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JP4821795B2 - 電子写真感光体用基体の製造方法、電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体用基体の製造方法、電子写真感光体及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、複写機あるいはレーザービームプリンターなどの画像形成装置、該画像形成装置に搭載される電子写真感光体、及び該電子写真感光体に使用される電子写真感光体用基体に関する。
近年の電子写真装置の高解像度化、カラー化、小型化の推進により電子写真感光体用基体(感光体ドラム)に対する高精度化要求がより一層高まってきている。感光体ドラムに曲がり(感光体ドラム自体が湾曲している状態)や膨れ(感光体ドラム自体が軸方向で太鼓状になったり、鼓状になったりする状態)があると、これらに起因する振れ回りにより、静電潜像形成時及び転写時に本来画像が形成されるべき位置からの画像ズレが生じる。
より詳細に説明すると、レーザービームプリンターなどのようにポリゴンミラーを用いてレーザー操作を行うものでは、静電潜像形成時、感光体ドラムの端部に近いほど斜めにレーザービームが入射するので、感光体ドラムに曲がりや膨れがあるとレーザービームの到達位置がドラム軸方向にずれるといった主操作方向のズレが生じる。また、感光体ドラムに曲がりや膨れがあると感光体の回転中心から感光体ドラム表面までの距離、すなわち回転半径の違いにより、回転半径の小さい部位では感光体ドラム表面の露光系に対する移動速度が遅くなって静電潜像が詰まり、回転半径の大きい部位では感光体ドラム表面の露光系に対する移動速度が速くなって静電潜像が伸びる副走査方向ズレが生じる。
その結果、印刷された画像にひずみが生じる。特にタンデム型と呼ばれる、複数の感光体ドラムを平行に並べて使用するカラー複写機、プリンタの場合には位置ズレ、色ズレとして顕在化する。他にも発光ダイオードを露光装置として使用するものでは、焦点距離が近いことから振れ回りによる画像ボケが生じやすく、重要な問題となっている。これらの理由から感光体ドラムの高精度化、特に基体については曲がりや膨れのない高精度な基体が要求される。
このような状況下で、一般的には電子写真感光体用基体(以下、適宜「基体」と呼ぶ)としてアルミニウム製の中空円筒体を押出し、引抜工程を経て外周を切削してなる、或いは外周を切削後、ブラストしてなる基体を採用するケースが多く、その高精度化のためには主に超精密旋盤を利用して高精度に加工する手法が取られていた。しかしながら、このようなケースでは引抜管の振れ精度や、切削加工後の材料の応力開放により、切削後に高精度の基体をばらつき少なく得ることは不可能であった。また、かかる現象は仮に機械寸法における高精度の引抜管を切削しても同様であり大きな問題となっていた。
また、特許文献1では、アルミニウム管の任意の部分の振れ値を0.2mm以下とすることにより、寸法精度が良好な感光体が得られることが示されている。しかしながら、該発明(特開平11−174704号)では、引抜管の残留応力により切削加工後に基体が変形を起こしてしまうことがあり、必ずしも安定して精度が良好な基体を得られないという問題点があった。
特開平11−174704号公報
本発明者は上記課題を解決すべく、引抜管の内部応力等による原因の可能性も含め検討を行った結果、押出管の偏肉を所定値以下とすること、より好ましくは、引抜管端部及び中央部の振れ精度を所定値以下にすること、引抜管内径のバラツキを抑えることなどにより、切削加工後の精度に影響する引抜管内部の残留応力を低減でき、しかも切削加工後に安定して高精度の基体が得られることを見いだし本発明に到達した。すなわち、本発明は表面に感光層が形成されて電子写真感光体が製造される電子写真感光体用基体の製造方法において、基体用金属材料を押出加工処理し偏肉が0.2mm以下である押出管を用いて前記基体を製造することを特徴とする電子写真感光体用基体の製造方法に存する。
本発明によれば、引抜管内部の残留応力を低減すること、及び切削加工時の加工機械のセッティングによる加工バラツキが低減されることなどができることから、高精度の電子写真感光体用基体を得ることができる。また、切削加工後に変形がなく安定して高精度の基体を得ることができる。該基体を使用した感光体は、画像形成の際、基体の振れによる影響が発生しにくいことから、良好な画像を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の電子写真感光体用基体の材料としては、電子写真感光体用基体用に使用できる金属材料であれば限定されないが、アルミニウム製材料が使用されることが好ましい。本発明におけるアルミニウム製材料とは、アルミニウム或いはアルミニウム合金を示す。アルミニウム製材料は、加工時の切削抵抗により加工用バイトから逃げてしまい、精度が悪くなる可能性があるなどの点から、ビッカース硬度40Hv以上であることが好ましい。
該金属材料は、通常、ポートホール法、マンドレル法等の押出加工により円筒状に加工された後、所定の肉厚、長さ、外径寸法の円筒とするため、引抜加工、切削加工等による処理加工が行なわれ、電子写真感光体用基体とされる。ここで、押出加工処理後の円筒状金属材料を「押出管」、引抜加工処理後所定の長さに切断されたものを「引抜管」と呼ぶ。
本発明においては、押出加工処理はポートホール法、マンドレル法のどちらを用いても良いが、ポートホール法を用いた方が押出管の偏肉が出しやすく、歩留も高く有利である。押出加工処理の手法としては、熱間押出加工方法が最も一般的に採用される。ここで、偏肉とは押出管肉厚を円周方向に6等分以上分割して測定したときの肉厚の偏差である。押出管の偏肉は、0.2mm以下、好ましくは0.15mm以下、最も好適には0.1mm以下とすることが高精度な基体を得るために好ましい。
引抜加工処理の手法としては、冷間引抜加工が施されることが好ましく、その引抜回数は1回、引抜後の矯正加工は行わず、そのまま所定の長さに切断することが好ましい。ここで得られた引抜管の外周基準振れを中央部において、0.1mm以下、より好ましくは0.07mm以下、最も好適には0.04mm以下とし、管端において0.03mm以下、より好ましくは0.02mm以下、最も好適には0.01mm以下とする。ここで、管端の外周基準振れとは、その基準を引抜管端部より10mm程度としたときの引抜管端部より10mm付近の外周基準コロ振れ値であり、中央部の外周基準振れとは基準を引抜管端部より10mm程度としたときの引抜管中央部付近の外周基準コロ振れ値である。上記偏肉及びかかる外周基準振れ値を達成することにより、切削加工処理後の精度が中央の振れ量で20μmを下回る高精度の基体を安定して得ることができる。
また、引抜管の内径を幅20μmで層別すること、好ましくは10μmで層別すること、最も好適には幅5μmで層別すること、すなわち、引抜管の内径バラツキを±20μm、好ましくは±10μm、最も好適には±5μmとすることで、切削加工処理後にバラツキの少ない基体が得られる。切削加工処理時には超精密旋盤を使用し、治工具の芯出しに細心の注意を払うことが必要である。切削加工処理の条件としては特に限定されないが、ごく一般的な条件として主軸回転数5,000回転、送りスピード0.4mm/rev程度で加工される。
特に、高精度の基体を得るためには、両側の内径受けチャック治具の回転振れを抑えて加工することが重要である。すなわち、該内径受けチャック治具の旋盤の軸に対する振れ量を10μm以下、好ましくは5μm以下に抑えて加工することが好ましい。また、該内径受けチャック治具は、加工する引抜管内径の層別幅の中央値に対して0〜50μmのしめしろを持つものを使用することが好ましい。また、このような本発明の方法は基体の外径がφ40mm未満のものに対して使用されることでさらに好ましい効果を得ることができる。
前記の様にして作製された電子写真感光体用基体は、基体上にそのまま感光層を形成してもよいが、濃度ムラを防止する上でブロッキング層を形成した上に感光層を形成することが好ましい。ここで、ブロッキング層とは、陽極酸化被膜や下引き層等を示す。
陽極酸化被膜は、基体表面に陽極酸化処理を施すことにより形成される。陽極酸化処理を施す前に、酸、アルカリ、有機溶剤、界面活性剤、エマルジョン、電解などの各種脱脂洗浄方法により脱脂処理されることが好ましい。陽極酸化被膜は通常の方法、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸などの酸性浴中で、陽極酸化処理することにより形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は0〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、これに限られるものではない。このようにし
て形成された陽極酸化被膜の膜厚としては、通常は20μm以下であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
陽極酸化処理された基体は封孔処理や染色処理を行うことができる。封孔処理は多孔質層中に水和酸化アルミニウム等を成長させることにより封孔する工程である。封孔処理方法は通常の方法でよいが、例えばニッケルイオンを含む液(例えば酢酸ニッケルを含む液、フッ化ニッケルを含む液)に浸漬させ施されることが好ましい。また、染色処理を行う場合は、有機、無機化合物塩溶液中に基体を浸漬しそれらの塩を吸着させる。具体的にはアゾ系などの水溶性有機染料1〜10g/l、液温20〜60℃、pH3〜9、浸漬時間1〜20分のような条件で行う。
下引き層としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層を用いることができる。なかでも、基体との接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。下引き層中には、アルミナ、チタニア等の金属酸化物微粒子や有機または無機の色素を含有させることが効果的である。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmである。本発明においては、陽極酸化被膜が形成された上に下引き層を形成することもできる。
前記基体上には感光層が形成される。感光層は電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層したもの、逆に積層したもの、または電荷輸送媒体中に電荷発生物質粒子を分散したいわゆる単層型などいずれも用いることができるが、電荷発生層および電荷輸送層を有する積層型感光層が好ましい。感光層が単層構造の場合には、感光材料が結着材料に分散してなる公知のものが使用される。例えば、色素増感されたZnO感光層、CdS感光層、電荷発生物質を電荷輸送物質に分散させた感光層が挙げられる。
電荷発生層には、電荷発生物質とバインダー樹脂とを含む。電荷発生物質としては、電子写真感光体に用いられる物質であれば特に限定されるものではなく、具体的にはセレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電体、フタロシアニン、アゾ、キナクリドン、多環キノン、ペリレン、インジゴ、ベンズイミダゾールなどの有機顔料を使用することができる。特に銅、塩化インジウム、塩化カリウム、スズ、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウムなどの金属、またはその酸化物や塩化物の配位したフタロシアニン類、無金属フタロシアニン類などのフタロシアニン顔料、または、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類などのアゾ顔料が好ましい。これらのうち特にフタロシアニン顔料がより好ましく、特定結晶系を有するオキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。これは、オキシチタニウムフタロシアニンが通常の顔料より熱による結晶変換が起きやすいためである。
このようなオキシチタニウムフタロシアニンの例としては、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2゜)27.3゜に最大回折ピークを示すものがあげられるが、これに限定されるものではない。このオキシチタニウムフタロシアニンの結晶型は、一般にはY型あるいはD型と呼ばれているものであり、例えば特開昭62−67094号公報の第2図(同公報ではII型と称されている)、特開平2−8256号公報の第1図、特開昭64−82045号公報の第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されている)に示されたものである。この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、27.3°に最大回折ピークを示すことが特徴であるが、これ以外に通常7.4°、9.7°、24.2°にピークを示す。
回折ピークの強度は、結晶性、試料の配向性および測定法により変化する場合もあるが、粉末結晶のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−ブレンターノの集中法による測定では、上記の結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは27.3°に最大回折ピークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法或いは平行法とも呼ばれる)により測定された場合には、試料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとならない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向しているためと考えられる。
分散媒としては、電子写真感光体の製造工程で用いられるものであれば特に限定されるものではなく種々の溶媒を用いてよい。例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。用いる分散媒の量は分散が充分行え、且つ分散液中に有効量の電荷発生物質が含まれる限りいかなる量でもよく、通常は分散時の分散液中の電荷発生物質の濃度にして3〜20wt%、より好ましくは4〜20wt%程度が好ましい。
バインダー樹脂としては、電子写真感光体に使用されるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等またこれらの部分的架橋硬化物等を単独あるいは2種以上用いることができる。バインダー樹脂と電荷発生物質との混合方法としては例えば、電荷発生物質を分散処理工程にバインダー樹脂を粉末のまま或いはそのポリマー溶液を加え同時に分散する方法、分散処理工程で得られた分散液をバインダー樹脂のポリマー溶液中に混合する方法、或いは逆に分散液中にポリマー溶液を混合する方法等のいずれかの方法を用いてもかまわない。
次にここで得られた分散液は、塗布をするのに適した液物性にするために、種々の溶剤を用いて希釈してもかまわない。このような溶剤としては、例えば前記分散媒として例示した溶媒を使用することができる。電荷発生物質とバインダー樹脂との割合は特に制限はないが一般には樹脂100重量部に対して電荷発生物質が5〜500重量部の範囲より使用される。また必要に応じて電荷輸送物質を含むことができる。電荷輸送物質としては例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン等の有機高分子化合物、フルオレノン誘導体、テトラシアノキシジメタン、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体などの電子吸引性物質、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾールなどの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。電荷輸送物質とバインダー樹脂との割合はバインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が5〜500重量部の範囲により使用される。
この様にして調製された分散液を用いて、切削加工後の基体上或いは下引き層や陽極酸化被膜の形成された基体上に電荷発生層を形成させ、その上に電荷輸送層を積層させて感光層を形成する、或いは該基体上に電荷輸送層を形成しその上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成し感光層を形成する、或いは該基体上に前記分散液を用いて電荷発生層を形成させ感光層とする、のいずれかの構造で感光層を形成することが出来る。電荷発生層の膜厚は電荷輸送層と積層させて感光層を形成する場合0.1〜10μmの範囲が好適であり電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好適である。単層構造で感光層を形成する場合の感光層の膜厚は5〜40μmの範囲が好適である。
電荷輸送層は、上記電荷発生層の上に、バインダー樹脂として優れた性能を有する公知のポリマーと混合して電荷輸送物質と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じて電子吸引性化合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を添加して得られる塗布液を塗布することにより、製造することができる。
電荷輸送層中の電荷輸送物質としては、上記の電荷輸送物質を使用することができる。電荷輸送物質とともに使用されるバインダー樹脂としては種々の公知の樹脂が使用できる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂や硬化性の樹脂が使用できる。とくに摩耗、傷の発生の少ないポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、そのビスフェノール成分としてビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールP、ビスフェノールZ、あるいは、公知の種々の成分が使用出来る。また、これらの成分からなる共重合物であってもよい。電荷輸送物質とバインダー樹脂の配合比率は、バインダー樹脂100重量部に対して例えば10〜200重量部、好ましくは30〜150重量部の範囲で配合される。積層型感光体の場合、電荷輸送層として上記の成分を主成分として形成される。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル類;メチルエチルケトン、2,4−ペンタンジオン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、蟻酸メチル、マロン酸ジメチル等のエステル類;3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素化炭化水素などが挙げられる。もちろんこれらの中から1種または2種以上選択して用いてもよい。好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2,4−ペンタンジオン、アニソール、トルエン、マロン酸ジメチル、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートの中から選択するのが好ましい。
更に、本発明の電子写真感光体の感光層は成膜性、可とう性、塗布性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。更に、感光層の上に、機械的特性の向上及びオゾン,NOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を設けても良い。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよいことは言うまでもない。
本発明において、前記の各層を形成するための塗布操作は、従来公知の塗布方法に従う。例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンナーコーティング法、ブレードコーティング法等を採用して行うことができる。
本発明で用いる画像形成装置としては、モノクロプリンター、複写機、カラープリンター、カラー複写機、ファクシミリなどがあげられる。特に、本発明の感光体は高画質の画像を提供できることから、高解像度の画像形成装置に適している。特に、600dpi以上の解像度の画像を得る画像形成装置にも利用することができる。また、本発明の感光体を使用する画像形成装置においては、通常、従来公知の波長域を有するレーザー光等の光源を利用することで本発明の効果を得ることが出来るが、380nm〜600nmに波長域を有する光源を利用する該画像形成装置においても、本発明の奏する効果は達成されると考えられる。
該画像形成装置には、現像ユニット(帯電器、現像器、定着器、除電器、クリーナー)、電子写真感光体、光学ユニット(露光器)、ホッパー、スタッカー、記録媒体(用紙)を搬送する搬送路、定着ユニット等が設けられている。
ホッパーは、記録媒体(用紙)を搬送路に提供するものである。スタッカーは、記録済みの媒体(印刷済み用紙)を積み重ねて保存するものである。搬送路は、記録媒体(用紙)を搬送するものである。定着ユニットは、電子写真感光体から記録媒体(用紙)に転写された画像を定着するものである。
現像ユニットは、電子写真感光体に形成された静電潜像に現像剤を与えて現像を行うものである。電子写真感光体は、得ようとする画像に応じた静電潜像を作成後、現像ユニットで現像された画像を記録媒体(用紙)に転写するものである。光学ユニットは、各画像データ(情報)により変調されたレーザー光で電子写真感光体上を走査して静電潜像を形成するものである。
画像形成装置の動作を以下説明する。コロトロン、スコロトロン等の帯電器を用いて電子写真感光体表面略均一に帯電するコロナ帯電方式、或いは電圧を印可した導電性の物体を直接感光体表面に接触させ導電性物体の表面から電子或いはイオンを感光体表面に与える接触帯電方式等により電子写真感光体を帯電させる。上位コンピューターは、画像、文字等の情報に基づき印刷指令を送る。上位コンピューターからの印刷指令時に、印刷準備が整っていれば、データ要求を行い、各データーが送られてくると、画像形成装置の光学ユニットで各データに対応して変調されたレーザー光で電子写真感光体上を走査する。これにより、レーザー光が照射された電子写真感光体上の部分は、電荷が除去され、電子写真感光体上に静電潜像が形成される。その後、現像ユニットで電子写真感光体に形成された静電潜像にトナー等の現像剤を与えて、電子写真感光体上に可視像を形成する。次に、記録媒体(用紙)をこの可視像に重ね、記録媒体(用紙)の裏から帯電器で現像剤とは逆の電荷を記録媒体(用紙)に与え、静電力により可視像を記録媒体(用紙)に転写する。転写された可視像は、熱又は圧力により、記録媒体(用紙)に融着されて永久像とする。
一方、転写後の電子写真感光体上の潜像電荷は光により除電される。また、転写されずに残った残留トナー等の現像剤は、クリーナーにより除去する。このようなプロセスを繰り返すことにより連続的に画像形成を行う。また、フルカラー印刷を行う場合には、上述した画像形成プロセスを各色毎に行いカラー画像を得る。
また、記録媒体(用紙)がホッパーで一枚ずつ搬送路に送られ、ベルト状の搬送手段で記録媒体(用紙)が搬送される間に電子写真感光体に形成された可視像を順次記録媒体(用紙)に転写していき、定着ユニットで用紙に転写された像を定着し、最後にスタッカーで印刷済みの記録媒体(用紙)を積み重ねて保管する。
なお、画像形成装置としては、フルカラー印刷を行う場合には、電子写真感光体上に付着したトナー等の現像剤を、一旦一つの中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルト上で各色のトナーを合わせ、カラー可視像とした後、転写手段を用いて記録媒体(用紙)にカラー画像を形成するものであってもよい。
(実施例1)
6000系アルミニウム合金の鋳造を行い、4ポートのダイスを使用して熱間押出し加工により押出管を得た(ポートホール法)。押出管で偏肉0.2mm以下の押出管を得るため、アルミニウムのビレット、及びダイス、コンテナ内を処理前に十分に加熱し、さらにダイスの形状については押出し時にメタルフローがスムーズになるような形状を採用した。押出し後、押出管は押出管の前後の400mm程度を切断し、切断した部分の偏肉を測定して偏肉が0.2mm以下であることを確認した。本実施例においては、該偏肉は0.17mmであった。
この押出管にさらに冷間引抜き加工(1回抽伸)を行い、外径φ30.3mm、内径φ28.5mmの引抜管を得た。この引抜管を丸鋸やレーザーなどで切断を行い、矯正加工をせずに、最終的に外径φ30.3mm、内径φ28.5mm、長さ342mmの引抜管を得た。こうして作られた引抜管を外径基準のコロ振れ測定器(レーザ変位計LS-5040,LS-5500:(株)キーエンス)で中央部の振れを0.08mm以下、管端の振れを0.02mm以下で選別し、さらに内径φ28.5mmをセンター値として幅10μmで層別したものを準備した。
この引抜管を昌運工作所製精密旋盤SPA−5に、外径がφ28.53mmの大きさの内径受けチャック治具を旋盤の軸に対する外径の振れを5μmとして取り付けた。該内径受けチャック治具のしめしろは、引抜管の内径層別幅のセンター値に対して20μmであった。引抜管内径部を該治具の外径部に装着して切削加工を行い、電子写真感光体用基体を得た。該基体の外径はφ30mm、ビッカース硬度は53Hvであった。
該基体を振れ測定器((株)スィンクス)で測定を実施したところ、中央の振れが全て20μm以下となり、良好な結果が得られた。
(実施例2)
引抜管の外径をφ20.3mm、内径をφ18.5mmとしたこと以外、実施例1と同様にして電子写真感光体用基体を得た。該基体を振れ測定器にて測定を実施したところ、中央の振れが全て20μm以下となり、良好な結果が得られた。
(比較例1)
押出管の偏肉を0.4mmとしたこと以外、実施例1と同様にして電子写真感光体用基体を得た。該基体を振れ測定器にて測定を実施したところ、中央の振れが20μmを超えるものが発生し、最大で27μmとなり、実施例よりも切削後精度のバラツキが大きくなった。
(比較例2)
押出管の偏肉を0.4mmとし、引抜管の中央部の外周基準振れが0.15mm、管端の振れが0.05mmであったこと以外、実施例1と同様にして電子写真感光体用基体を得た。該基体を振れ測定器にて測定を実施したところ、中央の振れが20μmを超えるものが発生し、最大で32μmとなり、実施例よりも切削後精度のバラツキが大きくなった。
(比較例3)
押出管の偏肉を0.4mm、内径受けチャック治具外径の大きさをφ28.47mmとしたこと以外、実施例1と同様にして電子写真感光体用基体を得た。該基体を振れ測定器にて測定を実施したところ、中央の振れが20μmを超えるものが発生し、最大で33μmとなり、実施例よりも切削後精度のバラツキが大きくなった。
(比較例4)
押出管の偏肉を0.4mm、内径受けチャック治具の旋盤の軸に対する外径の振れが20μmであったこと以外、実施例1と同様にして電子写真感光体用基体を得た。該基体を振れ測定器にて測定を実施したところ、中央の振れが20μmを超えるものが発生し、最大で41μmとなり、実施例よりも切削後精度のバラツキが大きくなった。

Claims (6)

  1. 表面に感光層が形成されて電子写真感光体が製造される電子写真感光体用基体の製造方法において、
    基体用金属材料を押出加工処理し、偏肉が0.2mm以下である押出管を、
    引抜加工処理し、所定の長さに切断して得られた引抜管の中央部の外周基準振れを0.1mm以下、管端の外周基準振れを0.03mm以下で選別し
    次いで内径受けチャック治具を有する旋盤を用いた切削加工処理を施す
    ことを特徴とする、電子写真感光体用基体の製造方法。
  2. 前記引抜管の内径を測定し、該測定された引抜管の内径を幅20μmで層別して、層別幅の中央値に対して0〜50μmのしめしろを有する前記内径受けチャック治具を用いて、該層別された引抜管に対して切削加工処理を施すことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
  3. 前記引抜管の内径を測定し、該測定された引抜管の内径を幅10μmで層別して、層別幅の中央値に対して0〜50μmのしめしろを有する前記内径受けチャック治具を用いて、該層別された引抜管に対して切削加工処理を施すことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
  4. 前記内径受けチャック治具の旋盤の軸に対する振れを10μm以下として切削加工処理を行うことを特徴とする、請求項2または3に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
  5. 前記電子写真感光体用基体の外径がφ40mm未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体用基体の製造方法
  6. 前記金属材料がアルミニウム製材料であり、その材料硬度がビッカース硬度で40Hv以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体用基体の製造方法
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