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JP4389385B2 - コージェネレーション用スパークプラグ及びその調整方法 - Google Patents

コージェネレーション用スパークプラグ及びその調整方法 Download PDF

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JP4389385B2 JP2000401231A JP2000401231A JP4389385B2 JP 4389385 B2 JP4389385 B2 JP 4389385B2 JP 2000401231 A JP2000401231 A JP 2000401231A JP 2000401231 A JP2000401231 A JP 2000401231A JP 4389385 B2 JP4389385 B2 JP 4389385B2
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  • Manufacturing & Machinery (AREA)
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  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、コージェネレーションのエンジンに適用され、火花消耗により増加した放電ギャップを定期的に初期値に戻す調整を行うコージェネレーション用スパークプラグ及びその調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のスパークプラグは、一般に、中心電極と、中心電極の外側に設けられた絶縁体と、絶縁体の外側に設けられた取付金具と、取付金具に一端が結合され、他端側が中心電極と対向するように配置された接地電極と、接地及び中心の両電極が対向する部位にて該両電極のそれぞれに接合されたIr(イリジウム)等を主成分とする貴金属チップとを備え、両貴金属チップの間に放電ギャップが形成されたものである。
【0003】
また、このコージェネレーション用のスパークプラグは、自動車用のスパークプラグに比べて高温で使用されるため、両電極の貴金属チップの消耗が激しく、また、その放電ギャップも小さいが故、貴金属チップの消耗による放電ギャップの変化は、プラグの電圧特性等に大きな影響をあたえる。
【0004】
そこで、貴金属チップの消耗により増加した放電ギャップを定期的に初期値に戻す(以下、リギャップという)という調整が必要となる。このリギャップは、接地電極における取付金具への固定部である一端(固定端)側を支点にして他端(開放端)側を中心電極に近づけるようにすることで、消耗により広がった放電ギャップを狭め、該ギャップを初期値にするものである。
【0005】
このように、この種のスパークプラグにおいては、通常、新品の状態から使用を開始し、一回リギャップした後、再び貴金属チップが消耗して限界(消耗限界)に達し、プラグが使用不可となる状態までの期間が、プラグの寿命に相当し、この寿命に至るとプラグを交換することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の検討によれば、従来のスパークプラグでは、寿命向上のためには以下のような問題が生じることがわかった。従来では、中心電極と接地電極とは対向面積(耐消耗性)を確保するため、両電極の貴金属チップが平行に設置されている。
【0007】
そして、貴金属チップは平行状態を維持したまま消耗していくため、リギャップ後においては、中心電極と接地電極の平行度が大幅にずれてしまう。つまり、放電ギャップ即ち両電極の貴金属チップの間隔が、接地電極の固定端に行くほど広く、開放端に行くほど狭くなる。
【0008】
そのため、リギャップ後の貴金属チップの消耗度合は、接地電極の固定端(一端)側に行くほど少なく、開放端(他端)側に行くほど多くなるというように、部分的に大きな偏りが発生する。そして、貴金属チップのうち消耗の激しい部位が消耗限界に達すると、他の部位が消耗限界に達していなくても、プラグが寿命を迎えてしまう。
【0009】
このように、従来のスパークプラグにおいては、リギャップ後における高価な貴金属チップの有効な活用がなされないことから、結果として耐消耗性を十分確保することができず、プラグの寿命を短縮させてしまうという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、リギャップの必要なコージェネレーション用スパークプラグにおいて、リギャップ後の耐消耗性を向上させ、プラグの寿命を長くすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明においては、中心電極(30)の貴金属チップ(32)と接地電極(40)の貴金属チップ(43)とを、放電ギャップ(50)のうち接地電極の一端(41)側の端部ギャップ(G1)が接地電極の他端(42)側の端部ギャップ(G2)よりも小さくなるように配置し、接地電極の貴金属チップ(43)における両端部ギャップ(G1、G2)に位置する端部を結ぶ線と、中心電極の貴金属チップ(32)における両端部ギャップに位置する端部を結ぶ線とのなす角度αを、2°以上10°以下としたことを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、リギャップ前までは貴金属チップの消耗に偏りが生じ、従来よりも多少、リギャップまでの期間が短くなる。しかし、接地電極の貴金属チップ(43)における両端部ギャップ(G1、G2)に位置する端部を結ぶ線と、中心電極の貴金属チップ(32)における両端部ギャップに位置する端部を結ぶ線とのなす角度αを、2°以上10°以下としているため、リギャップ後には、接地電極と中心電極との平行度がある程度確保されることから、貴金属チップの全体を消耗限界に至るまで有効に活用することができ、リギャップ後の耐消耗性を向上できるので、結果的に、プラグの寿命を長くすることができる。
【0014】
角度αを2°以上10°以下としたのは、角度αが2°以上であれば発明の効果が発揮されることと、角度αが10°よりも大きいと、リギャップ前における貴金属チップの消耗の偏りが大きくリギャップまでの期間が短くなりすぎて、結果的にリギャップ後の耐消耗性向上の効果を相殺してしまう可能性が大きいことのためである。
【0015】
ここで、請求項記載の発明のように、接地電極の貴金属チップ(43)と中心電極の貴金属チップ(32)に、耐消耗性が特に優れたIr合金チップ(例えば90Ir−10Rh等)を用いることで更に寿命を長くすることができる。
【0016】
また、請求項記載の発明のように、接地電極の貴金属チップ(43)と中心電極の貴金属チップ(32)との間に形成された放電ギャップ(50)の最短距離ΔGが0.2mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0017】
これは、放電ギャップが0.2mmよりも小さいとスパークプラグの基本性能である着火性を満足することができず、0.5mmよりも大きいと放電ギャップに対する傾斜配置構成の効果が小さく、寿命の拡大がさほど認められないことのためである。
【0018】
また、請求項〜請求項記載の発明は、中心電極(30)の外側を絶縁保持してなる取付金具(10)と、この取付金具に一端が結合され、他端側が該中心電極と対向するように配置された接地電極(40)と、接地及び中心の両電極が対向する部位にて該両電極のそれぞれに接合された貴金属チップ(32、43)とを備え、接地電極の貴金属チップ(43)と中心電極の貴金属チップ(32)との間に放電ギャップ(50)が形成されているコージェネレーション用スパークプラグにおいて、該両貴金属チップが消耗して該放電ギャップが広がったときに該放電ギャップを調整するスパークプラグの調整方法について、なされたものである。
【0019】
即ち、本発明によれば、予め、両電極の貴金属チップ(32、43)を、放電ギャップ(50)のうち接地電極の一端(41)側の端部ギャップ(G1)が接地電極の他端(42)側の端部ギャップ(G2)よりも小さくなるように配置することにより、接地電極の貴金属チップ(43)における両端部ギャップ(G1、G2)に位置する端部を結ぶ線(S1)と、中心電極の貴金属チップ(32)における両端部ギャップに位置する端部を結ぶ線(S2)とが、角度αにて斜めとなるようにするとともに、角度αを2°以上10°以下の範囲で設定し、これら両電極の貴金属チップが消耗して該放電ギャップが広がったときに、該角度αを小さくするように、該接地電極の貴金属チップと該中心電極の貴金属チップとを近づけることにより、該放電ギャップを適正値に調整することを特徴としている。
【0020】
本調整方法によれば、請求項1の発明において述べたのと同様の理由から、リギャップの必要なスパークプラグにおいて、リギャップ後の耐消耗性を向上させ、プラグの寿命を長くすることができる。
【0021】
た、本調整方法においても、請求項及び請求項の発明のようにすることは、上記請求項及び請求項の発明と同様の効果が得られる。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。本実施形態は、コージェネレーションにおける発電機のガスエンジン用のスパークプラグとして用いられる。図1は本実施形態に係るスパークプラグ100の全体構成を示す半断面図であり、図2(a)は図1中の丸で囲んだA部分の詳細説明図であり、図2(b)は(a)の更なる拡大図である。
【0024】
スパークプラグ100は、円筒形状の取付金具(ハウジング)10を有しており、この取付金具10は、図示しないエンジンブロックに固定するための取付ネジ部11を備えている。取付金具10の内部には、アルミナセラミック(Al23)等からなる絶縁体20が固定されており、この絶縁体20の先端部21は、取付金具10の一端面12から露出するように設けられている。
【0025】
絶縁体20の内孔22には、柱状の中心電極30がその先端部31を絶縁体20の先端部21から露出させるように固定されており、この中心電極30は絶縁体20を介して取付金具10に絶縁保持されている。
【0026】
中心電極30は、内材がCu等の熱伝導性に優れた金属材料、外材がNi基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成されたもので、上記先端部31には、例えば円盤状の貴金属(IrやIr合金等)チップ(中心電極側チップ)32が溶接等により取り付けられ、この中心電極側チップ32は中心電極30の一部を構成している。
【0027】
また、取付金具10の一端面12には、Ni基合金等よりなる柱状の接地電極40が溶接等により結合され固定されている。接地電極40は、取付金具10の一端面12に固定された一端(固定端)41から途中で略L字に曲げられて他端(開放端)42側の部位にて中心電極30の先端部31と対向配置されている。
【0028】
また、接地電極40において、中心電極30の先端部31に設けられた中心電極側チップ32と対向する部位には、例えば円盤状の貴金属(IrやIr合金等)チップ(接地電極側チップ)43が溶接等により取り付けられ、この接地電極側チップ43は接地電極40の一部を構成している。そして、上記両チップ32、43が対向する部分の空隙が放電ギャップ50を構成している。
【0029】
かかるスパークプラグ100においては、コージェネレーションにおけるエンジンの燃焼室(図示せず)内に、放電ギャップ50側を挿入し、取付金具10と中心電極30との間に放電用高電圧をかけることにより、放電ギャップ50に火花放電を発生させ、上記燃焼室内の燃料気体を燃焼させるようになっている。
【0030】
ところで、本実施形態では、図2(a)、(b)に示す様に、中心電極側チップ32と接地電極側チップ43とを、放電ギャップ50のうち接地電極40の固定端(一端)41側の端部ギャップG1が開放端(他端)42側の端部ギャップG2よりも小さくなるように配置した独自の構成を採用している。
【0031】
本例では、接地電極側チップ43を、放電ギャップ50が接地電極40の固定端(一端)41側から開放端(他端)42側に行くに連れて広がるように、中心電極側チップ32に対して斜めに配置し、両チップ32、43の互いの対向面(放電面)32a、43aを非平行状態とした構成を採用している。
【0032】
この構成を以下、貴金属チップの傾斜配置構成というが、この構成において、放電ギャップ50の大きさは、両チップ32、43の最も近い部分の間隔、即ち、最も接地電極40の固定端41寄りの放電ギャップ50の大きさ(最短距離ΔG)をいう。
【0033】
また、貴金属チップの傾斜配置構成においては、接地電極側チップ43における両端部ギャップG1、G2に位置する端部を結ぶ線S1と、中心電極側チップ32における両端部ギャップG1、G2に位置する端部を結ぶ線S2とのなす角度を傾斜角度αとする(図2(b)参照)。
【0034】
本例では、傾斜角度αは、両チップ32、43の対向面32aと43aとのなす角度であり、2°以上10°以下とすることが好ましい。なお、角度αは、図2において、中心電極側チップ32の対向面32aを0°として、反時計回り方向に正の値、時計回り方向に負の値となる。
【0035】
なお、限定するものではないが、上記スパークプラグ100における各部の一構成例を示しておく。例えば、中心電極30の先端部31はφ2.9mmのNi基合金よりなる円柱、中心電極側チップ32はφ2.4、厚さ1.5mmのIr合金よりなる円盤、接地電極40は幅3.3mm、厚さ1.6mmのNi基合金よりなる四角柱、接地電極側チップ43はφ2.2mm、厚さ0.55mmのPt合金よりなる円盤、放電ギャップ50は0.28mm、傾斜角度αは6°とすることができる。
【0036】
この貴金属チップの傾斜配置構成は、次のように形成できる。中心電極30及び絶縁体20が組み付けられた取付金具10の一端面12に接地電極40の一端41を溶接等により固定する。その後、ピンゲージ等にて放電ギャップ50の大きさを測定しながら、治具を用いて接地電極40を曲げてその他端42側を中心電極30の先端部31に近づけ、正規の放電ギャップ50とする。こうして、貴金属チップの傾斜配置構成が形成される。
【0037】
この貴金属チップの傾斜配置構成の作用効果について、図3を参照して、従来品と比較しながら述べる。図3は、本実施形態及び従来品について、▲1▼新品時、▲2▼リギャップ直前、▲3▼リギャップ直後、▲4▼寿命到達時(貴金属チップが消耗限界に至ったとき)、の各々について貴金属チップ32、43の消耗形態を示す説明図である。
【0038】
なお、図3に示す消耗形態は、本発明者が行った耐久試験に基づくものである。この耐久試験は上記した一構成例とした場合のスパークプラグ100(傾斜角度α=6°)及び従来品(傾斜角度=0°)について、加圧チャンバー(加圧力:0.6MPa)にて火花放電により評価したもので、放電ギャップ50の初期値を0.28mmとし、ギャップ50が0.3mm拡大した時点(つまり、ギャップ50が0.58mmとなった時点)でリギャップして初期値に戻し、リギャップ後にギャップ50が再び0.3mm拡大した時点までの時間を寿命とした。
【0039】
まず、新品時からリギャップ直前までをみると、従来品では、両チップ32、43の対向面(放電面)32a、43aが平行な配置関係(傾斜角度α=0°)を維持したまま、両チップ32、43は部位に関係なくほぼ均一に消耗する。
【0040】
一方、本実施形態では、貴金属チップの傾斜配置構成を採用しているため、放電ギャップ50のうち最も狭い接地電極40の固定端41寄りに位置する両チップ32、43の消耗が最も激しく、傾斜角度αが0に近づくように各チップの消耗が進行していく。
【0041】
そして、リギャップ直前の状態からリギャップを行い、チップ(火花放電部)32、43の消耗に伴い広がった放電ギャップ50を調整する。ここで、リギャップ方法は、上述した貴金属チップの傾斜配置構成の形成方法に準じた方法で可能であり、ピンゲージや治具(例えばハンマー等)を用いて、接地電極40の固定端41側を支点に曲がり部を曲げ、放電ギャップ50が初期値となるように開放端42を中心電極30の先端部31に近づける。
【0042】
こうして、図3に示す様に、リギャップ直後の従来品においては、接地電極40の開放端42側に行くに連れて放電ギャップ50が狭まるように、両チップ32、43が対向した形となる。このとき、放電ギャップ50のうち最も接地電極40の開放端42寄りの値が初期値(適正値)となる。
【0043】
すると、リギャップ後のチップ32、43の消耗度合は部分的に大きく偏る。そして、チップ32、43のうち接地電極40の開放端42側の部分が消耗限界に達する(消耗し尽くしてしまう)と、他の部位が残っていても、これ以上リギャップのしようが無くプラグが寿命を迎える。
【0044】
それに対し、図3に示す様に、本実施形態においては、リギャップ後には、接地電極40と中心電極30との平行度がある程度確保される。そのため、リギャップ前までに、チップ32、43の消耗度合に部分的な偏りが生じたとしても、リギャップ後は、寿命に近づくほど両チップ32、43の対向面32a、43aは平行に近づくので、チップ32、43の全体を消耗限界に至るまで有効に活用することができ、リギャップ後の耐消耗性を向上させることができる。
【0045】
ここで、図4に、上記耐久試験テストにおける耐久時間(放電時間、単位Hr)に対する初期値からのギャップ拡大量(単位mm)の推移を示す。図4に示す様に、本実施形態(実線図示、傾斜角度αが6°のもの)では、新品時からリギャップ直前までの時間は、従来品(破線図示)よりも多少短くなっているが、リギャップ後から寿命までの時間は長くなっている。
【0046】
また、図4に示す様に、従来では、リギャップ前後の消耗に大きな差が生じているのに対し、本実施形態では、リギャップ前後の消耗に大差はなく、貴金属チップ32、43が有効活用されるので、寿命が全体として約30%拡大できている。また、リギャップ前後の消耗に大差がないということは、リギャップまでの期間とリギャップから寿命までの期間を均一にできることであり、メインテナンスの定期化という面でも、本実施形態は有効である。
【0047】
なお、本実施形態では、貴金属チップの傾斜配置構成を採用していることから必然的に、新品時からリギャップ直前までの時間は、従来品よりも多少短くなるが、それによって全体の寿命に悪影響を与えないように、傾斜角度αを考慮する必要がある。
【0048】
傾斜角度αは、接地電極40の長さや、接地電極40の長さ方向におけるチップ(火花放電部)32、43の長さ等により、適切な範囲が変わるので、一概に決められないが、取付金具10の取付ネジ部11の径が一般的な規格値であるM18の場合について、有効な傾斜角度αを調べた結果を図5に示す。
【0049】
図5からわかるように、この場合の適切な傾斜角度αは2°以上10°以下の範囲であり、この範囲にて従来品に対して10%以上の寿命拡大が認められた。この範囲よりも小さかったり大きかったりすると、リギャップ前におけるチップ32、43の消耗の偏りが大きく、リギャップまでの期間が短くなりすぎて、結果的にリギャップ後の耐消耗性向上の効果を相殺してしまう。よって、一般的な大きさのプラグに本実施形態を適用する場合には、傾斜角度αは2°以上10°以下が好ましい。
【0050】
図6では、上記した一構成例とした場合のスパークプラグ100(接地電極側チップ43:Pt合金、中心電極側チップ32:Ir合金)と比較して、両チップ32、43をIr合金とした場合の寿命に対する効果を示している。図6からわかるように、大幅に寿命が拡大されている。よって、本実施形態を適用する場合には、両チップ32、43にIr合金を用いることが好ましい。
【0051】
図7では、有効な放電ギャップΔGを調べた効果を示している。図7からわかるように、この場合の適切な放電ギャップΔGは、0.2mm以上0.5mm以下の範囲であり、この範囲にて従来品に対して10%以上の寿命拡大が認められた。
【0052】
放電ギャップΔGが0.2mmよりも小さいとスパークプラグの基本性能である着火性を満足することができず、0.5mmよりも大きいと放電ギャップに対する傾斜配置構成の効果が小さく、寿命の拡大がさほど認められない。よって、本実施形態を適用する場合には、放電ギャップ(初期値)は0.2mm以上0.5mm以下が好ましい。
【0053】
以上、本実施形態によれば、上記貴金属チップの傾斜配置構成を採用するため、リギャップ後には、接地電極40と中心電極30の先端部31との平行度がある程度確保されることから、チップ(火花放電部)32、43の全体を消耗限界に至るまで有効に活用することができ、リギャップ後の耐消耗性を向上できるので、結果的に、プラグの寿命を長くすることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、予め、中心電極側チップ32と接地電極側チップ43とを、放電ギャップ50のうち接地電極40の固定端41側の端部ギャップG1が開放端42側の端部ギャップG2よりも小さくなるように配置することにより、上記傾斜角度αを設定し、これら両チップ32、43が消耗して放電ギャップ50が広がったときに、傾斜角度αを小さくするように、両チップ32、43を近づけることにより、放電ギャップ50を適正値に調整するスパークプラグの調整方法が提供される。
【0055】
つまり、予め、接地電極側チップ43を、放電ギャップ50が接地電極40の開放端42に行くに連れて広がるように、中心電極側チップ32に対して傾斜角度αにて斜めに配置しておき、これら両チップ32、43が消耗して放電ギャップ50が広がったときに、傾斜角度αを小さくするように、両チップ32、43を近づけることにより、放電ギャップ50を適正値に調整するスパークプラグの調整方法が提供される。この調整方法によっても、上述の如く、リギャップ後の耐消耗性を向上でき、プラグの寿命を長くすることができる。
【0056】
ここで、本実施形態の変形例を図8〜図10に示す。これら各例によっても、貴金属チップの傾斜配置構成を採用することにより、上記と同様の効果が得られる。まず、図8に示す例は、接地電極40を略直棒状のものとした第1変形例である。
【0057】
本例では、(a)のように、Ni基合金よりなる中間部材45を介したり、(b)に示す様に、取付金具10の一端面12から中心電極30の先端部31を引っ込めた形にて、接地電極40の固定端41を取付金具10の一端面12に溶接等により結合する。本例では、リギャップ時には、接地電極40において、固定端41を支点に開放端42側を中心電極30に近づければよい。
【0058】
また、図9に示す例(第2変形例)は、接地電極40が、中間部材45を介して取付金具10の一端面12に溶接等により結合されたブロック状の取付部(Ni基合金等)40aと、この取付部40aに挿入されて溶接固定されたIr等よりなる棒状の接地電極側チップ43とにより構成されたものである。この第2変形例では、リギャップ時には、取付部40aや棒状のチップ43を変形させる等により、中心電極30に近づければよい。
【0059】
また、図10(a)に示す例は、中心電極30の先端部31を傾斜させることにより、上記貴金属チップの傾斜配置構成を実現した第3変形例である。この場合、該先端部31を切削加工等にて斜め形状とした後、中心電極側チップ32を溶接固定する等により実現可能である。
【0060】
また、逆に、図10(b)は、接地電極40の先端部42を傾斜させることにより、上記貴金属チップの傾斜配置構成を実現した第4変形例である。なお、上記各変形例を実施可能な形態で組み合わせて良いことは勿論である。
【0061】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、放電ギャップ50が、端部ギャップG1から両チップ32、43の互いの対向面(放電面)32a、43aを介して端部ギャップG2へ向かって連続的に大きくなるようすることによって、上記した両チップ32、43が、端部ギャップG1が端部ギャップG2よりも小さくなるように配置する構成を実現していたが、図11に示す様な形態でも良い。
【0062】
図11では、接地電極側チップ43の対向面43a(図11(a))、または、中心電極側チップ32の対向面32a(図11(b))に段差を設けることにより、放電ギャップ50が、端部ギャップG1から端部ギャップG2へ向かって非連続的に大きくなるものである。
【0063】
この場合、接地電極側チップ43における両端部ギャップG1、G2に位置する端部を結ぶ線S1と、中心電極側チップ32における両端部ギャップG1、G2に位置する端部を結ぶ線S2とのなす傾斜角度αは、図11に示す様に表される。
【0064】
また、上記実施形態において、中心電極側チップ32、接地電極側チップ43は、各々、単数でも複数でも良いし、チップ形状も円板、円柱に限らず角柱形状でも良い。これらの一例を図12に示す。
【0065】
図12(a)は、中心電極30に4個の貴金属チップ32を設けた例であり、例えば、各チップ32の長さを変えることにより、上記した放電ギャップの傾斜構成を実現できる。また、図12(b)は、中心電極30に角柱状の貴金属チップ32を設けた例である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るスパークプラグの全体構成を示す半断面図である。
【図2】図1中のA部分の詳細説明図である。
【図3】上記実施形態及び従来品における貴金属チップの消耗形態を示す図である。
【図4】耐久時間に対するギャップ拡大量の推移を示す図である。
【図5】寿命に対する傾斜角度αの有効範囲を示す図である。
【図6】寿命に対するIr合金チップの効果を示す図である。
【図7】寿命に対する放電ギャップΔGの有効範囲を示す図である。
【図8】上記実施形態の第1変形例を示す説明図である。
【図9】上記実施形態の第2変形例を示す説明図である。
【図10】上記実施形態の第3及び第4変形例を示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る貴金属チップ形状の一つの例を示す概略断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る貴金属チップ形状のもう一つの例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10…取付金具、20…絶縁体、30…中心電極、32…中心電極側チップ、
40…接地電極、43…接地電極側チップ、50…放電ギャップ、
G1…放電ギャップのうち接地電極の固定端(一端)側の端部ギャップ、
G2…放電ギャップのうち接地電極の開放端(他端)側の端部ギャップ。

Claims (6)

  1. コージェネレーション用のスパークプラグとして適用され、
    中心電極(30)と、
    この中心電極の外側に設けられた絶縁体(20)と、
    この絶縁体の外側に設けられた取付金具(10)と、
    この取付金具に一端が結合され、他端側が前記中心電極と対向するように配置された接地電極(40)と、
    前記接地電極及び前記中心電極が対向する部位にて、前記接地電極及び前記中心電極のそれぞれに接合された貴金属チップ(32、43)とを備え、
    前記中心電極の貴金属チップ(32)と前記接地電極の貴金属チップ(43)との間に放電ギャップ(50)が形成されており、
    前記中心電極の貴金属チップと前記接地電極の貴金属チップとが、前記放電ギャップのうち前記接地電極の一端側の端部ギャップ(G1)が前記接地電極の他端側の端部ギャップ(G2)よりも小さくなるように配置されており、
    前記接地電極の貴金属チップ(43)における前記両端部ギャップ(G1、G2)に位置する端部を結ぶ線と、前記中心電極の貴金属チップ(32)における前記両端部ギャップに位置する端部を結ぶ線とのなす角度αが、2°以上10°以下であることを特徴とするコージェネレーション用スパークプラグ。
  2. 前記接地電極の貴金属チップ(43)と前記中心電極の貴金属チップ(32は、Irを50wt%以上含むIr合金よりなることを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーション用スパークプラグ。
  3. 前記放電ギャップの最短距離ΔGが0.2mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のコージェネレーション用スパークプラグ。
  4. 中心電極(30)の外側を絶縁保持してなる取付金具(10)と、この取付金具に一端が結合され、他端側が前記中心電極と対向するように配置された接地電極(40)と、前記接地電極及び前記中心電極が対向する部位にて前記両電極のそれぞれに接合された貴金属チップ(32、43)とを備え、前記接地電極の貴金属チップ(43)と前記中心電極の貴金属チップ(32)との間に放電ギャップ(50)が形成されているコージェネレーション用スパークプラグにおいて、前記両電極の貴金属チップ(32、43)が消耗して前記放電ギャップが広がったときに、前記放電ギャップを調整する調整方法であって、
    予め、前記両電極の貴金属チップを、前記放電ギャップのうち前記接地電極の一端側の端部ギャップ(G1)が前記接地電極の他端側の端部ギャップ(G2)よりも小さくなるように配置することにより、
    前記接地電極の貴金属チップ(43)における前記両端部ギャップ(G1、G2)に位置する端部を結ぶ線と、前記中心電極の貴金属チップ(32)における前記両端部ギャップに位置する端部を結ぶ線とが、角度αにて斜めとなるようにするとともに、前記角度αを2°以上10°以下の範囲で設定し、
    前記両電極の貴金属チップが消耗して前記放電ギャップが広がったときに、前記角度αを小さくするように、前記接地電極の貴金属チップと前記中心電極の貴金属チップとを近づけることにより、前記放電ギャップを適正値に調整することを特徴とするコージェネレーション用スパークプラグの調整方法。
  5. 前記接地電極の貴金属チップ(43)と前記中心電極の貴金属チップ(32は、Irを50wt%以上含むIr合金よりなることを特徴とする請求項に記載のコージェネレーション用スパークプラグの調整方法。
  6. 前記放電ギャップの最短距離ΔGが0.2mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のコージェネレーション用スパークプラグの調整方法。
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