JP4825992B2 - アクリル系粘着剤組成物、該組成物を用いた粘着テープの製造方法および粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、実質的に溶剤を含有していないアクリル系粘着剤組成物、この組成物を用いた粘着テープおよびこの粘着テープを製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から感圧接着剤としては、ゴム系接着剤および合成ゴムが使用されているが、これらの成分だけでは充分な接着強度が得られない。こうした感圧接着剤に有効な特性を付与するために、従来の感圧接着剤には、ロジン酸誘導体に代表されるような粘着付与剤が添加されている。
【0003】
例えばアクリル系感圧接着剤の場合、(メタ)アクリルポリマーはそれ自身に粘着感があり、粘着付与剤を添加しなくとも耐熱性および耐候性の良好な感圧接着剤となりうるが、粘着付与剤を添加したものに比べ、常温での接着性、および、ポリオレフィン、自動車塗料面など低エネルギー表面への接着性に劣っている。このように、粘着付与剤を添加することにより、有効な接着特性が付与されている。
【0004】
しかしながら、このような粘着付与剤の添加によってもたらされる接着特性の改善は、必ずしも満足できるものとはいえない。また、アクリル系感圧接着剤にこのような粘着付与剤を添加することによる問題もある。アクリル系感圧接着剤にロジン酸誘導体に代表されるような一般的な市販の粘着付与剤を添加すると、透明性や耐候性が低下することが多い。さらに、このような粘着付与剤がバルク重合反応時に存在する場合には、その構造により連鎖移動剤や反応停止剤として作用し、重合反応の阻害もしくは遅延を招来する虞がある。
【0005】
また、感圧接着剤に 粘着付与剤としてアクリル系ポリマーを配合することが知られている。例えば特開昭54−3136号公報には、アクリル系ポリマーおよび粘着付与剤を含む感圧接着剤が開示されている。ここで使用されている粘着付与剤はビニル芳香族化合物と(メタ)アクリル酸エステルとを溶液重合させることにより得られるものであり、数平均分子量が500〜3000であり、軟化点が40℃以下である。これに対して特開平1−139665号公報には、炭素数1〜20のアルキル基およびシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート、遊離基適合性オレフィン酸(具体的にはアクリル酸など)、および、所望により他のエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより得られた数平均分子量が35000以下であり、軟化点が40℃以上のポリマー型添加剤を含有する接着剤組成物の発明が開示されている。この公報には、ポリマー型添加剤は、乳化重合、濁懸重合、溶液重合、塊状重合のいずれによっても製造できると記載されている。また、この公報には、「このポリマー型添加剤は既知の方法、例えば混合またはブレンド法により接着剤組成物に添加して、添加物を接着剤組成物に均一に含有させる。添加物は好ましくはエマルジョン、または水性/有機溶剤組み合わせ溶質中の乳化液の形で粘着剤組成物に添加される。」と記載されている。
【0006】
しかしながら、この公報では、ポリマー型添加剤は、乳化重合あるいは溶液重合により製造されており、このように溶質に乳化分散あるいは溶解した状態で乳化重合あるいは溶液重合により調製された粘着剤に配合されている。
このように上記公報において、いずれも乳化重合あるいは溶液重合により得られた粘着剤およびポリマー型添加剤を使用しているのは、従来から反応溶媒を用いずにアクリル系単量体を重合できることは知られていたが(塊状重合)、こうした反応溶媒を用いずに行われるアクリル系単量体の重合は、反応制御が極めて困難であり、一定の特性を有する重合体を選択的に製造することができなかったからである。また、溶液重合あるいは乳化重合により製造された粘着剤およびポリマー型添加剤は、反応溶媒と共に混合することにより、容易に均一な組成物を製造することができるからに他ならない。
【0007】
ところが、こうした溶剤を含有する粘着剤組成物やエマルジョン型粘着剤組成物を使用して接着する際には、溶剤を除去する工程が必要になり、例えば蒸発潜熱の大きい水を使用した場合などにおいては、乾燥工程が非常に長くなる。また、有機溶媒を用いた場合には、気散する有機溶媒を捕捉するための装置も必要になり、また環境への影響も懸念されるという問題がある。
【0008】
一方、溶媒を使用せずに感圧接着剤を製造する方法として、特開昭50−87129号公報および特開昭50−102635号公報があり、これらの公報には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、特定の極性基を有するビニル単量体との混合物に、これらの(共)重合体および重合開始剤を添加して得られた混合物を支持体シートに塗布し、加熱重合する感圧性接着テープの製造方法が開示されている。そして、特開昭50−87129号公報では、酸素の重合禁止作用により通常の重合開始剤では、重合が円滑に進まないために、レドックス型重合開始剤が使用されており、また特開昭50−102635号公報では、塗設された原料粘着剤組成物の上に離型性シートもしくはベルトを重ねて酸素との接触を断って熱重合反応させている。
【0009】
このようにして(メタ)アクリル酸アルキルエステルを溶媒として用い、ここにアクリル(共)重合体を配合することより、有機溶剤を使用せずに感圧接着性を有するテープを製造することができる。
しかしながら、上記公報に開示されている方法では、加熱重合により溶媒として使用したモノマーを重合していることから、空気中の酸素と接触する可能性の高い塗布層の表面部では、常に酸素との接触による反応停止の虞があり、層の厚さ方向において、均一に重合が進行しにくいという問題がある。また、ここで使用されるモノマーは、(共)重合体を溶解する必要があることから、溶質である(共)重合体と同一あるいは近似した組成を有している。従って、上記公報に記載されている方法で得られた粘着テープの粘着剤層は、ほぼ同一の組成を有する(共)重合体から形成されている。
【0010】
このようなほぼ単一の組成を有する(共)重合体からなる粘着剤層では、ポリオレフィンのような接着しにくいとされている被着体に対して充分な接着強度が発現しない。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、溶剤を実質的に含有していない新規なアクリル粘着剤組成物を提供することを目的としている。
また、本発明は、ポリオレフィンのように従来から接着が非常に難しいとされている被着体に対しても非常に高い接着性を示す接着剤を形成することができ、粘着テープとする際、塗工性および硬化性の優れたアクリル系の粘着剤組成物を提供することを目的としている。
【0012】
さらに本発明は、上記のような粘着剤組成物を用いた粘着テープおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明のアクリル粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有するモノマーを、溶剤を含有しない塊状重合により部分重合して得られる重量平均分子量が50000以上で、ガラス転移温度が0〜−85℃である粘着性ポリマー(a);5〜75重量部、および、上記モノマーを、溶剤を含有せずに塊状重合により部分重合した際の未反応モノマーである(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー(c);20〜90重量部の混合物に、さらに、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを50重量%以上含有する重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて且つ反応溶媒を使用せずに転換率を100%にした重量平均分子量が20000以下で、ガラス転移温度が40〜180℃である粘着付与性樹脂(b);5〜40重量部を添加して混合してなる、溶剤を含有しないことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物(ただし、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計は100重量部である)からなる。
【0014】
また、本発明の粘着テープの製造方法は、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有するモノマーを、溶剤を含有しない塊状重合により部分重合して得られる重量平均分子量が50000以上で、ガラス転移温度が0〜−85℃である粘着性ポリマー(a);5〜75重量部、および、上記モノマーを、溶剤を含有せずに塊状重合により部分重合した際の未反応モノマーである(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー(c);20〜90重量部の混合物に、さらに、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを50重量%以上含有する重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて且つ反応溶媒を使用せずに転換率を100%にした重量平均分子量が20000以下で、ガラス転移温度が40〜180℃である粘着付与性樹脂(b);5〜40重量部を添加して混合してなる、溶剤を含有しないアクリル系粘着剤組成物(ただし、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計は100重量部である)と、該アクリル系粘着剤組成物100重量部に対して0.01〜3重量部の重合開始剤との混合物を、支持体表面に0.01〜1.0mmの厚さで塗布した後、重合させることを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の粘着テープは、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有するモノマーを、溶剤を含有しない塊状重合により部分重合して得られる重量平均分子量が50000以上で、ガラス転移温度が0〜−85℃である粘着性ポリマー(a);5〜75重量部、および、上記モノマーを、溶剤を含有せずに塊状重合により部分重合した際の未反応モノマーである(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー(c);20〜90重量部の混合物に、さらに、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを50重量%以上含有する重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて且つ反応溶媒を使用せずに転換率を100%にした重量平均分子量が20000以下で、ガラス転移温度が40〜180℃である粘着付与性樹脂(b);5〜40重量部を添加して混合してなる、溶剤を含有しないアクリル系粘着剤組成物(ただし、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計は100重量部である)と、該アクリル系粘着剤組成物100重量部に対して0.01〜3重量部の重合開始剤との混合物を、支持体表面に0.01〜1.0mmの厚さで塗布した後、重合させることにより得られ得ることを特徴とする粘着テープである。
【0016】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、ガラス転移温度が低く、常温で粘着性を有する重量平均分子量が50000以上である(a)粘着性ポリマーと、ガラス転移温度が室温よりも高く、室温では粘着性を有していないが、粘着剤組成物に添加することによりこの組成物に粘着性を付与することができる(b)粘着付与性樹脂と、(c)モノマーとからなり、このアクリル系粘着剤組成物に、例えば重合開始剤を添加して重合させることにより高い接着強度を有する粘着剤を製造することができる。特に本発明のアクリル系粘着剤組成物は、粘着剤との親和性が低く、接着が難しいポリオレフィンなどに貼着しても優れた粘着性が発現する。
【0017】
本発明のアクリル系粘着剤組成物を支持体表面に塗布し、この支持体上で重合させることにより、粘着テープを製造することができる。そして、このアクリル系粘着剤組成物は、ガラス転移温度が高い低分子量の粘着付与性樹脂を含有しており、この粘着付与性樹脂の添加により、得られる粘着テープが従来の粘着テープよりも高い剥離強度を有するようになる。またこのアクリル系粘着剤組成物は溶剤を含有していないので、テープ製造の際に溶剤を除去する工程が不要であり、短い工程でテープを製造することができると共に、溶剤による環境の汚染も生じない。
【0018】
【発明の具体的説明】
次に本発明の粘着剤組成物、粘着テープおよびその製造方法について具体的に説明する。
本発明のアクリル系粘着剤組成物には、
(a) 高分子量粘着性ポリマー
(b) 低分子量粘着付与性樹脂
および
(c)モノマーが含有されている。
【0019】
本発明のアクリル系粘着剤組成物を構成する(a)高分子量粘着性ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とし、重量平均分子量が50000以上である粘着性ポリマーである。
この(a)粘着性ポリマーは、室温で粘着性を有しており、この(a)粘着性ポリマーのガラス転移温度は、通常は0℃以下、好ましくは0℃〜−85℃の範囲内にある。この(a)粘着性ポリマーが、このようなガラス転移温度を有することにより、本発明の組成物を用いて得られる粘着剤が、基本的粘着力を有するようになる。また、この(a)粘着性ポリマーの重量平均分子量は、50000以上であり、さらに100000〜2000000の範囲内にあることが好ましい。この(a)粘着性ポリマーの重量平均分子量が50000に満たないと本発明の組成物を用いて得られる粘着剤に充分な粘着性能が発現しない。なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた値である。
【0020】
この(a)高分子量粘着性ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させることにより形成される。
本発明では、こうした(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを用いることができる。
【0021】
このような(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環属アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明で使用される(a)高分子量粘着性ポリマーは、重合性不飽和結合を有するモノマーとして、上記(メタ)アクリル酸エステルを主成分として用いて調製される。従って、本発明で使用される(a)高分子量粘着性ポリマーは、上記のような(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位((メタ)アクリル酸エステル成分単位)を、単量体換算で50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の量で有している。
【0023】
本発明で使用される(a)高分子量粘着性ポリマーは、上記の(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
このような単量体の例としては、
(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)を挙げることができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0024】
本発明で使用される(a)高分子量粘着性ポリマーの例としては、ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/2-ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体、2-エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/2-ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体を挙げることができる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物を形成する(b)低分子量粘着付与性樹脂は、室温で粘着性を有しておらず固体である。この(b)低分子量粘着付与性樹脂のガラス転移温度は、通常は40℃以上、好ましくは40℃〜180℃の範囲内にある。この(b)低分子量粘着付与性樹脂を配合することにより、本発明の粘着テープの粘着性能が著しく向上する。また、この(b)低分子量粘着付与性樹脂の重量平均分子量は、20000以下であり、好ましくは10000以下であり、特に10000〜2000の範囲内にあることが望ましい。この(b)低分子量粘着付与性樹脂の重量平均分子量が20000を超えると本発明の組成物を用いて得られる粘着剤における粘着性能の向上効果が充分には発現しない。
【0025】
この(b)低分子量粘着付与性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させることにより形成される。
本発明では、こうした(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20、好ましくは1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを用いることができる。
【0026】
このような(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環属アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような(メタ)アクリル酸エステルの中でも、本発明では好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数3〜14の脂環族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルおよび/またはベンジルアルコールとのエステルを使用する。
【0027】
本発明で使用される(b)低分子量粘着付与性樹脂は、重合性不飽和結合を有するモノマーとして、上記(メタ)アクリル酸エステルを主成分として用いて調製される。従って、本発明で使用される(b)低分子量粘着付与性樹脂は、上記のような(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位((メタ)アクリル酸エステル成分単位)を、単量体換算で50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の量で有している。
【0028】
本発明で使用される(b)低分子量粘着付与性樹脂は、上記の(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
このような単量体の例としては、
(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)を挙げることができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0029】
さらにこの(b)低分子量粘着付与性樹脂には、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されていることが好ましい。このような官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基を挙げることができ、(b)低分子量粘着付与性樹脂を製造する際にこうした官能基を有するモノマーを使用することが好ましい。通常の場合、この(b)低分子量粘着付与性樹脂は、上記(a)高分子量粘着性ポリマーとは異なる組成を有している。また、この(b)低分子量粘着付与性樹脂を形成する単量体と、(c)成分であるモノマーとも異なる組成を有している。しかしながらこの(b)低分子量粘着付与性樹脂および(c)成分であるモノマーとは、(メタ)アクリル酸エステルという共通ユニットを有しているので、(c)成分であるモノマーに対して良好に溶解する。
【0030】
本発明で使用される(b)低分子量粘着付与性樹脂の例としては、イソブチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体を挙げることができる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記のような(a)高分子量粘着性ポリマーと、(b)低分子量粘着付与性樹脂とに加えて、(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを含有している。
【0031】
本発明のアクリル系粘着剤組成物を構成する(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは、上記(a)高分子量粘着性ポリマーおよび(b)低分子量粘着付与性樹脂を溶解もしくは分散すると共に、この(c)モノマー自体が共重合して粘着剤を形成する。
このような(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環属アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明で使用される(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは上記(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであるが、さらに他のモノマーを含有していてもよい。本発明で使用することができる他のモノマーの例としては、
(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等(例えば、フッ素系モノマー、シリコン含有モノマー、マクロモノマー、スチレン、シリコン等)を挙げることができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0033】
ただし、本発明においてモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであり、従って(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の量で含有している。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記(a) 高分子量粘着性ポリマーを5〜75重量部の量で含有しており、(b)低分子量粘着付与性樹脂を5〜40重量部の量で含有しており、(c)モノマーを20〜90重量部の量で含有している。ただし、本発明において、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分の合計は100重量部である。
【0034】
上記のような組成を有する本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記(c)成分であるモノマー中に(a)成分および(b)成分が溶解もしくは分散しており、所謂溶剤を実質的に含有していない。そして、上記組成を有する本発明のアクリル系粘着剤組成物について25℃における粘度を測定すると、通常は1000〜100000cps、好ましくは3000〜50000cpsの範囲内の粘度を有する粘稠な液体である。こうした粘度の液体は、通常の塗布装置を用いて支持体上に塗布可能である。
【0035】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、(a)成分を形成するモノマーを部分重合させることにより、(a)成分と(c)成分との混合物を製造し、この混合物に別途製造した(b)成分を添加して混合することにより製造することが好ましい。
【0036】
アクリル系アルキルエステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを塊状重合により重合した部分重合物は、(a)成分と(c)成分とを含む粘稠な液体であり、実質的に溶剤を含有していない。
本発明で用いる(b)低分子量粘着付与性樹脂は、種々の方法により製造することができるが、部分重合物をさらに重合し、重合率を実質的に100%にした樹脂を使用することが好ましい。この(b)低分子量粘着付与性樹脂もまた溶剤を含有していない。このような方法を使用して(b)低分子量粘着付与性樹脂を製造する際に重量平均分子量を本発明で規定する範囲内に制御する方法としては、重合開始剤量を調節するか、反応温度を高く設定するか、連鎖移動剤を一般に使用する量よりも多量に使用する。
【0037】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上述の(a)成分、(b)成分および(c)成分を含有しており、このような組成物は、例えば電子線を照射することにより重合させることができる。しかしながら、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、含有されるモノマーを重合させることにより、優れた粘着性が発現することから、この組成物には、重合開始剤を配合することが好ましい。ここで使用される重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を挙げることができる。特に本発明のアクリル系粘着剤組成物を支持体表面に塗布して紫外線などのエネルギー線を照射して粘着剤とすることが好ましく、従って、本発明のアクリル系粘着剤組成物中には、光重合開始剤を配合することが好ましい。
【0038】
この光重合開始剤は、上記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計100重量部に対して、通常は0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部の範囲内の量で配合される。
本発明で使用される光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤および/または光カチオン重合開始剤であり、これらの例としては、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン[例えばチバガイギー社製、商品名:ダロキュアー2959]、α-ヒドロキシ-α,α'-ジメチルアセトフェノン[例えばチバガイギー社製、商品名:ダロキュアー1173]、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトン[例えばチバガイギー社製、商品名:イルガキュアー651]、2-ヒドロキシ-2-シクロヘキシルアセトフェノン[チバガイギー社製、商品名:イルガキュアー184]などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン、アシルフォスフィノキシド、アシルフォスファナートなどの光重合開始剤を挙げることができる。
【0039】
また、本発明のアクリル系粘着剤組成物には、架橋剤を配合することが好ましい。
本発明で使用される架橋剤は、(a)成分、(b)成分、さらに(c)成分が重合することにより形成される成分の間で架橋構造を形成し得る化合物である。
この架橋剤は、上記(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の範囲内の量で配合される。
【0040】
このような架橋剤の例としては、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N'-ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができ、イソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体を挙げることができる。
【0041】
なお、上記重合開始剤、架橋剤を使用する場合、これらも実質的に溶媒を含有していないものであることが好ましい。
本発明のアクリル系粘着剤組成物には、さらに、充填剤として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタンなどの無機物、ガラスバルーン、シラスバルーン、セラミックバルーンなどの無機中空体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機物、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどの有機中空体、発泡剤、染料、顔料、重合禁止剤、安定剤など通常粘着剤に配合される添加剤が配合されていてもよい。
【0042】
本発明のアクリル系粘着剤組成物を支持体表面に塗布して重合させることにより良好な粘着性を有する粘着剤とする粘着テープを製造することができる。
ここで使用される支持体としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、紙、金属箔、布、不織布、シリコーン処理したポリエステルフィルム、シリコーン処理した紙を挙げることができる。
【0043】
このような支持体表面に本発明のアクリル系粘着剤組成物を塗布する。この組成物の塗布厚は、0.01〜1.0mmである。
こうして支持体表面に塗布されたアクリル系粘着剤組成物を重合させることにより粘着剤層を形成することができる。この粘着剤層を形成する方法は、組成物中に配合されている重合開始剤によって異なる。すなわち、例えば、熱重合開始剤を配合した場合には、加熱することにより粘着剤層が形成され、光重合開始剤を配合した場合には、紫外線等のエネルギー線を照射することにより重合反応が進行して粘着剤層が形成される。特に本発明では、ラジカル性光重合開始剤を配合したアクリル系粘着剤組成物を支持体表面に塗布し、こうして形成された塗布層に紫外線を照射して重合させることが好ましい。このような場合、紫外線の照射時間は、塗布層の厚さによっても異なるが、通常は10秒〜5分間、好ましくは30秒〜3分間である。
【0044】
例えば上記のようにして紫外線を照射することにより、この塗布層中に含有される(c)成分が重合し、さらに架橋剤を配合した場合には、架橋構造が形成される。通常上記のようにして紫外線等を照射することにより、配合した(c)成分はほぼ全量重合し、従って、この粘着剤層には、モノマーは実質的に含有されていない。
【0045】
こうして重合させることにより、本発明の粘着テープの粘着剤層には、(a)高分子量粘着性ポリマーと、(b)低分子量粘着付与性樹脂とが、(c)成分であるモノマーが(共)重合した成分とのなかにそれぞれの状態がほぼ維持されて含有されている。従って(a)成分、(b)成分、そして(c)成分からなる(共)重合体が、それぞれの優れた特性を維持しながらも、これらの三者が共同して、単独の組成物では奏し得ない特性を発現させる。こうした本発明の組成物を用いて得られる接着剤の卓越した効果は、ポリオレフィン、特にポリプロピレンのような従来から接着が困難な被着体に対して優れた接着強度を示すことである。すなわち、ポリオレフィンは、接着剤との親和性が低く、接着剤層を介してポリオレフィンと他の被着物とを接着させる場合、通常接着剤層とポリオレフィンとの界面における接着強度が最も低くなる。この点が、ポリオレフィンが他の合成樹脂と最も異なる点の一つである。ところが、本発明のアクリル系粘着剤組成物を用いて形成された接着剤は、(b)低分子量粘着付与性樹脂を配合することにより、こうしたポリオレフィンとの接着強度が著しく向上する。この(b)低分子量粘着付与性樹脂は、ガラス転移温度が40℃以上であり、室温においては、粘着性を有していないにも拘わらず、この(b)低分子量粘着付与性樹脂を配合することにより、この(b)低分子量粘着付与性樹脂を配合しない場合に比べてポリオレフィンに対する接着強度は2倍以上向上する。
【0046】
すなわち、こうして製造された本発明の粘着テープは、従来強固に接着すること困難であったポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン等に対して良好な接着性を示す。例えば、ポリプロピレンに対して本発明の粘着テープは、通常は1000g/20mm以上の接着強度(180度剥離強度)を示す。
【0047】
【発明の効果】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、(a)高分子量粘着性ポリマーと(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーとに加えて、(b)低分子量粘着付与性樹脂を特定の割合で含有しており、この組成物を支持体に塗布して、例えば紫外線を照射して重合させて得られる粘着テープは、非常に高い接着強度を示す。特に、本発明の組成物から得られる粘着剤は、従来から接着が困難であったポリオレフィンに対する接着性に優れており、さらに粘着テープとする際の硬化性に優れている。
【0048】
さらに、本発明のアクリル系粘着剤組成物に架橋剤を配合して粘着剤を調製することにより、上記接着性はさらに向上する。
また、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、実質的に溶剤を含有しておらず、粘着剤を製造する際に溶剤除去工程が不要であると共に、溶剤による環境の汚染もない。また、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上述のように溶剤を含有しておらず、この組成物から得られる粘着剤にも溶剤は含有されておらず、また、この粘着剤は実質的に低沸点物質も含有していない。このため従来の粘着剤に特有の残存有機溶剤臭などの異臭が少ない。
【0049】
【実施例】
次に本発明のアクリル系粘着剤組成物および粘着テープについて具体的に説明するが、本発明はこれらにより具体的に限定されるものではない。
粘着性ポリマーの調製1 部分重合シロップA
攪拌機と温度計と窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、重合性単量体として、ブチルアクリレート(BA)700gと、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)255gと、アクリル酸(AA)40gと、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)5gとを投入し、また、分子量調整剤としてn-ドデシルメルカプタン(NDM)0.2gを投入して、窒素気流下で60℃になるまで昇温し加熱を停止した。
【0050】
次いで、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2gを攪拌下に投入し、30分間反応を行い、部分重合シロップAを得た。
この得られた部分重合シロップAは、ポリマー分が22重量%であり、粘度が50ポイズの粘稠な樹脂液であった。従って、この部分重合物中には、78重量%の残留モノマーが含有されている。
【0051】
このようにして得られた部分重合シロップAから、生成した共重合体を分離して、この共重合体について重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定したところ、620000であった。また、この共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−59℃であった。
粘着性ポリマーの調製2 部分重合シロップB
攪拌機と温度計と窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、重合性単量体として、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)915gと、アクリル酸(AA)80gと、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)5gとを投入し、また、分子量調整剤としてn-ドデシルメルカプタン(NDM)0.1gを投入して、窒素気流下で60℃になるまで昇温し加熱を停止した。
【0052】
次いで、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2gを攪拌下に投入し、30分間反応を行い、部分重合シロップBを得た。
この得られた部分重合シロップBは、ポリマー分が25重量%であり、粘度が90ポイズの粘稠な樹脂液であった。従って、この部分重合物中には、75重量%の残留モノマーが含有されている。
【0053】
このようにして得られた部分重合シロップBから、生成した共重合体を分離して、この共重合体についてMwをGPC測定したところ、690000であった。また、この共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−77℃であった。
粘着付与性樹脂の調製
第1表に示す組成および物性の粘着付与性樹脂を、上記粘着性ポリマーの調製と同様の方法により調製した部分重合シロップを用いてさらに重合させることにより重合率100%となるようにして調製した。
【0054】
【表1】
【0055】
【実施例1〜8】
上記部分重合シロップAおよびBに、上記粘着付与性樹脂を第2表に記した配合で添加、混合して本発明の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物を調製した。この組成物に、さらにこの組成物100重量部に対して光重合開始剤であるベンゾフェノンを0.5重量部およびイソシアネート系架橋剤もしくはエポキシ架橋剤を添加し、均一に混合した。
【0056】
この混合物をポリエステルフィルムの表面に、0.05mmの厚さで塗布し、紫外線を1分間照射することにより重合させて本発明の粘着テープを製造した。
得られた粘着テープについて、保持力およびポリプロピレン(PP)に対する180度剥離接着力を測定した。
【0057】
【比較例1,2】
粘着付与性樹脂を添加しなかった以外は、実施例1〜8と同様にして粘着テープを製造し、保持力およびPPに対する180度剥離接着力を測定した。
【0058】
【比較例3】
粘着付与性樹脂として、ロジン酸誘導体を用いた以外は、実施例1〜8と同様にして粘着テープを製造した。
【0059】
【比較例4〜6】
本発明の範囲外の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物を調製し、上記実施例と同様にして粘着テープを製造し、保持力およびPPに対する180度剥離接着力を測定した。
粘着性ポリマーの調製3 部分重合シロップC
部分重合シロップAと同様の方法により、重合性単量体の重量比がブチルアクリレート(BA)/2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)/アクリル酸(AA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)=70/25.5/4/0.5である部分重合シロップCを調製した。この部分重合シロップCは、ポリマー分30%であり、粘度が2ポイズの粘稠な樹脂液であった。また、生成したポリマー分は、重量平均分子量(Mw)46000、ガラス転移温度(Tg)−59℃であった。
【0060】
以上の実施例1〜8および比較例1〜6の結果を、第2表および第3表に示す。なお、接着力および保持力は、下記の方法で測定した。
<接着力>
各粘着テープを用い、JIS Z 0237に準じてポリプロピレン板を被着体として、180度剥離接着力(g/20mm幅)を測定した。
<保持力>
各粘着テープを用い、SUS板に接着面積が20mm×20mmとなるように粘着テープの1端を貼着し、さらに2kgのローラーで1往復圧着し、80℃の雰囲気中で20分間放置した後、テープの他端に1kgのおもりを取り付け、落下時間もしくは1時間後のずれ距離を測定した。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
Claims (20)
- (メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有するモノマーを、溶剤を含有しない塊状重合により部分重合して得られる重量平均分子量が50000以上で、ガラス転移温度が0〜−85℃である粘着性ポリマー(a);5〜75重量部、および、上記モノマーを、溶剤を含有せずに塊状重合により部分重合した際の未反応モノマーである(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー(c);20〜90重量部の混合物に、さらに、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを50重量%以上含有する重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて且つ反応溶媒を使用せずに転換率を100%にした重量平均分子量が20000以下で、ガラス転移温度が40〜180℃である粘着付与性樹脂(b);5〜40重量部を添加して混合してなる、溶剤を含有しないことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物(ただし、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計は100重量部である)。
- 上記(b)粘着付与性樹脂の重量平均分子量が10000以下であることを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着剤組成物。
- 上記(b)粘着付与性樹脂の重量平均分子量が400〜10000の範囲内にあることを特徴とする請求項第2項記載のアクリル系粘着剤組成物。
- 上記(b)粘着付与性樹脂が、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基を有することを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかの項記載のアクリル系粘着剤組成物。
- 上記(a)粘着性ポリマーおよび(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーの混合物の25℃における粘度が、1000〜100000cpsの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着剤組成物。
- 上記(b)粘着付与性樹脂が、(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーに可溶であることを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着剤組成物。
- 上記アクリル系粘着剤組成物が、さらに、架橋剤として、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有するモノマーを、溶剤を含有しない塊状重合により部分重合して得られる重量平均分子量が50000以上で、ガラス転移温度が0〜−85℃である粘着性ポリマー(a);5〜75重量部、および、上記モノマーを、溶剤を含有せずに塊状重合により部分重合した際の未反応モノマーである(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー(c);20〜90重量部の混合物に、さらに、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを50重量%以上含有する重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて且つ反応溶媒を使用せずに転換率を100%にした重量平均分子量が20000以下で、ガラス転移温度が40〜180℃である粘着付与性樹脂(b);5〜40重量部を添加して混合してなる、溶剤を含有しないアクリル系粘着剤組成物(ただし、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計は100重量部である)と、該アクリル系粘着剤組成物100重量部に対して0.01〜3重量部の重合開始剤との混合物を、支持体表面に0.01〜1.0mmの厚さで塗布した後、重合させることを特徴とする粘着テープの製造方法。
- 上記重合開始剤が、光重合開始剤であることを特徴とする請求項第8項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記塗布された混合物に、紫外線を照射して重合させることを特徴とする請求項第8項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記(b)粘着付与性樹脂の重量平均分子量が10000以下であることを特徴とする請求項第8項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記(b)粘着付与性樹脂の重量平均分子量が400〜10000の範囲内にあることを特徴とする請求項第11項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記(b)粘着付与性樹脂が、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基を有することを特徴とする請求項第8項乃至第11項のいずれかの項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記(a)粘着性ポリマーおよび(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーの混合物の25℃における粘度が、1000〜100000cpsの範囲内にあることを特徴とする請求項第8項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記(b)粘着付与性樹脂が、(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーに可溶であることを特徴とする請求項第8項記載の粘着テープの製造方法。
- 上記アクリル系粘着剤組成物が、さらに、架橋剤として、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項第8項記載の粘着テープの製造方法。
- (メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有するモノマーを、溶剤を含有しない塊状重合により部分重合して得られる重量平均分子量が50000以上で、ガラス転移温度が0〜−85℃である粘着性ポリマー(a);5〜75重量部、および、上記モノマーを、溶剤を含有せずに塊状重合により部分重合した際の未反応モノマーである(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主構成単位として50重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー(c);20〜90重量部の混合物に、さらに、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを50重量%以上含有する重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて且つ反応溶媒を使用せずに転換率を100%にした重量平均分子量が20000以下で、ガラス転移温度が40〜180℃である粘着付与性樹脂(b);5〜40重量部を添加して混合してなる、溶剤を含有しないアクリル系粘着剤組成物(ただし、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計は100重量部である)と、該アクリル系粘着剤組成物100重量部に対して0.01〜3重量部の重合開始剤との混合物を、支持体表面に0.01〜1.0mmの厚さで塗布した後、重合させることにより得られ得ることを特徴とする粘着テープ。
- 上記粘着テープ中に、(c)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーが残存していないことを特徴とする請求項第17項記載の粘着テープ。
- 上記粘着テープ中に、エポキシ系化合物による架橋構造、および/または、イソシアネート系化合物による架橋構造が形成されていることを特徴とする請求項第17項記載の粘着テープ。
- 上記アクリル系粘着剤組成物が、さらに、架橋剤として、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項第17項記載の粘着テープ。
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