JP4831350B2 - 電界紡糸方法 - Google Patents
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Description
まず、特許文献1の従来装置では、貯留ケース及びノズルの全体が加熱される。このため、ポリマ溶液に対する加熱時間が長くなり、熱に対して不安定で変質しやすいポリマ溶液を使用して、極細繊維を紡糸することが困難であった。従って、使用可能なポリマの種類に制限を受ける結果となり、多種類のポリマに対応できない。また、貯留ケース内でポリマ溶液が加熱されると、その貯留ケース内におけるポリマ溶液の粘度が低下するため、ポリマ溶液に機能材料(例えば活性炭やセラミック)等の微細粉末を混入させて紡糸する場合、微細粉末の凝集が生じやすくなって、機能材料を均一な分散状態で含有させた繊維を紡糸することが困難であった。さらに、微細粉末の凝集によって、ノズルが詰まるおそれもあった。
以下に、この発明の第1実施形態を、図1に基づいて説明する。
図1に示すように、ハウジング11内には、ステンレススチールやアルミニウム合金等の金属ローラよりなり、図示しないモータにより一方向に連続回転されるコレクタ12が支持されている。ハウジング11内においてコレクタ12の側方にはガラス等の絶縁材よりなる貯留ケースとしてのシリンジポンプ13が対向配置され、そのシリンジポンプ13の内部にはポリマ溶液14が収容されている。シリンジポンプ13の先端には、ポリマ溶液14を射出するための金属よりなる射出部としてのニードル15が取り付けられている。そして、シリンジポンプ13内のポリマ溶液14がニードル15の先端開口からコレクタ12の方向に向かって射出される。前記ニードル15には電源16が接続されて高電圧が印加され、ポリマ溶液14に電荷が与えられる。前記コレクタ12はアースされている。このため、前記ニードル15とコレクタ12との間には空間を介して電位差が与えられる。そして、ニードル15の先端部15aから射出されたポリマ溶液14が電位差に基づいて出糸されて、電界紡糸される。
前記ハウジング11の外側部には、濾紙や不織布等の紡糸基材21を繰り出してハウジング11内のコレクタ12の外周に供給するための繰り出しローラ22が配設されている。そして、コレクタ12の外周に周回された紡糸基材21の表面に、ニードル15からのポリマ溶液14が極細繊維となって捕集されて集積され、極細繊維よりなるウェブ状の繊維層19が形成される。従って、コレクタ12上において、前記紡糸基材21と、その表面の繊維層19とよりなる繊維積層体20が作製される。従って、紡糸基材21の表面が極細繊維を捕集して集積する捕集面となる。ハウジング11の外側部には巻き取りローラ25が配設され、前記繊維積層体20がガイドローラ26を介してこの巻き取りローラ25に巻き取られる。
なお、ポリマ溶液14からフィルタ用に紡糸を行う場合、前記ポリマ溶液14のポリマとしては、ポリビニルアルコール等に代表される水溶性ポリマのほか、ポリ乳酸,ゼラチン等のタンパク質,デンプン等の多糖類等の生分解性ポリマがある。これらのポリマの溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、水、もしくは水とアルコールとの混合溶媒が一般的である。従って、溶剤の沸点は摂氏100度以下である。そして、例えば、紡糸基材21がポリプロピレンの場合は、その軟化温度は、分子量等によって異なるが、例えば摂氏150度である。従って、捕集面は摂氏150度に加熱される。また、ポリマがポリアクリルニトリル、ポリウレタン、ポリスチレンの場合、溶剤はジメチルホルムアミド(沸点摂氏153度)、ジメチルアセトアミド(沸点摂氏165度)、ジメチルスルホキド(沸点摂氏189度)が用いられる。この場合は、紡糸基材21として例えばポリエステル(軟化温度摂氏200〜230度程度)が好ましい。
さて、この電界紡糸装置の作動時には、ニードル15とコレクタ12との間の紡糸空間が常温に設定されるとともに、コレクタ12が加熱された状態において、コレクタ12の回転により、繰り出しローラ22から紡糸基材21が繰り出されて、コレクタ12の外周に周回される。このとき、ニードル15の先端部15aからコレクタ12の外周の紡糸基材21に向かってポリマ溶液14が射出される。そして、この射出されたポリマ溶液14が電位差に基づいて紡糸されながら飛走され、基材21の表面に紡糸によるウェブ状の繊維層19が形成される。この繊維層19の形成により、繊維積層体20が作製されて、その繊維積層体20がガイドローラ26を介して巻き取りローラ25に巻き取られる。
(1) 紡糸基材21の表面,すなわち捕集面がポリマ溶液14の溶媒の沸点以上の温度に加熱されているため、捕集された状態において溶媒が揮発されることを促進することができる。よって、高沸点溶媒等の揮発しにくい溶媒を使用したポリマ溶液の紡糸が可能になって、紡糸可能なポリマ溶液の種類を増やすことができる。また、捕集面上において溶剤を短い時間で揮発させることができるため、機能材料の変質を防止できる。
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態の電界紡糸装置においては、図2に示すように、ハウジング11内におけるコレクタ12の上流側に一対の予熱ローラ31が配置されている。これらの予熱ローラ31は、その内部にヒータ32を有している。そして、これらの予熱ローラ31はコレクタ12に供給される紡糸基材21を挟持し、紡糸基材21に対して予め加熱を施す。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 極細繊維の捕集面を加熱する手段として、捕集面を輻射加熱したりする手段を用いること。
Claims (2)
- 貯留ケースの先端の射出部からコレクタに向かってポリマ溶液を射出することによりコレクタ上の捕集面に対して電界紡糸を行うようにした電界紡糸方法において、
前記コレクタの周囲に位置する紡糸基材の表面を前記捕集面とし、
前記紡糸基材の表面をポリマ溶液の溶媒の沸点以上であって、前記紡糸基材の軟化温度まで加熱することを特徴とした電界紡糸方法。 - 前記射出部とコレクタとの間の紡糸空間を常温にすることを特徴とする請求項1に記載の電界紡糸方法。
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