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JP4830799B2 - 吸着モジュール - Google Patents

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JP4830799B2
JP4830799B2 JP2006303118A JP2006303118A JP4830799B2 JP 4830799 B2 JP4830799 B2 JP 4830799B2 JP 2006303118 A JP2006303118 A JP 2006303118A JP 2006303118 A JP2006303118 A JP 2006303118A JP 4830799 B2 JP4830799 B2 JP 4830799B2
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Description

本発明は、吸着モジュールに関し、例えば吸着剤が気相冷媒を吸着する作用を用いて冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により冷凍能力を発揮する吸着器に適用して好適なものである。
従来この種の吸着器は、吸着剤を充填した吸着熱交換器と、吸着剤が吸着/脱離する被吸着媒体が蒸発/凝縮する熱交換器とを有し、これら熱交換器を、吸着器の外枠を構成する真空容器内に収容するものがある(特許文献1参照)。
特許文献1の開示する技術では、吸着熱交換器に、銅粉などを焼結したものが伝熱促進材として利用されている。この技術では、上記銅粉と吸着剤を混合し、焼結形成させたもので、熱交換媒体が流れる伝熱管を一体的に被包している。
なお、吸着器を構成する吸着熱交換器および上記熱交換器を個別に製作し、次いで容器の内部に、個々に製作された吸着熱交換器および熱交換器を収容した状態で、気密に組付けられている。
特開平4−148194号公報
上記特許文献1による従来技術では、銅粉の焼結体を伝熱フィンとすることで、この伝熱フィン内の細孔を含む空隙部に充填された吸着剤との接触面積が増え伝熱特性の向上が図れる。
しかしながら、実際には、上記従来技術は、伝熱特性が向上したにも係わらず、冷却性能の低下やその成績係数COPの低下を招く場合があるという問題があった。
すなわち、銅粉の量が多い、すなわち吸着剤が充填された伝熱フィンの空隙率が低い場合であると、吸着剤との接触面積の拡大により伝熱特性が向上するが、伝熱フィンの空隙部に充填可能な吸着剤量は減少するので、冷却性能および成績係数COPの低下を招く領域が存在する。一方、銅粉の量を少なくして、空隙率を高める場合であると、吸着剤の充填可能量は増えるが、吸着剤との接触面積の減少により伝熱特性が低下するので、冷却性能および成績係数COPの低下を招くことが懸念される。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、熱媒体管の周囲に多孔質伝熱体と、多孔質伝熱体の空隙部に充填された吸着剤とを有するものにおいて、伝熱特性の向上が図れるとともに、性能および成績係数COPが常に高い状態に維持される吸着モジュールを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
すなわち、請求項1に記載の発明では、熱交換媒体が流れる複数の熱媒体管(21)を有し、熱媒体管(21)の周辺部(22)に、細孔(23a)を有する多孔質伝熱体(23)および吸着剤(24)が設けられている吸着モジュール(1)であって、多孔質伝熱体(23)は、粉末状、粒子状、および繊維状のいずれかの金属粉(23b)を焼結によって熱媒体管(21)に金属結合して形成され、多孔質伝熱体(23)に形成された細孔(23a)内には、吸着剤(24)が充填されており、熱媒体管(21)の周辺部(22)に吸着剤(249が充填された吸着剤充填層の厚さ(L)は、0.5mm〜6mmの範囲に設定されており、熱媒体管(21)と、熱媒体管(21)の周辺部(22)に金属結合した多孔質伝熱体(23)とは、細孔(23a)を含む空隙部を有しており、空隙部の空隙率Moは、周辺部(22)に充填された金属粉(23b)の重量をMg、前記金属粉(23b)が充填された前記周辺部(22)の充填容積をFv、および金属粉(23b)の密度をρとすると、Mo=(1−Mg/(Fv×ρ))で表され、空隙率Moは、70%〜95%の範囲に設定されていることを特徴とする。
これによると、吸着剤充填層の厚み(L)、すなわち浸透深さ(r2)を0.5mm〜6mmの範囲に設定しているので、より高性能な吸着モジュール(1)を提供することができる。これによると、空隙率Moを70%〜95%の範囲に設定することで、金属粉(23b)の量を最適化するので、伝熱特性の向上が図れるとともに、性能および成績係数COPが常に高い状態に維持される吸着モジュール(1)を提供することができる。
上述の吸着モジュール(1)は、被吸着媒体が流れる被吸着媒体通路(25)を備え、被吸着媒体通路(25)は、熱媒体管(21)の間に配置されている
熱媒体管(21)の周辺部(22)に多孔質伝熱体(23)および吸着剤(24)を設ける場合において、多孔質伝熱体(23)は、金属粉(23b)を焼結体としたいわゆる伝熱フィンとすることにより、この伝熱フィン内に充填された吸着剤(24)との接触面積が増え伝熱特性が向上する。しかしながら、多孔質伝熱体(23)における熱媒体管(21)の周辺部(22)の厚さによっては、吸着剤(24)が被吸着媒体を吸着/脱離する際の被吸着媒体の拡散抵抗によって、吸着剤(24)の吸着/脱離速度が狙い通り上がらず、結果的には冷却性能を向上させることができないおそれがある。
これに対して請求項1に記載の発明は、被吸着媒体が流れる被吸着媒体通路(25)を、熱媒体管(21)の間に設けているので、多孔質伝熱体(23)内部の吸着剤(24)に被吸着媒体を浸透させ易くなり、被吸着媒体の拡散抵抗を低減することができる。
また、上記熱媒体管(21)の間への被吸着媒体通路(25)の配置として、被吸着媒体通路(25)の内周面から、隣接する熱媒体管(21)の外周面までの距離を、被吸着媒体が熱媒体管(21)に向けて浸透する浸透深さ(r2)とし、吸着剤充填層の厚さにおける熱媒体管(21)からの距離を伝熱距離(r1)として、浸透深さ(r2)と、伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、熱媒体管(21)の間に被吸着媒体通路(25)を配置している
これによると、吸着および脱離速度に係わる浸透深さ(r2)と、伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、熱媒体管(21)の間に被吸着媒体通路(25)を配置するので、伝熱特性に優れ、かつ被吸着媒体の拡散抵抗の小さい高性能な吸着モジュール(1)を提供することができる。
また、上記熱媒体管(21)が扁平形状である場合においては、請求項2に記載の発明の如く、熱媒体管(121)の扁平断面の長辺からの距離を伝熱距離(r1)とし、被吸着媒体通路(125)の内周面から、被吸着媒体が熱媒体管(121)に向けて浸透する浸透深さ(r2)と、伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、熱媒体管(121)の間に被吸着媒体通路(125)を配置していることが好ましい。
これによると、扁平形状の熱媒体管(121)の場合においても、吸着および脱離速度に係わる浸透深さ(r2)と、伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、熱媒体管(121)の間に被吸着媒体通路(125)を配置することができる。
また、請求項3に記載の発明の如く、被吸着媒体通路(25)は、熱媒体管(21)に平行に配置され、被吸着媒体が少なくとも一方向から流入可能であることを特徴とする。
これによると、吸着および脱離速度に係わる浸透深さ(r2)と、伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、熱媒体管(21)の間に被吸着媒体通路(25)を配置するのが容易となる。
また、請求項4に記載の発明では、吸着モジュール(1)は、少なくとも多孔質伝熱体(23)を真空保持可能な筐体(3)とを備え、筐体(3)は、内部に被吸着媒体を封入し、外部の蒸発器および凝縮器と被吸着媒体を流通可能に結合するように構成されており、吸着時には蒸発器側より被吸着媒体が流入し、脱離時には凝縮器側へ被吸着媒体が流出することを特徴とする。
これによると、吸着時および脱離時において、別個に設けた蒸発器および凝縮器へ被吸着媒体を導くように構成されているので、蒸発器および凝縮器は、脱離時および吸着時における無駄エネルギを生じない。
また、請求項5に記載の発明は、多孔質伝熱体(23)の金属粉(23b)は、銅または銅合金からなり、熱媒体管(21)は、銅または銅合金からなることを特徴とする。
これによると、伝熱特性に優れた多孔質伝熱体(23)と熱媒体管(21)が焼結結合することにより、これらが単に接触するだけではなく、金属的に接合できるので、伝熱向上が効果的に図れる。
また、請求項6に記載の発明は、筐体(3)は、内部の収容空間を、ろう材によって互いにろう付けされた複数の部材(31、32、33、34、35)によって区画されるように構成され、金属粉(23b)は、焼結温度がろう材のろう付け温度と同じ温度とするように構成されていることを特徴とする。
これによると、ろう材による吸着モジュールを構成する筐体などの構成部材の接合と、金属粉(23b)の焼結による多孔質伝熱体(23)の形成が、一度の炉内でのろう付け温度による加熱によって、同時に行なえるので、優れた生産性が図れる吸着モジュールを提供することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態における吸着モジュールを、図1から図15に従って説明する。図1は本実施形態に係わる吸着熱交換器を示す図であって、図1(a)は断面図、図1(b)は図1(a)中のIBよりみた断面図である。図2は図1(a)の拡大図である。図3は図2中の吸着剤充填層を示す模式的断面図である。図4は本実施形態の吸着モジュールを示す外観図である。図5は図4中のVからみた断面図である。図6は図5中のVIからみた断面図である。図7は吸着剤充填層の厚さLと単位容積当たりの冷却性能との関係を示す特性図である。図8は吸着剤充填層の厚さLと吸着能力との関係を示す特性図である。
図9は図2中の吸着剤充填層での細孔を含む空隙部における空隙率を説明する模式図である。図10は空隙率と吸着剤の充填密度の関係を示す特性図である。図11は空隙率と冷却性能との関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが2mmである場合の一例を示す特性図である。図12は空隙率と成績係数COPとの関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが2mmである場合の一例を示す特性図である。図13は空隙率と冷却性能との関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが4mmである場合の他の一例を示す特性図である。図14は空隙率と成績係数COPとの関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが4mmである場合の他の一例を示す特性図である。図15は本実施形態の吸着モジュールの製造方法について、製造工程を示す流れ図である。
図4に示す吸着モジュール1は、その内部に含む吸着剤が気相冷媒(水蒸気)を吸着する作用を用いて冷媒を蒸発させてその蒸発潜熱により冷凍能力を発揮することを利用して吸着式冷凍機に使用されるものであり、車両用などの空調装置に適用することもできる。この吸着モジュール1は、図5および図6に示すように、筐体を構成するケーシング3内に吸着熱交換器2を備えている。吸着熱交換器2は、熱交換媒体(冷媒)が流れる熱媒体管21とを有しており、熱媒体管21の周辺部22に、細孔を有する多孔質熱伝体23および吸着剤24が設けられている。
具体的には、吸着熱交換器2は、図1および図3に示すように、材質が銅または銅合金(本実施例では、銅)からなる熱媒体管21と、細孔23aを有する多孔質熱伝体23と、その細孔23aに充填された吸着剤24とを有している。
多孔質熱伝体23は、熱伝導性に優れる金属粉23bを加熱して、溶融することなく焼結結合した焼結体である。金属粉23bは、銅または銅合金(本実施例では、銅)を用いており、例えばその銅粉は、粉末状、粒子状、および繊維状のいずれか(本実施例では、繊維状)に形成されているものであればよい。
このような多孔質熱伝体23、すなわち金属粉23bを焼結結合した焼結体は、図3に示すように、細孔23aを有する微細な焼結フィン(以下、多孔質焼結フィン)を形成する。細孔23aは、金属粉23bに比べて粒子径が微小な吸着剤24を充填可能にマッチした微細な孔である。また、多孔質熱伝体23は、銅からなる熱媒体管21の周辺部に焼結結合している。
なお、細孔23aを有する多孔質伝熱体23と熱媒体管21とは互いに焼結結合しているので、多孔質伝熱体23内に形成される細孔23a以外に、金属的に結合する多孔質伝熱体23と熱媒体管21の界面によって区画される空隙も生じる。この空隙と細孔24aは請求範囲に記載の空隙部に対応する。空隙と細孔24aを、細孔24aを含む空隙部と言い換えることができる。
また、多孔質熱伝体23は、その全体が一方向に伸長するように複数の円筒状の熱媒体管21の周辺部22で形成されており、全体形状として円筒状である。
吸着剤24は、微小な多数の粒子状に形成されており、例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等から構成されている。吸着剤24は、多孔質熱伝体23の細孔23a内部に充填されている。
さらに、本実施形態では、熱媒体管21の間に、被吸着媒体(以下、水蒸気)が流通する被吸着媒体通路25が配置されている。被吸着媒体通路25の断面形状は、本実施例では円としたが、円、楕円、矩形のいずれであってもよい。また、本実施例では、被吸着媒体通路25は、図中の3つの熱媒体管21に囲まれた領域に配置されているが、3つに限らず、4つや5つ等の複数の熱媒体管21に囲まれた領域に配置されるものであってもよい。
この被吸着媒体通路25は、吸着時には、図4中の蒸発器からの水蒸気を通して熱媒体管21の周辺部22の多孔質熱伝体23内部へ速やかに浸透させる役割を果す。また、脱離時には、熱媒体管21の周辺部22の多孔質熱伝体23から吐き出した水蒸気を、この被吸着媒体通路25を通して速やかに図4中の凝縮器へ導く役割を果す。
なお、ここで、熱媒体管21の周辺部22の多孔質熱伝体23を、吸着剤充填層と呼ぶ。この吸着剤充填層は、熱媒体管21の周辺部22で焼結結合した多孔質焼結フィンの厚さL(図3参照)に対応している。
この吸着剤充填層の厚さLを設定するに当たり、図2および図3に示すように、水蒸気が熱媒体管21に向かう浸透深さr2と、熱媒体管21からの距離(以下、伝熱距離)r1とが略等しくなるように、熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を配置することが好ましい。なお、浸透深さr2は、本実施例では、被吸着媒体通路25の内周面から熱媒体管21の外周面までの距離である。
このように、吸着および脱離速度に係わる浸透深さr2と、伝熱距離r1とが略等しくなるように熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を配置することにより、被吸着媒体の拡散抵抗が小さくかつ伝熱特性が優れ、吸着と脱離に要す時間を短縮することができる高性能な吸着熱交換器を提供できる。
さらに、吸着剤充填層の厚さLの最適化を図るべく、吸着剤充填層の厚さLと冷却性能との関係を、図7および図8に従って説明する。図7は、横軸に吸着剤充填層(多孔質焼結フィン)の厚さLを示し、縦軸に単位容積当たりの冷却性能を示しており、この冷却性能は、最大性能を1とする冷却能力比で表している。図7に示す特性図は、吸着速度(η/τ)の実験結果(図8参照)より単位容積当たりの冷却能力を計算したものである。
図8は、吸着剤充填層の厚さLをパラメータにして厚さL毎に実験により得た吸着速度(η/τ)を表す特性図であって、縦軸に吸着効率、横軸に吸着時間が示されている。図8に示すように、吸着剤充填層の厚さLを厚くすると吸着速度(η/τ)は低下する。言い換えると、吸着剤充填層の厚さLが薄いほど吸着速度(η/τ)は速くなる。
一方、図7の単位容積当たりの冷却能力比に換算すると、吸着剤充填層の厚さLを厚くすることにより吸着剤充填量が増加する。これは例えば図8中のL=2mmとL6mmの比較例の如く、吸着剤充填層の厚さLの増加に伴なって熱媒体管21の容積が小さくなるからである。但し、図8の特性図より明らかなように吸着速度(η/τ)は遅いので、厚さLがある程度増加すると結果的に冷却能力は低くなる。すなわち、冷凍能力は、吸着剤重量と吸着速度(η/τ)に比例するので、単位容積当たりの冷却能力が最大となる吸着剤充填層の厚さLが存在する。単位容積当たりの冷却能力が最大となる吸着剤充填層の厚さLは、図7に示すように、L=2mmである。
このような関係にある吸着剤充填層の厚さLは、図7に示すように、0.5mm〜6mmの範囲に設定されていることが好ましい。これにより、最大性能から70%までの性能を確保することができる。
さらに望ましくは、吸着剤充填層の厚さLは、1mm〜4mmの範囲に設定されていることが好ましい。これにより、最大性能から85%までの性能を確保することができるので、最大性能に対して15%程度の低下に抑えられ、最大性能に近い性能が得られる。
なお、上記吸着剤充填層の厚さLを設定するに当たり、浸透深さr2と伝熱距離r1がほぼ等しくなるように、被吸着媒体通路25を熱媒体管21の間に配置することを前提としたが、浸透深さr2および伝熱距離r1は、吸着剤充填層の厚さLが0.5mm〜6mmの範囲内にあれば、浸透深さr2と伝熱距離r1の間で2mm程度の差異があってもよい。吸着剤充填層の厚さLを、0.5mm〜6mmの範囲内に含まれるいずれか如く、最適範囲内に含まれる最適値に設定することにより、冷却性能は問題となる大きな悪化を生じることはない。
上述のように吸着剤充填層の厚さLを最適化した吸着吸着熱交換器2において、発明者らは、金属粉23b、吸着剤24に付き、かさ密度等の物理特性を変更した場合での冷却性能について、実験による検証に鋭意努めた。なお、検証実験で評価した冷却性能の評価項目としては、上記単位容積当たりの冷却能力比に加えて、その成績係数COPなどを評価した。
ここで、冷却能力(冷却性能)Qは、数式1により表される。
(数1)
冷却能力Q=G×ΔC×ΔH×η/τ
なお、数式1中において、
Gは、吸着剤24の量(kg)
ΔCは、吸着剤24の被吸着媒体(水蒸気)に対する吸着特性(以下、水吸着特性)(kg/kg)
ΔHは、潜熱(kJ/kg)
ηは、吸着効率(作動条件下において、吸着剤の平衡吸着量のうち吸着した割合)
τは、切替時間であり、
η/τは、上述の吸着速度である。
また、成績係数COPは、数式2により表される。
(数2)
成績係数COP=Q/(Q+Qh)
なお、数式2中において、
Qhは、吸着モジュール1を構成する吸着熱交換器2および筐体3などの構成部品の温度を変えるのに必要な熱流(kW)であって、具体的には吸着剤24、多孔質伝熱体23、熱媒体管21、および筐体3などの熱容量である。
上記実験結果によると、冷却能力比を最大にする吸着剤充填層厚さLが、0.5mm〜6mmの厚さLの範囲内に確かに存在することが確認された。しかしながら、吸着剤充填層厚さLの大きさに関わらず、多孔質伝熱体(多孔質焼結フィン)23の量即ち焼結体として焼結された金属粉23bの量により、冷却能力比や成績係数COPが比較的大きく変わるとの知見が得られた。例えば吸着剤充填層厚さLを、図8の特性図中で最大性能となる2mmとしても、金属粉23bの量により、冷却能力比や成績係数COPが比較的大きく異なる実験結果となった。
そこで、発明者らは、(1)金属粉23bの量により、金属粉23bが焼結体の細孔として焼結結合されて形成された空隙部が変わり、その空隙部に充填可能な吸着剤24の量が異なること、(2)空隙部の状態、例えばその状態指標として空隙率Moが変わると、吸着剤24と接する多孔質伝熱体23の内部(細孔23a)の伝熱面積が異なり、熱特性が異なること、等に着目して検討を鋭意重ねた。
なお、ここで、上述の空隙率Moは、数式3により表される。
(数3)
空隙率Mo=(1−Mg/(Fv×ρ))
なお、数式3中において、
Mgは、多孔質伝熱体23を形成するために充填した金属粉23bの量(kg)
Fvは、金属粉23bを充填した空間容積(以下、充填容積)(m
ρは、金属粉23bの密度(kg/m)である。例えば、図9に示す如く、円筒状の熱媒体管21の周辺部22に充填された金属粉23bをMgとし、その周辺部22の充填容積(図中の二点鎖線で示される円筒状の体積範囲)をFvとするものである。充填容積は、熱媒体管21の周辺部22に限定されるものではなく、各熱媒体管21を筐体3内に配置した状態において、筐体3内の熱媒体管21の各周辺部22における総充填容積を、空隙率Moを求めるための充填容積Fvとしてもよい。
まず、数式1で表される冷却能力Qは、吸着剤24の量Gと、吸着速度(η/τ)に比例するので、吸着剤24の量を多くすること、および吸着速度(η/τ)を早めることの少なくともいずれか一方が成立することによって、向上する。
また、数式2で表される成績係数COPは、冷却能力Qと、吸着剤24、および多孔質伝熱体23即ち焼結により焼結体に形成される金属粉23bなどの熱容量(重量)とによって、比較的大きく影響を受ける。
また、上記冷却能力Qおよび成績係数COPに影響を及ぼす吸着剤24の量と金属粉23bの量は、図10で示される空隙率Moと吸着剤24の充填密度の関係を示す特性図の如く、金属粉23bの量とに基づいて決定される空隙率Moに対応して、吸着剤24の充填可能な最大量Gが決まる。従って、数式3で表される空隙率Moを、冷却能力Qおよび成績係数COPに関係付けることは可能であるといえる。
なお、図10は、空隙率Moと吸着剤24の充填密度の関係を示す特性図であって、横軸に空隙率Mo、縦軸に吸着剤24の充填密度を示すとともに、吸着剤24の物理特性の一つのかさ密度A、Bを変えて、異なるかさ密度Aとかさ密度Bの場合の二例を示している。また、縦軸に示される吸着剤24の充填密度は、各かさ密度A、Bを有する吸着剤24を充填するときの最大充填密度である。本実施例では、かさ密度A、Bを、それぞれ0.7g/cc、0.5g/ccとした。上記かさ密度B以上、かさ密度A以下の範囲としたのは、本実施例の吸着熱交換器2で使用が考えられる範囲が、0.5g/cc〜0.7g/ccのかさ密度の範囲内であるからである。
図10の如く、例えばかさ密度Aの場合において、金属粉(銅粉)23bが多い領域、即ち空隙率Moの低い領域では、銅粉23bの焼結体を多孔質焼結フィン(多孔質伝熱体)とすることで、この多孔質焼結フィン内に充填された吸着剤24との接触面積の拡大により伝熱特性が向上するが、空隙率Moが低いためその空隙部に充填可能な吸着材24の量は減少する。このような空隙率Moの低い領域では、冷却能力が低下し、かつ放熱の締める割合が増え成績係数COPの低下を招く。一方、金属粉23bの量を少なくし、空隙率Moを高められる空隙率Moの高い領域では、吸着材24の充填可能量が増えるが、吸着剤24との接触面積の減少により伝熱特性が低下するので、冷却能力および成績係数COPの低下を招くことが懸念される。
次に、空隙率Moの最適化を図るべく、空隙率Moと冷却能力比、および空隙率Moと成績係数COPの関係を、それぞれ、図11、13、および図12、14に従って説明する。図11の空隙率Moと冷却能力比を示す特性図と、図12の空隙率Moと成績係数COPの関係を示す特性図は、図8の特性図の如く、空隙率Moを考慮しない場合に冷却能力比が最大となった一例を示す吸着剤充填層厚さLが2mmである場合において、空隙率Moに関係付けられる冷却能力比、成績係数COPを算出したものである。また、図13の空隙率Moと冷却能力比を示す特性図と、図14の空隙率Moと成績係数COPの関係を示す特性図は、図8の特性図の如く、最大性能ではないが許容される冷却能力比を満足する吸着剤充填層厚さL範囲にある他の一例を示す吸着剤充填層厚さLが4mmである場合において、空隙率Moに関係付けられる冷却能力比、成績係数COPを算出したものである。
なお、空隙率Moを最適化するに当たり、許容される冷却能力比を、最大冷却能力の85%以上とした。また、許容される成績係数COPを、0.5以上とした。これにより、最大性能から85%までの冷却能力を確保することができるので、最大性能に対して15%程度の低下に抑えられ、最大性能に近い冷却能力が得られる。また、許容される成績係数COPを0.5以上とするので、被吸着媒体(水蒸気)の廃熱源からの少ない廃熱で作動させることが可能となる。さらに、許容される成績係数COPを0.5以上とするので、吸着熱交換器2を、放熱性能が小さい領域で作動をさせたい場合があったとしても、大型化することなく、作動させることができる。
なお、許容される冷却能力比を最大冷却能力の85%以上としたときの、上述の如く、吸着剤充填層の厚さLを最適化した範囲は、1mm〜4mmの範囲内である。
図11に示す如く、吸着材充填層厚さLが2mmの場合での空隙率Moと冷却能力比の特性図では、吸着剤24のかさ密度が、かさ密度A、かさ密度Bのいずれの場合であっても、空隙率Moの増加にほぼ比例して冷却能力比が増加(向上)する。増加した空隙率Moが90%に達する冷却能力は最大となり、その後の空隙率Moが95%を超えた領域では、空隙率Moが増加するに従って急激な冷却能力の低下を招く。
また、吸着剤24の各かさ密度A、B同士を比較した場合において、空隙率Moのほぼ全範囲で、かさ密度の小さいかさ密度Bの冷却能力比の方が、かさ密度Aの冷却能力比より劣っている。
このようにかさ密度の小さいかさ密度Bの場合であっても、最大性能に対して85%以上の性能を確保するためには、図11に示すように、空隙率Moは、70%〜95%の範囲内に設定されていることが好ましい。
また、図12に示す如く、吸着材充填層厚さLが2mmの場合での空隙率Moと成績係数COPの特性図では、かさ密度A、かさ密度Bのいずれの場合であっても、空隙率Moの増加にほぼ比例して成績係数COPが増加(向上)する。増加した空隙率Moが95%に達する成績係数COPは最大となり、その後の空隙率Moが98%を超えた領域では、空隙率Moが増加するに従って急激な成績係数COPの低下を招く。
また、密度A、B同士を比較した場合において、空隙率Moのほぼ全範囲で、かさ密度の小さいかさ密度Bの成績係数COPの方が、かさ密度Aの成績係数COPより劣っている。
このようにかさ密度の小さいかさ密度Bの場合であっても、0.5以上の成績係数COPを確保するためには、図12に示すように、空隙率Moは、60%以上に設定されていることが好ましい。
さらに、冷却能力比および成績係数COPが高い状態を維持するためには、空隙率Moは、70%〜95%の範囲内に設定されていることが好ましい。
次に、図13に示す如く、吸着材充填層厚さLが4mmの場合での空隙率Moと冷却能力比の特性図では、かさ密度A、かさ密度Bのいずれの場合であっても、空隙率Moの増加にほぼ比例して冷却能力比が増加(向上)する。増加した空隙率Moが80%に達する冷却能力は最大となり、その後の空隙率Moが95%を超えた領域では、空隙率Moが増加するに従って急激な冷却能力の低下を招く。
かさ密度の小さいかさ密度Bの場合であっても、最大性能に対して85%以上の性能を確保するためには、図13に示すように、空隙率Moは、50%〜95%の範囲内に設定されていることが好ましい。
また、図14に示す如く、吸着材充填層厚さLが4mmの場合での空隙率Moと成績係数COPの特性図では、かさ密度A、かさ密度Bのいずれの場合であっても、空隙率Moの増加にほぼ比例して成績係数COPが増加(向上)する。増加した空隙率Moが95%に達する成績係数COPは最大となり、その後の空隙率Moが98%を超えた領域では、空隙率Moが増加するに従って急激な成績係数COPの低下を招くおそれがある。
かさ密度の小さいかさ密度Bの場合であっても、0.5以上の成績係数COPを確保するためには、図14に示すように、空隙率Moは、60%以上に設定されていることが好ましい。
さらに、このような吸着剤充填層の厚さLを最適化した範囲にある吸着材充填層厚さLが4mmの場合においても、冷却能力比および成績係数COPが高い状態を維持するためには、空隙率Moは、60%〜95%の範囲内に設定されていることが好ましい。
さらにまた、上記吸着剤充填層の厚さLを最適化した範囲にある場合に対して、空隙率Moを、70%〜95%の範囲(以下、最適範囲と呼ぶ)内に設定することにより、冷却能力比および成績係数COPが高い状態を確実に維持することができる。
次に、吸着熱交換器2を筐体3内部に一体化成形して備えた吸着モジュール1を、図4から図6に従って説明する。
吸着モジュール1は、吸着熱交換器2と、筐体本体31、シート32、33、およびタンク34、35とを有する、金属からなる筐体3とを備えている。なお、本実施例では、筐体の金属は、銅または銅合金とする。
筐体本体31は、円筒状に形成されており、内部に、略円筒状の吸着熱交換器2の多孔質熱伝体23が収容可能に形成されている。また、筐体本体31の上端側開口部と下端側開口部は、シート32、33で封止可能に形成されている。筐体本体31の上部には、吸着熱交換器2の吸着剤充填層に、水蒸気を導くことが可能な被吸着媒体流入配管36および被吸着媒体流出配管37が設けられている。
このように筐体本体31とシート32、33を封止することにより、内部を真空に保持可能である。これにより、筐体本体31とシート32、33によって形成される内部密閉空間内には、被吸着媒体としての水蒸気以外には、他の気体(気相冷媒)は1Torr以下しか存在しないようになっている。
吸着時には、水蒸気は、蒸発器側から被吸着媒体流入配管36を通して、被吸着媒体通路25に分配される。被吸着媒体通路25に分配された水蒸気は、吸着剤充填層の内部に浸透する。また、脱離時には、水蒸気は、吸着剤充填層から吐き出され、吐き出た水蒸気は各被吸着媒体通路25を通して、被吸着媒体流出配管37より凝縮器側へ導かれる。
また、シート32、33には、熱媒体管21が貫通可能な貫通穴32a、33aが形成されている。この貫通穴32a、33aと熱媒体管21は、ろう付け等による接合により気密に固定されている。
タンク34、35には、熱交換媒体を導くことが可能な熱媒体流入配管38および熱媒体流出配管39が設けられている。熱交換媒体は、下部タンク34の熱媒体流入配管38に流入し、熱媒体管21を通して、上部タンク35の熱媒体流出配管39より流出する。
このような下部タンク34および上部タンク35は、熱交換媒体を複数の熱媒体管21へ供給分配するためのタンクである。
なお、上記筐体3および熱媒体管21は、その径方向断面が円筒形状、楕円形状、矩形形状のいずれの形状であってもよい。
次に、吸着モジュール1の製造工程を、図15に従って説明する。吸着モジュール1の製造工程は、筐体3内に焼結体として形成される金属粉23b、および吸着剤24を充填する工程前に各構成部品を組付ける組付工程(ステップS100)と、筐体3内に金属粉23bおよび吸着剤24を充填する充填工程(ステップS200)と、金属粉23bおよび吸着剤24を充填した充填口を閉じてろう付け前の筐体3を形成する筐体形成工程(ステップS300)と、ろう付け前の筐体3を炉の中に入れてろう付けするろう付け工程(ステップS400)とを備えている。
ステップS100の組付工程は、ステップS200の金属粉23bおよび吸着剤24の充填工程の準備工程であり、金属粉23bおよび吸着剤24を充填する前に組付け可能な構成部品を、できるだけ、組付けておくことが好ましい。
ステップS100の組付工程では、吸着熱交換器2の構成部品である熱媒体管21を筐体3内に保持させて固定するために、まず、複数の熱媒体管21の一端を、シート32の貫通穴32aに挿入しておき、シート32に挿通した熱媒体管21を拡管(口拡)することによりシート32と熱媒体管21を固定する。次いで、シート32を、筐体本体31の下端側開口部に組付け固定する。この状態では、筐体本体31の上端側開口部が開放されているとともに、筐体本体31内に熱媒体管21が保持されて固定されている。
上記筐体本体31内において、隣り合う熱媒体管21は互いに所定間隔をあけて設けられ、熱媒体管21は、空間である周辺部22が形成されている。
次に、ステップS200の充填工程では、熱媒体管21の周辺部22に焼結させる金属粉23bおよび保持させる吸着剤24を、上記筐体本体31内に充填させる工程である。まず、ステップS200の工程では、被吸着媒体通路25を設けるための図示しない治具(以下、被吸着媒体通路用治具)を、熱媒体管21の間に挿入しておく。次いで、筐体本体31のシート33が組付けられていない上端側開口部、もしくは被吸着媒体流入配管36および被吸着媒体流出配管37と連結する連通穴から、金属粉23bと吸着剤24を混ぜたものを充填する。図5に示すように、熱媒体管21の周辺部22に、金属粉23bと吸着剤24の混合物を所定量満たす。
上記金属粉23bと吸着剤24を混ぜた混合物において、金属粉23bが焼結結合されて焼結体なった多孔質伝熱体23の充填容積Fvに基づいて、空隙率Moが必要な上記最適範囲内になるように、金属粉23bの量を調整し、かつその金属粉23bの量と空隙率Moに対応する空隙部に充填可能な吸着剤24の量に調合し、予め混合する。そして空隙率Moが上記最適範囲内に設定された混合物を周辺部22に充填する。
金属粉23bと吸着剤24の混合物を所定量充填した後、図6中の上部より所定の加圧力を加えて、銅粉と吸着剤24の混合物を固める。
金属粉23bと吸着剤24の混合物を固めた後、被吸着媒体通路用治具を拭き取り、被吸着媒体通路25の孔(空間)を確保する。
なお、被吸着媒体通路25は、金属粉23bと吸着剤24とを充填後に加圧して固める際に、同時に被吸着媒体通路25の孔を開けるような治具を挿入してもよい。
次に、ステップS300の筐体形成工程では、ろう付け結合(接合)が必要となる構成部品を、S400のろう付け工程前にすべて組付けておく工程である。まず、筐体本体31の上端側開口部に、シート33を組付け固定する。また、筐体本体31の上記連通穴と、被吸着媒体流入配管36および被吸着媒体流出配管37とを組付け固定する。
次いで、下部タンク34および上部タンク35を、シート32、33、もしくは筐体本体31に組付け固定する。また、熱媒体流入配管38および熱媒体流出配管39を、下部タンク34および上部タンク35に組付け固定する。
次に、ステップS400のろう付け工程では、吸着モジュール1を構成する部品同士のろう付け結合(接合)と、ステップ200で充填された金属粉23bの焼結と、この金属粉23bの焼結体と熱媒体管21との焼結結合(接合)と、吸着剤24の焼結体(多孔質伝熱体)内部への定着とを行なう工程である。
まず、ろう付け結合(接合)が必要となる構成部品に置きろうをする。少なくとも、シート32、33と、このシート32、33に貫通して組付け固定されている熱媒体管21との接合部位、シート32、33と筐体本体31との接合部位、およびシート32、33とタンク34、35との接合部位に置きろうをする。
なお、シート32、33やタンク34、35に、ろう材をグラッドした銅材を利用してもよい。これにより、上記接合部位に置きろうをする手間を省くことができる。
また、本実施例の金属粉23bとしての銅粉の焼結温度は、700°C〜1000°Cの範囲であるので、上記ろう材は、700°C〜1000°Cの範囲に含まれる溶融温度を備えるものを使用する。例えば、ろう材は銅系または銀系の材料を使用する。さらに、吸着剤24は、炉内で上記高温雰囲気にさらされるため、炉内温度(700°C以上)において破壊されないものを使用する。
以上説明した本実施形態では、空隙率Moを70%〜95%の範囲に設定することで、金属粉23bの量を最適化するので、伝熱特性の向上が図れるとともに、冷却能力比および成績係数COPが常に高い状態に維持させる吸着モジュール1を提供することができる。
なお、上記空隙率Moの最適範囲に設定された金属粉23bの量と、空隙率Moとに対応して吸着剤の量が決定される。このとき、吸着剤24の物理特性としてのかさ密度が、0.5g/cc以上であることが好ましい。
これにより、吸着剤24のかさ密度を限定する程度によって、常に高い性能状態を維持させるために設定した許容される冷却能力比(最大性能の0.85以上)および成績係数COP(0.5以上)に対して、これを満足する吸着モジュール1を確実に提供することができる。
なお、上記かさ密度の最適範囲は、0.5g/cc〜0.7g/ccの範囲に設定することが好ましい。
また、以上説明した本実施形態では、熱媒体管21の間に、被吸着媒体としての水蒸気が流れる被吸着媒体通路25が設けられていることが好ましい。これにより、被吸着媒体通路25は、吸着時には、蒸発器からの水蒸気を通して熱媒体管21の周辺部22の多孔質熱伝体23内部へ速やかに浸透させる役割を果すとともに、脱離時には、熱媒体管21の周辺部22の多孔質熱伝体23から吐き出した水蒸気を、この被吸着媒体通路25を通して速やかに図4中の凝縮器へ導く役割を果すことができる。
このように熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を設けることにより、水蒸気の拡散抵抗の低減が図れ、従って、吸着速度および脱離速度が向上する。
本実施例の如く、吸着モジュール1内の多孔質熱伝体23の上部より水蒸気が流入する場合であっても、多孔質熱伝体23内に存在する熱媒体管21の間に位置する被吸着媒体通路25によって多孔質熱伝体23の下部側にある吸着剤24へ水蒸気を流入し易くすることができるので、水蒸気の拡散抵抗を確実に低減することができる。
また、以上説明した本実施形態では、上記熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を位置させる方法として、浸透深さr2と伝熱距離r1がほぼ等しくなるように、熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を配置することが好ましい。これにより、吸着および脱離速度に係わる浸透深さr2と伝熱距離r1がほぼ等しくなるように、熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を配置するので、被吸着媒体の拡散抵抗が小さくかつ伝熱特性が優れ、吸着と脱離に要す時間を短縮することができる高性能な吸着熱交換器を提供できる。
また、以上説明した本実施形態では、吸着剤充填層の厚さLを、0.5mm〜6mmの範囲内に設定していることが好ましい。最大性能から70%までの冷却性能を確保することができるからである。更に、吸着剤充填層の厚さLを、1mm〜4mmの範囲(以下、吸着剤充填層厚さLの最適範囲)内に設定することが望ましい。最大性能から85%までの冷却性能を確保することができるからである。
これにより、吸着剤充填層の厚さLを最適化設定しない場合に比べて、より高性能な吸着モジュールを提供することができる。
また、以上説明した本実施形態では、被吸着媒体通路25を、熱媒体管21に平行に配置し、水蒸気がこの被吸着媒体通路25を通して一方向(図5中の上部方向から下部方向)へ流入可能である。これにより、吸着および脱離速度に係わる浸透深さr2と伝熱距離r1とがほぼ等しくなるように、熱媒体管21の間に被吸着媒体通路25を配置するのが容易となる。
また、以上説明した本実施形態では、上述した吸着熱交換器2と、この吸着熱交換器2の多孔質伝熱体23および被吸着媒体通路25を内部に真空保持可能な筐体3とを有する吸着モジュール1であって、筐体3は、内部に水蒸気を封入し、外部の蒸発器および凝縮器と被吸着媒体を流通可能に結合するように構成されており、この吸着モジュール1は、吸着時には蒸発器側より吸着剤充填層に水蒸気が流入し、脱離時には凝縮器側へ、吸着剤充填層から吐き出された水蒸気が流出する。
吸着時および脱離時において、別個に設けた蒸発器および凝縮器へ水蒸気を導くように構成されているので、蒸発器および凝縮器は、脱離時および吸着時における無駄エネルギが生じることはない。
また、以上説明した本実施形態では、多孔質伝熱体23は、銅または銅合金の金属粉から焼結して形成された焼結体であり、その金属粉が焼結体を形成する際に周辺部22に存在する熱媒体管21は、銅または銅合金からなることが好ましい。
これによると、伝熱特性に優れた多孔質伝熱体23と熱媒体管21が焼結結合することにより、これらが単に接触するだけではなく、金属的に接合できるので、伝熱向上が効果的に図れる。
また、上記筐体3は、内部の収容空間を、ろう材によって互いにろう付けされた複数の部材31、32、33、34、35によって区画されるように構成され、金属粉23bは、焼結温度がろう材のろう付け温度と同じ温度とするように構成されていることが好ましい。
これにより、ろう材による吸着モジュール1を構成する筐体3などの構成部材の接合と、金属粉23bの焼結による多孔質伝熱体(23)の形成が、一度の炉内でのろう付け温度による加熱によって、同時に行なえるので、優れた生産性が図れる吸着モジュールを提供することができる。
これにより、熱媒体管21の周辺部22に金属粉を焼結する工程、吸着剤24が吸着作用を発揮できる状態にする工程、および吸着モジュール1を構成する部品同士をろう付け結合する工程を、ろう付け工程によって実施するので、製造工程数を低減した効率的な製造方法を提供することができる。したがって、被吸着媒体の拡散抵抗を低減するとともに、一体化成形することにより、製造工程を簡素化でき、吸着モジュールの低コスト化が図れる。
また、以上説明した本実施形態では、吸着モジュール1の製造方法において、熱媒体管21を筐体3内部に配置して組付ける組付工程と、筐体3内の熱媒体管21の周辺部22に少なくとも金属粉23bを位置させ、かつその金属粉23bが焼結体として焼結されて形成される空隙率Moを70%〜95%の範囲内となるように金属粉23bを充填する充填工程とを備えていることが好ましい。
これにより、少なくとも金属粉23bを熱媒体管21の周辺部22に位置させ、かつその金属粉23bが焼結体として焼結されて形成される多孔質伝熱体23の空隙率Moを70%〜95%の範囲内となるように金属粉23bを充填する充填工程を備えているので、伝熱特性の向上が図れるとともに、性能および成績係数COPが常に高い状態に維持させる吸着モジュール1を得る吸着モジュールの製造方法を提供することができる。
さらに、上記充填工程の後工程としては、充填工程において金属粉23bおよび吸着剤24を入れた充填口を閉じて、ろう付け前の筐体を形成するろう付け前の筐体形成工程と、ろう付け前の筐体を炉内に入れて加熱することにより、金属粉23bを焼結して多孔質伝熱体23を形成するするとともに、熱媒体管21と筐体3とのろう付け結合するろう付け工程とをさらに備えていることが好ましい。
これにより、熱媒体管21の周辺部22に金属粉23bを焼結する工程、吸着剤24が吸着作用を発揮できる状態にする工程、および吸着モジュール1を構成する部品同士をろう付け結合する工程を、ろう付け工程によって実施するので、製造工程数を低減した効率的な製造方法を提供することができる。

また、以上説明した本実施形態では、熱媒体管21の間に配置された被吸着媒体通路25を備える吸着モジュール1の場合における製造方法において、上記充填工程では、被吸着媒体通路25を設けるための被吸着媒体通路用治具を熱媒体管21の間に配置することが好ましい。
これによると、熱媒体管21の周辺部22で混合されている金属粉と吸着剤24の混合物に、被吸着媒体通路用治具を挿入するだけで、被吸着媒体通路25の孔(空間)を確保することができる。
また、以上説明した本実施形態では、ろう付け工程においてろう付け結合するために用いられるろう材の溶融温度は、700〜1000°Cの範囲内にあることことが好ましい。
これによると、700〜1000°Cの範囲は銅粉23bが焼結する温度であるので、ろう付け前の筐体3を炉内に一度通すことにより、ろう付け結合と焼結を同時に実施することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図16に示す。第2実施形態は、扁平形状の熱媒体管121を有する吸着熱交換器102に適用したものである。図16は、本実施形態における吸着熱交換器を示す図であって、図16(a)は斜視的断面図、図16(b)は図16(a)の拡大図である。
熱媒体管121が扁形断面である場合には、図16(b)に示すように、伝熱距離r1は扁形断面の長辺から距離とした。扁平な熱媒体管121では、その扁形断面の長辺から主として伝熱されるからである。
また、本実施形態の如く、複数の熱媒体管121が長辺方向に延びるように所定間隔をあけて配置されているものの周辺部122で多孔質伝熱体23が形成されている場合において、図16(a)の左右方向に延びる周辺部122と、この周辺部122に図中の上下方向に隣り合う周辺部122の間に、左右方向に扁平な被吸着媒体通路125を配置するようにした。すなわち、筐体103内に、上記左右方向に延びる周辺部122を複数設けている場合、周辺部122の間に、左右方向に扁平な被吸着媒体通路125を設けて、周辺部122と被吸着媒体通路125が上下方向に交互に配置する。
このような周辺部122と被吸着媒体通路125の場合においては、浸透深さr2と伝熱距離r1は、図10(b)のように定義することができる。すなわち、吸着剤充填層の厚さLを、扁平な熱媒体管121の長辺から扁平な被吸着媒体通路125の内周面までの距離とする。このとき、浸透深さr2と伝熱距離r1は常にほぼ等しい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図17に示す。第3実施形態は、扁平形状の熱媒体管121を有する吸着熱交換器202に適用した他の実施例である。図17は、本実施形態における吸着熱交換器を示す図であって、図17(a)は斜視的断面図、図17(b)は図17(a)の拡大図である。
本実施形態では、複数の熱媒体管121は、隣接する熱媒体管121の長辺同士が所定間隔をあけて対向するように配置されている。このような複数の熱媒体管121が隣接する長辺同士が所定間隔をあけて対向するように配置されているものの周辺部222で、多孔質伝熱体23が形成されている。この周辺部222は、図17(a)に示すように、図中上下方向に伸長している。
また、被吸着媒体通路225は、図17(a)の上下方向に延びる周辺部222と、この周辺部122に図中の左右方向に隣り合う周辺部222の間に配置されており、上下方向に扁平な通路形状を有している。
このような周辺部222と被吸着媒体通路225の場合においては、浸透深さr2と伝熱距離r1は、図17(b)のように定義される。吸着剤充填層の厚さLの設定に当たっては、熱媒体管121の長辺同士が所定間隔と、周辺部222の幅とが等しくなるように設定することが好ましい。これにより、浸透深さr2と伝熱距離r1がほぼ等しくなる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用可能である。
(1)以上説明した本実施形態では、吸着モジュール1を構成する吸着熱交換器2において、熱媒体管の間に、被吸着剤通路25を設けたが、吸着熱交換器2は、熱媒体管の間に配置した被吸着剤通路25を有するものに限らず、そのような被吸着剤通路を有しないものであってもよい。
(2)以上説明した本実施形態では、吸着モジュール1の製造方法に係わる製造工程において、空隙率Moを上記最適範囲になるように金属粉23bの量を調整し、その量および空隙率Moに対応した空隙部に充填可能な吸着剤24の量に調合し、これらを予め混合した混合物を、充填工程において熱媒体管21の周辺部22に充填するとした。
吸着モジュール1の製造方法としては、このような方法によるものに限らず、充填工程(図22中のステップS220)にて、空隙率Moを上記最適範囲とした金属粉23bの量に調整し、この金属粉23bのみを熱媒体管21の周辺部22に充填するようにしてもよい。この場合、金属粉23bと熱媒体管21とを焼結結合した後に、焼結体として形成された多孔質伝熱体23の細孔23aを含む空隙部に、その空隙部に充填可能な吸着剤24の量を充填する。
上述の金属粉23bと熱媒体管21とを焼結結合した後に、空隙部に吸着剤24を充填する方法としては、図22の如く、ステップS400のろう付け工程が終了した後、吸着剤24の焼結体(多孔質伝熱体)内部への定着とを行なう工程(S520)を行なう。ステップS520の吸着剤充填工程は、吸着剤24を分散楳に分散させた吸着剤スラリー(液体)を、被吸着媒体流入配管36または被吸着媒体流出配管37から投入し、多孔質伝熱体23の細孔23a内に吸着剤24を充填する。その後、吸着剤スラリーを乾燥させると、多孔質伝熱体23内部へ定着し、吸着剤24が吸着作用を発揮できる状態とすることができる。
これにより、多孔質伝熱体23の内部の伝熱表面に一様な吸着剤充填層を容易に形成することができる。しかも、吸着剤24が充填された状態で炉中に投入するためには吸着剤24に耐熱性が必要となるが、多孔質伝熱体23形成後に充填するので、耐熱性のない吸着剤24であっても本実施形態の製造方法を適用することができる。
このような吸着モジュール1の製造方法とすることにより、熱媒体管21の周辺部22に金属粉23bを焼結する工程、および吸着モジュール1を構成する部品同士をろう付け結合する工程を、ろう付け工程によって実施するので、製造工程数を低減した効率的な製造方法を提供することができる。さらに、ろう付け工程で形成された多孔質伝熱体23の細孔23aに、分散楳に分散させて吸着剤スラリーとした吸着剤24を流し込む吸着剤充填工程を追加する程度のことにより、吸着剤24が吸着作用を発揮できる状態にすることができる。
(3)以上説明した本実施形態において、熱媒体管および筐体を、第1実施形態ではその径方向断面が円筒形状し、第2、第3実施形態では矩形形状としたが、熱媒体管および筐体は、その径方向断面が円筒形状、楕円形状、矩形形状等のいずれの形状であってもよい。
(4)以上説明した第1実施形態では、被吸着媒体通路25の断面を円形状としたが、図18に示すような矩形形状でよい。この場合、周辺部422は、図中左右方向に延びる形状であり、この周辺部422内には、複数の熱媒体管21が左右方向に所定間隔をあけて一列に配置されている。被吸着媒体通路125は、左右方向に延びる周辺部422と、周辺部422の間に配置されている。
(5)なお、上記周辺部422では、複数の熱媒体管21を左右方向に所定間隔をあけて一列に配置したが、図19に示すように、周辺部322内に熱媒体管21を二列に配置してもよい。この場合、熱媒体管21の列間に、左右方向に延びるスリット状の被吸着媒体通路325を配置する。
(6)以上説明した第1実施形態では、被吸着媒体通路25を、3つの熱媒体管21に囲まれた領域に配置したが、図20に示す4つの熱媒体管21に囲まれた領域に配置するものであってもよく、4つ、5つ、あるいは6つ等の複数の熱媒体管21に囲まれた領域に配置されるものであってもよい。
(7)なお、上記被吸着媒体通路25(図2、図20参照)は、複数の熱媒体管21に囲まれた領域に配置されているが、被吸着媒体通路25の内径の大きさはいずれであってもよく、被吸着媒体(水蒸気)を吸着剤充填層に速やかに分配供給可能な大きさであればよい。
(8)上記被吸着媒体通路25を円形断面としたが、図21に示すような略三角形状の被吸着媒体通路625であってもよい。これにより、浸透深さr2と伝熱距離r1がほぼ等しくなるように熱媒体管の間に被吸着媒体通路を配置し易くなる。
本発明の第1実施形態に係わる吸着熱交換器を示す図であって、図1(a)は断面図、図1(b)は図1(a)中のIBよりみた断面図である。 図1(a)の拡大図である。 図2中の吸着剤充填層を示す模式的断面図である。 本発明の第1実施形態の吸着モジュールを示す外観図である。 図4中のVからみた断面図である。 図5中のVIからみた断面図である。 吸着剤充填層の厚さLと単位容積当たりの冷却性能との関係を示す特性図である。 吸着剤充填層の厚さLと吸着能力との関係を示す特性図である。 図2中の吸着剤充填層での細孔を含む空隙部における空隙率を説明する模式図である。 空隙率と吸着剤の充填密度の関係を示す特性図である。 空隙率と冷却性能との関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが2mmである場合の一例を示す特性図である。 空隙率と成績係数COPとの関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが2mmである場合の一例を示す特性図である。 空隙率と冷却性能との関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが4mmである場合の他の一例を示す特性図である。 空隙率と成績係数COPとの関係を説明する図であって、吸着剤充填層の厚さLが4mmである場合の他の一例を示す特性図である。 第1実施形態の吸着モジュールの製造方法について、製造工程を示す流れ図である。 第2実施形態における吸着熱交換器を示す図であって、図16(a)は斜視的断面図、図16(b)は図16(a)の拡大図である。 第3実施形態における吸着熱交換器を示す図であって、図17(a)は斜視的断面図、図17(b)は図17(a)の拡大図である。 他の実施形態における吸着熱交換器を示す斜視的断面図である。 他の実施形態における吸着熱交換器を示す斜視的断面図である。 他の実施形態における吸着熱交換器を示す斜視的断面図である。 他の実施形態における吸着熱交換器を示す斜視的断面図である。 他の実施形態の吸着モジュールの製造方法について、製造工程を示す流れ図である。
符号の説明
1 吸着モジュール
2 吸着熱交換器
21 熱媒体管
22 周辺部
23 多孔質伝熱体(多孔質焼結フィン、焼結体)
24 吸着剤
25 被吸着媒体(水蒸気)通路
3 筐体
31 筐体本体
32、33 シート
32a、33a 貫通穴
34 下部タンク(タンク)
35 上部タンク(タンク)

Claims (6)

  1. 熱交換媒体が流れる複数の熱媒体管(21)を有し、前記熱媒体管(21)の周辺部(22)に、細孔(23a)を有する多孔質伝熱体(23)および吸着剤(24)が設けられている吸着モジュール(1)であって、
    前記多孔質伝熱体(23)は、粉末状、粒子状、および繊維状のいずれかの金属粉(23b)を焼結によって前記熱媒体管(21)に金属結合して形成され、
    前記多孔質伝熱体(23)に形成された前記細孔(23a)内には、前記吸着剤(24)が充填されており、
    前記熱媒体管(21)の周辺部(22)に前記吸着剤(24)が充填された吸着剤充填層の厚さ(L)は、0.5mm〜6mmの範囲に設定されており、
    前記熱媒体管(21)と、前記熱媒体管(21)の前記周辺部(22)に金属結合した前記多孔質伝熱体(23)とは、前記細孔(23a)を含む空隙部を有しており、
    前記空隙部の空隙率Moは、
    前記周辺部(22)に充填された前記金属粉(23b)の重量をMg、前記金属粉(23b)が充填された前記周辺部(22)の充填容積をFv、および前記金属粉(23b)の密度をρとすると、Mo=(1−Mg/(Fv×ρ))で表され、
    前記空隙率Moは、70%〜95%の範囲に設定されており、
    前記吸着モジュール(1)は、被吸着媒体が流れる被吸着媒体通路(25)を備え、
    前記被吸着媒体通路(25)は、前記熱媒体管(21)の間に配置されており、
    前記被吸着媒体通路(25)の内周面から、隣接する前記熱媒体管(21)の外周面までの距離を、前記被吸着媒体が前記熱媒体管(21)に向けて浸透する浸透深さ(r2)とし、
    前記吸着剤充填層の厚さにおける前記熱媒体管(21)からの距離を伝熱距離(r1)として、
    前記浸透深さ(r2)と、前記伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、前記熱媒体管(21)の間に前記被吸着媒体通路(25)を配置していることを特徴とする吸着モジュール。
  2. 前記熱媒体管(121)は、扁平な断面に形成され、
    前記熱媒体管(121)の扁平断面の長辺からの距離を前記伝熱距離(r1)とし、
    前記被吸着媒体通路(125)の内周面から、前記被吸着媒体が前記熱媒体管(121)に向けて浸透する浸透深さ(r2)と、前記伝熱距離(r1)とがほぼ等しくなるように、前記熱媒体管(121)の間に前記被吸着媒体通路(125)を配置していることを特徴とする請求項1に記載の吸着モジュール。
  3. 前記被吸着媒体通路(25)は、前記熱媒体管(21)に平行に配置され、前記被吸着媒体が少なくとも一方向から流入可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸着モジュール。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸着モジュール(1)は、
    少なくとも前記多孔質伝熱体(23)を真空保持可能な筐体(3)とを備え、
    前記筐体(3)は、内部に前記被吸着媒体を封入し、外部の蒸発器および凝縮器と前記被吸着媒体を流通可能に結合するように構成されており、吸着時には前記蒸発器側より前記被吸着媒体が流入し、脱離時には前記凝縮器側へ前記被吸着媒体が流出することを特徴とする吸着モジュール。
  5. 前記多孔質伝熱体(23)の前記金属粉(23b)は、銅または銅合金であり、
    前記熱媒体管(21)は、銅または銅合金からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の吸着モジュール。
  6. 前記筐体(3)は、内部の収容空間を、ろう材によって互いにろう付けされた複数の部材(31、32、33、34、35)によって区画されるように構成され、
    前記金属粉(23b)は、前記焼結温度が前記ろう材のろう付け温度と同じ温度とするように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の吸着モジュール。
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