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JP4797336B2 - 電気光学装置および電子機器 - Google Patents

電気光学装置および電子機器 Download PDF

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JP4797336B2 JP2004146440A JP2004146440A JP4797336B2 JP 4797336 B2 JP4797336 B2 JP 4797336B2 JP 2004146440 A JP2004146440 A JP 2004146440A JP 2004146440 A JP2004146440 A JP 2004146440A JP 4797336 B2 JP4797336 B2 JP 4797336B2
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Description

本発明は、有機発光ダイオード素子のような電流駆動型素子を駆動する電気光学装置、その駆動方法および電子機器に関する。
近年、液晶素子に代わる次世代の発光デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(Organic Light Emitting
Diode、以下適宜「OLED素子」と略称する)素子が注目されている。このOLED素子は、自発光型であるために視野角依存性が少なく、また、バックライトや反射光が不要であるために低消費電力化や薄型化に向いているなど、表示パネルとして優れた特性を有している。
ここで、OLED素子は、液晶素子のように電圧保持性を有さず、電流が途絶えると、発光状態が維持できなくなる電流型の被駆動素子である。このため、OLED素子をアクティブ・マトリクス方式で駆動する場合、書込期間(選択期間)において、画素の階調に応じた電圧を駆動トランジスタのゲートに書き込んで、当該電圧をゲート容量などにより保持し、当該ゲート電圧に応じた電流を駆動トランジスタがOLED素子に流し続ける事が一般的となっている。
この構成では、駆動トランジスタのしきい値電圧特性がばらつくことによって、画素ごとに、OLED素子の明るさが相違して表示品位が低下する、という問題が指摘されている。このため、近年では、書込期間において、当該駆動トランジスタをダイオード接続させるとともに、駆動トランジスタからデータ線に定電流を流し、これによって、当該駆動トランジスタのゲートに、OLED素子に流すべき電流に応じた電圧を書き込むようにプログラミングして、駆動トランジスタのしきい値電圧特性のばらつきを補償する技術が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
米国特許第6229506号公報(FIG.2参照) 特開2003−177709号公報(図3参照)
ところで、電気光学装置の表示領域が複数のサブ領域に分割されており、サブ領域ごとにOLED素子やトランジスタの特性にばらつきがある場合、各サブ領域を個別の駆動モジュールで駆動する場合、さらには、各領域のOLED素子として異なる種類の素子を用いる場合がある。このような電気光学装置において、従来の技術では、複数のサブ領域間で表示輝度を均一にすることができず、画面内の明るさが相違するといった問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の領域の輝度を均一にすることが可能な電気光学装置、その駆動方法および電子機器を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電気光学装置は、複数のサブ領域を有する表示領域に、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して各々設けられた複数の画素回路とを備えるものであって、前記複数の画素回路の各々は、電気光学素子と、基準電圧と前記データ線を介して供給されるデータ電圧とに基づいて駆動電流を生成して前記電気光学素子に供給する電流供給手段とを備え、前記複数のサブ領域の輝度が目標値に近づくように、前記複数のサブ領域の各々に対応する前記基準電圧を個別に生成する電源手段と、を備える。
この発明によれば、電気光学素子の駆動電流は、基準電圧とデータ電圧に基づいて定まるので、基準電圧を調整することによって、電気光学素子の輝度が調整される。そして、サブ領域ごとに基準電圧を設定するから、複数のサブ領域間の輝度を調整することが可能となる。なお、電気光学素子とは、電気的な作用によって光学特性を制御可能な素子の意味であって、例えば、有機発光ダイオードが含まれる。なお、電流供給手段は、データ電圧と基準電圧との差分電圧に応じた駆動電流を生成することが好ましい。
この電気光学装置において、前記電流供給手段は、前記電気光学素子に流れる駆動電流を制御する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートとドレインとの間にて第1の期間においてオンし、前記第1の期間後の第2の期間の開始タイミングまでにオフする第1のスイッチング素子と、一端が前記駆動トランジスタのゲートに接続された容量素子と、前記第1の期間においてオンして、前記基準電圧を前記容量素子の他端に印加する一方、前記第2の期間、および、この第2の期間後の第3の期間においてオフする第2のスイッチング素子と、前記データ線と前記容量素子の他端との間にて、前記第2の期間においてオンする第3のスイッチング素子とを備える。
この電気光学装置によれば、第1のスイッチング素子のオンオフによって、容量素子の一端および駆動トランジスタのゲート(ノードA)には、当該駆動トランジスタのしきい値に応じた電圧が保持される。容量素子の他端は、電気光学素子に流すべき電流に応じたデータ電圧の印加によって基準電圧から変化し、この電圧変化に応じた分だけ、ノードAの電圧も変化して保持される。変化後におけるノードAの電圧に応じた駆動電流が電気光学素子に流れるが、このとき流れる電流は、駆動トランジスタのしきい値特性がキャンセルされている。また、容量素子の保持は、電気光学素子に電流を強制的に流すことによって行われるので、時間を要しない。さらに、電気光学素子に流すべき電流に応じた電圧を容量素子の他端に印加するのであって、駆動トランジスタのゲートに直接印加しないので、当該電圧の書き込みに要する時間を短縮化することができる。
上述した電気光学装置は、前記サブ領域は表示パネルで構成され、前記電源手段は、前記サブ領域ごとの前記基準電圧を個別に生成する電圧生成手段と、前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記基準電圧を調整する電圧調整手段と、を備えることが好ましい。この発明によれば、表示領域を複数の表示パネルで構成する場合に、パネル間の輝度を均一にすることができる。この結果、パネルの境界を目立たなくすることができ、複数の表示パネルをあたかも大型の1枚の表示パネルとして利用することが可能となる。
また、上述した電気光学装置は、前記複数のデータ線を駆動する複数の駆動モジュールを備え、前記複数のサブ領域は、前記複数の駆動モジュールの各々が駆動する前記データ線に対応しており、前記サブ領域ごとの前記基準電圧を個別に生成する電圧生成手段と、前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記基準電圧を調整する電圧調整手段と、を備えることが好ましい。この発明によれば、複数の駆動モジュールを用いて駆動する場合、駆動モジュール間に特性のばらつきがあっても基準電圧を調整することによって、複数のサブ領域の輝度を均一にすることができる。これにより、サブ領域の境界を目立たなくすることができる。なお、複数の表示パネルで1個の表示領域を構成し、各表示パネルを複数の駆動モジュールで駆動する場合には、各駆動モジュールに対応するデータ線の範囲が、各サブ領域に相当することは勿論である。
また、上述した電気光学装置において、前記複数のサブ領域の各々には、発光色の異なる複数種類の電気光学素子が各々設けられており、前記電源手段は、前記サブ領域ごとの前記基準電圧を個別に生成する電圧生成手段と、前記目標値は個別に設定されており、ホワイトバランスが取れるように前記基準電圧を調整する電圧調整手段と、を備えることが好ましい。発光色の異なる電気光学素子では、発光色に応じて異なる材料が選択されるため、発光効率が相違するのが通常である。この発明によれば、サブ領域ごとに発光色の異なる電気光学素子が配置され、サブ領域ごとに基準電圧を個別に供給する。したがって、基準電圧を個別に設定することによって、ホワイトバランスを調整することが可能となる。
また、前記電圧調整手段は、前記複数のサブ領域の画素回路で消費される電流を前記サブ領域ごとに計測し、計測結果に基づいて前記基準電圧を調整することが好ましい。この発明によれば、サブ領域ごとの消費電流に応じて基準電圧が調整されるから、工場で基準電圧を設定するだけでなく、常時、基準電圧を調整して最適な状態を維持することも可能である。
次に、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備え、例えば、複数のパネルを連結した大型ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、および携帯情報端末等が該当する。
次に、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、複数のサブ領域を有する表示領域に、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して各々設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、電気光学素子と、基準電圧と前記データ線を介して供給されるデータ電圧とに基づいて生成した電流を駆動電流として前記電気光学素子に供給する電流供給手段とを有する電気光学装置を前提とし、前記複数のサブ領域の輝度を各々計測する第1ステップと、計測された輝度がサブ領域ごとに定められた目標値に近づくように、前記複数のサブ領域の各々に対応する前記基準電圧を個別に生成して前記複数のサブ領域に供給する第2ステップと、を備える。この発明によれば、各サブ領域の輝度の計測結果に基づいて、各サブ領域に供給する基準電圧を調整するので、実際に計測された輝度を表示すべき輝度に反映させることができる。この結果、サブ領域の輝度を正確に調整することが可能となる。
次に、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、複数のサブ領域を有する表示領域に、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して各々設けられた複数の画素回路とを備え、前記複数の画素回路の各々は、電気光学素子と、基準電圧と前記データ線を介して供給されるデータ電圧とに基づいて生成した電流を駆動電流として前記電気光学素子に供給する電流供給手段とを有する電気光学装置を前提とし、前記複数のサブ領域の画素回路で消費される電流を前記サブ領域ごとに計測する第1ステップと、計測された電流に基づいて、前記複数のサブ領域の輝度が目標値に近づくように、前記複数のサブ領域の各々に対応する前記基準電圧を個別に生成して前記複数のサブ領域に供給する第2ステップと、を備える。この発明によれば、サブ領域ごとの消費電流を計測して基準電圧を設定するので、常時、基準電圧を調整して最適な状態を維持することも可能である。
ここで、上述した前記目標値は、前記複数のサブ領域の輝度が等しくなるように設定することが好ましい。この場合には、サブ領域間の輝度を均一にすることができる。
また、複数のサブ領域の各々には、発光色の異なる複数種類の電気光学素子が各々設けられている場合には、前記目標値は、ホワイトバランスが取れるように設定することが好ましい。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図であり、図2は、画素回路の回路図である。図1に示されるように電気光学装置10は、4つの表示パネルZ1、Z2、Z3、およびZ4を連結して構成されている。複数の表示パネルZ1〜Z4の各々には、複数本の走査線102が横方向(X方向)に延設される一方、複数本のデータ線(信号線)112が図において縦方向(Y方向)に延設されている。そして、これらの走査線102とデータ線112との交差の各々に対応するように画素回路(電子回路)200がそれぞれ設けられている。
ここで説明の便宜上、本実施形態では、各表示パネルZ1〜Z4の走査線102の本数(行数)を「360」とし、データ線の本数(列数)を「480」として、画素回路200が、縦360行×横480列のマトリクス状に配列する構成を想定する。そして、4枚の表示パネルZ1〜Z4によって、縦720行×横960列の表示領域Zが形成される。換言すれば、表示領域Zは複数のサブ領域(表示パネルZ1〜Z4が相当)に分割されている。ただし、本発明をこの配列に限定する趣旨ではない。
各表示パネルZ1〜Z4には、電源回路18から基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4、が各々供給されるとともに、高位側電圧VELおよび低位側電圧Gndが各表示パネルZ1〜Z4に共通して供給される。基準電圧VINI1〜VINI4と高位側電圧VELの技術的意義については、後述する。なお、画素回路200には、後述するOLED素子230が含まれ、このOLED素子230への電流を画素回路200毎に制御することによって、所定の画像が階調表示される。
また、図1においては、X方向に延設されるのは走査線102のみであるが、本実施形態では、走査線102のほかにも、図2に示されるように、制御線104、106および108がそれぞれ行ごとにX方向に延設されている。このため、走査線102、制御線104、106および108が1組となって、1行分の画素回路200に兼用されている。
Yドライバ14は、1水平走査期間ごとに1行ずつ走査線102を選択するとともに、選択した走査線102に対して、Hレベルの走査信号を供給するとともに、この選択に同期した各種制御信号を、制御線104、106および108に、それぞれ供給するものである。すなわち、Yドライバ14は、走査線102、制御線104、106および108に対し、行ごとに、走査信号や制御信号をそれぞれ供給するものである。
ここで、説明の便宜上、i行目(iは、1≦i≦360を満たす整数であり、行を一般化して説明するためのもの)の走査線102に供給される走査信号をGWRT−iと表記する。同様に、i行目の制御線104、106および108に供給される制御信号をGSET−i、GINI−iおよびGEL−iと、それぞれ表記する。
一方、Xドライバ16は、Yドライバ14によって選択された走査線102に対応する1行分の画素回路、すなわち、選択された行に位置する1〜480列の画素回路200の各々に、当該画素回路200のOLED素子に流すべき電流(すなわち、画素の階調)に応じた電圧のデータ信号を、1〜480列目のデータ線112を介して、それぞれ供給するものである。ここで、データ信号(データ電圧)は、電圧が高いほど、画素が明るくなるように指定し、反対に、電圧が低いほど、画素が暗くなるように指定する。
なお、説明の便宜上、j列目(jは、1≦j≦480を満たす整数であり、列を一般化して説明するためのもの)のデータ線112に供給されるデータ信号をX−jと表記する。
すべての画素回路200には、OLED素子の電源となる高位側電圧VELが電源線114を介してそれぞれ供給される。また、すべての画素回路200は、本実施形態において電圧基準の電位Gndに電源線118を介して共通接地されている。
なお、画素の最低階調である黒色を指定するデータ信号X−jの電圧はGndよりも高く、画素の最高階調である白色を指定するデータ信号X−jの電圧はVELよりも低く設定される。換言すれば、データ信号X−jの電圧範囲は、電源電圧の内に収まるように設定されている。
一方、本実施形態において、画素回路200には、基準電圧VINIが給電線116を介してそれぞれ供給される。ここで、基準電圧VINIとは、本実施形態では、データ信号X−jがとりうる電圧範囲の最低値、すなわち、画素の最低階調を指定するデータ信号電圧に略一致する。
制御回路12は、Yドライバ14およびXドライバ16に、それぞれクロック信号(図示省略)などを供給して両ドライバを制御するとともに、Xドライバ16に、階調を画素ごとに規定する画像データを供給する。
本実施形態において、マトリクス状に配列する画素回路200は、すべて共通の構成である。そこで、画素回路200の構成を、i行j列に位置するもので代表して説明する。この画素回路200は、どの表示パネルZ1〜Z4に属するかによって、供給される基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4、が異なるが、ここでは、それらを代表して単に基準電圧VINIと記載する。
図2に示されるように、画素回路200は、nチャネル型の駆動トランジスタ210と、第1〜第4のスイッチング素子として機能するnチャネル型のトランジスタ211、212、213、214と、容量素子として機能する容量220と、電気光学素子たるOLED素子230とを有する。
このうち、トランジスタ214の一端(ドレイン)は、電源線114に接続される一方、トランジスタ214の他端(ソース)は、駆動トランジスタ210のドレイン、および、トランジスタ211の一端(ドレイン)に、それぞれ接続されている。ここで、トランジスタ214のゲートは、i行目の制御線108に接続されている。このため、トランジスタ214は、制御信号GEL−iがHレベルであればオンし、Lレベルであればオフすることになる。
駆動トランジスタ210のソースは、OLED素子230の陽極に接続される一方、当該OLED素子230の陰極は、電源の低位側電圧Gndに接地されている。このため、OLED素子230は、電源の高位側電圧VELおよび低位側電圧Gndの間の経路に、駆動トランジスタ210およびトランジスタ214とともに電気的に介挿された構成となっている。
駆動トランジスタ210のゲートは、容量220の一端およびトランジスタ211のソースにそれぞれ接続されている。なお、説明の便宜上、容量220の一端(駆動トランジスタ210のゲート)をノードAとする。このノードAには、図2において破線で示されるように、容量が寄生する。この容量はノードAとOLED素子230の陰極の間に寄生する容量であり、駆動トランジスタのゲート容量、OLED素子230の容量、ノードAと陰極の間にある配線の寄生容量などに起因する容量を含んでいる。
トランジスタ211は、駆動トランジスタ210のドレインおよびゲート間に電気的に介挿されるとともに、トランジスタ211のゲートは、i行目の制御線104に接続されている。このため、トランジスタ211は、制御信号GSET−iがHレベルとなったときにオンして、駆動トランジスタ210をダイオードとして機能させる。
一方、トランジスタ212の一端(ドレイン)は、給電線116に接続される一方、その他端(ソース)は、トランジスタ213の一端(ドレイン)および容量220の他端にそれぞれ接続されている。このトランジスタ212のゲートは、i行目の制御線106に接続されている。このため、トランジスタ212は、制御信号GINI−iがHレベルとなったときにオンすることになる。
さらに、トランジスタ213の他端(ソース)は、j列目のデータ線112に接続され、そのゲートは、i行目の走査線102に接続されている。このため、トランジスタ213は、走査信号GWRT−iがHレベルとなったときにオンして、j列目のデータ線112に供給されるデータ信号X−j(の電圧)を容量220の他端に印加することになる。
ここで、説明の便宜上、容量の他端(トランジスタ212のソース、トランジスタ213のドレイン)をノードBとする。
なお、マトリクス型に配列する画素回路200は、ガラス等の透明基板に、走査線102やデータ線112とともに形成されている。このため、駆動トランジスタ210や、トランジスタ211、212、213、214は、ポリシリコンプロセスによるTFT(薄膜トランジスタ)によって構成される。また、OLED素子230は、基板上において、ITO(酸化錫インジウム)などの透明電極膜を陽極(個別電極)とし、アルミニウムやリチウムなどの単体金属膜またはこれらの積層膜を陰極(共通電極)として、発光層を挟持した構成となっている。
次に、電気光学装置10の動作について説明する。図3は、電気光学装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。
まず、Yドライバ14は、図3に示されるように、1垂直走査期間(1F)の開始時から、1行目、2行目、3行目、…、360行目の走査線102を、順番に1本ずつ1水平走査期間(1H)ごとに選択して、選択した走査線102の走査信号のみをHレベルとし、他の走査線への走査信号をLレベルとする。
ここで、i行目の走査線102が選択されて、走査信号GWRT−iがHレベルとなる1水平走査期間(1H)に着目して、当該水平走査期間およびその前後の動作について、図3とともに、図4〜図8を参照して説明する。
図3に示されるように、走査信号GWRT−iがHレベルに変化するタイミングよりも期間Tiだけ先行したタイミングt1から、i行j列における画素回路200の書込動作の事前準備が開始する。一方、走査信号GWRT−iがHレベルから再びLレベルに変化すると、書き込んだ電圧に基づく発光が開始する。
このため、i行j列の画素回路200の動作については、大別すると、タイミングt1から走査信号GWRT−iがHレベルに変化するまでの第1の期間(1)、走査信号GWRT−iがHレベルとなる第2の期間、および、走査信号GWRT−iがLレベルに変化した後の第3の期間、の3つにわけることができる。
これらの第1〜第3の期間については、その動作内容に着目して、それぞれ初期化期間(1)、書込期間(2)および発光期間(3)と称することにする。このうち、初期化期間(1)については、本実施形態では、さらに3つの期間(1a)、(1b)および(1c)とに分けることができる。
以下、これらの期間の動作について順を追って説明することにする。
まず、タイミングt1の前において、走査信号GWRT−i、制御信号GSET−i、GINI−iおよびGEL−iいずれもLレベルである。そして、タイミングt1に至ると、初期化期間(1)のうち、最初の期間(1a)となり、Yドライバ14は、制御信号GSET−i、GINI−iおよびGEL−iをいずれもHレベルとする。このため、画素回路200では、図4に示されるように、Hレベルの制御信号GSET−iによりトランジスタ211がオンするので、駆動トランジスタ210がダイオードとして機能する。また、Hレベルの制御信号GEL−iによりトランジスタ214もオンする。
したがって、期間(1a)において、画素回路200では、電流が電源線114→トランジスタ214→駆動トランジスタ210→OLED素子230→接地Gndという経路にて流れるので、ノードAは、この電流に応じた電圧、詳細には、当該電流を流す駆動トランジスタ210のゲート電圧となる。
一方、制御信号GINI−iは、初期化期間(1)の全域にわたってHレベルとなって、トランジスタ212をオンさせる。このため、ノードBは、初期化期間(1)にわたって基準電圧VINIに固定されるので、容量220からみてノードBの反対側に位置するノードAでは、その電圧状態が保持されることになる。したがって、期間(1a)においてノードAは、OLED素子230に流れた電流に応じた電圧に保持されることになる。
なお、この期間(1a)では、OLED素子230に電流が流れるので、当該OLED素子230が発光する。ただし、この期間(1a)は、表示の単位期間である1垂直走査期間(1F)と比較して、無視できる程度に短く設定されるので、期間(1a)での発光は、後述する発光期間(3)における発光、すなわち、OLED素子230に目的とする電流が流れることによる発光に影響を与えることはない。
次に、初期化期間(1)の期間(1b)開始タイミングに至ると、Yドライバ14は、制御信号GEL−iをLレベルに復帰させる一方、制御信号GSET−i、GINI−iをともにHレベルに維持する。このため、画素回路200では、図5に示されるように、トランジスタ214がオフするので、OLED素子230の電流経路は遮断される。ただし、トランジスタ211のオンが継続するので、駆動トランジスタ210が引き続きダイオードとして機能する。このため、ノードAは、駆動トランジスタ210のしきい値電圧Vthnに向かって自己補償的に徐々に移行する。
そして、期間(1b)の終了タイミングでは、ノードAは、しきい値電圧Vthnにほぼ一致することになる。
続いて、初期化期間(1)の期間(1c)の開始タイミングにおいて、Yドライバ14は、制御信号GSET−iをLレベルに復帰させる。このため、画素回路200では、図6に示されるように、駆動トランジスタ210のダイオード接続が解除されるので、ノードAの電圧がVthnに確定することになる。
次に、書込期間(2)において、Yドライバ14は、制御信号GINI−iをLレベルに復帰させる一方、走査信号GWRT−iをHレベルとする。このため、図7に示されるように、トランジスタ212がオフし、トランジスタ213がオンする。
また、書込期間(2)において、Xドライバ16は、i行j列の画素の階調に応じた電圧のデータ信号X−jをj列目のデータ線112に供給する。上述したように、画素の最低階調を指定するデータ信号X−jの電圧がVINIであり、画素が明るく指定するにつれて、データ信号X−jの電圧が高くなるので、表示すべき階調に応じたデータ信号X−jのデータ電圧をVdataとすると、Vdataは以下の式(a)で与えられる。
Vdata=(VINI+ΔV)……(a)
なお、ΔVは、基準電圧VINIからの電圧変化(上昇)分であって、画素を最低階調の黒色に指定する場合にはゼロであり、明るい階調を指定するにつれて次第に高くなる。したがって、ノードBは、初期化期間(1)から書込期間(2)にかけて、ΔVだけ変動する。
一方、書込期間(2)において、画素回路200では、トランジスタ211がオフであるので、ノードAは、駆動トランジスタ210のゲート容量のみによって保持されることになる。このため、ノードAは、ノードBにおける電圧変化分ΔVを容量220と駆動トランジスタ210のゲート容量との容量比で配分した分だけ、初期化期間(1)の電圧Vthnから上昇することになる。
詳細には、容量220のサイズをCaとし、駆動トランジスタ210のゲート容量をCbとしたときに、ノードAは、電圧Vthnから、{ΔV・Ca /(Ca+Cb)}だけ上昇するので、結果的に、ノードAの電圧Vgは、次式のように表すことができる。
Vg=Vthn+ΔV・Ca
/(Ca+Cb)……(b)
そして、発光期間(3)に至ると、Yドライバ14は、走査信号GWRT−iをLレベルとする一方、制御信号GEL−iをHレベルとする。
このため、画素回路200では、図8に示されるように、トランジスタ213がオフするが、容量220における電圧保持状態は変化しないので、ノードAは、電圧Vgに維持される。一方、トランジスタ214がオンするので、OLED素子230には、電圧Vgに応じた電流IELが、上記電流経路にて流れることになる。これにより、OLED素子230は、当該電流IELに応じた明るさで発光し続けることになる。
発光期間(3)において、OLED素子230に流れる電流IELは、駆動トランジスタ210のソース・ドレイン間の導通状態によって定まり、当該導通状態は、ノードAの電圧で設定される。ここで、駆動トランジスタ210のソースからみたゲートの電圧は、ノードAの電圧Vgそのものであるので、電流IELは、次のように示される。
EL=(β/2)(Vg−Vthn ……(c)
なお、この式においてβは、駆動トランジスタ210の利得係数である。
ここで、式(c)に式(a)および式(b)を代入して整理すると、式(d)が得られる。
EL=(β/2){k・(Vdata−VINI)} ……(d)
但し、kは定数であってk=Ca /(Ca+Cb)となる。この式(d)に示されるように、OLED素子230に流れる電流IELは、駆動トランジスタ210のしきい値Vthnに依存することなく、データ電圧Vdataと基準電圧VINIとの差分ΔV(=Vdata−VINI)のみによって定まることになる。
発光期間(3)が予め指定された期間だけ継続すると、Yドライバ14は、制御信号GEL−iをLレベルにする。これにより、トランジスタ214がオフするので、電流経路が遮断される結果、OLED素子230は消灯することになる。
ここで、Yドライバ14は、1行目から720行目までに対応する制御信号GEL−1〜GEL−720のHレベル期間が同一となるように制御する。換言すれば、すべてのOLED素子230に対して、1垂直走査期間において発光期間(3)の占める割合が一定になるように制御する。このため、発光期間(3)が長くすると、画面全体が明るくなる一方、短くすると、画面全体が暗くすることができる。
なお、発光期間(3)の最長は、1垂直走査期間(1F)のうち、初期化期間(1)および書込期間(2)を除いた期間の全域である。このため、i行目でいえば、制御信号GEL−iは、走査信号GWRT−iがHレベルからLレベルに変化するタイミングから、1垂直走査期間(1F)経過して、再びi行目の走査線102が選択されるタイミングより期間Tiだけ先行したタイミングt1までの期間でHレベルをとることができる。
ここでは、i行j列の画素回路200の動作について説明したが、i行の他の画素についてもすべて初期化期間(1)、書込期間(2)および発光期間(3)の動作が同時並列的に実行される。
また、i行目について着目して説明したが、1行目から720行目までについては、1水平走査期間(1H)ごとに順番に走査線102が選択されて、当該選択期間において書込期間(2)の動作が実行される。そして、書込期間(2)の前には初期化期間(1)が、書込期間(2)の後には発光期間(3)が、それぞれ実行される。例えば、i行目に続く(i+1)行目については、図3に示されるように、走査信号GWRT−(i+1)がHレベルになるタイミングより期間Tiだけ先行したタイミングt2から、初期化期間(1)となり、この後、走査信号GWRT−(i+1)がHレベルになる期間で書込期間(2)となる。(i+1)行目の書込期間において、j列目のデータ線112には、(i+1)行j列の画素の階調に応じた電圧のデータ信号X−jが供給されて、その電圧変化分がノードAに書き込まれ、この後、発光期間(3)となる。
したがって、初期化期間(1)が隣接する2行以上にわたって並行して実行される場合もあり得る。同様に、発光期間(3)も隣接する2行以上にわたって並行して実行される。
この実施形態によれば、初期化期間(1)のうち期間(1a)において、駆動トランジスタ210をダイオード接続し、OLED素子230に電流を強制的に流すことによって、ノードAを、当該電流に応じた電圧とさせる一方、ノードBを基準電圧VINIに固定させる。このため、ノードAは、なんらかの電圧に直ちに達して保持されることになる。この後、ダイオード接続を維持した状態で、トランジスタ214をオフさせることにより、期間(1b)の終了タイミングまでに、ノードAの電圧をVthnにシフトさせる。そして、期間(1c)において、ノードAの電圧をVthnに確定させる。この初期化期間(1)は、行が選択される書込期間(2)とは無関係な期間であって、時間的に手前の期間で実行されるので、1垂直走査期間(1F)において、十分に長い期間を確保することができる。
次に、書込期間(2)では、データ信号X−jをノードBに印加して容量220の他端を電圧変化させ、この電圧変化による電荷の再分配によって、駆動トランジスタ210のゲートに、OLED素子230に流すべき電流に応じた電圧を書き込んでいる。このため、初期化期間(1)の確保とあいまって、駆動トランジスタ210のゲートに、OLED素子230に流すべき電流に応じた電圧を直接書き込む方式と比較して、電圧の書き込みに要する時間を短縮化することが可能となる。
さらに、発光期間(3)において、OLED素子230に流れる電流は、駆動トランジスタ210のしきい値電圧Vthnに依存しない。このため、画素回路200ごとに、駆動トランジスタ210のしきい値電圧Vthnがバラついても、OLED素子230に流す電流を均一に揃えることができる。
したがって、第1実施形態に係る電気光学装置によれば、高解像度化に伴って画素数が増加しても、データ信号の書き込み時間が短くて済むとともに、OLED素子230に流れる電流の均一性を確保することが可能となる。
また、OLED素子230に流れる電流IELは、上述した式(d)に示されるようにデータ電圧Vdataと基準電圧VINIとの差分ΔV(=Vdata−VINI)のみによって定まる。従って、基準電圧VINIの値を調整すれば、OLED素子230の発光輝度を調整することができる。本実施形態のように複数の表示パネルZ1〜Z4によって電気光学装置10を構成する場合、表示パネルZ1〜Z4は個別に製造されるため、OLED素子230の特性は複数の表示パネルZ1〜Z4の間で同一とはいえず、ばらつくのが通常である。
本実施形態の電源回路18は、電圧源18Aと調整部18Bを備える。電圧源18Aは基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4を発生し、調整部18Bは電圧源18Aを制御して表示パネルZ1〜Z4の輝度が均一になるように基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4を調整する。具体的には、調整部18Bの処理には以下の態様がある。
第1の態様は、各表示パネルZ1〜Z4を同一の階調を示す階調データで駆動し、電源回路18において、複数の表示パネルZ1〜Z4で消費される電流を各々計測し、消費電流が等しくなるように基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4を調整する。この調整方法によれば、例えば、電気光学装置10に電源が投入された直後に上述した調整処理を実行することによって、OLED素子230等の特性に経時変化があったとしても各表示パネルZ1〜Z4の輝度を均一にすることができる。また、各表示パネルZ1〜Z4に表示に寄与しないダミーの画素回路を設け、ダミーの画素回路に流れる電流を計測し、消費電流が等しくなるように基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4を調整してもよい。この場合は、常時、消費電流を計測して、輝度の補正を施すことが可能となる。
第2の態様は、電気光学装置10の出荷時に基準電圧VINI1〜VINI4を設定するものである。この態様においては、第1に、各表示パネルZ1〜Z4を同一の階調を示す階調データで駆動する。第2に、各表示パネルZ1〜Z4の輝度を測定装置(例えば、CCDカメラ)を用いて測定する。第3に、測定された輝度が相互に近づくように基準電圧VINI1、VINI2、VINI3、およびVINI4を設定する。なお、出荷時に設定した基準電圧VINI1〜VINI4をユーザーがその後、変更できるようにボリュームを設けてもよい。
このように本実施形態においては、表示領域Zを構成する複数のサブ領域としての表示パネルZ1〜Z4について、基準電圧VINI1〜VINI4を個別に設定したので、画面全体の輝度を一様にすることができる。そして、複数のパネルをあたかも1枚のパネルして用いることが可能となる。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態に係る電気光学装置10は、複数の表示パネルZ1〜Z4を組み合わせて1個の表示領域Zを構成した。これに対して、第2実施形態に係る電気光学装置10は、表示領域Zが1枚の表示パネルで構成されている。
図9は、第2実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すようにXドライバ16は複数の駆動モジュールM1、M2、およびM3を備える。そして、各駆動モジュールM1〜M3は表示領域を分割したサブ領域S1、S2、S3を各々駆動する。ここで、基準電圧VINIは、サブ領域S1、S2、およびS3の各々で独立しており、基準電圧VINI1、VINI2、およびVINI3として与えられる。
駆動モジュールM1〜M3を構成するトランジスタの特性は、必ずしも同一ではなく一定のばらつきがある。このトランジスタの特性のばらつきに起因して、同一の階調データを駆動モジュールM1〜M3に供給しても、駆動モジュールM1〜M3の間でデータ信号Xの電圧値がばらつく。この結果、サブ領域S1、S2、およびS3の間で、輝度が不均一になることがある。
第2実施形態の電気光学装置10は、第1実施形態の電気光学装置10と同様に、電源回路18においてサブ領域S1〜S3の輝度が均一になるように基準電圧VINI1、VINI2、およびVINI3が生成される。具体的には、以下の態様がある。
第1の態様は、サブ領域S1〜S3を同一の階調を示す階調データで駆動し、電源回路18において、複数のサブ領域S1〜S3で消費される電流を各々計測し、消費電流が等しくなるように基準電圧VINI1、VINI2、およびVINI3を調整する。この調整方法によれば、例えば、電気光学装置10に電源が投入された直後に上述した調整処理を実行することによって、駆動モジュールM1〜Mのトランジスタ特性に経時変化があったとしても各サブ領域S1〜S3の輝度を均一にすることができる。また、各サブ領域S1〜S3に表示に寄与しないダミーの画素回路を設け、ダミーの画素回路に流れる電流を計測し、消費電流が等しくなるように基準電圧VINI1、VINI2、およびVINI3を調整してもよい。この場合は、常時、消費電流を計測して、輝度の補正を施すことが可能となる。
第2の態様は、電気光学装置10の出荷時に基準電圧VINI1〜VINI3を設定するものである。この態様においては、第1に、各サブ領域S1〜S3を同一の階調を示す階調データで駆動する。第2に、各サブ領域S1〜S3の輝度を測定装置(例えば、CCDカメラ)を用いて測定する。第3に、測定された輝度が相互に近づくように基準電圧VINI1、VINI2、およびVINI3を設定する。なお、出荷時に設定した基準電圧VINI1〜VINI3をユーザーがその後、変更できるようにボリュームを設けてもよい。
このように本実施形態においては、表示領域Zを構成する複数のサブ領域S1〜S3について、基準電圧VINI1〜VINI3を個別に設定したので、駆動モジュールM1〜M3の特性が相違しても画面全体の輝度を均一にすることができる。この結果、サブ領域の境界を目立たなくできる。
<第3実施形態>
上述した第1および第2実施形態に係る電気光学装置10は、単色の画素について階調表示をする構成になっていたが、第3実施形態に係る電気光学装置10は、カラー表示に対応するものである。
図10は第3実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。この電気光学装置10の表示領域Zは1枚の表示パネルによって構成される。また、表示領域Zは、R(赤)、G(緑)、B(青)に対応するサブ領域Zr、Zg、およびZbによって構成される。サブ領域ZrにはR用の画素回路200Rが配置され、サブ領域ZgにはG用の画素回路200G、サブ領域ZbにはB用の画素回路200Bが各々配置される。
図11に画素回路200R、200G、および200Bの配置を示す。これらの構成において、OLED素子230R、230G、230Bは、それぞれ赤、緑、青にて発光するように発光層が選択される。即ち、各色に対応して異なる種類の発光材料が用いられる。このため、OLED素子230R、230G、230Bの発光効率が相違することが多い。この場合には、電源電圧VELおよび基準電圧VINIを色ごとに異ならせる必要がある。
そこで、本実施形態においては、電源回路18から、サブ領域Zrに基準電圧VINI(R)と電源電圧VEL(R)の組、サブ領域Zgに基準電圧VINI(G)と電源電圧VEL(G)の組、サブ領域Zbに基準電圧VINI(B)と電源電圧VEL(B)の組を各々供給する。
即ち、表示領域Zを分割した複数のサブ領域Zr、Zg、およびZbごとに独立した基準電圧VINI(R)、VINI(G)、およびVEL(G)が設定される。これらは、RGB各色の階調を定めるものであるから、ホワイトバランスが取れるように、工場で調整される。出荷時に設定した基準電圧VINI(R)、VINI(G)、およびVEL(G)をユーザーがその後、変更できるようにボリュームを設けてもよい。
<画素回路の構成例>
(1)構成例1 上述した各実施形態に係る画素回路200、200R、200G、および200Bにおいて、トランジスタ211は、オンすることにより駆動トランジスタ210をダイオード接続する機能を有するのに対し、トランジスタ214は、オフすることによって駆動トランジスタ210およびOLED素子230の電流経路を遮断する機能を有するものであり、両者の機能は全く異なる。このため、第1実施形態では、図2に示されるように、トランジスタ211については制御線104によって、トランジスタ214については制御線108によって、それぞれ独立にオンオフ制御する構成とした。
しかしながら、図12に示されるように、例えばトランジスタ214の導電型をpチャネル型に変更することによって、両トランジスタ211、214のチャネル型を互いに異ならせるとともに、共通の制御線108によってオンオフ制御する構成としても良い。このような構成を採用すると、図2の構成と比較して、制御線104が不要となるので、制御線が1行当たり1本削減される結果、歩留まり向上や、ボトムエミッション型の場合に開口率を高めた明るい表示が可能となる。トランジスタ211、212はともに同一のチャネル型とすることにより、トランジスタ211、212のしきい値電圧が同等であるため、異なるチャネル型で構成した場合と比して同一の制御信号GINI−iにより動作を確実に制御することができる。例えば、同一の制御信号GINI−iに対して、一方のトランジスタがオンして、他方のトランジスタがオフするなどの誤動作を防止することができる。また、同一のチャネル型とすることにより、トランジスタに不純物を注入する際のマージンを設ける必要がなく、トランジスタ211とトランジスタ212とをより近接して配置することが可能である。したがって、画素領域におけるトランジスタ占有領域を最小限とできると共に、トランジスタ211とトランジスタ212とのトランジスタ特性をばらつきなく製造することが可能である。さらに、駆動トランジスタ210がトランジスタ211とトランジスタ212と同一のチャネル型であれば、同様の効果が得られる。また、同一のチャネル型のみにて構成することにより、画素回路に供給する信号に対する電源の電圧範囲を最低限とすることができるため、信頼性の高い電子回路を実現することができる。
(2)構成例2 上述した各実施形態に係る画素回路200、200R、200G、および200Bを、図13に示される画素回路200に置換してもよい。図2に示される画素回路200は、トランジスタ211、212のオンオフを、それぞれ別々の制御信号GSET−i、GINI−iによって独立に制御する構成であったが、図13に示される画素回路は、制御線106に供給される制御信号GINI−iによって共通に制御する構成としたものである。
図14は、第2実施形態に係る電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。この図に示されるように、第2実施形態では、制御信号GINI−iにしたがってトランジスタ211、212のオンオフが共通に制御されるので、初期化期間(1)には、期間(1c)が含まれない。ただし、図13に示される画素回路200では、期間(1b)の終了時に、トランジスタ211、212が同時にオフするので、ノードAの電圧は、初期化期間(1b)の終了と同時に確定することになる。
なお、他の動作については、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。この応用例に係る電気光学装置によれば、図12に示される画素回路と同様に、制御線104が不要となり、制御線が1行当たり1本削減されるので、歩留まりや開口率を向上させることができる。
(3)構成例3 上述した各実施形態に係る画素回路200、200R、200G、および200Bを、図15に示される画素回路200に置換してもよい。図15に示される画素回路200は、図13に示した画素回路からトランジスタ214を取り除いた構成としたものである。したがって、図15に示される画素回路200において、制御線108は不要となる。
図16は、構成例3を用いた電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
この図に示されるように、構成例3では、i行目でいえば、走査信号GWRT−iがHレベルとなる書込期間(2)よりも手前において、期間Tiだけ制御信号GINI−iがHレベルとなる初期化期間(1)が設けられている。
この初期化期間(1)では、トランジスタ211、212が同時にオンするので、電流が(ダイオード接続された)駆動トランジスタ210とOLED素子230とに流れることになる。そして、初期化期間(1)の終了タイミングにおいて、制御信号GINI−iがLレベルとなり、トランジスタ211、212が同時にオフするので、第1および第2実施形態のように、駆動トランジスタ210のダイオード接続を継続することによる自己補償的なノードAの電圧シフトが発生しない。
このため、初期化期間(1)の終了時においてノードAには、OLED素子230に流れた電流に応じた電圧であって、駆動トランジスタ210のしきい値電圧Vthnを反映した電圧となり、第1および第2実施形態と比較して高くなる。そこで、構成例3では、ノードAの電圧が高くなることに対応して、給電線116を介して供給される基準電圧VINIも高く設定される。
詳細には、基準電圧VINIは、初期化期間(1)から書込期間(2)にかけてノードBが電圧変化する際の基準電圧であり、この電圧変化に応じた電圧が書込期間(2)においてノードAに書き込まれる点は、第1、第2実施形態と同様である。ただし、第3実施形態では、初期化期間(1)におけるノードAの電圧ポイントが高いので、第1、第2実施形態と同様に初期化電圧VINIを低く設定しまうと、書込期間(2)においてノードAは、高い電圧ポイントから上昇するだけとなり、ノードBに低い電圧を書き込んで、低階調(暗階調)に相当する電流をOLED素子230に流すことができなくなってしまう。そこで、構成例3では、基準電圧VINIを第1実施形態や構成例1および2よりも高く設定し、初期化期間(1)から書込期間(2)にかけてノードBが電圧上昇するのみならず、下降する場合もありえる構成としているのである。
そして、この構成において、低階調(暗階調)に相当する電流をOLED素子230に流す場合には、初期化期間(1)から書込期間(2)にかけてノードBが電圧下降(放電)し、その下降分に応じた電圧がノードAに書き込まれるので、ノードBの電圧を低くして、低階調(暗階調)に相当する電流をOLED素子230に流すことが可能となるのである。
なお、構成例3における基準電圧VINIは、画素の最低階調(黒色)と最高階調(白色)との間における中間階調(灰色)を指定するデータ信号の電圧に相当することになる。
この構成例3を用いた電気光学装置によれば、図12や図13に示される画素回路と比較して、制御線104も不要となるので、制御線が1行当たり1本(図2の画素回路と比較すると2本)削減されるとともに、画素回路1個当たりのトランジスタ数も1個削減されるので、歩留まりや開口率を、より高めることが可能となる。
ただし、構成例3では、トランジスタ214が存在しないので、発光期間(3)を調整することによる画面全体の輝度調整ができない。また、書込期間(2)においても、ノードAの電圧に応じた電流がOLED素子230に流れる。
(4)構成例4 上述した各実施形態に係る画素回路200、200R、200G、および200Bを、図17に示される画素回路200に置換してもよい。図17に示される画素回路200は、図15に示した画素回路において、電源線114を1行ごとにX方向に延設するとともに、その電圧を、時間的に変化させた構成としたものである。すなわち、第4実施形態における電源線114は、走査線102、制御線106とともに1組となって、1行分の画素回路200に兼用されている。
このような電源線114は、例えばYドライバ14によって駆動される。また、第4実施形態において、給電線116に印加される基準電圧VINIは、第1実施形態と同様に、画素の最低階調を指定するデータ信号と一致する電圧である。
図18は、構成例4に係る電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。この図に示されるように、構成例4では、構成例3と同様に、i行目でいえば、走査信号GWRT−iがHレベルとなる書込期間(2)よりも手前の初期化期間(1)において、制御信号GINI−iが期間TiだけHレベルとなる。
ただし、構成例4では、初期化期間において、Yドライバ14は、i行目の電源線114の電圧VEL−iを基準電圧Viniとする。この基準電圧Viniは、駆動トランジスタ210のしきい値電圧VthnおよびOLED素子230のしきい値電圧との和よりも若干高い程度の電圧である。詳細には、トランジスタ211のオンによってダイオード接続された駆動トランジスタ210のドレインに、この基準電圧Viniが印加された場合に、当該駆動トランジスタ210およびOLED素子230に電流がごくわずかに流れる程度の電圧である。
一方、構成例4においても、初期化期間(1)では、ノードBは、トランジスタ212のオンにより基準電圧VINIに固定されるので、ノードAには、当該電流に応じた電圧が保持されることになる。
ここで、初期化期間(1)においてOLED素子230に流れる電流は、第3実施形態とは異なり、ごくわずかであるので、ノードAに保持される電圧を、ほぼ駆動トランジスタのしきい値Vthnとさせることができる。
次に、書込期間(2)に至ると、Yドライバ14は、電圧VEL−iをGndに落とすともに、制御信号GWRT−iをHレベルとする。これにより、トランジスタ213がオンするので、ノードBは、ΔVだけ電圧変化し、この変化分を容量比で配分した分だけ、ノードAの電圧が上昇するので、第1実施形態等と同様にして、ノードAにOLED素子230に電流を流すためゲート電圧を書き込むことができる。
続いて、発光期間(3)に至ると、Yドライバ14は、電圧VEL−iを電源電圧VELにする一方、制御信号GWRT−iをLレベルとする。これにより、第1実施形態等と同様に、OLED素子230には、ノードAの電圧に応じた電流が流れて、当該電流に応じた明るさで発光し続けることになる。
そして、発光期間(3)が終了すると、Yドライバ14は、電圧VEL−iをGndに落とす。これにより、OLED素子230は消灯して、発光期間(3)が調整されることになる。
この構成例4に係る電気光学装置によれば、構成例3と同様に、図12や図13に示される画素回路と比較して、制御線108が不要となるので、制御線が1行当たり1本(図2の画素回路と比較すると2本)削減されるとともに、画素回路1個当たりのトランジスタ数も1個削減されるので、歩留まりや開口率を、より高めることが可能となる。さらに、構成例4によれば、構成例3とは異なり、発光期間(3)を調整して、表示画面全体の明るさを変化させることができる。
なお、構成例4では、電源線114を走査線102の1行ごとにX方向に延設するとしたが、隣接する複数行ごとに1本延設して、複数行の画素回路200にわたって兼用する構成としても良い。このような構成とすると、配線数が削減することができるので、特に、開口率の点で有利となる。
(5)構成例5 上述した各実施形態に係る画素回路200、200R、200G、および200Bを、図19に示される画素回路200に置換してもよい。図19に示されるように、構成例5における画素回路200は、図14に示した画素回路において、トランジスタ212の一端(ドレイン)の接続先を、給電線116から、行ごとの電源線114へと変更したものである。
なお、この構成例5に係る電気光学装置の動作は、初期化期間(1)において、ノードBが電源線114の基準電圧Viniで固定される点以外、構成例4と同様であるので、その説明については省略する。
この構成例5によれば、給電線116が不要となるので、構成例4と比較して、歩留まりや開口率の点で有利となる。
(6)各実施形態では、駆動トランジスタ210をnチャネル型としたが、pチャネル型としても良い。また、トランジスタ211、212、213、214のチャネル型についても同様である。ただし、図12に示される構成とする場合には、トランジスタ211、214のチャネル型については、上述したように一方をpチャネル型、他方をnチャネル型とする必要がある。また、図13、図15、図17または図19に示される構成とする場合には、トランジスタ211、212ついては、共通の制御線106によってオンまたはオフを同時制御するため、nまたはpの一方のチャネル型に統一する必要がある。
また、これら各トランジスタを、pチャネル型およびnチャネル型を相補型に組み合わせたトランスミッションゲートで構成して、電圧降下をほぼ無視できる程度に抑えても良い。くわえて、トランジスタ214のソース側にOLED素子230を接続するのではなく、トランジスタ214のドレイン側にOLED素子230を接続しても良い。
また、OLED素子230は、低分子、高分子もしくはデンドリマー等の発光有機材料を用いている。OLED素子230は、電流駆動型素子の一例であり、これに代えて、無機EL素子や、フィールド・エミッション(FE)素子、表面伝導型エミッション(SE)素子、弾道電子放出(BS)素子、LEDなどの他の自発光素子、さらには、電気泳動素子、エレクトロ・クロミック素子などを用いても良い。また、光書きこみ型のプリンタや電子複写機等に用いる書き込みヘッド等の電気光学装置にも上記各実施形態と同様に本発明が適用され得る。
<5.電子機器>
次に、上述した第1乃至第3実施形態及び応用例に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。図20に、電気光学装置10を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置10と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。この電気光学装置10はOLED素子230を用いるので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
図21に、電気光学装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
図22に、電気光学装置10を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置10に表示される。
なお、電気光学装置10が適用される電子機器としては、図20〜図22に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置10が適用可能である。また、直接画像や文字などを表示する電子機器の表示部に限られず、被感光体に光を照射することにより間接的に画像もしくは文字を形成するために用いられる印刷機器の光源として適用してもよい。
本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 同電気光学装置の画素回路を示す図である。 同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。 同画素回路の動作説明図である。 同画素回路の動作説明図である。 同画素回路の動作説明図である。 同画素回路の動作説明図である。 同画素回路の動作説明図である。 本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 同装置の画素回路を示す図である。 画素回路の構成例1を示す回路図である。 画素回路の構成例2を示す回路図である。 同構成例2の動作を示すタイミングチャートである。 画素回路の構成例3を示す回路図である。 同構成例3の動作を示すタイミングチャートである。 画素回路の構成例4を示す回路図である。 同構成例4の動作を示すタイミングチャートである。 画素回路の構成例5を示す回路図である。 同電気光学装置を用いたパーソナルコンピュータを示す図である。 同電気光学装置を用いた携帯電話を示す図である。 同電気光学装置を用いた携帯情報端末を示す図である。
符号の説明
10…電気光学装置、12…制御回路、14…Yドライバ、16…Xドライバ、18…電源回路、18A…電圧源、18B…調整部、102…走査線、104、106、108…制御線、112…データ線、114、118…電源線、116…給電線、200…画素回路、210…駆動トランジスタ、211、212、213、214…トランジスタ(それぞれ第1、第2、第3、第4のスイッチング素子)、220…容量(容量素子)、230…OLED素子。

Claims (3)

  1. 表示パネルによって構成されるサブ領域を複数有する表示領域に、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して各々設けられた複数の画素回路とを備えた電気光学装置であって、
    前記複数の画素回路の各々は、電気光学素子と、基準電圧と前記データ線を介して供給
    されるデータ電圧とに基づいて駆動電流を生成して前記電気光学素子に供給する電流供給
    手段と、を備え、
    前記複数のサブ領域の輝度が目標値に近づくように、前記複数のサブ領域の各々に対応
    する前記基準電圧を個別に生成する電源手段が設けられ、
    前記電流供給手段は、
    前記電気光学素子に流れる駆動電流を制御する駆動トランジスタと、
    前記駆動トランジスタのゲートとドレインとの間にて第1の期間においてオンし、前記
    第1の期間後の第2の期間の開始タイミングまでにオフする第1のスイッチング素子と、
    一端が前記駆動トランジスタのゲートに接続された容量素子と、
    前記第1の期間においてオンして、前記基準電圧を前記容量素子の他端に印加する一方
    、前記第2の期間、および、この第2の期間後の第3の期間においてオフする第2のスイ
    ッチング素子と、
    前記データ線と前記容量素子の他端との間にて、前記第2の期間においてオンする第3
    のスイッチング素子と
    を備え、
    前記電源手段は、
    前記サブ領域ごとの前記基準電圧を個別に生成する電圧生成手段と、
    前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記基準電圧
    を調整する電圧調整手段と、を備えることを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記電圧調整手段は、前記複数のサブ領域の画素回路で消費される電流を前記サブ領域ごとに計測し、計測結果に基づいて前記基準電圧を調整することを特徴とする請求項に記載の電気光学装置。
  3. 請求項1または2に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
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