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JP4867827B2 - 内燃機関用のスパークプラグの製造方法 - Google Patents

内燃機関用のスパークプラグの製造方法 Download PDF

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JP4867827B2 JP2007182930A JP2007182930A JP4867827B2 JP 4867827 B2 JP4867827 B2 JP 4867827B2 JP 2007182930 A JP2007182930 A JP 2007182930A JP 2007182930 A JP2007182930 A JP 2007182930A JP 4867827 B2 JP4867827 B2 JP 4867827B2
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Description

本発明は、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等の内燃機関における着火手段として用いる内燃機関用のスパークプラグの製造方法に関する。
内燃機関用のスパークプラグを製造するにあたり、中心電極と接地電極との間の火花放電ギャップを調整する際には、接地電極を中心電極側へ押圧して曲げ加工を行う。その際、接地電極がスプリングバックするため、このスプリングバック量を考慮して、押圧加工を行う必要がある。しかし、接地電極のスプリングバック量は、個体間においてばらつきがあるため、最終的に得られる火花放電ギャップの精度に大きな影響を与えるおそれがある。
かかる問題を解決すべく、試験押圧によってスプリングバック量を予測して押圧加工を行う方法や、予備打撃によって得られたギャップ間隔減少値から到達目標ギャップ間隔に到達するのに必要な打撃回数や打撃力を定める方法がある(特許文献1、2参照)。
しかしながら、試験押圧や予備打撃の結果とその後の押圧加工後のスプリングバック量との関係は必ずしも一定ではなく、個体間にばらつきが生じるため、必ずしも予測通りの結果が得られるとは限らない。
また、特許文献3に記載の発明のように、火花放電ギャップを測定しながら、火花放電ギャップが目標値に達するまで押圧を繰り返す方法がある。しかし、この方法においては、その押圧量がスプリングバック量を見込んだ固定値であり、火花放電ギャップが目標値以下となるまで押圧するため、スプリングバック量にばらつきがあると火花放電ギャップが小さくなりすぎてしまうなど、加工精度が安定しないという問題がある。
また、特許文献4に記載の発明のように、接地電極の曲げ加工をハンマリング(衝撃加工)によって行うことにより、スプリングバック量を小さくする方法が開示されている。しかし、この方法の場合にも、加工前に測定した火花放電ギャップの大きさを基にハンマリング回数を可変するものであって、個体差によるスプリングバック量のばらつきの影響を避けることは困難である。
特開2000−164322号公報 特開平11−121144号公報 特開平3−64882号公報 特開平8−153566号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、火花放電ギャップの調整を高精度で効率的に行うことができる内燃機関用のスパークプラグの製造方法を提供しようとするものである。
参考発明は、中心電極と、該中心電極を内側に挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に挿通保持するハウジングと、該ハウジングに接合されて上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグを製造する方法であって、
上記火花放電ギャップの大きさを調整するに当っては、
上記火花放電ギャップの大きさが目標値よりも大きい状態から、押圧ハンマーによって上記接地電極を上記中心電極側へ押圧する押圧動作を繰り返し、
上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値よりも大きい所定値以上となる粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値と上記所定値との間となる仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更し、
上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくすると共に、該押圧量を一定値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法にある。
次に、上記参考発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグの製造方法においては、上記粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更する。そして、上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくする。これにより、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときには接地電極を大きく変形させて、少ない押圧動作の回数で接地電極を上記仕上加工領域に到達させることができ、接地電極が仕上加工領域に到達してからは、火花放電ギャップの大きさを目標値に正確に落ち着かせることができる。
そして、接地電極が仕上加工領域にあるときには、一回の押圧動作による押圧量を一定値とする。これにより、火花放電ギャップの大きさが目標値よりも小さくなるような位置にまで接地電極を押し込んだときに、仮にスプリングバックが全くなかったとしても、実際に得られる火花放電ギャップの大きさと目標値との誤差は、確実に、一定値である上記押圧量以下の値となる。それ故、接地電極のスプリングバック量に個体差によるばらつきがあったとしても、火花放電ギャップの大きさのばらつきを抑制して、火花放電ギャップの調整精度を高くすることができる。
以上のごとく、上記参考発明によれば、火花放電ギャップの調整を高精度で効率的に行うことができる内燃機関用のスパークプラグの製造方法を提供することができる。
本発明は、中心電極と、該中心電極を内側に挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に挿通保持するハウジングと、該ハウジングに接合されて上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグを製造する方法であって、
上記火花放電ギャップの大きさを調整するに当っては、
上記火花放電ギャップの大きさが目標値よりも大きい状態から、押圧ハンマーによって上記接地電極を上記中心電極側へ押圧する押圧動作を繰り返し、
上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値よりも大きい所定値以上となる粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値と上記所定値との間となる仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更し、
上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくすると共に、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を一定値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法にある(請求項1)。
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグの製造方法においては、上記参考発明の方法と同様に、上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくする。これにより、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときには接地電極を大きく変形させて、少ない押圧動作の回数で接地電極を上記仕上加工領域に到達させることができ、接地電極が仕上加工領域に到達してからは、火花放電ギャップの大きさを目標値に正確に落ち着かせることができる。
そして、接地電極が仕上加工領域にあるときには、各回の押圧動作において、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を一定値となるようにする。これにより、火花放電ギャップの大きさが目標値よりも小さくなるような位置にまで接地電極を押し込んだときに、スプリングバックに多少のばらつきがあっても、目標値を大きく下回ることを防ぐことができる。それ故、接地電極のスプリングバック量に個体差によるばらつきがあったとしても、火花放電ギャップの大きさのばらつきを抑制して、火花放電ギャップの調整精度を高くすることができる。
以上のごとく、本発明によれば、火花放電ギャップの調整を高精度で効率的に行うことができる内燃機関用のスパークプラグの製造方法を提供することができる。
本発明請求項1)において、上記押圧最下点とは、上記接地電極が押圧動作によって最も中心電極に近付いたときの位置をいう。
本発明請求項1)において、上記押圧ハンマーは、各押圧動作の後に押圧方向とは反対方向に戻り、上記押圧ハンマーの戻り位置は、各押圧動作ごとに異なることが好ましい(請求項2)。
この場合には、火花放電ギャップの調整をより効率的に行うことができる。すなわち、例えば、各押圧動作後に押圧ハンマーが一定の位置まで戻るようにすると、接地電極の位置が中心電極に近づいて行くに従って、押圧ハンマーの移動ストロークが大きくなる。そこで、各押圧動作後の押圧ハンマーの戻り位置を異ならせて、例えば、接地電極の位置が中心電極に近づいて行くに従って、押圧ハンマーの戻り位置を中心電極に近い位置になるように制御することにより、押圧ハンマーの移動ストロークを極力小さくして、火花放電ギャップの調整をより短時間で行うことができる。
また、上記押圧ハンマーの戻り位置は、当該押圧動作の直前の上記接地電極における被押圧面の位置であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記押圧ハンマーが上記接地電極のスプリングバックを規制することなく、押圧ハンマーの移動ストロークを極力小さくすることができる。すなわち、当該押圧動作後における接地電極のスプリングバックがあっても、当該押圧動作の直前の接地電極よりも押圧方向と反対側にまで戻ることはない。それ故、押圧ハンマーの戻り位置を、当該押圧動作の直前の上記接地電極における被押圧面の位置とすることにより、接地電極のスプリングバックを規制することを確実に防ぐことができる。その結果、スプリングバックが加工精度に与える影響を防ぐことができる。そして、押圧ハンマーの戻り位置を、押圧ハンマーが接地電極のスプリングバックを規制するおそれのない範囲で、極力接地電極に近い位置にすることができるため、押圧ハンマーの移動ストロークを極力小さくして、火花放電ギャップの調整をより短時間で行うことができる。
また、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときは、上記押圧量を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさと上記目標値との差に比例した値とすることが好ましい(請求項4)。
この場合には、現段階の火花放電ギャップの大きさに応じて、効果的に接地電極の押圧加工を行うことができる。すなわち、粗加工領域において、接地電極が中心電極から遠いときには押圧量を大きくして、接地電極が中心電極に近くなるにつれて押圧量を小さくすることで、粗加工領域における押圧動作の回数を少なくすることができると共に、粗加工の段階で火花放電ギャップの大きさが小さくなりすぎるという不具合を効果的に防ぐことができる。
また、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさと上記目標値との差に比例した値とすることもできる(請求項5)。
この場合にも、粗加工領域において、接地電極が中心電極から遠いときには押圧量を大きくして、接地電極が中心電極に近くなるにつれて押圧量を小さくすることとなる。これにより、粗加工領域における押圧動作の回数を少なくすることができると共に、粗加工の段階で火花放電ギャップの大きさが小さくなりすぎるという不具合を効果的に防ぐことができる。
参考例
参考例にかかる内燃機関用のスパークプラグにつき、図1〜図7を用いて説明する。
内燃機関用のスパークプラグ1は、図7に示すごとく、中心電極11と、該中心電極11を内側に挿通保持する絶縁碍子12と、該絶縁碍子12を内側に挿通保持するハウジング13と、該ハウジング13に接合されて上記中心電極11との間に火花放電ギャップ10を形成する接地電極14とを有する。
火花放電ギャップ10の大きさを調整するに当っては、図1、図2に示すごとく、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0よりも大きい状態から、押圧ハンマー2によって接地電極14を中心電極11側へ押圧する押圧動作を繰り返す。
このとき、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0よりも大きい所定値H以上となる粗加工領域Aに接地電極14があるときと、火花放電ギャップ10の大きさが上記目標値G0と上記所定値Hとの間となる仕上加工領域Bに接地電極14があるときとで、押圧ハンマー2による押圧動作の制御方法を変更する。
そして、接地電極14が仕上加工領域Bにあるときは、粗加工領域Aにあるときよりも、一回の押圧動作による押圧量を小さくすると共に、該押圧量を一定値とする。
なお、上記目標値G0は、例えば、本例のスパークプラグ1のネジ径が14mm(M14)であるとして、1.00〜1.10mmの中の所定値(例えば1.05mm)とすることができる。なお、上記所定値Hは、例えば1.08〜1.10mmとする。
以下において、本例の内燃機関用のスパークプラグの製造方法につき、具体的に説明する。
スパークプラグ1の火花放電ギャップ10の調整を行うに当っては、スパークプラグ1を、図3に示すギャップ調整システム3にセットする。ギャップ調整システム3は、スパークプラグ1を保持搬送するホルダ31と、スパークプラグ1の位置決めを行う位置決め手段32と、接地電極14を押圧する押圧ハンマー2と、押圧ハンマー2を駆動するサーボモータ33と、火花放電ギャップ10に投光する照明手段34と、火花放電ギャップ10を撮像する撮像手段35と、撮像手段35により撮像した映像を画像処理すると共にその処理画像から得られる火花放電ギャップ10の大きさの情報を基にサーボモータ33の駆動制御を行う制御部36とを有する。
上記照明手段34としては例えばLEDからなる照明装置を用い、上記撮像手段35としては例えばCCDカメラを用いる。
そして、スパークプラグ1は、ハウジング12においてホルダ31に保持された状態で押圧ハンマー2の真下の所定位置まで搬送され、該所定位置において、ハウジング12の先端部121をその外周から位置決め装置32によって把持固定されて位置決めされる。この状態で、スパークプラグ1の火花放電ギャップ10の側方に配置された照明手段34によってスパークプラグ1の軸方向に垂直な方向から、中心電極11及び接地電極14に投光する。
また、火花放電ギャップ10の側方であって、火花放電ギャップ10を挟んで照明手段34と正反対の位置に、撮像手段35が配置されており、該撮像手段35によって中心電極11及び接地電極14を撮像する。そして、撮像手段35によって得られた映像信号を、制御部36の画像処理部361(図1)へ送信し、該画像処理部361において画像処理を行う。
また、画像処理部361において得られた処理画像から、接地電極14の位置や火花放電ギャップ10の大きさ等を検出し、それらの情報を基にモータ制御部362によってサーボモータ33を駆動制御し、押圧ハンマー2の押圧動作(上下動)を制御する。
また、制御部36には、画像処理部361及びモータ制御部362の双方を制御するCPU360が設けられている。このCPU360は、例えばデュアルコアCPU(dual Core CPU)からなる。これにより、画像処理部361における画像処理と、モータ制御部362におけるモータ制御とを同時に高速に制御することが可能となる。
スパークプラグ1がギャップ調整システム3にセットされた時点で、図2に示すごとく、システム全体を制御する設備制御装置30から制御部36の外部入出力部363に加工開始信号が送信されることにより、図4に示す加工フローが開始する(ステップS1)。
次いで、押圧ハンマー2を作業原位置O(図5)へ移動する(ステップS2)。
次いで、接地電極14における被押圧面141の位置を検出する(ステップS3)。
次いで、火花放電ギャップ10の大きさGn(図5)を測定する(ステップS4)。
次いで、接地電極14の仮加工を行う。すなわち、押圧ハンマー2を作業原位置から所定量、中心電極11側(下方)へ移動させることにより、接地電極14を、中心電極11側(下方)へ向かって押圧する(ステップS5)。上記の所定量は、予め設定された押圧ハンマー2の移動量であって、スプリングバック後の接地電極14が仕上加工領域Bにまで達することのない程度に設定された一定の移動量である。
次いで、押圧ハンマー2を押圧直前の接地電極14における被押圧面141の位置、すなわち上記ステップS3において検出した被押圧面141の位置まで上昇させる(ステップS6)。つまり、押圧ハンマー2の戻り位置を作業原位置Oとはせずに、押圧直前の接地電極14における被押圧面141の位置までに留める。
次いで、今回の押圧動作後の接地電極14における被押圧面141の位置を検出する(ステップS7)。
次いで、火花放電ギャップ10の大きさGnを測定し(ステップS8)、接地電極14が仕上加工領域Bに到達しているか否かを判断する(ステップS9)。
仕上加工領域Bに到達していない場合には、接地電極14は粗加工領域Aに存在するため、粗加工時の条件に従って押圧量Kaを算出し、その押圧量Kaの分だけ接地電極14を押圧する(ステップS10)。
粗加工時の押圧量Kaは、一定値ではなく、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップ10の大きさGnと上記目標値G0との差に比例した値に設定される。すなわち、Ka=α(Gn−G0)によって、押圧量Kaを算出する。ここで、αは係数であり、例えば0.8とすることができる。
次いで、押圧ハンマー2を押圧直前の接地電極14における被押圧面141(図5)の位置、すなわち上記ステップS7において検出した被押圧面141の位置まで上昇させる(ステップS11)。
そして、ステップS7に戻り、接地電極14における被押圧面141の位置を検出し、火花放電ギャップ10の大きさを測定し(ステップS8)、接地電極14が仕上加工領域Bに到達しているか否かを判断する(ステップS9)。そして、また仕上加工領域Bに到達していなければ、再度ステップS10へ進む。
このように、ステップS9において接地電極14が仕上加工領域Bまで到達したと判断されるまで、ステップS10、S11、S7、S8を繰り返す。そして、接地電極14が仕上加工領域Bまで到達したと判断されたとき、ステップS12に進み、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0に達したか否かをさらに判断する。
目標値G0に達していない場合には、仕上加工時の条件に従って押圧量Kbを設定し、その押圧量Kbの分だけ接地電極14を押圧する(ステップS13)。仕上加工時の押圧量Kbは、予め設定された一定値であって、粗加工時における押圧量Kaよりも小さい値である。例えば、押圧量Kbは5〜20μmの中の一定値とすることができる。
押圧後、押圧ハンマー2を押圧直前の接地電極14における被押圧面141の位置まで上昇させる(ステップS14)。
次いで、接地電極14における被押圧面141の位置を検出する(ステップS15)。
次いで、火花放電ギャップ10の大きさを測定し(ステップS16)、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0に到達しているか否かを判断する(ステップS17)。
目標値G0に到達していなければ、ステップS13〜ステップS17を繰り返し、目標値G0に到達したとき、押圧ハンマー2による押圧動作を終了し、押圧ハンマー2を作業原位置Oに戻し(ステップS18)、押圧加工を完了する(ステップS19)。
上記のような押圧加工による接地電極14の動きの一例を、図6を用いて説明する。
以下の説明において、高さ位置P0〜P6、p1〜p6は、中心電極11との軸方向距離(スパークプラグ1の軸方向に沿った距離)が最短となる接地電極14の部分の軸方向高さ位置を表す。また、高さ位置Qn(n=0〜6)は、それぞれ接地電極14が高さ位置Pn(n=0〜6)にあるときの被押圧面141の高さ位置を表すものとする。
まず、仮加工(ステップS5)により、高さ位置P0にあった接地電極14を、高さ位置p1にまで押し込む。その後、押圧ハンマー2を高さ位置Q0まで上昇させて、接地電極14への押圧力を開放する。これにより、接地電極14が、高さ位置P1にまでスプリングバックする。
次いで、粗加工領域Aにある接地電極14を上記押圧量Kaだけ押し込み、高さ位置p2まで変形させる。その後、押圧ハンマー2を高さ位置Q1まで上昇させることにより、接地電極14が、高さ位置P2にまでスプリングバックする。これと同様に押圧量Kaの押圧動作を繰り返すことにより、接地電極14の高さ位置が、p3→P3→p4→P4と変動する。
そして、接地電極14の高さ位置がP4となった時点で、接地電極14は仕上加工領域Bに入る。そのため、押圧ハンマー2による接地電極14の押圧量を、Kaよりも小さく且つ一定値であるKbとして、以降の押圧動作を行う。すなわち、高さ位置P4から、押圧量Kbだけ接地電極14を押し込んで高さ位置p5まで変形させる。その後、押圧ハンマー2を高さ位置Q4まで上昇させることにより、接地電極14が高さ位置P5にまでスプリングバックする。さらに、押圧量Kbだけ接地電極14を押し込んで高さ位置p6まで変形させ、接地電極14が高さ位置P6にまでスプリングバックする。この高さ位置P6が目標位置g0(火花放電ギャップ10が目標値G0となる位置)若しくはそれよりも下方(中心電極11側)にあるため、ここで押圧ハンマー2の押圧動作を終了する。
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグの製造方法においては、粗加工領域Aに接地電極14があるときと、仕上加工領域Bに接地電極14があるときとで、押圧ハンマー2による押圧動作の制御方法を変更する。そして、接地電極14が上記仕上加工領域Bにあるときは、粗加工領域Aにあるときよりも、一回の押圧動作による押圧量を小さくする(すなわち、図6に示すごとく、Ka>Kbとする)。これにより、接地電極14が粗加工領域Aにあるときには接地電極14を大きく変形させて、少ない押圧動作の回数で接地電極14を仕上加工領域Bに到達させることができ、接地電極14が仕上加工領域Bに到達してからは、火花放電ギャップ10の大きさを目標値G0に正確に落ち着かせることができる。
そして、接地電極14が仕上加工領域Bにあるときには、一回の押圧動作による押圧量Kbを一定値とする。これにより、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0よりも小さくなるような位置にまで接地電極14を押し込んだときに、仮にスプリングバックが全くなかったとしても、実際に得られる火花放電ギャップ10の大きさと目標値G0との誤差は、確実に、一定値である上記押圧量Kb以下の値となる。それ故、接地電極14のスプリングバック量に個体差によるばらつきがあったとしても、火花放電ギャップ10の大きさのばらつきを抑制して、火花放電ギャップ10の調整精度を高くすることができる。
また、各押圧動作の後の押圧ハンマー2の戻り位置を、当該押圧動作の直前の接地電極14における被押圧面141の位置としているため、押圧ハンマー2が接地電極14のスプリングバックを規制することなく、押圧ハンマー2の移動ストロークを極力小さくすることができる。すなわち、当該押圧動作後における接地電極14のスプリングバックがあっても、当該押圧動作の直前の接地電極14よりも押圧方向と反対側(上方)にまで戻ることはない。それ故、押圧ハンマー2の戻り位置を、当該押圧動作の直前の接地電極14における被押圧面141の位置とすることにより、接地電極14のスプリングバックを規制することを防ぐことができる。その結果、スプリングバックが加工精度に与える影響を防ぐことができる。
そして、押圧ハンマー2の戻り位置を、押圧ハンマー2が接地電極14のスプリングバックを規制するおそれのない範囲で、極力接地電極14に近い位置にすることができるため、押圧ハンマー2の移動ストロークを極力小さくして、火花放電ギャップ10の調整をより短時間で行うことができる。
また、接地電極14が粗加工領域Aにあるときは、押圧量Kaを、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップ10の大きさと目標値G0との差に比例した値としている。これにより、現段階の火花放電ギャップ10の大きさに応じて、効果的に接地電極14の押圧加工を行うことができる。すなわち、粗加工領域Aにおいて、接地電極14が中心電極11から遠いときには押圧量Kaを大きくして、接地電極14が中心電極11に近くなるにつれて押圧量Kaを小さくすることで、粗加工領域Aにおける押圧動作の回数を少なくすることができると共に、粗加工の段階で火花放電ギャップ10の大きさが小さくなりすぎるという不具合を効果的に防ぐことができる。
以上のごとく、本例によれば、火花放電ギャップの調整を高精度で効率的に行うことができる内燃機関用のスパークプラグの製造方法を提供することができる。
実施例1
本例は、図8に示すごとく、接地電極14が仕上加工領域Bにあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差δpbを一定値とする例である。
具体的には、図8に示すごとく、仕上加工領域Bに接地電極14が到達した後の最初の押圧動作においては、接地電極14を、前回の押圧動作による押圧最下点である高さ位置p4よりも上記の差δpbだけさらに下方(中心電極11側)へ押し込む。つまりこのときの押圧動作による押圧最下点である高さ位置p5と前回の押圧動作による押圧最下点の高さ位置p4との差は、δpbである。
そして、さらに、接地電極14がスプリングバックした後の高さ位置P5から接地電極14を押圧する際の押圧動作においては、押圧最下点を、前回の押圧最下点の高さ位置p5よりもさらにδpbだけ下方の高さ位置p6とする。
ここで、上記δpbは予め設定された一定値であり、例えば、0.005〜0.020mmの中の一定値とすることができる。
そして、接地電極14がスプリングバックしたときの高さ位置P6が目標位置g0(火花放電ギャップ10が目標値G0となる接地電極14の位置)若しくはそれよりも下方(中心電極11側)となったとき、押圧加工を終了する。
その他は、参考例と同様である。
本例においては、接地電極14が仕上加工領域Bにあるときには、各回の押圧動作において、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差δpbを一定値となるようにする。これにより、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0よりも小さくなるような位置にまで接地電極14を押し込んだときに、スプリングバックに多少のばらつきがあっても、目標値G0を大きく下回ることを防ぐことができる。それ故、接地電極14のスプリングバック量に個体差によるばらつきがあったとしても、火花放電ギャップ10の大きさのばらつきを抑制して、火花放電ギャップ10の調整精度を高くすることができる。
以上のごとく、本例によれば、火花放電ギャップの調整を高精度で効率的に行うことができる内燃機関用のスパークプラグの製造方法を提供することができる。
実施例2
本例は、図9に示すごとく、接地電極14が粗加工領域Aにあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差δpa1〜δpa3を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップ10の大きさGn(図5)と目標値G0(図1)との差(Gn−G0)に比例した値とする例である。
具体的には、図9に示すごとく、仮加工の後の粗加工領域Aにおける最初の押圧動作においては、接地電極14を、前回の押圧動作による押圧最下点である高さ位置p1よりも上記の差δpa1だけさらに下方(中心電極11側)へ押し込む。つまりこのときの押圧動作による押圧最下点である高さ位置p2と前回の押圧動作における押圧最下点の高さ位置p1との差は、δpa1である。
そして、このδpa1は、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップ10の大きさG1と目標値G0との差に比例した値である。つまり、接地電極14の高さ位置がP1のときの火花放電ギャップ10の大きさG1と目標値G0との差に比例した値がδpa1であり、δpa1=β(G1−G0)と表せる。また、この係数βは、例えば、0.1〜1.0とすることができる。
なお、図8において、一点鎖線Lは、中心電極11の先端面の高さ位置を示す。
そして、さらに、接地電極14がスプリングバックした後の高さ位置P2から接地電極14を押圧する際の押圧動作においては、押圧最下点を、前回の押圧最下点の高さ位置p2よりもさらにδpa2だけ下方の高さ位置p3とする。このときのδpa2は、δpa2=β(G2−G0)である。
そして、さらに次の押圧動作における押圧最下点の高さ位置p4は、高さ位置p3よりもさらにδpa3{=β(G3−G0)}下方の位置である。
そして、接地電極14がスプリングバックしたときの高さ位置P4が仕上加工位置Bに入るまで、上記のような押圧加工を繰り返す。
その他は、参考例と同様である。
本例の場合にも、粗加工領域Aにおいて、接地電極14が中心電極11から遠いときには押圧量Kaを大きくして、接地電極14が中心電極11に近くなるにつれて押圧量Kaを小さくすることとなる。これにより、粗加工領域Aにおける押圧動作の回数を少なくすることができると共に、粗加工の段階で火花放電ギャップ10の大きさが小さくなりすぎるという不具合を効果的に防ぐことができる。
その他、参考例と同様の作用効果を有する。
(比較例)
本例は、図10、図11に示すごとく、接地電極14のスプリングバック量xを予測して押圧ハンマー2による接地電極14の押圧量Kcを設定するように構成した例である。
すなわち、スプリングバック量の予測値をxとして、押圧量Kcを押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさG11と、火花放電ギャップ10の目標値G0との差(G11−G0)に上記予測値xを足した値を押圧量とする。
この押圧加工を実現するための装置システムとしては、図21に示すように、押圧ハンマー2と、これを駆動するサーボモータ33と、サーボモータ33を制御するモータ制御装置372と、中心電極11及び接地電極14を側方から撮像する撮像手段35と、撮像された画像を画像処理する画像処理装置371とを有する。
そして、外部から加工開始信号がモータ制御装置372に入力され、モータ制御装置372から画像処理装置371に、画像処理開始命令を送信する。この信号を受けた画像処理装置371は、撮像装置35が得た画像を画像処理して、押圧前の火花放電ギャップ10の大きさG11を測定する。そして、火花放電ギャップ10の大きさG11とスプリングバック量の予測値xとから押圧量Kcを設定し、モータ制御装置372に押圧量Kcの信号を送信する。そして、モータ制御装置372がその押圧量Kcの分だけ押圧ハンマー2が接地電極14を押圧するように、サーボモータ33に指令を出す。
これにより、押圧ハンマー2が接地電極14を、押圧量Kc{=(G11−G0)+x}だけ押圧する。このとき、接地電極14のスプリングバック量が予測値xと一致すれば、火花放電ギャップ10の大きさは、目標値G0に一致し、火花放電ギャップ10の調整加工は完了する。
しかしながら、予測値xよりもスプリングバック量が大きい場合には、再度、同様の手順で押圧量Kcを設定し、押圧加工を行う。そして、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0に一致するまで、これを繰り返すことにより、火花放電ギャップ10の調整を行う。
ところが、予測値xよりもスプリングバック量が小さい場合には、火花放電ギャップ10が小さくなりすぎてしまうこととなる。そして、火花放電ギャップ10の再調整を行うことは、少なくとも本例の調整方法においては不可能である。
ここで、スプリングバック量の予測値xと実際のスプリングバック量との誤差が充分に小さければ、火花放電ギャップ10の大きさが許容範囲内に入り、特に問題は無いが、スプリングバック量にはどうしても個体差があり、場合によっては、上記の誤差が大きいこともある。そうすると、火花放電ギャップ10の大きさが小さくなりすぎてしまった製品については、不良品とせざるを得ない。
これに対し、実施例1、2に記載の本発明の内燃機関用のスパークプラグの製造方法によれば、上述のごとく、接地電極14のスプリングバック量に個体差によるばらつきがあったとしても、火花放電ギャップ10の大きさのばらつきを抑制して、火花放電ギャップ10の調整精度を高くすることができる。
また、比較例においては、画像処理装置371とモータ制御装置372とを別個に設けている。そのため、画像処理装置371とモータ制御装置372との間のデータの通信時間が長くなり、画像処理と押圧加工を繰り返し行う火花放電ギャップの調整作業が長くなってしまい、生産効率の向上を図ることが困難となる。
これに対して、実施例1、2の方法によれば、画像処理部361とモータ制御部362とを一つの制御部36に搭載して一つの高速CPU360によって制御することにより、大幅に通信時間を短縮して、高速加工を実現することができる。
なお、上記実施例1、2においては、仮加工を最初に行う例を示したが、最初から粗加工を行うこともできる。
参考例における、接地電極の動きを示す説明図。 参考例における、ギャップ調整システムの一部の説明図。 参考例における、ギャップ調整システムの説明図。 参考例における、内燃機関用のスパークプラグの製造方法のフロー図。 参考例における、撮像手段により撮像される中心電極及び接地電極の説明図。 参考例における、接地電極の高さ位置の変動を説明する説明図。 実施例1における、スパークプラグの火花放電ギャップ付近の側面図。 実施例2における、仕上加工領域での接地電極の高さ位置の変動を説明する説明図。 実施例2における、粗加工領域での接地電極の動きを示す説明図。 比較例における、接地電極の動きを示す説明図。 比較例における、ギャップ調整システムの説明図。
符号の説明
1 スパークプラグ
10 火花放電ギャップ
11 中心電極
12 絶縁碍子
13 ハウジング
14 接地電極
2 押圧ハンマー
A 粗加工領域
B 仕上加工領域

Claims (5)

  1. 中心電極と、該中心電極を内側に挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に挿通保持するハウジングと、該ハウジングに接合されて上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグを製造する方法であって、
    上記火花放電ギャップの大きさを調整するに当っては、
    上記火花放電ギャップの大きさが目標値よりも大きい状態から、押圧ハンマーによって上記接地電極を上記中心電極側へ押圧する押圧動作を繰り返し、
    上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値よりも大きい所定値以上となる粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値と上記所定値との間となる仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更し、
    上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくすると共に、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を一定値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
  2. 請求項1において、上記押圧ハンマーは、各押圧動作の後に押圧方向とは反対方向に戻り、上記押圧ハンマーの戻り位置は、各押圧動作ごとに異なることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
  3. 請求項2において、上記押圧ハンマーの戻り位置は、当該押圧動作の直前の上記接地電極における被押圧面の位置であることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときは、上記押圧量を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさと上記目標値との差に比例した値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさと上記目標値との差に比例した値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
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