JP4723942B2 - 車両の衝撃吸収具及び車両の衝撃吸収構造 - Google Patents
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Description
ことを要旨とする。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図3は、本発明が適用される自動車などの車両のフロント部分を概略的に示す斜視図である。同図に示されるように、このフロント部分には、バンパの骨格をなすバンパフレーム11と、車両の前後方向に伸びてボディの一部を構成する一対のサイドメンバ12とが配設されている。
図1は、上記クラッシュボックス17を示す正面図である。同図に示されるように、このクラッシュボックス17は、鉄系金属であるSPH440からなり、角取りされた断面コ字状の一対の鉄プレス材21,22を突き合わせてこれらを溶接することで構成されている。このクラッシュボックス17(鉄プレス材21,22)の軸方向(図1において紙面に直交する方向)の長さは91.5[mm]に設定されており、板厚は1.6[mm]に設定されている。上記クラッシュボックス17は、正面視(断面)において、点O1に関して板厚分を除いて概ね点対称の構造を有しており、両鉄プレス材21,22の接合される先端部により形成される第1辺としての互いに平行な左右の辺(図1において左右に配置されて上下に伸びる辺)17b,17cと、第2辺としての互いに平行な上下の辺(図1において上下に配置されて左右に伸びる辺)17d,17eとが直交している。そして、上記クラッシュボックス17は、正面視(断面)において、各隣り合う辺17b,17c,17d,17e間を結ぶ4つの辺(斜辺)を有している。
(1)本実施形態では、前記クラッシュボックス17は、断面八角形の中空構造を有することで、軸方向に伸びる稜線SLの数(断面における頂点の数)が多くなる。これにより、前記クラッシュボックス17のつぶれ荷重(軸圧縮荷重)が増大される分、その板厚を薄くすることができる。つまり、前記クラッシュボックス17の板厚を薄くしても高いつぶれ荷重を得ることができるため、その小型化及び軽量化を図ることができる。
(3)本実施形態では、好適なEA効率(85%以上)を得ることができ、所定のエネルギーを吸収するためのクラッシュボックス17の前後方向の長さを短くできる。つまり、つぶれ荷重(軸圧縮荷重)の振幅を抑えつつ、塑性変形の範囲内(塑性変形量が最大となる状態まで間)において、効率的に衝撃エネルギーを吸収することができる。このため、車両の決められたスペースにクラッシュボックス17を収めることができる。また、クラッシュボックス17で衝撃エネルギーを十分に吸収することができ、ボディ(サイドメンバ12)へと伝達される衝撃を抑えることができる。
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のクラッシュボックスに対し長さAに対する長さaの比(a/A)及び長さBに対する長さbの比(b/B)を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態に準じた解析モデルを設定し、前記した実験結果(図6参照)と解析モデルによる解析結果との関係から、好適なEA効率(85%以上)が得られるクラッシュボックスの形状について明らかにするものである。
0.4≦a/A≦0.8
0.2≦b/B≦0.7
の範囲に設定したクラッシュボックスでは、実験結果において好適なEA効率(85%以上)が得られることになる。
(1)鉄系金属(SPH440)において、長さAを長さBよりも大きく設定し、且つ、長さAに対する長さaの比(a/A)及び長さBに対する長さbの比(b/B)をそれぞれ、0.4≦a/A≦0.8、0.2≦b/B≦0.7の範囲に設定することで、好適なEA効率(85%以上)を得ることができる。
・図9に示したクラッシュボックス40を採用してもよい。すなわち、このクラッシュボックス40は、角取りされた断面コ字状の一対の板材としての鉄プレス材41,42を突き合わせて、波形状に延出形成された開口端部でこれら一対の鉄プレス材41,42を軸方向に間隔をおいてスポット溶接することで構成されている。従って、このクラッシュボックス40も、八角筒状に形成されている。そして、上記クラッシュボックス40には、軸方向に間隔をおいて内側に凹設されたビード状の複数の応力集中部40aが形成されている。これら応力集中部40aは型押しにて形成されており、軸圧縮荷重に対する塑性変形の起点となるものである。これら応力集中部40aは、クラッシュボックス40に塑性変形(座屈変形)を開始させるときの軸圧縮荷重を低減するために設けられている。なお、前記一対の鉄プレス材41,42の接合部に隣り合う応力集中部40aは、スポット溶接部としてのスポット溶接による接合点(打点:×印で図示)とは軸方向において互い違いとなる位置に配置されている。このような構造であっても、前記第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、図9に示したクラッシュボックス40によれば、応力集中部40aに加えてスポット溶接による接合点も、軸圧縮荷重に対する応力集中により塑性変形の起点となる。すなわち、接合点が谷部となる蛇腹状の塑性変形となる。さらに、ビード状の応力集中部40aと接合点とが軸方向において互い違いとなる位置に配置されているので、鉄プレス材41,42の全長に亘ってアーク溶接したものよりも、蛇腹状の塑性変形を連続的に安定させることができる。その結果、更にEA効率を向上させることができる。
・前記各実施形態においては、自動車のフロント部分のバンパ(バンパフレーム11)に本発明を適用したが、リヤ部分のバンパに本発明を適用してもよい。
Claims (4)
- 軸圧縮荷重を塑性変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する車両の衝撃吸収具において、
断面凹形状をなす一対の板材を溶接することにより断面八角形の中空構造を呈し、軸圧縮荷重に対する塑性変形の起点となる応力集中部を有し、
鉄系金属からなり、断面において、互いに平行に伸びる一対の第1辺と、該第1辺に直交する方向で互いに平行に伸びる一対の第2辺と、各隣り合う前記第1及び第2辺間を結ぶ4つの辺とを有し、
前記各板材は前記第1辺に沿って溶接されており、前記第1辺には溶接された部位を挟むように前記応力集中部が一対設けられ、前記第2辺には前記応力集中部が設けられ、
前記各応力集中部は、車両外側の先端側に配置され、且つ同一断面上に配置されていることを特徴とする車両の衝撃吸収具。 - 請求項1に記載の車両の衝撃吸収具において、
前記第1辺の長さをa、前記一対の第2辺間の距離をA、前記第2辺の長さをb、前記一対の第1辺間の距離をBで表すとき、
距離Aを距離Bよりも大きく設定し、且つ、距離Aに対する長さaの比(a/A)及び距離Bに対する長さbの比(b/B)をそれぞれ、
0.4≦a/A≦0.8
0.2≦b/B≦0.7
の範囲に設定したことを特徴とする車両の衝撃吸収具。 - 請求項1又は2に記載の車両の衝撃吸収具において、
前記溶接はスポット溶接であり、
前記応力集中部及びスポット溶接部は、軸方向において互い違いとなる位置に配置されていることを特徴とする車両の衝撃吸収具。 - 車両の幅方向に伸びるバンパリインホースの両端部において、該バンパリインホースと車両の前後方向に伸びる一対のサイドメンバとの間にそれぞれ介在される一対のクラッシュボックスを備えた車両の衝撃吸収構造において、
前記クラッシュボックスは、断面凹形状をなす一対の板材を溶接することにより断面八角形の中空構造を呈し、軸圧縮荷重に対する塑性変形の起点となる応力集中部を有し、
鉄系金属からなり、断面において、互いに平行に伸びる一対の第1辺と、該第1辺に直交する方向で互いに平行に伸びる一対の第2辺と、各隣り合う前記第1及び第2辺間を結ぶ4つの辺とを有し、
前記各板材は前記第1辺に沿って溶接されており、前記第1辺には溶接された部位を挟むように前記応力集中部が一対設けられ、前記第2辺には前記応力集中部が設けられ、
前記各応力集中部は、車両外側の先端側に配置され、且つ同一断面上に配置されている
ことを特徴とする車両の衝撃吸収構造。
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