JP4899480B2 - 定着装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、このように温度センサの温度検知情報や環境センサによる環境情報を適宜取り込むことによる温度制御だけでは、例えば、新たに給紙カセットに用紙をセットした直後などにジョブが開始されると、装置内の雰囲気温度と用紙表面との間に温度差があるため、用紙挿通時に加熱定着部材の表面温度が大きく変化してしまい、トナー像の定着性にバラツキが生じてしまうという不具合が生ずる。
そこで、特許文献1には、用紙の通過前と通過後とで加熱定着部材の表面温度を検知し、この検知情報に基づいて加熱定着部材の温度制御を行うようにした技術が提案されている。
このような技術によれば、用紙毎に加熱定着部材の表面温度の温度制御が行われるため、安定したトナー定着性を得ることができる。
また、定着装置4は、加熱定着を対象とし、記録材5をニップ搬送する一対の加熱定着部材1を有していればよく、その態様はロール対構成のほか、ベルトとロールとの組み合わせであってもよいし、ベルト対構成であってもよい。
更に、加熱定着部材1の加熱方法としては、内部に熱源を有して自身で加熱を行う態様や、内部に熱源を有して自身で加熱を行うと共に外部加熱部材によって加熱定着部材1を補助的に加熱する態様のほか、内部に熱源を有さずに外部加熱部材にて加熱定着部材1を加熱する態様であってもよく、適宜選定して差し支えない。
更にまた、温度センサ2としては、加熱定着部材1の表面温度を検知可能なものであれば適宜選定して差し支えない。
この場合、判断要素3aは、記録材5が加熱定着部材1に突入してから所定の時間を温度降下量判断時間として予め設定し、少なくとも記録材5が加熱定着部材1に突入したときの加熱定着部材1の温度と、所定時間経過後の加熱定着部材1の温度とを温度センサ2から取り込み、その差を計測することによって温度降下量を判断する。
このように温度降下量判断時間を可変設定にすることにより、例えばプロセススピードが異なる場合でも、それに対応して温度降下量を正確に判断することができる。
「閾値基準温度、通常制御温度及び補正制御温度の少なくともいずれか一つ」とは、この三つの中から任意に選択した一つでもよいし、任意に選択した二つでもよいし、全てでもよいという趣旨である。
この場合、閾値基準温度を可変設定することにより、使用環境条件に応じた適切な切分け調整が可能である。
また、通常制御温度を可変設定することにより、使用環境条件に応じた適切な通常制御温度に設定できる。
更に、補正制御温度を可変設定することにより、使用環境条件に応じた補正制御温度に設定でき、加熱定着部材1を適切な表面温度に保つことができる。
ここでいう使用環境条件とは、画像密度、白黒/カラー及び両面/片面等の作像条件のほか、紙種、環境条件等を広く含むものである。
このように、閾値基準温度、通常制御温度及び補正制御温度の少なくとも一つを適宜可変設定することにより、加熱定着部材1の温度を適切な温度に切分け調整することができる。
すなわち、作像処理枚数が少ない場合、排出された記録材5は例えばフラットな面の排出トレイに載置されると、自重と放熱により、ある程度カールを矯正することができるが、一枚あたりの曲率は小さくても、収容部での多数枚の積み重ねで収容性不良が発生することがある。そのため、所定枚数以上の作像処理時に加熱定着部材1の制御温度可変調整処理を行うことが有効である。この場合、所定枚数については、紙種や環境条件等からカールの発生し易い条件に応じて適宜選定して差し支えない。
本態様によれば、記録材5の種類が異なれば、例えば搬送スピードも異なり、搬送スピードに対応して温度降下量判断時間を可変設定することができる。この場合、例えば普通紙と厚紙とで温度降下量判断時間を等しく設定すると、プロセススピードの速い普通紙では、厚紙に比べて初期に排出される記録材5の枚数が多くなり、記録材5が積み重なる所謂スタック時にカールの発生が懸念されるが、本態様では普通紙の温度降下量判断時間を短く設定することが可能である。
また、例えば白黒専用の画像形成装置などでプロセススピードが変更できないタイプのものであっても、普通紙の場合は、厚紙に比べて用紙間のスパンを狭めて定着が行われ生産性(排出量)を上げているため、初期に排出される枚数の増加に伴いカールの発生が懸念されるが、本態様では普通紙の温度降下量判断時間を短く設定することが可能である。
したがって、本態様によれば、記録材5の種類に応じて記録材5が数枚走行する程度の時間に温度降下量判断時間を設定することができる。
この場合、単色作像モードは代表的には白黒作像モードであるが、これに限らず、他の色であっても差し支えない。また、複数色作像モードは、2色以上のトナーが用いられる作像モードであり、代表的にはフルカラー作像モードが挙げられる。
一般に、単色作像モードでは、複数色作像モードに比べてプロセススピードを上げており、その分、スタック量が多くなってしまうため、温度降下量判断時間を短くするとよい。ただし、単色作像モード及び複数色作像モードにおいて、記録材5の種類及びプロセススピードが同等であれば、同じ温度降下量判断時間に設定しても差し支えない。
この場合、記録材5の種類に対応させるようにしたのは、記録材5の熱吸収量が坪量に比例するものであり、同じプロセススピード及び生産性であれば坪量の大きい厚紙などの記録材5の方が温度降下量も大きくなる傾向にあるためである。本態様によれば、例えば坪量の低い薄紙では加熱定着部材1の表面温度の温度降下量が小さいため、閾値基準温度を小さく設定でき、また、最低定着温度も低いため補正制御温度を低く設定できる。更に、薄紙では、通常制御温度も低く設定することができる。
このように、記録材5の種類に応じて、閾値基準温度、通常制御温度及び補正制御温度の少なくともいずれか一つを可変設定することにより、記録材5に対応した適切な制御温度に調整することができる。
この場合、作像条件とは、複数色/単色の作像モードや、片面/両面の画像形成モードのほか、画像密度が挙げられる。
本態様によれば、作像条件に応じた温度に各可変設定条件を設定することにより、作像条件に対応した適切な制御温度に調整することができる。
このような態様であれば、定着処理中に紙種変更や作像条件変更が行われたとしても、それに対応した制御が行われるため、適切な温度を保つことができる。
本態様によれば、環境条件に応じた温度に各可変設定条件を設定することにより、環境条件に影響されることなく安定した温度制御を行うことができる。
今、記録材5が定着装置4内に未進入の状態にあるとすると、このときの加熱定着部材1の表面温度は通常制御温度に保たれている。
そして、定着装置4内に記録材5が突入すると、記録材5及び記録材5上の未定着トナー像が加熱定着部材1の熱を奪い、加熱定着部材1の表面温度が低下する。このとき、温度センサ2は少なくとも記録材5の加熱定着部材1の突入時の温度と温度降下量判断時間経過後の温度とを測定し、この検知情報を制御装置3に送出する。
また、制御装置3は、温度センサ2からの検知情報に基づき、前記温度降下量判断時間内の加熱定着部材1の温度降下量を計測する。
更に、制御装置3は、温度降下量が予め決められた閾値基準温度未満か否かを判断し、温度降下量が閾値基準温度以上であれば通常制御温度に、それ以外であれば補正制御温度に切分け調整する。
すなわち、制御装置3は、図中実線で示すように温度降下量が閾値基準温度よりも小さい場合には、制御温度を補正制御温度に調整する。一方、制御装置3は、図中点線で示すように、温度降下量が閾値基準温度以上の場合には、記録材5の突入前と同じ通常制御温度を保持するように調整する。
特に、本発明では、一枚当たりのカールの曲率は小さくても、収容部での多数枚の積み重ねで収容性不良が発生することがあるため、予め決められた規定枚数以上の作像処理時に加熱定着部材の制御温度可変調整処理を行うことが有効である。
更に、記録材の搬送速度に応じて温度降下量判断時間を可変設定することにより、例えばプロセススピードが異なる場合でも、それに対応して温度降下量を正確に判断することができる。
また、このような定着装置を備えた画像形成装置によれば、複数枚印刷の出力時に記録材の積み重ねに伴って顕著に発生するカールを有効に防止することができる。
◎実施の形態1
図3は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。同図において、本実施の形態の画像形成装置は、画像を作成するプリンタ装置10を備え、プリンタ装置10の上部に原稿を読み取るための画像読取ユニット11配設し、更に、その上方に画像読取ユニット11に原稿を送るための原稿送り装置12を配設したものである。
また、プリンタ装置10は、プリンタ筐体13の下部に用紙などのシートを供給する多段のシートトレイ51〜53を配設し、その上方にはシートトレイ51〜53からのシートにカラー画像が形成可能な作像エンジン20を設けると共に、この作像エンジン20の対向部にはシートトレイ51〜53からのシートの搬送路となるシート搬送路60と、作像エンジン20のシート搬送方向下流側にはシート上の未定着トナー像を定着する定着装置40とを配設したものである。
また、シートトレイ51〜53の近傍にはシートを所定のタイミングで送り出すピックアップロール65と、シートを捌くナジャロール66とリタードロール67とを備え、最上部の1枚のシートのみが送出可能になっている。
そして、主搬送路62には、シートの位置決め規制を行うレジストロール54、中間転写ベルト30上で多重化されたトナー像を一括転写する二次転写装置35、トナー像が一括転写されたシートを搬送する搬送ベルト55、トナー像をシートに定着する定着装置40及びプリンタ筐体13の側方に設けられシートを収容する収容トレイ57にシートを排出する排出ロール56等が設けられている。
尚、これらの搬送路61〜64には、シートの搬送を確実にする搬送ロールや搬送ガイド等の搬送部材が適宜配設されている。
本実施の形態において、定着ロール41は、機械的強度に優れ且つ熱伝導性が良好なアルミニウム等の金属製の円筒状のコア41aと、このコア41aの表面に形成されたシリコーンゴム等の弾性層41bと、この弾性層41bの表面に被覆され、シートS上の未定着トナー像Tのオフセットを防止するために設けられた離型層41cとを備え、その内部に加熱源としてのハロゲンランプ等のヒータ42を配置したものである。
また、弾性層41bとしては、シリコーンゴムに限らず、耐熱性を備えていれば、例えばフッ素系ゴム等も使用でき、コア41a表面に対する成形方法も特に制限されず、注入成形法やコーティング法等が採用される。
更に、離型層41cとしては、耐熱性があり、トナーに対する適度な離型性を備えるものであればよく、例えばフッ素系ゴムやフッ素系樹脂等が使用される。
更にまた、定着ロール41内部のヒータ42としては、コア41a内部に収容できる形状、構造のものであれば特に制限されず、適宜選定して差し支えない。
また、定着ベルト43の基材としては、耐熱性を有すれば、例えば熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂基材や、ステンレス、ニッケル、銅等の金属基材が用いられる。また、離型層としては、表面に付着するトナーの剥離性が良好なものがよく、その材質としては、例えばフッ素系樹脂が用いられる。
また、この加圧パッド46は、断面略凹状の保持部材48に嵌合するように配設される一方、定着ベルト43側には表面に定着ベルト43との摩擦抵抗を小さく維持し、定着ベルト43の回転を一層スムーズにさせるために、例えばフッ素系樹脂シートからなる低摩擦シート46aを設けたものである。
また、保持部材48は、その下部側に設けられた支持部材44にて支持され、更に、この支持部材44の下部側には、断面略円弧面のベルト走行ガイド45が取り付けられている。そして、保持部材48には図示しないバネが取り付けられており、これにより、当該保持部材48に嵌合する加圧パッド46を介して定着ベルト43が定着ロール41側に向かって付勢するようになっている。
一方、制御装置80には制御信号が定着装置40へ送出可能に接続されている。
更に、制御装置80は、マイクロコンピュータシステムからなり、制御部としてのCPU、ROM、RAMなどを有しROM内には処理プログラムなどが予め格納されており、CPUは各プログラムを実行し、各入力情報に基づいて、温度降下量判断時間、閾値基準温度、補正制御温度及び通常制御温度を可変設定するものである。
図6(a)にはユーザインタフェース100の通常画面を示す。同図に示すように、ユーザインタフェース100の通常画面には「基本コピー(101)」、「画質調整(102)」、「読み取り方法(103)」、「出力形式(104)」、「ジョブ編集(105)」の各設定が変更可能に表示されおり、今、「基本コピー(101)」の画面が示されている。
この画面では、「倍率選択(111)」、「用紙選択(112)」、「カラーモード(113)」の各設定についてボタン表示されており、今、「倍率選択(111)」が「100%(121)」に、「用紙選択(112)」が「A4(122)」に、「カラーモード(113)」が「白黒(123)」に選択されている。また、例えば、「セット(107)」が50に選定されており、作像処理枚数が50枚に設定されている。
この選択された情報が、ユーザ入力情報として、制御装置80へ送出されるようになっている。
この画面において、「用紙サイズ(131)」の設定としては「自動サイズ検知(141)」、「定形サイズ(142)」、「非定形サイズ(143)」がボタン表示されており、ボタンを選択すると、所定の用紙サイズが選定される。
また、同様に、「用紙種類(132)」の設定には「普通紙(145)」、「再生紙(146)」、「厚紙1(147)」、「厚紙2(148)」、「OHPフィルム(149)」がボタン表示されており、選択するボタンを押すと、所定の紙種に設定されると共に、この入力された紙種情報が制御装置80に送出されるようになっている。
また、シート搬送系は、シートトレイ51からシートを1枚送り出し、垂直搬送路61のリタードロール67を介して主搬送路62のレジストロール54まで搬送すると、このレジストロール54にて一旦停止させる。この後、シートは、シート上への画像書き込みタイミングに合わせて二次転写装置35に搬送され、中間転写ベルト30上のモノクロトナー像が当該シート上に転写される。そして、このシートは、搬送ベルト55を通り、定着装置40に搬送され、定着装置40にてシート表面の未定着トナー像が定着された後に、収容トレイ57に排出される。
また、両面画像形成モードの場合、定着後のシートは、退避搬送路63に搬送され、反転搬送路64にて反転した後、再度主搬送路62のレジストロール54まで搬送される。そして、当該シートは、レジストロール54にて一旦停止してから、二次転写装置35にてシートのもう一方の面に中間転写ベルト30上のトナー像が転写され、定着装置40にてトナー定着が行われた後、収容トレイ57に排出される。
本実施の形態において、制御装置80には、ユーザ入力150からの情報として、作像処理枚数に50枚、紙種に普通紙、作像条件に白黒作像モード、画像形成条件に片面画像形成モードが入力されている(図5参照)。また、制御装置80は、作像処理枚数が例えば50枚以上の場合に、定着ロール41の制御温度可変調整処理を行うようになっており、前記入力情報に基づいて作動するようになっている。尚、制御装置80が作動する作像処理枚数の規定値は、例として50枚としているが、これに限られるものではなく、紙種や環境条件等に応じて適宜選定して差し支えない。
ここで、制御装置80は、シートの定着装置40への突入時から所定の時間を温度降下量判断時間として予め設定する。
そして、定着ロール41内にシートが突入すると、シート及びシート上のトナー像が定着ロール41の熱を奪い、定着ロール41の表面温度は低下する。このとき、温度センサ49は少なくともシートの定着ロール41突入時の温度と所定の時間経過後の温度とを測定し、この検知情報を制御装置80に送出する。
また、制御装置80は、温度センサ49からの検知情報に基づき、温度降下量判断時間内の定着ロール41表面の温度降下量を計測する。
すなわち、図8中実線に示すように、制御装置80は、温度降下量が閾値基準温度よりも小さい場合に、制御温度を補正制御温度に調整する。一方、図中点線で示すように、温度降下量が閾値基準温度以上の場合に、制御装置80は通常制御温度を保持するように調整する。
また、本実施の形態においては、制御装置80が温度降下量を測定し、閾値基準温度と比較して制御温度の変更の可否を制御しているが、このような態様に限られず、予め決められた通常制御温度から閾値基準温度を差し引いた温度を切替判別温度として設定しておき、温度降下量判断時間経過後の温度が前記切替判別温度以上か否かによって制御温度を切分け調整するようにしてもよい。すなわち、図中実線で示すように、判断時間経過後の定着ロール41の表面温度が切替判別温度よりも高い場合に制御温度を補正制御温度に調整し、一方、図中点線で示すように、定着ロール41の表面温度が切替判別温度以下のときに通常制御温度を保つように調整することもできる。
すなわち、作像処理枚数が規定枚数以上であれば、紙種、画像密度、環境条件、白黒/カラーの作像条件、両面/片面の画像形成条件等に応じて、可変設定された温度降下量判断時間内の温度降下量に基づいて、可変設定された補正制御温度または可変設定された通常制御温度に切分け調整するようにしたものである。より具体的には、制御装置80は、温度降下量が可変設定された閾値基準温度未満か否かを判断し、温度降下量が閾値基準温度以上のときに通常制御温度に、それ以外の時に補正制御温度に切分け調整することが可能である。尚、ここでは、温度降下量判断時間、閾値基準温度、補正制御温度及び通常制御温度の可変設定条件のうち全てを可変設定した場合について説明したが、これに限られるものではなく、使用環境条件に応じて夫々適宜可変設定すればよい。
尚、各条件に応じて、可変設定条件を可変にした態様の詳細については後述する実施例で説明する。
本実施の形態によれば、普通紙や薄紙等の坪量の低い用紙を定着する際に、過剰な加熱により発生してしまうカールを有効に防止することが可能な定着装置を提供することができる。
更に、シート毎の個別の使用環境条件に応じて制御装置80の可変設定条件を可変設定すれば定着ロール41の温度をより的確な温度制御を行うことができる。
実施例1は、実施の形態1に係る画像形成装置と同様のものを用い、紙種に応じて温度降下量判断時間を可変にし、定着ロール41の温度制御を行ったものである(図10参照)。
本実施例における主な設定及び条件は、以下のとおりである。
・紙種:普通紙、厚紙
・温度降下量判断時間:普通紙 4秒、厚紙 6秒
すなわち、ユーザ入力情報としてユーザインタフェース100の「用紙種類(132)」が「普通紙(145)」または「厚紙1(147)」に選定されているとすると、この入力情報に基づいて温度降下量判断時間が可変設定される(図6(b)参照)。
すなわち、図10に示すように、普通紙、厚紙夫々の態様において、温度降下量判断時間経過後の定着ロール41の温度降下量が閾値基準温度未満であれば、制御温度が補正制御温度に切分け調整される。尚、温度降下量が閾値基準温度以上であれば、通常制御温度に切分け調整される。
このように紙種により温度降下量判断時間を可変設定することにより、厚紙に比べてプロセススピードの速い普通紙を用いた態様において、初期に排出される用紙の枚数を低減させることができ、スタック時のカールを抑えることができる。
実施例2は、実施例1において、制御装置80が用紙の種類に応じて閾値基準温度及び補正制御温度を夫々可変設定するようにしたものであり、より適正な温度制御を行うことができる(図11参照)。
本実施例における主な設定及び条件は、以下のとおりである。
・紙種:普通紙、厚紙
・温度降下量判断時間:普通紙 4秒、厚紙 6秒
・閾値基準温度:普通紙 5℃、厚紙 7℃
・補正制御温度:普通紙 −10℃、厚紙 −7℃
尚、通常制御温度を188℃に設定して表記すると共に、同図において、閾値基準温度のほかに閾値基準温度を絶対温度として表した切替判別温度も表記している。
本実施例において、用紙の坪量と用紙の熱吸収性とは比例関係にあるため、同じプロセススピード及び生産性であれば温度降下量は坪量の大きい厚紙の方が熱吸収量も大きくなる。したがって、坪量の低い普通紙などは、定着ロール41の温度降下量が小さいため、閾値基準温度を小さく設定すればよい。また、普通紙は最低定着温度も低いため補正制御温度も低く設定すればよい。また、通常制御温度は、普通紙の場合に低く設定するなど、適宜可変設定して差し支えない。
このような設定下において、定着ロール41の制御温度は、図11に示すように、普通紙、厚紙夫々の態様において、温度降下量判断時間経過後の温度降下量が夫々閾値基準温度未満であれば、制御温度が補正制御温度に切分け調整される。尚、温度降下量が閾値基準温度以上であれば、通常制御温度に切分け調整される。
このように紙種により温度降下量判断時間、閾値基準温度及び補正制御温度を可変設定することにより、適正な温度制御を行うことができる。
実施例3は、実施の形態1に係る画像形成装置と同様のものを用い、白黒作像モードまたはカラー作像モードの作像条件に応じて温度降下量判断時間を可変にし、定着ロール41の温度制御を行ったものである(図12参照)。
本実施例における主な設定及び条件は、以下のとおりである。
・作像条件:白黒作像モード、カラー作像モード
・温度降下量判断時間:白黒作像モード2秒、カラー作像モード4秒
すなわち、ユーザ入力情報としてユーザインタフェース100の「カラーモード(113)」が「白黒(123)」または「フルカラー(125)」に選定されているとすると、この入力情報に基づいて温度降下量判断時間は可変設定される(図6(a)参照)。
すなわち、図12に示すように、白黒作像モード、カラー作像モード夫々の態様において、温度降下量判断時間経過後の定着ロール41の温度降下量が閾値基準温度未満であれば、制御温度が補正制御温度に切分け調整される。
このように作像条件により温度降下量判断時間を可変設定することにより、カラー作像モードに比べてプロセススピードの速い白黒作像モードにおいて、初期に排出される用紙の枚数を低減させることができ、スタック時のカールを抑えることができる。
実施例4は、実施例3において、制御装置80が白黒作像モードまたはカラー作像モードの作像条件に応じて閾値基準温度及び補正制御温度を夫々可変設定したものであり、より適正な温度制御を行うことができる(図13参照)。
本実施例における主な設定及び条件は、以下のとおりである。
・作像条件:白黒作像モード、カラー作像モード
・温度降下量判断時間:白黒作像モード 2秒、カラー作像モード 4秒
・閾値基準温度:白黒作像モード 5℃、カラー作像モード 3℃
・補正制御温度:白黒作像モード −10℃、カラー作像モード −5℃
この場合、一般に、白黒作像モードでは、カラー作像モードに比べてプロセススピードが速く、その分、温度降下量が大きいため、閾値基準温度が大きく設定されている。また、フルカラー作像モードでは、白黒作像モードに比べて画像密度が高く、トナーの発色性を得るために、補正制御温度が高く設定されている。また、通常制御温度は、白黒作像モードにおいて低く設定するなど、適宜可変設定して差し支えない。
このような設定下において、定着ロール41の制御温度は、図13に示すように、白黒作像モード、カラー作像モード夫々の態様において、温度降下量判断時間経過後の温度降下量が夫々閾値基準温度未満であれば、制御温度が補正制御温度に切分け調整される。尚、温度降下量が閾値基準温度以上であれば、通常制御温度に切分け調整される。
このように作像条件により温度降下量判断時間、閾値基準温度及び補正制御温度を可変設定することにより、適正な温度制御を行うことができる。
実施例5は、実施例4において、制御装置80が画像密度に応じて閾値基準温度及び補正制御温度を夫々可変設定するものであり、より適正な温度制御を行うことができる(図14参照)。すなわち、単色作像モードと複数色作像モードとにおいて、用紙の種類及びプロセススピードが同等であれば、温度降下量が画像密度に依存するため、本態様が有効である。
本実施例において、制御装置80は、デジタル画像信号に変換された画像読み取り信号から画像密度情報200を取り込み、制御温度の切分け調整を行うようになっている(図5参照)。
本実施例における主な設定及び条件は、以下のとおりである。
・画像密度条件:低画像密度、高画像密度
・温度降下量判断時間:低画像密度 2秒、高画像密度 4秒
・閾値基準温度:低画像密度 5℃、高画像密度 6℃
・補正制御温度:低画像密度 −10℃、高画像密度 −8℃
すなわち、図14に示すように、低画像密度、高画像密度夫々の態様において、温度降下量判断時間経過後の定着ロール41の温度降下量が夫々閾値基準温度未満であれば、補正制御温度に切分け調整される。尚、温度降下量が閾値基準温度以上であれば、通常制御温度に切分け調整される。
このように、画像密度により、温度降下量判断時間、閾値基準温度及び補正制御温度を可変設定することにより、適正な温度制御を行うことができる。
実施例6は、実施の形態1に係る画像形成装置と同様のものを用い、片面画像形成モードまたは両面画像形成モードの画像形成条件に応じて温度降下量判断時間を可変設定し、定着ロール41の温度制御を行うようにしたものである(図15参照)。
本実施例における主な設定及び条件は、以下のとおりである。
・画像形成条件:片面画像形成モード、両面画像形成モード
・温度降下量判断時間:片面画像形成モード 4秒、両面画像形成モード 4秒
・閾値基準温度:片面画像形成モード 5℃、両面画像形成モード 3℃
・補正制御温度:片面画像形成モード −10℃、両面画像形成モード −6℃
すなわち、ユーザ入力情報としてユーザインタフェース100の「読み取り方法(103)」が選択され、図示外の「片面コピー」または「両面コピー」に選定されているとすると、この入力情報に基づいて温度降下量判断時間が可変設定される(図6(a)参照)。
このような設定下において、定着ロール41の制御温度は、図15に示すように、片面画像形成モード、両面画像形成モード夫々の態様において、温度降下量判断時間経過後の温度降下量が閾値基準温度未満であれば、制御温度が補正制御温度に切分け調整される。尚、温度降下量が閾値基準温度以上であれば、通常制御温度に切分け調整される。
本態様によれば、両面画像形成モード時は、1面目の定着でカールが発生しても2面目の定着で反対側の形状にカールが補正されるため、片面画像形成モードに比べて閾値基準温度を小さく且つ補正制御温度を高く設定ができる。
このように画像形成モードにより閾値基準温度及び補正制御温度を可変設定することにより、適正な温度制御を行うことができる。
実施例7は、実施の形態1に係る画像形成装置と同様のものを用いると共に、画像形成装置内に少なくとも温度が検知可能な環境センサ300を配設し、この検知情報に基づいて制御装置80が通常制御温度を補正するようにしたものであり、より適正な温度制御を行うことができる(図3,5参照)。
本実施例における環境条件及び制御温度は以下のとおりである。
・環境条件:低温(室温10℃)、通常(室温20℃以上25℃未満)、高温(室温30℃)
・通常制御温度:188℃
・低温時の通常制御温度:通常制御温度 188+10℃=198℃
・高温時の通常制御温度:通常制御温度 188−5℃=183℃
すなわち、図16に示すように、通常定着時(例えば室温20℃以上25℃未満)の室温をα、通常温度時の通常制御温度188℃をβ、室温20℃を基準とした際の温度差をtとすると、(室温,基準温度)は、室温が20℃未満であれば(α−t℃,β+t℃)とし、室温がαより1℃低くなるにつれて通常制御温度をβよりも1℃上昇するように調整される。したがって、低温(室温10℃)であれば、(α−10℃,β+10℃)となり、通常制御温度は通常時よりも10℃高い198℃に調整される。
このように環境により通常制御温度を補正し、この温度を基準にして閾値基準温度や補正制御温度を変更するようにすれば、環境条件に応じた温度調整を行うことができる。
Claims (9)
- 熱源により表面が加熱されて記録材に接触し且つ搬送速度が変化可能な記録材上に形成された未定着画像を加熱定着する加熱定着部材と、
前記加熱定着部材の表面温度を検知する温度センサと、
前記温度センサの検知情報に基づいて加熱定着部材を予め決められた制御温度に制御する制御装置とを備えた定着装置であって、
前記制御装置は、予め決められた規定枚数以上の作像処理時に加熱定着部材に対して制御温度可変調整処理を実行することを決定する決定要素と、
前記決定要素にて前記加熱定着部材に対して制御温度可変調整処理を実行することが決定されたときに、記録材の搬送速度に応じて当該記録材が定着装置に突入してから予め決められた時間経過するまでの温度降下量判断時間を前記記録材の搬送速度につき速い方が遅い方に比べて短くなるように可変設定し、前記温度センサからの温度情報に基づいて前記温度降下量判断時間までの加熱定着部材の温度降下量を判断する判断要素と、
定着可能な温度範囲内で加熱定着部材の通常制御温度及びこの通常制御温度より低い補正制御温度を有し、前記判断要素により判断した温度降下量が予め決められた閾値基準温度未満か否かを判断し、温度降下量が閾値基準温度以上であれば通常制御温度に、それ以外であれば補正制御温度に切分け調整する制御温度可変要素とを備えたことを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
前記制御温度可変要素は、閾値基準温度、通常制御温度及び補正制御温度の少なくともいずれか一つを可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
前記判断要素は、記録材の種類に応じて温度降下量判断時間を個別の時間に可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
前記判断要素は、複数色作像モードまたは単色作像モードの作像条件に応じて温度降下量判断時間を個別の時間に可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項2記載の定着装置において、
前記制御温度可変要素は、記録材の種類に応じて、閾値基準温度、通常制御温度及び補正制御温度の少なくともいずれか一つを可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項2記載の定着装置において、
前記制御温度可変要素は、作像条件に応じて、閾値基準温度、通常制御温度及び補正制御温度の少なくともいずれか一つを可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項1または2記載の定着装置において、
前記制御装置は、定着処理中に記録材または作像条件の変更情報を受け付けた条件下では、前記判断要素及び前記制御温度可変要素の可変設定条件の少なくとも一つを可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項1または2記載の定着装置において、
前記制御装置は、定着装置の周辺に配された環境センサの環境情報に基づいて、前記判断要素及び前記制御温度可変要素の可変設定条件の少なくとも一つを可変設定することを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至8いずれかに記載の定着装置を用いた画像形成装置。
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