JP7310399B2 - 画像形成装置、ならびに画像形成装置の制御方法および制御プログラム - Google Patents

Description

本発明は、画像形成装置、ならびに画像形成装置の制御方法および制御プログラムに関する。

用紙に安定して高品質の画像を定着できる定着装置が求められている。電子写真方式の画像形成装置では、画像形成部においてトナー画像が形成された用紙を、定着装置の定着ニップを通過させて、加熱・加圧処理することにより、用紙にトナー画像を定着する。定着ニップは、定着ベルトを有する構成では、例えば、加熱ローラーおよび定着ローラーに架け渡された定着ベルトと加圧ローラーとの間に形成され、定着ベルトを有しない構成では、定着ローラーと加圧ローラーとの間に形成される。

これに関連して、下記特許文献１には、加圧ローラーの移動速度と定着ベルトの移動速度とに差を設け、用紙上の画像面と定着ベルトとの間にせん断力を発生させることで、先の定着工程の影響が光沢ムラとなって現れる事象（光沢メモリー）を防止する技術が開示されている。

また、下記特許文献２には、上加圧ローラーと下加圧ローラーの駆動力に差が生じるように上加圧ローラーと下加圧ローラーの回転を制御することによって、記録材（用紙）に形成されたトナー画像の光沢を制御する定着装置が開示されている。

特開２０１４－８１６１０号公報 特開２０１８－９７１１８号公報

しかし、両面印刷時、用紙の表（おもて）面に形成されたトナー画像を定着装置で定着した後、用紙の裏面にトナー画像を形成し、裏面のトナー画像を定着装置で定着する場合、表面のトナー画像は、定着装置を合わせて２回通過することになる。したがって、用紙の裏面におけるトナー画像を定着する際に、表面に定着されたトナー画像が再溶融され、表面のトナー画像の光沢が上昇する可能性がある。その結果、表面と裏面とで出力画像の光沢が同じ程度になるというユーザーの想定に反して、表面と裏面とで出力画像の光沢に差が生じるおそれがある。

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、両面印刷時に、表面と裏面とで出力画像の光沢に差が生じることを防止または抑制できる画像形成装置、ならびに画像形成装置の制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。

本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。

（１）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記定着部により、前記シートの第１面にトナー画像を定着した後、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着する場合、前記第１面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第１速度差と、前記第２面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第２速度差と、が異なるように制御し、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも小さいアシストの量で前記アシストを実施するように定着部を制御する、画像形成装置。

（２）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記定着部により、前記シートの第１面にトナー画像を定着した後、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着する場合、前記第１面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第１速度差と、前記第２面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第２速度差と、が異なるように制御し、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも大きいブレーキの量で前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、画像形成装置。

（３）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記定着部により、前記シートの第１面にトナー画像を定着した後、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着する場合、前記第１面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第１速度差と、前記第２面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第２速度差と、が異なるように制御し、前記加圧部材が前記定着部材に追従して移動する基準状態に対して、前記加圧部材の移動速度を速くするアシスト、または前記加圧部材の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、画像形成装置。

（４）前記シートのシート情報を取得する取得部をさらに有し、前記制御部は、前記シートのシート情報に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（５）前記加圧部材の温度を検知する第１温度検知部をさらに有し、前記制御部は、前記第１温度検知部の検知結果に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（６）前記定着部材の温度を検知する第２温度検知部をさらに有し、前記制御部は、前記第２温度検知部の検知結果に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（７）前記制御部は、前記加熱部によって前記定着部材を加熱するタイミングに応じて、前記アシストの量、または前記ブレーキの量を制御する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（８）前記シートの定着直後の搬送速度を計測する搬送速度計測部をさらに有し、前記制御部は、前記搬送速度計測部によって計測された前記シートの搬送速度に基づいて、前記シートに後続するシートについて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（９）エアーを吹き付けることで前記シートを前記定着部材から分離する定着分離ファンをさらに有し、前記制御部は、前記定着分離ファンの出力に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（１０）前記シートの搬送方向において、前記定着部の下流側に配置され、前記定着部で定着された前記シートの出力画像を読み取り、前記出力画像の光沢度を測定する光沢度測定部をさらに有し、前記制御部は、前記光沢度測定部によって測定された、前記出力画像の光沢度に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（１１）前記制御部は、前記アシストを実施することで、定着されるトナー画像の光沢を、前記基準状態における定着時のトナー画像の光沢よりも低くする低光沢制御、または前記ブレーキを実施することで、定着されるトナー画像の光沢を、前記基準状態における定着時のトナー画像の光沢よりも高くする高光沢制御を実施する、上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の画像形成装置。

（１２）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも小さいアシストの量で前記アシストを実施するように定着部を制御する、制御方法。
（１３）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも大きいブレーキの量で前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、制御方法。
（１４）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、前記ステップ（ｂ）において、前記加圧部材が前記定着部材に追従して移動する基準状態に対して、前記加圧部材の移動速度を速くするアシスト、または前記加圧部材の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、制御方法。

（１５）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも小さいアシストの量で前記アシストを実施するように定着部を制御する、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
（１６）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも大きいブレーキの量で前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
（１７）シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、前記ステップ（ｂ）において、前記加圧部材が前記定着部材に追従して移動する基準状態に対して、前記加圧部材の移動速度を速くするアシスト、または前記加圧部材の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。

本発明によれば、両面印刷時に、用紙の表面のトナー画像が定着された後、裏面のトナー画像が定着される際に、予測される表面のトナー画像の光沢上昇に応じて、裏面のトナー画像の光沢を適切に決定できる。したがって、表面と裏面とで出力画像の光沢に差が生じることを防止または抑制できる。

第１の実施形態に係る画像形成装置の構成を例示する概略断面図である。 図１に示す画像形成装置の構成を例示する概略ブロック図である。 図１に示す定着部の主要な構成を例示する模式図である。 図３の定着ニップを拡大した模式図である。 第１の実施形態に係る画像形成装置の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。 定着ベルトの移動速度と下加圧ローラーの移動速度との差と、光沢との関係を例示する概念図である。 アシストを実施して定着する場合の光沢制御の原理を説明するための模式図である。 ブレーキを実施して定着する場合の光沢制御の原理を説明するための模式図である。 両面印刷時において用紙の表面の定着を説明するための模式図である。 両面印刷時において用紙の裏面の定着を説明するための模式図である。 第３の実施形態において定着温度の推移を例示する図である。 第４の実施形態に係る定着部の主要な構成を例示する模式図である。 第５の実施形態に係る定着部の主要な構成を例示する模式図である。 第６の実施形態に係る定着部および画像読取部を例示する模式図である。

以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。

（第１の実施形態）
＜画像形成装置１００＞
図１は第１の実施形態に係る画像形成装置の構成を例示する概略断面図であり、図２は図１に示す画像形成装置の構成を例示する概略ブロック図である。

図１に示す画像形成装置１００は、電子写真方式の画像形成装置であり、スキャンされた原稿の画像データ、または外部のクライアント端末から受信した印刷ジョブに基づいて生成された画像データを使用して、記録媒体である用紙（シート）１０に画像を形成（印刷）する。画像形成装置１００は、例えば、コピー機能、プリンター機能、およびスキャン機能を有するＭＦＰ（Ｍｕｌｔｉ－Ｆｕｎｃｔｉｏｎ Ｐｅｒｉｐｈｅｒａｌ）でありうる。

画像形成装置１００は、原稿読取部１１０、画像形成部１２０、転写部１３０、給紙部１５０、用紙搬送部１６０、操作表示部１７０、制御部１８０、および定着部２００を有する。

原稿読取部１１０は、原稿台の所定の読取位置にセットされた原稿、またはＡＤＦ（Ａｕｔｏ Ｄｏｃｕｍｅｎｔ Ｆｅｅｄｅｒ：自動原稿搬送装置）により所定の読取位置に搬送された原稿に光源から光を当て、その反射光をＣＣＤイメージセンサーやＣＭＯＳイメージセンサー等の受光素子で光電変換することで電気信号を生成する。生成された電気信号は、Ａ／Ｄ変換、シェーディング補正、フィルター処理、画像圧縮処理等が施され、画像形成部１２０へ送信される。

画像形成部１２０は、用紙１０に画像を形成する。画像形成部１２０は、イエロー（Ｙ）色の画像を形成する画像形成ユニット１２Ａ、マゼンタ（Ｍ）色の画像を形成する画像形成ユニット１２Ｂ、シアン（Ｃ）色の画像を形成する画像形成ユニット１２Ｃ、黒（Ｋ）色の画像を形成する画像形成ユニット１２Ｄを有する。

画像形成部１２０の各ユニットは、現像装置１２１、感光体ドラム１２２、帯電部１２３、および光書込部１２４を、それぞれ有する。

現像装置１２１は、感光体ドラム１２２の表面にトナーを付着させることにより、静電潜像をトナーにより可視化してトナー画像を形成する。つまり、画像形成ユニット１２Ａ、１２Ｂ、１２Ｃ、および１２Ｄの感光体ドラム１２２に、イエロー色、マゼンタ色、シアン色および黒色に対応するモノクロのトナー画像を、それぞれ形成する。画像形成ユニット１２Ａ～１２Ｄの各現像装置１２１は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの異なる色の小粒径のトナーとキャリアからなる２成分現像剤を内包する。

感光体ドラム１２２は、有機光導電体（Ｏｒｇａｎｉｃ Ｐｈｏｔｏ Ｃｏｎｄｕｃｔｏｒ：ＯＰＣ）を含むポリカーボネイト等の樹脂からなる感光層を有する像担持体であり、所定の速度で回転するように構成されている。帯電部１２３は、感光体ドラム１２２の周囲に配置されるコロナ放電極からなり、生成されるイオンによって感光体ドラム１２２の表面を帯電させる。光書込部１２４は、走査光学装置が組み込まれており、画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム１２２を露光することにより、露光された部分の電位を低下させ、画像データに対応する電荷パターン（静電潜像）を形成する。

転写部１３０は、中間転写ベルト１３１、１次転写部１３２、および２次転写部１４０を有し、現像装置１２１によって現像された感光体ドラム１２２上のトナー画像を中間転写ベルト１３１に転写する。

中間転写ベルト１３１は、無端状であり、画像形成ユニット１２Ａ～１２Ｄの側方に配置され、感光体ドラム１２２と当接するように位置決めされる。中間転写ベルト１３１は、例えばポリイミドフィルムで形成されている。中間転写ベルト１３１上には、画像形成ユニット１２Ａ～１２Ｄにおいて形成された各色のモノクロのトナー画像が１次転写部１３２により逐次転写され、イエロー色、マゼンタ色、シアン色および黒色の各層が重畳したカラーのトナー画像が形成される。２次転写部１４０は、中間転写ベルト１３１に形成されたカラーのトナー画像を、搬送されて来る用紙１０に転写する。

給紙部１５０は、用紙１０を収容する複数の給紙トレイ１５１，１５２を備える。給紙トレイ１５１，１５２には、例えば普通紙、コート紙等の用紙が紙種ごと、または用紙サイズごとに収容されている。用紙１０は、１枚ずつ用紙搬送部１６０に送り出される。

用紙搬送部１６０は、画像形成装置１００内において用紙１０を搬送する。用紙搬送部１６０は、用紙１０を搬送するための用紙搬送路１６１および複数の搬送ローラー対１６２を有する。給紙部１５０から給紙された用紙１０は、複数の搬送ローラー対１６２が駆動部（不図示のモーター）よって回転駆動されることで、用紙搬送路１６１に沿って搬送される。用紙１０は、レジストローラー１６Ｒを経て２次転写部１４０に搬送され、２次転写部１４０においてトナー画像が転写された後、定着部２００に搬送される。

定着部２００は、用紙１０に転写されたトナー画像を定着する。定着部２００の構成の詳細については後述する。表面のトナー画像が定着された用紙１０は、片面印刷の場合、用紙搬送路１６１を通って排紙部１６３から画像形成装置１００の外部へ排出され、両面印刷の場合、用紙搬送部１６０の反転部１６４にて表裏が反転され、再び２次転写部１４０へ向けて搬送される。そして、用紙１０は、２次転写部１４０において裏面にトナー画像が転写され、定着部２００において裏面のトナー画像が定着された後、排紙部１６３から画像形成装置１００の外部へ排出される。

操作表示部１７０は、ユーザーの指示を受け付けたり、ユーザーへのメッセージ等を画面に表示したりする。操作表示部１７０は、キーボードおよび操作パネルを有する。ユーザーは、キーボードや、操作パネルを操作することにより、画像形成装置１００に対して指示を入力する。また、画面には、入力された情報、各種設定情報、警告メッセージ等が表示される。

制御部１８０は、原稿読取部１１０、画像形成部１２０、転写部１３０、給紙部１５０、用紙搬送部１６０、操作表示部１７０、および定着部２００の各部を統合的に制御して、画像形成装置１００が有する様々な機能を実現する。

制御部１８０は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）１８１、補助記憶部１８２、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）１８３、およびＲＯＭ１８４（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）を有し、これらの構成要素は内部バスによって相互に接続されている。

ＣＰＵ１８１は、制御プログラムを実行し、画像形成装置１００の各部を制御する。補助記憶部１８２には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションプログラム、制御プログラム等が格納されている。

ＲＡＭ１８３は、ＣＰＵ１８１による演算処理の結果、画像データ等を一時的に記憶する。ＲＯＭ１８４は、ＣＰＵ１８１が演算処理等で使用する各種パラメーター等を記憶している。

また、制御部１８０は、ネットワークに接続されたクライアント端末等の機器と通信を行うためのネットワークインターフェース（不図示）を有し、ネットワークインターフェースを通じてクライアント端末から印刷ジョブを取得する。印刷ジョブには、印刷データおよび印刷設定情報が含まれている。制御部１８０は、取得部として機能する。

＜定着部２００＞
次に、図３を参照して、定着部２００の構成の詳細について説明する。図３は図１に示す定着部２００の主要な構成を例示する模式図であり、図４は図３の定着ニップを拡大した模式図である。

定着部２００は、ベルト加熱方式の定着部であり、下加圧ローラー２１０、第１温度センサー２１２、冷却ファン２１３、加熱ローラー２２０、定着ベルト２３０、第２温度センサー２３２、上加圧ローラー２４０、第１モーター２５０、および第２モーター２６０を有する。

下加圧ローラー２１０は、例えば、鉄、アルミ等の金属から形成された中実の芯金を、弾性層２１１で被覆した、外径が概ね８０［ｍｍ］程度のローラーである。下加圧ローラー２１０は、加圧部材として機能する。弾性層２１１の材質として、例えば、耐熱性のシリコーンゴムを用いることができる。シリコーンゴムは、例えば１０［ｍｍ］程度の厚さに形成され、その硬度は、例えば、ＪＩＳ－Ａ１０［°］でありうる。また、弾性層２１１として、耐熱性のシリコーンゴムを、表面離型層としてＰＦＡチューブの樹脂層で被覆した構成とすることができる。ＰＦＡチューブの樹脂層の硬度は、例えばアスカーＣ（ＡｓｋｅｒＣ）硬度で３０［°］でありうる。

下加圧ローラー２１０は、駆動源としての第１モーター２５０に接続されている。第１モーター２５０は、駆動部として機能し、例えばブラシレスモーターでありうる。この場合、制御部１８０は、第１モーター２５０のＵ、Ｖ、Ｗの各相に印加する電圧の大きさおよび向きを制御することにより、各相の巻線に流れる電流を制御する。第１モーター２５０の電流制御には、例えばインバーター回路およびＰＷＭ（Ｐｕｌｓｅ Ｗｉｄｔｈ Ｍｏｄｕｌａｔｉｏｎ）回路を使用することができる。なお、下加圧ローラー２１０と第１モーター２５０とは、ギアを介して接続されていてもよい。本実施形態では、下加圧ローラー２１０は、制御部１８０の指示に応じて、第１モーター２５０によって矢印の向き（反時計回り）に回転駆動される。

また、下加圧ローラー２１０の近傍には、下加圧ローラー２１０の外周面の温度を検知する第１温度センサー２１２（第１温度検知部）と、下加圧ローラー２１０を冷却する冷却ファン２１３とが配置されている。第１温度センサー２１２の検知結果は、制御部１８０へ送信される。また、冷却ファン２１３は、制御部１８０によってオン・オフ制御される。下加圧ローラー２１０を冷却ファン２１３によって冷却することにより、両面印刷する際に、１度定着された表（おもて）面のトナー画像のトナーが再び溶融することが抑制される。

加熱ローラー２２０は、定着ベルト２３０を加熱する。加熱ローラー２２０は、例えば、アルミニウム、鉄等から形成された円筒状の芯金における外周面をポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）でコーティングした樹脂層で被覆され、定着ベルト２３０を加熱する加熱源２２１を内蔵している。加熱源２２１は、加熱部として機能し、例えば、ハロゲンヒーター（以下、単に「ヒーター」という）である。

定着ベルト２３０は、例えば、厚さ７０［μｍ］のポリイミドからなる基体の外周面を弾性層として耐熱性のシリコーンゴムで被覆し、さらに、表層に耐熱性樹脂であるパーフルオロアルコキシ（ＰＦＡ）のチューブを被覆することにより形成されている。定着ベルト２３０は、定着部材として機能する。シリコーンゴムの厚さは、例えば４００［μｍ］でありうる。定着ベルト２３０は、外径が例えば１６８［ｍｍ］程度であり、加熱ローラー２２０と上加圧ローラー２４０とに所定のベルト張力（例えば、２００Ｎ）で張架されている。

定着ベルト２３０は、トナー画像が形成された用紙１０に接触して、当該トナー画像を所定の定着温度で加熱して定着する。ここで、定着温度は、用紙１０上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度（例えば、１６０～２００［℃］）であり、画像形成される用紙１０の紙種等によって異なりうる。

また、定着ベルト２３０の近傍には、定着ベルト２３０の温度を検知する第２温度センサー２３２（第２温度検知部）が配置されている。第２温度センサー２３２による検知信号は、制御部１８０に送信される。制御部１８０は、第２温度センサー２３２による検知信号に基づいて、定着ベルト２３０の温度を算出する。

また、制御部１８０は、定着ベルト２３０の温度が定着温度に対応する設定温度となるように、第２温度センサー２３２によって検知された温度に基づいて、ヒーターへの電力供給をオン・オフ制御する。

上加圧ローラー２４０は、例えば、鉄、アルミ等の金属から形成された中実の芯金を、弾性層２４１で被覆した、外径が概ね９０［ｍｍ］程度のローラーである。弾性層２４１の材質として、例えば、耐熱性のシリコーンゴムを用いることができる。シリコーンゴムは、例えば２０［ｍｍ］程度の厚さに形成され、その硬度は、例えば、ＪＩＳ－Ａ１０［°］でありうる。また、弾性層２４１として、耐熱性のシリコーンゴムを、表面離型層としてＰＦＡチューブの樹脂層で被覆した構成とすることができる。ＰＦＡチューブの樹脂層の硬度は、例えばアスカーＣ硬度で３５［°］でありうる。

上加圧ローラー２４０は、駆動源としての第２モーター２６０に接続されている。第２モーター２６０は、駆動部として機能し、第１モーター２５０と同様の構成を有し、制御部１８０によって回転速度が制御される。なお、上加圧ローラー２４０と第２モーター２６０とは、ギアを介して接続されていてもよい。本実施形態では、上加圧ローラー２４０は、制御部１８０の指示に応じて、第２モーター２６０によって矢印の向き（時計回り）に回転駆動される。

制御部１８０は、駆動部により下加圧ローラー２１０および上加圧ローラー２４０（定着ベルト２３０）のうちの少なくともいずれかを駆動部材として駆動し、下加圧ローラー２１０の表面および定着ベルト２３０の表面が移動するように制御する。

下加圧ローラー２１０は、定着ベルト２３０を介して上加圧ローラー２４０に所定の定着荷重（例えば、２５００［Ｎ］）で圧接される。このようにして、定着ベルト２３０と下加圧ローラー２１０との間には、用紙１０を狭持して搬送する定着ニップＮＰが形成される。

定着部２００は、定着ニップＮＰで用紙１０を加熱および加圧しながら搬送することにより、未定着トナー画像を用紙１０上に定着する。例えば、通常定着時において、下加圧ローラー２１０および上加圧ローラー２４０が駆動され、所定の定着搬送速度で定着が行われる。所定の定着搬送速度は、通常、システム速度に合わせて設定される。システム速度は、画像形成に係る速度であり、例えば中間転写ベルト１３１（図１を参照）の回転速度等に相当する。所定の定着搬送速度は、例えば３００～６００［ｍｍ／ｓ］に設定されうる。

制御部１８０は、例えば、用紙１０を搬送するための駆動部材として下加圧ローラー２１０を駆動し、定着ベルト２３０が下加圧ローラー２１０の移動に追従して移動するように、第２モーター２６０による上加圧ローラー２４０の駆動を制御する。例えば、図４に示すように、下加圧ローラー２１０の表面は、定着ニップＮＰにおいて、矢印の方向にＶＬの速度で移動し、定着ベルト２３０の表面は、同様に矢印の方向にＶＵの速度で移動する。この場合、定着ベルト２３０の移動速度（周速度）は、下加圧ローラー２１０の移動速度（周速度）よりもやや遅くなる（すなわち、ＶＵ＜ＶＬ）。本明細書では、定着部材２３０および下加圧ローラー２１０のうち一方が他方に追従して移動する状態を「基準状態」という。

なお、制御部１８０は、駆動部材として下加圧ローラー２１０を駆動し、上加圧ローラー２４０に第２モーター２６０からのトルクを伝達しないことで、下加圧ローラー２１０の移動に従動して定着ベルト２３０が移動するように制御することもできる。

トナー画像は、用紙１０上に１層または複数層に積層された多数のトナー粒子２０を含む。図４では、説明を簡単にするためトナー粒子２０の層が１層形成されている場合について例示しているが、通常、多数のトナー粒子２０により複数層からなるトナー層が形成される。

個々のトナー粒子２０は、未定着の状態では球形状をしている。トナー粒子２０は、定着部２００において定着される際に、定着ベルト２３０の移動速度と、下加圧ローラー２１０の移動速度との差（以下、単に「移動速度の差」という）により、小さいせん断力が生じることで引き延ばされて変形し、用紙１０の表面に融着する。トナー粒子２０は、変形されると変形量に応じた光沢を示す。

また、トナー画像の光沢は、定着する際にトナー粒子２０が受ける変形に加え、定着温度（定着ベルト２３０の温度）、定着荷重、下加圧ローラー２１０の温度等によっても変化しうる。

＜画像形成装置１００の制御方法＞
図５は、第１の実施形態に係る画像形成装置１００の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。図５に示すフローチャートの各処理は、制御部１８０のＣＰＵ１８１が制御プログラムを実行することにより実現される。また、図６は、移動速度の差と、光沢との関係を例示する概念図である。図７Ａはアシストを実施して定着する場合の光沢制御の原理を説明するための模式図であり、図７Ｂはブレーキを実施して定着する場合の光沢制御の原理を説明するための模式図である。本明細書では、第２モーター２６０を駆動し、定着ベルト２３０の移動を補助することで、定着ベルト２３０の移動速度を、基準状態の定着ベルト２３０の移動速度よりも速くするように制御することを「アシスト」という。また、定着ベルト２３０の移動速度を、基準状態の定着ベルト２３０の移動速度よりも遅くするように制御することを「ブレーキ」という。また、図８Ａは両面印刷時において用紙の表（おもて）面の定着を説明するための模式図であり、図８Ｂは両面印刷時において用紙の裏面の定着を説明するための模式図である。

まず、画像形成装置１００の制御の概要を説明する。上述のとおり、定着部２００において、用紙１０の表面（第１面）を定着後、その反対面である裏面（第２面）を定着するときに、表面に定着されたトナー画像のトナーが再び溶融温度に到達しないように、下加圧ローラー２１０を冷却ファン２１３で冷却する。

しかし、例えば、印刷枚数が多く、定着部２００に連続的に通紙する場合、下加圧ローラー２１０と定着ベルト２３０とが圧接する機会が増加するため、定着ベルト２３０から下加圧ローラー２１０へ伝達される熱が増加する。その結果、下加圧ローラー２１０の温度が上昇し、通紙状況によっては、用紙１０の表（おもて）面に定着されたトナー画像のトナーが溶融温度に到達することがありうる。

例えば、定着部２００への通紙の初期や後期では紙間が空くことがある。また、画像形成装置１００の各部の動作の調整を行った場合も、紙間が空くことがある。紙間が空くと、定着ベルト２３０と下加圧ローラー２１０とが直に接する時間が増加するため、定着ベルト２３０から下加圧ローラー２１０へ伝達される熱がさらに増加する。

したがって、冷却ファン２１３による冷却だけでは、下加圧ローラー２１０の温度上昇を十分に抑制することができず、用紙１０の表（おもて）面に定着されたトナー画像のトナーが溶融温度に到達する可能性がある。その結果、用紙１０の表面に定着されたトナー画像の光沢が上昇し、用紙１０の表裏において定着されたトナー画像の光沢に差が生じる可能性がある。

そこで、本実施形態では、用紙１０の裏面のトナー画像の定着時に表面に定着されたトナー画像の光沢が上昇することを予測して、表面のトナー画像の定着では、基準状態における定着時と比べて光沢が低くなるように光沢制御を行う。

また、用紙１０の裏面のトナー画像の定着では、表面に定着されたトナー画像の光沢上昇を考慮して、光沢制御を行う。例えば、表面の光沢上昇が少なくないと予測される場合、制御部１８０は、裏面のトナー画像の定着では、基準状態における定着時と比べて光沢が高くなるように光沢制御を行う。一方、裏面を定着する際の表面の光沢上昇がわずかであり、表面に定着されたトナー画像が、裏面の定着後も低光沢を維持すると予測される場合、制御部１８０は、例えば、裏面のトナー画像の定着では、基準状態における定着時と比べて光沢が低くなるように光沢制御を行うこともできる
本実施形態では、用紙１０のトナー画像のトナー粒子２０に付与するせん断力の大きさを調整することにより、用紙１０に定着されるトナー画像の光沢を制御する。より具体的には、制御部１８０は、第１モーター２５０および第２モーター２６０を制御して、移動速度の差を調整することにより、トナー粒子２０に付与するせん断力を調整する。

なお、トナー粒子２０に付与するせん断力の大きさを調整することで行われる光沢制御は、未定着トナー画像に対してのみ有効である。したがって、両面印刷時に、用紙の裏面の定着において、表面に定着されたトナー画像のトナー粒子２０にせん断力が付与されても光沢の変化はほとんどない。

以下、画像形成装置１００の制御方法の処理手順を具体的に説明する。まず、図５に示すように、用紙１０の表面を定着する際の第１モーター２５０および第２モーター２６０の回転速度（以下、単に「第１および第２モーターの回転速度」という）を設定する（ステップＳ１０１）。

基準状態での定着では、表面に定着されたトナー画像が裏面の定着で光沢が上昇し、高光沢になると予測される場合を想定する。制御部１８０は、用紙１０の表（おもて）面を定着する際に、移動速度の差（第１速度差）が小さくなるように、第１および第２モーターの回転速度を設定する。より具体的には、制御部１８０は、第１モーター２５０の駆動により下加圧ローラー２１０を移動することに加えて、第２モーター２６０を駆動することで上加圧ローラー２４０（定着ベルト２３０）の移動を速め、移動速度の差が小さくなるように調整する。

図６に示すように、光沢は、移動速度の差が大きいほど大きくなり、小さいほど小さくなる。アシストを実施して定着する場合、移動速度の差が、基準状態での移動速度の差よりも小さい領域で光沢制御が実施される。

アシストを実施して定着を行う場合について、第１および第２モーターの回転速度の設定例を表１に示す。表１には、コート紙および普通紙等のコート紙以外の非コート紙のそれぞれについて、異なる坪量に対する速度比が例示されている。ここで速度比（以下の各表でも同様）とは、第１モーター２５０による下加圧ローラー２１０の移動速度に対する、第２モーター２６０による上加圧ローラー２４０（定着ベルト２３０）の移動速度の割合である。なお、上では、定着部材２３０および下加圧ローラー２１０のうち一方が他方に追従して移動する状態を基準状態とする場合について説明したが、説明を簡単にするため、表１には、移動速度の差が０、すなわち速度比が１である場合を基準状態として、速度比の値が例示されている。基準状態は、速度比が１である場合に限定されない（以下の各表でも同様）。

表１において、速度比が１に近いほど移動速度の差は小さく、速度比が１より大きい、または速度比が１より小さいほど移動速度の差は大きい。用紙は、通常、非コート紙よりもコート紙の方が、熱容量が大きく、光沢が高くなりにくいため、本実施形態では、コート紙の速度比は、非コート紙の速度比と同じか、またはやや大きく設定されている。また、用紙は、通常、坪量が大きくなればなるほど熱容量が大きくなるので、本実施形態では、速度比は、坪量が大きいほど、移動速度の差が大きくなる、すなわち速度比が１から離れるように設定されている。

制御部１８０は、用紙１０の紙種（例えば、コート紙／非コート紙）、坪量等を印刷設定情報（シート情報）から取得し、取得した紙種および坪量に応じて、例えば表１から速度比を決定する。アシスト量は、決定された速度比から基準状態の速度比１を引いた量に対応する。また、例えば、所定の定着搬送速度および決定された速度比に基づいて、アシスト時の第１および第２モーターの回転速度が算出される。

次に、用紙１０の表（おもて）面を定着する（ステップＳ１０２）。制御部１８０は、表面を上向きにして用紙１０を定着ニップＮＰへ搬送し、用紙１０の表面が定着ベルト２３０の定着面を向いた状態で、定着ニップＮＰに用紙１０を通過させる。図７Ａに示すように、移動速度の差が小さい、すなわち速度比が１に近い場合、トナー粒子２０に付与されるせん断力は小さくなる。したがって、トナー粒子２０の変形量が小さくなり、トナー画像は、トナー粒子２０による凹凸が維持される。その結果、図８Ａに示すように、定着された表面のトナー画像の光沢は、基準状態で定着した場合の光沢よりも低くなる。

次に、用紙１０の裏面を定着する際の第１および第２モーターの回転速度を設定する（ステップＳ１０３）。表面に定着されたトナー画像が裏面の定着で光沢が上昇すると予測される場合、裏面の定着において、表面の光沢上昇を加味して、裏面のトナー画像の光沢を高めにすることができる。この場合、制御部１８０は、裏面の定着時の移動速度の差（第２速度差）が大きくなるように、第１および第２モーターの回転速度を設定する。

より具体的には、制御部１８０は、第２モーター２６０の回転速度を小さくすることで、定着ベルト２３０の移動速度を、基準状態の定着ベルト２３０の移動速度よりも遅くするように制御する。これにより、移動速度の差が大きくなる。

図６に示すように、ブレーキを実施して定着する場合、移動速度の差が、基準状態での移動速度の差よりも大きい領域で光沢制御が実施される。

表２は、ブレーキを実施して定着を行う場合について、第１および第２モーターの回転速度の設定例を示す。表２には、コート紙および非コート紙のそれぞれについて、異なる坪量に対する速度比が例示されている。紙種の違いと速度比の大きさとの関係、および坪量の大きさと速度比の大きさとの関係は、表１の場合と同様である。

制御部１８０は、用紙１０の紙種および坪量に応じて、例えば表２から速度比を決定する。ブレーキ量は、基準状態の速度比１から、決定された速度比を引いた量に対応する。また、例えば、所定の定着搬送速度および決定された速度比に基づいて、ブレーキ時の第１および第２モーターの回転速度が算出される。

次に、用紙１０の裏面を定着する（ステップＳ１０４）。制御部１８０は、表面のトナー画像が定着された用紙１０の表裏を反転させ、裏面にトナー画像を形成するように制御する。そして、制御部１８０は、裏面を上向きにして用紙１０を定着ニップＮＰへ搬送し、用紙１０の裏面が定着ベルト２３０の定着面を向いた状態で、定着ニップＮＰに用紙１０を通過させる。

図７Ｂに示すように、移動速度の差が大きくなるので、トナー画像のトナー粒子２０に付与されるせん断力が大きくなる。したがって、トナー粒子２０の変形量が大きくなり、トナー粒子２０が引き延ばされることによって、トナー画像の光沢が高くなる。その結果、図８Ｂに示すように、定着された裏面のトナー画像の光沢は、基準状態で定着した場合の光沢よりも高くなる。また、表面のトナー画像は、裏面の定着時に再加熱されることにより、トナー画像の光沢が上昇する。したがって、表面のトナー画像は、表面の定着時の低光沢に、裏面の定着時の光沢上昇が加わるので、トナー画像の光沢は表裏で概ね同程度となる。

一方、表面に定着されたトナー画像が、裏面のトナー画像の定着後も低光沢を維持すると予測される場合、制御部１８０は、裏面のトナー画像の定着についても低光沢となるように光沢制御を行う。この場合、制御部１８０は、移動速度の差（第２速度差）が小さくなるように、第１および第２モーターの回転速度を設定する。また、表面と裏面との移動速度の差を異ならせ、かつ表面の光沢上昇を加味するため、裏面を定着する際のアシスト量を、表面を定着する際のアシスト量よりも小さく設定しうる。

このように、本実施形態では、移動速度の差を基準状態における定着時よりも小さくして定着することで、トナー画像の光沢を基準状態における定着時よりも低く（低光沢制御）することができる。また、移動速度の差を基準状態における定着時よりも大きくして定着することで、トナー画像の光沢を基準状態における定着時よりも高く（高光沢制御）することができる。したがって、両面印刷時に、用紙１０の表裏で移動速度の差を異ならせることで、予測される表面のトナー画像の光沢上昇に応じて、裏面のトナー画像の光沢を適切に決定できるので、表面と裏面とで出力画像の光沢に差が生じることを防止または抑制できる。

なお、上述の例では、用紙１０の表面のトナー画像を定着する際に、移送速度の差を小さくする場合について説明したが、このような場合に限定されない。表面および裏面について定着する際に、移送速度の差を大きくするように設定してもよい。例えば、制御部１８０は、表面のトナー画像を定着するとき、ブレーキを実施し、裏面のトナー画像を定着するとき、表面よりも大きいブレーキ量でブレーキを実施するように制御することもできる。

（第２の実施形態）
第２の実施形態では、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、移動速度の差を設定する場合について説明する。なお、説明の重複を避けるため、第１の実施形態と同じ構成については説明を省略する。

用紙１０の表面を定着する際に、下加圧ローラー２１０の温度が高い場合、表面のトナー画像の光沢上昇が予測される。そこで、本実施形態では、表面のトナー画像の光沢上昇を抑制するため、表面の定着では、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、アシスト量を増加する。

より具体的には、制御部１８０は、例えば、下加圧ローラー２１０の温度が所定温度よりも高い場合、速度比が１よりも大きくなるように第１および第２モーターの回転速度を設定する。一方、下加圧ローラー２１０の温度が所定温度よりも低い場合、速度比を１のまま維持する。また、下加圧ローラー２１０の温度が所定温度よりも高い場合において、下加圧ローラー２１０の温度が高くなるにつれて速度比が大きくなるように第１および第２モーターの回転速度を設定する。

表３は、紙種が非コート紙である場合について、坪量、および下加圧ローラー２１０の温度に応じた速度比を例示する表である。例えば、坪量が７９［ｇｓｍ］以下の場合、所定温度は、９０［℃］である。

また、下記の表４は、紙種がコート紙である場合について、坪量、および下加圧ローラー２１０の温度に応じた速度比を例示する表である。

また、用紙１０の裏面を定着する際に、下加圧ローラー２１０の温度が高い場合、下加圧ローラー２１０の熱により表面のトナー画像の光沢が上昇すると考えられる。表面のトナー画像の光沢上昇を加味して、裏面の定着では、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、ブレーキ量を増加させることができる。

より具体的には、制御部１８０は、例えば、下加圧ローラー２１０の温度が所定温度よりも高い場合、速度比が１よりも小さくなるように第１および第２モーターの回転速度を設定する。一方、下加圧ローラー２１０の温度が所定温度よりも低い場合、速度比を１のまま維持する。また、下加圧ローラー２１０の温度が所定温度よりも高い場合において、下加圧ローラー２１０の温度が高くなるにつれて速度比が小さくなるように第１および第２モーターの回転速度を設定する。

制御部１８０は、用紙１０の表面または裏面を定着する場合、第１温度センサー２１２の検知結果に基づいて下加圧ローラー２１０の温度を算出し、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、速度比を決定する。そして、制御部１８０は、基準状態からのアシスト量、またはブレーキ量を算出する。

このように、本実施形態では、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、移動速度の差を設定するので、下加圧ローラー２１０の温度が変動しても、定着されるトナー画像の光沢に変動が生じることを抑制できる。

なお、用紙１０の表面および裏面の両面について、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、移動速度の差を設定する場合について説明したが、このような場合に限定されない。表面および裏面のいずれかについて、下加圧ローラー２１０の温度に応じて、移動速度の差を設定する構成とすることもできる。

（第３の実施形態）
第３の実施形態では、定着温度の変動に伴うトナー画像の光沢の変動を考慮する場合について説明する。図９は、第３の実施形態において定着温度の推移を例示する図である。なお、説明の重複を避けるため、第１の実施形態と同じ構成については説明を省略する。

上述のとおり、制御部１８０は、定着ベルト２３０の温度が定着温度に対応する設定温度となるように、第２温度センサー２３２によって検知された温度に基づいて、加熱源２２１のヒーターへの電力供給をオン・オフ制御する。しかし、図９に示すように、実際の定着ベルト２３０の温度は、制御部１８０のオン・オフ制御に対して遅れを伴って変化する。例えば、ヒーターを２４秒でオンした後に、定着ベルト２３０の温度が設定温度に到達するのは、１６秒後の４０秒である。このため、定着ベルト２３０の温度は、最小値から最大値まで変動幅ＶＡを有する。その結果、定着ベルト２３０の温度の変動に応じて、定着されるトナー画像の光沢も変動する。

そこで、本実施形態では、用紙１０の表面および裏面について、定着ベルト２３０の温度の変動に伴うトナー画像の光沢の変動を考慮して、定着ベルト２３０の温度に応じて、移動速度の差を設定する。下記の表５は、坪量と、定着ベルト２３０の設定温度に対しての差分とを変えた場合について、元の速度比に対するオフセットを例示する表である。なお、表５に示す速度比の設定は、用紙１０の表面および裏面のどちらに対しても適用可能である。

例えば、制御部１８０は、所定の定着搬送速度の速度比を元の速度比とし、坪量の値と、定着ベルト２３０の設定温度に対しての差分値とに応じて、元の速度比に対してオフセットを加算し、新たな速度比を決定する。表５において、正値のオフセットは、アシストを実施する場合に相当し、負値のオフセットはブレーキを実施する場合に相当する。表５に示す例では、定着ベルト２３０の設定温度に対しての差分が負値、すなわち定着ベルト２３０の温度が設定温度よりも低い場合、光沢が低くなることが予測され、光沢を一定に維持するため、ブレーキを実施して定着する。また、定着ベルト２３０の設定温度に対しての差分が正値、すなわち定着ベルト２３０の温度が設定温度よりも高い場合、光沢が高くなることが予測され、光沢を一定に維持するため、アシストを実施して定着する。

制御部１８０は、例えば、所定の定着搬送速度を元にして、決定された新たな速度比となる回転速度を算出し、基準状態からのアシスト量、またはブレーキ量を決定する。

また、図９に示す例では、定着ベルト２３０の温度は、ヒーターのオン・オフに対して、設定温度よりも高温または低温になる期間がそれぞれ概ね半サイクル遅れている。したがって、ヒーターをオンしてから、定着ベルト２３０の温度が設定温度よりも低い期間については、負値のオフセットを加え、ヒーターをオフしてから、定着ベルト２３０の温度が設定温度よりも高い期間については、正値のオフセットを加えるようにしてもよい。すなわち、制御部１８０は、ヒーターをオン・オフするタイミングに応じて、基準状態からのアシスト量、またはブレーキ量を決定する。このように、アシスト量、またはブレーキ量を調整することで、効果的な光沢制御を行うことができる。したがって、例えば、朝の画像形成装置１００の起動直後、定着ベルト２３０が十分に暖まっていない場合等において、定着温度の変動が大きくなる場合でも、定着されるトナー画像の光沢が変動することを抑制できる。

このように、本実施形態では、定着ベルト２３０の温度に応じて、移動速度の差を設定する。また、ヒーターのオン・オフに対する定着ベルト２３０の温度変化を考慮して、アシストまたはブレーキを実施するタイミングを調整する。したがって、定着ベルト２３０の温度が変動しても、定着されるトナー画像の光沢に変動が生じることを抑制できる。

（第４の実施形態）
第４の実施形態では、定着ニップＮＰにおける用紙１０の滑り（スリップ）に伴うトナー画像の光沢の変動を考慮する場合について説明する。図１０は、第４の実施形態に係る定着部の主要な構成を例示する模式図である。なお、説明の重複を避けるため、第１の実施形態と同じ構成については説明を省略する。

図１０に示すように、定着部２００は、用紙検知センサー２７０をさらに有する。なお、下加圧ローラー２１０の第１温度センサー、冷却ファン、第１モーター、および上加圧ローラー２４０の第２モーターの図示を省略している。

用紙検知センサー２７０は、定着部２００内の用紙搬送路２９１の近傍に配置され、定着後に用紙搬送路２９１を搬送される用紙１０の先端エッジおよび後端エッジを検知する。用紙検知センサー２７０は、例えば、反射型または透過型の光センサーでありうる。制御部１８０は、用紙１０の先端エッジを検知してから後端エッジを検知するまでの時間と、用紙１０の搬送方向の長さと、に基づいて、定着ニップＮＰから送り出された、定着直後の用紙１０の搬送速度（定着搬送速度にほぼ等しい）を算出する。用紙検知センサー２７０および制御部１８０は、搬送速度計測部として機能する。

定着ニップＮＰにおいて、溶融したトナーにより用紙１０が定着ベルト２３０に対してスリップすることがある。用紙１０がスリップすると、トナー画像のトナー粒子２０に対してせん断力がかかるため、トナー画像の光沢が高くなる。また、用紙１０がスリップすることにより、定着搬送速度がシステム速度よりも遅くなる。本実施形態では、システム速度は、例えば３００～６００［ｍｍ／ｓ］程度である。

下記の表６は、用紙の表面および裏面のそれぞれについて、定着搬送速度とシステム速度との差分を変えた場合について、元の速度比に対するオフセットを例示する表である。

例えば、制御部１８０は、所定の定着搬送速度の速度比を元の速度比とし、定着搬送速度とシステム速度との差分値に応じて、元の速度比に対してオフセットを加算し、新たな速度比を決定する。決定された新たな速度比は、後続の用紙に対して適用される。表６において、正値のオフセットは、アシストを実施する場合に相当し、負値のオフセットはブレーキを実施する場合に相当する。

制御部１８０は、例えば、所定の定着搬送速度を元にして、決定された新たな速度比となる回転速度を算出し、基準状態からのアシスト量、またはブレーキ量を決定する。

表６に示す例では、用紙の表面について、定着搬送速度とシステム速度との差分が負値の場合、すなわちスリップが生じて定着搬送速度がシステム速度よりも小さい場合、光沢が高くなることが予測される。この場合、制御部１８０は、光沢を一定に維持するため、上記差分の大きさに応じてアシストを実施して定着する。表面であるため、オフセット量はやや多めに設定されうる。

また、表面について、定着搬送速度とシステム速度との差分が正値の場合、すなわち定着搬送速度がシステム速度よりも大きい場合、光沢がわずかに低くなることが予測される。この場合、制御部１８０は、光沢を一定に維持するため、差分が比較的小さい（＋０．５％）の場合、移動速度の差を変更せずに定着する。また、差分の絶対値が０．５％を超える場合は、差分の大きさに応じてブレーキを実施して定着する。

また、用紙の裏面について、定着搬送速度とシステム速度との差分が負値の場合、すなわちスリップが生じて定着搬送速度がシステム速度よりも小さい場合、光沢が高くなることが予測される。この場合、制御部１８０は、光沢を一定に維持するため、差分の絶対値が比較的小さい（－０．５％）場合、移動速度の差を変更せずに定着する。また、差分の絶対値が０．５％を超える場合は、差分の大きさに応じてアシストを実施して定着する。裏面であるため、オフセット量は少なめに設定されうる。

また、用紙の裏面について、定着搬送速度とシステム速度との差分が正値の場合、すなわち定着搬送速度がシステム速度よりも大きい場合、光沢が低くなることが予測され、光沢を一定に維持するため、差分の大きさに応じてブレーキを実施して定着する。

このように、本実施形態では、定着搬送速度とシステム速度との差分に応じて、移動速度の差を設定するので、定着ニップＮＰにおいて用紙１０がスリップしたとしても、定着されるトナー画像の光沢が変動することを抑制できる。

（第５の実施形態）
第５の実施形態では、定着分離ファン２８０の回転数に応じて、移動速度の差を設定する場合について説明する。図１１は、第５の実施形態に係る定着部の主要な構成を例示する模式図である。なお、説明の重複を避けるため、第１の実施形態と同じ構成については説明を省略する。

図１１に示すように、定着部２００は、さらに定着分離ファン２８０を有する。なお、下加圧ローラー２１０の第１温度センサー、冷却ファン、第１モーター、および上加圧ローラー２４０の第２モーターの図示を省略している。

定着分離ファン２８０は、定着ニップＮＰの後段に配置され、定着ニップＮＰを通過した用紙１０の先端にエアーを吹き付けることにより、定着ベルト２３０から用紙１０を分離させる。これにより、定着ニップＮＰを通過した用紙１０が、定着ベルト２３０の表面に巻き付いて分離せずにジャム（巻き付きジャム）等が発生することを防止できる。定着分離ファンの回転数は、坪量および紙種に応じて設定（変更）され、最適な回転数にフィードバック制御されている。例えば、定着分離ファンの回転数は、薄紙ほど回転数が大きく、すなわち風量が大きくなるように設定され、薄紙の中でもコート紙は、非コート紙よりも大きく設定される。

用紙１０を定着ベルト２３０から分離する際の分離のしやすさ（分離性）は、例えば、用紙１０の印字率、環境湿度等の条件によって異なる。また、定着された用紙の分離性と、トナー画像の光沢とは相関があり、分離性が低いほど、定着ベルト２３０に巻き付くため光沢は高くなる。逆に、分離性が高いほど、定着ベルト２３０に巻き付きにくくなるため、光沢は低い状態で安定する。

下記の表７は、用紙の表面および裏面のそれぞれについて、定着分離ファンの回転数（出力）と基準回転数との差分を変えた場合について、元の速度比に対するオフセットを例示する表である。基準回転数は、用紙１０ごとに、例えば印字率、環境湿度等に応じて設定される。

例えば、制御部１８０は、所定の定着搬送速度の速度比を元の速度比とし、定着分離ファン２８０の回転数と基準回転数との差分に応じて、元の速度比に対してオフセットを加算し、新たな速度比を決定する。表７において、正値のオフセットは、アシスト実施する場合に相当し、負値のオフセットはブレーキを実施する場合に相当する。

制御部１８０は、例えば、所定の定着搬送速度を元にして、決定された新たな速度比となる回転速度を算出し、基準状態からのアシスト量、またはブレーキ量を決定する。

表７に示す例では、用紙の表面について、定着分離ファン２８０の回転数と基準回転数との差分が負値の場合、すなわち分離ファンの回転数が基準回転数よりも低い場合、用紙が分離されにくいので、光沢が高くなることが予測される。この場合、制御部１８０は、光沢を一定に維持するため、上記差分の大きさに応じてアシストを実施して定着する。また、用紙の表面について、定着分離ファン２８０の回転数と基準回転数との差分が正値の場合、すなわち分離ファンの回転数が基準回転数よりも高い場合、用紙が分離されやすいので、光沢がわずかに低くなることが予測される。しかし、用紙の表面に定着されたトナー画像の光沢が、裏面の定着時に上昇することが予測されるため、制御部１８０は、移動速度の差を変更せずに定着する。

また、用紙の裏面について、定着分離ファン２８０の回転数と基準回転数との差分が負値の場合、すなわち定着分離ファン２８０の回転数が基準回転数よりも小さい場合、光沢が高くなることが予測される。この場合、制御部１８０は、光沢を一定に維持するため、差分の大きさに応じてアシストを実施して定着する。また、用紙の裏面について、定着分離ファン２８０の回転数と基準回転数との差分が正値の場合、すなわち定着分離ファン２８０の回転数が基準回転数よりも大きい場合、光沢が低くなることが予測される。この場合、制御部１８０は、光沢を一定に維持するため、差分の大きさに応じてブレーキを実施して定着する。

このように、制御部１８０は、定着ニップＮＰへの通紙ごとに定着分離ファン２８０の回転数に応じて、ブレーキ／アシストの実施を制御することで、より精度の高い光沢制御を実現できる。

（第６の実施形態）
第６の実施形態では、定着されたトナー画像の光沢度の測定結果に応じて、移動速度の差を設定する場合について説明する。図１２は、第６の実施形態に係る定着部および画像読取部を例示する模式図である。なお、説明の重複を避けるため、第６の実施形態と同じ構成については説明を省略する。

図１２に示すように、画像形成装置１００は、さらに画像読取部１９０を有する。なお、下加圧ローラー２１０の第１温度センサー、冷却ファン、第１モーター、および上加圧ローラー２４０の第２モーターの図示を省略している。

画像読取部１９０は、定着された用紙１０の画像（出力画像）を読み取る。画像読取部１９０は、定着ニップＮＰから排紙部１６３の排紙トレイに至る用紙搬送路１６１の途中に設置されている。画像読取部１９０は、自動品質最適化ユニット（ＩＣＣＵ）の一部として第１インラインセンサー１９１および第２インラインセンサー１９２を有する。第１インラインセンサー１９１は、用紙搬送路１６１の上方に設置され、用紙搬送路１６１を搬送される用紙１０の上面に形成された出力画像を読み取る。一方、第２インラインセンサー１９２は、用紙搬送路１６１の下方に設置され、用紙搬送路１６１を搬送される用紙１０の下面に形成された出力画像を読み取る。これにより、用紙１０の上面（表面）と下面（裏面）の出力画像をワンパス（一度の機会）で検出できる。

第１および第２インラインセンサー１９１，１９２としては、発光部と複数の光電変換素子が用紙幅方向（用紙の搬送方向と直交する方向）に所定の間隔で配置されたラインセンサー、もしくは光電変換素子がマトリクス状に配置されたイメージセンサーを使用できる。各光電変換素子は、光源から射出され用紙１０の表面で反射した光の強度に応じた信号を出力する。より具体的には、第１および第２インラインセンサー１９１，１９２は、出力画像の光沢度を測定する場合、光源から用紙１０の表面に向けて光を所定の入射角で照射し、光の入射角と同じ大きさの反射角で反射した光を検出し、検出された光の強度に応じた信号を出力する。所定の入射角および反射角は、例えば、６０度である。ラインセンサーおよびイメージセンサーとしては、ＣＣＤ型のセンサーやＣＭＯＳ型（ＭＯＳ型を含む）のセンサーを使用できる。

第１および第２インラインセンサー１９１，１９２は、用紙１０の出力画像を読み取って取得した読み取り画像データを、シリアル通信等により制御部１８０に送信する。制御部１８０は、画像読取部１９０から供給された読み取り画像に基づいて、用紙１０の表面および裏面に形成された画像の光沢度（例えば、６０度光沢度）の情報を取得する。

制御部１８０は、定着された用紙１０の表面および裏面の出力画像を画像読取部１９０によって読み取るように制御し、画像読取部１９０から供給された読み取り画像に基づいて、出力画像の光沢度を算出する。制御部１８０および画像読取部１９０は、光沢度測定部として機能する。そして、制御部１８０は、出力画像の光沢度に基づいて、移動速度の差を設定する。

より具体的には、出力画像の光沢度が所定値と比べて高い場合、元の速度比にオフセットとして＋０．０１を加算し、後続の用紙に対してアシストを実施して定着を行う。定着されたトナー画像の光沢度を再び測定し、光沢が高い場合、速度比にオフセットとして＋０．０１をさらに加算し、後続の用紙に対してアシストを実施して定着を行う。逆に、定着されたトナー画像の光沢度が所定値と比べて低い場合、オフセットとして－０．０１を加算し、後続の用紙に対してブレーキを実施して定着を行う。

制御部１８０は、例えば、所定の定着搬送速度を元にして、決定された新たな速度比となる回転速度を算出し、基準状態からのアシスト量、またはブレーキ量を決定する。

このように、本実施形態では、定着されたトナー画像の光沢度の測定結果に応じて、移動速度の差を設定するので、適切なブレーキ／アシスト量に設定することで、用紙１０の表裏のトナー画像に対して適切な光沢を実現することができる。

以上のように、実施形態において、画像形成装置１００、ならびに画像形成装置１００の制御方法および制御プログラムについて説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。

例えば、第１～第６の実施形態では、定着部２００がベルト加熱方式を採用する場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されない。本発明の定着部は、定着ニップが定着ローラーと加圧ローラーとの間に形成され、定着ローラーの表面が定着面となるローラー加熱方式を採用してもよい。

また、第１～第６の実施形態では、定着部２００において、駆動部材として下加圧ローラー２１０が用紙１０を搬送する場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されず、駆動部材として定着ベルト２３０が用紙１０を搬送するように構成してもよい。

また、表面の定着時における移動速度の差と、裏面の定着時における移動速度の差とは、それぞれ独立に設定することもできるし、互いに一定の関連性を持たせて設定することもできる。

１００ 画像形成装置、
１１０ 原稿読取部、
１２０ 画像形成部、
１３０ 転写部、
１５０ 給紙部、
１６０ 用紙搬送部、
１７０ 操作表示部、
１８０ 制御部、
１８１ ＣＰＵ、
１８２ 補助記憶部、
１８３ ＲＡＭ、
１８４ ＲＯＭ、
１９０ 画像読取部、
１９１ 第１インラインセンサー、
１９２ 第２インラインセンサー、
２００ 定着部、
２１０ 下加圧ローラー、
２１２ 第１温度センサー、
２１３ 冷却ファン、
２２０ 加熱ローラー、
２３０ 定着ベルト、
２３２ 第２温度センサー、
２４０ 上加圧ローラー、
２５０ 第１モーター、
２６０ 第２モーター、
２７０ 用紙検知センサー、
２８０ 定着分離ファン。

Claims (17)

1. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
   前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、
   制御部と、を有し、
   前記制御部は、
   前記定着部により、前記シートの第１面にトナー画像を定着した後、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着する場合、前記第１面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第１速度差と、前記第２面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第２速度差と、が異なるように制御し、
   前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
   前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、
   前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも小さいアシストの量で前記アシストを実施するように定着部を制御する、画像形成装置。
2. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
   前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、
   制御部と、を有し、
   前記制御部は、
   前記定着部により、前記シートの第１面にトナー画像を定着した後、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着する場合、前記第１面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第１速度差と、前記第２面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第２速度差と、が異なるように制御し、
   前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
   前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施し、
   前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも大きいブレーキの量で前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、画像形成装置。
3. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
   前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、
   制御部と、を有し、
   前記制御部は、
   前記定着部により、前記シートの第１面にトナー画像を定着した後、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着する場合、前記第１面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第１速度差と、前記第２面に定着するときにおける前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差である第２速度差と、が異なるように制御し、
   前記加圧部材が前記定着部材に追従して移動する基準状態に対して、前記加圧部材の移動速度を速くするアシスト、または前記加圧部材の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
   前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、
   前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、画像形成装置。
4. 前記シートのシート情報を取得する取得部をさらに有し、
   前記制御部は、
   前記シートのシート情報に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、請求項１～３のいずれか１項に記載の画像形成装置。
5. 前記加圧部材の温度を検知する第１温度検知部をさらに有し、
   前記制御部は、
   前記第１温度検知部の検知結果に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、請求項１～３のいずれか１項に記載の画像形成装置。
6. 前記定着部材の温度を検知する第２温度検知部をさらに有し、
   前記制御部は、
   前記第２温度検知部の検知結果に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、請求項１～３のいずれか１項に記載の画像形成装置。
7. 前記制御部は、
   前記加熱部によって前記定着部材を加熱するタイミングに応じて、前記アシストの量、または前記ブレーキの量を制御する、請求項１～３のいずれか１項に記載の画像形成装置。
8. 前記シートの定着直後の搬送速度を計測する搬送速度計測部をさらに有し、
   前記制御部は、
   前記搬送速度計測部によって計測された前記シートの搬送速度に基づいて、前記シートに後続するシートについて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、請求項１～３のいずれか１項に記載の画像形成装置。
9. エアーを吹き付けることで前記シートを前記定着部材から分離する定着分離ファンをさらに有し、
   前記制御部は、
   前記定着分離ファンの出力に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、請求項１～３のいずれか１項に記載の画像形成装置。
10. 前記シートの搬送方向において、前記定着部の下流側に配置され、前記定着部で定着された前記シートの出力画像を読み取り、前記出力画像の光沢度を測定する光沢度測定部をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記光沢度測定部によって測定された、前記出力画像の光沢度に応じて、前記第１面および前記第２面の前記アシストの量または前記ブレーキの量を決定する、請求項１～９のいずれか１項に記載の画像形成装置。
11. 前記制御部は、
    前記アシストを実施することで、定着されるトナー画像の光沢を、前記基準状態における定着時のトナー画像の光沢よりも低くする低光沢制御、または前記ブレーキを実施することで、定着されるトナー画像の光沢を、前記基準状態における定着時のトナー画像の光沢よりも高くする高光沢制御を実施する、請求項１～１０のいずれか１項に記載の画像形成装置。
12. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、
    前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
    前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、
    前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも小さいアシストの量で前記アシストを実施するように定着部を制御する、制御方法。
13. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、
    前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
    前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施し、
    前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも大きいブレーキの量で前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、制御方法。
14. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御方法であって、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、
    前記ステップ（ｂ）において、前記加圧部材が前記定着部材に追従して移動する基準状態に対して、前記加圧部材の移動速度を速くするアシスト、または前記加圧部材の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
    前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、
    前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、制御方法。
15. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、
    前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
    前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、
    前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも小さいアシストの量で前記アシストを実施するように定着部を制御する、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
16. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、
    前記ステップ（ｂ）において、前記定着部材および前記加圧部材のうち一方が他方に追従して移動する基準状態に対して、前記一方の移動速度を速くするアシスト、または前記一方の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
    前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施し、
    前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記第１面よりも大きいブレーキの量で前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
17. シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
    前記シートの前記トナー画像と接し、加熱部により加熱される定着部材と、当該定着部材に対して圧接する加圧部材と、前記定着部材および前記加圧部材のうちの少なくともいずれかを駆動する駆動部と、を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間に形成される定着ニップに前記シートを通過させて、前記シートに未定着トナー画像を定着する定着部と、を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を第１速度差に設定し、前記シートの第１面にトナー画像を定着するステップ（ａ）と、
    前記定着部材と前記加圧部材との移動速度の差を前記第１速度差とは異なる第２速度差に設定し、前記第１面の反対面である第２面にトナー画像を定着するステップ（ｂ）と、を含み、
    前記ステップ（ｂ）において、前記加圧部材が前記定着部材に追従して移動する基準状態に対して、前記加圧部材の移動速度を速くするアシスト、または前記加圧部材の移動速度を遅くするブレーキを実施するように前記定着部を制御し、
    前記第１面のトナー画像を定着するとき、前記アシストを実施し、
    前記第２面のトナー画像を定着するとき、前記ブレーキを実施するように定着部を制御する、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。