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JP4805181B2 - 光結合デバイスの製造方法及び光増幅装置の製造方法 - Google Patents

光結合デバイスの製造方法及び光増幅装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数本の光ファイバが多孔キャピラリに挿入、一体化し、その先端と太径ブリッジファイバの一端とを融着接続して光結合デバイスを製造する光結合デバイスの製造方法、及び該光結合デバイスを用いた光増幅装置の製造方法に関する。この光結合デバイスを用いた光増幅装置としては、光ファイバアンプ、光ファイバレーザ等が挙げられる。
本発明に係る光結合デバイスの製造方法のように、複数本の光ファイバが多孔キャピラリに挿入、一体化し、その先端と太径ブリッジファイバの一端とを融着接続して光結合デバイスを製造する方法において、融点を低下させるフッ素等をドーピングした石英ガラス製の多孔キャピラリを用いる技術、及びそれに類似した融着接続方法は、これまでに知られていない。ただし、融点の異なる光ファイバ同士を低損失で接続する従来技術として、例えば、特許文献1に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、溶融温度が異なる異種の光ファイバを、両端面に貫通した挿入孔を有する融着チューブ内にそれぞれ挿入し、これらの挿入した異種の光ファイバの各端部を前記融着チューブ内の突き合わせ部で対向させ、前記融着チューブの外側近傍に設けた電極による主放電によって、前記異種の光ファイバの各端部を前記融着チューブの外側から融着チューブとともに加熱させて融着接続し、前記主放電の後に行う追加放電によって、前記融着接続された光ファイバの接続部を、前記異種の光ファイバのモードフィールド径が一致するように加熱させることを特徴とする光ファイバの接続方法が開示されている。
特開2001−174662号公報
特許文献1に開示された従来技術は、融点の異なるファイバ同士を高効率で接続することを目的として、細径孔にファイバを挿入して接続を行っている。しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、複数本の光ファイバが多孔キャピラリに挿入、一体化し、その先端と太径ブリッジファイバとを融着接続して光結合デバイスを製造する方法において、融着接続損失の低減を図ることにあり、従って特許文献1に開示された従来技術の課題は、本発明の課題と全く異なっている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、複数本の光ファイバが挿入、一体化された多孔キャピラリと太径ブリッジファイバとを融着接続して、接続損失の低い光結合デバイスを製造する方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、光ファイバ整列用の多数の孔が略平行に穿設された石英ガラス製の多孔キャピラリを用意し、該多孔キャピラリの一端側からそれぞれの孔に光ファイバを挿入し、次いで該多孔キャピラリを加熱して多孔キャピラリと各光ファイバとを融着・一体化し、次いで、該多孔キャピラリの他端と太径ブリッジファイバの一端とを突き合わせ、該接触部分を融着接続して光結合デバイスを得る光結合デバイスの製造方法であって、
前記多孔キャピラリとして、融点を降下させるドーパントを添加し
その融点を前記太径ブリッジファイバの融点よりも低くした多孔キャピラリを用い、且つ多孔キャピラリと太径ブリッジファイバとを融着・一体化した後の熱源パワー停止時に徐冷を行うことを特徴とする光結合デバイスの製造方法を提供する。
本発明の光結合デバイスの製造方法において、前記徐冷において、前記太径ブリッジファイバが硬化した後に、前記多孔キャピラリを硬化させることが好ましい。
本発明の光結合デバイスの製造方法において、前記多孔キャピラリに添加されるドーパントがフッ素であることが好ましい。
本発明の光結合デバイスの製造方法において、前記多孔キャピラリに挿入する光ファイバのクラッドが、純粋石英ガラスからなることが好ましい。
本発明の光結合デバイスの製造方法において、前記多孔キャピラリと前記太径ブリッジファイバとを融着接続する際に、COレーザを用いて接触部を加熱することが好ましい。
本発明の光結合デバイスの製造方法において、前記多孔キャピラリの外径が700μm以上であることが好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係る光結合デバイスの製造方法を用い、前記多孔キャピラリに複数の励起光源及び信号光源の出力用光ファイバが接続された光結合デバイスを作製し、該光結合デバイスの太径ブリッジファイバの延伸・細径化された先端を、希土類添加ダブルクラッドファイバの一端に融着接続し、光増幅装置を得ることを特徴とする光増幅装置の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、ファイバ整列用の石英ガラス製多孔キャピラリにフッ素等の融点を降下させる働きのあるドーパントを添加し、且つこの多孔キャピラリと太径ブリッジファイバの接続後の熱源パワー停止時に徐冷を行うことにより、多孔キャピラリ硬化時の収縮によって発生する軸ずれ方向の力によって太径ブリッジファイバがずれることが無く、レーザ停止時の軸ずれが非常に小さく抑えられ、低損失の光結合デバイスを製造することができる。
また、多孔キャピラリが融け易くなり、太径ブリッジファイバとの接続点形状がなだらかな形状を形成し易くなったため、外部からの応力による破断が少なくなり、接続点の強度が増加し、高強度の光結合デバイスを製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、クラッドポンピング型の光増幅装置の一例を示す構成図である。この光増幅装置は、多数の励起光源3の出力用の光ファイバ2と信号光伝送用の光ファイバ4とが接続されたポンプコンバイナ1(光結合デバイス)と、該ポンプコンバイナ1の先端側に接続された希土類添加ダブルクラッドファイバ5と、その出力側に取り付けられたアイソレータ6とを備えて構成されている。
希土類添加ダブルクラッドファイバは、コアに希土類イオンがドーピングされており、コアの周りに第1クラッドが設けられ、該第1クラッドの周りに第2クラッドが設けられ、第1クラッドに導波構造を持たせたことを特徴とするダブルクラッドファイバである。シングルモード伝播する信号光と、複数の励起光源3から出射するマルチモード光とポンプコンバイナ1により一本の希土類添加ダブルクラッドファイバ5へと結合する。信号光は希土類添加ダブルクラッドファイバ5のコアに、励起光は第1クラッドへと結合され、コアを横切る励起光のエネルギーを希土類イオンが吸収し、その誘導放出現象により信号光を増幅する構成となっている。
このような光増幅装置では、励起光と信号光の高効率での結合がキーテクノロジーとなっており、その役割を果たすポンプコンバイナがキーデバイスとなっている。
本出願人は、図2に示すような構造を有するポンプコンバイナ1を発明し、既に特許出願している(特願2005−225586)。このポンプコンバイナ1は、多孔キャピラリ7の孔内に光ファイバ2,4を挿入し、多孔キャピラリ7の外部から加熱溶融することで、孔を潰して光ファイバと多孔キャピラリとを一体化した後、その先端をブリッジファイバ8と接続した構成になっている。このポンプコンバイナ1により、複数の光ファイバをブリッジファイバ8へと一括融着接続できるだけでなく、多孔キャピラリ7を利用することで、各ファイバの断面形状の変形を抑え、低損失での結合が可能となる。
このポンプコンバイナ1の製造方法によれば、特性に優れたポンプコンバイナ1が得られる。しかし、その製造工程において多孔キャピラリ7とブリッジファイバ8との融着接続に高度な技術が要求されるため、その技術的な改良が望まれていた。前記の融着が難しい理由としては、多くの励起光を接続させるためにブリッジファイバ8の第1クラッド径が一般的に大きく、700〜1000μm程度となっていることが挙げられる。一般的な光ファイバの外径は、125μmで規格化されていることから考えても、ブリッジファイバ8の外径は桁違いに太いことがわかる。
信号光は、シングルモード伝播することから、コア径に制限(コアのモードフィールド径(以下、MFDと記す。)が大きくなると基本モード以外のモードも伝播してしまう)があり、使用する光の波長によって異なるが、通常はコア径6〜20μmの光ファイバが用いられる。そのようなシングルモードファイバとのMFDミスマッチによる接続ロスを低減させ、さらにシングルモード条件とクリアするためにも、ブリッジファイバのコア径も通常のシングルモードファイバと同等のコア径となってしまう。
前記をまとめると、ブリッジファイバはコア径が6〜20μm、第1クラッド径が700〜1000μmと、太径クラッド細径コアを特徴としたファイバであると言える。対する多孔キャピラリ7も中央の孔に信号光伝播用シングルモードファイバを挿入し、周囲の孔に励起光伝播用のマルチモードファイバを挿入し一体化することから、クラッド径700〜1000μm、シングルモードのコア径6〜20μmの光ファイバと見なすことができ、前記多孔キャピラリ7と太径ブリッジファイバ8との融着接続となる。
太径ブリッジファイバ8は、融着接続する際に溶融されなければならない量が多くなる。そのため、熱源から熱を与えている状態から熱源を停止した場合に、両ファイバ間の位置がずれやすくなり、ずれ量も大きくなってしまう問題がある。しかも、接続するファイバはコア径が細いため、両ファイバ間の軸ずれ量に対して接続損失の変化量が大きくなってしまう。そのため、太径クラッドの細径コアファイバは、低損失での融着接続が非常に難しいということがわかる。本発明は、この難しい接続を簡単にし、低損失での融着を実現することを目的とする。
本発明は、光ファイバ一体化後の多孔キャピラリ7の先端と太径ブリッジファイバ8との低損失接続を実現させるために、ファイバ整列用の多孔キャピラリとして、フッ素等の融点を降下させる働きのあるドーパントを添加した石英ガラスか2らなる多孔キャピラリ7を用いたことを特徴とする。多孔キャピラリ7におけるフッ素ドープ濃度は、0.5質量%以上の範囲が望ましく、1.2質量%以上の範囲が特に好ましい。融点を降下させた石英ガラスからなる多孔キャピラリ7に複数の励起光伝播用マルチモードファイバ、中心孔に信号光伝播用のシングルモードファイバをそれぞれ挿入し、加熱一体化する。挿入する光ファイバ2,4は、クラッドが純粋石英ガラスからなるものを使用することが望ましい。
作製した多孔キャピラリ7は、一体化後の端面に占める挿入したファイバ部の面積が40%程度であり、断面積の半分以上が元々の多孔キャピラリ7によって占められている。多孔キャピラリ7と挿入した光ファイバ2,4の間での融点の差を形成することにより、多孔キャピラリ7の方が早く溶解するとともに、熱源停止時に遅く硬化する状態を作ることができる。
多孔キャピラリ7と太径ブリッジファイバ8とを融着接続する場合には、多孔キャピラリ7の中心に挿入したシングルモードファイバ(光ファイバ4)のコアと太径ブリッジファイバ7のコアとを調心し、両者の端面を近接させて太径ブリッジファイバ7を選択的にCOレーザで加熱する。加熱範囲を精密に位置決めできることと、熱源としてのパワーを得る為に、熱源にはCOレーザを用いることが望ましい。また、ファイバの曲がりを抑えるために、加熱範囲はファイバ長手方向に狭いことが望ましい。
両者の端面が溶融したところで、端面を押し込み接続する。接続後、COレーザを停止するが、この時COレーザのDuty比を徐々に下げることにより徐冷を行うことを第2の特徴とする。このことにより、多孔キャピラリ7と太径ブリッジファイバ8との融点差を生かし、太径ブリッジファイバ8を硬化させた後に多孔キャピラリ8を硬化させる時間差を作ることができる。したがって、多孔キャピラリ硬化時には太径ブリッジファイバ8が既に硬化した後であり、多孔キャピラリ硬化時の収縮によって発生する軸ずれ方向の力によって太径ブリッジファイバがずれることが無く、レーザ停止時の軸ずれが非常に小さく抑えられる。その結果、低損失の光結合デバイスを製造することができる。
さらに、太径ブリッジファイバ8と多孔キャピラリ7との接続点において、多孔キャピラリの融点が降下されたことから、多孔キャピラリが融け易くなり、太径ブリッジファイバとの接続点形状がなだらかな形状を形成し易くなった。そのため外部からの応力による破断が少なくなり、接続点の強度が増加し、高強度の光結合デバイスを製造することができる。
図2に示す光結合デバイスの製造方法において、多孔キャピラリ7にフッ素をドープした石英ガラスを用いたことによる、接続損失低減の効果を調べた。
図3は、クラッド径1mmコア径6μmの太径シングルモードファイバ(太径ブリッジファイバ)と、中心孔にシングルモードファイバを挿入し、周囲の孔にマルチモードファイバを挿入した多孔キャピラリとの接続実験の結果を、多孔キャピラリへのドーパントの有無毎にまとめたものである。フッ素ドープ濃度は1.2質量%とした。
図3の結果から、フッ素をドープして融点を下げた石英ガラスからなる多孔キャピラリを用いることにより、得られる光結合デバイスの接続損失が低減されていることがわかる。
光増幅装置の構成を例示する構成図である。 本発明に係る光結合デバイスの製造方法を説明する斜視図である。 実施例の結果を示すグラフである。
符号の説明
1…ポンプコンバイナ(光結合デバイス)、2…光ファイバ、3…励起光源、4…光ファイバ、5…希土類添加ダブルクラッドファイバ、6…アイソレータ、7…多孔キャピラリ、8…太径ブリッジファイバ。

Claims (7)

  1. 光ファイバ整列用の多数の孔が略平行に穿設された石英ガラス製の多孔キャピラリを用意し、該多孔キャピラリの一端側からそれぞれの孔に光ファイバを挿入し、次いで該多孔キャピラリを加熱して多孔キャピラリと各光ファイバとを融着・一体化し、次いで、該多孔キャピラリの他端と太径ブリッジファイバの一端とを突き合わせ、該接触部分を融着接続して光結合デバイスを得る光結合デバイスの製造方法であって、
    前記多孔キャピラリとして、融点を降下させるドーパントを添加し
    その融点を前記太径ブリッジファイバの融点よりも低くした多孔キャピラリを用い、且つ多孔キャピラリと太径ブリッジファイバとを融着・一体化した後の熱源パワー停止時に徐冷を行うことを特徴とする光結合デバイスの製造方法。
  2. 前記徐冷において、
    前記太径ブリッジファイバが硬化した後に、前記多孔キャピラリを硬化させることを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイスの製造方法。
  3. 前記多孔キャピラリに添加されるドーパントがフッ素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光結合デバイスの製造方法。
  4. 前記多孔キャピラリに挿入する光ファイバのクラッドが、純粋石英ガラスからなることを特徴とする請求項に記載の光結合デバイスの製造方法。
  5. 前記多孔キャピラリと前記太径ブリッジファイバとを融着接続する際に、COレーザを用いて接触部を加熱することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光結合デバイスの製造方法。
  6. 前記多孔キャピラリの外径が700μm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光結合デバイスの製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光結合デバイスの製造方法を用い、前記多孔キャピラリに複数の励起光源及び信号光源の出力用光ファイバが接続された光結合デバイスを作製し、該光結合デバイスの太径ブリッジファイバの延伸・細径化された先端を、希土類添加ダブルクラッドファイバの一端に融着接続し、光増幅装置を得ることを特徴とする光増幅装置の製造方法。
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