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JP4873979B2 - ポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法に関する。
従来より、機能性のある不織布の一つに、自己接着性繊維からなる不織布がある。この自己接着性繊維からなる不織布は、加熱によって繊維の一部が溶融して繊維相互が接着一体化したもので、ヒートシール特性を有するものである。
近年、石油を原料とする合成繊維は、焼却時の発熱量が多いため、自然環境保護の見地から見直しが必要とされ、自然界において生分解する脂肪族ポリエステルからなる繊維が開発されており、環境保護への貢献が期待されている。脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸系重合体は、比較的高い融点(約180℃)を有することから、広い分野に使用されることが期待されている。
ポリ乳酸系重合体を用いて自己接着性繊維からなる不織布を得ようとした際に、芯部にポリ乳酸を配し、鞘部にD−乳酸とL−乳酸との共重合体(D、L−乳酸共重合体)を配して、芯部よりも鞘部を低融点とした芯鞘型複合繊維により不織布を構成させるものが知られている(特許文献1、特許文献2)。
この場合に、熱加工安定性を考慮すると、芯部と鞘部の融点差は大きい方が好ましいため、鞘部の共重合体は融点が低いもの(120℃程度の共重合体)を選択することがよいと考えられる。しかし、D、L−乳酸共重合体において、融点120℃程度のものは、結晶性が低いため、熱接着工程において収縮したり熱ロールに融着したりする等のトラブルが発生しやすく、しかも得られる不織布は耐熱性に劣るものとなる。また、これに代えて鞘成分にポリ乳酸以外の融点の低い重合体を選択した場合は、ガラス転移温度(Tg)も低い場合が多く、このようなものを用いていわゆるスパンボンド法により不織布を得ようとすると、スパンボンド法はノズル孔より吐出した糸条が牽引細化されるまでの距離(紡糸工程〜冷却・延伸工程の距離)が極めて短いため、冷却過程で十分に冷え切らずにゴム状弾性を示したり、糸条同士がブロッキングを起こすなどの問題があった。
特開平07−310236号公報 特開平07−133511号公報
本発明は、構成繊維の製糸性および開繊性が良好で、スパンボンド法によって製造することが可能であり、得られた不織布は、機械的物性に優れるとともにヒートシール性を併せ持つ生分解性の不織布およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために、融点が低くTgも低い重合体であっても、これを用いてスパンボンド法により不織布を得ようと検討した。その結果、重合体に有機過酸化物を溶融混合すると結晶化速度が速くなり、スパンボンド法による冷却過程でも十分に冷え切りブロッキングが生じないことがわかった。本発明は、このような知見に基いてなされたものである。
すなわち、上記課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
1.複合繊維を構成繊維としてスパンボンド法により形成された不織布であって、前記複合繊維は、融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体と、このポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体とを含むとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成しており、前記脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とするとともに、架橋していることを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布。
2.脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールが1,4-ブタンジオールであり、脂肪族ジカルボン酸がコハク酸であり、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が乳酸であって、その融点がポリ乳酸系重合体の融点よりも50℃以上低いことを特徴とする1.のポリ乳酸系長繊維不織布。
3.複合長繊維は、ポリ乳酸系重合体が芯部を形成し、脂肪族ポリエステル共重合体が鞘部を形成してなる芯鞘型複合長繊維であって、芯部と鞘部の複合比(質量比)が、芯部/鞘部=3/1〜1/3であることを特徴とする1.または2.のポリ乳酸系長繊維不織布。
4.融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体を用いるとともに、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としかつ前記ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体と、有機過酸化物とを予め溶融混合した重合体を用いて、前記用いたそれぞれの重合体を個別に溶融し、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成するような複合紡糸口金を用いて紡糸し、前記口金より紡出した紡出糸条を冷却し牽引細化したうえで開繊し、得られた長繊維を堆積させて不織ウエブを形成することを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
5.溶融混合した重合体として、脂肪族ポリエステル共重合体100質量部に対して有機過酸化物が0.01〜1質量部含有されている重合体を用いることを特徴とする4.のポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
6.溶融混合した重合体として、昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせた後、降温速度500℃/分で90℃に降温し、90℃でホールドして等温結晶化させて示差熱分析したときの結晶化速度指数が3分以下である重合体を用いることを特徴とする4.または5.のポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
7.融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体を用い、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としかつ前記ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体を用い、かつ有機過酸化物を用いて、前記ポリ乳酸系重合体を溶融するとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体に前記有機過酸化物を混合させた状態で前記ポリ乳酸系重合体とは別に溶融し、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成するような複合紡糸口金を用いて紡糸し、前記口金より紡出した紡出糸条を冷却し牽引細化したうえで開繊し、得られた長繊維を堆積させて不織ウエブを形成することを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
8.上記1.から3.までのいずれかに記載のポリ乳酸系長繊維不織布にて形成され、脂肪族ポリエステル共重合体の溶融または軟化によって構成繊維同士が接着しているヒートシール部を有することによって袋状に構成されていることを特徴とする生分解性袋状物。
本発明によれば、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステル共重合体と含み、前記脂肪族ポリエステル共重合体は脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とする複合繊維によって不織布を形成し、かつポリ乳酸系重合体の融点が150℃以上であるようにしたため、これより低融点の、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体との融点差を40℃〜60℃程度とすることができ、このため熱加工時の安定性に優れヒートシール性に優れた不織布を得ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、有機過酸化物を用いることにより、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体を架橋させて脂肪族ポリエステル共重合体の結晶化速度を速くさせることができ、このため、短繊維不織布などの製造工程に比べて、紡糸工程から冷却・延伸工程までが限られた短い距離とならざるを得ないスパンボンド不織布の製造工程においても、脂肪族ポリエステル共重合体を良好に冷却させて結晶化させることができ、このため開繊工程におけるブロッキングの発生を効果的に防止して、スパンボンド法により不織布を得ることができる。
本発明の生分解性袋状物は、上記したポリ乳酸系長繊維不織布にて形成され、脂肪族ポリエステル共重合体の溶融または軟化によって構成繊維同士が接着しているヒートシール部を有することによって袋状に構成されているものであり、ヒートシール部では脂肪族ポリエステル共重合体よりも高融点のポリ乳酸系重合体は熱による影響を受けることなく繊維形態を維持しているため、十分なヒートシール強力を得ることができて、優れたヒートシール性を有する袋状物を得ることができる。またポリ乳酸系重合体は150℃以上の融点を有していることから結晶性が高く熱安定性を有するとともに、脂肪族ポリエステル共重合体は架橋されているため、ポリ乳酸系重合体と同様に結晶性が高く熱的安定性に優れ、したがってヒートシール加工時に熱収縮が発生しにくいという利点がある。
また本発明の生分解性袋状物は、調理場等の三角コーナー、排水口等に設置する水切り袋、発熱剤を収納して用いるカイロ用袋、冷却剤を収納して用いる保冷剤袋、お茶や紅茶やコーヒー等の飲料用フィルターバッグ、各種液体の吸収材料や各種商品を包装するラッピング袋等の各種袋状物に用いることができ、一般生活資材として好適に用いることができる。また、一般生活資材用のみでなく、優れたヒートシール強力を奏するために、農業用や産業用等の袋状物としても用いることができる。
本発明の不織布は、繊維形成成分としての融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体と、このポリ乳酸系重合体よりも低融点の熱接着成分としての脂肪族ポリエステル共重合体とを含む。
まず、ポリ乳酸系重合体について説明する。
本発明の不織布およびそれを用いた袋状物に用いるポリ乳酸系重合体としては、ポリ−D−乳酸と、ポリ−L−乳酸と、D−乳酸とL−乳酸との共重合体と、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体との群から選ばれる重合体、あるいはこれらのブレンド体が挙げられる。共重合のためのヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられるが、これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸やグリコール酸が、分解性能や低コスト化の点から好ましい。
本発明においては、上記ポリ乳酸系重合体であって、融点が150℃以上の重合体あるいはこれらのブレンド体を用いる。ポリ乳酸系重合体の融点が150℃以上であることで、高い結晶性を有しているため、熱処理加工時の収縮が発生しにくく、また熱処理加工を安定して行うことができる。
ポリ乳酸のホモポリマーであるポリ−L−乳酸やポリ−D−乳酸の融点は、約180℃である。ポリ乳酸系重合体として、L−乳酸とD−乳酸との共重合体を用いる場合には、共重合体の融点が150℃以上となるようにモノマー成分の共重合比率を決定する。すなわち、L−乳酸とD−乳酸との共重合比が、モル比で、(L−乳酸)/(D−乳酸)=5/95〜0/100、あるいは(L−乳酸)/(D−乳酸)=95/5〜100/0のものを用いる。共重合比率が前記範囲を外れると、共重合体の融点が150℃未満となり、非晶性が高くなり、本発明の目的を達成し得ないこととなる。
次に、ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体について説明する。この脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、これらの混合物を用いてもよい。得られる共重合体の物性を考慮して、1,4−ブタンジオールを用いることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、これらの誘導体である酸無水物を用いてもよい。得られる共重合体の物性を考慮して、コハク酸または無水コハク酸、あるいはこれらとアジピン酸との混合物であることが好ましい。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−3メチル乳酸、ロイシン酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、メチル乳酸、カプロラクトン、バレロラクトン等が挙げられる。これらの脂肪族ヒドロキシカルボン酸は2種以上併用してもよい。なかでも乳酸を用いることが好ましい。
さらに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸に光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体のいずれを使用してもよく、また、脂肪族ヒドロキシカルボン酸は、固体、液体またはオリゴマーであってもよい。
脂肪族ポリエステル共重合体として、具体的には、脂肪族ジオールが1,4−ブタンジオールであり、脂肪族ジカルボン酸がコハク酸であり、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が乳酸である脂肪族ポリエステル共重合体、すなわちポリブチレンサクシネートに乳酸が共重合した共重合体を、好ましく用いることができる。このような脂肪族ポリエステル共重合体としては、例えば特許第3402006号明細書に記載されているものを使用することが好ましい。このような脂肪族ポリエステル共重合体としては、具体的には、三菱化学社製、商品名GSPla(結晶融点110℃)を好ましく用いることができる。この三菱化学社製、商品名GSPlaを用いた場合は、脂肪族ポリエステル共重合体は成分中に乳酸を共重合しているため、ポリ乳酸系重合体との相溶性が向上する。従って、溶融紡糸工程において良好に複合紡糸を行うことができる。なお、不織布化の熱接着性を良好にし、また得られた不織布のヒートシール性を良好にするためには、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステル共重合体との融点差が50℃以上であることが好ましい。
脂肪族ポリエステル共重合体は、原料の段階において有機過酸化物を溶融混合するものであり、それにより架橋が行われ、脂肪族ポリエステル共重合体の結晶化速度が速くなり、このため、短繊維不織布などの製造工程に比べて、紡糸工程から冷却・延伸工程までが限られた短い距離とならざるを得ないスパンボンド不織布の製造工程においても、脂肪族ポリエステル共重合体を良好に冷却させて結晶化させることができ、したがって開繊工程におけるブロッキングの発生を効果的に防止することができる。
有機過酸化物は、試料1gを電熱板により4℃/分の速度で加熱したとき(急速加熱試験)に分解を開始する温度(分解温度)が90℃以上200℃以下であることが好ましい。より好ましくは90℃以上200℃以下である。分解温度が200℃よりも高いと、脂肪族ポリエステルとの溶融混合時にラジカルを発生しにくく、脂肪族ポリエステルが架橋反応を起こしにくくなる。また分解温度が90℃よりも低い場合は、有機過酸化物が脂肪族ポリエステル中に十分に分散する前にラジカルを発生しやすくなるため、局所的な反応が起こり、均一な架橋反応物が得られなかったり、時には局所的に爆発的な反応が起こったりする。なお、この分解温度は、有機化酸化物の純度によっても変化するため、有機過酸化物を含む組成物、すなわち有機過酸化物組成物として純度を変化させて上記の範囲内に収めることも可能である。
有機過酸化物として、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。
溶融混合する際の有機過酸化物の配合量は、脂肪族ポリエステル共重合体100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましく、0.01〜0.3質量部がいっそう好ましい。0.01質量部未満では所要の結晶化速度向上効果を発揮できず、また1質量部を超えると共重合体の粘度が高くなって溶融紡糸の際の紡糸性に劣る傾向となる。
以上の点に関連して、有機過酸化物と溶融混合した脂肪族ポリエステル共重合体は、原料の段階において、DSC装置を用いて昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせて融解させた後、降温速度500℃/分で90℃に降温し、90℃でホールドして等温結晶化させて示差熱分析したときの結晶化速度指数が3分以下であることが好ましい。この結晶化速度指数は、重合体を200℃の溶融状態から冷却し90℃にて結晶化させたときに最終的に到達する結晶化度の2分の1に到達するまでの時間(分)で示され、指数が小さいほど結晶化速度が速いことを意味する。したがって、複合繊維の原料となる脂肪族ポリエステル共重合体として、結晶化速度指数が3分以下の結晶化速度の高いものを用いることで、溶融紡糸したときの冷却性が良好になって、開繊時にブロッキングを生じにくくすることができる。
本発明者等は、本発明において原料である脂肪族ポリエステル共重合体の結晶化速度が速くなるのは、以下の理由によると推定する。すなわち、脂肪族ポリエステル共重合体に有機過酸化物を溶融混合させることにより、共重合体に架橋が形成され、この架橋の部分が結晶化を促進する核剤として機能して、結晶化速度が速くなると推定する。
本発明においては、脂肪族ポリエステル共重合体が、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する。このような繊維を構成するための繊維断面形態として、例えば、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステル共重合体とが貼り合わされたサイドバイサイド型複合断面、ポリ乳酸系重合体が芯部を形成し脂肪族ポリエステル共重合体が鞘部を形成してなる芯鞘型複合断面、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステル共重合体とが繊維表面に交互に存在する分割型複合断面や多葉型複合断面等が挙げられる。脂肪族ポリエステル共重合体は後述のように熱接着成分としての役割を果たすものであるため、その点を考慮すると、脂肪族ポリエステル共重合体が繊維の全表面を形成している芯鞘型複合断面であることが好ましい。
ポリ乳酸系重合体が繊維形成成分としての芯部を形成し、脂肪族ポリエステル共重合体がスパンボンド不織布を構成するときの熱接着成分としての鞘部を形成した芯鞘型複合断面である場合において、芯部と鞘部の複合比(質量比)は、芯部/鞘部=3/1〜1/3であることが好ましい。芯部の比率が3/1を超えると、鞘部の比率が少なくなりすぎるため、熱接着性能に劣る傾向となり、長繊維不織布の形態保持性や機械的性能が劣る傾向となるうえに、十分なヒートシール性を得にくくなる。一方、芯部の比率が1/3未満となると、得られた不織布の機械的強度が不十分なものとなる。
本発明の不織布は、前述した複合繊維が堆積されたスパンボンド不織布である。不織布の形態としては、脂肪族ポリエステル共重合体成分が溶融または軟化することにより繊維同士が熱接着して形態保持しているものがよいが、構成繊維同士が交絡により形態保持しているものでもよい。熱接着の形態としては、繊維同士の接点において、溶融または軟化した脂肪族ポリエステル共重合体を介して熱接着したものであってもよいし、また、熱エンボス装置を通すことにより、部分的に形成される熱接着部と非熱接着部とを有し、熱接着部において脂肪族ポリエステル共重合体成分が溶融または軟化して不織布として形態保持しているものであってもよい。
高速紡糸に適したポリマーの粘度を選択することも、本発明における好ましい条件である。すなわち、ポリ乳酸系重合体の粘度は、ASTM−D−1238に記載の方法に準じて、温度210℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したメルトフローレイト(以下、「MFR1」と略記する)が10〜80g/10分であることが好ましく、20〜70g/10分であることがさらに好ましい。MFR1が10g/10分未満であると、粘性が高すぎて、製造工程において溶融時のスクリューへの負担が大きくなる。反対にMFR1が80g/10分を超える場合は、粘度が低すぎるため紡糸工程において糸切れが多発しやすく操業性を損なう傾向となる。
一方、脂肪族ポリエステル共重合体の粘度は、ASTM−D−1238に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したメルトフローレイト(以下、「MFR2」と略記する)が20〜45g/10分であることが好ましい。MFR2が20g/10分未満であると、脂肪族ポリエステル共重合体に有機過酸化物を溶融混合した場合にそれにより架橋が行われて、粘性が高い重合体となってしまい、このため溶融紡糸工程において延伸張力に耐えきれずに糸切れが発生しやすくなる。一方、MFR2が45g/10分を超える場合は、脂肪族ポリエステル共重合体の重合度が小さいために、有機過酸化物を溶融混合しても十分な架橋反応が行われず、このため得られた重合体をスパンボンドの紡糸工程で十分に冷却させるだけの結晶化速度を得ることができない。
脂肪族ポリエステル共重合体と有機過酸化物とを溶融混合して得られる重合体の粘度は、ASTM−D−1238に記載の方法に準じて、温度210℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したメルトフローレイト(以下、「MFR4」と略記する)が10〜30g/10分、温度230℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したメルトフローレイト(以下、「MFR5」と略記する)が、20〜45g/10分であることが好ましい。このように異なる温度におけるMFR4とMFR5との複数の値を規定するのは、一つの温度条件におけるMFR値だけでは架橋の度合いを確認しにくく、複数のMFR値によって初めて架橋の度合いを正しく確認できるためである。温度210℃のときのメルトフローレイトMFR4が10g/10分未満であると、溶融混合した重合体の架橋度合いが強くなるため、溶融紡糸工程においてゴム状弾性を示し、糸条が延伸張力に耐えきれなくなって、糸切れが発生しやすくなる。一方、温度230℃のときのメルトフローレイトMFR5が45g/10分を超える場合は、溶融混合した重合体の架橋度合いが弱くなるため、結晶化速度が遅くなり、したがって糸条同士が開繊工程において密着してしまって、地合の劣る不織布となってしまうおそれがある。メルトフローレイトのより好ましい範囲は、温度210℃のときと温度230℃のときのいずれにおいても、20〜30g/10分である。このようなより好ましい範囲とすることによって、紡糸工程、延伸工程、開繊工程のいずれも問題なく実行することができるとともに、地合の良好な不織布を得ることができる。
なお、以下においては、脂肪族ポリエステル共重合体と有機過酸化物とを溶融混合した重合体の粘度として、ASTM−D−1238に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)で測定したメルトフローレイト(以下、「MFR3」と略記する)を用いることもある。
本発明の不織布を構成する複合繊維の単糸繊度は、2〜11デシテックスであることが好ましい。脂肪族ポリエステル共重合体に有機過酸化物を溶融混合した重合体は架橋により粘性が高いために、単糸繊度が2デシテックス未満になると、紡糸工程において紡出糸条が延伸張力に耐えきれずに糸切れが頻繁に発生し、操業性が悪化しやすくなる。一方、単糸繊度が11デシテックスを超えると、紡出糸条の冷却性に劣る傾向となり、糸条が熱により密着した状態で開繊装置から出てくるようになり、得られる不織布の品位が非常に劣ることとなる。これらの理由により、単糸繊度は、3〜8デシテックスがより好ましい。
本発明の不織布の目付は、その不織布の用途によって適宜選択すればよく、特に限定しないが、一般的には10〜300g/mの範囲が好ましい。より好ましくは15〜200g/mの範囲である。目付が10g/m未満では、地合および機械的強力に劣り、実用的ではない。逆に、目付が300g/mを超えると、コスト面で不利となる。
特に、不織布にヒートシールを施したり、またヒートシールによって袋状物を構成したりする場合は、その不織布の目付は、15〜150g/mの範囲にあることが好ましい。目付が15g/m未満であると、不織布を構成する繊維の本数が相対的に減るため、ヒートシール部の強力が劣る傾向となる。一方、目付が150g/mを超えると、不織布の厚みが大きくなり、ヒートシール部における内層において、ヒートシール加工の際に熱が十分に伝わらず優れたヒートシール強力を得にくい。
本発明の不織布を構成する複合繊維を形成するためのポリ乳酸系重合体および、または脂肪族ポリエステル共重合体には、本発明の目的を大きく損なわない限りにおいて、結晶核剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材等を添加することが可能である。例えば、結晶核剤としてポリ乳酸系重合体にタルクを配合し、また開繊性のさらなる向上のために脂肪族ポリエステル共重合体に滑剤を配合することが好適である。
本発明の生分解性袋状物は、前述した不織布にて形成され、この不織布を適宜の大きさに裁断し、ヒートシール部を形成することにより、袋状の形態とされたものである。
ヒートシール部においては、脂肪族ポリエステル共重合体が溶融または軟化することにより繊維同士が接着し、かつポリ乳酸系重合体は熱の影響を受けずに繊維の形態を維持した状態となっている。このようなヒートシール部を形成して袋状物を得るためには、公知のヒートシーラーによる製袋加工を適用することができる。このときのヒートシーラーの処理条件(設定温度、線圧、処理速度)は、脂肪族ポリエステル共重合体を溶融または軟化させ、かつポリ乳酸系重合体は熱の影響を受けない適宜の条件に設定することができる。
本発明の生分解性袋状物は、このようなヒートシール部を有することで袋形状に形成されたものである。この袋状物は、一辺に取り出し口を有するいわゆる袋であっても良いし、発熱剤、乾燥剤、防虫剤などの各種収納物が収納され、ヒートシールにより閉じられて口を有しないものであってもよい。
次に、本発明のポリ乳酸系長繊維不織布の好ましい製造方法について説明する。本発明のポリ乳酸系長繊維不織布は、スパンボンド法によって製造される。不織布の構成繊維は、コンパウンド法やドライブレンド法によって製造することができる。
まず、コンパウンド法について説明する。すなわち、融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体(チップ)と、それよりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体であって、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とし、かつ溶融混合により有機過酸化物を混合したもの(チップ)とを用意する。脂肪族ポリエステル共重合体には、溶融混合により有機過酸化物を混合した際に、上述のように、脂肪族ポリエステル共重合体100質量部に対して有機過酸化物が0.01〜1質量部混合されていることが好適である。また、これにより得られる共重合体(チップ)は、前述の結晶化速度指数が3分以下であることが好適である。
そして、用意したそれぞれの重合体チップを個別に溶融計量し、低融点の重合体が複合繊維の表面の少なくとも一部を形成することが可能な複合紡糸口金を介して溶融紡糸し、この紡糸口金より紡出した紡出糸条を従来公知の横吹き付けや環状吹き付け等の冷却装置を用いて冷却せしめた後、吸引装置を用いて牽引細化して引き取る。
次に、本発明のポリ乳酸系長繊維不織布の別の好ましい製造方法である、ドライブレンド法について説明する。すなわち、融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体と、それよりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体であって、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としたものと、有機過酸化物とを用意する。そして、ポリ乳酸系重合体を溶融するとともに、これとは別に、脂肪族ポリエステル共重合体と有機過酸化物とを計量混合して、エクストルーダー内で溶融混合する。そして、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成することが可能な複合紡糸口金を用いて紡糸し、この紡糸口金より紡出した紡出糸条を同様に従来公知の横吹き付けや環状吹き付け等の冷却装置を用いて冷却せしめた後、吸引装置を用いて牽引細化して引き取る。
牽引細化の際の牽引速度は、1000〜4000m/分に設定することが好ましく、1000〜3000m/分であることがさらに好ましい。牽引速度が1000m/分未満であると、糸条において、十分に分子配向が促進されず、得られる不織布の寸法安定性が劣りやすくなる。一方、牽引速度が4000m/分を超えると、有機過酸化物により脂肪族ポリエステル共重合体が架橋されていることに基き、紡糸糸条が牽引張力に耐えきれずに糸切れが発生し、紡糸安定性に劣りやすくなる。なお、本発明においては、一般にはTgが低い脂肪族ポリエステル共重合体を用い、かつスパンボンド法において上述のように2000m/分以下の低速の牽引速度を採用した場合であっても、脂肪族ポリエステル共重合体への有機過酸化物の溶融混合によって共重合体は架橋を形成し、結晶化速度が速くなっているため、スパンボンド法であっても十分に結晶化すなわち結晶配向が進んだ繊維を得ることができる。
牽引細化した複合長繊維は、公知の開繊器具にて開繊する。このとき、上述のように、脂肪族ポリエステル共重合体が架橋したものであり、結晶化速度が速いため、短繊維不織布などの製造工程に比べて、紡糸工程〜冷却・延伸工程を限られた短い距離で行わざるを得ないスパンボンド不織布の製造工程においても、また、このスパンボンド不織布の製造工程において2000m/分以下の牽引速度を採用した場合であっても、脂肪族ポリエステル共重合体を良好に冷却固化することができて開繊工程における糸条同士のブロッキングの発生を効果的に防止することができる。
開繊した後、スクリーンコンベアなどの移動式捕集面上に開繊堆積させて不織ウエブを形成する。その後、公知の不織布化手段により不織布とすればよく、例えばこの不織ウエブに熱処理を施し、繊維表面の脂肪族ポリエステル共重合体を軟化または溶融させることによって繊維同士を熱接着するとよい。熱接着の手法としては、熱エンボス装置などの熱圧着装置を用いて部分的に熱圧着を施すことが好適である。
熱エンボス装置におけるロールの温度は、低融点の脂肪族ポリエステル共重合体が溶融または軟化する温度に設定すればよく、詳細には処理時間や線圧等に応じて適宜選択する。具体的にはロールの表面温度は、低融点の脂肪族ポリエステル共重合体の融点よりも20℃低い温度から20℃高い温度までの範囲に設定することが好ましい。ただし、繊維形成成分のポリ乳酸系重合体が溶融または軟化して本来の機能を果たさなくなることが無いように、ロールの温度は、このポリ乳酸系重合体の融点よりも30℃以上低いことが好ましく、40℃以上低いことがさらに好ましい。
熱エンボス装置におけるロールの温度を、低融点の脂肪族ポリエステル共重合体の融点よりも20℃を超えて、低い温度に設定すると、熱接着成分である脂肪族ポリエステル共重合体が十分に溶融または軟化しないため、十分に接着できずに強度低下が生じやすく、また毛羽立ちやすいものとなる。一方、脂肪族ポリエステル共重合体の融点よりも20℃高い温度を超えて高い温度に設定すると、ポリ乳酸系重合体が熱の影響を受けやすくなって、熱収縮が発生したり、機械的強力に乏しい不織布となってしまったりする。
上記の温度条件で熱処理することにより、繊維形成成分としてのポリ乳酸系重合体が熱収縮等の熱の影響を受けない温度で熱処理することができるため、熱加工安定性が良好で、得られる不織布の柔軟性を向上させることができる。
本発明によれば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体が、有機過酸化物の混合により架橋しているため、熱接着の際の熱収縮が小さく、また柔軟な不織布および袋状物を得ることができる。なお、脂肪族ポリエステル共重合体に溶融混合させた有機過酸化物は、溶融混合の段階で揮発してしまうため、最終製品には実質的に含有されにくいことになる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における各種物性値の測定は、以下の方法により実施した。
(1)融点(℃):
示差走査型熱量計(パーキンエルマ社製、DSC−2型)を用いて、試料質量を5mg、昇温速度を10℃/分として測定し、得られた吸熱曲線の最大値を与える温度を融点(℃)とした。
(2)ポリ乳酸系重合体のメルトフローレイト[MFR1](g/10分):
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度210℃、荷重20.2N(2160gf)の条件で測定した。
(3)脂肪族共重合ポリエステルのメルトフローレイト[MFR2](g/10分):
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度190℃、荷重20.2N(2160gf)の条件で測定した。
(4)有機過酸化物を溶融混合した脂肪族共重合ポリエステルのメルトフローレイト[MFR3、MFR4、MFR5](g/10分):
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度190℃、210℃、230℃、また荷重20.2N(2160gf)の条件で測定した。以下、190℃にて測定したメルトフローレイトを「MFR3」と称し、210℃にて測定したメルトフローレイトを「MFR4」と称し、230℃にて測定したメルトフローレイトを「MFR5」と称する。
(5)結晶化速度指数(分)
試料5mgを昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせた後、降温速度500℃/分で90℃に降温し、90℃でホールドして等温結晶化させて示差熱分析することにより、測定した。
(6)繊度(デシテックス):
ウエブ状態における繊維50本の径を光学顕微鏡にて測定し、密度補正して求めた平均値を繊度とした。
(7)開繊性:
開繊器具より吐出した紡出糸条にて形成された不織ウエブについて、目視にて下記の3段階にて評価した。
○:構成繊維の大部分が分繊され、密着糸および収束糸が認められなかった。
△:密着糸および収束糸がわずかであるが認められた。
×:構成繊維の大部分が密着し、開繊性が不良であった。
(8)目付(g/m):
標準状態の試料から長さ10cm、幅5cmの試料片10点を作成し、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積あたりに換算して、目付(g/m)とした。
(9)引張強力(N/5cm幅)および伸度(%):
JIS−L−1906に準じて測定した。すなわち、長さ20cm、幅5cmの試料片10点を作製し、各試料片毎に不織布の経方向および緯方向について、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、つかみ間隔10cm、引張速度20cm/分で伸張し、得られた切断時破断荷重(N/5cm幅)の平均値を引張強力(N/5cm幅)とし、切断時の破断伸度の平均値を伸度(%)とした。
(10)不織布の寸法安定性[乾熱収縮率(%)]:
不織布を構成する芯鞘構造の繊維の鞘成分融点をTmとしたときに、縦方向×横方向=20cm×20cmの試料を(Tm−10)℃の雰囲気下で5分間放置した後の縦横各辺の試料長をLとして、下式によって算出した。そして、乾熱収縮率が縦方向、横方向とも5%以下のものを、不織布の寸法安定性が良好であると評価した。
Figure 0004873979
(11)ヒートシール性・T字剥離強力(N/3cm幅):
幅10cm、長さ5cmの試料を2枚用意し、これら2枚の試料を重ねてヒートシール加工を施し、そのときの加工性にもとづき下記の3段階評価にてヒートシール性を判定した。
○:ヒートシール加工時にシール部の収縮が発生しない。
△:ヒートシール加工部に収縮が起こり寸法安定性が悪い。
×:殆どシールされていない。
また、ヒートシール機のシール幅を1cm、ヒートシール圧力を19.6N/cm、ヒートシール時間を1秒とし、ヒートシール温度は後述の表1に記載の温度として、ヒートシール加工を施した。次に、この加工されたシートを幅3cmに裁断して、これを10点の試料として作製し、各試料毎に、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い、ヒートシール部を間において、つかみ間隔5cm、引張速度20cm/分で伸張し、ヒートシール部を徐々に剥離させながらT字剥離強力を測定した。そして、T字剥離中の荷重の最大値と最小値をそれぞれ読みとり、その平均値を各試料の剥離強力とした。さらに、試料10点についての剥離強力の平均値をT字剥離強力とした。
(12)生分解性:
58℃に維持された熟成コンポスト中に不織布を埋設し、3ケ月後に取り出したときに、不織布がその形態を保持していない場合、あるいはその形態を保持していても引張強力が埋設前の強力初期値に対して50%以下に低下している場合は、生分解性が良好であると評価して○で示した。これに対し、不織布がその形態を保持しており引張強力が埋設前の強力初期値に対して50%を超える場合は、生分解性能が不良であると評価して×で示した。
(実施例1)
融点が168℃、MFR1が20g/10分の、L−乳酸/D−乳酸=98.4/1.6モル%のL−乳酸/D−乳酸共重合体(以下、「P1」と略記する)を、芯成分として用意した。
また、融点が110℃、190℃におけるMFR2が39g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla;以下、「P2」と略記する)と、下記の有機過酸化物とを190℃で溶融混合した重合体(チップ)をコンパウンド法により用意した。すなわち、脂肪族ポリエステル共重合体P2に、有機過酸化物として、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン(日本油脂社製 商品名:パーヘキシン25B−40、純度40%)を0.075質量部(有機過酸化物としては0.03質量部)の濃度で含まれるように添加し、190℃に温度設定された二軸混練機(東芝機械社製TEM−37BS)に供給した。その後、0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押し出した。引き続きこのストランドを冷却バスで冷却した後、ペレタイザーでカットして鞘成分の脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P3」と略記する)を得た。得られた実施例1の脂肪族ポリエステル共重合体の結晶化速度指数は、1.9分であった。また190℃におけるMFR3は13g/10分であった。有機過酸化物を溶融混練する前よりもMFRの値が低下したのは、有機過酸化物により架橋が起こって粘性が上昇したためであると思われる。なお、鞘成分の脂肪族ポリエステル共重合体P3の210℃におけるMFR4は20g/10分、230℃におけるMFR5は28g/10分であった。
さらに、P1をベースとして結晶核剤としてのタルク(TA)を20質量%練り込み含有したマスターバッチを用意した。
そして、P1とP3との複合比が質量比でP1:P3=1:1となるように、またP1の溶融重合体中にタルクが0.5質量%含まれることになるように、個別に計量した後、それぞれを個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて温度220℃で溶融し、芯鞘型複合繊維断面となる紡糸口金を用いて、上述のようにP1が芯部を構成しP3が鞘部を構成するように、単孔吐出量1.00g/分の条件で溶融紡糸した。
紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引速度1600m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊し、移動するスクリーンコンベア上にウエブとして捕集堆積させた。開繊の際に、構成繊維の大部分が分繊され、密着糸および収束糸は認められず、開繊性は良好であった。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、6.2デシテックスであった。
次いで、このウエブをエンボスロールと表面平滑な金属ロールとからなる熱エンボス装置に通して熱処理を施し、目付20g/mのポリ乳酸系長繊維不織布を得た。熱エンボス条件としては、両ロールの表面温度を90℃とし、エンボスロールは、個々の面積が0.6mmの円形の彫刻模様で、圧接点密度が20個/cm、圧接面積率が15%のものを用いた。
得られた不織布の性能を表1に示す。
Figure 0004873979
(実施例2、3)
長繊維不織布の目付を50g/m(実施例2)、100g/m(実施例3)とした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例4)
芯成分として上述のP1を用意し、鞘成分として上述のP2を用意した。
そして、P1とP2との複合比が質量比でP1:P2=1:1となるように、P1の溶融重合体中にタルクが0.5質量%含まれることになるように、また実施例1にて使用した有機過酸化物(日本油脂社製 商品名:パーヘキシン25B−40、純度40%)がP2の溶融重合体100質量部に対して0.075質量部(有機過酸化物としては0.03質量部)含まれることになるように、個別に計量した後、それぞれを個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて温度220℃で溶融し、芯鞘型複合繊維断面となる紡糸口金を用いて、タルクを含むP1が芯部を構成し有機過酸化物を含むP2が鞘部を構成するように、単孔吐出量1.00g/分の条件で溶融紡糸した。
紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引速度2000m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊し、移動するスクリーンコンベア上にウエブとして捕集堆積させた。開繊の際に、構成繊維の大部分が分繊され、密着糸および収束糸は認められず、開繊性は良好であった。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、5.0デシテックスであった。
次いで、このウエブをエンボスロールと表面平滑な金属ロールとからなる熱エンボス装置に通して熱処理を施し、目付20g/mのポリ乳酸系長繊維不織布を得た。熱エンボス条件は実施例1と同じとした。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例5)
単孔吐出量を2.1g/分、牽引速度を2700m/分、単糸繊度を7.7デシテックスとした。そして、それ以外は実施例4と同様にして、ポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例6)
P1をベースとして、タルクに代えて二酸化チタン(TI)を20質量%練り込み含有させた。そして、それ以外は実施例4と同様にして、ポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
得られた不織布の性能を表1に示す。
実施例1〜実施例6の不織布は、いずれも、芯鞘構造の構成繊維の鞘成分を形成するための重合体が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体であって、有機過酸化物としてのジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシンをコンパウンド法により用意する際もしくは紡糸の際に溶融混合させたため、1600〜2700m/分という比較的低速で牽引細化されたものであるにもかかわらず、不織ウエブの開繊性はおおむね良好であった。また、シート化性能、ヒートシール性、生分解性も良好であるとともに、所要の機械的性能を有するものであった。
(比較例1)
脂肪族ポリエステル共重合体P2に有機過酸化物を含有させなかった。そして、それ以外は実施例4と同様にして溶融紡糸および不織布化を試みた。しかし、不織ウエブを構成する繊維の大部分は密着したものであった。
(実施例7)
実施例1の不織布を用いて台所用の水切り袋を作成した。すなわち、不織布を筒状にしながら両サイドにガゼット(マチ)を作成し、不織布の端部同士で1.5cmの重なり部を作成し、その重なり部に幅0.5cmのヒートシール部を形成して、水切り袋の背開きシールとし、次いで水切り袋の底部としてヒートシール装置により幅0.5cmのヒートシール部を形成して、高さ25cm、幅11cmの水切り袋を得た。この水切り袋を台所の排水口に設置して使用したところ、生ゴミなどを良好に捕集することができ、かつ、背開きや底部のヒートシール部は強固にシールされており良好な使用感を得た。
(比較例2)
融点が168℃、MFR1が70g/10分の、L−乳酸/D−乳酸=98.6/1.4モル%のL−乳酸/D−乳酸共重合体を計量した後、個別のエクストルーダー型押し出し機を用いて溶融し、紡糸温度210℃で単相型の繊維断面となるように単孔吐出量1.7g/分の条件下で紡糸した。紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設置したエアーサッカーにて牽引速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊装置にて開繊し、移動するスクリューコンベア上に長繊維ウエブとして捕集堆積させた。その長繊維の単糸繊度は、3.3デシテックスであった。次いで、このウエブを、ロール温度90℃としたエンボスロールからなる部分熱圧接装置に通して部分的に熱圧接し、目付20g/mのポリ乳酸系長繊維不織布を得た。
得られた不織布を用いて、実施例7と同様の水切り袋を作成しようとし、ヒートシール装置の処理温度を150℃に設定した。そして、それ以外は実施例7と同様にしてヒートシール処理を行おうとしたが、不織布同士は接着せず、ヒートシール部を形成することができなかった。
(実施例8)
実施例1と同様のポリ乳酸系重合体P1を用意した。
また、融点が110℃、190℃でのMFR2が35g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla)に、有機過酸化物として、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン(日本油脂社製 商品名:パーヘキシン25B−40、純度40%)を、0.2質量部(有機過酸化物として0.08質量部)の濃度で含まれるように添加し、190℃に温度設定された二軸混練機(東芝機械社製TEM−37BS)に供給した。その後、0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押し出した。引き続きこのストランドを冷却バスで冷却した後、ペレタイザーでカットして脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P4」と略記する)を採取した。そのときの押出し吐出量は30kg/h、二軸混練機のスクリューの回転数は200rpmとした。
得られた実施例8の脂肪族ポリエステル共重合体P4の物性を表1に示す。表1に示すように210℃でのMFR4は25g/10分であり、230℃でのMFR5は41g/10分であり、結晶化速度指数は1.6分であった。
さらに、P1をベースとして結晶核剤としてのタルク(TA)を20質量%練り込み含有したマスターバッチを用意した。
そして、P1とP4との複合比が質量比でP1:P4=1:1となるように、またP1の溶融重合体中にタルクが0.5質量%含まれることになるように、個別に計量した後、それぞれを個別のエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて温度210℃で溶融し、芯鞘型複合繊維断面となる紡糸口金を用いて、P1が芯部を構成しP4が鞘部を構成するように、単孔吐出量1.00g/分の条件で溶融紡糸した。
紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引速度2190m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊し、移動するスクリーンコンベア上にウエブとして捕集堆積させた。開繊の際に、構成繊維の大部分が分繊され、密着糸および収束糸は認められず、開繊性は良好であった。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、4.5デシテックスであった。
次いで、このウエブをエンボスロールと表面平滑な金属ロールとからなる熱エンボス装置に通して熱処理を施し、目付20g/mのポリ乳酸系長繊維不織布を得た。熱エンボス条件としては、両ロールの表面温度を90℃とし、エンボスロールは、個々の面積が0.6mmの円形の彫刻模様で、圧接点密度が20個/cm、圧接面積率が15%のものを用いた。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例9)
融点が110℃、190℃でのMFR2が20g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla)を用いた。有機過酸化物は、実施例8と同じものを、0.1質量部(有機過酸化物として0.04質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P5」と略記する)を採取した。
得られた実施例9の脂肪族ポリエステル共重合体P5の物性を表1に示す。表1に示すように、210℃でのMFR4は12g/10分であり、230℃でのMFR5は21g/10分であり、結晶化速度指数は2.2分であった。
次に、実施例8に比べて、脂肪族ポリエステル共重合体P4を上記の脂肪族ポリエステル共重合体P5に変更し、また溶融押出し温度を230℃に設定するとともに牽引速度を1400m/分に設定した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、ウエブを堆積し、不織布を得た。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、7.1デシテックスであった。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例10)
融点が110℃、190℃でのMFR2が43g/10分である、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸および乳酸を構成成分とする脂肪族ポリエステル共重合体(三菱化学社製 商品名GSPla)を用いた。有機過酸化物は、実施例8と同じものを、0.2質量部(有機過酸化物として0.08質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P6」と略記する)を採取した。
得られた実施例10の脂肪族ポリエステル共重合体P6の物性を表1に示す。表1に示すように210℃でのMFR4は28g/10分であり、230℃でのMFR5は43g/10分であり、結晶化速度指数は2.7分であった。
次に、実施例8に比べて、脂肪族ポリエステル共重合体P4を上記の脂肪族ポリエステル共重合体P6に変更し、また溶融押出し温度を210℃に設定するとともに牽引速度を2500m/分に設定した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、ウエブを堆積し、不織布を得た。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、4.0デシテックスであった。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例11)
有機過酸化物として、ジブチルパーオキサイド(日本油脂社製 商品名:パーブチルD、純度98%以上)を用い、これを実施例8と同じ脂肪族ポリエステル共重合体に0.027質量部(有機過酸化物として0.027質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P7」と略記する)を採取した。
得られた実施例11の脂肪族ポリエステル共重合体P7の物性を表1に示す。表1に示すように210℃でのMFR4は20g/10分であり、230℃でのMFR5は29g/10分であり、結晶化速度指数は1.0分であった。
次に、実施例8に比べて、脂肪族ポリエステル共重合体P4を上記の脂肪族ポリエステル共重合体P7に変更し、また溶融押出し温度を220℃に設定するとともに牽引速度を1600m/分に設定した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、ウエブを堆積し、不織布を得た。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、6.2デシテックスであった。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例12)
有機過酸化物として、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製 商品名:パーヘキサ25B−40、純度40%)を用い、これを実施例8と同じ脂肪族ポリエステル共重合体に0.2質量部(有機過酸化物として0.08質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P8」と略記する)を採取した。
得られた実施例12の脂肪族ポリエステル共重合体P8の物性を表1に示す。表1に示すように210℃でのMFR4は21g/10分であり、230℃でのMFR5は32g/10分であり、結晶化速度指数は2.4分であった。
次に、実施例8に比べて、脂肪族ポリエステル共重合体P4を上記の脂肪族ポリエステル共重合体P8に変更し、また溶融押出し温度を220℃に設定するとともに牽引速度を1800m/分に設定した。そして、それ以外は実施例8と同様にして、ウエブを堆積し、不織布を得た。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、5.5デシテックスであった。
得られた不織布の性能を表1に示す。
(実施例13)
実施例12と同様に有機過酸化物としてジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製 商品名:パーヘキサ25B−40、純度40%)を用いたが、これを脂肪族ポリエステル共重合体に0.3質量部(有機過酸化物として0.12質量部)の濃度で含まれるように添加した。そして、それ以外は実施例12と同様にして、脂肪族ポリエステル共重合体(以下、「P9」と略記する)を採取した。
得られた実施例13の脂肪族ポリエステル共重合体P9の物性を表1に示す。表1に示すように210℃でのMFR4は18g/10分であり、230℃でのMFR5は28g/10分であり、結晶化速度指数は2.1分であった。
次に、実施例12に比べて、脂肪族ポリエステル共重合体P8を上記の脂肪族ポリエステル共重合体P9に変更し、牽引速度を1600m/分に設定した。そして、それ以外は実施例12と同様にして、ウエブを堆積し、不織布を得た。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は、6.2デシテックスであった。
得られた不織布の性能を表1に示す。
実施例8〜実施例13の不織布も、芯鞘構造の構成繊維の鞘成分を形成するための重合体が、所定の脂肪族ポリエステル共重合体であって、有機過酸化物をコンパウンド法により用意する際に溶融混合させたものであったため、比較的低速で牽引細化されたものであるにもかかわらず、不織ウエブの開繊性はおおむね良好であった。また、シート化性能、ヒートシール性、生分解性も良好であるとともに、所要の機械的性能を有するものであった。

Claims (8)

  1. 複合繊維を構成繊維としてスパンボンド法により形成された不織布であって、前記複合繊維は、融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体と、このポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体とを含むとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成しており、前記脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分とするとともに、架橋していることを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布。
  2. 脂肪族ポリエステル共重合体は、脂肪族ジオールが1,4-ブタンジオールであり、脂肪族ジカルボン酸がコハク酸であり、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が乳酸であって、その融点がポリ乳酸系重合体の融点よりも50℃以上低いことを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系長繊維不織布。
  3. 複合長繊維は、ポリ乳酸系重合体が芯部を形成し、脂肪族ポリエステル共重合体が鞘部を形成してなる芯鞘型複合長繊維であって、芯部と鞘部の複合比(質量比)が、芯部/鞘部=3/1〜1/3であることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系長繊維不織布。
  4. 融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体を用いるとともに、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としかつ前記ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体と、有機過酸化物とを予め溶融混合した重合体を用いて、前記用いたそれぞれの重合体を個別に溶融し、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成するような複合紡糸口金を用いて紡糸し、前記口金より紡出した紡出糸条を冷却し牽引細化したうえで開繊し、得られた長繊維を堆積させて不織ウエブを形成することを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
  5. 溶融混合した重合体として、脂肪族ポリエステル共重合体100質量部に対して有機過酸化物を0.01〜1質量部混合した重合体を用いることを特徴とする請求項4記載のポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
  6. 溶融混合した重合体として、昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせた後、降温速度500℃/分で90℃に降温し、90℃でホールドして等温結晶化させて示差熱分析したときの結晶化速度指数が3分以下である重合体を用いることを特徴とする請求項4または5記載のポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
  7. 融点が150℃以上のポリ乳酸系重合体を用い、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸とを構成成分としかつ前記ポリ乳酸系重合体よりも低融点の脂肪族ポリエステル共重合体を用い、かつ有機過酸化物を用いて、前記ポリ乳酸系重合体を溶融するとともに、前記脂肪族ポリエステル共重合体に前記有機過酸化物を混合させた状態で前記ポリ乳酸系重合体とは別に溶融し、繊維横断面において脂肪族ポリエステル共重合体が繊維表面の少なくとも一部を形成するような複合紡糸口金を用いて紡糸し、前記口金より紡出した紡出糸条を冷却し牽引細化したうえで開繊し、得られた長繊維を堆積させて不織ウエブを形成することを特徴とするポリ乳酸系長繊維不織布の製造方法。
  8. 請求項1から3までのいずれか1項記載のポリ乳酸系長繊維不織布にて形成され、脂肪族ポリエステル共重合体の溶融または軟化によって構成繊維同士が接着しているヒートシール部を有することによって袋状に構成されていることを特徴とする生分解性袋状物。
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