JP4867827B2 - 内燃機関用のスパークプラグの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、試験押圧や予備打撃の結果とその後の押圧加工後のスプリングバック量との関係は必ずしも一定ではなく、個体間にばらつきが生じるため、必ずしも予測通りの結果が得られるとは限らない。
上記火花放電ギャップの大きさを調整するに当っては、
上記火花放電ギャップの大きさが目標値よりも大きい状態から、押圧ハンマーによって上記接地電極を上記中心電極側へ押圧する押圧動作を繰り返し、
上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値よりも大きい所定値以上となる粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値と上記所定値との間となる仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更し、
上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくすると共に、該押圧量を一定値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法にある。
上記スパークプラグの製造方法においては、上記粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更する。そして、上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくする。これにより、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときには接地電極を大きく変形させて、少ない押圧動作の回数で接地電極を上記仕上加工領域に到達させることができ、接地電極が仕上加工領域に到達してからは、火花放電ギャップの大きさを目標値に正確に落ち着かせることができる。
上記火花放電ギャップの大きさを調整するに当っては、
上記火花放電ギャップの大きさが目標値よりも大きい状態から、押圧ハンマーによって上記接地電極を上記中心電極側へ押圧する押圧動作を繰り返し、
上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値よりも大きい所定値以上となる粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値と上記所定値との間となる仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更し、
上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくすると共に、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を一定値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法にある(請求項1)。
上記スパークプラグの製造方法においては、上記参考発明の方法と同様に、上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくする。これにより、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときには接地電極を大きく変形させて、少ない押圧動作の回数で接地電極を上記仕上加工領域に到達させることができ、接地電極が仕上加工領域に到達してからは、火花放電ギャップの大きさを目標値に正確に落ち着かせることができる。
本発明(請求項1)において、上記押圧ハンマーは、各押圧動作の後に押圧方向とは反対方向に戻り、上記押圧ハンマーの戻り位置は、各押圧動作ごとに異なることが好ましい(請求項2)。
この場合には、火花放電ギャップの調整をより効率的に行うことができる。すなわち、例えば、各押圧動作後に押圧ハンマーが一定の位置まで戻るようにすると、接地電極の位置が中心電極に近づいて行くに従って、押圧ハンマーの移動ストロークが大きくなる。そこで、各押圧動作後の押圧ハンマーの戻り位置を異ならせて、例えば、接地電極の位置が中心電極に近づいて行くに従って、押圧ハンマーの戻り位置を中心電極に近い位置になるように制御することにより、押圧ハンマーの移動ストロークを極力小さくして、火花放電ギャップの調整をより短時間で行うことができる。
この場合には、上記押圧ハンマーが上記接地電極のスプリングバックを規制することなく、押圧ハンマーの移動ストロークを極力小さくすることができる。すなわち、当該押圧動作後における接地電極のスプリングバックがあっても、当該押圧動作の直前の接地電極よりも押圧方向と反対側にまで戻ることはない。それ故、押圧ハンマーの戻り位置を、当該押圧動作の直前の上記接地電極における被押圧面の位置とすることにより、接地電極のスプリングバックを規制することを確実に防ぐことができる。その結果、スプリングバックが加工精度に与える影響を防ぐことができる。そして、押圧ハンマーの戻り位置を、押圧ハンマーが接地電極のスプリングバックを規制するおそれのない範囲で、極力接地電極に近い位置にすることができるため、押圧ハンマーの移動ストロークを極力小さくして、火花放電ギャップの調整をより短時間で行うことができる。
この場合には、現段階の火花放電ギャップの大きさに応じて、効果的に接地電極の押圧加工を行うことができる。すなわち、粗加工領域において、接地電極が中心電極から遠いときには押圧量を大きくして、接地電極が中心電極に近くなるにつれて押圧量を小さくすることで、粗加工領域における押圧動作の回数を少なくすることができると共に、粗加工の段階で火花放電ギャップの大きさが小さくなりすぎるという不具合を効果的に防ぐことができる。
この場合にも、粗加工領域において、接地電極が中心電極から遠いときには押圧量を大きくして、接地電極が中心電極に近くなるにつれて押圧量を小さくすることとなる。これにより、粗加工領域における押圧動作の回数を少なくすることができると共に、粗加工の段階で火花放電ギャップの大きさが小さくなりすぎるという不具合を効果的に防ぐことができる。
参考例にかかる内燃機関用のスパークプラグにつき、図1〜図7を用いて説明する。
内燃機関用のスパークプラグ1は、図7に示すごとく、中心電極11と、該中心電極11を内側に挿通保持する絶縁碍子12と、該絶縁碍子12を内側に挿通保持するハウジング13と、該ハウジング13に接合されて上記中心電極11との間に火花放電ギャップ10を形成する接地電極14とを有する。
このとき、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0よりも大きい所定値H以上となる粗加工領域Aに接地電極14があるときと、火花放電ギャップ10の大きさが上記目標値G0と上記所定値Hとの間となる仕上加工領域Bに接地電極14があるときとで、押圧ハンマー2による押圧動作の制御方法を変更する。
そして、接地電極14が仕上加工領域Bにあるときは、粗加工領域Aにあるときよりも、一回の押圧動作による押圧量を小さくすると共に、該押圧量を一定値とする。
なお、上記目標値G0は、例えば、本例のスパークプラグ1のネジ径が14mm(M14)であるとして、1.00〜1.10mmの中の所定値(例えば1.05mm)とすることができる。なお、上記所定値Hは、例えば1.08〜1.10mmとする。
スパークプラグ1の火花放電ギャップ10の調整を行うに当っては、スパークプラグ1を、図3に示すギャップ調整システム3にセットする。ギャップ調整システム3は、スパークプラグ1を保持搬送するホルダ31と、スパークプラグ1の位置決めを行う位置決め手段32と、接地電極14を押圧する押圧ハンマー2と、押圧ハンマー2を駆動するサーボモータ33と、火花放電ギャップ10に投光する照明手段34と、火花放電ギャップ10を撮像する撮像手段35と、撮像手段35により撮像した映像を画像処理すると共にその処理画像から得られる火花放電ギャップ10の大きさの情報を基にサーボモータ33の駆動制御を行う制御部36とを有する。
そして、スパークプラグ1は、ハウジング12においてホルダ31に保持された状態で押圧ハンマー2の真下の所定位置まで搬送され、該所定位置において、ハウジング12の先端部121をその外周から位置決め装置32によって把持固定されて位置決めされる。この状態で、スパークプラグ1の火花放電ギャップ10の側方に配置された照明手段34によってスパークプラグ1の軸方向に垂直な方向から、中心電極11及び接地電極14に投光する。
また、画像処理部361において得られた処理画像から、接地電極14の位置や火花放電ギャップ10の大きさ等を検出し、それらの情報を基にモータ制御部362によってサーボモータ33を駆動制御し、押圧ハンマー2の押圧動作(上下動)を制御する。
次いで、押圧ハンマー2を作業原位置O(図5)へ移動する(ステップS2)。
次いで、接地電極14における被押圧面141の位置を検出する(ステップS3)。
次いで、火花放電ギャップ10の大きさGn(図5)を測定する(ステップS4)。
次いで、今回の押圧動作後の接地電極14における被押圧面141の位置を検出する(ステップS7)。
次いで、火花放電ギャップ10の大きさGnを測定し(ステップS8)、接地電極14が仕上加工領域Bに到達しているか否かを判断する(ステップS9)。
粗加工時の押圧量Kaは、一定値ではなく、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップ10の大きさGnと上記目標値G0との差に比例した値に設定される。すなわち、Ka=α(Gn−G0)によって、押圧量Kaを算出する。ここで、αは係数であり、例えば0.8とすることができる。
そして、ステップS7に戻り、接地電極14における被押圧面141の位置を検出し、火花放電ギャップ10の大きさを測定し(ステップS8)、接地電極14が仕上加工領域Bに到達しているか否かを判断する(ステップS9)。そして、また仕上加工領域Bに到達していなければ、再度ステップS10へ進む。
次いで、接地電極14における被押圧面141の位置を検出する(ステップS15)。
次いで、火花放電ギャップ10の大きさを測定し(ステップS16)、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0に到達しているか否かを判断する(ステップS17)。
目標値G0に到達していなければ、ステップS13〜ステップS17を繰り返し、目標値G0に到達したとき、押圧ハンマー2による押圧動作を終了し、押圧ハンマー2を作業原位置Oに戻し(ステップS18)、押圧加工を完了する(ステップS19)。
以下の説明において、高さ位置P0〜P6、p1〜p6は、中心電極11との軸方向距離(スパークプラグ1の軸方向に沿った距離)が最短となる接地電極14の部分の軸方向高さ位置を表す。また、高さ位置Qn(n=0〜6)は、それぞれ接地電極14が高さ位置Pn(n=0〜6)にあるときの被押圧面141の高さ位置を表すものとする。
上記スパークプラグの製造方法においては、粗加工領域Aに接地電極14があるときと、仕上加工領域Bに接地電極14があるときとで、押圧ハンマー2による押圧動作の制御方法を変更する。そして、接地電極14が上記仕上加工領域Bにあるときは、粗加工領域Aにあるときよりも、一回の押圧動作による押圧量を小さくする(すなわち、図6に示すごとく、Ka>Kbとする)。これにより、接地電極14が粗加工領域Aにあるときには接地電極14を大きく変形させて、少ない押圧動作の回数で接地電極14を仕上加工領域Bに到達させることができ、接地電極14が仕上加工領域Bに到達してからは、火花放電ギャップ10の大きさを目標値G0に正確に落ち着かせることができる。
本例は、図8に示すごとく、接地電極14が仕上加工領域Bにあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差δpbを一定値とする例である。
具体的には、図8に示すごとく、仕上加工領域Bに接地電極14が到達した後の最初の押圧動作においては、接地電極14を、前回の押圧動作による押圧最下点である高さ位置p4よりも上記の差δpbだけさらに下方(中心電極11側)へ押し込む。つまりこのときの押圧動作による押圧最下点である高さ位置p5と前回の押圧動作による押圧最下点の高さ位置p4との差は、δpbである。
ここで、上記δpbは予め設定された一定値であり、例えば、0.005〜0.020mmの中の一定値とすることができる。
その他は、参考例と同様である。
本例は、図9に示すごとく、接地電極14が粗加工領域Aにあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差δpa1〜δpa3を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップ10の大きさGn(図5)と目標値G0(図1)との差(Gn−G0)に比例した値とする例である。
なお、図8において、一点鎖線Lは、中心電極11の先端面の高さ位置を示す。
そして、さらに次の押圧動作における押圧最下点の高さ位置p4は、高さ位置p3よりもさらにδpa3{=β(G3−G0)}下方の位置である。
そして、接地電極14がスプリングバックしたときの高さ位置P4が仕上加工位置Bに入るまで、上記のような押圧加工を繰り返す。
その他は、参考例と同様である。
その他、参考例と同様の作用効果を有する。
本例は、図10、図11に示すごとく、接地電極14のスプリングバック量xを予測して押圧ハンマー2による接地電極14の押圧量Kcを設定するように構成した例である。
すなわち、スプリングバック量の予測値をxとして、押圧量Kcを押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさG11と、火花放電ギャップ10の目標値G0との差(G11−G0)に上記予測値xを足した値を押圧量とする。
しかしながら、予測値xよりもスプリングバック量が大きい場合には、再度、同様の手順で押圧量Kcを設定し、押圧加工を行う。そして、火花放電ギャップ10の大きさが目標値G0に一致するまで、これを繰り返すことにより、火花放電ギャップ10の調整を行う。
ここで、スプリングバック量の予測値xと実際のスプリングバック量との誤差が充分に小さければ、火花放電ギャップ10の大きさが許容範囲内に入り、特に問題は無いが、スプリングバック量にはどうしても個体差があり、場合によっては、上記の誤差が大きいこともある。そうすると、火花放電ギャップ10の大きさが小さくなりすぎてしまった製品については、不良品とせざるを得ない。
これに対して、実施例1、2の方法によれば、画像処理部361とモータ制御部362とを一つの制御部36に搭載して一つの高速CPU360によって制御することにより、大幅に通信時間を短縮して、高速加工を実現することができる。
10 火花放電ギャップ
11 中心電極
12 絶縁碍子
13 ハウジング
14 接地電極
2 押圧ハンマー
A 粗加工領域
B 仕上加工領域
Claims (5)
- 中心電極と、該中心電極を内側に挿通保持する絶縁碍子と、該絶縁碍子を内側に挿通保持するハウジングと、該ハウジングに接合されて上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグを製造する方法であって、
上記火花放電ギャップの大きさを調整するに当っては、
上記火花放電ギャップの大きさが目標値よりも大きい状態から、押圧ハンマーによって上記接地電極を上記中心電極側へ押圧する押圧動作を繰り返し、
上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値よりも大きい所定値以上となる粗加工領域に上記接地電極があるときと、上記火花放電ギャップの大きさが上記目標値と上記所定値との間となる仕上加工領域に上記接地電極があるときとで、上記押圧ハンマーによる上記押圧動作の制御方法を変更し、
上記接地電極が上記仕上加工領域にあるときは、上記粗加工領域にあるときよりも、一回の上記押圧動作による押圧量を小さくすると共に、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を一定値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。 - 請求項1において、上記押圧ハンマーは、各押圧動作の後に押圧方向とは反対方向に戻り、上記押圧ハンマーの戻り位置は、各押圧動作ごとに異なることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
- 請求項2において、上記押圧ハンマーの戻り位置は、当該押圧動作の直前の上記接地電極における被押圧面の位置であることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときは、上記押圧量を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさと上記目標値との差に比例した値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記接地電極が上記粗加工領域にあるときは、当該押圧動作による押圧最下点と前回の押圧動作による押圧最下点との差を、当該押圧動作の直前の火花放電ギャップの大きさと上記目標値との差に比例した値とすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法。
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