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JP4850631B2 - モータの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータの制御装置に関する。
従来、例えばサーボ圧により互いの位相位置を変更可能な第1永久磁極片および第2永久磁極片を具備し、界磁磁束量を変更可能なモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、例えばハイブリッド車両などのモータにおいて、回転方向に順次異なった極性の磁極を設けた複数の回転子を同一回転軸上に隣り合うように配置し、これら回転子の間隔をアクチュエータで変化させることで、固定子に対する永久磁石の誘起電圧定数を調整する可変機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭55−153300号公報 特開2001−69609号公報
ところで、上記従来技術に係るモータにおいて、例えばモータの運転状態や、このモータを駆動源として搭載した車両の走行状態等に応じて、操作者の操作入力に応じてモータの誘起電圧定数を変更することが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、操作者の操作入力に応じてモータの誘起電圧定数を適切に制御することが可能なモータの制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明のモータの制御装置は、各々に磁石片(例えば、実施の形態での内周側永久磁石21aおよび外周側永久磁石22a)を有する複数のロータ(例えば、実施の形態での内周側回転子21および外周側回転子22)を具備し、車両を駆動または補助的に駆動するモータ(例えば、実施の形態でのモータ11)と、前記複数のロータの相対的な位相を変更し、所定の誘起電圧定数に設定する位相変更機構(例えば、実施の形態での位相制御装置25)とを備えるモータの制御装置であって、前記位相変更機構の位相変更動作を操作者の操作入力に応じて制御する手動制御手段(例えば、実施の形態での誘起電圧定数制御部54)を備えることを特徴としている。
上記構成のモータの制御装置によれば、手動制御手段は操作者の操作入力に応じて位相変更機構の位相変更動作を制御し、複数のロータの相対的な位相を変更して所定の誘起電圧定数となるように設定する。これにより、モータの誘起電圧定数を操作者の操作入力に応じた値に設定することができる。
さらに、請求項に記載の発明のモータの制御装置では、前記手動制御手段は、予め段階的に設定された複数の誘起電圧定数のうちから前記所定の誘起電圧定数を選択することを特徴としている。
上記構成のモータの制御装置によれば、手動制御手段は操作者の操作入力に応じて誘起電圧定数を段階的に変更する。
さらに、請求項に記載の発明のモータの制御装置では、前記手動制御手段は、前記所定の誘起電圧定数に応じて、前記位相変更機構の位相変更動作に対する制御ゲインを変更することを特徴としている。
上記構成のモータの制御装置によれば、手動制御手段は操作者の操作入力に応じて誘起電圧定数を変更する際の制御ゲイン、つまり応答速度を変更する。
さらに、請求項2に記載の発明のモータの制御装置では、前記手動制御手段は、前記応答速度を変更する際に、前記誘起電圧定数を増大させることに伴い前記応答速度を減少させる場合に、前記誘起電圧定数を減少させることに伴い前記応答速度を増大させる場合に比べて、前記応答速度の変化量が大きくなるように設定することを特徴としている。
さらに、請求項に記載の発明のモータの制御装置では、前記手動制御手段は、前記制御ゲインを段階的に変更することを特徴としている。
上記構成のモータの制御装置によれば、手動制御手段は操作者の操作入力に応じて誘起電圧定数を変更する際の制御ゲイン、つまり応答速度を段階的に変更する。
さらに、請求項に記載の発明のモータの制御装置では、前記モータは、車両を走行駆動あるいは内燃機関による車両の走行駆動を補助することを特徴としている。
上記構成のモータの制御装置によれば、車両の走行挙動に操作者の意志を適切に反映させることができる。
本発明のモータの制御装置によれば、モータの誘起電圧定数を操作者の操作入力に応じた値に設定することができる。
さらに、請求項に記載の発明のモータの制御装置によれば、車両の走行挙動に操作者の意志を適切に反映させることができる。
以下、本発明のモータの制御装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態によるモータの制御装置1は、走行駆動源としてモータを備えるハイブリッド車両や電動車両等の車両に搭載されるものである。具体的には、図1に示すように、車両10は、モータ(Mot)11を駆動源として備える電動車両であり、モータ11の駆動力は車両10の前輪Wfに伝達されるようになっている。
そして、この車両10の減速時に前輪Wf側からモータ11に駆動力が伝達されると、モータ11は発電機として機能して、いわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する。ここで、制御装置12が設けられた車両10には、アクセルペダル開度センサ(以下、単にAP開度センサと呼ぶ)s1と、ブレーキペダルスイッチセンサ(以下、単にBrkSWセンサと呼ぶ)s2と、前輪Wf、後輪Wrに設けられた車輪速センサ13と、回転センサ14等との各種センサが設けられており、制御装置12はこれら各種センサの検出結果に基づいて、モータ11の制御系に対して制御指令を出力する。
モータ11は、例えば図2に示すように、周方向に沿って配置された各永久磁石21a,22aを具備する略円環状の各内周側回転子21および外周側回転子22からなるロータ23と、ロータ23を回転させる回転磁界を発生する複数相の固定子巻線(図示略)を有する固定子24と、内周側回転子21と外周側回転子22との間の相対的な位相を制御する位相制御装置25とを備えている。
内周側回転子21および外周側回転子22は、互いの回転軸がモータ11の回転軸Oと同軸となるように配置され、略円筒状の各ロータ鉄心31,32と、第1ロータ鉄心31の外周部で周方向に所定間隔をおいて設けられた複数の内周側磁石装着部33,…,33および第2ロータ鉄心32の内部で周方向に所定間隔をおいて設けられた複数の外周側磁石装着部34,…,34とを備えている。
そして、周方向で隣り合う内周側磁石装着部33,33間において第1ロータ鉄心31の外周面31A上には回転軸Oに平行に伸びる凹溝31aが形成されている。
また、周方向で隣り合う外周側磁石装着部34,34間において第2ロータ鉄心32の外周面32A上には回転軸Oに平行に伸びる凹溝32aが形成されている。
各磁石装着部33および34は、例えば回転軸Oに平行に貫通する各1対の磁石装着孔33a,33aおよび34a,34aを備え、1対の磁石装着孔33a,33aはセンターリブ33bを介して、かつ、1対の磁石装着孔34a,34aはセンターリブ34bを介して、周方向で隣り合うように配置されている。
そして、各磁石装着孔33a,34aは回転軸Oに平行な方向に対する断面が、略周方向が長手方向かつ略径方向が短手方向の略長方形状に形成され、各磁石装着孔33a,34aには回転軸Oに平行に伸びる略長方形板状の各永久磁石21a,22aが装着されている。
1対の磁石装着孔33a,33aに装着される1対の内周側永久磁石21a,21aは、厚さ方向(つまり各回転子21,22の径方向)に磁化され、互いに磁化方向が同方向となるように設定される。そして、周方向で隣り合う内周側磁石装着部33,33に対して、各1対の磁石装着孔33a,33aおよび33a,33aに装着される各1対の内周側永久磁石21a,21aおよび内周側永久磁石21a,21aは互いに磁化方向が異方向となるように設定される。すなわち外周側がN極とされた1対の内周側永久磁石21a,21aが装着された内周側磁石装着部33には、外周側がS極とされた1対の内周側永久磁石21a,21aが装着された内周側磁石装着部33が、凹溝31aを介して周方向で隣接するようになっている。
同様にして、1対の磁石装着孔34a,34aに装着される1対の外周側永久磁石22a,22aは、厚さ方向(つまり各回転子21,22の径方向)に磁化され、互いに磁化方向が同方向となるように設定される。そして、周方向で隣り合う外周側磁石装着部34,34に対して、各1対の磁石装着孔34a,34aおよび34a,34aに装着される各1対の外周側永久磁石22a,22aおよび外周側永久磁石22a,22aは互いに磁化方向が異方向となるように設定される。すなわち外周側がN極とされた1対の外周側永久磁石22a,22aが装着された外周側磁石装着部34には、外周側がS極とされた1対の外周側永久磁石22a,22aが装着された外周側磁石装着部34が、凹溝32aを介して周方向で隣接するようになっている。
そして、内周側回転子21の各磁石装着部33,…,33と外周側回転子22の各磁石装着部34,…,34とは、さらに、内周側回転子21の各凹溝31a,…,31aと外周側回転子22の各凹溝32a,…,32aとは、各回転子21,22の径方向で互いに対向配置可能となるように配置されている。
これにより、内周側回転子21と外周側回転子22との回転軸O周りの相対位置に応じて、モータ11の状態を、内周側回転子21の内周側永久磁石21aと外周側回転子22の外周側永久磁石22aとの同極の磁極同士が対向配置(つまり、内周側永久磁石21aと外周側永久磁石22aとが対極配置)される弱め界磁状態から、内周側回転子21の内周側永久磁石21aと外周側回転子22の外周側永久磁石22aとの異極の磁極同士が対向配置(つまり、内周側永久磁石21aと外周側永久磁石22aとが同極配置)される強め界磁状態に亘る適宜の状態に設定可能とされている。
制御装置12は、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、例えば運転者のアクセル操作に係るアクセル開度を検出するアクセル開度センサより決定されるトルク指令Tqに基づきd軸電流指令Idc及びq軸電流指令Iqcを演算し、d軸電流指令Idc及びq軸電流指令Iqcに基づいて各相出力電圧Vu,Vv,Vwを算出し、各相出力電圧Vu,Vv,Vwに応じてPDU16へゲート信号であるPWM信号を入力すると共に、実際にPDU16からモータ11に供給される各相電流Iu,Iv,Iwの何れか2つの相電流をdq座標上の電流に変換して得たd軸電流Id及びq軸電流Iqと、d軸電流指令Idc及びq軸電流指令Iqcとの各偏差がゼロとなるように制御を行う。
この制御装置12は、例えば、目標電流設定部41と、電流偏差算出部42と、界磁制御部43と、電力制御部44と、電流制御部45と、dq−3相変換部46と、PWM信号生成部47と、フィルタ処理部48と、3相−dq変換部49と、回転数演算部50と、誘起電圧定数算出部51と、誘起電圧定数指令出力部52と、誘起電圧定数差分算出部53と、誘起電圧定数制御部54と、手動時差分算出部55と、位相制御部56とを備えて構成されている。
そして、この制御装置12には、PDU16からモータ11に出力される3相の各相電流Iu,Iv,Iwのうち、2相のU相電流IuおよびW相電流Iwを検出する各電流センサ61,61から出力される各検出信号Ius,Iwsと、バッテリ17の端子電圧(電源電圧)VBを検出する電圧センサ62から出力される検出信号と、モータ11のロータの回転角θm(つまり、所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度)を検出する回転センサ14から出力される検出信号と、位相制御装置25により可変制御される内周側回転子21と外周側回転子22との相対的な位相θを検出する位相センサ63から出力される検出信号とが入力されている。
目標電流設定部41は、例えば外部の制御装置(図示略)から入力されるトルク指令Tq(例えば、運転者によるアクセルペダルAPの踏み込み操作量を検出するアクセル開度センサの出力に応じて必要とされるトルクをモータ11に発生させるための指令値)と、回転数演算部50から入力されるモータ11の回転数NMと、後述する誘起電圧定数算出部51から入力される誘起電圧定数Keとに基づき、PDU16からモータ11に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令を演算しており、この電流指令は、回転する直交座標上でのd軸目標電流Idc及びq軸目標電流Iqcとして電流偏差算出部42へ出力されている。
この回転直交座標をなすdq座標は、例えばロータの永久磁石による界磁極の磁束方向をd軸(界磁軸)とし、このd軸と直交する方向をq軸(トルク軸)としており、モータ11のロータ23の回転位相に同期して回転している。これにより、PDU16からモータ11の各相に供給される交流信号に対する電流指令として、直流的な信号であるd軸目標電流Idcおよびq軸目標電流Iqcを与えるようになっている。
電流偏差算出部42は、界磁制御部43から入力されるd軸補正電流が加算されたd軸目標電流Idcと、d軸電流Idとの偏差ΔIdを算出するd軸電流偏差算出部42aと、電力制御部44から入力されるq軸補正電流が加算されたq軸目標電流Iqcと、q軸電流Iqとの偏差ΔIqを算出するq軸電流偏差算出部42bとを備えて構成されている。
なお、界磁制御部43は、例えばモータ11の回転数NMの増大に伴う逆起電圧の増大を抑制するためにロータ23の界磁量を等価的に弱めるようにして電流位相を制御する弱め界磁制御の弱め界磁電流に対する目標値をd軸補正電流としてd軸電流偏差算出部42aへ出力する。
また、電力制御部44は、例えばバッテリ17の残容量等に応じた適宜の電力制御に応じてq軸目標電流Iqcを補正するためのq軸補正電流をq軸電流偏差算出部42bへ出力する。
電流制御部45は、例えばモータ11の回転数NMに応じたPI(比例積分)動作により、偏差ΔIdを制御増幅してd軸電圧指令値Vdを算出し、偏差ΔIqを制御増幅してq軸電圧指令値Vqを算出する。
dq−3相変換部46は、回転数演算部50から入力されるロータ23の回転角θmを用いて、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上での電圧指令値であるU相出力電圧VuおよびV相出力電圧VvおよびW相出力電圧Vwに変換する。
PWM信号生成部47は、例えば、正弦波状の各相出力電圧Vu,Vv,Vwと、三角波からなるキャリア信号と、スイッチング周波数とに基づくパルス幅変調により、PDU16のPWMインバータの各スイッチング素子をオン/オフ駆動させる各パルスからなるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、PWM信号)を生成する。
フィルタ処理部48は、各電流センサ61,61により検出された各相電流に対する検出信号Ius,Iwsに対して、高周波成分の除去等のフィルタ処理を行い、物理量としての各相電流Iu,Iwを抽出する。
3相−dq変換部49は、フィルタ処理部48により抽出された各相電流Iu,Iwと、回転数演算部50から入力されるロータ23の回転角θmとにより、モータ11の回転位相による回転座標すなわちdq座標上でのd軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する 。
回転数演算部50は、回転センサ14から出力される検出信号からモータ11のロータ23の回転角θmを抽出すると共に、この回転角θmに基づき、モータ11の回転数NMを算出する。
誘起電圧定数算出部51は、位相センサ63から出力される位相θの検出信号に基づき、内周側回転子21と外周側回転子22との相対的な位相θに応じた誘起電圧定数Keを算出する。
誘起電圧定数指令出力部52は、例えばトルク指令Tqと、モータ11の回転数NMとに基づき、モータ11の誘起電圧定数Keに対する指令値(誘起電圧定数指令)Kecを出力する。
誘起電圧定数差分算出部53は、誘起電圧定数指令出力部52から出力される誘起電圧定数指令Kecから、誘起電圧定数算出部51から出力される誘起電圧定数Keを減算して得た誘起電圧定数差分ΔKeを出力する。
誘起電圧定数制御部54は、例えば、操作者の操作入力に応じてモータ11の誘起電圧定数を切り替える手動モードのオン/オフを指示するモードスイッチ18から出力される指示信号と、操作者の操作入力に応じて誘起電圧定数の増大または減少を指示する増減スイッチ19から出力される指示信号とに基づき、操作者の操作入力に応じた誘起電圧定数設定値Kemおよび制御ゲインGmを出力する。なお、制御ゲインGmは、位相制御装置25によって内周側回転子21と外周側回転子22との間の相対的な位相を、後述する位相指令θcに応じた値に設定する制御動作において、例えば位相制御装置25に具備されるアクチュエータ(図示略)の応答速度に係る制御パラメータであって、この制御ゲインが増大することに伴い、応答速度が増大するようになっている。
誘起電圧定数制御部54は、例えば操作者の操作入力に応じて誘起電圧定数設定値Kemおよび制御ゲインGmが段階的に変化するように制御しており、所定の誘起電圧定数設定段(Ke設定段)に応じてステップ状に変化する誘起電圧定数設定値Kemおよび制御ゲインGmのマップ等を予め備えている。そして、誘起電圧定数制御部54は、後述するように、先ず、操作者の操作入力に応じてモードスイッチ18から手動モードのオンを指示する指示信号が入力された場合に、この時点での車両10の速度(車速)に応じたKe設定段、あるいは、この時点で誘起電圧定数算出部51から出力される誘起電圧定数Keに応じたKe設定段を算出する。そして、誘起電圧定数制御部54は、操作者の操作入力に応じて増減スイッチ19から誘起電圧定数の増大または減少を指示する指示信号が入力された場合に、Ke設定段を増大または減少させて変更し、この変更後のKe設定段に応じた誘起電圧定数設定値Kemおよび制御ゲインGmをマップ検索により取得する。なお、車両10の速度(車速)は、例えば車輪速センサ13の検出信号に基づき算出される。
手動時差分算出部55は、誘起電圧定数指令出力部52から出力される誘起電圧定数指令Kecから、誘起電圧定数制御部54から出力される誘起電圧定数設定値Kemを減算して得た手動時誘起電圧定数差分ΔKemを出力する。
位相制御部56は、例えば誘起電圧定数差分算出部53から出力される誘起電圧定数差分ΔKeまたは手動時差分算出部55から出力される手動時誘起電圧定数差分ΔKemに応じて、これらの誘起電圧定数差分ΔKeまたは手動時誘起電圧定数差分ΔKemをゼロとするようにして位相θを制御するための制御指令(例えば、位相指令θc等)を出力する。
位相制御部56は、誘起電圧定数制御部54から誘起電圧定数設定値Kemが出力されている場合、つまり操作者の操作入力に応じてモードスイッチ18から手動モードのオンを指示する指示信号が出力されていると共に、操作者の操作入力に応じて増減スイッチ19から誘起電圧定数の増大または減少を指示する指示信号が出力されている場合には、手動時差分算出部55から出力される手動時誘起電圧定数差分ΔKemをゼロとするための制御指令を出力し、一方、誘起電圧定数制御部54から誘起電圧定数設定値Kemが出力されていない場合には、誘起電圧定数差分算出部53から出力される誘起電圧定数差分ΔKeをゼロとするための制御指令を出力する。
本実施形態によるモータの制御装置1は上記構成を備えており、次に、このモータの制御装置1の動作、特に、応答切替制御の処理について添付図面を参照しながら説明する。
先ず、例えば図4に示すステップS01においては、操作者の操作入力に応じてモードスイッチ18から手動モードのオンを指示する指示信号が入力されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS02に進む。
そして、ステップS02においては、例えば車輪速センサ13の検出信号に基づいて算出した車両10の車速の現在値を取得する。
そして、ステップS03においては、例えば予め設定された車速とKe設定段との所定の関係を示すマップ等を参照して、車速の現在値に対応するKe設定段を取得する。
そして、ステップS04においては、操作者の操作入力に応じて増減スイッチ19からKe設定段の増大を指示する指示信号が入力されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS06に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
そして、ステップS05においては、増減スイッチ19から入力された指示信号に応じてKe設定段を増大させ、この増大により得られる新たなKe設定段に応じて、例えば予め設定されたKe設定段と誘起電圧定数設定値Kemとの所定の関係を示すマップ等および予め設定されたKe設定段と制御ゲインGmとの所定の関係を示すマップ等を参照して、誘起電圧定数設定値Kemおよび制御ゲインGmを取得する。
また、ステップS06においては、操作者の操作入力に応じて増減スイッチ19からKe設定段の減少を指示する指示信号が入力されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進む。
そして、ステップS07においては、増減スイッチ19から入力された指示信号に応じてKe設定段を減少させ、この減少により得られる新たなKe設定段に応じて、例えば予め設定されたKe設定段と誘起電圧定数設定値Kemとの所定の関係を示すマップ等および予め設定されたKe設定段と制御ゲインGmとの所定の関係を示すマップ等を参照して、誘起電圧定数設定値Kemおよび制御ゲインGmを取得し、一連の処理を終了する。
なお、予め設定されたKe設定段と制御ゲインGmとの所定の関係を示すマップ等では、例えば図5に示すように、Ke設定段を増大させる場合と、Ke設定段を減少させる場合とに応じて、制御ゲインが異なる変化を示すように設定されており、例えばKe設定段を増大させる場合には、Ke設定段を減少させる場合に比べて、制御ゲインの変化量が大きくなるように設定されている。
上述したように、本実施の形態によるモータの制御装置1によれば、モータ11の誘起電圧定数Keを操作者の操作入力に応じた値に設定することができ、車両10の走行挙動に操作者の意志を適切に反映させることができる。
しかも、操作者の操作入力に応じて誘起電圧定数Keを変更する際に、誘起電圧定数Keに応じて制御ゲインを変更することから、モータ11の誘起電圧定数Keに応じた車両の走行挙動を詳細に制御することができる。
なお、上述した実施の形態においては、操作者の操作入力に応じてモードスイッチ18から手動モードのオンを指示する指示信号が入力された際に、この時点での車両10の速度(車速)に応じたKe設定段、あるいは、この時点で誘起電圧定数算出部51から出力される誘起電圧定数Keに応じたKe設定段を算出するとしたが、これに限定されず、例えば手動モードのオン/オフに拘わらずに、モータ11の誘起電圧定数KeをKe設定段に応じて段階的に変化させている場合には、単に、手動モードのオンを指示する指示信号が入力された時点でのKe設定段を取得すればよい。
なお、上述した実施の形態に係る車両10においては、モータ11を、例えばハイブリッド車両の走行駆動用モータとして備えてもよいし、例えば内燃機関を駆動源とする車両の内燃機関始動用のスタータモータまたはオルタネータとして備えてもよい。
本発明の一実施形態に係る車両の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係るモータの側断面図である。 本発明の一実施形態に係るモータの制御装置の構成図である。 本発明の一実施形態に係るモータの制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るモータの制御装置のKe設定段と、制御ゲインとの関係の一例を示すグラフ図である。
符号の説明
11 モータ
21 内周側回転子(ロータ)
21a 内周側永久磁石(磁石片)
22 外周側回転子(ロータ)
22a 外周側永久磁石(磁石片)
25 位相制御装置(位相変更機構)
54 誘起電圧定数制御部(手動制御手段)

Claims (4)

  1. 各々に磁石片を有する複数のロータを具備し、車両を駆動または補助的に駆動するモータと、
    前記複数のロータの相対的な位相を変更し、所定の誘起電圧定数に設定する位相変更機構とを備えるモータの制御装置であって、
    前記位相変更機構の位相変更動作を操作者の操作入力に応じて制御する手動制御手段を備え
    前記手動制御手段は、予め段階的に設定された複数の誘起電圧定数のうちから前記所定の誘起電圧定数を選択し、該所定の誘起電圧定数に応じて、前記位相変更機構の位相変更動作に対する制御ゲインにより応答速度を変更することを特徴とするモータの制御装置。
  2. 前記手動制御手段は、前記応答速度を変更する際に、前記誘起電圧定数を増大させることに伴い前記応答速度を減少させる場合に、前記誘起電圧定数を減少させることに伴い前記応答速度を増大させる場合に比べて、前記応答速度の変化量が大きくなるように設定することを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。
  3. 前記手動制御手段は、前記制御ゲインを段階的に変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータの制御装置。
  4. 前記モータは、車両を走行駆動あるいは内燃機関による車両の走行駆動を補助することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のモータの制御装置。
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