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JP4742527B2 - 電気光学装置および電子機器 - Google Patents

電気光学装置および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、有機発光ダイオード素子のような電流駆動型素子を駆動する電気光学装置および電子機器に関する。
近年、液晶素子に代わる次世代の発光デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下適宜「OLED素子」と略称する)素子が注目されている。このOLED素子は、自発光型であるために視野角依存性が少なく、また、バックライトや反射光が不要であるために低消費電力化や薄型化に向いているなど、表示パネルとして優れた特性を有している。
ここで、OLED素子は、液晶素子のように電圧保持性を有さず、電流が途絶えると、発光状態が維持できなくなる電流型の被駆動素子である。このため、OLED素子をアクティブ・マトリクス方式で駆動する場合、書込期間(選択期間)において、画素の階調に応じた電圧を駆動トランジスタのゲートに書き込んで、当該電圧をゲート容量などにより保持し、当該ゲート電圧に応じた電流を駆動トランジスタがOLED素子に流し続ける事が一般的となっている。
この構成では、駆動トランジスタのしきい値電圧特性がばらつくことによって、画素ごとに、OLED素子の明るさが相違して表示品位が低下する、という問題が指摘されている。このため、近年では、書込期間において、当該駆動トランジスタをダイオード接続させるとともに、駆動トランジスタからデータ線に定電流を流し、これによって、当該駆動トランジスタのゲートに、OLED素子に流すべき電流に応じた電圧を書き込むようにプログラミングして、駆動トランジスタのしきい値電圧特性のばらつきを補償する技術が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
米国特許第6229506号公報(FIG.2参照) 特開2003−177709号公報(図3参照)
ところで、電気光学装置の表示領域が複数のサブ領域に分割されており、サブ領域ごとにOLED素子やトランジスタの特性にばらつきがある場合、各サブ領域を個別の駆動モジュールで駆動する場合、さらには、各領域のOLED素子として異なる種類の素子を用いる場合がある。このような電気光学装置において、従来の技術では、複数のサブ領域間で表示輝度を均一にすることができず、画面内の明るさが相違するといった問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の領域の輝度を均一にすることが可能な電気光学装置および電子機器を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電気光学装置は、複数のサブ領域を有する表示領域に、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して各々設けられた複数の画素回路とを備えるものであって、前記複数のサブ領域の輝度が目標値に近づくように、前記複数のサブ領域の各々に対応するオフセット電圧を個別に生成する電源手段と、複数の前記オフセット電圧の中から駆動対象とする画素回路が属するサブ領域に応じた前記オフセット電圧を用いてデータ信号を生成して前記データ線に供給する駆動手段とを備え、前記複数の画素回路の各々は、電気光学素子と、前記データ信号と基準電圧とを比較して、比較結果に応じた期間だけ駆動電流を前記電気光学素子に供給する供給手段とを有し、前記駆動手段は、出力設定電圧を生成する出力設定電圧生成手段と、輝度を表示すべき前記電気光学素子が属する前記サブ領域に応じた前記オフセット電圧を複数の前記オフセット電圧の中から選択して出力するオフセット電圧選択手段と、表示すべき階調に応じた階調電圧に前記オフセット電圧選択手段によって選択された前記オフセット電圧を加算して、出力階調電圧を生成する階調電圧生成手段と、書込期間において前記出力階調電圧を選択し、発光期間において前記出力設定電圧を選択して、前記データ信号を前記データ線に出力する出力選択手段と、を有する。
この発明によれば、電気光学素子の発光期間は、データ信号と基準電圧の比較結果によって定まるところ、データ信号は、オフセット電圧を用いて生成される。ここで、オフセット電圧は、駆動対象とする画素回路が属するサブ領域に応じて選択される。また、階調電圧にオフセット電圧を加算して出力階調電圧を生成することで、出力階調電圧と出力設定電圧の相対的な電位差が調整される。従って、複数のサブ領域間の輝度を調整することが可能となる。なお、電気光学素子とは、電気的な作用によって光学特性を制御可能な素子の意味であって、例えば、有機発光ダイオードが含まれる。
上述した電気光学装置において、前記駆動手段は、前記画素回路の前記供給手段は、前記書込期間に供給される前記出力階調電圧と前記基準電圧との差分電圧を前記保持する保持手段と、前記発光期間において供給される前記出力設定電圧と前記差分電圧とを合成した電圧と前記基準電圧とを比較して、比較結果に応じた期間だけ前記駆動電流を前記電気光学素子に供給する電流供給手段とを備えることが好ましい。
この場合、データ信号の出力階調電圧は、オフセット電圧を用いて生成される。換言すれば、出力設定電圧と出力階調電圧との相対的な関係は、オフセット電圧によって定まり得る。また、発光期間において出力設定電圧と差分電圧を合成するとは、例えば、出力設定電圧が出力三角波電圧であるとすれば、出力三角波電圧から差分電圧だけ電圧降下した電圧を生成することを意味する。ここで、出力三角波電圧をVx、出力階調電圧をVy、基準電圧をVref、差分電圧をΔVとすれば、保持手段は、ΔV=Vy−Vrefを保持し、合成した電圧は、Vx−ΔV=Vx−Vy+Vrefとなる。これを基準電圧Vrefと比較するので、等価的にはVxとVyとを比較していることになる。そして、VxとVyの相対的な関係は、サブ領域に応じて選択されたオフセット電圧によって定まるから、複数のサブ領域間の輝度を調整することが可能となる。
ここで、前記画素回路の前記供給手段は、具体的には、出力端子が前記電気光学素子と接続される制御手段と、前記データ線と前記制御手段の入力端子との間に設けられた容量素子と、前記制御手段の入力端子とその出力端子との間に設けられ、前記書込期間においてオン状態となり、前記発光期間においてオフ状態となる第1スイッチング素子と、電源電圧が供給される電源線と、前記制御手段の電源端子との間に設けられ、前記書込期間および前記発光期間においてオン状態となる第2スイッチング素子と、を備えることが好ましい。ここで、容量素子は上記保持手段に相当し、制御手段、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子は上記電流供給手段に相当する。前記制御手段は、インバータ回路であってもよい。
上述した電気光学装置において、前記サブ領域は表示パネルで構成され、前記電源手段は、前記サブ領域ごとの前記オフセット電圧を個別に生成する電圧生成手段と、前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記オフセット電圧を調整する電圧調整手段と、を備えることが好ましい。この発明によれば、表示領域を複数の表示パネルで構成する場合に、パネル間の輝度を均一にすることができる。この結果、パネルの境界を目立たなくすることができ、複数の表示パネルをあたかも大型の1枚の表示パネルとして利用することが可能となる。
上述した電気光学装置において、前記複数のデータ線を駆動する複数の駆動モジュールを備え、前記複数のサブ領域は、前記複数の駆動モジュールの各々が駆動する前記データ線に対応しており、前記サブ領域ごとの前記オフセット電圧を個別に生成する電圧生成手段と、前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記オフセット電圧を調整する電圧調整手段と、を備えることが好ましい。この発明によれば、複数の駆動モジュールを用いて駆動する場合、駆動モジュール間に特性のばらつきがあってもオフセット電圧を調整することによって、複数のサブ領域の輝度を均一にすることができる。これにより、サブ領域の境界を目立たなくすることができる。なお、複数の表示パネルで1個の表示領域を構成し、各表示パネルを複数の駆動モジュールで駆動する場合には、各駆動モジュールに対応するデータ線の範囲が、各サブ領域に相当することは勿論である。
上述した電気光学装置において、前記複数のサブ領域の各々には、発光色の異なる複数種類の電気光学素子が各々設けられており、前記電源手段は、前記サブ領域ごとの前記オフセット電圧を個別に生成する電圧生成手段と、前記目標値は個別に設定されており、ホワイトバランスが取れるように前記オフセット電圧を調整する電圧調整手段と、を備えることが好ましい。発光色の異なる電気光学素子では、発光色に応じて異なる材料が選択されるため、発光効率が相違するのが通常である。この発明によれば、サブ領域ごとに発光色の異なる電気光学素子が配置され、サブ領域ごとにオフセット電圧が個別に生成される。したがって、オフセット電圧を個別に設定することによって、ホワイトバランスを調整することが可能となる。
上述した電気光学装置において、前記電圧調整手段は、前記複数のサブ領域の画素回路で消費される電流を前記サブ領域ごとに計測し、計測結果に基づいて前記オフセット電圧を調整することが好ましい。この発明によれば、サブ領域ごとの消費電流に応じてオフセット電圧が調整されるから、工場でオフセット電圧を設定するだけでなく、常時、オフセット電圧を調整して最適な状態を維持することも可能である。
また、上述した電気光学装置において、前記出力設定電圧は三角波電圧であってもよい。あるいは、前記出力設定電圧は鋸波電圧であってもよい。もしくは、前記出力設定電圧は正弦波電圧であってもよい。
次に、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備え、例えば、複数のパネルを連結した大型ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、および携帯情報端末等が該当する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。図1に示されるように電気光学装置10は、4つの表示パネルZ1、Z2、Z3、およびZ4を連結して構成されている。複数の表示パネルZ1〜Z4の各々には、複数本の走査線101が横方向(X方向)に延設される一方、複数本のデータ線(信号線)103が図において縦方向(Y方向)に延設されている。そして、これらの走査線101とデータ線103との交差の各々に対応するように画素回路(電子回路)400がそれぞれ設けられている。
ここで説明の便宜上、本実施形態では、各表示パネルZ1〜Z4の走査線101の本数(行数)を「360」とし、データ線の本数(列数)を「480」として、画素回路400が、縦360行×横480列のマトリクス状に配列する構成を想定する。そして、4枚の表示パネルZ1〜Z4によって、縦720行×横960列の表示領域Zが形成される。換言すれば、表示領域Zは複数のサブ領域(表示パネルZ1〜Z4が相当)に分割されている。ただし、本発明をこの配列に限定する趣旨ではない。
各表示パネルZ1〜Z4には、電源回路18から電源電圧Vddと低位側電圧GNDが共通して供給される。また、電源回路18は、表示パネルZ1〜Z4の各々に対応したオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を生成してXドライバ16へ供給する。オフセット電圧Vofs1〜Vofs4の技術的意義については、後述する。なお、表示パネルZ1〜Z4ごとの、オフセット電圧を区別しない場合には、単にオフセット電圧Vofsと表記する。
画素回路400には、後述するOLED素子420が含まれ、このOLED素子420へ電流を供給する期間を画素回路400毎に制御することによって、所定の画像が階調表示される。また、図1において、走査線101と並列に制御線102が延設される。
Yドライバ14は、1行ずつ走査線101を選択するとともに、選択した走査線101に対して、Hレベルの走査信号を供給する。さらにこの選択に同期した制御信号を制御線102に供給する。すなわち、Yドライバ14は、走査線101および制御線102に対し、行ごとに、走査信号や制御信号をそれぞれ供給するものである。
ここで、説明の便宜上、i行目(iは、1≦i≦720を満たす整数であり、行を一般化して説明するためのもの)の走査線101に供給される走査信号をGWRT−iと表記する。同様に、i行目の制御線102に供給される制御信号をGEL−iと、それぞれ表記する。
一方、Xドライバ16は、Yドライバ14によって選択された走査線101に対応する1行分の画素回路、すなわち、選択された行に位置する1〜960列の画素回路400の各々に、1〜960列目のデータ線103を介して、データ信号をそれぞれ供給するものである。
制御回路12は、Yドライバ14およびXドライバ16に、それぞれクロック信号(図示省略)などを供給して両ドライバを制御するとともに、Xドライバ16に、階調を画素ごとに規定する画像データDを供給する。さらに、制御回路12は、三角波電圧信号SSを生成する三角波発生回路12Aを供える。
図2にXドライバ16のブロック図を示す。この図に示すようにXドライバ16は、シリアルパラレル変換部16Aと信号供給部16Bを備える。シリアルパラレル変換部16Aは、シリアル形式の画像データDをパラレル形式の画像データd1、d2、…d960に変換して出力する。信号供給部16Bは960個の信号供給回路160Aを備え、それらには三角波電圧信号SSが供給される。各信号供給回路160Aは、データ信号X1、X2、…X960を生成してデータ線103に出力する。960個の信号供給回路160Aのうち、左端から480個の信号供給回路160Aは、表示パネルZ1および表示パネルZ4に対応するものであり、オフセット電圧Vofs1およびVofs4が供給される。右端から480個の信号供給回路160Aは、表示パネルZ2および表示パネルZ3に対応するものであり、オフセット電圧Vofs2およびVofs3が供給される。
図3にj列目の信号供給回路160Aの構成を示し、図4にそのタイミングチャートを示す。なお、他の信号供給回路も同様に構成される。なお、説明の便宜上、jは、1≦j≦480を満たす整数である。この例の信号供給回路160Aは、j列目のデータ線103を介してデータ信号Xjを表示パネルZ1およびZ4に供給する。信号供給回路160Aは、画像データdjが供給されるDA変換器161を備える。DA変換器161は、画像データdjをDA変換して得た階調電圧信号Vdataを加算器162の一方の入力端子に出力する。オフセット電圧選択回路163は、第1選択信号SEL1に基づいてオフセット電圧Vofs1またはVofs4のうち一方を選択して、加算器162の他方の入力端子に出力する。
図4に示すように、1フレーム期間(1F)はアドレス期間Taと発光期間Tbに分割される。アドレス期間Taにおいて、複数の走査線101が順次選択され、選択された走査線101に接続される画素回路400にデータ信号Xjが順次供給される。本実施形態においては、表示領域Zが4つの表示パネルZ1〜Z4から構成されている。そして、j列目の信号供給回路160Aは、表示パネルZ1およびZ4に対応している。従って、アドレス期間Taの前半期間Ta1において表示パネルZ1の走査線101(360本分)が選択される一方、その後半期間Ta2において表示パネルZ4の走査線101(360本分)が選択される。
第1選択信号SEL1は、前半期間Ta1でHレベルとなり、後半期間Ta2でLレベルとなる。第1選択信号SEL1がHレベルの場合にオフセット電圧選択回路163はオフセット電圧Vofs1を選択し、第1選択信号SEL1がLレベルの場合にオフセット電圧選択回路163はオフセット電圧Vofs4を選択する。即ち、駆動対象とする画素回路400の属する表示パネルに応じてオフセット電圧Vofsが選択される。
加算器162は、オフセット電圧選択回路163によって選択されたオフセット電圧(この例では、Vofs1またはVofs4)と階調電圧信号Vdataとを加算して出力階調電圧信号Vdata’を生成して、出力電圧選択回路164の一方の入力端子に供給する。なお、ここで言う加算には、Vdataの値が大きくなる場合と、小さくなる場合との両方の意味が含まれている。出力電圧選択回路164の他方の入力端子には、三角波電圧信号SSが出力三角波電圧信号SS’として供給される。第2選択信号SEL2は、図4に示されるように、アドレス期間TaにおいてHレベルとなり、発光期間TbにおいてLレベルとなる信号である。出力電圧選択回路164は、第2選択信号SEL2がHレベルの場合に出力階調電圧信号Vdata’を選択する一方、Lレベルの場合に出力三角波電圧信号SS’を選択して、データ信号Xjを生成する。従って、データ信号Xjは、出力階調電圧信号Vdata’と出力三角波信号SS’を時分割多重した信号となる。
図5に表示パネルZ1に属するi行j列目の画素回路400の構成を示す。図に示すようにデータ線103とインバータINVの入力端子との間には容量素子430が設けられている。インバータINVの入力端子と出力端子との間にはスイッチ素子SW1が設けられている。また、スイッチ素子SW2は、インバータINVの電源端子と電源線L1との間に設けられており、オン状態で電源電圧VddをインバータINVに供給する一方、オフ状態で電源供給を停止する。OLED素子420の陰極は接地(GND)されており、その陽極はインバータINVの出力端子と接続されている。
図6にi行j列目の画素回路400のタイミングチャートを示す。まず、アドレス期間Taにおいて信号供給回路160Aからデータ線103を介して出力階調電圧信号Vdata’が供給され、次に、発光期間Tbにおいて出力三角波電圧信号SS’が供給される。アドレス期間Taにおける書込期間Twは、各画素回路400の各々に対応している。書込期間Twでは、走査信号GWRT−iおよび制御信号GEL−iがHレベルとなるので、スイッチ素子SW1およびSW2がオン状態となる。このとき、インバータINVの出力電圧はその入力端子にフィードバックされるので、インバータINVの入力電圧Vinは、インバータINVの反転しきい値電圧Vresとなる。反転しきい値電圧Vresは、インバータINVの負電源電圧と正電源電圧の略中間電圧となる。
書込期間Twにおいて容量素子430の両端には電圧(Vdata’−Vres)が印加される。走査信号GWRT−iは書込期間TwのみHレベルとなるので、スイッチ素子SW1は、書込期間Twが終了すると、次のフレームの書込期間Twまでオフ状態となる。これに伴って、インバータINVと接続される容量素子430の端子はフローティング状態となる。従って、容量素子430の印加電圧(Vdata’−Vres)は、次の書込期間Twまで維持される。スイッチ素子SW2は発光期間Tb中にオン状態となる。当該期間Tbには三角波電圧信号SS’がデータ線103に供給される。
このとき、容量素子430の印加電圧(Vdata’−Vres)は変化しないので、発光期間TbにおけるインバータINVの入力電圧Vinは、Vin=SS’−(Vdata’−Vres)となる。そして、入力電圧Vinが反転しきい値電圧Vresを下回るとインバータINVの出力電圧はHレベルとなり、OLED素子420が一定の輝度で発光し、入力電圧Vinが反転しきい値電圧Vresを上回るとインバータINVの出力電圧はLレベルとなり、OLED素子420が消灯する。ここで、OLED素子420は以下の条件が成立する期間Tcにおいて発光する。
Vin<Vres
SS’−(Vdata’−Vres)<Vres
SS’<Vdata’
すなわち、出力三角波電圧信号SS’が出力階調電圧信号Vdata’を下回ると、OLED素子420が一定の輝度で発光する。
ここで、出力階調電圧信号Vdata’は、階調電圧信号Vdataとオフセット電圧Vofsを加算したものであるから、オフセット電圧Vofsを調整することによって、期間Tcを制御することができ、ひいては輝度を調整することができる。本実施形態のように複数の表示パネルZ1〜Z4によって電気光学装置10を構成する場合、表示パネルZ1〜Z4は個別に製造されるため、OLED素子420の特性は複数の表示パネルZ1〜Z4の間で同一とはいえず、ばらつくのが通常である。
本実施形態の電源回路18は、電圧源18Aと調整部18Bを備える。電圧源18Aはオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を発生し、調整部18Bは電圧源18Aを制御して表示パネルZ1〜Z4の輝度が均一になるようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を調整する。具体的には、調整部18Bの処理には以下の態様がある。
第1の態様は、各表示パネルZ1〜Z4を同一の階調を示す画像データで駆動し、電源回路18において、複数の表示パネルZ1〜Z4で消費される電流を各々計測し、消費電流が等しくなるようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を調整する。この調整方法によれば、例えば、電気光学装置10に電源が投入された直後に上述した調整処理を実行することによって、OLED素子420等の特性に経時変化があったとしても各表示パネルZ1〜Z4の輝度を均一にすることができる。また、各表示パネルZ1〜Z4に表示に寄与しないダミーの画素回路を設け、ダミーの画素回路に流れる電流を計測し、消費電流が等しくなるようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を調整してもよい。この場合は、常時、消費電流を計測して、輝度の補正を施すことが可能となる。
第2の態様は、電気光学装置10の出荷時にオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を設定するものである。この態様においては、第1に、各表示パネルZ1〜Z4を同一の階調を示す画像データで駆動する。第2に、各表示パネルZ1〜Z4の輝度を測定装置(例えば、CCDカメラ)を用いて測定する。第3に、測定された輝度が相互に近づくようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を設定する。なお、出荷時に設定したオフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4をユーザーがその後、変更できるようにボリュームを設けてもよい。
このように本実施形態においては、表示領域Zを構成する複数のサブ領域としての表示パネルZ1〜Z4について、オフセット電圧Vofs1、Vofs2、Vofs3、およびVofs4を個別に設定したので、画面全体の輝度を一様にすることができる。そして、複数のパネルをあたかも1枚のパネルとして用いることが可能となる。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態に係る電気光学装置10は、複数の表示パネルZ1〜Z4を組み合わせて1個の表示領域Zを構成した。これに対して、第2実施形態に係る電気光学装置10は、表示領域Zが1枚の表示パネルで構成されている。
図7は、第2実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すようにXドライバ16は複数の駆動モジュールM1、M2、およびM3を備える。そして、各駆動モジュールM1〜M3は表示領域を分割したサブ領域S1、S2、S3を各々駆動する。ここで、オフセット電圧Vofsは、サブ領域S1、S2、およびS3の各々で独立しており、オフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3として、各駆動モジュールM1、M2、およびM3に供給される。
駆動モジュールM1〜M3の各々は、上述した信号供給回路160Aを備えるが、オフセット電圧Vofsは個別に供給されるので、オフセット電圧Vofsを選択する必要はない。このため、第2実施形態の信号供給回路160Aは、図3に示す第1実施形態の信号供給回路160Aから、オフセット電圧選択回路163を削除して、オフセット電圧Vofsを加算器162に直接供給するように構成されている。
駆動モジュールM1〜M3を構成するトランジスタの特性は、必ずしも同一ではなく一定のばらつきがある。このトランジスタの特性のばらつきに起因して、同一の画像データDを駆動モジュールM1〜M3に供給しても、駆動モジュールM1〜M3の間でデータ信号の電圧値がばらつく。この結果、サブ領域S1、S2、およびS3の間で、輝度が不均一になることがある。
第2実施形態の電気光学装置10は、第1実施形態の電気光学装置10と同様に、電源回路18においてサブ領域S1〜S3の輝度が均一になるようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3が生成される。具体的には、以下の態様がある。
第1の態様は、サブ領域S1〜S3を同一の階調を示す画像データで駆動し、電源回路18において、複数のサブ領域S1〜S3で消費される電流を各々計測し、消費電流が等しくなるようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3を調整する。この調整方法によれば、例えば、電気光学装置10に電源が投入された直後に上述した調整処理を実行することによって、駆動モジュールM1〜Mのトランジスタ特性に経時変化があったとしても各サブ領域S1〜S3の輝度を均一にすることができる。また、各サブ領域S1〜S3に表示に寄与しないダミーの画素回路を設け、ダミーの画素回路に流れる電流を計測し、消費電流が等しくなるようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3を調整してもよい。この場合は、常時、消費電流を計測して、輝度の補正を施すことが可能となる。
第2の態様は、電気光学装置10の出荷時にオフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3を設定するものである。この態様においては、第1に、各サブ領域S1〜S3を同一の階調を示す画像データで駆動する。第2に、各サブ領域S1〜S3の輝度を測定装置(例えば、CCDカメラ)を用いて測定する。第3に、測定された輝度が相互に近づくようにオフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3を設定する。なお、出荷時に設定したオフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3をユーザーがその後、変更できるようにボリュームを設けてもよい。
このように本実施形態においては、表示領域Zを構成する複数のサブ領域S1〜S3について、オフセット電圧Vofs1、Vofs2、およびVofs3を個別に設定したので、駆動モジュールM1〜M3の特性が相違しても画面全体の輝度を均一にすることができる。この結果、サブ領域の境界を目立たなくできる。
<第3実施形態>
上述した第1および第2実施形態に係る電気光学装置10は、単色の画素について階調表示をする構成になっていたが、第3実施形態に係る電気光学装置10は、カラー表示に対応するものである。
図8は第3実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。この電気光学装置10の表示領域Zは1枚の表示パネルによって構成される。また、表示領域Zは、R(赤)、G(緑)、B(青)に対応するサブ領域Zr、Zg、およびZbによって構成される。サブ領域ZrにはR用の画素回路400Rが配置され、サブ領域ZgにはG用の画素回路400G、サブ領域ZbにはB用の画素回路400Bが各々配置される。
各画素回路400R、400G、および400Bに用いられるOLED素子420を、OLED素子420R、420G、および420Bとする。OLED素子420R、420G、420Bは、それぞれ赤、緑、青にて発光するように発光層が選択される。即ち、各色に対応して異なる種類の発光材料が用いられる。このため、OLED素子420R、420G、420Bの発光効率が相違することが多い。ホワイトバランスを取るためには、各色の発光量を調整する必要がある。
そこで、本実施形態においては、電源回路18は、サブ領域Zrに対応するオフセット電圧Vofsr、サブ領域Zgに対応するオフセット電圧Vofsg、およびサブ領域Zbに対応するオフセット電圧Vofsbの組を各々供給する。これらは、RGB各色の階調を定めるものであるから、ホワイトバランスが取れるように、工場で調整される。なお、出荷時に設定したオフセット電圧Vofsr、Vofsg、およびVofsbをユーザーがその後、変更できるようにボリュームを設けてもよい。
<応用例>
上述した各実施形態において、信号供給回路160Aは、階調電圧信号Vdataにオフセット電圧Vofsを加算して出力階調電圧Vdata’を生成する一方、制御回路12から供給される三角波電圧信号SSを出力三角波電圧信号SS’として出力電圧選択回路164に供給した。即ち、階調電圧信号Vdataにオフセット電圧Vofsを加算することによって、階調電圧と三角波電圧との相対的なレベルを調整したが、本発明は、これに限定されるものではなく、階調電圧と三角波電圧の相対的な電位差をオフセット電圧に従って設定できるのであれば、どのような構成であってもよい。例えば、三角波電圧信号SSにオフセット電圧Vofsを加算して出力三角波電圧信号SS’を生成してもよい。
図9に信号供給回路160Bを示す。信号供給回路160Bは、三角波電圧信号SSにオフセット電圧Vofsを加算してデータ信号Xjを生成する。この図に示されるように、オフセット電圧信号選択回路163の出力信号は、加算器162の一方の入力端子に供給される。その他方の入力端子には三角波電圧信号SSが供給され、三角波電圧信号SSにオフセット電圧Vofsが加算された信号が出力三角波信号SS’として、出力電圧選択回路164に供給される。出力電圧選択回路164は、出力階調電圧信号Vdata’として供給される階調電圧信号Vdataと出力三角波電圧信号SS’とを選択してデータ信号Xjを生成する。上述した第1乃至第3実施形態において、この信号供給回路160Bを信号供給回路160Aの替わりに用いることによって、輝度の調整が可能となる。
<電子機器>
次に、上述した第1乃至第3実施形態及び応用例に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。図10に、電気光学装置10を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置10と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。この電気光学装置10はOLED素子420を用いるので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
図11に、電気光学装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
図12に、電気光学装置10を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置10に表示される。
なお、電気光学装置10が適用される電子機器としては、図11〜図12に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置10が適用可能である。また、直接画像や文字などを表示する電子機器の表示部に限られず、被感光体に光を照射することにより間接的に画像もしくは文字を形成するために用いられる印刷機器の光源として適用してもよい。
本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 同電気光学装置のXドライバを示すブロック図である。 同Xドライバの信号供給回路を示すブロック図である。 同信号供給回路の動作を示すタイミングチャートである。 同電気光学装置の画素回路を示す図である。 同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 応用例に係る信号供給回路を示すブロック図である。 同電気光学装置を用いたパーソナルコンピュータを示す図である。 同電気光学装置を用いた携帯電話を示す図である。 同電気光学装置を用いた携帯情報端末を示す図である。
符号の説明
10…電気光学装置、12…制御回路、12A…三角波発生回路、14…Yドライバ、16…Xドライバ、18…電源回路、18A…電圧源、18B…調整部、101…走査線、102…制御線、102…データ線、160A,160B…信号供給回路、161…DA変換器、162…加算器、163…オフセット電圧選択回路、164…出力電圧選択回路、400,400R,400G,400B…画素回路、INV…インバータ、SW1,SW2…スイッチ素子、420…OLED素子、430…容量素子、Vofs1〜Vofs4,Vofsr,Vofsg,Vofsb…オフセット電圧。

Claims (12)

  1. 複数のサブ領域を有する表示領域に、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して各々設けられた複数の画素回路とを備えた電気光学装置であって、
    前記複数のサブ領域の輝度が目標値に近づくように、前記複数のサブ領域の各々に対応するオフセット電圧を個別に生成する電源手段と、
    複数の前記オフセット電圧の中から駆動対象とする画素回路が属するサブ領域に応じた前記オフセット電圧を用いてデータ信号を生成して前記データ線に供給する駆動手段とを備え、
    前記複数の画素回路の各々は、電気光学素子と、前記データ信号と基準電圧とを比較して、比較結果に応じた期間だけ駆動電流を前記電気光学素子に供給する供給手段とを有し、
    前記駆動手段は、
    出力設定電圧を生成する出力設定電圧生成手段と、
    輝度を表示すべき前記電気光学素子が属する前記サブ領域に応じた前記オフセット電圧を複数の前記オフセット電圧の中から選択して出力するオフセット電圧選択手段と、
    表示すべき階調に応じた階調電圧に前記オフセット電圧選択手段によって選択された前記オフセット電圧を加算して、出力階調電圧を生成する階調電圧生成手段と、
    書込期間において前記出力階調電圧を選択し、発光期間において前記出力設定電圧を選択して、前記データ信号を前記データ線に出力する出力選択手段と、
    を有する電気光学装置。
  2. 記画素回路の前記供給手段は、
    前記書込期間に供給される前記出力階調電圧と前記基準電圧との差分電圧を前記保持する保持手段と、
    前記発光期間において供給される前記出力設定電圧と前記差分電圧とを合成した電圧と前記基準電圧とを比較して、比較結果に応じた期間だけ前記駆動電流を前記電気光学素子に供給する電流供給手段とを備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記画素回路の前記供給手段は、
    出力端子が前記電気光学素子と接続される制御手段と、
    前記データ線と前記制御手段の入力端子との間に設けられた容量素子と、
    前記制御手段の入力端子とその出力端子との間に設けられ、前記書込期間においてオン状態となり、前記発光期間においてオフ状態となる第1スイッチング素子と、
    電源電圧が供給される電源線と、前記制御手段の電源端子との間に設けられ、前記書込期間および前記発光期間においてオン状態となる第2スイッチング素子と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  4. 前記制御手段は、インバータ回路である、ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
  5. 前記サブ領域は表示パネルで構成され、
    前記電源手段は、
    前記サブ領域ごとの前記オフセット電圧を個別に生成する電圧生成手段と、
    前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記オフセット電圧を調整する電圧調整手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  6. 前記複数のデータ線を駆動する複数の駆動モジュールを備え、
    前記複数のサブ領域は、前記複数の駆動モジュールの各々が駆動する前記データ線に対応しており、
    前記サブ領域ごとの前記オフセット電圧を個別に生成する電圧生成手段と、
    前記目標値は同一であって、複数のサブ領域の輝度が相互に近づくように前記オフセット電圧を調整する電圧調整手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  7. 前記複数のサブ領域の各々には、発光色の異なる複数種類の電気光学素子が各々設けられており、
    前記電源手段は、
    前記サブ領域ごとの前記オフセット電圧を個別に生成する電圧生成手段と、
    前記目標値は個別に設定されており、ホワイトバランスが取れるように前記オフセット電圧を調整する電圧調整手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  8. 前記電圧調整手段は、前記複数のサブ領域の画素回路で消費される電流を前記サブ領域ごとに計測し、計測結果に基づいて前記オフセット電圧を調整することを特徴とする請求項乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  9. 前記出力設定電圧は三角波電圧である、ことを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  10. 前記出力設定電圧は鋸波電圧である、ことを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  11. 前記出力設定電圧は正弦波電圧である、ことを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電気光学装置。
  12. 請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載の電気光学装置を備えた電子機器。
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