JP4873979B2 - ポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Description
1.複合繊維を構成繊維としてスパンボンド法により形成された不織布であって、前記複合繊維は、融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体と、このポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体とを含むとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成しており、前記脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とするとともに、架橋していることを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布。
本発明の不織布およびそれを用いた袋状物に用いるポリ乳酸系重合体としては、ポリ−D−乳酸と、ポリ−L−乳酸と、D−乳酸とL−乳酸との共重合体と、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体との群から選ばれる重合体、あるいはこれらのブレンド体が挙げられる。共重合のためのヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられるが、これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸やグリコール酸が、分解性能や低コスト化の点から好ましい。
示差走査型熱量計(パーキンエルマ社製、DSC−2型)を用いて、試料質量を5mg、昇温速度を10℃/分として測定し、得られた吸熱曲線の最大値を与える温度を融点(℃)とした。
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度210℃、荷重20.2N(2160gf)の条件で測定した。
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)の条件で測定した。
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度190℃、210℃、230℃、また荷重20.2N(2160gf)の条件で測定した。以下、190℃にて測定したメルトフローレイトを「MFR3」と称し、210℃にて測定したメルトフローレイトを「MFR4」と称し、230℃にて測定したメルトフローレイトを「MFR5」と称する。
試料5mgを昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせた後、降温速度500℃/分で90℃に降温し、90℃でホールドして等温結晶化させて示差熱分析することにより、測定した。
ウエブ状態における繊維50本の径を光学顕微鏡にて測定し、密度補正して求めた平均値を繊度とした。
開繊器具より吐出した紡出糸条にて形成された不織ウエブについて、目視にて下記の3段階にて評価した。
△:密着糸および収束糸がわずかであるが認められた。
×:構成繊維の大部分が密着し、開繊性が不良であった。
標準状態の試料から長さ10cm、幅5cmの試料片10点を作成し、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積あたりに換算して、目付(g/m2)とした。
JIS−L−1906に準じて測定した。すなわち、長さ20cm、幅5cmの試料片10点を作製し、各試料片毎に不織布の経方向および緯方向について、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、つかみ間隔10cm、引張速度20cm/分で伸張し、得られた切断時破断荷重(N/5cm幅)の平均値を引張強力(N/5cm幅)とし、切断時の破断伸度の平均値を伸度(%)とした。
不織布を構成する芯鞘構造の繊維の鞘成分融点をTmとしたときに、縦方向×横方向=20cm×20cmの試料を(Tm−10)℃の雰囲気下で5分間放置した後の縦横各辺の試料長をLとして、下式によって算出した。そして、乾熱収縮率が縦方向、横方向とも5%以下のものを、不織布の寸法安定性が良好であると評価した。
幅10cm、長さ5cmの試料を2枚用意し、これら2枚の試料を重ねてヒートシール加工を施し、そのときの加工性にもとづき下記の3段階評価にてヒートシール性を判定した。
△:ヒートシール加工部に収縮が起こり寸法安定性が悪い。
×:殆どシールされていない。
58℃に維持された熟成コンポスト中に不織布を埋設し、3ケ月後に取り出したときに、不織布がその形態を保持していない場合、あるいはその形態を保持していても引張強力が埋設前の強力初期値に対して50%以下に低下している場合は、生分解性が良好であると評価して○で示した。これに対し、不織布がその形態を保持しており引張強力が埋設前の強力初期値に対して50%を超える場合は、生分解性能が不良であると評価して×で示した。
融点が168℃、MFR1が20g/10分の、L−乳酸/D−乳酸=98.4/1.6モル%のL−乳酸/D−乳酸共重合体(以下、「P1」と略記する)を、芯成分として用意した。
そして、P1とP3との複合比が質量比でP1:P3=1:1となるように、またP1の溶融重合体中にタルクが0.5質量%含まれることになるように、個別に計量した後、それぞれを個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて温度220℃で溶融し、芯鞘型複合繊維断面となる紡糸口金を用いて、上述のようにP1が芯部を構成しP3が鞘部を構成するように、単孔吐出量1.00g/分の条件で溶融紡糸した。
長繊維不織布の目付を50g/m2(実施例2)、100g/m2(実施例3)とした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
芯成分として上述のP1を用意し、鞘成分として上述のP2を用意した。
単孔吐出量を2.1g/分、牽引速度を2700m/分、単糸繊度を7.7デシテックスとした。そして、それ以外は実施例4と同様にして、ポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
P1をベースとして、タルクに代えて二酸化チタン(TI)を20質量%練り込み含有させた。そして、それ以外は実施例4と同様にして、ポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
脂肪族ポリエステル共重合体P2に有機過酸化物を含有させなかった。そして、それ以外は実施例4と同様にして溶融紡糸および不織布化を試みた。しかし、不織ウエブを構成する繊維の大部分は密着したものであった。
実施例1の不織布を用いて台所用の水切り袋を作成した。すなわち、不織布を筒状にしながら両サイドにガゼット(マチ)を作成し、不織布の端部同士で1.5cmの重なり部を作成し、その重なり部に幅0.5cmのヒートシール部を形成して、水切り袋の背開きシールとし、次いで水切り袋の底部としてヒートシール装置により幅0.5cmのヒートシール部を形成して、高さ25cm、幅11cmの水切り袋を得た。この水切り袋を台所の排水口に設置して使用したところ、生ゴミなどを良好に捕集することができ、かつ、背開きや底部のヒートシール部は強固にシールされており良好な使用感を得た。
融点が168℃、MFR1が70g/10分の、L−乳酸/D−乳酸=98.6/1.4モル%のL−乳酸/D−乳酸共重合体を計量した後、個別のエクストルーダー型押し出し機を用いて溶融し、紡糸温度210℃で単相型の繊維断面となるように単孔吐出量1.7g/分の条件下で紡糸した。紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設置したエアーサッカーにて牽引速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊装置にて開繊し、移動するスクリューコンベア上に長繊維ウエブとして捕集堆積させた。その長繊維の単糸繊度は、3.3デシテックスであった。次いで、このウエブを、ロール温度90℃としたエンボスロールからなる部分熱圧接装置に通して部分的に熱圧接し、目付20g/m2のポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
実施例1と同様のポリ乳酸系重合体P1を用意した。
また、融点が110℃、190℃でのMFR2が35g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla)に、有機過酸化物として、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン(日本油脂社製 商品名:パーヘキシン25B−40、純度40%)を、0.2質量部(有機過酸化物として0.08質量部)の濃度で含まれるように添加し、190℃に温度設定された二軸混練機(東芝機械社製TEM−37BS)に供給した。その後、0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押し出した。引き続きこのストランドを冷却バスで冷却した後、ペレタイザーでカットして脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P4」と略記する)を採取した。そのときの押出し吐出量は30kg/h、二軸混練機のスクリューの回転数は200rpmとした。
そして、P1とP4との複合比が質量比でP1:P4=1:1となるように、またP1の溶融重合体中にタルクが0.5質量%含まれることになるように、個別に計量した後、それぞれを個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて温度210℃で溶融し、芯鞘型複合繊維断面となる紡糸口金を用いて、P1が芯部を構成しP4が鞘部を構成するように、単孔吐出量1.00g/分の条件で溶融紡糸した。
融点が110℃、190℃でのMFR2が20g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla)を用いた。有機過酸化物は、実施例8と同じものを、0.1質量部(有機過酸化物として0.04質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P5」と略記する)を採取した。
融点が110℃、190℃でのMFR2が43g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla)を用いた。有機過酸化物は、実施例8と同じものを、0.2質量部(有機過酸化物として0.08質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P6」と略記する)を採取した。
有機過酸化物として、ジブチルパーオキサイド(日本油脂社製 商品名:パーブチルD、純度98%以上)を用い、これを実施例8と同じ脂肪族ポリエステル共重合体に0.027質量部(有機過酸化物として0.027質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P7」と略記する)を採取した。
有機過酸化物として、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製 商品名:パーヘキサ25B−40、純度40%)を用い、これを実施例8と同じ脂肪族ポリエステル共重合体に0.2質量部(有機過酸化物として0.08質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P8」と略記する)を採取した。
実施例12と同様に有機過酸化物としてジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製 商品名:パーヘキサ25B−40、純度40%)を用いたが、これを脂肪族ポリエステル共重合体に0.3質量部(有機過酸化物として0.12質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例12と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P9」と略記する)を採取した。
Claims (8)
- 複合繊維を構成繊維としてスパンボンド法により形成された不織布であって、前記複合繊維は、融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体と、このポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体とを含むとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成しており、前記脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とするとともに、架橋していることを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布。
- 脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールが1,4-ブタンジオールであり、脂肪族ジカルボン酸がコハク酸であり、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が乳酸であって、その融点がポリ乳酸系重合体の融点よりも50℃以上低いことを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系長繊維不織布。
- 複合長繊維は、ポリ乳酸系重合体が芯部を形成し、脂肪族ポリエステル共重合体が鞘部を形成してなる芯鞘型複合長繊維であって、芯部と鞘部の複合比(質量比)が、芯部/鞘部=3/1〜1/3であることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系長繊維不織布。
- 融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体を用いるとともに、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としかつ前記ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体と、有機過酸化物とを予め溶融混合した重合体を用いて、前記用いたそれぞれの重合体を個別に溶融し、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成するような複合紡糸口金を用いて紡糸し、前記口金より紡出した紡出糸条を冷却し牽引細化したうえで開繊し、得られた長繊維を堆積させて不織ウエブを形成することを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
- 溶融混合した重合体として、脂肪族ポリエステル共重合体100質量部に対して有機過酸化物を0.01〜1質量部混合した重合体を用いることを特徴とする請求項4記載のポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
- 溶融混合した重合体として、昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせた後、降温速度500℃/分で90℃に降温し、90℃でホールドして等温結晶化させて示差熱分析したときの結晶化速度指数が3分以下である重合体を用いることを特徴とする請求項4または5記載のポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
- 融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体を用い、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としかつ前記ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体を用い、かつ有機過酸化物を用いて、前記ポリ乳酸系重合体を溶融するとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体に前記有機過酸化物を混合させた状態で前記ポリ乳酸系重合体とは別に溶融し、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成するような複合紡糸口金を用いて紡糸し、前記口金より紡出した紡出糸条を冷却し牽引細化したうえで開繊し、得られた長繊維を堆積させて不織ウエブを形成することを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
- 請求項1から3までのいずれか1項記載のポリ乳酸系長繊維不織布にて形成され、脂肪族ポリエステル共重合体の溶融または軟化によって構成繊維同士が接着しているヒートシール部を有することによって袋状に構成されていることを特徴とする生分解性袋状物。
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