JP4718594B2 - 樹脂層被覆トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
ガス化した前記液体を含むキャリアガスを粉体流路外へ排出する排出手段を含み、
キャリアガスを粉体流路内に循環させ、かつガス化した前記液体を含むキャリアガスが排出手段を介して粉体流路外へ連続排出され、
粉体流路外の圧力が大気圧であり、
前記排出手段に設けられた差圧計による測定値が0atmを超えて0.3atm以下となるように、粉体流路内に供給されるキャリアガスによって粉体流路内に圧力をかけることを特徴とする樹脂層被覆トナーの製造方法である。
図1は、本発明の第1の形態である樹脂層被覆トナーの製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態の樹脂層被覆トナー(以下「単に「トナー」とも記載する」の製造方法は、トナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子を調製する樹脂微粒子調製工程S2と、トナー母粒子に樹脂微粒子を被覆して膜化する膜化工程S3とを含む。
ステップS1のトナー母粒子作製工程では、樹脂層によって被覆されるべきトナー母粒子を作製する。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含む粒子であり、その作製方法は特に限定されることなく、公知の方法によって得ることができる。トナー母粒子の作製方法としては、たとえば、粉砕法などの乾式法、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、粉砕法によってトナー母粒子を作製する方法を説明する。
粉砕法を用いるトナー母粒子の作製方法では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
前述のように、トナー母粒子は、結着樹脂と着色剤とを含む。結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができ、たとえば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
ステップS2の樹脂微粒子調製工程では、乾燥された樹脂微粒子を調製する。乾燥方法はどのような方法を用いてもよく、たとえば熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法を用いて乾燥樹脂微粒子を得ることができる。樹脂微粒子は、後の膜化工程S3において、トナー母粒子表面に膜化する材料として用いられる。樹脂微粒子をトナー母粒子表面の膜化材料として用いることによって、たとえば保存中にトナー母粒子に含まれる離型剤などの低融点成分の溶融による凝集の発生を防止することができる。
<トナーの製造装置>
図2は、本発明の第1の実施形態であるトナーの製造方法で用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。図3は、図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。ステップS3の膜化工程では、たとえば図2に示すトナーの製造装置201を用い、ステップS1のトナー母粒子作製工程で作製したトナー母粒子にステップS2の樹脂微粒子調製工程で調製した樹脂微粒子を付着させて、前記装置内での循環と撹拌による衝撃力との相乗効果でトナー母粒子に樹脂膜を形成する。回転撹拌装置であるトナーの製造装置201は、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。回転撹拌手段204と、粉体流路202とは循環手段を構成する。
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210、211が形成される。開口部210は、撹拌部208の軸線方向一方側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸線方向一方側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、トナー母粒子および樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202は、トナー母粒子および樹脂微粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定の方向となるように設けられる。攪拌部内と粉体流過部内とから、粉体流路内250が形成される。
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向他方側の面8cに、面8cを含む側壁を厚み方向に貫通するように形成される貫通孔221に挿通されるように設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴って回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。
噴霧手段203は、粉体流路202の粉体流過部209において、トナー母粒子および樹脂微粒子の流動方向における開口部211の最も近い側の粉体流過部に設けられる。噴霧手段203は、液体を貯留する液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、液体とキャリアガスとを混合し、得られる混合物を粉体流路内250に存在するトナー母粒子および樹脂微粒子に向けて噴射し、液体の液滴をトナー母粒子および樹脂微粒子に噴霧する二流体ノズルとを備える。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。二流体ノズルは、液管および空気管の一部が連結して液管および空気管の中心がずれない構造を持つ。噴霧手段203で前記液体を一定速度で噴霧することによって、粉体流路内を一定濃度に保ち、前記循環手段と温度調整手段との相乗効果で樹脂微粒子を可塑化し均質な膜質と粒度のトナーを得ることが出来る。さらに二流体ノズルの液および圧縮エアの噴出域にトナー母粒子および樹脂微粒子の付着防止用の凸型の付着防止部材を配置することによりこの効果が向上して高い収率で製造することが出来る。
温度調整手段である図示しない温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、前記ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路内250および回転撹拌手段204の温度を所定の温度に調整する。本実施形態において、温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側全体に設けられることが好ましい。これによって、トナー母粒子および樹脂微粒子の粉体流路内壁への付着力が一層低減するので、トナー母粒子および樹脂微粒子の粉体流路内壁への付着を一層抑えることができ、トナー母粒子および樹脂微粒子によって粉体流路内が狭くなることを一層抑えることができる。したがって、トナー母粒子に樹脂微粒子が均一に被覆・膜化し、樹脂層で被覆された耐久性に優れるトナーをより高い収率で製造することができる。
粉体流路202の粉体流過部209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す正面図である。粉体投入部206は、トナー母粒子および樹脂微粒子を供給する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。ホッパから供給されるトナー母粒子および樹脂微粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給されるトナー母粒子および樹脂微粒子は、回転撹拌手段204による撹拌によって、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213によって供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、トナー母粒子および樹脂微粒子が粉体流路202に供給されない。
ステップS3aの温度調整工程では、回転撹拌手段204を回転させながら、粉体流路内250および回転撹拌手段204の温度をこれらの外側に配設した温度調整用ジャケットに媒体を通じることで所定の温度に調整する。これによって、粉体流路内250の温度を後述する樹脂微粒子付着工程において投入されるトナー母粒子および樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御することができる。
ステップS3bの樹脂微粒子付着工程では、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転する状態で、粉体投入部206からトナー母粒子および樹脂微粒子を粉体流路202に供給する。粉体流路202に供給されたトナー母粒子および樹脂微粒子は、回転撹拌手段204によって撹拌され、粉体流路202の粉体流過部209を矢符214方向に流動する。これによって、樹脂微粒子がトナー母粒子表面に付着する。
ステップS3cの噴霧工程では、流動状態にあるトナー母粒子および樹脂微粒子に、それらの粒子を溶解せず、可塑化させる効果のある液体を噴霧手段203からキャリアガスによって噴霧する。液体は、送液ポンプによって一定流量で噴霧手段203に送液され、噴霧手段203によって噴霧された液体は粉体流と202内でガス化し、トナー母粒子および樹脂微粒子表面にガス化した液体が展延する。これによってトナー母粒子および樹脂微粒子が可塑化する。
トナー母粒子および樹脂微粒子を溶解せず可塑化させる効果のある液体としては、特に限定されないけれども、液体の噴霧後にトナー母粒子および樹脂微粒子から除去される必要があるので、蒸発し易い液体であることが好ましい。このような液体としては、低級アルコールを含む液体が挙げられる。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。液体がこのような低級アルコールを含むと、被覆材料である樹脂微粒子のトナー母粒子に対する濡れ性を高めることができ、トナー母粒子の表面全面または大部分に樹脂微粒子を付着させ、さらに変形および膜化させることが容易となる。また低級アルコールは蒸気圧が大きいので、液体を除去するときの乾燥時間を一層短縮することができ、トナー母粒子同士の凝集を抑制することができる。
ステップS3dの膜化工程では、トナーの製造装置1による循環と撹拌による衝撃力との相乗効果、さらに撹拌による熱的エネルギーによって、樹脂微粒子が軟化して連続した膜となり、トナー母粒子に樹脂膜が形成されるまで所定温度で回転撹拌手段204の撹拌を続け、トナー母粒子および樹脂微粒子を流動させる。本工程においても、前記樹脂微粒子付着工程S3aと同様に、液体ガスを含むキャリアガスを粉体流路外に排出し、粉体流路内250の圧力を粉体流路外の圧力より高い状態に設定する。
ステップS3eの回収工程では、噴霧手段からの液体の噴霧を終了し、回転撹拌手段204の回転を停止させて、粉体回収部207から樹脂層被覆トナーを装置外に排出し、樹脂層被覆トナーを回収する。
0atm<(粉体流路内の圧力P1−粉体流路外の圧力P0)≦0.3atm
…(1)
本発明の第2の実施形態であるトナーは、第1の実施形態であるトナーの製造方法で製造される。第1の実施形態のトナーの製造方法によって得られるトナーは、被覆材料である樹脂微粒子のトナー母粒子に対する被覆量が均一なので、個々の樹脂層被覆トナー粒子間における帯電特性などのトナー特性が均一となる。また本発明の樹脂層被覆トナーは、トナー表面の樹脂層による内包成分保護効果を有するので耐久性に優れる。このような樹脂層被覆トナーを用いて画像を形成すると、高精細であり、濃度むらのない良好な画質の画像を安定して形成することができる。
本発明の第3の実施形態である現像剤は、第2の実施形態であるトナーを含む。これによって、個々のトナー粒子間における帯電特性などのトナー特性が均一である現像剤とすることができるので、良好な現像性を維持することのできる現像剤が得られる。本実施形態の現像剤は、1成分現像剤としても2成分現像剤しても使用することができる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくトナー単体で使用する。また1成分現像剤として使用する場合、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることによってトナーを搬送し、画像形成を行う。2成分現像剤として使用する場合、第2の実施形態のトナーをキャリアとともに用いる。本発明のトナーは、個々のトナー粒子間における帯電特性などのトナー特性が均一であるので、高精細で、濃度むらのない良好な画質の画像を安定して形成することができる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
図5は、本発明の第4の実施形態である画像形成装置100の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体またはメモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部によって、印刷モードが選択される。
制御手段で制御される。感光体ドラム11は、図示しない導電性基体と、導電性基体の表面に形成される図示しない感光層とを含んで構成される。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。
ピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
図6は、図5に示す画像形成装置100に備わる現像装置14を模式的に示す概略図である。現像装置14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ50、供給ローラ51、撹拌ローラ52などのローラ部材を収容して回転自在に支持する。また、ローラ状部材の代わりにスクリュー部材を収容してもよい。本実施形態の現像装置14は、トナーとして、前述の実施の一形態のトナーを現像槽20に収容する。
[結着樹脂およびトナー母粒子のガラス転移温度]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで昇温させ、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を離型剤の融点として求めた。
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)によって超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製した。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:MultisizerIII、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。
樹脂微粒子の体積平均粒子径の測定には、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)を用いた。測定試料(樹脂微粒子)の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)を含む水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入して撹拌した後、前記装置に注入し、2回測定を行ってその平均値を求めた。測定条件としては、測定時間を30秒とし、試料粒子屈折率を1.49とし、分散媒を水とし、分散媒屈折率を1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒子径側からの累積体積が50%になる粒子径を樹脂微粒子の体積平均粒子径(μm)として算出した。
〔トナー母粒子作製工程S1〕
トナー母粒子原料およびその添加量を以下とする。
・ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移温度50℃、軟化温度110℃) 87.5%(100部)
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0%(5.7部)
・離型剤(カルナウバワックス、融点82℃) 6.0%(6.9部)
・帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社)
1.5%(1.7部)
スチレンとアクリル酸とアクリル酸ブチルとを重合したものを凍結乾燥し、樹脂微粒子として、体積平均粒径が0.15μmであるスチレン−アクリル酸−ブチルアクリル酸共重合体微粒子(ガラス転移温度64℃、軟化温度120℃)を得た。
図2に示す装置に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に二流体ノズルを含む液体噴霧ユニットを取付けた回転撹拌装置を用いた。液体噴霧ユニットとしては、液体を送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)を通して二流体ノズルに定量送液するように接続したものを使用した。液体噴霧方向と、粉体流動方向とのなす角度(以下「噴霧角度」という)が平行(0°)になるように二流体ノズルの取付け角度を設定した。トナー母粒子および樹脂微粒子を撹拌、流動させた状態で噴霧し、それらの粒子を可塑化させる液体としてはエタノールを用いた。液体の噴霧速度および液体ガス排出速度は市販のガス検知器(商品名:XP−3110、新コスモス電機株式会社製)を使用して観察することができる。温度調整用ジャケットは、粉体流過部および撹拌部壁面の全面に設けた。粉体流路には温度センサを取り付けた。
粉体流路外の圧力は常圧であり、粉体流路内の圧力が粉体流路外の圧力よりも0.04atm高くなるように回転軸部からのエア圧力を調整したこと以外は実施例1と同様にして実施例2の樹脂層被覆トナーを得た。
粉体流路外の圧力は常圧であり、粉体流路内の圧力が粉体流路外よりも0.07atm高くなるように回転軸部からのエア圧力を調整したこと以外は実施例1と同様にして実施例3の樹脂層被覆トナーを得た。
粉体流路外の圧力は常圧であり、粉体流路内の圧力が粉体流路外よりも0.12atm高くなるように回転軸部からのエア圧力を調整したこと以外は実施例1と同様にして実施例4の樹脂層被覆トナーを得た。
粉体流路外の圧力は常圧であり、粉体流路内の圧力が粉体流路外よりも0.25atm高くなるように回転軸部からのエア圧力を調整したこと以外は実施例1と同様にして実施例5の樹脂層被覆トナーを得た。
粉体流路外の圧力は常圧であり、粉体流路内の圧力が粉体流路外よりも0.30atm高くなるように、回転軸部からのエア圧力を調整したこと以外は実施例1と同様にして実施例6の樹脂層被覆トナーを得た。
粉体流路内の圧力が粉体流路外の圧力と同じになるように、粉体投入部およびガス排出部を開放したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の樹脂層被覆トナーを得た。
粉体流路外の圧力は常圧であり、粉体流路内の圧力が粉体流路外よりも0.10atm低くなるようにガス排出部からポンプで吸引してエア圧力を調整したこと以外は実施例1と同様にして比較例2の樹脂層被覆トナーを得た。
上記のようにして得られた実施例1〜6および比較例1,2の樹脂層被覆トナーについて、次のようにして収率、粗粉含有率および被覆均一性の評価を行った。
下記式(3)を用いて樹脂層被覆トナーの収率を算出し、実施例1〜6および比較例1〜2の樹脂層被覆トナーの収率を評価した。
樹脂層被覆トナーの収率(%)={回収された樹脂層被覆トナーの重量
/(投入したトナー母粒子の重量
+樹脂微粒子固形分の重量)}×100…(3)
○:良好。算出された樹脂層被覆トナーの収率が90%以上である。
△:実用上問題なし。算出された樹脂層被覆トナーの収率が80%以上90%未満である。
×:不良。算出された樹脂層被覆トナーの収率が80%未満である。
実施例1〜6および比較例1,2の樹脂層被覆トナーを粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)で測定を行い、そのトナーの体積粒度分布から12μm以上の粗粉の含有率を求めた。
○:良好。樹脂層被覆トナー中の粗粉含有率が3%未満である。
△:実用上問題なし。樹脂層被覆トナー中の粗粉含有率が3%以上5%未満である。
×:不良。樹脂層被覆トナー中の粗粉含有率が5%以上である。
実施例1〜6および比較例1,2の樹脂層被覆トナー100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均一次粒径20nmのシリカ粒子1.0部を混合して外添し、その樹脂層被覆トナーを用いて高温保存後の凝集物の有無によって被膜均一性を評価した。シリカを外添した樹脂層被覆トナー20gをポリ容器に密閉し、50℃で48時間放置した後、その樹脂層被覆トナーを取り出して230メッシュのふるいに掛けた。ふるい上に残存する樹脂層被覆トナーの重量を測定し、この重量の樹脂層被覆トナー全重量に対する割合である残存量を求め下記の基準で評価した。数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こさず、保存性が良好であることを示す。
○:凝集微量。残存量が1%未満である。
○:凝集少量。残存量が1%以上3%未満である。
×:凝集多量。残存量が3%以上である。
上記の収率、粗粉含有率と被覆均一性との評価に基づき、本発明のトナーの製造方法の総合評価を行った。
○:良好。全ての評価結果が○である。
△:可。全ての評価結果に×が無く、△が1つ以上ある。
×:不良。収率、粗粉含有率および被覆均一性の評価結果の少なくともいずれか1つに×がある。
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転攪拌手段
206 粉体投入部
207 粉体回収部
220 攪拌羽根
Claims (3)
- 回転羽根を周設した回転盤と回転軸とを含む回転撹拌手段によってトナー母粒子および樹脂微粒子を回転撹拌室および循環管を含む粉体流路内において繰り返し循環させ回転撹拌室に戻す循環手段と、粉体流路の少なくとも一部に設けられ、粉体流路内および回転撹拌手段の温度を所定の温度に調整する温度調整手段と、流動状態にあるトナー母粒子および樹脂微粒子に、それらの粒子を可塑化させる液体をキャリアガスによって噴霧する二流体ノズルを含む噴霧手段とを備える回転撹拌装置を用いる樹脂層被覆トナーの製造方法において、
ガス化した前記液体を含むキャリアガスを粉体流路外へ排出する排出手段を含み、
キャリアガスを粉体流路内に循環させ、かつガス化した前記液体を含むキャリアガスが排出手段を介して粉体流路外へ連続排出され、
粉体流路外の圧力が大気圧であり、
前記排出手段に設けられた差圧計による測定値が0atmを超えて0.3atm以下となるように、粉体流路内に供給されるキャリアガスによって粉体流路内に圧力をかけることを特徴とする樹脂層被覆トナーの製造方法。 - 前記差圧計による測定値が0.03atmを超えて0.25atm以下となるように、粉体流路内に供給されるキャリアガスによって粉体流路内に圧力をかけることを特徴とする請求項1に記載の樹脂層被覆トナーの製造方法。
- 前記液体は、少なくともアルコールを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂層被覆トナーの製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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