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JP4941010B2 - 撥水剤用下塗り塗工液、撥水紙およびその製造方法 - Google Patents

撥水剤用下塗り塗工液、撥水紙およびその製造方法 Download PDF

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JP4941010B2 JP2007055793A JP2007055793A JP4941010B2 JP 4941010 B2 JP4941010 B2 JP 4941010B2 JP 2007055793 A JP2007055793 A JP 2007055793A JP 2007055793 A JP2007055793 A JP 2007055793A JP 4941010 B2 JP4941010 B2 JP 4941010B2
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Description

本発明は、撥水剤の塗工に先立って紙に塗工される撥水剤用下塗り塗工液、撥水紙および撥水紙の製造方法に関する。
冷凍食品用段ボール、野菜用段ボール等に使用される外装用ライナー(以下ライナーと略すことがある)には、クラフトパルプやクラフトパルプ系古紙を原料として製造される板紙に、ワックス系エマルジョンからなる撥水剤を塗工したものが従来使用されてきた。しかし、近年、木材資源を保護する観点から、板紙原料として古紙の使用割合が増大する傾向にある。
板紙の表面特性は、填料や微細繊維の含有量が多い古紙の配合率が高くなるに従って変化し、古紙の配合比率が高い板紙に撥水剤を塗工しても、それだけでは十分な撥水効果が得られなくなってきている。ちなみに、段ボールの製造において、撥水剤を塗工した板紙(ライナー)に中芯原紙を貼合する際、コルゲーターの熱により撥水剤が溶融し、これがパルプ繊維間の空隙に浸透する事により撥水度が低下する現象を一般的に「撥水剤の沈み」と呼ぶが、古紙の配合量の多い板紙では撥水剤の沈みが起こりやすく、これが起こると十分な撥水効果が得られないのが通例である。この撥水剤の沈みは、現在汎用されているアニオン系内添サイズ剤やアニオン系紙力剤、さらにはポリビニルアルコール等の使用量を増加させても抑制することができなかった。
そこで、これらの問題を解決するために、スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン系共重合体の4級化物と、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含有する下塗り層と撥水層の2層構造とする撥水紙の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、カチオン系共重合体を用いた場合には、撥水紙の表面強度を高めるために用いられるポリビニルアルコールや澱粉とカチオン系共重合体との相溶性が良くないために、表面強度を向上させる手段が限定されたりするといった問題があった。
なお、本出願人は、カルボキシル基含有不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含有してなる水溶性共重合体の存在下で疎水性不飽和単量体を乳化重合して得られるエマルジョンを含有する製紙用表面サイズ剤を提案している(特許文献2)が、撥水紙用下塗り剤への適用については何ら開示していなかった。
特開2005−336663号公報 特開平8−2468391号公報
本発明は、撥水剤の塗工が予定される原紙に、撥水剤の塗工に先立って塗工することで、後に塗工される撥水剤が熱の影響で紙層に沈むことを防止できる下塗り塗工液を提供し、さらには紙の上に形成された前記下塗り塗工液の塗工層と、その上に形成された撥水剤層を併有する撥水紙およびその撥水紙の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の重合成分を乳化重合させることにより得られる乳化物を含有する塗工液を用いることにより前記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アリルスルホン酸(a)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/またはスチレン類(b)、ならびに必要に応じて(メタ)アクリルアミドおよび/またはN−置換アクリルアミド類(c)からなる重合成分を乳化剤および/または保護コロイドの存在下で乳化重合させることにより得られる乳化物を含有する撥水剤用下塗り塗工液;当該撥水剤用下塗り塗工液を用いて得られる塗工層および撥水剤層を有する撥水紙;当該撥水剤用下塗り塗工液を原紙に塗工、乾燥する工程、設けられた塗工層上に、撥水剤を塗工、乾燥する工程を有する撥水紙の製造方法に関する。
本発明によれば、紙に熱がかかった場合でも撥水剤の沈み込みが防止され、得られる撥水紙の撥水性を向上させることができる。また、本発明の撥水剤用下塗り塗工液は、ポリビニルアルコールや澱粉等との相溶性が良好であるため、これらの表面強度向上剤と併用することもできる。さらに、本発明により得られる撥水紙では、紙表面の静電気量が減少するため、紙裁断時に紙粉が紙表面につきにくくなるといった効果を奏する。
本発明の下塗り塗工液は、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アリルスルホン酸(a)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/またはスチレン類(b)、ならびに必要に応じて(メタ)アクリルアミドおよび/またはN−置換アクリルアミド類(c)からなる重合成分を乳化剤および/または保護コロイドの存在下で乳化重合させることにより得られる乳化物を含有することを特徴とする。当該乳化物用いない(前記重合成分からなるアニオン性ポリマーを溶媒等に溶解させた溶液として用いる)場合には、満足する撥水効果が得られない。当該乳化物はそのまま下塗り塗工液として用いることができる。
前記重合成分には、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アリルスルホン酸(a)(以下、(a)成分という)が必須含有される。これらはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩であってよい。なお、当該重合成分とともに、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、けい皮酸、ビニルエステル酸、2−(メタ)アクリルアミドグリコリック酸、α,β−不飽和トリカルボン酸およびα,β−不飽和テトラカルボン酸ならびにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩等の不飽和カルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸イソプレンスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、およびアクリル酸−3−スルホプロピルエステル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチル、アクリル酸ヒドロキシエチルの硫酸エステル塩、アクリル酸ポリオキシアルキレンオキサイドの硫酸エステルならびにこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩等などのスルホン酸基を有するモノマーなどを併用できる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を混合して用いてもよい
前記重合成分には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/またはスチレン類(b)(以下、(b)成分という)が必須含有される。該(メタ)アクリル酸アルキルエステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなど該スチレン類としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。なお、当該重合成分とともに、ベンジル(メタ)アクリレート等のイオン性官能基を有さない芳香族モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、マレイン酸およびフマル酸のジアルキルジエステル類、メチルビニルエーテル等などを併用できる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を混合して用いてもよい。
前記重合成分には、必要に応じて(メタ)アクリルアミドおよび/またはN−置換アクリルアミド類(c)(以下、(c)成分という)を含めてよい。該N−置換アクリルアミド類としては、N−アルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なお、当該重合成分とともに、(メタ)アリルエチルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアセテート、アリルプロピオネート等の飽和カルボン酸の(メタ)アリルエステル類(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アリルホルメート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジンなどの多官能モノマー類を併用できる。また本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、アミノ基を有するビニル系モノマーをも併用できる。アミノ基を有するビニル系モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アリルアミン、ジ(メタ)アリルアミン等の2級アミノ基を有するビニル系モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の3級アミノ基を有するビニル系モノマー、またはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第3級アミノ基含有ビニルモノマ−とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの4級化剤との反応によって得られる第4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマ−等を挙げることができ、これらのビニル系モノマーは、1種または2種以上使用できる。上に例示したビニル系モノマーの中では、カチオン強度の観点から、3級アミノ基または4級アミノ基を有するビニル系モノマーが好ましく、また、中でも具体的には、(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレートや(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミドまたはそれらのメチルクロライド、ベンジルクロライドの4級化物は入手がし易く安価である点でより好ましい。(c)成分としては、これらモノマーを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る乳化物は、前記重合成分乳化剤および/または保護コロイドの存在下で乳化重合させることにより得られる。乳化重合は、必要に応じてラジカル重合触媒の存在下水中または有機溶媒中、60〜120℃程度で、1〜10時間程度実施すればよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の油性有機溶媒等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、低級アルコール系有機溶媒と水との混合溶媒等も上記した反応の反応溶媒として使用できる。また、必要に応じて、n−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動調整剤を用いてもよい。
ラジカル重合触媒としては、水溶性ラジカル開始剤が使用でき、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、および過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、これらの過硫酸塩および過酸化物と還元剤の組合せによるレドックス系重合触媒、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ系触媒、ならびにt−ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物系を挙げることができる。さらに2,2’−アゾビスブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ系触媒、ベンジルパーオキシド等の油溶性有機過酸化物を使用できる。また、必要に応じてアルキルメルカプタン等の公知の連鎖移動剤を適宜併用しても差し支えない。
(a)〜(c)成分の使用量は、特に限定されないが、重合成分中、(a)成分を0.5〜20重量%程度含有させることにより、撥水性が向上するため好ましく、特に1〜5重量%とすることが好ましい。なお、他の成分の使用量は、例えば、(b)成分は、通常重合成分中、70〜99.5重量%程度、好ましくは90〜98重量%用いればよい。(c)成分を使用する場合の使用量は、通常、重合成分中、0〜10重量%程度、好ましくは1〜5重量%である。なお、(c)成分としてカチオン性モノマーを用いる場合には、得られるポリマー中の(c)成分に由来するカチオン性官能基の量が、(a)成分に由来するアニオン性官能基の量よりも少なくなるように(a)成分の量および(c)成分の量を決定する必要がある。
乳化剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、反応性乳化剤等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては例えばアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩エステル、α―オレフィンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリアルキレンオキサイドのブロックコポリマーなどが挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどが挙げられる。なお、これらの市販品としては、例えば、ネオハイテノールS70(第一工業製薬(株)製)等がその代表例として挙げられる。
反応性乳化剤の具体例としては、たとえば、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルの硫酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテル、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩や、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩、不飽和二重結合部分を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの脂肪族または芳香族カルボン酸塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化剤、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(特開平4−256429号公報参照)、特開昭63−23725号公報、特開昭63−240931号公報、特開昭62−104802号公報に記載の乳化剤等の各種のものが挙げられる。さらには前記反応性乳化剤中のポリオキシエチレンを、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンをブロック共重合またはランダム共重合したものに代えたものも挙げられる。なお、これらの市販品としては、例えば、KAYAMER PM−1(商品名、日本化薬(株)製)、KAYAMER PM−2(商品名、日本化薬(株)製)、KAYAMER PM−21(商品名、日本化薬(株)製)、SE−10N(商品名、(株)ADEKA製)、NE−10(商品名、(株)ADEKA製)、NE−20(商品名、(株)ADEKA製)、NE−30(商品名、(株)ADEKA製)、アデカリアソープSR−10(商品名、(株)ADEKA製)、アデカリアソープSR−20(商品名、(株)ADEKA製)、アデカリアソープER−20(商品名、(株)ADEKA製)、ニューフロンティアA229E(商品名、第一工業製薬(株)製)、ニューフロンティアN117E(商品名、第一工業製薬(株)製)、ニューフロンティアN250Z(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンRN−10(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンRN−20(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンRN−50(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンHS−10(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンKH−05(商品名、第一工業製薬(株)製)、アクアロンKH−10(商品名、第一工業製薬(株)製)、エミノールJS−2(商品名、三洋化成工業(株)製)、ラテルムK−180(商品名、花王(株)製)等がその代表例として挙げられる。これらのなかでは、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
保護コロイドとしては、特に限定されず公知のものを使用できる。具体的には、例えば、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーおよびその他のモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アニオン性モノマーとしては、前記(a)成分を用いることができる。カチオン性モノマーとは、少なくとも1つのカチオン性官能基および1つのビニル基を有するものであり、具体的には、例えば、アリルアミンの他、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの第3級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第3級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの4級化剤との反応によって得られる第4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等が挙げられる。アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマー以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類、アリルアルコール等のアリル基を含有するアリル系モノマー類、イソプロピルアクリルアミド等のN−置換アクリルアミド系モノマー類、(メタ)アクリロニトリルなどの他、2官能ビニルモノマー系としてメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド系モノマー類やエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート系モノマー類、ジアリルアミン、ジビニルベンゼン等であり、3以上のビニル基を有する多官能ビニルモノマー類としては、1,3,5-トリアクロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどが挙げられる。なお、これらの重合方法は、ラジカル重合法等の公知の方法によればよい。また、ロジン、変性ロジン等のロジン類およびこれらロジン類の部分エステル等のロジン系樹脂をアルカリ金属、アミン類、アンモニア等で中和した塩、塩基酸変性ロジンエステルとアルキル無水コハク酸アルカリ塩またはアルケニル無水コハク酸アルカリ塩、シェラック、酸化澱粉、ポリビニルアルコールなども使用することができる。これらの保護コロイドは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。保護コロイドの使用量は特に限定されないが、通常、重合成分100重量部に対し、1〜50重量部程度である
このようにして得られた乳化物の粒子径は特に制限されないが、50〜500nm程度であることが望ましい。乳化物の粒子径が50nmより小さい場合、紙表面に留まりにくくなり、満足する撥水効果が得られにくい。乳化物の粒子径が500nmより大きい場合、製品の安定性を維持することが難しい。
このようにして得られた乳化物は、そのまま下塗り塗工液として使用することができる。下塗り塗工液として使用する場合には、通常、固形分を0.5〜5重量%程度とすることが塗工性等の点から好ましく、1〜3重量%とすることが特に好ましい。なお、必要に応じて各種公知の添加剤を用いてもよい。添加剤としては、例えば、アニオン系表面サイズ剤、酸化澱粉、アニオン系表面紙力剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、染料、防滑剤などが挙げられる。
本発明の下塗り塗工液は、オンマシンまたはオフマシンで原紙に塗工することができ、塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等を用いることができる。また、エアーとの2流体によるスプレー塗工も可能である。
下塗り塗工液の塗工量は、固形分換算で0.01〜0.5g/mの範囲で選ばれる。塗工量が0.01g/m未満である場合は下塗り効果を十分発現させることができない場合がある。下塗り塗工層の乾燥にはオンマシン、オフマシンを問わず、ドラムドライヤー、温風乾燥機、赤外線乾燥機等が使用できる。下塗り塗工液を塗工した後の紙の2分Cobb吸水度(JIS P 8140)は、20〜60g/mの範囲になるように調節することが好ましい。2分Cobb吸水度が20g/m未満の場合は、撥水剤を塗工する際に撥水剤を弾いてしまうために、撥水剤を均一に塗工できない場合がある。また、2分Cobb吸水度が60g/m以上の場合は、撥水剤が紙のZ軸方向に深く浸透してしまうためにバリヤー効果が得られず、撥水効果が十分に発現しない場合がある。
本発明において乾燥した下塗り層上に塗工する撥水剤は、ワックス系成分を分散質とする水性エマルションが好ましい。このエマルジョンにおいて、分散質となるワックス系成分は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスなどの単一成分であっても、これらのワックス成分のブレンドであっても差し支えない。また分散質はマレイン化石油樹脂などの変性ワックス成分であっても、ロジンあるいは不飽和高級アルコール等であっても差し支えない。分散質の乳化に寄与する分散剤には特に制限は無く、ノニオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子、マレイン化石油樹脂などの自己乳化性を有する高分子乳化剤などが何れも使用できる。上記した水性エマルジョンでの分散質の表面電荷はアニオン性を示すものが好ましい。
撥水剤の塗工およびその塗工層の乾燥は常法通りこれを行うことができ、下塗り塗工液の塗工および乾燥で説明した塗工機および乾燥機が撥水剤の塗工乾燥にも使用できる。なお、ワックス系撥水剤の塗工量は、通常、固形分換算で0.1〜2g/m2の範囲で選択する。
本発明の下塗り塗工液および撥水剤には、それぞれ必要に応じて酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、両性澱粉等の澱粉類、炭酸ジルコニウム、硫酸バンド等の金属化合物、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子を配合することができる。この場合下塗り塗工液、撥水剤には、アニオン性のものを配合することが好ましい。更にまた、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、顔料等の添加物を下塗り塗工液および撥水剤に配合しても構わない。
本発明の撥水紙の原紙としては各種の紙および板紙が使用可能である。特に古紙パルプの含有量が50重量%を超えて配合された紙については効果が大きい。
本発明の効果により、古紙パルプ配合量の増加によって表面性が変化して起こる撥水剤の沈みが殆どない。本発明の撥水紙は、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー等の板紙が挙げられるが、特に古紙の含有量の50重量%以上、とりわけ80重量%以上を含有しているライナーを対象にした場合に効果が大きい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例中の部および%は、特記しない限り重量部、および重量%である。
(原紙の製造方法)
濃度3.0%パルプスラリー(段ボール古紙 100%、フリーネス300mlCSF、紙中灰分11.0%)に硫酸アルミニウムを絶乾パルプに対して1.0%、ロジンエマルションサイズ剤(商品名:サイズパインN815、荒川化学工業(株)製)を絶乾パルプに対して0.2%添加し、白水にて1.0%スラリーに希釈し、次いで乾燥紙力増強剤(商品名:ポリストロンF6、荒川化学工業(株)製)を絶乾パルプに対して0.2%添加した。この時のパルプスラリーのpHは6.8であった。タッピ・シートマシンにて脱水し、5kg/cm
で2分間プレスした。次いで回転型乾燥機で105℃において4分間乾燥し、23℃、55%R.H.の条件下に24時間調湿することで、坪量150g/m、2分コブ吸水度72g/mの紙を得た。
(下塗り塗工液の製造方法)
製造例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、水714部、および保護コロイドとしてオクタデシル無水コハク酸のナトリウム塩(不揮発分34%、pH9.0の水溶液)を175部(ビニル系単量体全量に対して20重量%)、スチレン297部、アクリル酸4部、N−ドデシルメルカプタン0.75部、48%苛性ソーダ3.5部(アクリル酸に対して100モル%中和)および、アニオン性界面活性剤(アクアロンRN50:第一工業製薬(株)製)3部からなる混合物を仕込んだ。反応系内の酸素を窒素で充分に置換し、次いで、前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム6部を水15部に溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH8.6、固形分濃度30.2%、粘度15mPa・s/25℃のエマルション組成物を得た。
製造例2〜6
組成、乳化剤、保護コロイドを表1に示すものに変えた以外は製造例1と同様の方法に従い、エマルション組成物を得た。結果を表1に示す。
製造例7
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、水713部、および保護コロイドとして多塩基酸変性ロジンエステル(商品名「マルキードNo32」:荒川化学工業(株)製)に28%アンモニア水を等量添加して溶解してなる不揮発分20%、pH9.0の水溶液を293部(ビニル系単量体全量に対して20重量%)、α−メチルスチレン30部、2−エチルヘキシルアクリレート210部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド4級化物54部、アクリルアミド6部、N−ドデシルメルカプタン0.75部および、アニオン性界面活性剤(ハイテノールLA10:第一工業製薬(株)製)3部からなる混合物を仕込んだ。反応系内の酸素を窒素で充分に置換し、次いで、前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム6部を水15部に溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH8.7、固形分濃度30.3%、粘度14mPa・s/25℃のエマルション組成物を得た。
製造例8
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えたフラスコにイソプロピルアルコール 106部、スチレン 235部、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート 80部、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート 5.6部を混合したモノマー混合液を、窒素気流下に攪拌しながら、80℃まで昇温し3時間保温した。更にパーブチルO(日本油脂(株)製)を3.2部仕込んで80℃で4時間保温した。ついで、イオン交換水980部、および酢酸 24.8部を仕込み中和した。更に55℃でエピクロロヒドリン 38.8部を仕込み、3時間保温した。共重合体の固形分濃度が20重量%になるように調整し、25℃の粘度が35mPa・sである共重合体水溶液を得た。
製造例9
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに窒素を導入しながら軟水400部およびイソプロピルアルコール300部を仕込み、攪拌しながら系を加熱して80℃まで昇温した。次いで系にスチレン210部、α−メチルスチレン30部、メタクリル酸75部、N−ドデシルメルカプタン0.75部を混合したビニル系単量体混合液と、パーブチルO(日本油脂(株)製)6部を水120部に溶解した重合開始剤水溶液を約3時間かけて系内に滴下し、その後系を2時間保温して反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後48%水酸化カリウム水溶液81部(メタクリル酸に対して100モル%)を加え水で希釈し共重合体の濃度が25%になるように調整し、25℃の粘度が500mPa・sである共重合体水溶液を得た。
表1中の粒子径は、レーザー粒子径解析システムLPA−3000/3100 (大塚電子(株)製)を用いて測定した。
Figure 0004941010
表中、AAはアクリル酸、MAAはメタクリル酸、Stはスチレン、BMAはブチルメタクリレート、BAはブチルアクリレート、αMeStはα−メチルスチレン、2EHAは2エチルヘキシルアクリレート、AMはアクリルアミド、ANはアクリロニトリル、DMLはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド4級化物、DMはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ODSA−Naはオクタデシル無水コハク酸のナトリウム塩、アクアロンRN50(商品名:第一工業製薬(株)製):反応性乳化剤、ネオハイテノールS70(商品名:第一工業製薬(株)製):低分子量乳化剤、マルキードNo32(商品名:荒川化学工業(株)製):多塩基酸変性ロジンエステル、ハイパラテックPR(商品名:日本シェラック工業(株)製):多塩基酸変性ロジンエステル、マルキード3002(商品名:荒川化学工業(株)製):多塩基酸変性ロジンエステル(マレイン酸変性ロジンペンタエリスリトールエステル)を表す。また、(a),(b),(c)成分の数値は、基幹ポリマーを構成するビニル系単量体100重量部に対する重量部(固形分)を表す。表中の各種乳化剤は、基幹ポリマーを構成するビニル系単量体100重量部に対して1重量部(固形分)使用した。表中の各種保護コロイドは、基幹ポリマーを構成するビニル系単量体100重量部に対して20重量部(固形分)使用した。
(撥水紙の製造方法)
製造例1〜9を1.0%に水道水希釈した塗工液を、原紙にNo.8バーコーターにて塗工した後、循風乾燥機にて105℃、1分間、および回転型乾燥機にて120℃、30秒間乾燥を行った。得られた塗工紙を23℃、55%R.H.の条件下に24時間調湿後、JIS P8140によりコブ吸水度、JIS P8147の傾斜方法により滑り角を測定した。測定結果を表2に示す。
次に、上記で塗工した紙に、撥水剤(商品名:サイズパインW116H、荒川化学工業(株)製)を塗工量が0.15g/mおよび0.3g/mおよび0.45g/mになるようにNo.8バーコーターで塗工し、循風乾燥機にて105℃、1分間、および回転型乾燥機にて120℃、30秒間乾燥を行い、撥水紙を得た。
得られた各撥水紙の裏面に、水をNo.10バーコーターで塗工し、回転型乾燥機にて120℃、2分間乾燥を行い、23℃、55%R.H.の条件下に24時間調湿後、撥水度を測定した。結果を表2に示す。撥水度の測定は、JAPAN Tappi No.68に準じて行った。
紙表面の静電気量は、105℃の循風乾燥機で5分間乾燥後、紙の表面同士を10往復こすり合わせ、クーロンメーターMODEL NK−1001(春日電機(株)製)を用いて測定した。
Figure 0004941010
* 撥水度(R);R1が最も撥水性が低く、R10が最も高い。
表2に示す結果からわかるように、アニオン性ポリマー(A)の乳化物を含有する撥水剤用下塗り塗工液を用いることで、製造例7(カチオン性エマルション)や、製造例8(カチオン性水溶性ポリマー)や、製造例9(乳化物でないアニオン性水溶性ポリマー)等の公知の下塗り塗工液との対比で良好な撥水度を示した。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル酸および/または(メタ)アリルスルホン酸(a)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/またはスチレン類(b)、ならびに必要に応じて(メタ)アクリルアミドおよび/またはN−置換アクリルアミド類(c)からなる重合成分を乳化剤および/または保護コロイドの存在下で乳化重合させることにより得られる乳化物を含有する撥水剤用下塗り塗工液。
  2. 重合成分が、(a)成分を0.5〜20重量%含有する請求項記載の撥水剤用下塗り塗工液。
  3. 重合成分が(b)成分を70〜99.5重量%含有する請求項1または2記載の撥水剤用下塗り塗工液。
  4. 重合成分が(c)成分を0〜10重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の撥水剤用下塗り塗工液。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の撥水剤用下塗り塗工液を用いて得られる塗工層および撥水剤層を有する撥水紙。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の撥水剤用下塗り塗工液を原紙に塗工、乾燥する工程、設けられた塗工層上に、撥水剤を塗工、乾燥する工程を有する撥水紙の製造方法。
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