以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両1の主たる構成を示す図である。
図1を参照して、車両1は、蓄電装置であるバッテリBと、昇圧コンバータ12と、平滑用コンデンサC1と、電圧センサ21とを含む。
車両1は、さらに、平滑用コンデンサCHと、電圧センサ10,13と、インバータ14,22と、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構3と、車輪2と、制御装置30とを含む。
この車両に搭載される蓄電装置は外部から充電が可能である。車両外部から充電することを本明細書では、プラグイン充電とも呼ぶ。ただし、プラグイン充電といっても必ずしもプラグやケーブルによる車両と電源の接続を伴わなくても良い。電磁波等を用いて非接触で充電する方法を用いても良い。
外部から充電するために、車両1は、さらに、電力入力ラインACL1,ACL2と、リレー回路51と、入力端子50と、電圧センサ74とを含む。
リレー回路51は、リレーRY1,RY2を含む。リレーRY1,RY2としては、たとえば、機械的な接点リレーを用いることができるが、半導体リレーを用いてもよい。そして、リレーRY1の一端に電力入力ラインACL1の一方端が接続され、電力入力ラインACL1の他方端は、モータジェネレータMG1の三相コイルの中性点N1に接続される。また、リレーRY2の一端に電力入力ラインACL2の一方端が接続され、電力入力ラインACL2の他方端は、モータジェネレータMG2の三相コイルの中性点N2に接続される。さらに、リレーRY1,RY2の他端に入力端子50が接続される。
リレー回路51は、制御装置30からの入力許可信号ENが活性化されると、入力端子50を電力入力ラインACL1,ACL2と電気的に接続する。具体的には、リレー回路51は、入力許可信号ENが活性化されると、リレーRY1,RY2をオンし、入力許可信号ENが非活性化されると、リレーRY1,RY2をオフする。
入力端子50は、商用の外部電源90をこのハイブリッド車両1に接続するための端子である。そして、このハイブリッド車両1においては、入力端子50に接続される外部電源90からバッテリBを充電することができる。
電圧センサ74は、外部電源90が接続されたことを検出し、プラグイン充電信号VACをオン状態に設定する。制御装置30は、プラグイン充電信号VACの活性化を検出して運転者がプラグイン充電を開始したことを知る。
なお、以上の構成は、2つの回転電機のステータコイルの中性点を利用するものであるが、そのような構成に代えて、たとえば、走行中に使用しない部分を利用して他の充電装置を構成してもよいし、またAC100Vの商用電源に接続するために車載型または車外に設置されるバッテリ充電装置を使用しても良い。
平滑用コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSL2間に接続される。電圧センサ21は、平滑用コンデンサC1の両端間の電圧VLを検出して制御装置30に対して出力する。昇圧コンバータ12は、平滑用コンデンサC1の端子間電圧を昇圧する。
平滑用コンデンサCHは、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する。電圧センサ13は、平滑用コンデンサCHの端子間電圧VHを検知して制御装置30に出力する。
インバータ14は、昇圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータMG1に出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
動力分割機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2とに結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分割機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。遊星歯車機構は、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転が定まれば、他の1つの回転軸の回転は強制的に定まる。この3つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。なおモータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤによって車輪2に結合されている。また動力分割機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んだり、自動変速機を組み込んだりしてもよい。
バッテリBに関連して、車両1は接続部40を含む。接続部40は、バッテリBの正極と電源ラインPL1との間に接続されるシステムメインリレーSMRBと、システムメインリレーSMRBと並列接続される直列に接続されたシステムメインリレーSMRPおよび制限抵抗R0と、バッテリBの負極(接地ラインSL1)と接地ラインSL2との間に接続されるシステムメインリレーSMRGとをさらに含む。
システムメインリレーSMRP,SMRB,SMRGは、制御装置30から与えられる制御信号CONTに応じて導通/非導通状態が制御される。
電圧センサ10は、バッテリBの端子間の電圧VBを測定する。電圧センサ10とともにバッテリBの充電状態を監視するために、バッテリBに流れる電流IBを検知する電流センサ11が設けられている。バッテリBとしては、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池などを用いることができる。またバッテリに代えて、電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタなどを用いることもできる。
接地ラインSL2は、後に説明するように昇圧コンバータ12の中を通ってインバータ14および22側に延びている。
インバータ14は、電源ラインPL2と接地ラインSL2に接続されている。インバータ14は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン4を始動させるために、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン4から伝達される動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。
インバータ22は、インバータ14と並列的に、電源ラインPL2と接地ラインSL2に接続されている。インバータ22は車輪2を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
電流センサ25は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。
制御装置30は、モータジェネレータMG1,MG2の各トルク指令値および回転速度、電流IB、電圧VB,VL,VHの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動信号IGONを受ける。そして制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU,降圧指示を行なう制御信号PWDおよび動作禁止を指示するシャットダウン信号を出力する。
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して昇圧コンバータ12の出力である直流電圧を、モータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示を行なう制御信号PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示を行なう制御信号PWMC1とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ22に対してモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に直流電圧を変換する駆動指示を行なう制御信号PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示を行なう制御信号PWMC2とを出力する。
制御装置30は、インバータ14,22および昇圧コンバータ12を制御するための各種マップや、電流センサ11,24,25等の各種センサの補正値を保持する記憶部であるメモリ32を含んでいる。このメモリ32上のマップや補正値等は、車両の電源システムが停止状態になっても保持されるようにバックアップされるかまたは不揮発的に保持される。
図2は、図1のインバータ14および22の詳細な構成を示す回路図である。
図1、図2を参照して、インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に並列に接続される。
U相アーム15は、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム16は、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
各相アームの中間点は、モータジェネレータMG1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードから引出されたラインULに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードから引出されたラインVLに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードから引出されたラインWLに接続される。
なお、図1のインバータ22についても、モータジェネレータMG2に接続される点が異なるが、内部の回路構成についてはインバータ14と同様であるので詳細な説明は繰返さない。また、図2には、インバータに制御信号PWMI,PWMCが与えられることが記載されているが、記載が複雑になるのを避けるためであり、図1に示されるように、別々の制御信号PWMI1,PWMC1と制御信号PWMI2,PWMC2がそれぞれインバータ14,22に入力される。
図3は、図1の昇圧コンバータ12の詳細な構成を示す回路図である。
図1、図3を参照して、昇圧コンバータ12は、一方端が電源ラインPL1に接続されるリアクトルL1と、電源ラインPL2と接地ラインSL2との間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
図4は、図1の電流センサ11の温度特性を説明するための図である。
図4に示すように、電流センサ11は、たとえば、磁束検出型の電流センサであり、−30℃ではオフセット値がIOA、60℃ではオフセット値がIOBとなっている。このように、温度が低下するとオフセット値が拡大する。
温度を検出してそれに応じて電流センサのオフセットを補正しても良いが、その場合には電流センサの温度を正確に検出する必要がある。本実施の形態では、温度センサを用いずに、温度変化が飽和した頃に、電流センサに電流が流れない状況を作り出して電流センサのオフセット値の学習を行なわせる。学習したオフセット値は、メモリ32に記憶される。そして制御装置30は、学習したオフセット値を用いて電流センサの出力を補正してモータ制御や充電制御を行なう。
ところで、図1に示したように、本実施の形態のハイブリッド車両は、外部からバッテリBに充電が可能なように構成されている。外部から充電を行なう場合には、主としてガレージ等において家庭用の電源から充電されることが想定されている。
ハイブリッド自動車は、走行中はモータジェネレータMG1,MG2とバッテリBとの間で大きな電流が流れる。しかし、家庭用の電源から充電する場合には電力会社との間の契約アンペア数による制限があるので、そのように大きな電流は流すことができない。したがって、走行中と外部充電中では流す電流の大きさに違いがあり、電流センサの飽和する温度も異なる。このため、走行用として学習したオフセット値を外部充電中の電流センサの補正に使用しないほうが好ましい。
図5は、制御装置30によって実行されるオフセット学習に関する制御を示すフローチャートである。
図1,図5を参照して、まず、ステップS1では、制御装置30の電源が投入される。この電源の投入は、たとえば、キーをキースロットに挿入したり、スマートキーの場合にはキーを携帯した運転者が運転席に座るなどしたりしたときに、図1に図示しない電源制御ユニットによって制御装置30の電源が投入される。
続いて、ステップS2において、制御装置30は、プラグイン充電信号VACがオン状態であるか否かを検出する。ステップS2においてプラグイン充電信号VACがオン状態でなければ、ステップS3に処理が進む。
ステップS3において、制御装置30は、起動信号IGONがオン状態であるか否かを検出する。起動信号IGONは、たとえば、運転者がスタートボタンを押したり、挿入したキーを回したりすることによってオン/オフ状態が切り替わる。ステップS3において起動信号IGONがオン状態であれば、ステップS4に処理が進む。
ステップS4では、車両を走行させるために、モータジェネレータ制御が実行される。このとき、制御装置30は、モータジェネレータMG1,MG2の各トルク指令値および回転速度、電流IB、電圧VB,VL,VHの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2に基づいて、昇圧コンバータ12、インバータ14,22に対する制御を行なう。
具体的には、制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWUまたは降圧指示を行なう制御信号PWDを出力する。
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して昇圧コンバータ12の出力である直流電圧VHを交流電圧に変換させて、モータジェネレータMG1を駆動する制御、または、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換させて昇圧コンバータ12側に戻す制御を行なう。
同様に制御装置30は、インバータ22に対して直流電圧VHをモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換させる制御、または、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す制御を行なう。
これらの制御を行なう際に電流値IB,MCRT1,MCRT2が用いられるが、電流センサ11,24,25の各々に対して、メモリ32中に記憶されていた対応する走行用のオフセット値が読み出される。そして制御装置30は、電流計測値−走行用オフセットを電流値であるとして制御変数に代入し、インバータ14,22や昇圧コンバータ12の制御、バッテリ充電状態(SOC:State Of Charge)制御を実行する。ステップS4の補正処理が終了すると、再びステップS2に処理が戻る。
ステップS3において起動信号IGONがオフ状態であることが検出されると、ステップS5に処理が進む。ステップS5では、走行用オフセット値の取得が行なわれる。
図6は、オフセット値の取得方法の例を示したフローチャートである。なお、図6のフローチャートの処理は、ステップS5の走行用オフセット取得時だけではなく、後に説明するステップS9のプラグイン用オフセット取得時にも行なわれる。
図6を参照して、まずステップS51において制御装置30は、電流IB,MCRT1,MCRT2がゼロになるように車両の電源装置の状態を設定する。具体的には、たとえば、インバータや昇圧コンバータに電流を流さないように制御した後に、システムメインリレーSMRB,SMRGのいずれか一方または両方をオフ状態に設定する。
そして、ステップS52において、制御装置30は、そのときの電流センサ11,24,25の示す電流値を測定する。このとき測定した電流値がオフセット値である。言い換えればオフセット値は、ゼロ点のずれに相当する値である。
さらにステップS53において、制御装置30は、内部のメモリ32に測定した電流値をオフセット値として記憶する。記憶したオフセット値は、次回電流値が参照されるときに電流値を補正するために使用される。
ただし、走行用オフセット値とプラグイン充電用オフセット値は別々に記憶されている。そして、走行用のモータジェネレータ制御の場合は走行用オフセット値がメモリ32から読み出されて補正に使用される。また、外部からの充電時の充電制御の場合はプラグイン用オフセット値がメモリ32から読み出されて補正に使用される。
再び図5を参照して、ステップS5において走行用オフセット取得が実行開始されると、ステップS6に処理が進む。ステップS6では、走行用オフセット取得に成功したかまたは走行用オフセット取得ができずにタイムオーバが発生したかが判断される。たとえば、走行用オフセットの取得がノイズ等の影響によって1回ではうまくいかない場合には、ステップS6からステップS2に処理が戻り再びステップS5の走行用オフセット取得が行なわれる。
ステップS6で走行用オフセット取得に成功したか、または走行用オフセット取得ができずにタイムオーバが発生した場合には、ステップS7に処理が進む。このとき走行用オフセット取得に成功した場合には、メモリ32に対してオフセット値の書換えが実行される。タイムオーバの場合には、オフセット値の書換えは行なわれず、前回走行時のオフセット値が次回の走行にも使用される。その後、ステップS7では制御装置30に対する電源オフが実行される。たとえば、オフセットの書換え完了またはタイムオーバの判定後に、制御装置30から電源制御装置に電源オフするように指示が送られる。
一方で、ステップS2においてプラグイン充電信号VACがオン状態であることが検出された場合には、ステップS2からステップS8に処理が進む。ステップS8では、プラグインオフセット取得フラグがオン状態か否かが判断される。プラグイン充電中は、電流センサのオフセット値が数回行なわれる。このときのオフセット値の取得を繰返すための管理にプラグインオフセット取得フラグが用いられる。
プラグインオフセット取得フラグは、外部充電中に電流センサのオフセット値が取得されてから所定時間Xが経過していなければオン状態に設定され、所定時間Xが経過したらオフ状態に設定される。
ステップS8において、プラグインオフセット取得フラグがオン状態でなければステップS9に処理が進み、プラグイン用オフセット値が取得される。なお、初回はフラグが初期化されオフ状態に設定されているので、プラグイン充電が開始されたときにはまずプラグイン用オフセットが取得される。
ステップS9のプラグイン用オフセット値の取得処理は、既に図6で説明した処理が行なわれるが、ここでは説明は繰返さない。ただし、走行時と異なるのは、プラグイン充電時は比較的自由に充電を一時停止し、システムメインリレーをオフ状態に設定して再度オフセット取得が実行できることである。
走行中は、システムメインリレーをオフ状態に設定できるそのようなチャンスが無い。したがって、走行中センサ温度が飽和した後であってシステムメインリレーをオフ状態に設定できる時点、すなわち走行が終了した直後にオフセット値の学習をして、その学習したオフセットを次回の走行に使用する。
比較して、プラグイン充電中は、走行時よりも電流が少ないので電流センサの温度も走行時に比べて低くなり、オフセット値も走行時とは異なる。ただし、プラグイン充電は比較的容易に一時的に中断可能である。したがって、定期的に充電を中断してシステムメインリレーをオフ状態に設定しオフセットを取得するようにすれば、環境温度の変化などにも対応して適切なオフセット値で電流センサの補正が可能である。その結果、バッテリの充電状態(SOC:State Of Charge)を正確に把握することが可能となり、充電上限値ぎりぎりまでプラグイン充電を行なうことができるので走行距離を伸ばすことができる。
ステップS9においてプラグイン用オフセット取得が実行開始されると、ステップS10に処理が進む。ステップS10では、プラグイン用オフセット取得に成功したかまたはプラグイン用オフセット取得ができずにタイムオーバが発生したかが判断される。たとえば、プラグイン用オフセットの取得がノイズ等の影響によって1回ではうまくいかない場合には、ステップS10からステップS2に処理が戻り再びステップS9のプラグイン用オフセット取得が行なわれる。
ステップS10でプラグイン用オフセット取得に成功したか、またはプラグイン用オフセット取得ができずにタイムオーバが発生した場合には、ステップS11に処理が進む。なお、プラグイン用オフセット取得に成功した場合には、メモリ32中のプラグイン用オフセット値は書き換えられる。タイムオーバが発生したときには、メモリ32中のプラグイン用オフセット値は前回の値のまま保持される。そして、ステップS11では、プラグインオフセット取得フラグがオン状態に設定される。ステップS12においてタイマが0に初期化され処理はステップS2に戻る。
ステップS8において、プラグインオフセット取得フラグがオン状態であると判断された場合には、ステップS8からステップS13に処理が進む。ステップS13では、プラグイン充電の制御が行なわれる。プラグイン充電では、駐車時には使用しないモータジェネレータMG1,MG2のステータコイルとインバータ14,22のIGBT素子を利用して、単相コンバータとして動作させ、外部から与えられる単相交流電圧をバッテリBに充電するための直流電圧に変換する。
この充電処理の単相コンバータの制御や、バッテリの充電状態SOCの制御のために電流センサ11,24,25の出力が用いられる。たとえば、バッテリの充電状態は、バッテリ開放状態の端子間電圧と充電電流積算値に基づいて算出される。そして、電流センサ11,24,25の各々に対して、メモリ32中に記憶されていた対応するプラグイン用のオフセット値が読み出される。そして制御装置30は、電流計測値−プラグイン用オフセットを電流値であるとして制御変数に代入し、単相コンバータやバッテリの充電状態SOCの制御を実行する。ステップS13の補正処理が終了すると、ステップS14に処理が進む。
ステップS14では、バッテリの充電状態SOCが満充電状態になったか否かが判断される。バッテリの充電状態が満充電であった場合には、ステップS15に処理が進む。ステップS15では、制御装置30に対する電源オフが実行される。たとえば、制御装置30から電源制御装置に電源オフするように指示が送られる。
ステップS14において、バッテリの充電状態SOCがまだ満充電に達していないと判断された場合には、ステップS16に処理が進む。ステップS16では、タイマのカウントしている時間が所定値Xを超えたか否かが判断される。タイマカウント値>Xでなければ、再びステップS2に処理が戻り、充電が継続されることになる。
一方、ステップS16においてタイマカウント値>Xであれば、ステップS17に処理が進み、プラグインオフセット取得フラグがオン状態からオフ状態に変更される。これにより、再びステップS9のプラグイン用オフセット取得処理が実行されるようになり、オフセット値の更新が行なわれる。
図7は、プラグイン充電が行なわれたときの制御の時間変化を説明するための図である。
図5、図7を参照して、まず、時刻t1において制御装置30の電源がオン状態に設定される(ステップS1)。そして、時刻t2において、起動信号IGONがオン状態に設定され、車両が走行開始する。そして時刻t2〜t3の間は走行用の通常モータ制御が実行される。
時刻t3において、帰宅時に車両に電源プラグが接続され(ステップS2でYES)、時刻t4においてプラグイン用オフセット値が取得され、そして充電が開始される。時間Xが経過すると、時刻t5において充電が一時中断され、再度プラグイン用オフセットが取得されその後充電が継続される。そして時間X経過ごとに充電の一時中断と、プラグイン用オフセットの再取得が実行される。時刻t6において、バッテリが満充電になると電源がオフされる。
このように、プラグイン充電時には、まずオフセット値を取得後に、充電が開始される。そしてある時間が経過するごとに充電は一時停止され再度オフセットを取得することを繰返す。そしてバッテリが満充電になると制御装置30の電源はオフ状態に設定される。
このようにすることにより、電流センサ近辺に温度センサを設けなくてもプラグイン充電時に正確に電流センサのオフセット値を補正することができる。
また、走行時とプラグイン充電時でオフセット値を別々にメモリ32に記憶しているので、次回走行時にプラグイン充電時に取得したオフセット値の影響を受けずに正しいオフセット補正が可能である。
最後に、本実施の形態について、図1等を再び参照して総括的に説明する。車両の電源装置は、車両外部から充電可能に構成された蓄電装置(バッテリB)と、蓄電装置に対する充放電経路に設けられた電流センサ11,24,25と、電流センサ11,24,25の出力に基づいて蓄電装置に対する充放電の制御を行なう制御装置30とを備える。制御装置30は、蓄電装置に対して車両外部から充電を行なう際に電流センサ11(または,24,25)の出力を補正するのに用いる第1の補正値と、蓄電装置の電力を用いて車両を走行させる際に電流センサ11(または,24,25)の出力を補正するのに用いる第2の補正値とを記憶する記憶部(メモリ32)を含む。
好ましくは、図5に示すように、制御装置30は、車両の走行が終了したときに第2の補正値を学習し(ステップS5)、車両外部からの充電を開始してから完了するまでの間に第1の補正値を学習する(ステップS9)。
より好ましくは、図6に示すように、第1の補正値の学習は、充放電経路に流れる電流がゼロとなる動作条件に車両の電源装置を設定した状態(ステップS51)で電流センサの出力を取り込む(ステップS52)ことで行なわれる。図5に示すように、制御装置30は、車両外部からの充電を開始してから所定時間ごとに充電を一時中断させて(ステップS16、S17)第1の補正値の学習を行なう(ステップS9)。
好ましくは、車両の電源装置は、外部から交流電力を受けて蓄電装置に対する充電電圧を出力するとともに、車両走行時には蓄電装置からの放電電力を受けて車両を駆動させる充放電部(14,22、MG1,MG2)をさらに備える。充放電部によって外部から蓄電装置に充電される電流の最大値は、車両走行時に充放電部によって蓄電装置から放電される電流の最大値よりも小さい。
なお、本実施の形態では、パラレルシリーズ方式のハイブリッド車両を例に挙げたが、本発明は、電気自動車、燃料電池自動車、シリーズハイブリッド車、等にも適用可能である。また、本実施の形態では、充電方式として、走行時に使用し停車中は使用しない2つのモータの中性点から交流電力を入れる方式を例示したが、他の方式の充電器を搭載するものであっても良い。
また、以上の実施の形態で開示された制御方法は、コンピュータを用いてソフトウエアで実行可能である。この制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体(ROM、CD−ROM、メモリカードなど)から車両の制御装置中のコンピュータに読み込ませたり、また通信回線を通じて提供したりしても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ハイブリッド車両、2 車輪、3 動力分割機構、4 エンジン、10,13,21,74 電圧センサ、11,24,25 電流センサ、12 昇圧コンバータ、14,22 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、30 制御装置、32 メモリ、40 接続部、50 入力端子、51 リレー回路、90 外部電源、ACL1,ACL2 電力入力ライン、B バッテリ、C1,CH 平滑用コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、L1 リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、PL1,PL2 電源ライン、Q1〜Q8 IGBT素子、R0 制限抵抗、RY1,RY2 リレー、SL1,SL2 接地ライン、SMRP,SMRB,SMRG システムメインリレー。