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JP4951590B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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JP4951590B2 JP2008164845A JP2008164845A JP4951590B2 JP 4951590 B2 JP4951590 B2 JP 4951590B2 JP 2008164845 A JP2008164845 A JP 2008164845A JP 2008164845 A JP2008164845 A JP 2008164845A JP 4951590 B2 JP4951590 B2 JP 4951590B2
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Description

本発明は、吸収体、トップシート及びバックシートを備えた吸収性物品に関するものである。より具体的には、吸収性物品と着用者の肌との間に滞留する湿気を外部に排出する排気機構を備えた吸収性物品に関するものである。
一般に、使い捨ておむつ、尿パッド等の吸収性物品は、吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、を備えている。
このような吸収性物品は、トップシートが着用者の肌と接するように使用され、排泄物はトップシートの液透過性部分を透過して吸収体に吸収・保持される。そして、吸収体の裏面側に配置された液不透過性のバックシートによって、排泄物が外部に漏洩することが防止される。
ところで、吸収性物品の着用時には、尿や汗、体液等から発生する湿気が吸収性物品と着用者の肌との間に滞留し易い。この湿気は、かぶれ等のスキントラブルの原因となり、蒸れ、べたつき等の不快感を生じさせるため好ましくない。
そこで、吸収性物品と着用者の肌との間の空間に滞留する湿気を外部に排出し、吸収性物品内部の湿度を低下させるために、種々の提案がなされている。例えば、多数の微細孔が形成されたフィルムを用いたバックシート材や防漏シート等が提案されている(特許文献1及び2参照)。また、トップシートと吸収体の間に、吸湿剤が密封された吸湿剤封入体を配した吸収性物品も提案されている(特許文献3参照)。
特開平11−348163号公報 特開2007−020664号公報 特開2003−116912号公報
特許文献1に記載のバックシート材や特許文献2に記載の防漏シートは、フィルムに形成された多数の微細孔によって、漏れを防止しつつ透湿性を向上させることが可能であり、吸収性物品と着用者の肌との間の湿気をある程度排出することができる。しかしながら、これらの発明はバックシート材等の本来的な性能である防漏性を確保した上で、透湿性を改善するものに留まる。従って、透湿性の向上には自ずと限界があり、吸収性物品と着用者の肌との間に滞留する湿気を効率よく排出可能なものではないというのが現状であった。
また、特許文献3に記載の吸収性物品は、吸湿剤を用いて湿気を吸収させることによって、吸収性物品と着用者の肌との間の湿度を低下させることを期待できる。しかしながら、吸湿剤により湿気を吸収する方法では、速やかに湿気を除去することができないという点で解決すべき課題を残すものであった。
本発明は、吸収性物品と着用者の肌との間に滞留する湿気を効率よく速やかに排出することができ、快適に着用することができる吸収性物品を提供するものである。
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、シート材からなる隔壁によって中空管状の排気経路を形成し、着用者の動作に伴う排気経路の変形を用いたポンプ類似の排気機構で、吸収性物品と着用者の肌との間に滞留する湿気を吸収性物品の外部に積極的に排出することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の吸収性物品が提供される。
[1] 吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、シート材からなり、外部から仕切られた中空管状の排気経路を形成する隔壁と、を備え、前記隔壁は、前記吸収体の前後端部に向かって前記吸収体の両側に左右一対配置されるとともに、その前後端部が前記排気経路を平面的に押し潰すように端部止めされ、前記隔壁の頂部側には、前記吸収体の前後端部に向かって伸張状態の起立用伸縮材が固定され、前記隔壁は、前後方向中央部の内向面に第1の孔が形成され、前後端部の少なくとも一方の端部に第2の孔が形成され、前記第1の孔は、前記起立用伸縮材が収縮し、前記隔壁前後方向中央部が立体的に起立することにより、前記一対の隔壁によって挟まれた空間に向かって開口し、前記第2の孔は、前記端部止めによって形成された下向き面に位置し、前記トップシートに向かって開口する吸収性物品。
[2] 前記隔壁は、その前後方向中央部に前記第1の孔が複数形成されたものである前記[1]に記載の吸収性物品。
[3] 前記隔壁は、軌跡が凸形状のスリット又は交差する複数本のスリットによって前記第1の孔が形成されている前記[1]又は[2]に記載の吸収性物品。
] 前記隔壁は、少なくともその外向面が、撥水性材料又は液不透過性材料で形成されたものである前記[1]〜[]のいずれかに記載の吸収性物品。
] 前記隔壁は、複数枚のシート材からなり、その複数枚のシート材が、少なくとも隔壁の頂部において相互に積層されて積層部が形成され、前記積層部の層間に、前記起立用伸縮材が伸張状態で固定されている前記[1]〜[]のいずれかに記載の吸収性物品。
] 前記隔壁は一枚のシート材からなり、その一枚のシートの縁部が折り返されて折り返し部が形成され、前記折り返し部の内部に前記起立用伸縮材が伸張状態で固定されている前記[1]〜[]のいずれかに記載の吸収性物品。
本発明の吸収性物品は、吸収性物品と着用者の肌との間に滞留する湿気を効率よく速やかに排出することができ、快適に着用することができる。
以下、本発明の吸収性物品を実施するための最良の形態について、テープ型使い捨ておむつの例により具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品(例えば、パンツ型使い捨ておむつ、尿パッド等)を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、作図の都合上、図1A及び図3Aにおいては、起立用伸縮材を捨象した形で作図を行った。
[1]定義等:
「テープ型使い捨ておむつ」とは、図1A及び図1Bに示す吸収性物品1Aのように、吸収体22と、トップシート18と、バックシート20とを備え、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置された、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ11を更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
「前身頃」とは、図1Aに示す吸収性物品1Aのように、着用者に吸収性物品を装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分(図中、符号2)、「股下部」とは、着用者に吸収性物品を装着した際に、着用者の股下を覆う部分(図中、符号4)、「後身頃」とは、着用者に吸収性物品を装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする(図中、符号6)。
[2]本発明の吸収性物品の構成:
本発明の吸収性物品は、図1A〜図1Cに示す吸収性物品1Aのように、シート材70,76からなり、外部から仕切られた中空管状の排気経路60を形成する隔壁62を備え、隔壁62は、吸収体22の前後端部に向かって吸収体22の両側に左右一対配置され、隔壁62の頂部側には、吸収体22の前後端部に向かって伸張状態の起立用伸縮材64が固定され、隔壁62は、その内向面に、一対の隔壁62a,62bによって挟まれた空間に向かって開口する第1の孔66が形成されるとともに、前後少なくとも一方の端部に第2の孔68が形成されているものである。
このような構成では、尿や体液から発生し、吸収性物品(主としてトップシート18)と着用者の肌との間に滞留する湿気が、第1の孔66から吸気され、排気経路60を通過して第2の孔68から排出される。また、シート材70,76によって形成された隔壁62は着用者の動作によって容易に変形するので、ポンプ類似の排気機構で前記湿気を積極的に吸収性物品1Aの外部に排気することもできる。即ち、着用者の動作によって潰れた隔壁62が元の形状に戻る際にトップシート18等と着用者の肌との間に滞留する湿気が第1の孔66から排気経路60内に吸気され、再度、着用者の動作によって潰れる際に第2の孔68から排出される。
このような排気機構を用いれば、微多孔性のバックシートを用いた場合よりも湿気の排出量を大きくすることができ、吸収性物品と着用者の肌との間に滞留する湿気を効率よく速やかに排出することが可能となる。従って、かぶれ等のスキントラブルや、蒸れ、べたつき等の不快感を生ずることが少なく、快適に着用することができる。
図1A及び図1Bに示すように、隔壁62は、シート材70,76からなり、外部から仕切られた中空管状の排気経路60を形成する部材である。
「シート材」は、前記排気機構を機能させるため、変形容易なシート材であることが好ましい。また、撥水性材料や液不透過性材料からなるシート材で構成すれば、立体ギャザーと同様の効果を付与することも可能である。このようなシート材としては、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布や、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シート、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。また、部分的に、孔空き不織布を使用することもできる。
隔壁は、外部から仕切られた中空管状の排気経路を形成するものであれば足りる。例えば、図1Bに示す吸収性物品1Aは、隔壁62がサイドシート19と一体的に構成されたシート材70と、これとは別体のシート材76とによって外部から仕切られた断面紡錘状の排気経路60が形成されている。なお、排気経路は、隔壁のみによって形成されている必要はない。例えば、図3Bに示す吸収性物品1Bは、隔壁62とトップシート18によって外部から仕切られた断面三角形状の排気経路60が形成されている。
図1Aに示すように、隔壁62は、吸収体22の前後端部に向かって吸収体22の両側に左右一対配置される(図中、符号62a,62b)。前記排気機構を機能させるためには、着用者の動作によって隔壁(ひいては排気経路)を変形させることが好ましい。従って、着用者の動作が大きい脚周りに近い部分、具体的には、吸収体の両側に配置することで、前記排気機構を良好に機能させることができる。また、吸収体の両側に左右一対配置することにより、隔壁に立体ギャザー的な機能を付与することも可能となる。
図1A及び図1Bに示すように、隔壁62の頂部側には、吸収体22の前後端部に向かって伸張状態の起立用伸縮材64が固定されている。この起立用伸縮材の収縮力によって、隔壁が立体的に起立し、排気経路の中空管状構造が維持される。また、変形容易なシート材と起立用伸縮材によって形成される排気経路は力を加えれば自在に変形し、力が加わらない状態では元の形状に戻る。従って、ポンプ類似の排気機構を良好に機能させることができる。起立用伸縮材の種類、配置方法等は、後述する脚周り伸縮材等に準ずる構成とすればよい。
図1Bに示すように、隔壁62は、その内向面に、一対の隔壁62a,62bによって挟まれた空間に向かって開口する第1の孔66が形成されている。この第1の孔66から湿気が取り込まれ、排気経路60、第2の孔68を経由して吸収性物品1Aの前後端部から湿気が排出される。
「内向面」とは、隔壁を形成する面のうち、他の隔壁と対向する面を意味する。「一対の隔壁によって挟まれた空間に向かって開口する」とは、吸収性物品の幅方向中央側に向かって開口していることを意味する。「開口する」とは、第1の孔が常時開口している場合のみならず、後述するようなスリットによって形成され、吸気の際のみ開口するようなものも含む。
図1A及び図1Bに示すように、隔壁62は、その前後方向中央部に第1の孔66が複数形成されたものであることが好ましい。通常、吸収性物品は、その前後方向中央部が着用者の股下に当接するようにして用いられる。そして、その股下部には尿や体液が排泄されるとともに、前後端部より高さ位置が低いため、湿気が滞留し易い。従って、前後方向中央部に第1の孔を複数形成することによって、その湿気を吸収性物品外部に排出し易くなる。
「前後方向中央部」とは、隔壁の全長に対して、前端側、後端側各々30%長さ部分を除いた中央側40%長さの部分を意味する。「複数」の具体的な数は制限されない。第1の孔の開口面積によっても異なるが、孔1個当たり開口面積が0.5〜10mmであれば、5〜200個形成することが好ましく、10〜100個形成することが更に好ましい。5個以上とすることで、排気機能を確保することができる。一方、200個以下とすることで尿や体液が排気経路に流入することを有効に防止することができる。
図2A及び図2Bに示すように、隔壁62は、軌跡が凸形状のスリット74A,74B又は交差する複数本のスリット74C,74Dによって第1の孔66が形成されていることが好ましい。第1の孔を単なる開口部とするのではなく、前記スリット74A〜74Dによって形成することで、極めて容易に第1の孔66に弁的に機能する舌片72A〜72Dを付設することができる。前記舌片により、排気経路に尿や体液が侵入することを抑制しつつ、湿気を通過させることができる。
スリットの形態は特に限定されないが、「軌跡が凸形状のスリット」としては、図2Aに示すような、a)湾曲部を有するスリット74A、b)屈曲部を有するスリット74B等を挙げることができる。また、「交差する複数本のスリット」としては、図2Aに示すような、c)二本のスリットが交差する十字状のスリット74C、d)3本のスリットが交差する星型のスリット74D等を挙げることができる。
図2A及び図2Bに示すように、スリット74Aにより、紡錘状の舌片72A及び紡錘状の第1の孔66Aを形成することができ、スリット74Bにより、三角形状の舌片72B及び三角形状の第1の孔66Bを形成することができる。また、スリット74Cにより、三角形状の舌片72C及び矩形状の第1の孔66Cを形成することができ、スリット74Dにより、三角形状の舌片72D及び六角形状の第1の孔66Dを形成することができる。
本発明の吸収性物品は、図1A及び図1Cに示すように、隔壁62の前後少なくとも一方の端部に第2の孔68が形成されている。隔壁、ひいては吸収性物品の前後少なくとも一方の端部に第2の孔を形成することで、排気経路を経由して送気された湿気を吸収性物品の前後いずれか一方或いは双方の端部から排出させることができる。
図1A及び図1Cに示すように、隔壁62は、その前後方向端部に第2の孔68が複数形成されたものであることが好ましい。こうすることにより、吸収性物品のウエスト周りから湿気を排出し易くなる。
「前後方向端部」とは、隔壁の全長に対して、中央側40%長さの部分を除いた前端側、後端側各々30%長さ部分を意味する。「複数」の具体的な数は制限されない。第2の孔の開口面積によっても異なるが、孔1個当たり開口面積が0.5〜10mmであれば、5〜150個形成することが好ましく、10〜100個形成することが更に好ましい。5個以上とすることで、排気機能を確保することができる。一方、150個以下とすることで尿や体液がウエスト周りから漏れる事態を有効に防止することができる。
また、本発明の吸収性物品においては、図1Cに示すように、隔壁62の第2の孔68が前後少なくとも一方の端部における下向面に、トップシート18に向かって開口するように形成されたものであることが好ましい。第2の孔を下向きに形成することで、たとえ排気経路に尿や体液が流入した場合でも、それらをトップシート上に排出し、吸収体に吸収させることができる。従って、吸収性物品の前後端部からの漏れを有効に防止することができる。隔壁の前後端部は、排気経路を平面的に押し潰すような形で接着剤等により端部止めがなされるため、隔壁の一部に下向面が形成される。
更に、本発明の吸収性物品では、隔壁は、少なくともその外向面が撥水性材料又は液不透過性材料で形成されたものであることが好ましい。少なくとも外向面を撥水性材料等で構成することで、たとえ排気経路に尿や体液が流入した場合でも、隔壁の外向面で尿や体液がブロックされ、吸収性物品外部への漏れを防止することができる。
更にまた、本発明の吸収性物品においては、図1Bに示すように、隔壁62は、複数枚のシート材70,76からなり、その複数枚のシート材70,76が、少なくとも隔壁62の頂部において相互に積層されて積層部が形成され、その積層部の層間に、起立用伸縮材64が伸張状態で固定されていることが好ましい。このような構造とすることで、隔壁を着用者の肌に十分フィットさせることができ、着用者の脚部の動作をロスなく隔壁(ひいては排気経路)の変形に利用することができる。従って、排気経路の圧縮・復元を活発に行わせることができ、湿気の排気性を向上させることができる。
図1Bに示すような隔壁62は、例えば、図1Dに示すような方法で作製することができる。まず、(a)図に示すように、シート材70とシート材76を一部が重なり合うように貼り合わせる。この際、シート材70,76の層間には伸張状態の起立用伸縮材64を挟み込んで固定する。また、剥離防止のため、シート材70,76の積層部にヒートシールによって接合部82を形成する。その後、シート材70のみからなる部分に第1の孔66を形成示、起立用伸縮材64の配置部分と接合部82との間の部分で折り畳む。
次いで、(b)図に示すように、シート材70の縁部に接着剤84を塗工し、起立用伸縮材64の配置部分と第1の孔66との間の部分で折り畳む。更に、(c)図に示すように、接着剤84により、シート材70同士を貼り合わせ、隔壁62及び排気経路60を形成する。この部材を接着剤等により吸収性物品本体に貼り合わせることで、図1Bに示す吸収性物品1Aのような吸収性物品が得られる。
この際、接着剤84及びトップシート18とシート材70とを接着する接着剤は隔壁62が剥離しない限度において幅狭く塗工されていることが好ましい。シート材70とトップシート18との接着部及び接着剤84によって形成されるシート材70同士の接着部を幅狭く形成することで、隔壁62が接着部に拘束されることなく、起立用伸縮材64によって十分に立ち上がり、隔壁62の有する排気効果が向上する。
また、本発明の吸収性物品においては、隔壁が一枚のシート材からなり、その一枚のシートの縁部が折り返されて折り返し部が形成され、その折り返し部の内部に起立用伸縮材が伸張状態で固定されているものも好ましい。
即ち、図1Bに示す吸収性物品1Aでは、2枚のシート材70,76によって隔壁62を形成しているが、シート材76を用いずに1枚のシート材70によって隔壁62を形成することもできる。具体的には、シート材70を隔壁62の底部に当たる部分で折り返して折り返し部を形成し、その折り返し部の内部に起立用伸縮材を伸張状態で固定すればよい。こうすることにより、1枚のシート材のみによって、図1Bに示す吸収性物品1Aと同様の効果を奏する隔壁を形成することができる。
[3]吸収性物品の構成部材:
本発明の吸収性物品は、図1A〜図1Cに示す吸収性物品1Aのように、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、液不透過性材料からなり、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20とを備えるものである。
[3−1]吸収体:
「吸収体」は、着用者の尿等を吸収し、保持するための部材であり、吸収性材料によって構成される。
「吸収性材料」としては、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。「フラッフパルプ」としては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、「SAP」としては、ポリアクリル酸ナトリウムを、「親水性シート」としては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
吸収体は、1種又は2種以上の吸収性材料を単層又は複層のマット状に成形したものを用いることが好ましい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させるか、フラッフパルプのマットの層間に層状に配置して用いればよい。
吸収体は、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等、所望の形状に成形して用いることができる。吸収体は、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するという目的から、親水性シートによって被包されていることが好ましい。通常、吸収体はトップシートとバックシートの間に挟みこまれ、両シートと一体化された状態で用いられる。
[3−2]トップシート:
トップシートは、着用者の尿等を透過させる必要から、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
「液透過性材料」としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
「不織布」としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。「親水化処理」は、界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
トップシートは、「少なくとも一部」、具体的には、トップシートを平面的に見た場合に、少なくとも吸収体の表面近傍は液透過性材料により構成されていることが好ましい。
なお、吸収性物品の着用者の肌側に位置するシートが全てトップシートによって構成されている必要はない。即ち、着用者の肌と接するシートが、トップシートを含む複数のシートによって構成され、トップシートと他のシートがシートの表面方向に向かって継ぎ合わされたような構造となっていてもよい。
例えば、図1A〜図1Cに示す吸収性物品1Aは、テープ型使い捨ておむつであり、おむつの幅方向中央部には液透過性材料からなるトップシート18を配置し、おむつのサイドフラップ部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるサイドシート19を配置した例である。通気撥水性シートとしては、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布であってもよいが、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シートが更に好ましい。
[3−3]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時において着用者の肌から遠い側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分にバックシートが配置されていることが好ましい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、図1Bに示すように、バックシート20の外表面側にカバーシート24を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[3−4]立体ギャザー:
本発明の吸収性物品は、撥水性シートからなり、吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーを備えていることが好ましい。既に述べたように、本発明においては、隔壁を撥水性材料又は液不透過性材料で形成することにより、隔壁に立体ギャザー的な機能を付与することもできる。但し、隔壁とは別に、撥水性シートからなる立体ギャザーを付設することが好ましい。この立体ギャザーは、吸収体の両側縁より外側、より具体的には、一対の隔壁よりも外側に左右一対配置することが好ましい。こうすることにより、隔壁が撥水性材料や液不透過性材料で形成されていなくても、隔壁の排気通路に侵入した尿や体液が吸収性物品外部に漏れることを防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性シートの層間に伸縮材を挟み込んで固定し、その伸縮材の収縮力によってギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
なお、立体ギャザーは、前記のように立体ギャザー用の撥水性シートを別途付設してもよいし、おむつを構成するシート材(例えば、撥水性のサイドシート等)の一部によって形成してもよい。撥水性シートは、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布であってもよいが、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シートが更に好ましい。
[3−5]止着テープ:
本発明の吸収性物品は、図1Aに示すように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置された、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ11を備えていてもよい。即ち、本発明の吸収性物品には、いわゆるテープ型使い捨ておむつが含まれる。
止着テープのファスニング部材としては、粘着剤により固定を行う粘着ファスナーであってもよいが、機械的な結合により固定を行うメカニカルファスナー(面状ファスナー)を用いることが好ましい。メカニカルファスナーは、止着力が高いことに加え、複数回の脱着を行っても止着力が低下することがないという利点がある。
例えば、図1Aに示す吸収性物品1Aは、ファスニング部材として、メカニカルファスナー46を用いた例である。止着テープ11の先端近傍には、フック材46aが付設される一方、前身頃2には、ループ材46bからなるフロントパッチ13が付設されており、フロントパッチ13に対して、止着テープ11を止め付けることが可能なように構成されている。
止着テープの数は特に限定されず、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
[3−6]各種伸縮材:
本発明の吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
この脚周り伸縮材は、糸ゴムや平ゴム等によって構成される。そして、脚周り伸縮材は、立体ギャザーの起立線より外側の部分に配置されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
図1Aに示す吸収性物品1Aは、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。この帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成されている。図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴムの弾性糸からなる糸ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
[3−7]適用対象:
なお、本発明の吸収性物品は、既に説明したようなテープ型使い捨ておむつの他、パンツ型使い捨ておむつや尿パッド等の吸収性物品にも適用することができる。
「パンツ型使い捨ておむつ」とは、前身頃と後身頃の対応する側縁同士を接合することによって、一つのウエスト周り開口部及び一対の脚周り開口部が形成され、予めパンツ型に構成された使い捨ておむつである。中でも、吸収体が内包された吸収性本体が、一つのウエスト周り開口部及び一対の脚周り開口部が形成されたパンツ型を呈する外装シートの内部に固定された形態がよく用いられる(「2ピースタイプ」と称される)。
「尿パッド」とは、インナーパッド、補助パッドとも称され、専ら尿吸収を目的とする吸収パッドである。この尿パッドは、下着の内面や使い捨ておむつのトップシートの表面に載置した状態で用いられる。尿パッドは、使い捨ておむつと同様に、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートとを備えるが、着用者の腰周りを被包する部分を持たない小型のパッド状に構成されることが一般的である。
本発明の吸収性物品について、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の吸収性物品は、その発明特定事項を備えた吸収性物品を全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施例1の吸収性物品として、テープ型使い捨ておむつを作製した。具体的な構造は、図1A〜図1Cに示す吸収性物品1Aの構造とした。この吸収性物品1Aは、乳児用Lサイズのものであり、前後方向長さを485mm、後身頃6の幅(側縁6a,6b間の長さ)を325mmとした。
吸収性物品1Aは、SMS不織布製のサイドシート19の一部をなすシート材70と、これとは別体のSMS不織布製のシート材76によって構成した。隔壁62の形成は、図1Dに示す方法で行った。シート材70,76は、隔壁62の頂部及び外向面に相当する部分において相互に積層し積層部を形成した。
吸収性物品1Aでは、前記積層部の層間には、隔壁62の起立用伸縮材64として6本の伸縮材を伸張状態で配置した。立体ギャザー伸縮材36の固定長さは380mm、伸張率(伸張時長さ/非伸長時長さ×100)は、300%とした。
隔壁62の内向面(シート材76)には、前後方向の前端側、後端側各々30%長さの部分を除いた中央側40%長さの部分に、13個×3列のパターンで39個の第1の孔66を形成した。各々の第1の孔66の形状は長軸3mm、短軸2mmの楕円形状とし、開口面積は4.7cmとした。
隔壁62の前後端部から30〜80mmの部分に第2の孔68を形成した。第2の孔68は前後端部における下向面に、トップシート18に向かって開口するように形成した。各々の第2の孔68の形状は長軸6mm、短軸4mmの楕円形状とし、開口面積は18.8cmとした。
隔壁62は、吸収体22の前後端部に向かって吸収体22の両側に左右一対配置した。これにより、シート材70,76によって外部から区画された排気経路60を形成した。この排気経路60の最大断面積は1.5cmであった。
本発明の吸収性物品は、乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ、尿パッド等の吸収性物品に利用することができる。
本発明の吸収性物品の一の実施形態を示す図であり、吸収性物品を展開し、トップシート側から見た状態を示す概略平面図である。 図1Aに示す吸収性物品のX−X’断面を示す概略断面図である。 図1Aに示す吸収性物品のY−Y’断面を示す概略断面図である。 図1Aに示す吸収性物品の隔壁を形成する方法を示す工程図である。 本発明の吸収性物品の隔壁に形成される第1の孔の実施形態を示す概略平面図である。 図2Aに示す第1の孔が開孔した状態を示す概略平面図である
符号の説明
1A:吸収性物品、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、11:止着テープ、13:フロントパッチ、18:トップシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、24:カバーシート、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:腹周り伸縮材、46:メカニカルファスナー、46a:フック材、46b:ループ材、60:排気経路、62:隔壁、64:起立用伸縮材、66,66A,66B,66C,66D:第1の孔、68:第2の孔、70,76:シート材、72A,72B,72C,72D:舌片、74A,74B,74C,74D:スリット、76:シート材、82:接合部、84:接着剤。

Claims (6)

  1. 吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、シート材からなり、外部から仕切られた中空管状の排気経路を形成する隔壁と、を備え、
    前記隔壁は、前記吸収体の前後端部に向かって前記吸収体の両側に左右一対配置されるとともに、その前後端部が前記排気経路を平面的に押し潰すように端部止めされ、
    前記隔壁の頂部側には、前記吸収体の前後端部に向かって伸張状態の起立用伸縮材が固定され、
    前記隔壁は、前後方向中央部の内向面に第1の孔が形成され、前後端部の少なくとも一方の端部に第2の孔が形成され、
    前記第1の孔は、前記起立用伸縮材が収縮し、前記隔壁前後方向中央部が立体的に起立することにより、前記一対の隔壁によって挟まれた空間に向かって開口し、
    前記第2の孔は、前記端部止めによって形成された下向き面に位置し、前記トップシートに向かって開口する吸収性物品。
  2. 前記隔壁は、その前後方向中央部に前記第1の孔が複数形成されたものである請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記隔壁は、軌跡が凸形状のスリット又は交差する複数本のスリットによって前記第1の孔が形成されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記隔壁は、少なくともその外向面が、撥水性材料又は液不透過性材料で形成されたものである請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  5. 前記隔壁は、複数枚のシート材からなり、
    その複数枚のシート材が、少なくとも隔壁の頂部において相互に積層されて積層部が形成され、前記積層部の層間に、前記起立用伸縮材が伸張状態で固定されている請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記隔壁は一枚のシート材からなり、
    その一枚のシートの縁部が折り返されて折り返し部が形成され、前記折り返し部の内部に前記起立用伸縮材が伸張状態で固定されている請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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