以下、好ましくは2μ以下、さらに好ましくは1μ以下である。27の信号読み出しパッドはB、G、R信号別に設ける方が好ましい。以上のプロセスは従来公知のプロセス、いわゆるCMOSプロセスにより調製できる。
G光の電磁波吸収/光電変換部位は6、7、8、9、10、14により示される。6と14は透明電極であり、各々、対向電極、画素電極に相当する。画素電極14は透明電極であるが、15のプラグと電気的接続を良好にするために接続部にアルミニウム、モリブデン等の部位が必要な場合が多い。これらの透明電極間には18の接続電極、20の対向電極パッドからの配線を通じてバイアスがかけられる。透明対向電極6に対して画素電極14に正のバイアスをかけて25に電子が蓄積できる構造が好ましい。この場合7は電子ブロッキング層、8がp層、9がn層、10が正孔ブロッキング層であり、有機層の代表的な層の構成を示した。7、8、9、10から成る有機層の厚みは好ましくは合わせて0.5μ以下、より好ましくは0.3μ以下、特に好ましくは0.2μ以下である。6の透明対向電極、14の透明画素電極の厚みは特に好ましくは0.2μ以下である。3、4、5は窒化珪素等を主成分とする保護膜である。これらの保護膜により、有機層を含む層の製造プロセスが容易となる。特にこれらの層は18等の接続電極作成時のレジストパタ−ン作成、エッチング時等の有機層に対するダメ−ジを低減させることができる。また、レジストパタ−ン作成、エッチング等を避けるために、マスクによる製造も可能である。3、4、5の保護膜の厚みは上述した条件を満足する限りにおいて、好ましくは0.5μ以下である。3は18の接続電極の保護膜である。2は赤外カット誘電体多層膜である。1は反射防止膜である。1、2、3の層の厚みは合わせて1μ以下が好ましい。
以上の図1で説明した光電変換素子はG画素が4画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっている。G画素が1画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっていても良いし、G画素が3画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっていても良いし、G画素が2画素に対してB画素とR画素が1画素の構成となっていても良い。さらには任意の組み合わせでも良い。以上は本発明の好ましい態様を示すものであるが、これに限定されるものではない。
[実施例]
本発明の実施例及び実施態様例を以下に記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例1、6〜14は「実施例」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜上に、真空蒸着法を用いて、1,3−ジフェニル−5−[(3−(2−フェノキシエチル)−2(3H)−5−フェニルベンズオキサゾリリデン)エチルデン]エチリデン]−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(ジメチンメロシアニン:化合物1)の膜厚50nmの層を形成し、次に、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボキシル−ビス−ベンズイミダゾール(化合物2)の膜厚50nmの層を形成する。さらに、膜厚40nmの半透明のアルミニウム電極を形成し、光導電膜Aを得ることができる。なお、光導電膜Aにおいて化合物1の代わりに化合物3を用いた以外は光導電膜Aと同じにした光導電膜Bを、比較として用いる。
光導電膜Aの電子回折像の解析から、(化合物1)の配向は概念図(図2)のようになっていることが分かる。(化合物1)は自己会合性が高く、このような安定構造が形成される。このような強い自己会合性は、(化合物1)のファン・デル・ワールス力に主に起因すると考えている。
なお、これらの光導電膜A、Bを画素に分けた撮像素子を、各々撮像素子A、Bとする。
撮像素子Aの光応答電流は、撮像素子Bの1.5倍になる。さらに、電極間に5vの順方向の電圧(アルミニウム電極に正電圧を印加)(すなわち5×107V/mの電界)を印加することにより、撮像素子Aの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2.5倍になるのに対して、比較の撮像素子Bの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2倍にしかならない。なお、(化合物1)と(化合物2)の積層順を逆にしても同様の結果が得られる。この場合、電圧印加の正負は逆にする。また、アルミニウム電極の変わりに膜厚20nmの半透明の金電極を用いても同様の結果が得られる。
以上のように、配向の制御された有機層を持つ撮像素子は、これらの構造を持たない撮像素子に比べて、光応答電流が高く撮像素子として高感度であり、さらに、電圧を印加した場合に顕著に高感度になる。
インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜上に、真空蒸着法を用いて、1,3−ジフェニル−5−[(3−(2−フェノキシエチル)−2(3H)−5−フェニルベンズオキサゾリリデン)エチルデン]エチリデン]−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(ジメチンメロシアニン:化合物1)の膜厚10nmの層を形成し、次に、(化合物1)と1,3−ジシアノエチル−5−[(3−ベンジル−2(3H)−5−ナフト[2,3−d]オキサゾリリデン)エチルデン]エチリデン]−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(ジメチンメロシアニン:化合物4)を1:1の割合で共蒸着させて、膜厚80nmの層を形成し、次に、蒸着により(化合物4)の膜厚10nmの層を形成する。さらに、膜厚40nmの半透明のアルミニウム電極を形成し、光導電膜Cを得ることができる。 なお、実施例1で述べた光導電膜Bを、比較として用いる。
光導電膜Cの電子回折像の解析から、化合物の配向は概念図(図3)のようになっていることが分かる。(化合物1)及び(化合物4)は共に自己会合性が高く、このような安定構造が形成される。このような強い自己会合性は、これらの化合物のファン・デル・ワールス力に主に起因すると考えている。
なお、これらの光導電膜C、Bを画素に分けた撮像素子を、各々撮像素子C、Bとする。
撮像素子Cの光応答電流は、撮像素子Bの3倍になる。さらに、電極間に5vの電圧(アルミニウム電極に正電圧を印加)(すなわち5×107V/mの電界)を印加することにより、撮像素子Aの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて3.3倍になるのに対して、比較の撮像素子Bの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2倍にしかならない。なお、(化合物1)と(化合物4)の積層順を逆にしても同様の結果が得られる。この場合、電圧印加の正負は逆にする。また、アルミニウム電極の変わりに膜厚20nmの半透明の金電極を用いても同様の結果が得られる。
以上のように、配向の制御された有機層を持つ撮像素子は、これらの構造を持たない撮像素子に比べて、光応答電流が高く撮像素子として高感度であり、さらに、電圧を印加した場合に顕著に高感度になる。
実施例2で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の素子は、比較に対して実施例2と同様に優れた性能を示す。
(化合物1)を(化合物1)のメチン鎖を4つに伸ばしたテトラメチンメロシアニン(化合物5)に変更
(化合物4)を(化合物4)のメチン鎖を4つに伸ばしたテトラメチンメロシアニン(化合物6)に変更
実施例2で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の素子は、比較に対して実施例2と同様に優れた性能を示す。
(化合物1)を(化合物1)のメチン鎖を除いたゼロメチンメロシアニン(化合物7)に変更
(化合物4)を(化合物4)のメチン鎖を除いたゼロメチンメロシアニン(化合物8)に変更
実施例4の撮像素子をB層、実施例2の撮像素子をG層、実施例3の撮像素子をR層として、3層を積層した撮像素子において、各層とも比較に対して優れた光応答電流を示し高感度であり、カラー撮像素子として優れている。
実施例1〜5の本発明と従来技術とを概念図(図2参照)を用いて説明する。
従来技術(特開2003−158254号公報等)では配向が制御されていないpn接合を用いているが、本願は図2のように少なくとも1つの有機化合物(色素) の配向を制御している。
また、図3に本発明のヘテロ接合面に関する概念図を示す。さらに、図のようなヘテロ接合面が基板に対して垂直の場合が好ましい。
従来技術である非特許文献1、特開2003−298152号公報は光電変換素子をエネルギー利用を目的とするものにのみ適するものである点で、また特許文献1〜3とは有機化合物の配向を制御した構造を含む撮像素子である点で異なる。
インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜上に、スピンコート法により(色素9)の膜厚50nmの層を形成し、次に、真空蒸着法により(材料1)の膜厚50nmの層を形成し、さらに、真空蒸着法により膜厚20nmの半透明の金電極を形成し、光電変換素子Aを得ることができる。また、光電変換素子Aの(色素9)のかわりに(色素10)を用いた以外は同様の光電変換素子Bを用いる。なお、これらの光電変換素子A、Bを画素に分けた撮像素子を、各々撮像素子A、Bとする。
光電変換素子Aの光電変換膜の吸収極大波長は640nm、長波吸収幅は23nmである。なお、(色素9)のDMF溶液中の吸収極大波長は553nmであり、長波吸収幅は17nmである。一方、光電変換素子Bの光電変換膜の吸収極大波長は555nm、長波吸収幅は43nmである。なお、(色素10)のDMF溶液中の吸収極大波長は562nmである。
撮像素子Aの光応答電流は、撮像素子Bの2倍になる。
また、電極間に5vの電圧の逆バイアスを印加(金電極に正電圧を印加)、すなわち5×107V/mの電界をかけることにより、撮像素子Aの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて3倍になるのに対して、比較の撮像素子Bの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2倍にしかならない。
さらに、撮像素子Aを温度=80℃、湿度=50%で3日間経時させた後の光応答電流は、フレッシュの素子Aと同等であるのに対して、撮像素子Bを同様の条件で経時させた後の光応答電流は、フレッシュの素子Bから10%低下した。
なお、(色素9、10)と(材料1)の積層順を逆にしても同様の結果が得られる。この場合、電圧印加の正負は逆にする。
以上のように、膜状態で色素がJ会合体を形成する光電変換膜からなる撮像素子Aは、膜状態でJ会合体を形成しない光電変換膜からなる撮像素子Bに比べて、光応答電流が高く撮像素子として高感度であり、また、電圧を印加した場合に顕著に高感度になる。さらに、保存による感度低下が少ない。
実施例6で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、比較素子に対して実施例6と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子C、撮像素子C): (色素9)を(色素11)に変更
比較素子(光電変換素子D、撮像素子D): (色素10)を(色素12)に変更
光電変換素子Cの光電変換膜の吸収極大波長は545nm、長波吸収幅は20nmである。なお、(色素11)のDMF溶液中の吸収極大波長は502nmであり、長波吸収幅は15nmである。一方、光電変換素子Dの光電変換膜の吸収極大波長は483nm、長波吸収幅は42nmである。なお、(色素12)のDMF溶液中の吸収極大波長は485nmである。
実施例6で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、比較素子に対して実施例6と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子E、撮像素子E):(色素9)を(色素13)に変更
比較素子(光電変換素子F、撮像素子F):(色素10)を(色素14)に変更
光電変換素子Eの光電変換膜の吸収極大波長は480nm、長波吸収幅は19nmである。なお、(色素13)のDMF溶液中の吸収極大波長は442nmであり、長波吸収幅は15nmである。一方、光電変換素子Fの光電変換膜の吸収極大波長は423nm、長波吸収幅は41nmである。なお、(色素14)のDMF溶液中の吸収極大波長は425nmである。
実施例8の撮像素子をB層(B膜)、実施例7の撮像素子をG層(G膜)、実施例6の撮像素子をR層(R膜)として、3層を積層した図4に示す撮像素子において、各層とも比較に対して優れた光応答電流を示し高感度であり、カラー撮像素子としての色再現性に優れている。さらに、耐久性にも優れている。
インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜上に、スピンコート法により(色素15)の膜厚50nmの層を形成し、次に、真空蒸着法により(材料2)の膜厚50nmの層を形成し、さらに、真空蒸着法により膜厚20nmの半透明の金電極を形成し、光電変換素子Aを得ることができる。また、光電変換素子Aの(色素15)のかわりに(色素16)を用いた以外は同様の光導電素子Bを用いる。なお、これらの光導電素子A、Bを画素に分けた撮像素子を、各々撮像素子A、Bとする。
(色素15)及び(色素16)の遷移双極子モーメントは、本文中に記載した方法で求め、(色素15)の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角は1°であり、(色素16)では43°である。
光電変換素子Aの光電変換膜の光吸収率は、光電変換素子Bの光電変換膜の光吸収率の1.2倍になる。
また、撮像素子Aの光応答電流は、撮像素子Bの2.2倍になる。
また、電極間に5vの電圧の逆バイアスを印加(金電極に正電圧を印加)、すなわち5×107V/mの電界をかけることにより、撮像素子Aの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2.8倍になるのに対して、比較の撮像素子Bの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2倍にしかならない。
なお、(色素15、16)と(材料2)の積層順を逆にしても同様の結果が得られる。この場合、電圧印加の正負は逆にする。
以上のように、膜状態で色素の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角が40°以下の光電変換膜からなる撮像素子は、この角が40°以上の光電変換膜からなる撮像素子に比べて、光吸収率が高く、さらに光応答電流が高く撮像素子として高感度であり、また、電圧を印加した場合に顕著に高感度になる。
実施例10で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、比較素子に対して実施例10と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子C、撮像素子C):(色素15)を(色素17)に変更
比較素子(光電変換素子D、撮像素子D):(色素16)を(色素18)に変更
(色素17)の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角は0.5°であり、(色素18)では44°である。
実施例10で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、比較素子に対して実施例10と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子E、撮像素子E): (色素15)を(色素19)に変更
比較素子(光電変換素子F、撮像素子F): (色素16)を(色素20)に変更
(色素19)の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角は2°であり、(色素20)では43°である。
実施例12の撮像素子をB層(B膜)、11の撮像素子をG層(G膜)、10の撮像素子をR層(R膜)として、3層を積層した図1に示す撮像素子において、各層とも比較に対して光吸収率が高く、また、優れた光応答電流を示し高感度である。
図4の光電変換部位の8、9の部分に、実施例2、実施例7、又は実施例11のG光を吸収する光電変換部位を用いると、比較に対して優れた光応答電流を示し高感度であり、また、カラー撮像素子として優れた色分離を示す。
本発明によるBGR3層積層の光電変換膜積層撮像素子の1画素分の断面模式図である。 本発明による配向制御を示す断面模式図である。 本発明による、バルクヘテロ接合面を有する場合の配向制御を示す断面模式図である。 本発明の好ましい態様の光電変換素子である。
符号の説明
1 反射防止膜
2 赤外カット誘電体多層膜
3,4,5 保護膜
6 透明対向電極
7 電子ブロッキング層
8 p層
9 n層
10 正孔ブロッキング層
11,12 メタル配線を含む層
13 シリコン単結晶基盤
14 透明画素電極
15 プラグ
16 パッド
17 遮光膜
18 接続電極
19 メタル配線
20 対向電極パッド
21 n層
22 p層
23 n層
24 p層
25 n層
26 トランジスタ
27 信号読み出しパッド
101 Pウェル層
102,104,106 高濃度不純物領域
103,105,107 MOS回路
108 ゲート絶縁膜
109,110 絶縁膜
111,114,116,119,121,124, 透明電極膜
112,117,122, 電極
113,118,123 光電変換膜
110,115,120,125 透明絶縁膜
126 遮光膜
150 半導体基板

Claims (24)

  1. 1対の電極間にp型半導体とn型半導体とのバルクヘテロ接合構造層を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、前記p型半導体及び前記n型半導体がメロシアニン色素であり、前記バルクヘテロ接合構造層における前記p型半導体及び前記n型半導体のうちの少なくとも1方配向制御されたメロシアニン色素であることを特徴とする撮像素子。
  2. 1対の電極間にp型半導体層、n型半導体層および、それらの間にp型半導体とn型半導体とのバルクヘテロ接合構造層を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、前記p型半導体及び前記n型半導体がメロシアニン色素であり、前記バルクヘテロ接合構造層における前記p型半導体及び前記n型半導体のうちの少なくとも1方配向制御されたメロシアニン色素であることを特徴とする請求項1記載の撮像素子。
  3. 前記バルクヘテロ接合構造層における記p型半導体及び前記n型半導体の両方配向制御されたメロシアニン色素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像素子。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光電変換膜を2層以上積層したことを特徴とする撮像素子。
  5. 請求項に記載の2層以上の光電変換膜が、青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の3層を含むことを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  6. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光吸収極大値を各々λmax1、λmax2、λmax3としたとき、λmax1が400nm以上500nm以下、λmax2が500nm以上600nm以下、λmax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  7. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光感度極大値を各々Smax1、Smax2、Smax3としたとき、Smax1が400nm以上500nm以下、Smax2が500nm以上600nm以下、Smax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  8. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  9. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  10. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  11. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  12. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  13. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  14. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大吸収の50%を示す最も長波長が、各々、460nmから510nm、560nmから610nm、640nmから730nmであることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  15. 請求項に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大感度の50%を示す最も長波長が、各々、460nmから510nm、560nmから610nm、640nmから730nmであることを特徴とする請求項に記載の撮像素子。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の撮像素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法。
  17. 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が請求項1〜15のいずれか一項に記載の撮像素子からなることを特徴とする素子。
  18. 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が少なくとも2層の積層型構造を有することを特徴とする請求項17記載の素子。
  19. 上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなることを特徴とする請求項18記載の素子。
  20. 少なくとも3つの電磁波吸収/光電変換部位を有し、これらのうち少なくとも一つの部位が請求項1〜15のいずれか一項に記載の撮像素子からなることを特徴とする請求項1719のいずれか一項に記載の素子。
  21. 上層が緑光を吸収し光電変換することができる部位からなることを特徴とする請求項20記載の素子。
  22. 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位が無機層からなることを特徴とする請求項20または21記載の素子。
  23. 少なくとも2つの電磁波吸収/光電変換部位がシリコン基盤内に形成されていることを特徴とする請求項20または21記載の素子。
  24. 請求項1723のいずれか一項に記載の素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法。
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