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JP4849707B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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JP4849707B2
JP4849707B2 JP2000126268A JP2000126268A JP4849707B2 JP 4849707 B2 JP4849707 B2 JP 4849707B2 JP 2000126268 A JP2000126268 A JP 2000126268A JP 2000126268 A JP2000126268 A JP 2000126268A JP 4849707 B2 JP4849707 B2 JP 4849707B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、室温硬化型のシーラント等の硬化触媒成分として重要なキレートチタネート化合物を含有する硬化性組成物に関するものであり、とくに触媒活性ならびに色安定性に優れた該キレートチタネート化合物を含有する硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気中の水分と接触することによりアルコキシシリル基が反応してアルコールを放出しながら室温で硬化する組成物は数多くが知られている。これらの中でもポリシロキサン、特にジオルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物は、特公昭32−3742号公報など数多くの提案があった。ポリオキシアルキレンを含む組成物の提案も、特開平5−287261号公報など数多い。さらに、特開平8−165389号公報などで多くの提案がなされてきた。
【0003】
これらの室温硬化組成物の中でも、オルガノチタネートを硬化性触媒とする組成物は、硬化させる直前に主剤と硬化剤を混合する必要がない1液型組成物にすることが容易な技術として知られており、例えば、特公昭39−27643号公報(ヒドロキシル末端ポリシロキサン、Rn Si(OR)4-n タイプのシラン及び有機チタン化合物からなるシロキサンゴム原料組成物)、および特公昭43−18625号公報(ヒドロキシル末端ポリシロキサン、Rn Si(OR)4-n タイプのシラン及び有機チタン化合物からなる常温硬化性シーリング材)などに提案されてきた。それらはいずれも、ベースとして、末端にシラノール基を有するジオルガノポリシロキサン、架橋剤としてオルガノトリアルコキシシラン類、硬化触媒としてテトラアルキルチタネートを基本成分とする硬化性組成物であった。
【0004】
しかしこの組成物には、2つの大きな問題点があった。第1は硬化速度に関する問題であった。具体的には、硬化速度が低く、貯蔵中に硬化速度が低下するとともに硬化後の機械的物性が低下し、最後には硬化性を失うに至るという問題であつた。第2は組成物製造工程に関する問題であった。具体的には、末端にシラノール基を有するジオルガノポリシロキサンとチタネート触媒とが接触した際に一時的に極度の粘度増加が起こるため、製造方法が非常に限定されるという問題であった(特公昭39−27643号公報)。
【0005】
米国特許第3,334,067号明細書あるいは特公昭56−14701号公報では、テトラアルキルチタネートの代わりにキレート型アルキルチタネートを使用する組成物(ヒドロキシル末端ポリシロキサン、Rn Si(OR)4-n タイプのシラン及びキレート型アルキルチタネートからなる常温硬化性組成物)が開示されている。これらの組成物によると、ベースポリマーとチタネート触媒が接触した時の極度な粘度上昇の問題は解決する。しかしながら、これらの組成物によっても、上記特公昭39−27643号公報に開示されたごとき組成物の有する硬化速度の問題点(硬化速度が低く、かつ、貯蔵中に硬化速度が一層低下する問題点)は依然として未解決のままに残されていた。
【0006】
さらに、上記の特公昭39−27643号公報に記載の手段における2つの問題を同時に解決する他の方法として、特開昭55−43119号公報には、ジアルコキシシリル基またはトリアルコキシシリル基を有するジオルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、それに架橋剤としてのオルガノトリアルコキシシラン類、硬化触媒としてのテトラアルキルチタネートを基本成分とする硬化性組成物が開示されている。
【0007】
この組成物によって、低い硬化速度は改善され、また、テトラアルキルチタネート触媒をベースポリマーと接触させても極度な粘度上昇は起こさないで、組成物が製造できるようになり、また、貯蔵中に硬化速度が徐々に低下する問題もいくらかは改善された。しかしながら、貯蔵中の硬化速度の低下に関する改善は十分でなく、50℃低度の温度で貯蔵すると数週間のオーダーで明らかな硬化速度の低下が認められ、また特に、夏季に組成物を貯蔵する際に問題となることが多い。
【0008】
特公平5−88866号公報に記載された手段は、エラストマーの補強性を発揮するのに必要な微粒子状シリカを疎水性シリカに限定することによって、より一層の貯蔵安定性向上を図り、さらに、末端をトリアルコキシシリル基に、架橋剤をトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、またはそれらの加水分解物に限定し、触媒としてチタンキレート触媒を用いることによって、一層高い硬化速度を得ようとするものである。
【0009】
貯蔵安定性の問題を解決する別の手段として、特開平2−133490号公報には、末端のアルコキシシリル基との結合をシロキサン結合ではなくエチレン結合にすることによって、有機チタン触媒{好ましい触媒として、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ビス(アセチルアセトニル)ジイソプロピルチタネート、2,5−ジイソプロポキシ−ビス(アセチルアセトニル)ジイソプロピルチタンが記載されている。}を含む貯蔵安定性のシーラント組成物(アルコキシ末端ポリオルガノシロキサン、Rn Si(OR)4-n タイプのシラン及び有機チタン触媒からなる硬化性組成物)が開示されている。
【0010】
これらのうち特に、キレートチタニウム化合物はシーラントの保存安定性、触媒活性、硬化反応挙動等の点で優れているが、チタン化合物自身の安定性、特に、着色性という点で問題があった。
【0011】
すなわち、この種のアセチルアセトナートあるいはエチルアセトアセテートをキレート配位子とするチタニウム化合物は本来はほとんど無色のものと考えられるが、通常の保存条件のもとで容易に変色し、濃黄色から濃褐色になる。この変化は混じり物のない化合物のみでも、あるいは、場合により他の成分を含む組成物中でも急速に起きるため、この種のキレートチタニウム化合物を含有するシーラントは、黄色あるいはオレンジ色に着色しているかあるいは経時的に、黄変するという問題があった。
【0012】
この問題に対処するため、チオカルボン酸のエステル、ジt−ブチルフェノール、有機ホスファイト等の酸化防止剤を添加する方法(特開昭58−71951号公報)、有機メルカプタンあるいはメルカプト官能性シラン化合物等のメルカプト化合物を添加する方法(米国特許第4,962,076号)、あるいは、テトラアルコキシチタン含有組成物にアセト酢酸エチルを後添加することによってその場でキレートチタニウム化合物を形成させることにより、経時変化を少なくする方法(EP0361803 A2、または特開平2−133491号公報)等が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの変色を防止するための種々の手法は、黄変をある程度抑制する効果はあるものの、これを完全に押さえることは出来ず、また、他の問題を起こす可能性を含んでいる。すなわち、チオカルボン酸のエステル、有機ホスファイト等の酸化防止剤を添加する方法においては、イオウ化合物あるいはホスファイト化合物特有の臭いあるいは、腐食性の問題がある。有機メルカプタンあるいはメルカプト官能性シラン化合物等のメルカプト化合物を添加する方法においても、同様の問題がある。その場でキレートチタネート化合物を形成させることにより色の軽減を図る方法は、着色の時期を遅らせてはいるものの、根本的には着色の問題を解決していない。
このように、キレートチタネート化合物あるいはこれを含む組成物の着色の問題に対する、より優れた解決策は依然として与えられておらず、本質的に着色しない、すなわち、色安定性の優れたキレートチタネート化合物で、触媒としての要件を満たすものの創出が望まれていた。
【0014】
特公昭56−14701号公報には、シラノール鎖端停止ポリジオルガノシロキサン、アルコキシシラン等、チタンキレート触媒、接着促進剤、鉛等のカルボン酸塩等の共触媒、及び粘度抑制剤としての第2のシラノール鎖停止流体を含有する、水分の存在下に自己結合性弾性固体に硬化しうる流体組成物が記載されている。この組成物は、従来の室温硬化性材料に伴われた接着性欠如の問題、使用直前に混合しなければならないという問題、及び時間の経過による濃稠化の問題を生じさせなく、電子回路に使用した時、腐食を生ぜしめないと記載されている。上記チタンキレート触媒として、配位子が2個のカルボニル炭素原子を有し、Ti原子に2座配置したものの膨大な例が挙がっている。それらの例の中に、前記2個のカルボニル炭素原子の内の1個のカルボニル炭素原子が置換基としてハロゲン化低級アルキル基を有するものも挙げられている。しかしこの特許は一般のチタンキレート触媒の使用を開示するだけで、それらを用いたとき変色の問題及びこの問題をどのようにして解決するかを何ら示唆していない。
【0015】
本発明の目的は、加水分解性基を有する高分子とキレートチタニウム化合物を含む硬化性組成物の変色を回避することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の成分1〜成分3を含む硬化性組成物である。
成分1:加水分解性基を有する高分子100質量部;
成分2:加水分解性基を有する架橋剤0.1〜25質量部;及び
成分3:キレートチタニウム化合物、但し、その配位子は2個以上のカルボニル炭素原子を有し、その内少なくとも1個のカルボニル炭素原子が置換基としてパーフロロアルキル基を有するもの0.1〜10質量部。
さらに、本発明は、次の成分(ア)〜(ウ)を含む硬化性組成物である。
成分(ア):(A)X a 3-a Si−、(B)X b 2-b Si=またはXSi≡を有する高分子100質量部;
(ここに、aは1,2または3であり、bは1または2であり、Xは独立に炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルコキシ基であり、Rは独立に炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基であり、“=”は2本の結合手を、“≡”は3本の結合手をそれぞれ表す。)
成分(イ):加水分解性基を1分子中に平均で2個以上有するシラン化合物またはその部分加水分解縮合物である架橋剤0.1〜25質量部;及び
成分(ウ):次の式(a)または式(b)の構造で表されるキレートチタニウム化合物0.1〜10質量部。
【化2】
Figure 0004849707
〔ここに、R 1 は炭素数1〜8のパーフロロアルキル基(アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子で置換されている)であり;Aは−R 3 または−OR 3 から選ばれ(ここでR 3 は、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基(炭化水素基の有する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されている)または炭素数1〜8のパーフロロアルキル基(アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子で置換されている)から選ばれ;R 8 は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基(炭化水素基の有する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されている)であり;R 10 は炭素数1〜8の炭化水素基であり;nは1,2または3であり;R 17 は炭素数1〜3の炭化水素基または水素原子であり;そしてmは1〜6の整数である。〕
【0017】
【発明の実施の形態】
前記成分▲1▼は本発明硬化性組成物のベースポリマーとなるものである。この成分▲1▼は前記成分▲2▼の加水分解性基を有する架橋剤との縮合反応により硬化物ないしは硬化被膜を形成するものである。このためこの成分▲1▼としては加水分解性基を有する高分子が使用される。この条件を満たし、かつ本発明の効果である硬化性組成物の経時での変色抑止に悪影響を与えないものである限り、前記成分▲1▼の高分子の化学的な種類、高分子の基本構造、高分子の大きさ等は格別に限定されない。むしろ具体的用途において、硬化物ないしは硬化被膜に求められる物性から、それらの要件は選ばれるものである。
【0018】
従って、その化学的種類は、シロキサン結合を主鎖の基本構造とするポリジオルガノシロキサン、炭素−炭素結合を主鎖の基本骨格とする炭化水素重合体、ポリジオルガノシロキサンと炭化水素重合体の共重合体のいずれであっても構わない。
高分子の構造は直鎖状高分子(任意に分岐構造を有しても構わない)であってもあるいはレジン状であっても構わない。
高分子の大きさについては、高分子の種類や側鎖置換基の大きさ等によっても異なるのでそれについては後記するが、例えばポリジオルガノシロキサンの場合、本発明硬化性組成物の適用対象へ適用する際の作業性と硬化後の物性を考慮すると、室温での粘度が20〜1,000,000 mPa・sが推奨される。この範囲を超えると、作業性が実用的な水準より低下し、この範囲を下回ると、硬化物ないしは硬化被膜の物性が不充分になってしまう。
【0019】
本発明の硬化性組成物は、通常はシーラントやコーテイング剤等として使用されるものであり、この場合、成分1の高分子の基本構造は直鎖状の高分子が選択される。この直鎖状高分子は任意に分岐構造を有していても勿論構わない。また、この高分子の基本構造の種類としては、ポリシロキサン系ポリマー、炭化水素重合体、ポリオキシアルキレン系ポリマーまたはポリ(メタ)アクリル系ポリマーが使用される。炭化水素重合体の例としては、ポリイソブチレン系ポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー等があげられる。
【0020】
〔ポリシロキサン系ポリマー〕
ポリシロキサン系ポリマーとしては、ポリジメチルシロキサン、ジメチル−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ポリメチルトリクロロプロピルシロキサンなどのポリジオルガノシロキサン、またはRSiO3/2 シロキサン単位、R2 SiOシロキサン単位、R3 SiO1/2 シロキサン単位もしくはSiO2 シロキサン単位(式中、Rは非置換または置換の一価炭化水素基、アルコキシ基、もしくは水酸基から選ばれる基)を主成分にしたポリオルガノシロキサンなどが例示される。
【0021】
その中で、ポリジオルガノシロキサン系ポリマーが最も一般的であり、その中でもポリジメチルシロキサンを使用すると、室温硬化性シリコーンエラストマーとして好ましい特性を得ることができる。RSiO3/2 シロキサン単位、R2 SiOシロキサン単位、R3 SiO1/2 シロキサン単位、SiO2 シロキサン単位を主成分にしたポリオルガノシロキサンを使用すると、硬化して樹脂状シリコーンを与えるような組成物を得ることができる。
更に特開昭55−43119号公報の請求項1以下で規定されたオルガノポリシロキサンを参照のこと。
【0022】
成分▲1▼がポリジオルガノシロキサンの場合、典型的には次の一般式(I)であらわされるシリコーンオイルが使用される。
(R12O)3-k 16 k Si−Y−〔R13 2 SiO〕r −R13 2 Si−Y−Si(OR123-k 16 k (I)
(ここに、R12は独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルキル基又は水素原子であり、R13は独立に1〜10個の炭素原子を有する有機基であり、R16は独立に炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基であり、kは0,1または2であり、Yは酸素原子または炭素数2〜5の2価炭化水素基であり、rは25℃におけるこのシリコーンオイルの粘度が20〜1,000,000 mPa・sとなるような正の数である。)ここで、硬化性を考慮するとkの値は0または1が望ましく、より好適にはk=0のものが推奨される。
【0023】
前記一般式において、R13の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;ビニル、アリルなどのアルケニル基;フェニル、トリル、ナフチルなどのアリール基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアラルキル基などがあげられ、ハロゲン化炭化水素基としてはクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、ジブロモフェニル、テトラクロロフェニル、ジフルオロフェニル基などが例示され、シアノアルキル基としてはβ−シアノエチル、γ−シアノプロピル、β−シアノプロピル基などが例示される。また、R12としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどのアルキル基;メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチルなどのアルコキシ基置換アルキル基が例示される。R12及びR13はそれぞれ炭素原子数1〜3を持つことが好適であり、さらに好適にはメチル基又はエチル基である。Yは、酸素原子または二価の炭化水素基であり、二価の炭化水素基としては−CH2 CH2 −,−CH2 CH2 CH2 −,−CH2 C(CH3 )H−などのアルキレン基が例示される。
【0024】
成分▲1▼がポリジオルガノシロキサンの場合、25℃での粘度は20〜1,000,000 mPa・sの範囲であることが好ましい。これは20 mPa・sより小さいと硬化後のエラストマーに優れた物理的性質、特に柔軟性と高い伸びを与えることが困難となるためであり、また、1,000,000 mPa・sより大きいと組成物の粘度が高くなり、施工時の作業性が著しく悪くなるためである。従ってより好ましくは100〜500,000 mPa・sの範囲である。
【0025】
成分▲1▼がポリジオルガノシロキサンの場合の具体例として次のものが挙げられる。
(R12O)3 Si−(CH2 2 −Si(CH3 2 −(OSi(CH3 2 y −(CH2 2 −Si(OR123
ここに、R12はメチル基又はエチル基であり、yはこのポリシロキサンの25℃の粘度が100〜500,000 mPa・sとなる数である。
【0026】
〔ポリオキシアルキレン系ポリマー〕
1分子中に平均で1個を超える加水分解性分解性基を有するポリオキシアルキレン系ポリマーであれば、本発明における成分▲1▼として利用可能である。
ポリオキシアルキレン系ポリマーは主鎖骨格が−R’−O−(式中R’は2価の有機基を表わす。)の繰返し単位を有する。
【0027】
上記繰返し単位は、特に限定されるものではないが、例えば、−CH2 O−、−CH2 CH2 O−、−CH2 CH(CH3 )O−、−CH2 CH(C2 5 )O−、−CH2 C(CH3 2 O−、−CH2 CH2 CH2 CH2 O−などを挙げることができる。また、主鎖骨格は、それらの内、2種あるいはそれ以上のものを組み合わせたものであってもよい。具体的にポリオキシアルキレンポリマーとしては、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンなどを例示することができる。特にポリオキシプロピレンを使用すると、シーラントなどに使用する室温で硬化してエラストマーとなるような組成物を得ることができる。
【0028】
上記ポリオキシアルキレン系ポリマーの主鎖骨格中には、ポリオキシアルキレン系ポリマーの特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分などの他の成分を含んでいてもよい。上記ウレタン結合成分としては特に限定されず、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネートと上記一般式の繰返し単位を有するポリオールとの反応から得られるものなどを挙げることができる。
【0029】
ポリオキシアルキレン系ポリマーが有する加水分解性基は、ポリオキシアルキレン類の末端にあってもよく、ポリオキシアルキレン類の主鎖構造の一部(に結合する)にあってもよく、その両方を含むものであってもよい。また、ポリオキシアルキレンは、直鎖状でも、分岐構造を有していてもよく、その分子量は500〜50000(数平均分子量)程度が好ましい。
更に、特開平11−80533号公報の請求項1以下で規定された1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素を含有するオキシアルキレン系共重合体を参照のこと。
【0030】
〔ポリアクリル系ポリマー〕
本発明における成分▲1▼として、1分子中に平均で1個を超える前記加水分解性基を有するアクリル系ポリマーを使用することができる。加水分解性基は、アクリル系ポリマーの末端に位置していてもよく、側鎖として導入されたものであってもよい。
【0031】
具体的なポリメタクリル酸エステル系ポリマーとしては、ポリメタクリル酸メチルを主成分とするポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチルなどを主成分とするコポリマーなどのアクリル系ポリマーが例示される。
【0032】
本発明におけるアクリル系ポリマーの製造方法としては、例えば、加水分解性基がアルコキシシリル基の場合、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの誘導体とアルコキシシリル基含有ビニル系モノマーとの共重合により得る方法を挙げることができる。
【0033】
また、本発明におけるアクリル系ポリマーは、発明の効果を低下させない範囲で、主鎖にシロキサン結合により形成されたセグメントを含んでいてもよい。また、このアクリル系ポリマーは上記モノマーと他の成分との共重合体であってもよい。この例としては以下のものが挙げられる。
【0034】
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル系化合物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、それらの酸無水物(無水マレイン酸など)、または、それらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;
【0035】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物、イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フロロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物などが挙げられる。
このアクリル系ポリマーの分子量としては、硬化物の物性の面から1000〜30000(数平均分量)が好ましい。
さらに特開平5−230318号の請求項1以下で規定されたアルコキシシリル基含有アクリル共重合体を参照のこと。
【0036】
〔ポリイソブチレン系ポリマー〕
本発明の成分▲1▼として、1分子中に平均で1個を超える加水分解性基を有するポリイソブチレンを使用することができる。
この加水分解性基は、ポリイソブチレンの末端に位置していてもよく、側鎖として導入されたものであってもよい。ポリイソブチレンの分子量(数平均分子量)は、硬化物の物性を考慮すると1000〜40000の範囲が好適である。また、このポリイソブチレンは主鎖に以下に示すような単位を含む共重合体であってもよい。
【0037】
具体的には、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、5−エチリデンノルボルネン、インデンなどの脂肪族オレフィン;ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンなどのジエン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレンなどのスチレン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのアルケニルエーテル類;ジビニルジメチルシラン、ビニルトリメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルメチルシランなどのアルケニルシラン類などを挙げることができる。
更に特開平9−286895号公報の請求項2以下で規定されたイソブチレン系共重合体及び特開平8−165389号公報の請求項1以下に記載されたイソブチレン系共重合体を参照のこと。
【0038】
〔ポリエチレン系ポリマー〕
本発明の成分▲1▼として、1分子中に平均で1個を超える前記加水分解性基を有するポリエチレンを使用することができる。
この加水分解性基は、ポリエチレンの末端に位置していてもよく、側鎖として導入されたものであってもよい。ポリエチレンの分子量(数平均分子量)は、硬化物の物性を考慮すると1000〜40000の範囲が好適である。また、このポリエチレンに対して、加水分解性基として、アルコキシシリル基が好ましい。
ポリエチレンは、他のエチレン系モノマーとの共重合体であってもよい。
更に特開平9−286895号公報の発明の実施の形態以下で規定されるものを参照のこと。
【0039】
ポリプロピレン系ポリマーについては特開平9−286985号公報の発明の実施の形態以下を参照のこと。
【0040】
本発明の硬化性組成物により得られる硬化物に対して、高い強度が望まれる場合には、成分▲1▼の高分子としてレジンが選択される。このレジンはシリコーンレジン、炭化水素系レジンのいずれでもよく、レジンが有する加水分解性基の種類も先に示した条件を満たすものであれば、限定されるものではない。
この様なレジンの例としては、ケイ素原子に直接結合したメトキシ基を有するDT型シリコーンレジン(例:(CH3 SiO3/2 )/((CH3 2 SiO)/(CH3 1/2 ))、ケイ素原子に直接結合したメトキシ基を有するMQ型シリコーンレジン(例:((CH3 3 SiO1/2 )/(SiO4/2 )/(CH3 1/2 ))などがある。
【0041】
成分▲1▼の高分子における加水分解性基とは、ケイ素原子を含み、加水分解性を示すものであり、一連の硬化反応により硬化物の物性に悪影響を与えるような副生物が発生するもので無い限り、格別制限されるものではない。この様な加水分解性基の例として、以下の例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
(1)本発明における上記加水分解性基の代表的な例としては、次の(A)または(B)が挙げられる。
(A)Xa 3-a Si−または(B)Xb 2-b Si=(ここに、aは1,2または3であり、bは1または2であり、Xは独立に炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルコキシ基であり、Rは独立に炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基であり、“=”は2本の結合手を、“≡”は3本の結合手をそれぞれ表す。以下同じ。)。
この他にXSi≡(Xは前記と同じ意味を表す。)も挙げられる。
(2)上記以外にも例えば以下の(C)〜(E)が挙げられる。
(C)Wa 3-a Si−(aは1,2または3である)、(D)Wb 2-b Si=(bは1または2である)または(E)WSi≡(ここに、Rは前記と同じ意味を表し、Wは水酸基、アシルオキシ基〔R’C(=O)−O−,R’はアルキル基〕(代表例はアセトキシ基)、アルケニルオキシ基(代表例はプロペノキシ基〔CH2 =C(CH3 )−O−〕)、アリールオキシ基〔R''O−,R''はアリール基〕(代表例はフェノキシ基)、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、またはR'''2 C=N−O−〔R'''は脂肪族炭化水素基〕である。)
【0043】
成分▲1▼の高分子が有する加水分解性基は前記の構造を有するものであり、高分子の主鎖の末端に上記加水分解性基のケイ素原子が結合していてもよく、上記加水分解性基のケイ素原子が高分子の主鎖の一部となっていても構わない。
また、高分子の本体側の末端原子と加水分解性基のケイ素原子とは直接結合していてもよく、それらの間にアルキレン基等を介していても勿論構わない。
【0044】
成分▲1▼の高分子が有するこれらの加水分解性基の個数については、組合わせて使用する成分▲2▼の架橋剤の官能性(ここではケイ素原子1個あたりの加水分解性基の個数を指す。)にもよるが、高分子1分子中に平均で1個を超えていることが、硬化物を得る上で望ましい。
【0045】
これら加水分解性基は、硬化性と硬化物ないしは硬化被膜の物性が必要な水準を確保できる限り高分子のどこに結合していても構わないが、直鎖状高分子の場合は、少なくとも両末端に結合していることが、硬化性の面からは好ましい。
加水分解性基がアルコキシシリル基の場合、具体的にはトリアルコキシシリル基、ジアルコキシ(アルキル)シリル基またはアルコキシ(ジアルキル)シリル基が有り得るが、硬化性の面からはトリアルコキシシリル基またはジアルコキシ(アルキル)シリル基が望ましく、特に迅速な硬化性が求められる場合にはトリアルコキシシリル基が推奨される。
【0046】
前記成分▲2▼は、本発明の硬化性組成物において架橋剤として作用するものである。この架橋剤としては、加水分解性基を1分子中に平均で2個以上有するシラン化合物またはその部分加水分解縮合物が好ましい。通常は下記の一般式(II)で示されるようなものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
一般式(II):R14 c SiR15 4-c
(ここに、R14は炭素数1〜8の炭化水素基であり、R15は炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルコキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基またはオキシム基(R2 C=N−O−〔Rは脂肪族炭化水素基〕)であり、cは0または1である。)であらわされるシランまたはその部分加水分解縮合物。
【0048】
本発明に使用される成分▲2▼は、好適には、一般式R19 d Si(OR204-d (式中、R19はR14と同じく定義され、R20は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルキル基、dは0または1である。)で示されるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物が使用される。
【0049】
成分▲2▼の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルセロソルブオルソシリケートなどの4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシランなどの3官能アルコキシシラン類;およびそれらの部分加水分解縮合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を混合しても良い。また、硬化後のゴム弾性体に低モジュラス性を付与するために、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシランなどの2官能アルコキシシラン類を付加的に添加しても良い。
【0050】
成分▲2▼の添加量は、前記の通り、成分▲1▼100質量部に対して0.1〜25質量部であるが、好ましくは、1〜20質量部の範囲であり、更に好ましくは1〜10質量部の範囲である。成分▲2▼の添加量が少なすぎると組成物が十分に硬化しなかったり、1包装化して保存中に増粘・ゲル化し易くなり、また、多すぎると硬化が遅くなったり、経済的に不利益となるからである。
【0051】
成分▲3▼は本発明の硬化性組成物の硬化触媒である。これはキレートチタニウム化合物からなり、実用的な硬化性でありながら硬化性組成物の経時での変色を招かないものである。
このような性能を発揮するキレートチタニウム化合物は、その配位子が2個以上のカルボニル炭素原子を有し、そのうち少なくとも1個のカルボニル炭素原子が置換基としてパーフロロアルキル基を有してなるものであり、典型的には以下の式(a)または式(b)の様な構造のものが使用できる。
【0052】
【化3】
Figure 0004849707
【0053】
ここに、R1 は炭素数1〜8のパーフロロアルキル基(アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子で置換されている)であり;Aは−R3 または−OR3 から選ばれ(ここでR3 は、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基(炭化水素基の有する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されている)または炭素数1〜8のパーフロロアルキル基(アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子で置換されている)から選ばれ;R8 は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基(炭化水素基の有する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されている)であり;R10は炭素数1〜8の炭化水素基であり;nは1,2または3であり;R17は炭素数1〜3の炭化水素基または水素原子であり;そしてmは1〜6の整数である。
【0054】
このキレートチタニウム触媒は成分▲1▼に対して0.1〜10質量部の範囲で使用される。添加量がこの範囲を下回ると、実用的な硬化性が確保し難くなる。添加量の上限は目的とする硬化性に見合う限り、臨界的な問題ではないが、本発明硬化性組成物を空気中にて硬化をさせるまでの貯蔵時の保存安定性を考慮すると上記範囲が実用的な範囲となる。一般的な硬化性の確保と保存安定性を重視した場合は、0.3〜6質量部更に好ましくは1〜5質量部の範囲が推奨される。
【0055】
成分▲3▼の具体例を以下に挙げる。
次式(a)で表されるものの例を挙げる。
【0056】
【化4】
Figure 0004849707
【0057】
上記式において、R10の例としては、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、アリル基(CH2 =CH−CH2 −)が挙げられ、R1 の例としては、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基が挙げられ、Aの例としては、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、i−プロピル(オキシ)基、t−ブチル(オキシ)基、n−ブチル(オキシ)基、s−ペンチル(オキシ)基、t−ペンチル(オキシ)基、アリル(オキシ)基(CH2 =CH−CH2 −(O−))、が挙げられ、R8 の例としては、水素原子、メチル基が挙げられる。
【0058】
化合物の例としては、次のものが挙げられる:ジイソプロポキシチタニウムビス(エチルトリフロロメチルアセトアセテート)
【化5】
Figure 0004849707
【0059】
ジタ−シャリ−ブトキシチタニウムビス(エチルトリフロロメチルアセトアセテート)
【化6】
Figure 0004849707
【0060】
ジタ−シャリ−ブトキシチタニウムビス(メチルペンタフロロエチルアセトアセテート)
【化7】
Figure 0004849707
【0061】
ジエトキシチタニウムビス(エチルペンタフロロエチルアセトアセテート)
【化8】
Figure 0004849707
【0062】
次に成分▲3▼の具体例として次式(b)で表わされるものの例を挙げる。
【0063】
【化9】
Figure 0004849707
【0064】
17の例としては水素原子及びメチル基を挙げることができる。A,R1 ,R8 の例としては先に式(a)について挙げたものを挙げることができる。
【0065】
化合物の例としては、2,3−ジメチル−2,3−ジオキシブタンチタニウムビス(エチルトリフロロメチルアセトアセテート)
【化10】
Figure 0004849707
【0066】
2−メチル−2,4−ジオキシペンタンチタニウムビス(エチルトリフロロメチルアセトアセテート)
【化11】
Figure 0004849707
【0067】
1,3−ジオキシプロパンチタニウムビス(メチルペンタフロロエチルアセトアセテート)
【化12】
Figure 0004849707
【0068】
1,2−ジオキシエタンチタニウムビス(エチルペンタフロロエチルアセトアセテート)
【化13】
Figure 0004849707
【0069】
1,2−ジオキシエタンチタニウムビス(メチルトリフロロメチルアセトアセテート)
【化14】
Figure 0004849707
【0070】
1,3−ジオキシプロパンチタニウムビス(イソプロピルトリフロロメチルアセテート)
【化15】
Figure 0004849707
【0071】
2−メチル−2,4−ジオキシペンタンチタニウムビス(エチルペンタフロロエチルアセトアセテート)
【化16】
Figure 0004849707
【0072】
2,3−ジメチル−2,3−ジオキシブタンチタニウムビス(エチルペンタフロロエチルアセトアセテート)
【化17】
Figure 0004849707
【0073】
本発明においては、用途に応じて疎水性シリカを添加することができる。これにより、本発明組成物に改善された保存安定性と良好な表面皮膜形成速度を与えるとともに、適度な粘性、ゴム物性を付与することができる。
このシリカは表面処理されていることが好ましい。このシリカの表面処理剤としては、オルガノシラザン類、オルガノシクロシロキサン類、オルガノクロロシラン類、オルガノアルコキシシラン類、低分子量の直鎖状シロキサン類など、従来シリカの疎水化処理剤として公知の有機ケイ素化合物が好ましい。また、表面皮膜形成速度、流動特性調整などのため、表面処理剤を2種またはそれ以上組み合せて使用しても良い。シリカとしては本組成物の保存安定性の点および適度な粘性の付与、ゴム物性の付与、含水量などの点から乾式シリカが好ましい。
【0074】
前記シリカの添加量は成分▲1▼100質量部を基準にして1〜200質量部であるが、好ましくは3〜30質量部である。多すぎると組成物の粘度が上がり過ぎて混合および施工時の作業性が悪くなり、また、少なすぎると硬化後のゴム物性が改善されない。
【0075】
本発明の組成物は前記した成分▲1▼〜▲3▼及び前記シリカの他に、さらに必要に応じて、硬化前の流れ特性を改善し、硬化後のゴム状弾性体に必要な機械的性質を付与するために、微粉末状の無機質充填剤を添加することもできる。無機質充填剤としては石英微粉末、炭酸カルシウム、煙霧質二酸化チタン、けいそう土、水酸化アルミニウム、微粒子状アルミナ、マグネシア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛およびこれらをシラン類、シラザン類、低重合度シロキサン類、有機化合物などで表面処理したものなどが例示される。
さらに、本発明の組成物には有機溶剤、防カビ剤、難燃剤、耐熱剤、可塑剤、チクソ性付与剤、接着促進剤、硬化促進剤、顔料などを添加することができる。
【0076】
本発明の組成物は、成分▲1▼〜▲3▼又は成分▲1▼〜▲3▼およびシリカ並びに必要に応じて各種添加剤を、湿気を遮断した状態で混合することにより得られる。得られた組成物は密閉容器中でそのまま保存し、使用時に空気中の水分にさらすことによりゴム状弾性体に硬化する、いわゆる1包装型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物として用いることができる。
【0077】
以下に本発明の態様を示す。
(態様1)
下記成分▲1▼〜成分▲3▼を含む硬化性組成物。
成分▲1▼:加水分解性基を有する高分子100質量部;
成分▲2▼:加水分解性基を有する架橋剤0.1〜25質量部;及び
成分▲3▼:キレートチタニウム化合物、但し、その配位子は2個以上のカルボニル炭素原子を有し、そのうち少なくとも1個のカルボニル炭素原子が置換基としてパーフロロアルキル基を有するもの0.1〜10質量部。
【0078】
(態様2)
前記成分▲1▼がポリジオルガノシロキサンまたは炭化水素重合体である態様1記載の硬化性組成物。
【0079】
(態様3)
前記成分▲1▼が(A)Xa 3-a Si−または(B)Xb 2-b Si=(ここに、aは1,2または3であり、bは1または2であり、Xは独立に炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数2〜8のアルコキシ置換アルコキシ基であり、Rは独立に炭素数1〜8の炭化水素基または炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基である。)で表される加水分解性基が平均で1分子中に1個を超えているポリジオルガノシロキサンまたは炭化水素重合体である態様1記載の硬化性組成物。
【0080】
(態様4)
前記成分▲1▼が一般式(I):(R12O)3-k 16 k Si−Y−〔R13 2 SiO〕r −R13 2 Si−Y−Si(OR123-k 16 k
(ここに、R12は独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシ置換アルキル基または水素原子であり、R13は独立に1〜10個の炭素原子を有する有機基であり、R16は独立に炭素数1〜8の炭化水素基または炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基であり、kは0,1または2であり、Yは酸素原子または炭素数2〜5の2価の炭化水素基であり、rは25℃におけるこの一般式(I)で表される化合物の粘度が20〜1,000,000 mPa・sとなるような正の数である)で表されるものであり、
前記成分▲2▼が一般式(II):R14 c SiR15 4-c
(ここに、R14は炭素数1〜8の炭化水素基であり、R15は炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルコキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基またはオキシム基(R2 C=N−O−〔Rは脂肪族炭化水素基である〕)であり、cは0または1である。)であらわされるシランまたはその部分加水分解縮合物である態様1記載の硬化性組成物。
【0081】
(態様5)前記成分のキレートチタニウム触媒が次の式(a)または式(b)の構造で表されるものである態様1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【化18】
Figure 0004849707
【0082】
(態様6)
更に、成分▲1▼100質量部を基準として、疎水性シリカを1〜200質量部含有してなる態様1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0083】
(態様7)
前記成分▲3▼のキレートチタニウム化合物のカルボニル炭素原子が置換基として有するパーフロロアルキル基がトリフロロメチル基またはペンタフロロエチル基である態様1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【0084】
(態様8)下記成分1〜3及び疎水性シリカを含む硬化性組成物:成分は一般式:(R12O)3 Si−Y−〔R13 2 SiO〕r −R13 2 Si−Y−Si(OR123(ここに、R13はメチル基であり、R12はメチル基又はエチル基であり、Yは炭素数2〜5の2価の炭化水素基であり、rは25℃におけるこの高分子の粘度が20〜1,000,000 mPa・sとなるような正の数である)で表されるもの100質量部;
成分は一般式:R19 d Si(OR204-d(ここに、R19は炭素数1〜8の炭化水素基であり、R20は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルキル基であり、dは0または1である。)であらわされるアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物0.1〜25質量部;成分は次の(a)または(b)の構造で表されるもの0.1〜10質量部であり、
【化19】
Figure 0004849707
(ここに、R10は炭素数1〜3のアルキル基であり、mは、1,2または3であり、R1 はトリフロロメチル基又はペンタフロロエチル基であり、Aは炭素数1〜6の炭化水素基または炭素数1〜4のパーフロロアルキル基であり、R8 は炭素数1〜6の炭化水素基である。)疎水性シリカは1〜200質量部である。
【0085】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は従来の1液脱アルコール型の室温硬化性組成物に見られた密封条件下での保存時における組成物の変色が大幅に抑制されたものであり、更に硬化性、保存安定性に優れ、硬化後の物性等は従来のものと同等ないしはそれ以上のものである。従って、例えば建築用シーリング材や家具、装飾品等へのコーテイング剤等の用途に特に有用である。
【0086】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例で用いたポリジオルガノシロキサンAは、式(C2 5 O)3 Si−CH2 CH2 −SiMe2 −O−(SiMe2 O)x −SiMe2 −CH2 CH2 −Si(OC2 5 3 で示され、25℃における粘度が20,000 mPa・sであるポリジメチルシロキサンである。
〔TFT(タックフリータイム)の測定〕
以下の実施例、比較例において、TFTは、本発明の硬化性組成物を基材(PETフィルム)に約3mmの厚さに塗布して20℃、相対湿度55%の条件で、その上にポリエチレンフィルムを載せ、更にその上に30gの重りを30秒のせた後、そのポリエチレンフィルムを剥ぎ取って、硬化性組成物が付着しなくなるまでの時間(塗布後の経過時間)として測定した。
測定は、初期(経過時間0分)から10分の間は、1分毎に行ない(経過時間1分毎にポリエチレンフィルムを剥がす。以下同様。)、経過時間10分〜20分の間は2分毎に、経過時間20分〜160分までの間は5分毎に実施した。
【0087】
(実施例1〜9、比較例1)
1.試料調製
表1に示したような各種テトラオルガノチタネートと各種ケトン化合物を室温で3時間かけて混合し、得られたキレートチタニウム化合物触媒(成分▲3▼)を下記ポリジオルガノシロキサン(成分▲1▼)およびアルコキシ官能性架橋剤(成分▲2▼)と混合して試料とした。配合比率は次の通りとした。
キレートチタニウム化合物触媒
テトラオルガノチタネート 1モル
ケトン化合物 表1に示したモル比
試料(硬化性シリコーン組成物)
ポリジオルガノシロキサンA 93質量%(100質量部)
メチルトリメトキシシラン 5質量%(5.37質量部)
キレートチタニウム化合物触媒 2質量%(2.15質量部)
【0088】
2.試験内容
下記条件にて試料を保存し、経時での変色と透明性を目視により確認した。また、硬化性の確認のためタックフリータイム(TFT)を測定した。
保存条件
温 度:50℃
期 間:28日
雰囲気:ガラス瓶中に密閉して保存した。
【0089】
3.試験結果
試験の結果を次の表1に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0004849707
【0091】
表1から明らかなように、トリフルオロアセトアセテートを使用したキレートチタニウム触媒を適用した実施例1〜9の試料は初期から無色透明であり、いずれも経時での変色、透明性の劣化は見られなかった。これに対し、上記条件に適合しないエチルアセトアセテートを使用したキレートチタニウム触媒を適用した比較例1では、初期から変色が生じ、透明性も劣化が認められた。尚、硬化性についてはいずれも実用的なレベルを維持していた。

Claims (4)

  1. 下記成分(ア)〜成分(ウ)を含む硬化性組成物。
    成分(ア):(A)X a 3-a Si−、(B)X b 2-b Si=またはXSi≡を有する高分子100質量部;
    (ここに、aは1,2または3であり、bは1または2であり、Xは独立に炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルコキシ基であり、Rは独立に炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基であり、“=”は2本の結合手を、“≡”は3本の結合手をそれぞれ表す。)
    成分(イ):加水分解性基を1分子中に平均で2個以上有するシラン化合物またはその部分加水分解縮合物である架橋剤0.1〜25質量部;及び
    成分(ウ):次の式(a)または式(b)の構造で表されるキレートチタニウム化合物0.1〜10質量部。
    Figure 0004849707
    〔ここに、R 1 は炭素数1〜8のパーフロロアルキル基(アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子で置換されている)であり;Aは−R 3 または−OR 3 から選ばれ(ここでR 3 は、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基(炭化水素基の有する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されている)または炭素数1〜8のパーフロロアルキル基(アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子で置換されている)から選ばれ;R 8 は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または炭素数1〜8のハロゲン化炭化水素基(炭化水素基の有する水素原子の一部がハロゲン原子で置換されている)であり;R 10 は炭素数1〜8の炭化水素基であり;nは1,2または3であり;R 17 は炭素数1〜3の炭化水素基または水素原子であり;そしてmは1〜6の整数である。〕
  2. 前記成分(ア)がポリジオルガノシロキサン、ポリイソブチレン系ポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ポリオキシアルキレン系ポリマー又はポリ(メタ)アクリル系ポリマーである請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記成分(イ)が一般式(II):R 14 c SiR 15 4-c (ここに、R 14 は炭素数1〜8の炭化水素基であり、R 15 は炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシ基置換アルコキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基またはオキシム基(R 2 C=N−O−〔Rは脂肪族炭化水素基〕)であり、cは0または1である。)であらわされるシランまたはその部分加水分解縮合物である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記成分(ウ)のキレートチタニウム化合物のカルボニル炭素原子が有するパーフロロアルキル基がトリフロロメチル基またはペンタフロロエチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
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