JP4836472B2 - 発泡成形用ポリプロピレン系組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
1.以下(A)及び(B)成分を含む発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
(A):230℃における溶融張力が3〜10gであるポリプロピレン系樹脂:30〜90重量%
(B):下記(1)〜(4)を満たす有機過酸化物存在下に溶融混練して得られるポリプロピレン系樹脂:70〜10重量%
(1)190℃における溶融張力が2〜7g
(2)メルトフローレートが1〜4g/10分
(3)重量平均分子量と数平均分子量の比が3〜7
(4)回転型レオメーターを用いて測定した溶融粘弾性挙動において、角周波数ω=0.1rad/秒における緩和時間(τ)が1〜5秒
2.(A)成分が、超高分子量ポリエチレンを重合用触媒に担持した予備活性化触媒の存在下に、プロピレンを重合して得られた重合体である1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
3.(C)成分として、無機充填材を0〜20重量%含む1又は2に記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
4.1〜3のいずれかに記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物を発泡成形して得られる下記(1)〜(3)を満たす発泡成形体。
(1)平均セル径が500μm以下
(2)連続気泡率が1〜30%
(3)発泡倍率が1〜4倍
(A)ポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン系樹脂(A)(以下、(A)成分)は、キャピログラフを用い測定温度230℃、引き取り速度3.1m/分にて測定した溶融張力が3〜10gのポリプロピレン系樹脂であれば特に制限はない。3g未満であると発泡特性が低下(発泡倍率低下、連続気泡率が上昇)するとともに熱成形性も低下する恐れがある。10gを超えると生産性が低くなる恐れがある。
ポリプロピレン系樹脂として、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ランダムブロックポリプロピレン等が挙げられる。
重合用触媒として、チタン化合物を含む遷移金属化合物触媒成分を主成分とする触媒成分、好ましくはチタン含有固体触媒成分を使用でき、有機金属化合物、電子供与体を組み合わせることができる。
この重合体の製造方法の詳細は、国際公開WO97/20869、特開2002−356601に記載されている。
ポリプロピレン系樹脂(B)(以下、(B)成分)は、下記(1)〜(4)を満たす。
(1)190℃における溶融張力が2〜7g
(2)メルトフローレート(MFR)が1〜4g/10分
(3)重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3〜7
(4)回転型レオメーターを用いて測定した溶融粘弾性挙動において、各周波数ω=0.1rad/秒における緩和時間(τ)が1〜5秒
緩和時間の詳細については特願2004−331795号明細書に記載されている。
前記三塩化チタンのエーテル処理で好ましく用いられるエーテル化合物としては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジネオペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−2−エチルヘキシルエーテル、メチル−n−ブチルエーテル及びエチル−イソブチルエーテル等の各炭化水素残基が炭素数2〜8の鎖状炭化水素であるエーテル化合物が挙げられ、これらの中でも特にジ−n−ブチルエーテルを用いることが好適である。
このような固体触媒成分として、Solvay型三塩化チタンを好適に用いることができる。
(C)成分の無機充填剤(以下、(C)成分)は必要に応じて添加される。
無機充填剤としては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中ではシート外観、機械的物性をバランス良く向上できるタルクが好ましい。
(1)平均セル径が500μm以下
(2)連続気泡率が1〜30%
(3)発泡倍率が1〜4倍
上記(1)〜(3)を満たす発泡成形品は、断熱性及び容器外観に優れているので好ましい。平均セル径は発泡剤の種類や添加量、発泡倍率等により調整できる。本発明の組成物を発泡成形したものは、容易にこれらの条件を満たす。
(1)溶融張力(MT)(単位:g)の測定法
東洋精機(株)製キャピログラフ1Cを使用し、(A)成分については測定温度230℃、(B)成分については190℃、引取り速度3.1m/分にて測定した。測定には、長さ8mm、直径2.095mmのオリフイスを使用した。
ゲルバーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリプロピレン換算のMw及びMnより算出した。
GPC測定装置
カラム:TOSOGMHHR−H(S)HT
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS150C
測定条件
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:145℃
JIS−K7210に準拠し、測定温度230℃、荷重2.16kgにて測定した。
(4)緩和時間τ(単位:秒)
緩和時間τは、レオメトリックス社製回転型レオメーターにおいて、コーンプレート25mmφ、コーンアングル:0.10ラジアンを用い、温度175℃、歪15%において周波数分散測定を行ったときのω0=0.1rad/秒における緩和時間τであり、次式により計算したものである。即ち、樹脂ペレットについて測定した複素弾性率G*(iω)を、応力σ*と歪みγ*によりσ*/γ*で定義したとき、式
G*(iω)=σ*/γ*=G’(ω)+iG”(ω)
τ(ω)=G’(ω)/ωG”(ω)
(ここで、G‘は貯蔵弾性率を示し、G”は損失弾性率を示す。)により、求めた値である。
走査型電子顕微鏡JSM−6100(日本電子製)を用い、倍率70倍にてシートの断面を観察し、画面中の100個のセルの直径を測定して平均値を求めた。
(6)連続気泡率
空気比較式比重計1000型(東京サイエンス製)を用いて測定した。
(7)発泡倍率
得られた発泡シートの重量を水中置換法により求めた体積で除することにより比重を求め発泡倍率を計算した。
真空圧空用熱成形機FK−0431−10(浅野研究所製)にてドローダウン性の評価を形状30cm×30cmの発泡シートを用いて間接加熱温度上下500℃(設定)で行った。
ドローダウンの挙動をスクーリングしてシュリンクバック後の最も復元した状態をドローダウンが開始する初期状態を基準にして最小ドローダウン量として求めた。
シュリンクバック後から初期状態を基準にして30mmまでドローダウンした時間を保持時間として求めた。
(A)成分
高分子量予備重合品:FB3312(JPP製)
高分子量予備重合品:FH3400(JPP製)
MFR1.8PP分解品(製造例2)
MFR1.6PP(製造例3)
(B)成分のMT、MFR、Mw/Mn及びτを表1に示す。
[Al−Ti触媒系MFR1.0PPの製造]
(1)予備重合
内容積5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを十分に乾燥し窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを4リットル、ジエチルアルミニウムクロライド140グラムを加え固体触媒成分(市販のSolvay型三塩化チタン触媒(東ソー・ファインケム社製))20gを加えた。内温を20℃に保持し、攪拌しながらプロピレンを連続的に導入した。80分後、攪拌を停止し結果的に固体触媒1g当たり0.8gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分[A]を得た。
内容積10リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン6リットルを加え、系内の窒素をプロピレンで置換した。その後、内温を70℃として水素を0.052MPa加えて攪拌しながらプロピレンを導入した。系内が全圧0.74MPa、70℃に安定した後、上記予備重合触媒成分[A]を固体触媒換算で0.50グラム含んだヘプタンスラリー100ミリリットルを加えて重合開始とした。重合開始4時間プロピレンを連続的に供給した後、50ミリリットルのメタノールを添加し重合終了とし降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し1−ブタノール100ミリリットルを加え85℃で1時間撹拌した後に固液分離した。さらに、85℃のヘプタン5リットル、蒸留水1リットルの混合液で固体部を2回洗浄し、真空乾燥してプロピレン重合体2.6kgを得た。この重合体の135℃テトラリン中で測定した極限粘度[η]は2.25dl/gであった。
得られたポリプロピレン100重量部に対して酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1重量部、イルガフォス168を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量部添加して撹拌混合を十分に行った。次にTEM35B二軸押出し機(東芝機械製)を用いシリンダー温度200℃、押出量30kg/hrにて溶融混練した。得られたポリプロピレンのMFRは、0.9g/10分、τ(秒)は4.2秒、分子量分布Mw/Mnは5.5であった。
[MFR1.8PP分解品の製造]
製造例1で得られたポリプロピレン100重量部対して酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1重量部、イルガフォス168を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量部添加後、有機過酸化物として、カヤヘキサAD(5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)(化薬アクゾ製)を0.007重量部配合し、撹拌混合を十分に行った。次にTEM35B二軸押出し機(東芝機械製)を用いシリンダー温度200℃、押出量30kg/hrにて溶融混練した。得られたポリプロピレンのMTは4.2g、MFRは1.8g/10分、τ(秒)は3.3秒、分子量分布(Mw/Mn)は5.0であった。
[MFR1.6PPの製造]
(固体触媒成分の調製)
窒素で置換した内容積5Lの攪拌器付三つ口フラスコにジエトキシマグネシウム160g(1.4mol)を投入し、さらに脱水処理したヘプタンを500ml加えた。40℃に加熱し四塩化珪素28.5ml(0.225mol)を加え、20分攪拌し、ジブチルフタレートを0.127mol加えた。溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを滴下ロートを用いて770ml(7.0mol)滴下した。内温を110℃とし2時間攪拌し担持処理した。その後、脱水ヘプタンを用いて充分洗浄を行った。さらに四塩化チタンを1220ml(11.2mol)加え、内温を110℃とし2時間攪拌し2回目の担持処理を行った。その後脱水ヘプタンを用いて充分洗浄を行い固体触媒成分を得た。固体触媒成分中にTiは2.2重量%含まれていた。
窒素で置換した内容積2Lの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したヘプタンを1500mL加え、さらにトリエチルアルミニウム6.9mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン12.4mmol、上記固体触媒成分を15g(Tiとして6.9mmol)加えた。室温で攪拌しながらプロピレンを導入し予備重合触媒[B]を得た。ポリプロピレンは6.4g生成していた。
内容積10Lの攪拌器付ステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、内部に脱水処理したヘプタンを6L加えた。攪拌しながら内温が80℃になるまで昇温し、トリエチルアルミニウム12mmol、続いてジシクロペンチルジメトキシシラン0.6mmol加えた。次に、系内の窒素をプロピレンで置換し水素を0.01MPa導入し、全圧が0.79MPaになるまでプロピレンを導入した。
内温、圧力が安定したことを確認して上記予備重合触媒[B]をTiとして0.5mmol投入して重合開始とした。その後、1時間経過したところで50mLのメタノールを投入することによって重合停止した。その後、降温、脱圧し内容物を取り出し、エバポレーターで溶媒を除去し、真空乾燥してポリプロピレン重合体を得た。得られたポリプロピレン重合体の収量は、2.4kgであり135℃テトラリン中で測定した極限粘度[η]は2.55dl/gであった。
得られたポリプロピレン重合体100重量部対して酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1重量部、イルガフォス168を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量部添加して撹拌混合を十分に行った。次にTEM35B二軸押出し機(東芝機械製)を用いシリンダー温度200℃、押出量30kg/hrにて溶融混練した。得られたポリプロピレンのMTは4.5g、MFRは1.6g/10分、τ(秒)は3.0秒、分子量分布Mw/Mnは4.0であった。
(A)成分としてJPP社製、FB3312を70重量%、(B)成分として製造例2より得たポリプロピレンを30重量%配合してなるペレットブレンド100重量部に、発泡剤(永和化成工業製 EE205)を0.4重量部ドライブレンドした。発泡成形機は東芝機械(株)製のTEM−41SSを用いた。スクリュー回転数60rpm、シリンダー温度210℃、ダイス温度170℃に設定し、二酸化炭素注入量120g/hrにて成形を行った。引取速度2m/分で得られた発泡シートに関し、連続気泡率、シート外観観察を行いその結果を表2に示した。また、発泡倍率は、いずれの系もほぼ2倍であった。また、引取速度1.8m/分で得られた発泡シートを用いて熱成形を行い、ドローダウン性を把握した。結果を表2に示す。
実施例1において(B)成分の配合割合を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
実施例1においてA)成分をJPP社製、FH3400に変えたこと以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
実施例1において(B)成分を70重量%、(C)成分としてタルク(浅田製粉(株)製、商品名JA−80R、レーザー法で測定した平均粒子径が10μm)を15重量%配合したこと以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
実施例1において(B)成分として製造例3のポリプロピレンに変えたこと以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
実施例2において(B)成分として製造例3のポリプロピレンに変えたこと以外は実施例2と同様に行なった。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 以下(A)及び(B)成分を含む発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
(A):230℃における溶融張力が3〜10gであるポリプロピレン系樹脂:30〜90重量%
(B):下記(1)〜(4)を満たす、有機過酸化物存在下において180〜250℃で溶融混練して得られるポリプロピレン系樹脂:70〜10重量%
(1)190℃における溶融張力が2〜7g
(2)メルトフローレートが1〜4g/10分
(3)重量平均分子量と数平均分子量の比が3〜7
(4)回転型レオメーターを用いて測定した溶融粘弾性挙動において、角周波数ω=0.1rad/秒における緩和時間(τ)が1〜5秒 - (A)成分が、超高分子量ポリエチレンを重合用触媒に担持した予備活性化触媒の存在下に、プロピレンを重合して得られた重合体である請求項1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
- (C)成分として、無機充填材を0〜20重量%含む請求項1又は2に記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
- 前記(B)成分を得るために使用される、溶融混練に用いるポリプロピレン系樹脂が、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元して得られる三塩化チタン組成物を、エーテル及び電子受容体で処理して得られる固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物を必須成分とする触媒の存在下、プロピレンを重合して得られたポリプロピレン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物を発泡成形して得られる下記(1)〜(3)を満たす発泡成形体。
(1)平均セル径が500μm以下
(2)連続気泡率が1〜30%
(3)発泡倍率が1〜4倍 - 前記(A)成分30〜90重量%と、前記(B)成分70〜10重量%とを、混合する工程を有する、請求項1又は2に記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物の製造方法。
- 四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元して得られる三塩化チタン組成物を、エーテル及び電子受容体で処理して得られる固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物を必須成分とする触媒の存在下、プロピレンを重合して得られるポリプロピレン系樹脂を溶融混練して、前記(B)成分を製造する工程を有する、請求項6に記載の発泡成形用ポリプロピレン系組成物の製造方法。
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