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JP3791122B2 - ごみ袋 - Google Patents

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JP3791122B2
JP3791122B2 JP14315297A JP14315297A JP3791122B2 JP 3791122 B2 JP3791122 B2 JP 3791122B2 JP 14315297 A JP14315297 A JP 14315297A JP 14315297 A JP14315297 A JP 14315297A JP 3791122 B2 JP3791122 B2 JP 3791122B2
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acid
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義和 近藤
宏史 梶山
秀樹 日名子
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  • Bag Frames (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然分解性であるため自然環境下で分解するので廃棄が容易であり、且つ自然環境の保護に貢献する新規ごみ袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂や合成繊維からなるごみ袋や水切り袋など(以下ごみ袋と記す)は、家庭のごみ、生ごみ、産業ごみなどを集め廃棄するために多量に用いられている。しかし合成樹脂は自然環境下では分解しにくいため、使用後の廃棄が困難で、燃焼時の発熱も大きいため環境汚染の原因にもなっている。このため、自然環境下で分解する脂肪族ポリエステルからなる樹脂を用いたごみ袋や水切り袋が、例えば特開平4−362080号公報、特開平6−32357号公報、特開平8−188706号公報などに提案されている。
【0003】
これらの公報では、自然分解性樹脂の最も好ましい例(実施例など)として、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネートが示されている。しかし、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネートは、融点が低いため溶融紡糸や溶融製膜に問題がある上に、性能や耐熱性にも劣り、しかも原料が石油に依存するため地球環境保護の見地から問題が多い。
【0004】
本発明者等の知見では、繊維やフィルム性能及び耐熱性に優れるのでごみ袋の材料として特に好ましいと期待される分解性ポリマーとして、ポリ乳酸が挙げられる。更にポリ乳酸は、原料が農産物(澱粉など)であるから、地球環境保護の見地からも好ましい(なお上記公報にも、列挙された多数の脂肪族ポリエステルの中の一つとしてポリ乳酸が示されているが、特に好適であるとは記されていない)。しかし、ポリ乳酸のホモポリマーは(1)融点(175〜185℃)が高すぎて分解温度に近く、溶融重合、溶融紡糸および溶融製膜が困難である、(2)ポリマーが硬く脆く紡糸や延伸が困難で、フィルムも固く脆く使用中破れるなど取扱い難く実用性に乏しい、(3)さらに自然環境下での分解速度が遅いため廃棄が困難、などの多くの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記ポリ乳酸の長所を生かし且つ問題点を改良した新規なポリマー組成物からなる自然分解性のごみ袋を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は「融点150℃以上の結晶性ポリ乳酸(A)及び/又は鎖状ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とし融点140℃以下の脂肪族ポリエステル(B)と、上記ポリ乳酸(A)と上記脂肪族ポリエステル(B)とのブロック共重合物(C)との混合物であって、かつ、乳酸由来の成分の比率が50〜99重量%であり、脂肪族ポリエステル由来の成分の比率が50〜99重量%であるポリマー組成物から製造された繊維及び/又はフィルムを50重量%以上含有する自然分解性ごみ袋によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
ここで融点150℃以上の結晶性ポリ乳酸(A)の例としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、及びそれらに少量(50重量%以下、特に30重量%以下、多くの場合20重量%以下)の異種ポリエステル重合原料を、融点を150℃以上に保つように留意しつつ、共重合したものが挙げられる。結晶性ポリ乳酸(A)の融点は、耐熱性の見地からは高いことが好ましく、160℃以上が特に好ましく、170℃以上が最も好ましい。このような高融点のポリ乳酸を用いても、上記低融点の脂肪族ポリエステルと組み合わせるため、溶融流動性や柔軟性などが改善されるので何ら問題はなく、むしろ耐熱性などの点で好ましい結果が得られることが多い。
【0008】
鎖状ジオールとは芳香族環状構造を持たないジオールで、直鎖及び側鎖を持つ脂肪族ジオール、エーテル結合を持つジオール、カーボネート結合を持つジオール等が挙げられる。脂肪族ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール等の他、不飽和結合を持つものなどが挙げられ、エーテル結合を持つジオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジヒドロキシエトキシブタン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/フロピレングリコールなどのようなポリアルキレンエーテルのオリゴマー及びポリマーが挙げられる。カーボネート結合を持つジオールとしては、ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートのオリゴマーおよびポリマーが挙げられる。
【0009】
脂肪族ジカルボン酸の例としては、サクシン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの他、側鎖を持つものや不飽和結合を持つものも挙げられる。
【0010】
上記鎖状ジオール及び脂肪族ジカルボン酸は、結晶性ポリ乳酸の共重合原料としても用いられる。それら以外の脂肪族ポリエステル原料、例えばグリコール酸、グリコリド、乳酸の光学異性体、ラクチドの光学異性体、ブチロラクトン、カプロラクトン、ヒドロキシブチルカルボン酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸及びその環状エステルも共重合原料として利用可能である。又、少量(10重量%程度以下)ならば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸などの芳香族原料も応用可能である。
【0011】
ポリマーの融点は、十分に熱処理したり延伸した乾燥試料を用い、示差熱量計(以下DSCと記す)を用い、試料10mg、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で測定した時の、ポリマーの結晶の溶融による吸熱ピークのピーク値温度とする。純粋なポリ乳酸(ポリL−乳酸、ポリD−乳酸)の融点は185℃前後とされるが、通常は若干の光学異性体が反応中のラセミ化現象などで生成して共重合体化されるため、融点は175〜180℃を示すことが多い。
【0012】
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを組み合わせたポリエステルの多くは、融点が140℃以下、ガラス転移点も常温以下で、上記(低融点)脂肪族ポリエステル(B)として本発明に用いることが出来る。その具体例としては、ポリエチレンサクシネート(融点約102℃)、ポリエチレンアジペート(同49℃)、ポリエチレンスベレート(同65℃)、ポリエチレンスベレート(同65℃)、ポリエチレンアゼレート(同52℃)、ポリエチレンセバケート(同72℃)、ポリブチレンサクシネート(同116℃)、ポリブチレンアジペート(同72℃)、ポリブチレンセバケート(同66℃)、ポリブチレンアゼレート(同52℃)、ポリヘキサンセバケート(同74℃)などが挙げられる。これらはホモポリマーの例だが、勿論共重合体も用いられる。なお共重合体等で非結晶性のものは、ガラス転移点を融点と見なす。
【0013】
本発明のごみ袋に用いる特定の繊維及びフィルムを形成する組成物は、上記の比較的融点の高いポリ乳酸(A)と、低融点の脂肪族ポリエステル(B)とを成分とする下記の5種類に大別される。
【0014】
1.(A)と(B)との混合物。混合比率としては、好ましくは(A)が70重量%以上、更に好ましくは85重量%以上である。85重量%未満では、(A)と(B)との相溶性が乏しく、成型物が脆かったり、或いは不透明になりがちである。
2.(A)と(B)とのブロック共重合物(C)。(A)と(B)との反応比率は、(A)が50〜99重量%、(B)が1〜50重量%の範囲であれば、大きな問題はないが(B)の比率が大きいところでは、耐熱性や結晶性が低下し用途、目的によっては制限を受けるために、(B)の比率は、高々40重量%が好ましく、更に好ましくは30重量%である。
3.(A)と(C)との混合物。ここで使用する(C)としては、(B)を高々50重量%含有するブロック共重合体が使用できるが、(A)と(C)との混合物の中での脂肪族ポリエステル由来の成分比率としては、高々50重量%、好ましくは高々40重量%、更に好ましくは、高々30重量%である。
4.(B)と(C)との混合物。ここで使用する(C)も上記3の組成と同じで良く、又混合物中の脂肪族ポリエステル由来の成分量も同様である。
5.(A)、(B)及び(C)の3成分混合物。ここで使用する(C)の量も、上記3の組成と同じで良い。更に、三者混合系での脂肪族ポリエステル由来の成分比率は、高々50重量%、好ましくは高々40重量%である。更に好ましくは、(B)/(A)+(B)=0.1〜0.5よりなる(C)を3成分混合系中の(B)の量の0.2〜0.7程度使用するのがよい。
【0015】
勿論、本発明のごみ袋にもちいる繊維やフィルムは一種類に限らず、組成の異なる複数の繊維やフィルムが混合使用されていても良い。同様に、複数のポリマー組成物が複合された複合繊維や複合フィルムも応用可能であり、本発明に包含される。
【0016】
ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステル(B)との混合方法は特に限定されないが、両者を溶液状態で機械的に攪拌してもよく、又流れの分割と合流を多段的に繰り返す静止混合装置を応用してもよく、両者を併用してもよい。溶融混合は能率的で好ましいが、ポリマー同志が反応してランダム共重合体化するのを防ぐため、短時間(例えば20分以内、特に10分以内)に混合可能な装置、例えば2軸押出機などを用いることが好ましい。同様に、一方のポリマー(例えば(B))の末端を封鎖し反応性を抑制したものを、他方のポリマー(例えば(A))の重合中に添加混合することも出来る。
【0017】
ポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステル(B)のブロック共重合方法も特に限定されない。例えば、L又はDラクチドを溶融重合してポリ乳酸を製造する際に、重合系に分子末端の一方又は双方に水酸基を持つ脂肪族ポリエステル(B)を添加混合すれば、その末端水酸基からラクチドの重合が開始され、容易にブロック共重合体が得られる。仮に両者が未反応であれば、両者の混合物が得られ、一部が反応し一部が未反応であれば、「両者のブロック共重合物」と「両者の混合物」との混合物が得られる。しかし、反応が過度に進行し完全なランダム共重合体にまで至らぬように注意が必要である。
【0018】
同様に、共に末端に水酸基を持つポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステルを混合し、それにジイソシアナートやジカルボン酸クロリドなどの多官能反応剤(鎖伸長剤)を添加、反応せしめて、両成分を連結しブロック共重合体化することが出来る。両成分の溶融混合時のエステル交換反応によるブロック共重合体化については、既に記した通りである。両成分が反応しているかどうかは、GPC分析などでかなり判定出来る。過度にランダム共重合が進行すると、DSC分析により融点の急激な低下と溶融吸熱量(結晶性)の著しい減少が見られる。ブロック共重合による融点の低下は、比較的緩やかである。
【0019】
前述の組成物の中でも、特にポリ乳酸(A)と脂肪族ポリエステル(B)のブロック共重合体(C)は、溶融流動性および混和性にすぐれ、均一なものが得られやすく、製造が容易であるという特徴を有する。更に上記ブロック共重合体(C)は、成分(A)及び成分(B)との混和性に優れるので、(A)と(C)との混合物、(B)と(C)との混合物、(A)、(B)及び(C)の3成分混合物は、本発明の目的に特に好ましい。
【0020】
本発明のごみ袋を形成する主要な材料である繊維及びフィルムは、ポリ乳酸(A)と、低融点の脂肪族ポリエステル(B)の2つを主要な構成成分とする。低融点の脂肪族ポリエステル(B)の導入により、前記のポリ乳酸の問題点、即ち製品が硬く脆いこと、溶融流動性が低く溶融重合や溶融成型が困難、自然分解速度が低いことなどが大幅に改善され、流動性、柔軟性、耐衝撃性、自然分解性なども改善され、しかも紡糸性や製膜性の良さ、耐熱性や強度に優れることなどのポリ乳酸の長所が十分に発揮される。
【0021】
ごみ処理では、堆肥化可能な有機物ごみは堆肥にして再利用することが最も好ましく、ごみ袋は堆肥(コンポスト)化工程で十分に分解(少なくとも細片化)することが望まれる。しかし、ポリ乳酸ホモポリマーは、温度60℃の堆肥の中で、ようやく10日後に分解による炭酸ガスの発生が顕著(セルロースと同等)になり、完全に分解するには約30日を要する。もっと低温の堆肥中ではもっと分解が遅くなる。実用的には40〜50℃の堆肥中で10〜30日間程度で堆肥化することが最も望ましいが、本発明によりそれが可能となった。
【0022】
これらの改善又は変性は、低融点の脂肪族ポリエステル(B)の導入量(重量比率)が大きいほど顕著である。例えば堆肥化速度をかなり早くするには、脂肪族ポリエステル(B)の導入量を10重量%以上、特に20重量%以上にすれば効果的である。しかし、低融点の脂肪族ポリエステル(B)の量が過度になると、ポリ乳酸の好ましい物性(耐熱性、紡糸性、製膜性などの良さ)が失われるため、また石油由来の成分を抑制するため、組成物中の乳酸由来の成分は、50〜99重量%の範囲である必要があり、特に60〜95重量%の範囲が好ましく、65〜92重量%の範囲が最も広く用いられる。同様に、組成物中の低融点の脂肪族ポリエステル由来の成分は、1〜50重量%の範囲である必要があり、5〜40重量%が好ましく、8〜35重量%の範囲が最も広く用いられる。
【0023】
本発明のごみ袋に用いる組成物には、主成分である上記の(A)及び(B)のほかに例えば流動性改善剤、可塑剤、離型剤、はっ水剤、酸化防止剤、安定剤、相溶化剤、着色剤、分散剤(界面活性剤など)、分解促進剤、その他の添加剤や改良のための成分、充填剤、増量材、その他の成分を導入や混合することが出来る。充填材の例としては、無機化合物の粒子などが挙げられ、増量材の例としては、澱粉、変成澱粉、セルロース粉、変成セルロース粉などがあげられる。添加量は目的に応じて選択すればよいが、増量材の場合は比較的大きな添加量、例えば10〜49重量%、特に15〜45重量%程度とされることが比較的多く、添加剤や充填材の場合は、通常20重量%程度以下、特に0.1〜10重量%程度の場合が多い。
【0024】
本発明に用いる組成物を形成するポリ乳酸成分(A)の分子量は特に限定されないが、通常3万以上、特に5〜30万の範囲が好適であり、7〜20万の範囲が最も広く用いられる。低融点の脂肪族ポリエステル成分(B)の分子量も特に限定されないが、通常2万以上、特に3〜30万の範囲が好適であり、5〜20万の範囲が最も広く用いられる。分子量は、試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析に於いて、分子量1000以下の成分を除く高分子成分の分散の重量平均分子量とする。
【0025】
本発明のごみ袋は、上記のポリ乳酸(A)と低融点の脂肪族ポリエステル(B)とを主成分とする組成物からなる繊維やフィルムを50重量%以上含む。即ち50重量%以下の他の成分を含んでいてもよい。しかし本発明の特徴を強く発揮するためには、他の成分の使用率は抑制することが好ましく、例えば30%重量以下が好ましく、20%重量以下が特に好ましく、10重量%以下が最も好ましい。
【0026】
他成分の混合の例としては、木綿、羊毛、セルロース及び再生セルロース等の天然繊維及びセルロース系の繊維、セルロース系のフィルムなどが挙げられる。またアクリル酸金属塩基等を多量に持つ高吸水合成繊維やフィルム等を少量(例えば10重量%程度以下)混合することにより、廃棄したときの自然分解速度を上げることが出来る。混合の方法としては、通常の混紡や混繊により行うことが出来る。例えば、本願繊維のステープルとコットン、ウール、レーヨン等のステープルを所定の比率でカードに掛け混紡することが最も簡単な方法である。天然繊維やレーヨン等と混合使用することにより、吸湿性や分解性の制御が容易となる。又、適度の硬さや風合いも調整が可能である。
【0027】
高吸水材料を使用した時は、例えば廃棄時に炭酸ソーダなどの弱アルカリ水溶液を噴霧などで付与すれば、吸水材料がそのアルカリを吸着し、周辺の脂肪族ポリエステルを急速に分解し、袋が細片化され、処理が容易になる。又繊維やフィルム相互の結合や接着のため、接着剤を用いることも出来るが、接着剤も自然分解性であることが好ましい。本発明に用いるポリエステル組成物の数平均分子量は特に限定されないが、5万以上が好ましく、7万〜30万の範囲が更に好ましく、8万〜20万が特に好ましいことが多い。
【0028】
本発明のごみ袋は、上記特定のポリマー組成物を主成分とするもので、構造は特に限定されないが、不織布、織物、編物、その他の繊維からなるシート状構造物、フィルム、繊維とフィルムの複合体等が広く用いられる。
【0029】
繊維としては、連続フィラメントや、短繊維(ステープル)を用いることが出来、両者を併用することも出来る。繊維は溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、乾湿式紡糸などの公知方法によるものが多く用いられ、不織布では、フラッシュ紡糸法、スパンボンド法、ステープルの乾式ウェブ(カード法)、湿式ウェブ、その他の周知の製造方法が応用可能であり、繊維相互の交絡法ではニードルパンチ法、水や空気などの流体の高速ジェット流を利用したもの、接着剤の応用、比較的低融点の繊維や低融点ポリマーと高融点ポリマーが複合された熱接着繊維(自己接着繊維)を混合したウェブを加熱する方法、エンボス加工する方法などあらゆる方法が応用可能である。
【0030】
同様に、本発明のごみ袋に用いるフィルムは溶融製膜法、湿式製膜法、乾式製膜法など周知の方法が応用可能であり、繊維とフィルムの複合体の製造にはラミネート法、コーティング法、浸漬法などが応用可能である。上記の本発明に用いる特定の組成物は、組成によって熱融着温度が異なるので、その1種又は2種以上を用いて単成分繊維や2成分複合繊維を製造し、熱接着繊維とすることも可能である。例えば、熱接着温度が20℃以上、好ましくは30℃以上異なる2種の組成物を芯/鞘又は並列関係に複合し、熱接着繊維を製造することが出来る。
【0031】
又、低融点ポリマーから熱接着に好適なフィルムを製造することが出来、同じく複数のポリマーから多層フィルムやその他の複合フィルムを製造することが出来る。袋の構造や大きさは特に限定されないが、接合部分は接着または縫い合わせるのが一般的である。
【0032】
本発明のごみ袋で多孔構造のものや適宜孔を設けたものは水切り袋として、台所ごみや生ごみなど水分を持つごみの袋として好適である。例えば円周上に多数の押し出しノズルを設けた内外2個の口金板を相互に回転させて得た、繊維が網状に接着された筒状の構造物(編み物の一種)は、製造が容易で効率的であり、水切り袋として特に好ましい。この他、種々の構造の袋や水切り袋を目的に応じて用いるとよい。
【0033】
本発明のごみ袋を構成する繊維やフィルムの太さや厚み特に限定されない。通常は、繊維の単糸繊度は0.5〜500デニール程度のもの、特に1〜200デニール程度の繊維が広く用いられ、フィルムの厚さは5〜500μm程度、特に10〜200μm程度のものが多く用いられる。
【0034】
【実施例】
以下の実施例において、%、部は特に断らない限り重量比である。
【0035】
まず、実施例で使用されるポリL−乳酸ホモポリマーP1〜P4を製造した。
すなわち、L−ラクチドに対しオクチル酸錫を200ppm混合し、窒素雰囲気中188℃で8分間、2軸混練押出機中で重合し、冷却チップ化後、140℃の窒素雰囲気中で処理(固相重合)してポリL−乳酸ホモポリマーP1を得た。P1の融点は176℃、分子量は18.1万であった。
【0036】
P1に対して、2軸押出機を用い、分子量12.8万のポリブチレンサクシネート(以下PBSと記す、融点116℃)を10%添加して190℃で3分間混合し、ポリ乳酸/PBS=9/1の混合ポリマーP2を得た。ポリマーP2の融点は176℃、分子量は14.7万であった。同様にして、但し混合比率をポリ乳酸/PBS=75/25として、混合ポリマーP3を得た。混合ポリマーP3の融点は173℃、分子量は12.9万であった。
【0042】
次に、L−ラクチド91部、分子量12.8万のPBS10部、オクチル酸錫200ppmを混合し窒素雰囲気中188℃で9分間、2軸押出機中で重合し、冷却チップ化後、140℃の窒素雰囲気中で処理(固相重合)して、ポリ乳酸/PBS(約10%)ブロック共重合物P4を得た。P4の融点は173℃、分子量は16.4万である。
【0043】
P4とほぼ同様にして、但しPBSの添加量を20%として、融点170℃、分子量13.9万のポリ乳酸/PBS(20%)ブロック共重合物P5を得た
【0046】
実施例及び比較例
前記P1とL−ラクチド70部、分子量12.8万のPBS30部、オクチル酸錫200ppmを混合し窒素雰囲気中190℃で12分間、2軸押出機中で溶融攪拌・重合し、押し出しガット化後、冷却チップ化後、ポリ乳酸/PBS=70/30のブロック共重合物P6を得た。
【0047】
P6とP1及び分子量12.8万のPBSをそれぞれ20/60/20の比率で予備的に混合した後、225℃に設定したスクリュー押出機で溶融・混合し、ネット成型機、すなわち、直径10cmの円周上に2mm間隔で直径0.2mmの半円形のオリフィスを配列し、密着状態で互いに逆方向に回転する内外二つの口金板より、230℃で空気中に押し出し、直ちに常温の水中に導き冷却し、辺の長さが約2mmの菱形の網目を持ち繊維の太さ約0.2mmの筒状ネットを成形した。230℃で220℃のT型ダイより押し出し、冷却ロールで冷却した後80℃で立て方向に3.3倍、横方向に2.7倍延伸し110℃でヒートセットして厚さ0.12mmのフィルムF3を得た。
【0048】
145℃に設定したヒートシール機により、長さ15cmの長さにヒートシール部を作り次いでカッターにて切断して台所用の水切りネット(B7)を得た。同ネットは比較的柔らかくて、丈夫なものであり、台所の生ごみを入れるには特に支障がなかった。
【0049】
本ごみ袋を家庭の台所の排水孔に設置し通常発生する生ごみを回収した。比較的大きなごみはもちろん、茶葉、コーヒー粉等も回収できた。従って、排水として下水に流す有機物の量を大きく削減することができた。ごみが一杯になった時点で取り出し、コンポスト試験を行なった。すなわち、水切り袋B7に、野菜屑、さつまいもの屑(細片)および紙屑の1/1/1の混合物をそれぞれ1kg入れ、入口を麻縄で縛り、さらにその上をポリプロピレンの同様な筒状の網の袋に入れて封をした上で、野菜屑、さつまいもの屑(細片)及びおが屑の1/1/10の混合物50kgと共に小型コンポスト試験機(ステンレス回転タンク)に投入した。その上からEM発酵菌(EM発酵ぼかし:宮崎クリーン・ファーム製)1Kgを用いた。初めは内部温度を40℃に保つよう加熱し、3日目より発酵による発熱で温度が50〜55℃に上昇したがそのまま運転した。20日目ごろから、また温度が40℃前後に低下したがそのまま運転を続け、30日間後に運転を停止し、内部の様子を観察した。その結果、ネットは粉々になり大部分は消滅していた。又、生ごみの大部分は堆肥化していた。一方、市販のポリオレフィン製の水切りネット(B8)は生ごみがコンポスト化した時点でも尚、原形をとどめており全く分解しておらずコンポストしない事を確認した。
【0050】
P1とP6、P7(分子量13.0万のPBS)とを、表1の様に混合し、実施例と同じ方法にてネット成形しごみ袋(B9〜B17)を作成した。
【0051】
【表1】
Figure 0003791122
【0058】
【発明の効果】
本発明によって、柔軟で取扱い易く、しかも自然環境下での分解速度が改善され廃棄やコンポスト化が容易なごみ袋が提供可能となり、環境保護に大きく貢献することが期待される。また本発明品は原料樹脂、繊維及びフィルムの生産性が改善されるため、工業生産が容易でコストが低くなるという利点もあげられる。さらに本発明品の主要な原料は空気中の炭酸ガスを固定し得たでんぷんが粗原料である為に、廃棄時に焼却したとしても、現行の石油系原料からなるポリオレフィン、ポリエステル製のごみ袋の焼却と異なり、空気中の炭酸ガスを増加させることが少なく、地球の温暖化防止にも貢献することが期待される。

Claims (1)

  1. 融点150℃以上の結晶性ポリ乳酸(A)及び/又は鎖状ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とし融点140℃以下の脂肪族ポリエステル(B)と、上記ポリ乳酸(A)と上記脂肪族ポリエステル(B)とのブロック共重合物(C)との混合物であって、かつ、乳酸由来の成分の比率が50〜99重量%であり、脂肪族ポリエステル由来の成分の比率が1〜50重量%であるポリマー組成物から製造された繊維及び/又はフィルムを50重量%以上含有する自然分解性ごみ袋。
JP14315297A 1997-05-16 1997-05-16 ごみ袋 Expired - Lifetime JP3791122B2 (ja)

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