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JP4878423B2 - アクリル系粘着テープの製造法およびアクリル系粘着テープ - Google Patents

アクリル系粘着テープの製造法およびアクリル系粘着テープ Download PDF

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JP4878423B2 JP2001236150A JP2001236150A JP4878423B2 JP 4878423 B2 JP4878423 B2 JP 4878423B2 JP 2001236150 A JP2001236150 A JP 2001236150A JP 2001236150 A JP2001236150 A JP 2001236150A JP 4878423 B2 JP4878423 B2 JP 4878423B2
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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、実質的に溶剤を含有していないアクリル系粘着剤組成物を用いて粘着テープを製造する方法およびこうして得られた粘着テープに関する。
【0002】
【従来技術】
従来から感圧接着剤としては、ゴム系接着剤および合成ゴムが使用されているが、これらの成分だけでは充分な接着強度が得られない。こうした感圧接着剤に有効な特性を付与するために、従来の感圧接着剤には、ロジン酸誘導体に代表されるような粘着付与剤が添加されている。
【0003】
例えばアクリル系感圧接着剤の場合、(メタ)アクリルポリマーはそれ自身に粘着感があり、粘着付与剤を添加しなくとも耐熱性および耐候性の良好な感圧接着剤となりうるが、粘着付与剤を添加したものに比べ、常温での接着性、および、ポリオレフィン、自動車塗料面など低エネルギー表面への接着性に劣っている。このようなアクリル系感圧接着剤においても、粘着付与剤を添加することにより、有効な接着特性が付与されている。
【0004】
しかしながら、このような粘着付与剤の添加によってもたらされる接着特性の改善は、必ずしも満足できるものとはいえない。また、アクリル系感圧接着剤にこのような粘着付与剤を添加することによる問題もある。アクリル系感圧接着剤にロジン酸誘導体に代表されるような一般的な市販の粘着付与剤を添加すると、透明性や耐候性が低下することが多い。さらに、このような粘着付与剤がバルク重合反応時に存在する場合には、その構造により連鎖移動剤や反応停止剤として作用し、重合反応の阻害もしくは遅延を招来する虞がある。
【0005】
また、感圧接着剤に 粘着付与剤としてアクリル系ポリマーを配合することが知られている。例えば特開昭54−3136号公報には、アクリル系ポリマーおよび粘着付与剤を含む感圧接着剤が開示されている。ここで使用されている粘着付与剤はビニル芳香族化合物と(メタ)アクリル酸エステルとを溶液重合させることにより得られるものであり、数平均分子量が500〜3000であり、軟化点が40℃以下である。これに対して特開平1−139665号公報には、炭素数1〜20のアルキル基およびシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート、遊離基適合性オレフィン酸(具体的にはアクリル酸など)、および、所望により他のエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより得られた数平均分子量が35000以下であり、軟化点が40℃以上のポリマー型添加剤を含有する接着剤組成物の発明が開示されている。この公報には、ポリマー型添加剤は、乳化重合、濁懸重合、溶液重合、塊状重合のいずれによっても製造できると記載されている。また、この公報には、「このポリマー型添加剤は既知の方法、例えば混合またはブレンド法により接着剤組成物に添加して、添加物を接着剤組成物に均一に含有させる。添加物は好ましくはエマルジョン、または水性/有機溶剤組み合わせ溶質中の乳化液の形で粘着剤組成物に添加される。」と記載されている。
【0006】
しかしながら、この公報では、ポリマー型添加剤は、乳化重合あるいは溶液重合により製造されており、このように溶質に乳化分散あるいは溶解した状態で乳化重合あるいは溶液重合により調製された粘着剤に配合されている。
このように上記公報において、いずれも乳化重合あるいは溶液重合により得られた粘着剤およびポリマー型添加剤を使用しているのは、従来から反応溶媒を用いずにアクリル系単量体を重合できることは知られていたが(塊状重合)、こうした反応溶媒を用いずに行われるアクリル系単量体の重合は、反応制御が極めて困難であり、一定の特性を有する重合体を選択的に製造することができなかったからである。また、溶液重合あるいは乳化重合により製造された粘着剤およびポリマー型添加剤は、反応溶媒と共に混合することにより、容易に均一な組成物を製造することができるからに他ならない。
【0007】
ところが、こうした溶剤を含有する粘着剤組成物やエマルジョン型粘着剤組成物を使用して接着する際には、溶剤を除去する工程が必要になり、例えば蒸発潜熱の大きい水を使用した場合などにおいては、乾燥工程が非常に長くなる。また、有機溶媒を用いた場合には、気散する有機溶媒を捕捉するための装置も必要になり、また環境への影響も懸念されるという問題がある。
【0008】
一方、溶媒を使用せずに感圧接着剤を製造する方法として、特開昭50−87129号公報および特開昭50−102635号公報があり、これらの公報には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、特定の極性基を有するビニル単量体との混合物に、これらの(共)重合体および重合開始剤を添加して得られた混合物を支持体シートに塗布し、加熱重合する感圧性接着テープの製造方法が開示されている。そして、特開昭50−87129号公報では、酸素の重合禁止作用により通常の重合開始剤では、重合が円滑に進まないために、レドックス型重合開始剤が使用されており、また特開昭50−102635号公報では、塗設された原料粘着剤組成物の上に離型性シートもしくはベルトを重ねて酸素との接触を断って熱重合反応させている。
【0009】
このようにして(メタ)アクリル酸アルキルエステルを溶媒として用い、ここにアクリル(共)重合体を配合することより、有機溶剤を使用せずに感圧接着性を有するテープを製造することができる。
しかしながら、上記公報に開示されている方法では、加熱重合により溶媒として使用したモノマーを重合していることから、空気中の酸素と接触する可能性の高い塗布層の表面部では、常に酸素との接触による反応停止の虞があり、層の厚さ方向において、均一に重合が進行しにくいという問題がある。また、ここで使用されるモノマーは、(共)重合体を溶解する必要があることから、溶質である(共)重合体と同一あるいは近似した組成を有している。従って、上記公報に記載されている方法で得られた粘着テープの粘着剤層は、ほぼ同一の組成を有する(共)重合体から形成されている。
【0010】
このようなほぼ単一の組成を有する(共)重合体からなる粘着剤層では、ポリオレフィンのような接着しにくいとされている被着体に対して充分な接着強度が発現しない。
また、特開平2−60981号公報には、アクリル酸アルキルエステルを主成分とするビニル系モノマーに光重合開始剤を添加した液状物を、基材に塗布又は含浸し、強度1〜300W/m2の紫外線を照射して少なくとも90重量%を重合反応させ、次にその強度以上の紫外線を照射して重合反応を完結させるアクリル系粘着テープの製造方法が開示されている。そして、この方法では、酸素による重合阻害及び重合遅延を防止するために、イナートガスパージを行う方法やポリエステルフィルムで表面をカバーして酸素との接触を防止する方法、または、脱酸素効果のある化合物を添加する方法などが開示されている。しかし、こうした方法では、溶存する酸素を完全に除去することはできない。さらに、この公報に記載されている高分子量ポリマーを得る条件では、重合初期の段階において溶存する酸素の影響により重合が遅延される。そのために、重合反応時間(UV照射時間)が長くなり、生産性が低下するという問題がある。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、光重合により、粘着力及び凝集力等の粘着性能に優れたアクリル系粘着テープを製造する方法を提供することを目的としている。
さらに本発明は、光重合により粘着力及び凝集力などの粘着性能に優れたアクリル系粘着テープを提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明のアクリル系粘着テープの製造法は、(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマー100重量部に対して、
(b)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とし、重量平均分子量が50000以上である高分子量ポリマーを5〜200重量部と、
必要により、(c)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とし、重量平均分子量が20000以下であり、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上である高Tg低分子量ポリマーを10〜200重量部と、
(d)光重合開始剤を0.01〜5重量部と、
(e)架橋剤を含有し、実質的に溶媒を含有しない組成物を支持体上に流涎し、該組成物に紫外線を3段以上多段階に変化させて照射して該組成物を反応させることを特徴としている。
【0013】
また、本発明のアクリル系粘着テープは、支持体と、該支持体上に流涎された、上記(a)〜(e)成分を含有し、実質的に溶媒を含有しない組成物に紫外線を3段以上多段階に変化させて照射して該組成物を反応させた粘着剤層を有することを特徴としている。
本発明において、支持体上に流涎された上記組成物に紫外線を3段以上多段階に変化させて照射するが、このとき照射される紫外線の強度を500〜5000(W/m2)の条件で照射した後、1以上500未満(W/m2)の条件で照射し、次いで500〜10000(W/m2)の条件で照射するというように、強、弱、強となるように紫外線照射エネルギーを調整することが好ましい。
【0014】
【発明の具体的説明】
次に本発明のアクリル系粘着テープについて、その製造方法に沿って具体的に説明する。
本発明のアクリル系粘着テープは
(a)アクリル系モノマーと、
(b)高分子量ポリマーと、
必要により、(c)高Tg低分子量ポリマーと、
(d)光重合開始剤と、
(e)架橋剤とを含有し、実質的に溶媒を含有しない組成物を用いて支持体上で特定温度条件下に光重合することにより製造される。
【0015】
本発明で使用される(a)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーである。
この(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーは、後述する特定の高分子量ポリマーおよび低分子量ポリマーを溶解もしくは分散すると共に、この(a)アクリル系モノマー自体が共重合して粘着剤を形成する。
【0016】
このような(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明で使用される(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーは上記(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであるが、さらに他のモノマーを含有していてもよい。本発明で使用することができる他のモノマーの例としては、
(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、 (メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、 (メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0018】
ただし、本発明において(a)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであり、従って(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の量で含有している。
本発明で使用される (b) 高分子量ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とし、重量平均分子量が50000以上、好ましくは100000〜2000000の範囲内にあるアクリル系ポリマーである。なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた値である。
【0019】
この(b)高分子量粘着性ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させることにより形成される。
本発明では、こうした(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを用いることができる。
【0020】
このような(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0021】
本発明で使用される(b)高分子量ポリマーは、重合性不飽和結合を有するモノマーとして、上記(メタ)アクリル酸エステルを主成分として用いて調製される。従って、本発明で使用される(b)高分子量ポリマーは、上記のような(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位((メタ)アクリル酸エステル成分単位)を、単量体換算で50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の量で有している。
【0022】
本発明で使用される(b)高分子量ポリマーは、上記の(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
このような単量体の例としては、
(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、 (メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、 (メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0023】
本発明で使用される(b)高分子量ポリマーの例としては、ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/2-ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体、2-エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/2-ヒドロキシエチルアクリレートなどの共重合体を挙げることができる。
この(b)高分子量ポリマーは、通常はガラス転移温度(Tg)を有しており、この(b)高分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、後述する高Tg低分子量ポリマーよりも低いガラス転移温度(Tg)を有している。すなわち、この(b)高分子量ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、通常は−85〜0℃、好ましくは−85〜−5℃である。
【0024】
この(b)高分子量ポリマーは、上記(a)アクリル系モノマー100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは5〜180重量部の量で配合される。このような量で(b)高分子量ポリマーを使用することにより(a)アクリル系モノマーにこの(b)高分子量ポリマーが良好に溶解もしくは分散する。
本発明で使用される(c) 高Tg低分子量ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とするポリマーであり、その重量平均分子量が20000以下、好ましくは10000以下であり、特に10000〜2000の範囲内にあり、このアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は25℃以上、好ましくは40〜180℃の範囲内にある。
【0025】
この(c) 高Tg低分子量ポリマーの重量平均分子量が20000を超えると本発明の組成物を用いて得られる粘着テープにおける粘着性能の向上効果が充分には発現しない。
上記のような(c) 高Tg低分子量ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させることにより形成される。
【0026】
本発明では、こうした(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを用いることができる。
【0027】
このような(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。このような(メタ)アクリル酸エステルの中でも、本発明では好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数3〜14の脂環族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルおよび/またはベンジルアルコールとのエステルを使用する。
【0028】
本発明で使用される(c) 高Tg低分子量ポリマーは、重合性不飽和結合を有するモノマーとして、上記(メタ)アクリル酸エステルを主成分として用いて調製される。従って、本発明で使用される(c) 高Tg低分子量ポリマーは、上記のような(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位((メタ)アクリル酸エステル成分単位)を、単量体換算で50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の量で有している。
【0029】
本発明で使用される(c) 高Tg低分子量ポリマーは、上記の(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
このような単量体の例としては、
(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、 (メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、 (メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニリデン;
(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸-2-アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物;
フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル単量体;
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物および酸無水物;
2-クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体;
メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体;
ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2-メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0030】
さらにこの(c) 高Tg低分子量ポリマーは、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されていることが好ましい。このような官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基を挙げることができ、(c) 高Tg低分子量ポリマーを製造する際にこうした官能基を有するモノマーを使用することが好ましい。通常の場合、この(c) 高Tg低分子量ポリマーは、上記(a)アクリル系モノマー100重量部に対して、10〜200重量部の量で使用され、好ましくは10〜180重量部の量で使用される。
【0031】
本発明で使用される組成物は、上記の(a)成分と、(b)成分と、必要により(c)成分と、(d)光重合開始剤および(e)架橋剤とを含有する。
本発明で使用される(d)光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤および/または光カチオン重合開始剤であり、これらの例としては、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン[例えばチバガイギー社製、商品名:ダロキュアー2959]、α-ヒドロキシ-α,α'-ジメチルアセトフェノン[例えばチバガイギー社製、商品名:ダロキュアー1173]、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトン[例えばチバガイギー社製、商品名:イルガキュアー651]、2-ヒドロキシ-2-シクロヘキシルアセトフェノン[チバガイギー社製、商品名:イルガキュアー184]などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン、アシルフォスフィノキシド、アシルフォスファナートなどの光重合開始剤を挙げることができる。
【0032】
この(d)光重合開始剤は、上記(a)アクリル系モノマー100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、特に好ましくは0.05〜2重量部の範囲内の量で配合される。
また、本発明で使用される組成物には、さらに(e)架橋剤を配合する。
本発明で使用される架橋剤は、(a)成分、(b)成分、さらに(c)成分が重合することにより形成される成分の間で架橋構造を形成し得る化合物である。
【0033】
このような架橋剤の例としては、エポキシ基を有する化合物(多官能エポキシ化合物)、イソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)を挙げることができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N'-ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができ、イソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体を挙げることができる。
【0034】
この架橋剤は、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の範囲内の量で配合される。
なお、上記重合開始剤、架橋剤を使用する場合、これらも実質的に溶媒を含有していないものであることが好ましい。
【0035】
本発明のアクリル系粘着剤組成物には、さらに、充填剤として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタンなどの無機物、ガラスバルーン、シラスバルーン、セラミックバルーンなどの無機中空体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機物、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどの有機中空体、発泡剤、染料、顔料、重合禁止剤、安定剤など通常粘着剤に配合される添加剤が配合されていてもよい。
【0036】
さらに、本発明で使用する組成物は、水、水性溶媒あるいは有機溶媒を実質的に含有しておらず、上記(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分、さらに他の成分は、(a)アクリル系モノマー中に溶解もしくは分散している。
本発明で使用する組成物は、上記の(a)アクリル系モノマーと、(b)高分子量ポリマーと、(c)高Tg低分子量ポリマーと、(d)光重合開始剤と、 (e)架橋剤と、さらに所望により他の成分とを混合することにより調製することができるが、上記ポリマーを調製する際に残存する未反応モノマーを(a)アクリル系モノマーとして使用することができる。すなわち、例えば上記(b)高分子量ポリマーを溶剤を使用せずに部分重合させて、この部分重合の際に未反応のモノマーを(a)成分として使用することができる。こうして部分重合により得られた反応物(アクリル系シロップ)は、所定量の高分子量ポリマーを含有するアクリル系モノマー溶液もしくは分散液である。次いで、得られたアクリル系モノマーの溶液もしくは分散液に、所定量の(c)高Tg低分子量ポリマーと、(d)光重合開始剤と、 (e)架橋剤と、さらに所望により他の成分とを加えて混合することにより本発明で使用する組成物を得ることができる。
【0037】
上記のような組成を有する組成物は、上記(a)成分であるモノマー中に(b)成分、(c)成分、(d)成分および(e)成分が溶解もしくは分散しており、所謂溶剤を実質的に含有していない。そして、上記組成を有する組成物について25℃における粘度を測定すると、通常は100〜100000cps、好ましくは500〜50000cpsの範囲内の粘度を示し、この組成物は粘稠な液体である。こうした粘度の液体は、通常の塗布装置を用いて支持体上に塗布可能である。
【0038】
次いで、上記のようにして調整した組成物を支持体上に塗布する
ここで使用される支持体としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、紙、金属箔、布、不織布、シリコーン処理したポリエステルフィルム、シリコーン処理した紙を挙げることができる。
このような支持体表面に本発明のアクリル系粘着剤組成物を塗布する。この組成物の塗布厚は、0.001〜1.0mmである。
【0039】
こうして支持体表面に塗布された組成物をこの支持体上で重合させる。
本発明で使用される組成物(支持体表面に塗布された組成物)中には反応開始剤として(d)光重合開始剤が配向されており、この組成物に所定の光線を照射することにより、光重合が開始する。
しかしながら、本発明では単に光線を照射するだけではなく、紫外線の3段階以上の多段に分けて照射する。このように3段階以上多段階に分けて紫外線を照射することにより、支持体上の組成物の重合反応が急激に進行しにくく、得られる重合体の組成あるいは組成分布が均質になり、テープ全体として特性にむらのない均質なテープを製造することができる。このときの紫外線の照射条件は、第1段目の光照射では、光の最大強度を通常は500〜5000(W/m2)、好ましくは、500〜3000(W/m2)に設定する。この第1段目において照射する紫外線の最大強度が下限値に満たないと、紫外線照射時間が長くなり、生産性が向上しないことがあり、また最大強度が上限値を著しく超えるような生産設備は高価でありコスト高を招来することがある。このような第1段目の紫外線照射時間は、通常は0.01〜5秒間である。すなわち、この第1段目の紫外線照射では、塗布した組成物の重合反応率が、通常は0.01〜10重量%、好ましくは、0.1〜5重量%になるように紫外線照射条件を設定する。この第1段目の紫外線照射による重合反応率が上記下限値に満たない場合には溶存酸素の影響を排除して生産性を向上させるという効果が低くなり、また重合反応率が上限値を著しく超える場合には、粘着テープの粘着性能、特に耐熱性能が低下する。
【0040】
本発明において、第2段目の紫外線照射は、光の最大強度を、通常は1以上500未満(W/m2)、好ましくは、1〜450(W/m2)に設定する。第2段目における紫外線の最大強度が下限値に満たないと、紫外線の照射時間が長くなり生産性が悪くなることがあり、紫外線の最大強度が上限値を逸脱して高いと、低分子量ポリマーが生成するために、高性能な粘着テープが得られないことがある。このような第2段目の紫外線照射時間は、通常は10〜360秒間、好ましくは、10〜300秒間である。すなわち、この第2段目の紫外線照射では、塗布した組成物の重合反応率が、通常は、90〜95重量%の範囲内になるように紫外線照射条件を設定する。この第2段階における重合反応率が上記下限値に満たないと、第3段階の紫外線照射工程において生成する低分子量ポリマーの量が増加するために粘着性能、特に耐熱性能などが低下することがあり、また、重合反応率が上限値を逸脱して高くすると、紫外線照射時間が長くなり生産性が低下することがある。
【0041】
さらに、本発明において、第3段目の紫外線照射は、光の最大強度を、通常は500〜10000(W/m2)、好ましくは、1000〜5000(W/m2)に設定する。第3段目における紫外線の最大強度が下限値に満たないと、反応を完結するのに要する時間が長くなり、生産性が低下することがあり、紫外線の最大強度が上限値を逸脱して高いと、紫外線ランプからの輻射熱により、粘着剤表面および支持体が損傷を受ける危険性が高くなる。このような第3段目の紫外線照射時間は、通常は0.1〜60秒間、好ましくは、1〜30秒間である。すなわち、この第3段目の紫外線照射では、塗布した組成物の重合反応率が、通常は、99重量%以上、好ましくは99.5重量%以上になるように紫外線照射条件を設定する。この第3段目における重合反応率が下限値以下では、残存モノマーの存在により、凝集力などの粘着性能の低下するとともに臭気が強くなり実用的ではない。
【0042】
さらに、紫外線照射工程を第4段以上行う場合にも、上記の工程に準じてその照射条件を設定することができる。
なお、本発明において、紫外線照射時間の合計は、塗布層の厚さによっても異なるが、通常は10秒〜5分間、好ましくは30秒〜3分間である。
さらに、本発明においては、上記のように紫外線を照射するに際して、この組成物の温度があまり高くならないようにすることが好ましい。この際組成物の温度が50℃以下になるように反応させることが好ましく、特に組成物の温度を0〜35℃、好ましくは0〜30℃の範囲内に制御するとよい。すなわち、重合反応温度を0℃よりも低くするためには高価な設備が必要であり、また0℃以下では反応速度が低くなりすぎて非効率的であり、また重合反応温度が上記上限温度を超えると連鎖移動速度が増大し、高分子量ポリマーが形成しにくい。
【0043】
このように本発明の方法で製造されたアクリル系粘着テープは、3段階以上多段階に分けて紫外線を照射するので、非常に均質なアクリル系粘着テープを製造することができる。しかも、高Tg低分子量ポリマー(c)を使用する場合には、本発明のアクリル系粘着テープは、優れた耐熱性および耐湿熱性を示す。また、この高Tg低分子量ポリマー(c)を配合しない場合には、熱によって特性が変動する物質が少ないので、特に耐熱性に優れたアクリル系粘着テープを得ることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明のアクリル系粘着テープの製造法では、(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーと、所定量の (b)(高分子量ポリマーと、必要により、所定量の(c)高Tg低分子量ポリマーと、所定量の(d)光重合開始剤と、所定量の(e)架橋剤とを含有し、実質的に溶媒を含有しない組成物を調製し、この組成物を支持体上に流涎し、この組成物に紫外線を3段以上多段階に変化させて照射してこの組成物を反応させることにより、優れた接着強度を発現し、保持力が高く、しかも曲面貼着性に優れたアクリル系粘着テープを製造することができる。殊に、光重合反応を3段階に分けて行うことにより、支持体表面に塗布された組成物が酸素などの反応の進行を阻害する要因の影響を受けにくくなり、所望の特性の粘着テープを製造することができる。
【0045】
また、本発明のアクリル系粘着テープは、粘着剤層が実質的に溶剤を含有しておらず、粘着剤を製造する際に溶剤除去工程が不要であると共に、溶剤による環境の汚染もない。また、本発明のアクリル系粘着テープは、上述のように溶剤を含有しておらず、この組成物から得られる粘着剤にも溶剤は含有されておらず、また、この粘着剤は実質的に低沸点物質も含有していない。このため従来の粘着剤に特有の残存有機溶剤臭などの異臭が少ない。
【0046】
【実施例】
次に本発明のアクリル系粘着テープおよびその製造方法について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらにより具体的に限定されるものではない。
【0047】
【製造例1】
Tg 低分子量ポリマー( C-1 )の調製
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた容量2リットルの4つ口フラスコに、メタクリル酸イソブチル(以下i-BMAとする):1200g及び分子量調整剤としてn-ドデシルメルカプタン:96gを投入し、フラスコ内の空気を窒素に置換しながら70℃まで加熱した。
【0048】
次いで、重合開始剤としてクミルペルオキシネオデカノエート:3.6gを撹拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが、冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が110℃に達し、その後徐々に下がり始めた。水浴により系内の温度を70℃まで強制冷却した。強制冷却後、さらに、クミルペルオキシネオデカノエート:3.6gを撹拌下に投入して均一に混合した。2回目の開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が105℃に達した。その後、水浴により反応系の温度を室温まで強制冷却した。
【0049】
さらに、得られた部分重合物1000gをステンレス製の容器にとり、クミルペルオキシネオデカノエート:20g及びt-ヘキシルペルオキシ2-エチルヘキサノエート:20gを加えよく混合した後、120℃の加熱乾燥機で1時間重合反応させることにより、高Tg低分子量ポリマー(C-1)を得た。得られた高Tg低分子量ポリマー(C-1)の重量平均分子量(Mw)は4900であり、ガラス転移温度(Tg)は48℃であった。
【0050】
【製造例2】
アクリル系シロップA−1の調製
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、アクリル酸2-エチルヘキシル(以下2-EHAとする):919g、アクリル酸(以下AAとする):80g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル:1g、n-ドデシルメルカプタン:0.6gを投入し、フラスコ内の空気を窒素に置換しながら、50℃まで加熱した。
【0051】
次いで、重合開始剤として2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル):0.025gを撹拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが、冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が119℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が115℃まで下がったところで、強制冷却を行いアクリル系シロップA−1を得た。このシロップ(アクリル系シロップA−1)はモノマーを67重量%の濃度、ポリマーを33重量%の濃度で含有し、このアクリル系シロップA−1中のポリマー分についてGPCを用いて測定した重量平均分子量(Mw)は21万であった。
【0052】
【製造例3】
アクリル系シロップA−2の調製
アクリル酸ブチル(以下BAとする):1920g、AA:80g、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1(チバガイギー(株)製、商品名イルガキュアー907):0.03gを、光重合装置に仕込み、強度56(W/m2)の紫外線を間歇的に照射して、アクリル系シロップA−2を得た。このアクリル系シロップA−2中におけるモノマー濃度は80重量%、ポリマー濃度は20重量%であり、このアクリル系シロップA−2中に含有されるポリマー分についてGPCで測定した(Mw)は80万であった。
【0053】
【実施例1】
表1の配合例1に示したように、アクリル系シロップA−1を100g、高Tg低分子量ポリマー(C-1)を20g、光重合開始剤として、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:ダロキュア1173;チバガイギー(株)製)を0.3g、架橋剤として、N,N,N',N'-テトラグリジル-m-キシリレンジアミン(商品名:テトラッドX;三菱ガス化学(株)製)を0.05gの量で混合して、アクリル系粘着剤組成物E−1を得た。
【0054】
上記のようにして得られた粘着剤組成物E−1を、剥離処理した厚さが25μmのポリエステルフィルム上に30μmの厚さになるように塗布した。これを、室温で、窒素ガス雰囲気下に、最大強度1000W/m2となるように調節した高圧水銀ランプより光を照射して光重合した。この第1段目の重合反応後の重合反応率は、4重量%であった。
【0055】
次いで、窒素ガス雰囲気下で、最大強度400W/m2となるように調節した高圧水銀ランプよりの光を照射して光重合した。この第2段目の重合反応後の重合反応率は、94重量%であった。
さらに、窒素ガス雰囲気下で、最大強度1500W/m2となるように調節した高圧水銀ランプより光を照射して光重合した。この第3段目の重合反応後の重合反応率は、99.8重量%であった。
【0056】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
なお、粘着テープの粘着特性評価は次のようにして行った。
<粘着テープの評価試験>
接着力試験
得られた粘着テープを25μmのPETフィルムに転写して、JIS Z−0273に準じ接着力を測定した。被着体としては、SUS304板及びポリプロピレンを使用した。
保持力試験
得られた粘着テープを25μmのPETフィルムに転写して、JIS Z−0273に準じ、SUS304を被着体とし、貼付面積20mm×20mm、23℃,65RH%の条件で貼り付けた後、80℃で20分静置してから1kgの荷重をかけて落下するまでの時間又は1時間後のずれを測定した。
曲面貼付試験
得られた粘着テープを、厚さ5mmのウレタンフォームに転写して曲面貼付試験用の試験テープとした。この試験テープを20mm×50mmに裁断し試験片とした。この試験片を280番の耐水研磨紙で研磨した50mmφのSUS304円筒に貼り付けた。23℃に24時間静置し、さらに40℃に24時間静置して、試験片エッジ部のウキ又は剥がれ距離を測定した。
【0057】
【実施例2】
実施例1において、アクリル系シロップA−1の代わりにアクリル系シロップA−2を用いたこと以外は同様にして、アクリル系粘着剤組成物E−2を得た(表1の配合例2参照)。
次いで、このアクリル系粘着剤組成物E−2を用いて以下に示すように第1、第2、第3段階の光重合を行った以外は同様にして粘着テープを得た。
【0058】
第1段目における紫外線の最大強度は800W/m2であり重合反応率は1重量%であり、第2段目における紫外線の最大強度は200W/m2であり重合反応率は91重量%であり、第3段目における紫外線の最大強度は2000W/m2であり重合反応率は99.5重量%であった。
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0059】
【実施例3】
アクリル系シロップA−1を100g、BAを20g、高Tg低分子量ポリマー(C-1)を30g、光重合開始剤として、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:ダロキュア1173;チバガイギー(株)製)を0.3g、架橋剤として、トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンよりなるイソシアネート化合物(商品名:コロネートL;日本ポリウレタン(株)製)3.0gを混合して、アクリル系粘着剤組成物E−3を得た(表1の配合例3参照)。
【0060】
次いで、このアクリル系粘着剤組成物E−3を用いて以下に示すように第1、第2、第3段階の光重合を行った以外は同様にして粘着テープを得た。ただし第2段目の紫外線照射にはブラックライトを使用した。
第1段目における紫外線の最大強度は1000W/m2であり重合反応率は3重量%であり、第2段目における紫外線(ブラックライト使用)の最大強度は40W/m2であり重合反応率は93重量%であり、第3段目における紫外線の最大強度は3000W/m2であり重合反応率は99.9重量%であった。
【0061】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0062】
【実施例4】
実施例1において、第1段目の紫外線の最大強度を3000W/m2として重合反応率を9重量%とし、第2段目の紫外線照射にブラックライトを使用して最大強度を40W/m2として重合反応率を90%とし、第3段目の紫外線の最大強度を2000W/m2として重合反応率を99.5重量%とした以外は同様にアクリル系粘着テープを調製した。
【0063】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0064】
【実施例5】
実施例1において、高Tg低分子量ポリマー(C-1)を使用しなかったこと以外は同様にして、アクリル系粘着剤組成物E−4を得た(表1の配合例4参照)。
次いで、このアクリル系粘着剤組成物E−4を用いて、実施例1と同様にして同様にして粘着テープを調製した。得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0065】
【比較例1】
実施例1において、第1段目の紫外線照射を行わずに、直接第2段目の紫外線照射(最大強度400W/m2、重合反応率94重量%)を行い、次いで、実施例1と同様に第3段目におけるのと同様に紫外線照射をおこなった。第3段目の紫外線照射による重合反応率は99.8重量%であった。
【0066】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0067】
【比較例2】
実施例1において、第1段目の紫外線照射による重合反応率を20重量%にし、第2段目の紫外線照射による重合反応率を93重量%にし、第3段目の紫外線照射による重合反応率を99.4重量%にした以外は同様にして粘着テープを調製した。
【0068】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0069】
【比較例3】
実施例1において、第1段目の紫外線照射による重合反応率を4重量%にし、第2段目の紫外線照射による重合反応率を80重量%にし、第3段目の紫外線照射による重合反応率を99.2重量%にした以外は同様にして粘着テープを調製した。
【0070】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0073】
【比較例5】
実施例1において、第1段目の紫外線照射による重合反応率を3重量%にし、第2段目の紫外線照射による重合反応率を93重量%にし、第3段目の紫外線照射による重合反応率を96.5重量%にした以外は同様にして粘着テープを調製した。
【0074】
得られた粘着テープの粘着性能を表2に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0004878423
【0076】
【表2】
Figure 0004878423
【0077】
【実施例6】
実施例1において、アクリル系粘着剤組成物E−1を厚さ25μmのポリエステルフィルムの上に30μmの厚さになるように塗布した。この組成物の温度を5℃に保ちながら、窒素ガス雰囲気下で、第1段目の紫外線照射の最大強度を1000W/m2とし、さらに、第2段目および第3段目における紫外線照射最大強度を実施例1と同様にすると共に、組成物の温度を5℃に保ちながら粘着テープを製造した。得られた粘着テープの重合反応率は、99.5重量%であった。得られた粘着テープの粘着性能を表3に示す。
【0078】
【表3】
Figure 0004878423

Claims (7)

  1. (a)(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含有するアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマー100重量部に対して、
    (b)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を単量体換算で50重量%以上含有し、かつ重量平均分子量が50000以上である高分子量ポリマーを5〜200重量部と、
    (c)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を単量体換算で50重量%以上含有し、かつ重量平均分子量が20000以下であり、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上である高Tg低分子量ポリマーを必要により10〜200重量部と、
    (d)光重合開始剤を0.01〜5重量部と、
    (e)架橋剤を含有し、溶媒を含有しない組成物を支持体上に流涎し、該組成物に紫外線を、第1段目は500〜5000(W/m 2 )、第2段目は1以上500未満(W/m 2 )、第3段目は500〜10000(W/m 2 )の条件のもと、3段以上多段階に変化させて照射して、該組成物の重合反応率が上記第1段目で0.01〜10重量%、上記第2段目で90〜95重量%、上記第3段目で99重量%以上になるように該組成物を反応させることを特徴とするアクリル系粘着テープの製造法。
  2. 上記(b) 高分子量ポリマーのガラス転移温度が−85〜0℃の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着テープの製造法。
  3. 上記(e)架橋剤が、多官能性エポキシ化合物および多官能性イソシアネート化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の化合物であることを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着テープの製造法。
  4. 上記アクリル系粘着テープが、光学部材用アクリル系粘着テープであることを特徴とする請求項第1項記載のアクリル系粘着テープの製造法。
  5. 支持体と、該支持体上に流涎された下記組成物に紫外線を第1段目は500〜5000(W/m 2 )、第2段目は1以上500未満(W/m 2 )、第3段目は500〜10000(W/m 2 )の条件のもと3段以上多段階に変化させて照射して該組成物の重合反応率が上記第1段目で0.01〜10重量%、上記第2段目で90〜95重量%、上記第3段目で99重量%以上になるように該組成物を反応させた粘着剤層を有することを特徴とするアクリル系粘着テープ;
    (a)(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含有するアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマー100重量部に対して、
    (b)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を単量体換算で50重量%以上含有し、かつ重量平均分子量が50000以上である高分子量ポリマーを5〜200重量部と、
    (c)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を単量体換算で50重量%以上含有し、かつ重量平均分子量が20000以下であり、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上である高Tg低分子量ポリマーを必要により10〜200重量部と、
    (d)光重合開始剤を0.01〜5重量部と、
    (e)架橋剤を含有し、溶媒を含有しない組成物。
  6. 上記(b) 高分子量ポリマーのガラス転移温度が−85〜0℃の範囲内にあることを特徴とする請求項第項記載のアクリル系粘着テープ。
  7. 上記(e)架橋剤が、多官能性エポキシ化合物および多官能性イソシアネート化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の化合物であることを特徴とする請求項第項記載のアクリル系粘着テープ。
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