JP4872159B2 - 加飾シートとその製造方法、及び射出成形同時加飾方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種物品の表面加飾に使用される加飾シートと、それを用いた射出成形同時加飾方法に関する。特に、艶消し調(低光沢)の外観が射出成形同時加飾法等の加熱、加圧の加わる方法によって各種被着体に積層しても、艶消しの程度をあまり変化することなく保てる加飾シートと、それを用いた射出成形同時加飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂成形品等の被着体に、加熱加圧により加飾シートを積層する方法として、例えば、射出成形同時加飾法(特公昭45−1758号公報、特公昭42−17113号公報、特公昭50−19132号公報等参照)が知られている。これら手法にて、艶消し面を得る場合、例えば、次の様な方法があった。
【0003】
(1) 射出成形型の型面(キャビティ面)を艶消し面としておき、加飾シートは基材シートに樹脂シートを用いる通常の加飾シートを使用して、該加飾シートを樹脂成形品に積層するときに、該加飾シート表面に型面の艶消し粗面を賦形する。
(2) 艶消し剤無添加の両面平滑な基材シートの表面に艶消し剤を添加した艶消塗料を塗工した加飾シートを使用する。そして、射出成形型の型面は艶消し面とはせずに通常の一定光沢の型に統一しておく。
(3) 図5の断面図で例示する如く、表面にのみ公知のエンボス加工によって光拡散性粗面からなる艶消し面fを賦形した艶消し剤無添加の基材シート12からなる加飾シート10を用いる。なお、基材シートの裏面には適宜、同図の如く絵柄印刷層4を印刷形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な方法では、いずれも満足できる艶消し面が得られない事があった。それは、上記(1) の射出成形型の型面を粗面とする方法では、同一外形形状の高光沢品と艶消し品とを製造する場合、同じ形状でも、2型必要となり、コスト高となった。特に、射出成形用の金型は高価である上、金型交換時間やその手間も掛かるので、生産性の問題もあった。また、射出成形時の短時間の加熱加圧では、型面の凹凸を十分に加飾シートに賦形出来ない場合があった。その上、熱圧により賦形した艶消し面は、成形品の使用環境下で加熱が加わると、艶消粗面が平滑面に戻り光沢が出てしまうと言う欠点が有った。
また、上記(2) の基材シートの表面側に艶消塗料を塗工しておく方法では、艶消し剤が加飾シートの表面側のみに局在化しているので、製品使用時の摩耗で艶消効果が容易に消失し易かった。また、表面物性と成形性とを両立させることが難しくなる。それは、表面を硬くするために艶消塗料による塗膜を硬くすると、射出成形適性、或いはそれに先立つ真空成形適性が落ちる為である。
また、上記(3) のエンボス加工で基材シートを粗面化しておく方法では、被着体に加飾シートを積層時の加熱・加圧により、エンボス加工しておいた粗面が、平坦面に戻ったり、或いは射出成形型の型面自体の光沢になってしまうという問題があった。
これら問題点を改善すべく、本発明者は、図10の断面図で示す加飾シート10の如く、基材シート11に艶消し剤5を添加しておく方法も試みた。確かに、この方法では、エンボス加工による粗面の様に、加熱・加圧により直ぐに平坦面に戻ることは無いが、それでも、加飾シート表面は積層時に或る程度平坦化する場合もあり、未だ不十分であった。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、射出成形同時加飾法等の、熱圧利用で加飾シートを被着体に積層する場合に、艶消感をあまり低下させずに保持できる加飾シートと、その様にできる射出成形同時加飾方法を提供する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の加飾シートでは、図1の断面図で例示する加飾シートSの如く、透明熱可塑性樹脂1中に、透明光拡散性粒子の艶消し剤2を含有して成り、表面Pf側には該艶消し剤2が突出し光拡散性粗面を成し、且つ表面の光沢度の変化が、25〜180℃の温度範囲に於いて、25℃のときの値に対して±30%以内の変化率であり、裏面側は前記艶消し剤が突出していない平滑面を有し、該平滑面に絵柄印刷層が形成されている基材シートから成る構成とした。
【0007】
この様な構成として、表面Pfの光拡散性粗面が艶消し面fとなる基材シート3について、その表面Pfの光沢度の加熱変動を上記の如き範囲内に収めることで、加飾シートを射出成形同時加飾方法等によって被着体に熱圧で積層する時に、艶消し感の低下を抑えて艶消し感を保持できる様になる。
また、艶消し剤は加飾シート表面近傍のみに局在化していない為に、艶消感が摩耗で容易に消失しない。更に、同一外形形状で表面艶外観の意匠が異なる製品を、被着体に貼着する加飾シートとして、艶消し度合い(含む艶有り)が異なる加飾シートを取り替えて使用する事で、容易に得る事もできる。またこの事は、射出成形同時加飾法にて、高価の射出成形型の型面を艶消化する事で艶消製品を得ていた場合に比べて、低コスト且つ生産効率良く表面艶外観の変更に対応できる事になる。
【0008】
また、本発明の加飾シートは、上記構成に対して更に、基材シートの裏面側に、前記絵柄印刷層、熱可塑性樹脂の裏面シートの順で積層されている構成とした。この様な裏面シートも有する構成とすることで、裏面シートに被着体材料に応じた樹脂を用いて被着体との密着性向上や、裏面シートを着色したり不透明にしたりして、基調色や隠蔽性を付与できる。
【0009】
また、本発明の加飾シートは、上記いずれかの構成に対して更に、最裏面に、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂から成る接着剤層が積層されている構成とした。
この様な構成とすることで、特にポリオレフィン系樹脂の樹脂成形物の表面に射出成形同時加飾方法で加飾シートを積層した場合に十分な密着性が得られる。また、密着性の耐熱性も良好な為、加飾成形品を射出成形型から取り出す際の加飾成形品の余熱により、加飾シートが樹脂成形物から剥がれる事を防げる。また、加飾成形品の使用環境下に於ける高温時に、加飾シートが樹脂成形物から剥がれ易くなったり、加飾シートの収縮により皺が発生したりと言う欠点も解消できる。
【0010】
また、本発明の射出成形同時加飾方法は、上記いずれかの構成の加飾シートを、その表面側が雌型側を向く様にして、射出成形機の雌型と雄型との間に挿入し、次いで、雌雄両型を型締めし、次いで、雄型側のゲートから流動状態の樹脂を射出し、雌雄両型により形成されたキャビティ内に充填し、固化させて、而る後に、雌雄両型を型開きし、樹脂成形物表面に前記加飾シートが積層されて成る加飾成形品を取り出す様にした。
【0011】
この様に、前記加飾シートを用いて射出成形同時加飾けを行う事で、加飾シートが最初から有する艶消し感の低下を抑え、艶消し感を保持して、加飾成形品に付与できる。しかも、高価の射出成形型の型面を艶消化する事で艶消製品を得ていた場合に比べて、低コスト且つ生産効率良く表面艶外観の変更に対応できる。
また、従来、射出成形型の型面を艶消し面としておき、通常の加飾シートの積層時にその表面に型面の艶消し粗面を賦形する方法では、射出成形時の短時間の加熱加圧で型面の凹凸を十分に加飾シートに賦形出来ない場合がある上、賦形された艶消し面は、成形品の使用環境下で加熱されると、艶消粗面が平滑面に戻り光沢が出てしまうと言う問題が有ったが、この様な問題発生も防げる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
加飾シート:
先ず、加飾シートから説明する。
【0014】
〔基材シート〕
基材シート3は、透明熱可塑性樹脂1中に透明光拡散性粒子の艶消し剤2を含有し、該基材シートの表面Pf側は該艶消し剤の突出によって光拡散性粗面となった艶消し面fを成し、且つ該表面Pfの光沢度の変化が、25〜180℃の温度範囲に於いて、25℃のときの光沢度の値に対して変化率で±30%以内としたシートである。
なお、この基材シート3の裏面側は、粗面でも平滑面でも、どちらでも良い。但し、裏面に絵柄印刷層を設ける場合には、その印刷適性の観点から艶消し剤2が突出してい無い平滑面が好ましい。なお、ここで表面とは、加飾シートを被着体表面に積層した状態に於いて、外側に露出する側である。また、その反対面、すなわち、被着体側に向く側を裏面と呼称する。
【0015】
基材シートに用いる透明熱可塑性樹脂としては、加熱及び加圧により、加飾シートを被着体の凹凸面に伸ばされる様にして積層するには、加熱加圧で伸びる成形性を有する樹脂が好ましい。
【0016】
この様な成形性を有する透明熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、成形性ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等が使用できる。なかでも、表面物性、透明性等を考慮すると、アクリル樹脂は好ましい樹脂の一つである。
【0017】
なお、上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂を、1種又は2種以上混合して使用する。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0018】
また、成形性ポリエステル樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、非晶性ポリエステル等が使用できる。上記ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントに高結晶で高融点の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントにはガラス転移温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテル等を使用したブロックポリマー等があり、該高結晶性で高融点の芳香族ポリエステルには、例えばポリブチレンテレフタレートが使用され、該非晶性ポリエーテルには、ポリテトラメチレングリコール等が使用される。また、前記非晶質ポリエステルとしては、代表的には、エチレングリコール−1,4−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸共重合体がある。
【0019】
また、透明光拡散性粒子の艶消し剤2としては、おおよそ公知の所謂マット剤を使用できる。但し、透明熱可塑性樹脂中に分散させた状態で不透明なもの(基材シートを不透明化するもの)は、本発明で使用できない。すなわち、熱可塑性樹脂中に分散された状態で、該樹脂と透明光拡散性粒子との界面で光が反射して該粒子の内部を光が通過しないもの(酸化チタンの様に樹脂との屈折率が大きいもの)、或いは該粒子自体の内部が光吸収性であるもの(カーボンブラック等)は、使用できない。この様な透明光拡散性粒子からなる艶消し剤としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミノシリケート、雲母等の無機物粒子、或いは、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)、ポリウレタン等の樹脂(有機物)粒子等が使用できる。平均粒径は1〜20μm程度である。粒子形状は、球形、多面体、鱗片形、その他形状等である。また、添加量は、樹脂分に対して5〜30質量%程度である。
【0020】
そして、上記の如き艶消し剤を含む基材シートの表面側は、該艶消し剤が突出して光拡散性粗面となっており、しかもその光沢度が、25℃〜180℃まで加熱した場の変動が、25℃のときの値を基準にした(該温度範囲内に於ける)変化率で±30%以内となる粗面とする。光沢度変化率が±30%以内に収まる変動であれば、目視観察に於いて、光沢(艶)変化は目立た無い(気になら無い)。
【0021】
基材シート表面側の粗面の表面粗さは、加飾シートに求める艶消程度による。
表面粗さは、一般的な触針式等の表面粗さ計で測定できる。通常、JIS B 0601による中心線平均粗さRaで評価する。そして、該表面粗さは、入射光を拡散反射させ、艶消し(通常は、JIS K 7105 規定の60度鏡面光沢度で30以下とされる)とする為には、Raを0.5μm以上とするのが好ましい。通常、0.5μm以上で半艶消しとなり、また完全艶消しとするのであれば、好ましくは5μm以上とするのが良い。なお、艶消し目的としては、通常、最大30μm程度あれば十分である。
【0022】
一方、光沢度は、JIS K 7105 規定の60度鏡面光沢度Gs(60°)で評価する。しかも、本発明では、この光沢度を、各種厚さの基材シートに対して、25℃から180℃にまで加熱したときの、60度鏡面光沢度Gs(60°)が、25℃の値を基準とした場合に、25℃から180℃までの範囲内にて、目視の意匠外観として目立たない変化率±30%以下に収束させる。すなわち、光沢度を温度tの関数としてG(t)と表現したとき、25℃≦t≦180℃に於いて、0.7G(25)≦G(t)≦1.3G(25)ということである。なお、光沢度は単位記号「%」を付記せずに表記することもある。変化率が±30%に収まるとは、具体的には例えば25℃に於けるGs(60°)が20であったならば、180℃に加熱時のGs(60°)が26以下、14以上であると言うことである(但し、通常は、加熱により光沢度が低下する場合は少ない)。
【0023】
なお、上記加熱温度は、加飾シートを射出成形同時加飾に使用するためには、射出成形同時加飾法を実施する際に、通常シート表面側に加わる温度、すなわち、室温から最大表面温度100〜130℃(加飾シートの厚さ300μm以下程度の場合)、または最大表面温度160〜180℃(加飾シートの厚さ300μm以上程度の場合)を考慮した温度である。
また、光沢度の測定は、シート加熱前(25℃)の測定と、シートを180℃以下の目的温度にまで加熱して、赤外線輻射式温度計等でシート表面温度を測定してそれが目的温度に達した時点で加熱を止めて、25℃まで冷却後、光沢度を再度測定する。これによって、180℃以下に於ける目的温度での光沢度、及びその25℃の値に対する変化率が得られる。また、必要ならば、180℃超過の温度で測定しても良い。
【0024】
上記の如き光沢度の加熱変化に収めるには、基材シートの表面側の光拡散性(艶消し、低光沢)の付与を、基材シート(透明熱可塑性樹脂層)表面への凹凸形状の型押成形(エンボス)によっては行わず、透明光拡散性粒子の透明熱可塑性樹脂層(基材シート)表面への突出によって行う様にすると良い。これは、すなわち、型押成形(エンボス)加工で、透明熱可塑性樹脂層(基材シート)表面に凹凸形状を賦形すると、必ず多少なりとも、樹脂内部に残留応力(凍結された復元力)が生じ、基材シートが再度加熱された際に、その残留応力が開放され凹凸形状が平坦面に復元するからである。
【0025】
基材シート(透明熱可塑性樹脂層)表面に、透明光拡散性粒子を突出させる為には、次の様な方法によって行うのが好ましい。
【0026】
すなわち、図3の如く、先ず、押出成形法等により、通常通り、透明光拡散性粒子2を添加した透明熱可塑性樹脂1を成膜し、表裏両面に透明光拡散性粒子2が突出し、両面粗面となった素材シート6を作製する〔図3(A)〕。
次いで、公知の熱プレス方式のエンボス加工機(平版式プレス、輪転式プレスのいずれでも可能)を用い、素材シート6を該シートを構成する透明熱可塑性樹脂1の軟化温度以上であり且つ融点或いは熔融温度未満の温度に加熱して軟化させ、該素材シート6の粗面とする少なくとも表面側は、軟質の弾性体で表面を被覆した弾性体ローラからなる圧胴21で押圧する。この際、裏面側は平坦面とする場合は、裏面側には鏡面エンボス版胴22で押圧する〔図3(B)〕。図3(B)は、表面側は粗面にするが、裏面側はそれと同時に平坦面とする場合の方法例である。なお、裏面側も粗面とする場合には、裏面側にも鏡面エンボス版胴22の代わりに、弾性体ローラからなる圧胴21を用いる。
【0027】
この様にすることにより、前記素材シート6の表面側は、軟質の弾性体ローラからなる圧胴21で押圧される為、反対側の鏡面エンボス版胴22の圧力は受け止めるものの、表面に突出した透明光拡散性粒子は該シート内に押し込められること無く、表面の粗面、すなわち、艶消しの程度は維持される。その結果、本発明に用いる基材シート3が得られる。また、この製法によれば、透明光拡散性粒子2として大粒径のものを用いた場合でも、基材シート3の裏面を平滑面に仕上げることも出来る。例えば、基材シート3の厚さが100μm程度の場合、透明光拡散性粒子2の粒径が10μm程度以上有る場合は、この製法を採用することが好ましい。
そしてまた、図3(B)の様に裏面を処理すれば、素材シート6の裏面側に突出した透明光拡散性粒子2は、該シートの内部に押し込まれ、該シートの裏面は平滑面とする事もできる。
【0028】
なお、圧胴21としては、一般的には鉄等の剛体の回転軸芯の周囲を、耐熱性、強度と共に適度な弾性を持つ弾性体で被覆した円筒(弾性体ローラ)から構成する。弾性体としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴムが用いられる。弾性体の柔軟性としては、JISゴム硬度で、大体60°程度以下、より好ましくは40°程度以下とすることが好ましい。
【0029】
また、鏡面エンボス版胴22としては、通常、金属の円筒表面を所望の表面粗さ(平滑鏡面)に仕上げたものを使用する。表面粗さとしては、JIS B 0601の中心線平均粗さRaで0.5μm未満となる様に研磨したり、メッキしたりして仕上げる。例えば、鉄の円筒表面に(必要に応じて銀メッキ層を介して)銅メッキ層を形成し、該銅メッキ層を所望の表面粗さにまで研磨した後、更にその表面にクロムメッキ層を形成した構成のものが代表的である。
通常は、該鏡面エンボス版胴の内部を中空とし、この中に冷却水を通して、加熱軟化された素材シートを鏡面に賦形すると同時に軟化温度以下に冷却し、賦形された鏡面を固定する。
【0030】
本発明に用いる基材シートの製法のもう一つの例を図4に示す。すなわち、透明熱可塑性樹脂中に透明光拡散性粒子を混合、分散してなる組成物を加熱溶融し、Tダイ23から溶融樹脂24として押出して、回転する鏡面冷却ローラ25の表面に塗工する。塗工された該溶融樹脂は冷却固化させられると共に、その鏡面冷却ローラ側(裏面)は平滑化され、一方、鏡面冷却ローラとは反対側(表面)は、透明光拡散性粒子が突出して粗面となる。この様にして、成膜された基材シート3は剥離ローラ26によって、鏡面冷却ローラから剥離される。ここで、鏡面冷却ローラとしては、前記鏡面エンボス版胴と同様の構成のものを用いれば良い。この製法では、透明光拡散性粒子2が比較的小粒径の場合に適している。それは、図4の製法は、図3の製法に比べて、透明光拡散性粒子2を基材シート3中に強制的に押圧する力が弱い為である。例えば、基材シート3の厚さが100μm程度の場合、透明光拡散性粒子2の粒径が10μm程度未満の場合に、この図4の製法を適用することが好ましい。
【0031】
なお、この方法にて、鏡面冷却ローラ25に替えて、ローラ表面を粗面とした粗面冷却ローラを用いれば、該ローラ側は型押成形(エンボス)による粗面を基材シートに付与できるが、これによる粗面は、前述した如く、加熱・加圧時に粗面の凹凸を保てない。
【0032】
これらの方法によれば、基材シートの表面側には、空気圧、ゴムによる加圧、或いは熱収縮のいずれかの力が加わって、基材シートの透明熱可塑性樹脂層の部分のみが層内部に向かって後退し、透明熱可塑性樹脂1より硬質で慣性も大きい透明光拡散性粒子2のみ相対的に表面側に取り残される為である〔図9(A)、(B)参照〕。なお、これらの図中、L1が後退前の透明熱可塑性樹脂層部分の表面を示し、L2が後退後の透明熱可塑性樹脂層部分の表面を示し、ΔLが加圧又は収縮による基材シートの透明熱可塑性樹脂層部分の表面の後退分を示す。この様なことから、型押成形に比べて残留応力が留まり難い。また、基材シート再加熱時の残留応力の開放によって、透明熱可塑性樹脂層表面が再び元の水準まで復元した場合でも、一旦該表面上に浮上突出した透明光拡散性粒子は、透明熱可塑性樹脂層表面ごと一緒に底上げされる〔図9(C)参照〕。なお、図中、L2が復元前の透明熱可塑性樹脂層部分の表面を示し、L1が復元後の透明熱可塑性樹脂層部分の表面を示し、−ΔLが再加熱による基材シートの透明熱可塑性樹脂層部分の表面の復元分を示す。
よって、基材シート(再)加熱時の光沢度の上昇が抑えられると考えられる。
【0033】
なお、基材シートの裏面側は、上記特定の光沢度による、又は該光沢度によらない、粗面であっても良いが、平坦面としても良い。基材シートの裏面側を平坦面とする事によって、図10の如く、基材シート11裏面側に絵柄印刷する際に、インキが部分的に着肉・転移しない印刷抜けeなる不良が、絵柄印刷層4に生じる事を防げる。印刷抜けは、特にハイライト部分で発生し易い。
基材シート裏面側に絵柄印刷層を設ける場合に、その印刷抜けを防止するには、基材シート裏面側は平坦面とするのが好ましいが、中心線平均粗さRaで0.5μmより粗いと、印刷時にインキが転移しない部分が出てくる。特に、ハイライト部分が印刷できなくなる。
裏面を平坦面とするには、前述図3で説明した如く、裏面側は鏡面エンボス版胴で押圧したり、或いは、図4で説明した如く、鏡面冷却ローラで成膜したりすれば良い。
【0034】
以上の様にして、本発明で使用する基材シートは得る事ができる。
【0035】
なお、基材シート中には、顔料等の着色剤を練り込んで、基材シートを着色透明としても良い。着色剤には後述する絵柄印刷層で列記の如き公知の着色剤が使用できる。また、基材シート中には、更に必要に応じて、各種添加剤を添加しても良い。これらの添加剤としては、例えば、アルミナ、シリカ等の粉末からなる減磨剤、ワックス等の滑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、可塑剤等がある。
なお、基材シートの厚さは、用途に応じた厚さとすれば良く特に制限はないが、通常は50〜500μm程度である。
【0036】
〔裏面シート〕
基材シート3の裏面側には、必要に応じ、図2の如く、前述基材シートと同様な樹脂及び厚みの裏面シート7を積層する。但し、基材シートの如く表面に艶消し剤を突出させ、且つ透明にする必要は無い。
通常は、裏面シートには、チタン白、カーボンブラック(墨)等の高隠蔽性の着色剤を添加し、加飾シートに隠蔽(不透明)性及び基調色を付与する形態を採用する。
また、最裏面に位置する裏面シートは、加飾シートを積層すべき射出成形樹脂と接着性の高い樹脂を選ぶことにより、別途接着剤層を形成することを省略することも出来る。また、裏面シートの樹脂は、具体的には、接着剤層として例示する樹脂の中から適宜な樹脂を採用すれば良い。
なお、裏面シートの基材シートへの積層は、ドライラミネーション等の公知の手法を適宜採用すれば良い。
【0037】
〔絵柄印刷層〕
また、基材シート裏面側(或いは、裏面シートも有する場合には裏面シートの表側でも良い)には、必要に応じ適宜、絵柄印刷層4を印刷形成することができる〔図10参照〕。印刷は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、或いはインキジェットプリント等の非接触印刷方式(無版印刷方式)等の公知の方式によれば良い。なお、インキジェットプリント等の非接触印刷方式(無版印刷方式)では、印刷面が粗面でも、比較的良好に印刷できる。
絵柄印刷層で表現する絵柄は、例えば、木目、石目、布目、砂目、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等が、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。
【0038】
なお、絵柄印刷層の印刷に用いるインキは、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなるが、バインダーの樹脂には、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂等の単体又は混合物が用いられる。また、着色剤には公知の顔料や染料が用いられ、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔粉等からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、貝殻等の鱗片状箔粉等の真珠光沢(パール)顔料が用いられる。
【0039】
なお、上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、或いは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオール等のアクリル樹脂を、単体又は2種以上混合して使用する。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0040】
上記ウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等が用いられる。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、多価イソシアネートを架橋剤とする。ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が、また、多価イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。
【0041】
なお、絵柄印刷層の絵柄としては、目視不可能な絵柄模様として、例えば可視光に対しては透明で紫外線照射で蛍光を発する蛍光インキで印刷した絵柄、赤外線吸収性インキで印刷したバーコード等でも良い。
また、上記の如き絵柄表現目的の絵柄印刷層の他に、導電体層、磁性体層等の機能性付与層を設けても良い。すなわち、加飾シートに於ける加飾とは機能性付与も包含する。
【0042】
〔接着剤層〕
また、加飾シートの最裏面には、接着剤層を射出樹脂等の被着体との密着性向上の為に適宜設けても良い。接着剤層は、公知の材料及び方法で形成すれば良い。例えば、アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、アクリルゴム等のゴム系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の樹脂の1種又は2種以上の混合物を含む塗液を、塗工して接着剤層を形成する。なお、接着剤層を前記裏面シートと兼用させても良い。
【0043】
なかでも、被着体が樹脂成形物で、その樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である場合には、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が好ましく、更に耐熱性の点では前者のアクリル変性ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
【0044】
また、基材シートの裏面側には、絵柄印刷層、裏面シート、或いは被着体等の他層との接着強化処理等を必要に応じ適宜施してもよい。接着強化処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、プライマー層形成等である。これら易接着処理は、裏面シートの表面、裏面、表裏両面についても同様である。
【0045】
また、接着剤層にアクリル変性ポリオレフィン系樹脂を用いるのは、射出樹脂がポリオレフィン系樹脂の場合に、塩素化ポリプロピレンを用い場合よりも、より十分な耐熱性(成形同時加飾時及び製品時)が得られる点で好ましい。従って、ポリオレフィン系樹脂を用いた場合の加飾成形品は、自動車内装部品等の耐熱性が要求される用途にも適用できる様になる。しかも、その密着性の耐熱性は、特に、一般的に密着が悪いポリオレフィン系樹脂による樹脂成形物に対して得られる。
【0046】
上記アクリル変性ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂をアクリル系モノマー(或いは該モノマーの重合物としてのプレポリマー)で変性した樹脂であれば、基本的には特に制限は無い。但し、好ましくは、少なくとも、アクリル系のモノマー又は/及びプレポリマーを、ポリプロピレンの主鎖にグラフト重合させた樹脂は、密着性の耐熱性及び塗工・印刷適性の点で好適な樹脂の一つである。
なお、耐熱性の向上等の物性調整の為に、更にアクリル系以外のモノマーやププレポリマーもグラフト重合させたり、密着性の耐熱性を低下させない範囲内で、塩素原子を付加させても良い。
【0047】
上記アクリル変性ポリオレフィン系樹脂のポリオレフィン系樹脂成分としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体等である。
【0048】
また、ポリオレフィン系樹脂を変性するアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー等でありる。また、アクリル系のプレポリマーとしては、上記のアクリル系モノマー同士、又はこれらモノマーと他のモノマー(例えばスチレン等)を共重合させた共重合体等である。
【0049】
そして、上記の様なアクリル変性ポリオレフィン系樹脂を得るには、例えば、ポリオレフィン系樹脂を適宜溶媒で溶解又は膨潤させた状態とした上で、ラジカル重合開始剤と共にアクリル系モノマーやアクリル系プレポリマーを添加して、該モノマーやプレポリマーをポリオレフィン系樹脂の主鎖に対してグラフト重合させれば良い。上記溶媒としては、例えば、炭化水素、クロルベンゼン、アニソール、シクロヘキサン、ナフサ等を用い、また、ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等を用いれば良い。
【0050】
なお、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂をアクリル変性する事によって、有機溶剤に可溶として塗液やインキとして使用できるが、有機溶剤可溶としない場合には、溶融塗工法等の他の形成方法で接着剤層を形成する。また、この場合、接着剤層はTダイ押出法等によって樹脂シートとして成膜したものを、2液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤を用いドライラミネーション法等で積層して形成しても良い。
【0051】
接着剤層は、上記樹脂による接着剤を、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工法により形成すれば良いが、その厚さは特に制限は無く、通常は1〜10μm程度である。但し、裏面シートと兼用する場合は、裏面シートの満たすべき隠蔽性、色調、強度等を満たすに足る厚さとする。
【0052】
〔被着体への加飾シート積層法〕
加飾シートを被着体へ積層する方法としては、積層時に熱及び圧が加飾シートに加わる方法が、本発明の加飾シートの適用対象として好適であるが、もちろん、これ以外の積層方法に本発明の加飾シートを用いても良い。なお、もちろん、いずれの場合も、印刷した絵柄印刷層側が被着体側となる。加飾シートを被着体へ積層する事によって、被着体と加飾シートとの積層体として加飾成形品が得られる。
【0053】
積層時に加熱・加圧する積層方法としては、例えば、(1) 射出成形同時加飾方法、(2) 真空成形積層方法、(3) 弾性体ローラを用いた積層方法等が挙げられる。以下、これらについて更に説明しておく。
【0054】
(1) 射出成形同時加飾方法:特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、加飾シートを射出成形の雌雄両型間に配置した後、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、樹脂成型物の成形と同時にその表面に加飾シートを積層する方法である。
(2) 真空成形積層方法:特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載されるように、成形品等の立体形状の被着体の表面に加飾シートを間に接着剤を介して対向又は載置し、被着体側からの少なくとも真空吸引による圧力差により加飾シートを被着体に積層する方法である。
(3) 弾性体ローラを用いた積層方法:板状の被着体に対しては、間に接着剤を介して、加飾シートを対向又は載置し、加飾シート側から弾性体ローラで加圧して、加飾シートを被着体に積層する方法である。また、円柱、多角柱等の柱状の被着体に対しては、特公昭61−5895号公報、特公昭56−23771号公報等に記載されるように、柱状の被着体の長軸方向に、加飾シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラ(弾性体ローラを使用しない場合も含む)により、被着体を構成する複数の側面に順次加飾シートを加圧接着して加飾シートを積層してゆく、いわゆるラッピング加工方法もある。
【0055】
射出成形同時加飾方法:
次に、上記の中でも、本発明の積層方法として特に採用する射出成形同時加飾方法ついて更に詳述する。
【0056】
なお、射出成形同時加飾方法では、加飾シートの予熱無しの場合でも、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受ける。従って、本発明の射出成形同時加飾方法としては、基本的には加飾シートの予備成形は行う形態でも行わない形態でも、いずれでも良い。また、加飾シートの予熱を行っても良く、行わなくても良い。なお、予備成形時には通常は加飾シートは予熱する。
【0057】
なお、もちろんの事だが、加飾シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、加飾シートの絞りが少ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧と樹脂熱で加飾シートを成形しても良い。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧と樹脂熱のみで加飾シートを成形しても良い。また、樹脂圧と樹脂熱で加飾シートを成形する場合でも、加飾シートの加熱は射出樹脂の樹脂熱のみを利用し予熱はしない事もある。また、加飾シートの予備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用して行うが、型間に加飾シートを供給する前に、射出成形型外部で別の真空成形型で加飾シートを真空成形する様な予備成形(オフライン予備成形)でも良い。但し、予備成形は、射出成形型と真空成形型とを兼用して行う形態が効率的且つ精度良く加飾シートを積層できる点で好ましい。しかし、予備成形済みの加飾シートを予め別の場所で纏めて製造しておく場合等では、予備成形はオフライン予備成形の形態が好ましい。なお、本発明の説明に於いて真空成形とは真空圧空成形も包含する。
【0058】
図6の概念図によって、射出成形同時加飾方法を、その或る一形態で説明する。なお、ここで説明する形態は、型締めする前に、加飾シートを型間で加熱し軟化させて射出成形型で真空成形により予備成形した後に、型締めして樹脂を射出する形態である。
また、この形態は、上記した加飾シートの予備成形、予熱の各種組合わせ形態の中で、加飾シートの絞りが深い場合に、より好ましい形態である。
【0059】
先ず、図6(A)の如く、射出成形型としては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有する型(雄型)Maと、キャビティ面に吸引孔41を有しシートの予備成形型を兼用する型(雌型)Mbの一対の成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に加飾シートSを供給し、型Mbに加飾シートSを平面視枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、加飾シートの絵柄印刷層側は、図面右側の射出樹脂側となる様にする事はもちろんである。次いで、適宜、両型間に挿入したヒータ(図示略)で加飾シートを加熱軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、接触による伝導加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成形して、加飾シートを型Mbのキャビティ面に沿わせ予備成形する。次いで、ヒータを両型間から退避させ、図6(B)の如く両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって固化した後、型開きして成形物を取り出し、加飾シートの不要部分があれば適宜トリミングする事で、加飾成形品が得られる。
【0060】
被着体:
なお、本発明の加飾シートの積層対象となる被着体としては、特に制限は無い。被着体の材質は、樹脂、金属、木材、無機非金属等と任意である。また、被着体の形状は、加飾シートをその積層面に積層できる形状であれば、板状(平板、曲面板)、柱状、三次元立体物等と任意である。なお、射出成形同時加飾方法の場合には、被着体の素材は樹脂となる。
【0061】
基材の材質例としては、樹脂では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、金属では、鉄、アルミニウム、銅等が挙げられ、木材では、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられ、無機非金属では、押し出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等が挙げられる。
【0062】
加飾成形品:
ところで、本発明の加飾シートを被着体に積層して得られる加飾成形品は、図7の断面図で一例として示す加飾成形品Dの如く、前述本発明の加飾シートSが、その基材シート3側を表側に絵柄印刷層4側を裏側にして、被着体8の表面に積層した構成の積層体である。なお、射出成形同時加飾方法による場合は、樹脂成形物が被着体8となる。
【0063】
加飾成形品の用途:
本発明の加飾シートを被着体表面に積層して得られる加飾成形品の用途は、任意であるが、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体、容器等である。
【0064】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
【0065】
<実施例1>
透明熱可塑性樹脂1としては、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートにアクリルゴム及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を添加した樹脂)を用い、この樹脂100質量部に対してシリカ粒子(平均粒径5μm)からなる透明光拡散性粒子を艶消し剤2として5質量部添加した樹脂組成物を用意した。
【0066】
そして、樹脂組成物をTダイから溶融押出しすると共に、回転する鏡面冷却ローラに裏面側(印刷面)とする側を押し当てると同時に、平坦面を持つシリコーンゴムローラで表面側とする側を押し当てて、厚さ125μmの基材シートを得た。基材シートの表面側(マット面)の荒さは、中心線平均粗さRaが0.5μmの粗面であり、また、JIS K 7105 による光沢度Gs(60°)は、26(%)であった。
なお、前記鏡面冷却ローラには、鉄製の中空円筒表面に銅メッキ層及びクロムメッキ層を順次形成して、ローラ表面をJIS B 0601による中心線平均粗さRaが0.1μmとなる様に鏡面仕上げしたローラであり、中空部に20℃の冷却水を通水して使用した。そして、基材シートの裏面側は、中心線平均粗さRaは0.15μmの平坦面であった。
【0067】
上記基材シート3の裏面に、絵柄印刷層4としてグラビア印刷で全面ベタ柄の絵柄を形成して、最終的な加飾シートとした。なお、用いた印刷インキは、バインダーの樹脂がアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との6対4質量比の混合物で、着色剤がカーボンブラックとフタロシアニンブルーとを主成分とする紺色の着色インキである。
【0068】
得られた加飾シートは、少なくとも被着体に適用前のこの加飾シートの段階では、マット調の外観を有する高意匠の絵柄付きシートとなった。しかも、グラビア印刷インキの転移性も良好で印刷抜けも見られなかった。
【0069】
<比較例1>
実施例1において、基材シートに用いた樹脂組成物の内容は全く同じだが、Tダイから溶融押出し直後に、表面側とする側を、光沢度5(%)の表面を有する冷却兼エンボスローラ上に押し当てると共に、裏面側は、鉄芯の表面に銅めっき層及びクロムめっき層を順次形成して成る中心線平均粗さRaが0.1μmの鏡面仕上げをした鏡面ローラで裏面側とする側を押し当てて成膜し、図8(A)の如きエンボスも寄与した艶消し面f1を付与し、その表面側の光沢度Gs(60°)は6(%)となった。なお、基材シートの裏面側は、中心線平均粗さRaは0.15μmの平坦面であった。また、基材シートの表面側は中心線平均粗さRaが0.9μmの粗面であった。そして、この基材シートを用いて、実施例1と同様にして、図2に示す如き加飾シートを作製した。
得られた加飾シートは、マット調の外観を有する高意匠の絵柄付きシートとなった。しかも、グラビア印刷インキの転移性も良好で印刷抜けも見られなかった。
【0070】
<実施例2>
実施例1に於いて、基材シートの裏面側に、絵柄印刷層に加えて更に、厚さ6μmの接着剤層を最裏面層として塗工形成して、加飾シートとした。接着剤層には、ポリプロピレン系のオレフィン成分から成る重合体の主鎖にメタクリル酸アルキルエステル系のアクリル成分をグラフト重合して成るアクリル変性ポリオレフィン系樹脂を用いた。
得られた加飾シートは、マット調の外観を有する高意匠の絵柄付きシートとなった。また、グラビア印刷インキの転移性も良好で印刷抜けも見られなかった。
【0071】
<実施例3>
実施例2に於いて、接着剤層を、塩素化ポリプロピレンを用いた厚さ6μmの層として形成した他は、実施例2と同様とした加飾シートを作製した。
得られた加飾シートは、マット調の外観を有する高意匠の絵柄付きシートとなった。また、グラビア印刷インキの転移性も良好で印刷抜けも見られなかった。
【0072】
<光沢度の加熱特性>
実施例1及び比較例1の各加飾シートを、真空成形機(加熱は表裏両面からの遠赤外線輻射加熱方式)で、シート表面温度200℃まで加熱し、光沢度の変化を測定した。測定は、連続帯状の基材シートに於けるMD(長手方向)とTD(幅方向)の2方向について、ぞれぞれ4箇所を測定し、各方向4箇所の平均値で評価した。測定結果は、実施例1を表1及び図11に、比較例1を表2及び図12に示す。
この結果、シート表面温度が80℃まで達した時点で、比較例1では光沢度が26(%)〔光沢度変化率340%〕に戻ってしまい、見た目にも十分明瞭にわかる艶変化を起こしてしまった。また、表面の粗さも0.5μmに戻っていた。しかし、実施例1では、光沢度が120℃で25(%)〔光沢度変化率−3%〕、180℃で26(%)〔光沢度変化率+1%〕、200℃でも31(%)〔光沢度変化率+18%〕であり、光沢度の変化率は、いずれも25℃での値に対して±30%以下に収まっていて、見た目には殆ど変化が無かった。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
<性能評価/射出成形同時加飾>
先ず、実施例1の加飾シートを、下記の如き形態の射出成形同時加飾方法によりABS樹脂からなる樹脂成形物の成形と同時にその表面に積層して、加飾面が三次元形状の加飾成形品を作製して、実用時の艶変化を評価した。
【0076】
射出成形型は炭素鋼製の雌雄両型からなり、雌型はキャビティ面のJIS B0601の中心線平均粗さRaを0.1μmに仕上げた、車両内装部品を成形する為の金型を用いた。
そして先ず、図6の如く雌型Mbのキャビティ面に対向する位置まで搬送され裏面Pr側が雄型Ma側を向く様にした加飾シートSを、雌型パーティング面上に、枠状のシートクランプ42で押圧・固定した。
次いで、加飾シートの予備形成として、赤外線輻射型の熱盤を用いて、加飾シートを120℃に加熱軟化させて、次いで、雌型キャビティ面に穿った溝状の吸引孔41より吸引し、加飾シートを雌型キャビティ面に真空成形し、密着させた。
次いで、熱盤を雌雄両型の外部に退避させ、雌雄両型を型締めし、雄型のゲートから溶融したABS樹脂を射出し、両型間に形成されたキャビティに充填し、冷却・固化させた。このとき、雌雄両型の型温度は50℃、射出樹脂温度は220であった。そして、図7に如き、加飾シートSが被着体8として樹脂成形物に積層した加飾成形品Dを得た。
【0077】
得られた加飾成形品は、加飾シートが伸ばされている場所と伸びていない場所との、成形品表面の光沢(艶消し状)の差は、見た目で多少あるが実用上差し支える範囲ではなく、加飾シートの状態で見た光沢(艶消し状)の外観が、該加飾シートを成形品に貼り合わせた状態でも保たれていた。
【0078】
次に、実施例2及び実施例3の加飾シートを、今度は、射出樹脂をABS樹脂から、ポリプロピレン100質量部にエチレン−プロピレンゴム10質量部とタルク粉末20質量部とを添加したポリオレフィン系樹脂に変更した他は、実施例1の加飾シートの場合と同様にして、射出成形同時加飾を行った。なお、型温度は50℃、射出樹脂温度は220℃とした。
【0079】
その結果、成形直後の密着性が、実施例2では良好、実施例3では不良となった。従って、樹脂成形物の樹脂がポリオレフィン系樹脂の場合には、接着剤層は塩素化ポリプロピレンよりもアクリル変性ポリオレフィン系樹脂を用いた方が、密着性の耐熱性も良かった。
但し、どちらの加飾成形品も、光沢については、実施例1の加飾シートの場合と同様に、加飾シートの状態で見た光沢(艶消し状)の外観が、該加飾シートを成形品に貼り合わせた状態でも保たれていた。
【0080】
なお、上記成形直後の密着性は、次の様にして評価した。
【0081】
成形直後の密着性:碁盤目テープ法では、碁盤目状に切り込みを入れるのに時間がかかり、その間に試験体(加飾成形品)の温度が下がってしまうため、成形加工時の耐熱性としての成形直後の密着性の評価は、クロスカット法で評価した。このクロスカット法では、成形直後の冷えきらない加飾成形品の表面(加飾用シート面)に、30°で交差する十文字状に、深さが樹脂成形物にまで達する切り込みをカッターナイフ入れて、切り込みのクロス部分を起点として、表面にラミネートされた加飾用シートを剥がせる否かで評価した。加飾用シートが破断し、中央のクロス部分以外では剥がれないものは良好、クロス部分以外も剥がせたものは不良とした。
【0082】
【発明の効果】
(1)本発明の加飾シートによれば、加飾シートを被着体に熱圧で積層する時に、艶消し感の低下を抑えて、艶消し感を保持できる。
また、艶消し剤は加飾シート表面近傍のみに局在化していない為に、艶消感が摩耗で容易に消失しない。更に、同一外形形状で表面艶外観の意匠が異なる製品を作る場合、射出成形型は全く同一のまま、艶消し度合い(含む艶有り)が異なる加飾シートを取り替え使用する事で、容易に得る事もできる。またこの事は、加飾シートを射出成形同時加飾法に使用時に、高価の射出成形型のキャビティ面を艶消化する事で艶消製品を得ていた場合に比べて、低コスト且つ生産効率良く表面艶外観の変更に対応する事もできる。
(2)更に、基材シートの裏面側に熱可塑性樹脂の裏面シートが積層されている構成では、裏面シートに被着体材料に応じた樹脂を用いて被着体との密着性向上や、裏面シートを着色したり不透明性としたりして、基調色や隠蔽性を付与できる。
(3)また、本発明の加飾シートに於いて、最裏面にアクリル変性ポリオレフィン系樹脂から成る接着剤層を形成した構成とすることにより、特にポリオレフィン系樹脂の樹脂成形物の表面に、加飾シートを射出成形同時加飾方法で積層した場合に十分な密着性が得られる。また、密着性の耐熱性も良好な為、加飾成形品を型から取り出す際の加飾成形品の余熱により、加飾シートが樹脂成形物から剥がれる事を防げる。
また、加飾成形品の使用環境下に於ける高温時に、加飾シートが樹脂成形物から剥がれ易くなったり、加飾シートの収縮により皺が発生したりと言う欠点も解消できる。
【0083】
(4)本発明の射出成形同時加飾方法によれば、上記各加飾シートによる効果が得られる。例えば、加飾シートが最初から有する艶消し感を低下させる事無く保持して、加飾成形品に付与できる。しかも、高価の射出成形型の型面を艶消化する事で艶消製品を得ていた場合に比べて、低コスト且つ生産効率良く表面艶外観の変更に対応できる。また、従来、射出成形型の型面を艶消し面としておき、通常の加飾シートの積層時にその表面に型面の艶消し粗面を賦形する方法では、射出成形時の短時間の加熱加圧で型面の凹凸を十分に加飾シートに賦形出来ない場合がある上、賦形された艶消し面は、成形品の使用環境下で加熱されると、艶消粗面が平滑面に戻り光沢が出てしまうと言う問題が有ったが、この様な問題発生も防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加飾シートの一形態を例示する断面図。
【図2】本発明の加飾シートの別の形態を例示する断面図。
【図3】本発明の加飾シートに用いる基材シートを得る方法を説明する概念図。
【図4】本発明の加飾シートに用いる基材シートを得る方法を説明する概念図。
【図5】従来の加飾シートの一例を示する断面図。
【図6】本発明の加飾シートの一適用例としての本発明の射出成形同時加飾法をその一形態で説明する概念図。
【図7】本発明の加飾シートを用いて得られる加飾成形品の一例を示す断面図。
【図8】エンボス艶消し面を有する加飾シートの一例を示す断面図。
【図9】艶消し面の後退・復元による変化を概念的に説明する断面図。
【図10】従来の加飾シートの一例を示す断面図。
【図11】光沢度の加熱変化の一例(実施例1)を示す図。
【図12】光沢度の加熱変化の一例(比較例1)を示す図。
【符号の説明】
1 透明熱可塑性樹脂
2 透明光拡散性粒子(艶消し剤)
3 基材シート
4 絵柄印刷層
5 (一般的な)艶消し剤
6 素材シート
7 裏面シート
8 被着体
10 従来の加飾シート
11 (艶消し剤含有の)基材シート
12 (艶消し剤未含有の)基材シート
21 圧胴
22 鏡面エンボス版胴
23 Tダイ
24 (透明光拡散性粒子入り)溶融樹脂
25 鏡面冷却ローラ
26 剥離ローラ
41 吸引孔
42 シートクランプ
D 加飾成形品
e 印刷抜け
f 艶消し面
f1 エンボス寄与の艶消し面
L1 透明熱可塑性樹脂部分の表面(後退前、復元後)
L2 透明熱可塑性樹脂部分の表面(後退後、復元前)
Ma 型(雄型)
Mb 型(雌型)
Pf 基材シートの表面
Pr 基材シートの裏面
S 加飾シート
Claims (5)
- 透明熱可塑性樹脂中に、透明光拡散性粒子の艶消し剤を含有して成り、表面側には該艶消し剤が突出し光拡散性粗面を成し、且つ表面の光沢度の変化が、25〜180℃の温度範囲に於いて、25℃のときの値に対して±30%以内の変化率であり、裏面側は前記艶消し剤が突出していない平滑面を有し、該平滑面に絵柄印刷層が形成されている基材シートから成る、加飾シート。
- 基材シートの裏面側に、前記絵柄印刷層、熱可塑性樹脂の裏面シートの順で積層されている、請求項1記載の加飾シート。
- 更に、最裏面に、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂から成る接着剤層が積層されている、請求項1又は請求項2記載の加飾シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の加飾シートを、その表面側が雌型側に向く様にして、射出成形機の雌型と雄型との間に挿入し、次いで、雌雄両型を型締めし、次いで、雄型側のゲートから流動状態の樹脂を射出し、雌雄両型により形成されたキャビティ内に充填し、固化させて、而る後に、雌雄両型を型開きし、樹脂成形物表面に前記加飾シートが積層されて成る加飾成形品を取り出す、射出成形同時加飾方法。
- 請求項1記載の加飾シートの製造方法であって、押出成形法により、透明光拡散性粒子の艶消し剤を含有する透明熱可塑性樹脂を成膜し、表裏両面に前記艶消し剤が突出した素材シートを作製し、次いで、前記素材シートを前記素材シートを構成する透明熱可塑性樹脂の軟化温度以上であり且つ融点或いは熔融温度未満の温度に加熱して軟化させ、前記素材シートの表面側は、軟質の弾性体で表面を被覆した弾性体ローラからなる圧胴で押圧して粗面となし、前記素材シートの裏面側は鏡面ローラで押圧して平滑面となし、前記平滑面に絵柄印刷層を形成することを特徴とする加飾シートの製造方法。
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