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JP4803511B2 - 抗真菌医薬組成物 - Google Patents

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JP4803511B2 JP2000255152A JP2000255152A JP4803511B2 JP 4803511 B2 JP4803511 B2 JP 4803511B2 JP 2000255152 A JP2000255152 A JP 2000255152A JP 2000255152 A JP2000255152 A JP 2000255152A JP 4803511 B2 JP4803511 B2 JP 4803511B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗真菌医薬組成物に関し、更に詳細には、爪白癬症に好適な抗真菌医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
真菌症は、少し前には、「水虫の完全な治療薬を開発すればノーベル賞がもらえる」と言う伝説が存在するほど、完治が困難な疾病であった。真菌症には、大きく分けると、表在性真菌症と深在性真菌症に分けられ、表在性真菌症には1)手足に生ずる手・足白癬、2)体に生ずる生毛部白癬、3)股に生ずる股部白癬、4)爪に生ずる爪白癬等が存在する。この内、皮膚に生ずる真菌症については、効果に優れるブテナフィンやテルビナフィンなどの新規抗真菌剤の開発により、克服されつつあるが、爪白癬については、未だ決定的な手段が見いだされていない。爪白癬の治療法は、テルビナフィンの長期経口投与による治療が有効であることが知られているが、長期経口投与による副作用の可能性は低くはなく、局所投与での克服手段が求められていた。爪白癬症における局所投与による治療は、今までは、その厚いハードケラチン層に薬剤の浸透が阻まれて、有効性が得られていなかった。又、爪白癬症に使用される局所投与外用剤としてはアモロルフィンの局所投与外用剤が知られているが、このアモロルフィンの局所投与外用剤の爪白癬症への有効性はさほど高くないことが知られている。
【0003】
テルビナフィンは抗真菌剤として知られており、その製造方法も既に公知である。又、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、尿素、プロピレングリコール及びピロリドンカルボン酸ナトリウムは被膜形成剤或いは保湿剤として既に広く知られている。しかしながら、これらを組み合わせて抗真菌医薬組成物を作成すること、特に、爪白癬症用の医薬組成物を作成することは全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様状な況下為されたものであり、抗真菌症、取り分け爪白癬症に好適な医薬組成物を提供することを課題とする。
【0005】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、抗真菌症取り分け、爪白癬症に好適な医薬組成物を求め、鋭意研究努力を重ねた結果、1)テルビナフィン及び/又はその塩0.1〜10重量%と2)被膜形成剤として、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩0.5〜30重量%と3)アジピン酸ジイソプロピル5重量%を含有させることにより、この様な特質を備えた医薬組成物が得られることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す技術に関するものである。
(1)1)テルビナフィン及び/又はその塩0.1〜10重量%と2)被膜形成剤として、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩0.5〜30重量%と3)アジピン酸ジイソプロピル5重量%を含有することを特徴とする、抗真菌医薬組成物。
(2)爪白癬症用であることを特徴とする、(1)に記載の抗真菌医薬組成物。
以下、本発明について、実施の形態を中心に更に詳細に説明を加える。
【0006】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の医薬組成物の必須成分である、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、尿素、プロピレングリコール及びピロリドンカルボン酸ナトリウムから選ばれる1種乃至は2種以上
本発明の医薬組成物は、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、尿素、プロピレングリコール及びピロリドンカルボン酸ナトリウムから選ばれる1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする。これらの内、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩及びN−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体は、既に、化粧料などの皮膚外用剤において、被膜形成剤として知られており、通常はパック化粧料やネールエナメル料などの被膜形成剤として使用される。これらは、何れも化粧料グレードのものが市販されており、この市販されているものを利用することも出来る。又、尿素、プロピレングリコール及びピロリドンカルボン酸ナトリウムは、化粧料などの皮膚外用剤において、保湿剤として使用されている。これらの入手に関しても市販品が存在し、この様な市販品を利用することが出来る。これらの成分の内、好ましいものは、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体であり、これらの何れか一方或いは両方を用いることが好ましい。これらに加えて、更に、尿素、プロピレングリコール及びピロリドンカルボン酸ナトリウムから選ばれる1種乃至は2種以上を含有させることが更に好ましい形態である。本発明の医薬組成物においては、これらの成分は、抗真菌剤である下記に示すテルビナフィンやその塩が爪中へ浸透するのを助ける作用を有する。これらの成分の好ましい含有量は、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.5〜30重量%が好ましく、更に好ましくは1〜20重量%である。これは、少なすぎると、薬物の爪などの生体組織中へ浸透させる作用が得られない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになったり、かえって薬物浸透を阻害したりする場合があるからである。
【0007】
(2)本発明の医薬組成物の必須成分であるテルビナフィン及び/又はその塩
本発明の、医薬組成物は上記のビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、尿素、プロピレングリコール及びピロリドンカルボン酸ナトリウムから選ばれる1種乃至は2種以上以外に、抗真菌作用の有効成分としてのテルビナフィン及び/又はその塩を含有することを特徴とする。テルビナフィンは既に抗真菌剤と使用されておりその製造方法も既に知られている。即ち、対応するN−メチルアミノナフタレンと1−クロロ−6,6−ジメチルヘプテン−4−インとをアルカリ存在下縮合することにより得ることが出来る。このものの塩としては、ナフタレン環に結合している置換アミノ基と塩を形成するものであれば、特段の限定無く適用でき、例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩などの有機酸塩などが好ましく例示でき、塩酸塩が特に好ましい。これらは唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明の医薬組成物に於けるこれらテルビナフィン及び/又はその塩の好ましい含有量は、医薬組成物全量に対して、総量で0.1〜10重量%であり、更に好ましくは0.5〜7重量%である。
【0008】
(3)本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物は、上記必須成分を含有することを特徴とする。本発明の医薬組成物の投与経路は特段の限定はされないが、その効果より、局所投与、即ち、爪を含めた皮膚外用剤として使用することが好ましい。この様な適用で特に好ましいのは、他に類を見ない効果を発揮する爪であるが、皮膚に於ける浸透性も優れるため、皮膚に適用することも本発明の技術的範囲に属する。本発明の医薬組成物においては、上記必須成分以外に通常医薬組成物で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス,オレイン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、ラウリルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、上記必須成分ではないアクリル酸系樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系被膜形成剤、トリアセチン、フタル酸ジエチル、カプリル酸グリセリル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、炭酸プロピレン、炭酸エチレンなどの可塑剤、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を好ましく例示できる。これらの必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明の医薬組成物は製造することが出来る。
【0009】
【実施例】
以下に、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がこの様な実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0010】
<実施例1、参考例1〜4
以下に示す処方に従って、本発明の医薬組成物を作製した。即ち、処方成分を室温で攪拌可溶化し、本発明の医薬組成物及び参考例の医薬組成物を得た。これらのサンプルについて、ブタの爪を用いて、塩酸テルビナフィンの爪浸透性を見た。即ち、ブタの爪を20μmの厚さにスライスし、表側にシリコーンゴム接着剤により、テフロン製Oリングを接着し、上記実施例1の医薬組成物を5μlアプライし、37℃、30分の条件で乾燥させた。バイアル瓶中にグラスフィルターを置き、この上に前記Oリング付きブタ爪を静かに置いた。グラスフィルターにPBSを1ml加え、湿らせた。これに密栓をし、37℃で1週間保存した。保存後、フィルターとPBSより、メタノールで薬剤を回収し、高速液体クロマトグラフィーで定量し、薬剤の爪透過度を算出した。添加成分にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを用いた比較例1とセラックを用いた比較例2も同様に検討した。これらの結果を表1に示す。これより、本発明の医薬組成物が優れた爪浸透性を有することが判る。
添加成分* 5重量部
水 4重量部
アジピン酸ジイソプロピル 5重量部
塩酸テルビナフィン 5重量部
エタノール 81重量部
【0011】
【表1】
Figure 0004803511
【0012】
<実施例6>
下記処方に従って、本発明の医薬組成物を作製した。即ち、処方成分を室温で攪拌可溶化し、本発明の医薬組成物を得た。このものは添加成分単独よりも優れた薬物の浸透促進作用を有していた。
ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチル
メタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩 5 重量部
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1 重量部
水 3 重量部
プロピレングリコール 5 重量部
尿素 1 重量部
塩酸テルビナフィン 5 重量部
エタノール 80 重量部
【0013】
<実施例7>
下記処方に従って、本発明の医薬組成物を作製した。即ち、処方成分を室温で攪拌可溶化し、本発明の医薬組成物を得た。このものは添加成分単独よりも優れた薬物の浸透促進作用を有していた。
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム
−α、N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル
共重合体 5 重量部
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1 重量部
水 3 重量部
プロピレングリコール 5 重量部
尿素 1 重量部
塩酸テルビナフィン 5 重量部
エタノール 80 重量部
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、抗真菌症取り分け、爪白癬症に好適な医薬組成物を提供することができる。

Claims (2)

  1. 1)テルビナフィン及び/又はその塩0.1〜10重量%と2)被膜形成剤として、ビニルピロリドン−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩0.5〜30重量%と3)アジピン酸ジイソプロピル5重量%を含有することを特徴とする、抗真菌医薬組成物。
  2. 爪白癬症用であることを特徴とする、請求項1に記載の抗真菌医薬組成物。
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