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JP4713750B2 - 共重合ポリカーボネート、その製造方法および樹脂組成物 - Google Patents

共重合ポリカーボネート、その製造方法および樹脂組成物 Download PDF

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JP4713750B2
JP4713750B2 JP2001029223A JP2001029223A JP4713750B2 JP 4713750 B2 JP4713750 B2 JP 4713750B2 JP 2001029223 A JP2001029223 A JP 2001029223A JP 2001029223 A JP2001029223 A JP 2001029223A JP 4713750 B2 JP4713750 B2 JP 4713750B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐光性に優れ、溶融成形加工時に剤の揮散がなく、成形片表面から剤のブリードアウトのない、優れた紫外線カット効果を有する共重合ポリカーボネートに関し、さらに詳しくは主鎖に、特定のO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物を含有する、光に対し安定化されたポリカーボネート、およびそれを用いた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後ビスフェノールAあるいはBPAと略称する。)とカーボネート結合形成性前駆体であるホスゲンや、炭酸ジエステルの1種であるジフェニルカーボネート等から製造されるポリカーボネートは透明性、耐熱性寸法安定性優れることから多くの分野に使用されている。又近年ポリカーボネートの優れた光学特性を利用して光ディスク、レンズ、透明板などの光学用途にも大量に使用されるようになってきた。特に眼鏡レンズの場合ファッション性、安全性も重要な要素となっており、目に有害な紫外線をカットすることも求められている。そのためポリカーボネートの紫外線カット効果を改善するため少量の紫外線吸収剤を含有させる方法が提案されている。
【0003】
しかしながら通常の紫外線吸収剤はポリカーボネート組成物の溶融押出し時や、成形加工時に揮散して、作業環境を汚染したり、成形品表面よりブリードアウトしやすい欠点がある。この揮散やブリードアウトを防止するため比較的分子量の大きな紫外線吸収剤を使用したり、あるいは共重合する方法が提案されているが、紫外線カット効果が十分でなかったり、溶融押出し時や、成形加工時に着色が大きいなどの問題が見られる場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶融成形時、1)紫外線吸収物質の揮散が見られず、成形品表面からのブリードアウトの少なく2)優れた紫外線カット効果を有するとともに、3)成形品の着色も少ないという特徴を兼ね備えた、共重合ポリカーボネート、その製造方法及びそれを用いた樹脂組成物を提供することにある。本発明者は上記目的を達成するため、ポリカーボネートの改質につき鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有する紫外線吸収物質を特定量共重合させることにより、ポリカーボネートの透明性、成形性を保持しつつ紫外線吸収剤の揮散による作業環境の汚染も見られず、しかもブリードアウトの少ない優れた紫外線カット効果を有するポリカーボネートが得られることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は以下に示されるとおりである。
1.主たる繰返し単位が下記式(1)
【0006】
【化3】
Figure 0004713750
【0007】
[R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基、Wはアルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基である。]
で表されるポリカーボネートにおいて下記式(2)
【0008】
【化4】
Figure 0004713750
【0009】
[式中R5、R6は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。]で表されるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物の共重合量が、重合原料であるジヒドロキシ化合物1モル当り、0.01〜5モル%であり、かつ極限粘度が0.2〜2.0dl/gである共重合ポリカーボネート。
【0010】
2.主たる繰返し単位が上記式(1)で表されるポリカーボネートにおいて、上記式(2)で表される該O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物の共重合量が、重合原料であるジヒドロキシ化合物1モル当り、0.1〜20モル%であり、かつ極限粘度が0.05〜0.2dl/g未満である共重合ポリカーボネート。
【0011】
3.ジヒドロキシ化合物および、上記式(2)であらわされるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物とカーボネート結合形成性前駆体をエステル交換触媒の存在下、溶融重合されたことを特徴とする1.および2.に記載の共重合ポリカーボネートの製造方法。
【0012】
4.2.に記載の共重合ポリカーボネートと熱可塑性樹脂を用いた樹脂組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】
(共重合ポリカーボネート)
本発明でいうポリカーボネートは、好ましくは下記式(1)
【0014】
【化5】
Figure 0004713750
【0015】
[R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基、Wはアルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基である。]
で表される主たる繰り返し単位を有するものである。該ポリカーボネートは、上記式(1)であらわされる繰り返し単位に対応するジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性前駆体とを界面重合法、または好ましくは溶融重合法で反応し製造される。本発明で好ましく使用されるポリカーボネートは、ジヒドロキシ化合物、特に芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性前駆体とを溶融重合法で反応させて得られるものである。なお、本発明の効果は本発明に係るポリカーボネートが芳香族ポリカーボネートであり、あるいは、ジヒドロキシ化合物が芳香族ジヒドロキシ化合物であるとき特に大きい。本明細書中で各種添加量をジヒドロキシ化合物に対する量として規定したが、この場合の量関係は、ジヒドロキシ化合物が芳香族ジヒドロキシ化合物である場合に特に適切なものである。
【0016】
本発明の1つの態様はかかる主たる繰り返し単位が上記式(1)で表されるポリカーボネート中、上記式(2)で表されるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)の共重合量は重合原料であるジヒドロキシ化合物1モル当り、0.01〜5モル%であり、かつ極限粘度が0.2〜2.0dl/gである分子量の高い共重合ポリカーボネートである。該共重合ポリカーボネートはそれ自身各種成形用樹脂、あるいは、成形品製造用組成物の原料として使用するのに好適である。共重合量についてより好ましくは0.05〜4モル%、特に好ましくは0.1〜3モル%の範囲である。なお本発明においては該O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)が共重合成分としてのみならず、微量にポリカーボネートに含有している状態も同時に包含している。ただしこのばあい、ベンゾフェノン系化合物の揮散の可能性があり、ベンゾフェノン系化合物の含有量は抑えたほうが好ましい。モノマーの形で含有される量は好ましくは2000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下の範囲である。
【0017】
O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)の該共重合量があまりに少ないと紫外線カット効果が十分発揮され難く、またあまりに多量であるとゲル状ポリカーボネートが生成し使用に耐えないものとなるので注意が肝要である。また極限粘度について樹脂成形樹脂として成形品の機械的物性が好適に発揮できる極限粘度の好ましい範囲としては0.3〜1.5、さらに好ましい範囲として0.33〜1.0、特に好ましくは0.38〜0.9dl/gの範囲である。
【0018】
さらに本発明の別の態様は、O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)の共重合量が、重合原料であるジヒドロキシ化合物1モル当り、0.1〜20モル%であり、かつ極限粘度が0.05〜0.2dl/g未満である分子量の低い共重合ポリカーボネートである。該分子量の低い共重合ポリカーボネートは他の熱可塑性樹脂との組成物において紫外線吸収剤として使用することもまた好ましい適用である。かかる用途で使用する共重合ポリカーボネートの極限粘度は、0.05〜0.2dl/g未満、さらに好ましくは0.06〜0.2dl/g未満、特に好適には0.07〜0.17dl/gの範囲である。また共重合量については0.1〜18モル%が好ましく、1〜15モル%がさらに好ましい。なお本発明においては該O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)が共重合成分としてのみならず、前述のような問題が起こらない範囲内で微量にポリカーボネートに含有している状態も同時に包含している。ただしこのばあい、ベンゾフェノン系化合物の揮散の可能性があり、ベンゾフェノン系化合物の含有量は抑えたほうが好ましい。モノマーの形で含有される量は好ましくは2000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下の範囲である。
【0019】
かかるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)の共重合量が大である分子量の低い共重合ポリカーボネートは極限粘度を上記範囲に制御する事により、分岐構造の発達による、ゲルの生成を防ぐことが出来るとともに他樹脂との相溶性も良好であり、かつ本発明の共重合ポリカーボネートを他樹脂中溶融混合する際も揮散による環境汚染を低いレベルに制御することが出来る利点を有する。
【0020】
該分子量の低い共重合ポリカーボネートを用いて樹脂組成物を製造する際には、該分子量の低い共重合ポリカーボネートの配合量は樹脂組成物中、O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物に由来する共重合成分の含有量が、0.015〜5wt%、好ましくは0.05〜4wt%、さらに好ましくは0.1〜3wt%、特に好ましくは0.2〜3wt%の範囲となる様含有させる。
【0021】
(共重合ポリカーボネートの製造方法:重合原料)
本発明のさらに別の態様はジヒドロキシ化合物および、上記式(2)であらわされるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物とカーボネート結合形成性前駆体をエステル交換触媒の存在下、溶融重合されたことを特徴とする前述の2種の該共重合ポリカーボネートの製造方法についてである。
【0022】
本発明における該共重合ポリカーボネートの製造方法に用いられる該ジヒドロキシ化合物として、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどのビス(4−ヒドロキシアリール)アルカン等が好ましくあげられる。
【0023】
また1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4−[1−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキシル〕−1−メチルエチル]−フェノール、4,4’−〔1−メチル−4−(1−メチルエチル)−1,3−シクロヘキサンジイル〕ビスフェノール、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビス−〔1H−インデン〕−6,6’−ジオールなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン等も好ましくあげられる。
【0024】
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル等もあげられる。
【0025】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類等もあげられる。
【0026】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン、などのジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニル−3,3’−イサチンなどのジヒドロキシジアリールイサチン類;3,6−ジヒドロキシ−9,9−ジメチルキサンテンなどのジヒドロキシジアリールキサンテン類等もあげられる。
【0027】
中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)がモノマーとしての安定性、更にはそれに含まれる不純物の量が少ないものの入手が容易である点等より好ましいものとしてあげられる。
【0028】
本発明においては、ガラス転移温度の制御、流動性の向上、屈折率のアップあるいは複屈折の低減等、光学的性質の制御等を目的として、各種モノマーを必要に応じて、芳香族ポリカーボネート中に1種あるいは2種以上を含有させることも可能である。
【0029】
これらの具体例としては、脂肪族ジヒドロキシ化合物では、例えば1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチルー2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリシクロデカンジメタノール等があげられる。
【0030】
芳香ジヒドロキシ化合物としては上記式(1)に含まれないレゾルシン、ヒドロキノン、5−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどのジヒドロキシベンゼン等が例示される。
【0031】
またはジカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が、あるいはオキシ酸としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、乳酸等が挙げられる。
【0032】
カーボネート結合形成性前駆体としては、溶液法では、ホスゲンなどのハロゲン化カルボニル、ハロホーメート化合物が、溶融法では、芳香族炭酸エステルが、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。その他ジメチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等も所望により使用できる。これらの内ジフェニルカーボネートが反応性、得られる樹脂の着色に対する安定性、更にはコストの点より非常に好ましい。
【0033】
また該ポリカーボネートの製造時、炭酸ジエステルとともにジカルボン酸、ジカルボン酸ジハライド、ジカルボン酸ジエステル等のジカルボン酸誘導体を併用して製造され、エステル結合を含有するポリ(エステルカーボネート)に対しても本発明の剤は有効に使用できる。
【0034】
エステル結合形成性前駆体であるジカルボン酸誘導体としては;テレフタル酸、テレフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなどの芳香族ジカルボン酸誘導体類;コハク酸、ドデカンニ酸、ダイマー酸、ドデカンニ酸ジフェニル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体類;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジフェニル等の脂環式ジカルボン酸誘導体類をあげることができる。
【0035】
また上述のジヒドロキシ化合物とともに、一分子中に3個以上の官能基を有する多官能化合物を併用することもできる。このような多官能化合物としてはフェノール性水酸基、カルボキシ基を有する化合物が好ましく使用される。具体的にはたとえば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、トリメリット酸などがあげられる。
【0036】
またたとえばポリカーボネートの溶融粘度をあげる目的で多官能化合物を併用するときは、ジヒドロキシ化合物に1モルに対して該化合物を0.03モル以下、好ましくは0.00005〜0.02モル、さらに好ましくは0.0001〜0.01モルの範囲で選択される。
【0037】
本願発明で使用するO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)としては上記式(2)であらわされるベンゾフェノン骨格を有する化合物であり具体的には、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシー5−メチルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−t−アミルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシー6−エチルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−6−t−アミルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−6−クミルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−フェニルフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−フェノキシフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−ブトキシフェニル)ケトン、(2,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−クロロフェニル)ケトン等が例示される。
【0038】
これらのうちでビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2,4−ジヒドロキシ−5−クロロフェニル)ケトンが紫外線安定化能、および耐熱安定性の両面より判定した場合好ましく使用される。
【0039】
(共重合ポリカーボネートの製造方法:触媒)
次に本発明の繰り返し単位(1)であらわされるポリカーボネートを製造する方法において、前述した界面重合法では、触媒として3級アミン、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテルおよびその塩、アミド基を有する化合物などが使用される。
【0040】
界面重合法では反応の際生じる塩酸などのハロゲン化水素の捕捉剤として多量のアルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物が使用されるので、製造後のポリマー中に、こうした不純物が残留しないように十分な洗浄、精製をする事が好ましい。
【0041】
本発明においては溶融法で製造されたポリカーボネートのうちエステル交換触媒の存在下、とりわけエステル交換触媒としてア)含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物及びイ)アルカリ金属化合物を含有するエステル交換触媒の存在下重縮合されたポリカーボネートが、本発明の目的、即ち成形加工時の安定性に関し、好ましく使用される。該触媒系は固相重合においても好適に用いられる触媒系である。
【0042】
溶融法で用いられる触媒系については、アルカリ金属化合物を含有する触媒系が好ましく使用されるが、アルカリ金属としてのその使用量をジヒドロキシ化合物1モルに対し0.01×10-6〜2×10-6当量にする事が重要である。上記範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響及ぼす場合や、あるいはエステル交換反応が十分に進行せず高分子量のポリカーボネートが得られない場合がある等の問題があり、好ましくない。
【0043】
アルカリ金属化合物としては、従来エステル交換触媒として公知のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、有機カルボン酸塩、水素化硼素塩、燐酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0044】
具体例としては水酸化ナトリウム、炭酸リチウム、酢酸カリウム、硝酸ルビジウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、シアン酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素リチウム、フェニル化硼素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、リン酸水素ジカリウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ビスフェノールAのナトリウムカリウム塩等が挙げられる。
【0045】
又共触媒として含窒素塩基性化合物及び/または含リン塩基性化合物を併用するのが好ましい。含窒素塩基性化合物の具体例としてはたとえば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する第4級アンモニウムヒドロキシド類;テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩;トリエチルアミン、などの第三級アミン;あるいはテトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩などを挙げることができる。また含リン塩基性化合物の具体例としてはたとえばテトラブチルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する第4級ホスホニウムヒドロキシド;あるいはテトラブチルホスホニウムボロヒドリド、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩などを挙げることができる。
【0046】
上記含窒素塩基性化合物及び/または含リン塩基性化合物は、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が芳香族ジヒドロキシ化合物、1モルに対し、20×10-6〜1000×10-6当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい使用割合は、同じ基準に対し30×10-6〜700×10-6当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し50×10-6〜500×10-6当量となる割合である。
【0047】
(共重合ポリカーボネートの製造方法:主な添加剤)
本発明の共重合ポリカーボネートは溶融粘度安定性0.5%以下のものであり、溶融粘度安定性を0.5%以下にするためには、重縮合反応後、または所望により末端水酸基の封止反応終了後のポリカーボネートに対し溶融粘度安定剤(D)を特定量添加する。かかる溶融粘度安定性を有するポリカーボネートを使用することにより、本発明の共重合ポリカーボネートおよびそれを用いた樹脂組成物も、溶融粘度安定性0.5%以下のものとする事が可能となる。
【0048】
溶融粘度安定性の劣った共重合ポリカーボネートおよびそれを用いた樹脂組成物においては、成形加工時の安定性不良に加えて、高湿条件化および成形品の長期使用時の機械的物性の安定性不良、とりわけ耐衝撃性の悪化(すなわち低下)が著しく、実用性に耐えない場合が多く見られる。
【0049】
本発明で使用する溶融粘度安定剤は、(D)-1;スルホン酸ホスホニウム塩、アンモニウム塩及びまたは(D)-2;スルホン酸、及びあるいはスルホン酸低級エステルである。
【0050】
上記式(D)-1で表わされる化合物の具体的な例としては、たとえば;ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等々である。
【0051】
(D)-2;のスルホン酸、スルホン酸低級エステルとしてはp−トルエンスルホン酸のごとき芳香族スルホン酸、オクタデシルスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸ブチル、ヘキサデシルスルホン酸エチル、デシルスルホン酸ブチル等が例示される。
【0052】
好ましくはスルホン酸そのものより、エステル化合物が使用される。かかる溶融粘度安定剤は、ホスゲン法で製造されたポリカーボネートに対しても有効であるが、溶融重合法、あるいは固相重合法で製造したポリカーボネート中残存する塩基性アルカリ金属化合物の活性を低減するのに有効である。
【0053】
使用量に関しては、塩基性アルカリ金属化合物触媒のアルカリ金属元素、1化学当量あたり、(D)-1の化合物においては0.7〜50化学当量を好ましくは0.8〜20化学当量を、さらに好ましくは0.9〜10化学当量を、(D)-2の化合物においては0.7〜20化学当量、好ましくは0.8〜10化学当量を、さらに好ましくは0.9〜5化学当量使用することにより、該共重合ポリカーボネート、およびそれを用いた樹脂組成物の溶融粘度安定性を0.5%以下に押さえることができる。
【0054】
(D)-2の溶融粘度安定剤を使用した場合、溶融粘度安定処理を施した、ポリカーボネートに対し減圧処理を加えるのが、好ましい。かかる減圧処理をするに際し、処理装置の形式は特に制限されるものではない。他方(D)-1の溶融粘度安定剤を使用した場合はかかる減圧処理を加える必要はない。
【0055】
減圧処理は、縦形槽型反応器、横形槽型反応器あるいはベント付き1軸、あるいは2軸押し出し機において6.7〜8×103Pa、好ましくは1.3×104Pa以下の減圧下での減圧処理がこのましい。減圧処理時間は、槽型反応器においては5分〜3時間、2軸押し出し機を使用した場合、5秒〜15分程度、処理温度は240℃から350℃で実施できる。減圧処理は押し出し機にてペレタイズと同時に行うこともできる。上記のような減圧処理を行うことにより、ポリカーボネート中残存する原料モノマー低減されるかまたは完全に除去される。
【0056】
本発明において上記ポリカーネートの分子末端構造は、好ましくは、実質的にアリールオキシ基とフェノール性水酸基とより成り、かつフェノール性末端基濃度が40モル%以上であることを特徴とする。アリールオキシ基としては炭素数1〜20の炭化水素基の置換、あるいは無置換フェニールオキシ基が好ましく選択される。熱安定性の点から上記の置換される炭化水素基としては、第3級アルキル基、第3級アラルキル基、アリール基あるいは単に水素原子のものが好ましい。好ましいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、4−t−ブチルフェニルオキシ基、4−t−アミルフェニルオキシ基、4−フェニルフェニルオキシ基、4−クミルフェニルオキシ基等である。
【0057】
本発明の共重合ポリカーボネートには、成形品の官能好感度を向上させるために、有機系青み着色剤が使用されることがある。これらの内で、マクロレックスバイオレットやトリアゾールブルーRLSが好ましい。
【0058】
これら着色剤は単独で使用しても良いし、あるいは混合で使用しても良い。これら着色剤は共重合ポリカーボネートの樹脂成分100重量部あたり通常0.001×10-4〜10×10-4重量部、好ましくは0.05×10-4〜5×10-4重量部、さらに好ましくは0.1×10-4〜3×10-4重量部の量で用いることができる。
【0059】
本発明の共重合ポリカーボネートには所望により従来公知の各種添加剤を適用可能である。たとえば難燃剤として下記例示されている従来公知の難燃剤を併用してもかまわない。
【0060】
例えばリン酸エステル系化合物としては燐酸トリメチル、燐酸トリオクチル、燐酸トリブトキシエチル、燐酸トリフェニル、燐酸オクチルジフェニル、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートを、また所望によりドリップ防止剤として、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)などを配合しても良い。
【0061】
本発明において、耐久性、安定性に優れた共重合ポリカーボネートが得られるが、これを用いて各種成形品を成形する場合に用途に応じて従来公知の加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、離型剤などを添加してもよい。
【0062】
例えば所望により分子量の低下や色相の悪化を防止するために以下のごとき通常の耐熱安定剤を添加することができる。かかる安定剤としては具体的には、たとえば従来公知のリン系安定剤、有機チオエーテル安定剤、ヒンダードアミン安定剤などを挙げることができる。
【0063】
リン系安定剤としては以下例示するリン系安定剤を所望により使用してもよい。本発明で使用するリン系安定剤としては例えば酸化防止剤として安定剤メーカーから市販されているものを含めて使用できる。
【0064】
例えば亜燐酸エステル類として;ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジフォスファイト等のアリールアルキル類;ジジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト等のトリアルキルホスファイト類;トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロアルキルホスファイト類;トリス(2,4−ジーt−ブチルフェニル)フォスファイト等のトリアリールホスファイト類等が挙げられる。
【0065】
燐酸エステル類としてジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート、トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロヘアルキルホスファイト類;トリス(2,4−ジーt−ブチルフェニル)ホスフェート等のトリアリールホスフェート類、その他ホスホナイト類等が挙げられる。
【0066】
チオエーテル安定剤としては、たとえばジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等を、ヒンダードアミン安定剤、たとえばビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシベンジル)-2−n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4-ピペリジル)等を挙げることができる。
【0067】
これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、本発明の共重合ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
【0068】
また酸性物質捕捉剤として、分子中にエポキシ基 を一個以上保有する脂環式エポキシ化合物が好ましく使用できる。特に3,4−エポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましく使用できる。このようなエポキシ化合物は、ポリカーボネート100重量部に対して1×10-4〜2000×10-4重量部、好ましくは10×10-4〜1000×10-4重量部の量で添加される。これらは単独で用いても良いし2種以上を混合して使用しても良い。
【0069】
本発明の共重合ポリカーボネートは優れた耐候性、紫外線吸収能を有するため従来公知の紫外線吸収剤を敢えて添加する必要はないが、本発明の目的を損なわない範囲で、所望により使用する事も可能である。例えば光安定剤として、2−(3,5−ジ−t−ブチルー2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系化合物が挙げることができる。
【0070】
これらの光安定剤、紫外線吸収剤は共重合ポリカーボネート成分100重量部に対し通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜1重要部、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部の量で用いることができる。これらの剤は単独で用いても良いし混合して使用しても良い。
【0071】
(その他の添加剤)
本発明においては本発明の目的を損なわない範囲において、従来公知の添加剤を使用してもかまわない。
【0072】
例えば{2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}−2−エチルヘキシルアミンニッケル等のクエンチャー、N,N'−{3−(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジン等の金属不活性化剤、テアリン酸カルシウム、ステアリン酸ニッケル等の金属石鹸、又その他ジベンジリデンソルビトール、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)アシッドホスフェートナトリウム塩等の造核剤などが挙げられる。
【0073】
その他(β―ラウラミドプロピル)トリメチルアンモニウムサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の第4級アンモニウム塩系、スルホン酸塩系化合物、アルキルホスフェート系化合物等の帯電防止剤が挙げられる。また本発明の樹脂においては所望により有機、あるいは無機の、染料、顔料等の着色剤を使用できる。
【0074】
本発明の共重合ポリカーボネートに、上述の各種の添加剤を配合するには、従来周知の任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られるポリマーは、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、溶融押出法でシート化する。
【0075】
(共重合ポリカーボネートを用いた樹脂組成物)
本発明の共重合ポリカーボネートには、前述した如く、特定の目的をもって以下の熱可塑性樹脂を本発明の目的の損なわれない範囲で配合することもできる。中でもO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物(A)の含有量が、ジヒドロキシ化合物1モル当り、0.1〜20モル%であり、かつ極限粘度が0.05〜0.2dl/gである請求項2記載の低分子量の共重合ポリカーボネートは、かかる熱可塑性樹脂の紫外線に対する安定性を向上させる目的で好ましく添加することができる。
【0076】
かかる他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。また低分子量の共重合ポリカーボネートをもちいる場合に関しては、該熱可塑性樹脂として溶融重合法や界面重合法で製造されたポリカーボネートを添加する場合も好ましい。
【0077】
また本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、前述の共重合ポリカーボネートに配合する各種の添加剤を配合できる。これらの樹脂や各種の添加剤の配合方法は、前述の共重合ポリカーボネートに添加剤を配合する方法と同様な方法が好ましく用いられる。
【0078】
(用途)
本発明の共重合ポリカーボネート、樹脂組成物から射出成形法などにより、難燃性、帯電防止性、塵付着防止性、耐久性、安定性が良好な成形品を得ることができる。
【0079】
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、前述の共重合ポリカーボネートに配合する各種の添加剤を配合できる。上記特定配合剤を適用することにより該樹脂組成物の耐久性、特に厳しい温湿条件下での長時間の耐久性を保持する効果及び帯電防止性が得ることができる。該共重合ポリカーボネートおよび樹脂組成物を使用して得られたコンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW等、マグネット・オプティカルディスク(MO)等、デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RAM等)で代表される高密度光ディスク用の基板は長期に渡って高い信頼性が得られる。特にデジタルバーサタイルディスクの高密度光ディスクに有用である。
【0080】
本発明で製造される共重合ポリカーボネートおよび樹脂組成物からのシートは、難燃性、帯電防止性に加え接着性や印刷性の優れたシートであり、その特性を生かして電気部品、建材部品、自動車部品等に広く利用され、具体的には各種窓材即ち一般家屋、体育館、野球ドーム、車両(建設機械、自動車、バス、新幹線、電車車両等)等の窓材のグレージング製品、また各種側壁板(スカイドーム、トップライト、アーケード、マンションの腰板、道路側壁板)、車両等の窓材、OA機器のデイスプレーやタッチパネル、メンブレンスイッチ、写真カバー、水槽用ポリカーボネート樹脂積層板、プロジェクションテレビやプラズマディスプレイの前面板やフレンネルレンズ、光カード、光ディスクや偏光板との組合せによる液晶セル、位相差補正板等の光学用途等に有用である。かかるシートの厚みは特に制限する必要はないが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.2〜8mm、0.2〜3mmが特に好ましい。また、かかるシートに、新たな機能を付加する各種加工処理(耐候性を改良するための各種ラミネート処理、表面硬度改良のための耐擦傷性改良処理、表面のしぼ加工、半および不透明化加工等)を施してもよい。
【0081】
【実施例】
(分析)
1)ポリカーボネートの極限粘度[η];塩化メチレン中、20℃、ウベローデ粘度管にて測定した。極限粘度より粘度平均分子量は下記式(3)より計算した。
[η]=1.23×10-4Mw0.83 (3)
【0082】
2)溶融粘度安定性;レオメトリックス社のRAA型流動解析装置を用い窒素気流下、剪断速度1rad/sec.300℃で測定した溶融粘度の変化の絶対値を30分間測定し、1分間当たりの変化率を求めた。ポリカーボネート樹脂組成物の短期、長期安定性が良好であるためには、この値が0.5%を超えてはならない。
【0083】
3)紫外線カット効果;射出成形機によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件で、成形した70×50×2mmの色見本板を日立分光光度計;UV-3600にて分光光線透過率を、紫外部の波長380nm、および可視部の700nmにおいて測定した。
波長380nmにおいて分光光線透過率=0%、可視部の700nmにおける分光光線透過率が85%のものを、紫外線をカットし可視光を透過するOKレベルとした。
【0084】
4)紫外線吸収剤の揮散性;射出成形機によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件で色見本板を成形時、成形に先立ち、エクストルーダー先端より樹脂を押出し時、ルーダーノズル先端よりの発煙の有無を目視判定した。発煙の認められないレベルをOKと判定した。
【0085】
5)成形耐熱性;上記色見本板の黄色度YI値を、剤の加熱成形時の耐熱性パラメーターとし、YI値≦2以下をOKレベルとした。
【0086】
6)耐光性試験;射出成形機によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件で、成形した色見本板を岩崎電気(株)製アイスーパーUVテスター SUV−F11にて295−450nmの紫外/可視域の光りを100mW/cm2の強度で40時間照射を行い、色差計にて黄色度変化(△YI値)を求めた。
色差計;日本電色(株)製Z−1001DP色差計
【0087】
(共重合ポリカーボネートの製造例)
[実施例1]
芳香族ポリカーボネートの製造は以下のように行った。
撹拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料として精製BPAを137重量部、および精製DPCを133重量部、およびO,O‘―ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物として、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトンを1.48(1モル%−ジヒドロキシ化合物)重量部、重合触媒としてビスフェノール2ナトリウム塩4.1×10-5重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5×10-3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
【0088】
撹拌下、反応槽内を13.33kPa(100mmHg)に減圧し、生成するフェノールを留去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.000kPa(30mmHg)で20分間反応させた。さらに徐々に昇温し220℃で20分間、240℃で20分間、260℃で20分間反応させ、その後、260℃で徐々に減圧し2.666kPa(20mmHg)で10分間、1.333kPa(10mmHg)で5分間反応を続行し、最終的に260℃/66.7Pa(0.5mmHg)で極限粘度、0.45dl/gになるまで反応せしめた。
最終的に、極限粘度0.45dl/g、溶融粘度安定性1.1%であった(以下PC-1とする。)。得られたポリカーボネートの物性は表1中に記載する。
【0089】
[実施例2]
実施例1において溶融重合後ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(以後表中を含めDBSPと略称する)3.6×10-4重量部を添加、260℃、66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。得られたポリカーボネートの極限粘度は0.45dl/g、溶融粘度安定性0%であった(以下PC-2とする。)。得られたポリカーボネートの物性は表1中に記載する。
【0090】
[比較例1、2]
実施例1においてビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトンを用いないで(比較例1)、あるいは10.33(7モル%−ジヒドロキシ化合物)重量部を添加し(比較例2)溶融重合を行った。溶融重合後ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(以後表中を含めDBSPと略称する)3.6×10-4重量部を添加、260℃、66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。得られたポリカーボネートの物性は表1中に記載する。比較例2のポリカーボネートはゴム状のゲルを多量に含有し成形には不適当であった。
【0091】
[実施例3]
実施例1と同様にして但しビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトンを24.6(10モル%−ジヒドロキシ化合物)重量部、精製DPCを170重量部を使用して重合を行い、極限粘度0.13dl/gの低分子量ポリカーボネートを得た。ついでDBSPを3.6×10-4重量部を添加した。最終的に得られたポリカーボネートの極限粘度は0.13dl/g、溶融粘度安定性は0%であった(以下PC-3とする。)。得られたポリカーボネートの物性は表1中に記載する。
【0092】
[比較例5]
界面重合の例温度計、撹拌装置、滴下ロート付反応器に、イオン交換水203.8重量部、48%水酸化ナトリウム水溶液26重量部を入れビスフェノールA23.5重量部、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトンを0.25(1モル%−ジヒドロキシ化合物)重量部およびハイドロサルファイト0.05重量部を溶解した塩化メチレン143.5重量部くわえ、攪拌下23〜25℃にてホスゲン13.5重量部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後p−t−ブチルフェノール0.30重量部をくわえ、さらに48%水酸化ナトリウム水溶液8.7重量部をくわえ乳化した後、28〜33℃で約3時間静置し、反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗を継続、水相の導電率がイオン交換水ほとんど同じになったところで塩化メチレンを蒸発し無色のポリカーボネート26.5重量部を得た。このポリカーボネートの極限粘度は0.41dl/g、溶融粘度安定性は0.1%であった(以下PC-4とする。)。得られたポリカーボネートの物性は表1中に記載する。
【0093】
[実施例5〜8]
上記実施例の芳香族ポリカーボネートに、表中記載の種類、量の芳香族亜燐酸エステル系化合物、フェノール系化合物、多価アルコーの脂肪酸部分エステル及び青味着色剤を加えた。次に、かかる組成物をベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練し、ペレットを得た。該組成物を使用した安定性の評価を表中に記す。
【0094】
[実施例9,10および比較例3,4]
帝人化成(株)製パンライトL1250中、表中記載量の実施例3のポリカーボネート、(実施例9,10)、あるいは市販の紫外線吸収剤(比較例3,4)と芳香族亜燐酸エステル系化合物、フェノール系化合物、多価アルコーの脂肪酸部分エステル及び青味着色剤を加え、ベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練し、ペレットを得た。該組成物を使用した安定性の評価を表1中に記す。
【0095】
【表1】
Figure 0004713750
【0096】
(シート評価例)
[実施例11]
上記実施例9のポリカーボネート組成物を溶融した後、ギアポンプで定量供給し、成形機のTダイに送った。鏡面冷却ロールと鏡面ロールで挟持または片面タッチで厚さ0.2mm、幅800mmのシートに溶融押出した。
得られたポリカーボネートシートに、インキ[ナツダ 70−9132:色 136Dスモーク]および溶剤[イソホロン/シクロヘキサン/イソブタノール=40/40/20(wt%)]を混合させて均一にし、シルクスクリーン印刷機で印刷を行い、100℃で60分間乾燥させた。印刷されたインキ面には転移不良もなく、良好な印刷であった。
【0097】
別に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンとホスゲンとを通常の界面重縮合反応させて得られたポリカーボネート樹脂(比粘度0.895、Tg175℃)30部、染料としてPlast Red 8370(有本化学工業製)15部、溶剤としてジオキサン130部を混合した印刷用インキで印刷されたシート(厚み0.2mm)を射出成形金型内に装着し、ポリカーボネート樹脂ペレット(パンライトL−1225;帝人化成製)を用いて310℃の成形温度でインサート成形を行った。インサート成形後の成形品の印刷部パターンに滲みやぼやけ等の異常もなく、良好な印刷部外観を有したインサート成形品が得られた。
【0098】
(ポリマーブレンドコンパウンド〔樹脂組成物〕の評価例)
[実施例12〜18]
上記実施例10の芳香族ポリカーボネートに、さらにトリメチルホスフェートを0.05重量%、及び表3、4記載の下記記載の記号で示した各成分を,タンブラーを使用して均一に混合した後、30mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−30)により、シリンダー温度260℃、1.33kPa(10mmHg)の真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で測定用の成形片を作成し、下記の評価を実施した結果を表に示す。
▲1▼−1 ABS:スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体;サンタックUT−61;三井化学(株)製
▲1▼−2 AS:スチレン−アクリロニトリル共重合体;スタイラック−AS 767 R27;旭化成工業(株)製
▲1▼−3 PET:ポリエチレンテレフタレート;TR−8580;帝人(株)製、固有粘度0.8
▲1▼−4 PBT:ポリブチレンテレフタレート;TRB−H;帝人(株)製、固有粘度1.07
▲2▼−1 MBS:メチル(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体;カネエースB−56;鐘淵化学工業(株)製
▲2▼−2 E−1:ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタアクリレート共重合体;パラロイドEXL−2602;呉羽化学工業(株)製
▲2▼−3 E−2:ポリオルガノシロキサン成分及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互侵入網目構造を有している複合ゴム;メタブレンS−2001;三菱レイヨン(株)製
▲3▼−1 T:タルク;HS−T0.8;林化成(株)製、レーザー回折法により測定された平均粒子径L=5μm、L/D=8
▲3▼−2 G:ガラス繊維;チョップドストランドECS−03T−511;日本電気硝子(株)製、ウレタン集束処理、繊維径13μm
▲3▼−3 W:ワラストナイト;サイカテックNN−4;巴工業(株)製、電子顕微鏡観察により求められた数平均の平均繊維径D=1.5μm、平均繊維長17μm、アスペクト比L/D=20
▲4▼ WAX:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス;ダイヤカルナ−P30;三菱化成(株)製(無水マレイン酸含有量=10wt%)
【0099】
(コンパウンドの物性測定)
(A)曲げ弾性率
ASTM D790により、曲げ弾性率を測定した。
(B)ノッチ付衝撃値
ASTM D256により厚み3.2mmの試験片を用いノッチ側からおもりを衝撃させ衝撃値を測定した。
(C)流動性
シリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出圧力98.1MPaでアルキメデス型スパイラルフロー(厚さ2mm、幅8mm)により流動性を測定した。
(D)耐薬品性
ASTM D638にて使用する引張り試験片に1%歪みを付加し、30℃のエッソレギュラーガソリンに3分間浸漬した後、引張り強度を測定し保持率を算出した。保持率は下記式により計算した。
保持率(%)=(処理サンプルの強度/未処理サンプルの強度)×100
【0100】
【表2】
Figure 0004713750
【0101】
【表3】
Figure 0004713750
【0102】
【発明の効果】
本発明のように、O,O'―ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物を共重合したポリカーボネートは優れた紫外線カット効果と耐熱安定性、及良好なブリードアウト特性を示した。さらに、高濃度O,O'―ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物共重合低分子量ポリカーボネートは他の熱可塑性樹脂との組成物において紫外線吸収剤としても有効である。

Claims (4)

  1. ジヒドロキシ化合物および、下記式(2)
    Figure 0004713750
    [式中R5、R6は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
    で表されるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物とカーボネート結合形成性前駆体をエステル交換触媒の存在下、溶融重合することにより得られた、主たる繰返し単位が下記式(1)
    Figure 0004713750
    [R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基、Wはアルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基である。]
    で表されるポリカーボネートにおいて、上記式(2)で表されるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物の共重合量が、重合原料であるジヒドロキシ化合物1モル当り、0.01〜5モル%であり、かつ極限粘度が0.2〜2.0dl/gである共重合ポリカーボネート。
  2. ジヒドロキシ化合物および、下記式(2)
    Figure 0004713750
    [式中R5、R6は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
    で表されるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物とカーボネート結合形成性前駆体をエステル交換触媒の存在下、溶融重合することにより得られた、主たる繰返し単位が下記式(1)
    Figure 0004713750
    [R 1 、R 2 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基、Wはアルキリデン基、アルキレン基、シクロアルキリデン基、シクロアルキレン基、フェニル基置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基、またはスルホン基である。]
    で表されるポリカーボネートにおいて、上記式(2)で表される該O,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物の共重合量が、重合原料であるジヒドロキシ化合物1モル当り、0.1〜20モル%であり、かつ極限粘度が0.05〜0.2dl/g未満である共重合ポリカーボネート。
  3. ジヒドロキシ化合物および、上記式(2)で表されるO,O’−ジヒドロキシベンゾフェノン系化合物とカーボネート結合形成性前駆体をエステル交換触媒の存在下、溶融重合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の共重合ポリカーボネートの製造方法。
  4. 請求項2に記載の共重合ポリカーボネートと熱可塑性樹脂を用いた樹脂組成物。
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